JP2006303330A - リチウムイオンキャパシタ - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギー密度や出力蜜度に関し、室温での特性と同時に、低温での特性、特に静電容量が低下することのない改良された蓄電装置を提供する。
【解決手段】正極、負極、及び、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機電解液を備え、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、かつ負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、正極と負極を短絡させた後の正極及び負極電位が2.0V以下となるリチウムイオンキャパシタであって、上記負極が、50%体積累積径(D50)が0.1〜2.0μmである負極活物質粒子から形成されていることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
【選択図】なし

Description

本発明は、正極、負極、及び電解質としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒電解質溶液を備えたリチウムイオンキャパシタに関する。
近年、グラファイト等の炭素材料を負極に用い、正極にLiCoO等のリチウム含有金属酸化物を用いた所謂リチウムイオン二次電池は高容量であり有力な蓄電装置として、主にノート型パソコンや携帯電話の主電源として実用化されている。リチウムイオン二次電池は、電池組立後、充電することにより正極のリチウム含有金属酸化物から負極にリチウムイオンを供給し、更に放電では負極のリチウムイオンを正極に戻すという、いわゆるロッキングチェア型電池であり、高電圧及び高容量、高安全性を有することを特長としている。
一方、環境問題がクローズアップされる中、ガソリン車にかわる電気自動車用又はハイブリッド自動車用の蓄電装置(メイン電源と補助電源)の開発が盛んに行われ、また、自動車用の蓄電装置として、これまでは鉛電池が使用されてきた。しかし、車載用の電気設備や機器の充実により、エネルギー密度、出力密度の点から新しい蓄電装置が求められるようになってきている。
かかる新しい蓄電装置としては、上記のリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタが注目されている。しかし、リチウムイオン二次電池はエネルギー密度が高いものの出力特性、安全性やサイクル寿命には問題を残している。一方、電気二重層キャパシタは、ICやLSIのメモリーバックアップ用電源として利用されているが、一充電当たりの放電容量は電池に比べて小さい。しかし、瞬時の充放電特性に優れ、数万サイクル以上の充放電にも耐えるという、リチウムイオン二次電池にはない高い出力特性とメンテナンスフリー性を備えている。
電気二重層キャパシタはこうした利点を有してはいるが、従来の一般的な電気二重層キャパシタのエネルギー密度は3〜4Wh/l程度で、リチウムイオン二次電池に比べて二桁程度小さい。電気自動車用を考えた場合、実用化には6〜10Wh/l、普及させるには20Wh/lのエネルギー密度が必要であるといわれている。
こうした高エネルギー密度、高出力特性を要する用途に対応する蓄電装置として、近年、リチウムイオン二次電池と電気二重層キャパシタの蓄電原理を組み合わせた、ハイブリットキャパシタとも呼ばれる蓄電装置が注目されている。そのうちの一つに、リチウムイオンを吸蔵、脱離しうる負極をリチウム金属と接触させて、予め化学的方法又は電気化学的方法でリチウムイオンを吸蔵、担持(以下、ドーピングともいう)させて負極電位を下げることにより、エネルギー密度を大幅に大きくすることを意図したキャパシタが提案されている。(特許文献1〜特許文献4参照)
この種のハイブリッドキャパシタでは、高性能は期待されるものの、負極にリチウムイオンをドーピングさせる場合に、全負極に対して金属リチウムを貼り付けることを必要とすることや、あるいはセル内の一部に局所的にリチウム金属を配置させ負極と接触させることも可能であるが、ドーピングに極めて長時間を要することや負極全体に対する均一性のあるドーピングに問題を有し、特に、電極を捲回した円筒型装置や、複数枚の電極を積層した角型電池のような大型の高容量セルでは実用化は困難とされていた。しかし、この問題は、セルを構成する、負極集電体及び正極集電体の表裏に貫通する孔を設け、この貫通孔を通じてリチウムイオンが移動できる結果、セルの端部に位置する負極に対してリチウム金属を電気化学的に接触させるだけで、リチウム金属と接触していないセル中の全負極にリチウムイオンが吸蔵、ドーピングできることの発明により、一挙に解決するに至った(特許文献5参照)。
かくして、電極を捲回した円筒型装置や、複数枚の電極を積層した角型電池のような大型のセルでも、装置中の全負極に対して短時間にかつ負極全体に均一にリチウムイオンがドーピングでき、耐電圧が向上したエネルギー密度が飛躍的に増大し、電気二重層キャパシタが本来有する大きい出力密度と相俟って、高容量のキャパシタが実現する見通しが得られた。しかし、かかる高容量のキャパシタを実用化するためには、なお、種々の問題があり、これらの問題の解決が迫られている。
特開平8−107048号公報 特開平9−55342号公報 特開平9−232190号公報 特開平11−297578号公報 国際公開番号WO98・033227号公報
上記の負極及び/又は正極をリチウムイオン供給源であるリチウム金属と接触させて、予め負極及び/又は正極にリチウムイオンをドープするタイプの大型のキャパシタについて本発明者は研究を進めたところ、このタイプのキャパシタにおいては、室温における静電容量は問題がないものの、温度−20〜−10℃における低温では、その特性、特に、静電容量が顕著に低下する現象が有することが見出された。自動車用などの蓄電装置としては、寒冷地などでも使用されるので上記低温での特性も極めて重要視される。
かくして、本発明は、負極及び/又は正極をリチウム金属と接触させて、予め負極にリチウムイオンをドーピングするタイプのリチウムイオンキャパシタについて、エネルギー密度や出力密度に関し、低温での特性、特に静電容量が低下することのない改良されたキャパシタを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を行った結果、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、かつ負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、負極及び/又は正極にリチウムイオンをドーピングさせ、正極と負極を短絡させた後の正極電位が2.0V以下となるリチウムイオンキャパシタにおいては、そこで使用される負極活物質の物性が、低温での特性、特に静電容量と関係し、該負極を、従来と比較して小さい特定の粒度分布を有する負極活物質から形成することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
かくして、本発明は、以下の要旨を有することを特徴とするものである。
(1)正極、負極、及び、電解質としてリチウム塩の非プロトン性有機電解液を備え、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、かつ負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、正極と負極を短絡させた後の正極電位が2.0V以下となるリチウムイオンキャパシタであって、上記負極が、50%体積累積径(D50)が0.1〜2.0μmである負極活物質粒子から形成されていることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
(2)前記負極及び/又は正極が、それぞれ該負極及び/又は該正極と対向して配置されたリチウムイオン供給源との電気化学的接触によって予めリチウムイオンがドーピングされている上記(1)に記載のリチウムイオンキャパシタ。
(3)負極活物質は、正極活物質に比べて、単位重量あたりの静電容量が3倍以上を有し、かつ正極活物質重量が負極活物資の重量よりも大きい上記(1)又は(2)に記載のリチウムイオンキャパシタ。
(4)前記正極及び負極が、それぞれ表裏面を貫通する孔を有する集電体を備える上記(1)〜(3)のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
(5)負極活物質粒子の全メソ孔容積が0.005〜1.0cc/gであり、比表面積が0.01〜1000m/gである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
(6)負極活物質が、炭素材料又はポリアセン系物質である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
(7)ポリアセン系物質が、芳香族系縮合ポリマーを非酸化性雰囲気にて400〜800℃で熱処理し、H/Cが0.05〜0.5の不溶不融性基体である上記(1)〜(6)のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
本発明によれば、予め負極にリチウムイオンをドーピングする、特に大容量のキャパシタであって、エネルギー密度や出力密度に関し、低温での特性、特に静電容量が低下することのない改良されたキャパシタが提供される。本発明でおいて、該負極を、従来と比較して小さい特定の粒度分布を有する負極活物質から形成することにより何故に、キャパシタの低温における特性が改良されるかについては、必ずしも明らかではないが、次のように推定される。
リチウムイオンを予め負極及び/又は正極にドーピングするリチウムイオンキャパシタは電解液にリチウムイオン含有の有機溶媒溶液を用いており、該電解液の低温でのイオン伝導性が低いことから低温特性は一般の電気二重層キャパシタに比較し劣っていた。特にリチウムイオンのみが出入りする負極の影響を強く受けていたことから、負極活物質の粒径を特定の小さい粒度分布に制御することにより、電解液との界面が増大し、低温時にもリチウムイオンの移動が容易になり低温時における特性が向上し上記の如き優れた特性が得られるものと考えられる。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、正極、負極、及び、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒電解質溶液を備え、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、かつ負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、正極と負極を短絡させた後の正極及び負極電位が2.0V以下を有する。ここで、「正極」とは、放電の際に電流が流れ出る側の極であり、「負極」とは放電の際に電流が流れ込む側の極をいう。
本発明のリチウムイオンキャパシタでは、負極及び/又は正極に対するリチウムイオンのドーピングにより正極と負極を短絡させた後の正極の電位が2.0V以下にされていることが必要である。負極及び/又は正極に対するリチウムイオンのドーピングされていないキャパシタでは、正極及び負極の電位はいずれも3Vであり、充電前においては、正極と負極を短絡させた後の正極の電位は3Vである。なお、本発明で、正極と負極を短絡させた後の正極の電位が2.0V以下とは、以下の(A)又は(B)の2つのいずれかの方法で求められる正極の電位が2.0V以下の場合をいう。即ち、(A)リチウムイオンによるドーピングの後、キャパシタセルの正極端子と負極端子を導線で直接結合させた状態で12時間以上放置した後に短絡を解除し、0.5〜1.5時間内に測定した正極電位、(B)充放電試験機にて12時間以上かけて0Vまで定電流放電させた後に正極端子と負極端子を導線で結合させた状態で12時間以上放置した後に短絡を解除し、0.5〜1.5時間内に測定した正極電位。
本発明において、正極と負極とを短絡させた後の正極電位が2.0V以下というのは、リチウムイオンがドーピングされた直後だけに限られるものではなく、充電状態、放電状態あるいは充放電を繰り返した後に短絡した場合など、いずれかの状態で短絡後の正極電位が2.0V以下となることである。
本発明において、正極と負極とを短絡させた後の正極電位が2.0V以下にするということに関し、以下に詳細に説明する。上述のように活性炭や炭素材は通常3V(Li/Li)前後の電位を有しており、正極、負極ともに活性炭を用いてセルを組んだ場合、いずれの電位も約3Vとなるため、短絡しても正極電位はかわらず約3Vである。また、正極に活性炭、負極にリチウムイオン二次電池にて使用されている黒鉛や難黒鉛化炭素のような炭素材を用いた、いわゆるハイブリットキャパシタの場合も同様であり、いずれの電位も約3Vとなるため、短絡しても正極電位はかわらず約3Vである。正極と負極の重量バランスにもよるが充電すると負極電位が0V近傍まで推移するので、充電電圧を高くすることが可能となるため高電圧、高エネルギー密度を有したキャパシタとなる。一般的に充電電圧の上限は正極電位の上昇による電解液の分解が起こらない電圧に決められるので、正極電位を上限にした場合、負極電位が低下する分、充電電圧を高めることが可能となる。しかしながら、短絡時に正極電位が約3Vとなる上述のハイブリットキャパシタでは、正極の上限電位を例えば4.0Vとした場合、放電時の正極電位は3.0Vまでであり、正極の電位変化は1.0V程度と正極の容量を充分利用できていない。更に、負極にリチウムイオンを挿入(充電)、脱離(放電)した場合、初期の充放電効率が低い場合が多く、放電時に脱離できないリチウムイオンが存在していることが知られている。これは、負極表面にて電解液の分解に消費される場合や、炭素材の構造欠陥部にトラップされる等の説明がなされているが、この場合正極の充放電効率に比べ負極の充放電効率が低くなり、充放電を繰り返した後にセルを短絡させると正極電位は3Vよりも高くなり、さらに利用容量は低下する。すなわち、正極は4.0Vから2.0Vまで放電可能であるところ、4.0Vから3.0Vまでしか使えない場合、利用容量として半分しか使っていないこととなり、高電圧にはなるが高容量にはならない。
ハイブリットキャパシタを高電圧、高エネルギー密度だけでなく、高容量そして更にエネルギー密度を高めるためには、正極の利用容量を向上させることが必要である。
短絡後の正極電位が3.0Vよりも低下すればそれだけ利用容量が増え、高容量になる。2.0V以下になるためには、セルの充放電により充電される量だけでなく、別途リチウム金属などのリチウムイオン供給源から負極にリチウムイオンを充電することが好ましい。正極と負極以外からリチウムイオンが供給されるので、短絡させた時には、正極、負極、リチウム金属の平衡電位になるため、正極電位、負極電位ともに3.0V以下になる。リチウム金属の量が多くなる程に平衡電位は低くなる。負極材、正極材が変われば平衡電位も変わるので、短絡後の正極電位が2.0V以下になるように、負極材、正極材の特性を鑑みて負極に担持させるリチウムイオン量の調整が必要である。
本発明において、キャパシタセルを充電する前に、予め負極及び/又は正極にリチウムイオンをドーピングし、正極と負極を短絡させた後の正極の電位を2.0V以下にすることにより、正極の利用容量が高くなるため高容量となり、大きいエネルギー密度が得られる。リチウムイオンの供給量が多くなる程、正極と負極を短絡させた時の正極電位は低くなりエネルギー密度は向上する。更に高いエネルギー密度を得る上では1.5V以下、特には、1.0V以下が更に好ましい。正極および/又は負極に供給されたリチウムイオンの量が少ないと正極と負極を短絡させた時に正極電位が2.0Vよりも高くなり、セルのエネルギー密度は小さくなる。また、正極電位が1.0Vを下回ると正極活物質にもよるが、ガス発生や、リチウムイオンを不可逆に消費してしまう等の不具合が生じるため、正極電位の測定が困難となる。また、正極電位が低くなりすぎる場合、負極重量が過剰ということであり、逆にエネルギー密度は低下する。一般的には0.1V以上であり、好ましくは0.3V以上である。
本発明で、リチウムイオンのドーピングは、負極と正極の片方あるいは両方いずれでもよいが、例えば正極に活性炭を用いた場合、リチウムイオンのドーピング量が多くなり正極電位が低くなると、リチウムイオンを不可逆的に消費してしまい、セルの容量が低下するなどの不具合が生じる場合がある。このため、負極と正極にドーピングするリチウムイオンは、それぞれの電極活物質を考慮し、これらの不具合を生じないようにするのが好ましい。本発明では、正極のドーピング量と負極のドーピング量を制御することは工程上煩雑となるため、リチウムイオンのドーピングは好ましくは負極に対して行われる。
本発明のリチウムイオンキャパシタでは、特に、負極活物質の単位重量当たりの静電容量が正極活物質の単位重量当たりの静電容量の3倍以上を有し、かつ正極活物質重量が負極活物質重量よりも大きくする場合、高電圧且つ高容量のキャパシタが得られる。また、それと同時に、正極の単位重量当たりの静電容量に対して大きな単位重量当たりの静電容量を持つ負極を用いる場合には、負極の電位変化量を変えずに負極活物質重量を減らすことが可能となるため、正極活物質の充填量が多くなりセルの静電容量及び容量が大きくなる。正極活物質重量は負極活物質重量に対して大きいことが好ましいが、1.1倍〜10倍であることが更に好ましい。1.1倍未満であれば容量差が小さくなり、10倍を超えると逆に容量が小さくなる場合もあり、また正極と負極の厚み差が大きくなり過ぎるのでセル構成上好ましくない。
なお、本発明において、キャパシタセル(以下、単にセルもいう)の静電容量及び容量は次のように定義される。セルの静電容量とは、セルの単位電圧当たりセルに流れる電気量(放電カーブの傾き)を示し、単位はF(ファラッド)、セルの単位重量当たりの静電容量とはセルの静電容量に対するセル内に充填している正極活物質重量と負極活物質重量の合計重量の除で示される(単位はF/g)。また、正極又は負極の静電容量とは、正極あるいは負極の単位電圧当たりセルに流れる電気量(放電カーブの傾き)を示し、単位はF、正極あるいは負極の単位重量当たりの静電容量とは正極あるいは負極の静電容量をセル内に充填している正極あるいは負極活物質重量の除で示される値であり、単位はF/gである。
更に、セル容量とは、セルの放電開始電圧と放電終了電圧の差、即ち電圧変化量とセルの静電容量の積であり単位はC(クーロン)であるが、1Cは1秒間に1Aの電流が流れたときの電荷量であるので本特許においては換算してmAh表示することとした。正極容量とは放電開始時の正極電位と放電終了時の正極電位の差(正極電位変化量)と正極の静電容量の積であり単位はCまたはmAh、同様に負極容量とは放電開始時の負極電位と放電終了時の負極電位の差(負極電位変化量)と負極の静電容量の積であり単位はCまたはmAhである。これらセル容量と正極容量、負極容量は一致する。
本発明のリチウムイオンキャパシタにおいて、予め負極及び/又は正極にリチウムイオンをドーピングさせる手段は特に限定されない。例えば、リチウムイオンを供給可能な、金属リチウムなどのリチウムイオン供給源をリチウム極としてキャパシタセル内に配置できる。リチウムイオン供給源の量(リチウム金属等の重量)は、所定の負極の容量が得られる量だけあればよい。
この場合、負極及び/又は正極とリチウム極は物理的な接触(短絡)でもよいし、電気化学的にドーピングさせてもよい。リチウムイオン供給源は、導電性多孔体からなるリチウム極集電体上に形成しえもよい。リチウム極集電体となる導電性多孔体としては、ステンレスメッシュ等のリチウムイオン供給源と反応しない金属多孔体が使用できる。
大容量の多層構造のキャパシタセルでは正極及び負極にそれぞれ電気を受配電する正極集電体及び負極集電体が備えられるが、かかる正極集電体及び負極集電体が使用され、かつリチウム極が設けられるセルの場合、リチウム極が負極集電体に対向する位置に設けられ、電気化学的に負極及び/又は正極にリチウムイオンを供給することが好ましい。この場合、正極集電体及び負極集電体として、例えばエキスパンドメタルのように表裏面を貫通する孔を備えた材料を用い、リチウム極を負極あるいは正極に対向させて配置する。この貫通孔の形態、数等は特に限定されず、後述する電解液中のリチウムイオンが電極集電体に遮断されることなく電極の表裏間を移動できるように、設定することができる。
本発明のリチウムイオンキャパシタでは、負極及び/又は正極にドーピングするリチウム極をセル中の局所的に配置した場合もリチウムイオンのドーピングが均一に行うことができる。従って、正極及び負極を積層もしくは捲回した大容量のセルの場合も、最外周又は最外側のセルの一部にリチウム極を配置することにより、スムーズにかつ均一に負極及び/又は正極にリチウムイオンをドーピングできる。
電極集電体の材質としては、一般にリチウム系電池に提案されている種々の材質を用いることができ、正極集電体にはアルミニウム、ステンレス等、負極集電体にはステンレス、銅、ニッケル等をそれぞれ用いることができる。また、セル内に配置されたリチウム供給源との電気化学的接触によりドーピングする場合のリチウムとは、リチウム金属あるいはリチウム−アルミニウム合金のように、少なくともリチウムを含有し、リチウムイオンを供給することのできる物質をいう。
本発明のリチウムイオンキャパシタにおける負極活物質は重要であり、該負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に担持できる物質からなる。好ましい物質としては、例えばグラファイト、ハードカーボン、コークスなどの炭素材料、ポリアセン系物質(以下、PASともいう)等を挙げることができる。これらの炭素材料及びPASは、フェノール樹脂等を炭化させ、必要に応じて賦活され、次いで粉砕したものが用いられる。炭化工程は、フェノール樹脂等を加熱炉等に収容し、フェノール樹脂等が炭化する温度で所要時間加熱することによって行われる。その際の温度は加熱時間等によって異なるが、PASの場合は通常、加熱時間が1〜3時間程度とされる場合、500〜1000℃に設定される。粉砕工程は、ボールミル等の既知の粉砕機を用いて行われる。
本発明の負極活物質としては、なかでも、PASは、高容量が得られる点でより好ましい。PASに400mAh/gのリチウムイオンを担持(充電)させた後に放電させると650F/g以上の静電容量が得られ、また、500mAh/g以上のリチウムイオンを充電させると750F/g以上の静電容量が得られる。PASはアモルファス構造を有し、担持させるリチウムイオン量を増加させるほど電位が低下するので、得られるキャパシタの耐電圧(充電電圧)が高くなり、また、放電における電圧の上昇速度(放電カーブの傾き)が低くなるため、容量が若干大きくなる。よって、求められるキャパシタの使用電圧に応じて、リチウムイオン量は活物質のリチウムイオン吸蔵能力の範囲内にて設定することが望ましい。
また、PASはアモルファス構造を有することから、リチウムイオンの挿入・脱離に対して膨潤・収縮といった構造変化がないためサイクル特性に優れ、またリチウムイオンの挿入・脱離に対して等方的な分子構造(高次構造)であるため急速充電、急速放電にも優れるので好適である。PASの前駆体である芳香族系縮合ポリマーとは、芳香族炭化水素化合物とアルデヒド類との縮合物である。芳香族炭化水素化合物としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール等の如き、いわゆるフェノール類を好適に用いることができる。例えば、下記式
Figure 2006303330
(ここで、x及びyはそれぞれ独立に、0、1または2である)で表されるメチレン・ビスフェノール類であることができ、あるいはヒドロキシ・ビフェニル類、ヒドロキシナフタレン類であることもできる。なかでも、フェノール類が好適である。
また、上記芳香族系縮合ポリマーとしては、上記のフェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物の1部をフェノール性水酸基を有さない芳香族炭化水素化合物、例えばキシレン、トルエン、アニリン等で置換した変成芳香族系縮合ポリマー、例えばフェノールとキシレンとホルムアルデヒドとの縮合物を用いることもできる。更に、メラミン、尿素で置換した変成芳香族系ポリマーを用いることもでき、フラン樹脂も好適である。
本発明でPASは次のようにして製造される。即ち、上記芳香族系縮合ポリマーを、非酸化性雰囲気下(真空も含む)中で400〜800°Cの適当な温度まで徐々に加熱することにより、水素原子/炭素原子の原子数比(以下H/Cと記す)が0.5〜0.05、好ましくは0.35〜0.10の不溶不融性基体となる。
上記の不溶不融性基体は、X線回折(CuKα)によれば、メイン・ピークの位置は2θで表して24°以下に存在し、また該メイン・ピークの他に41〜46°の間にブロードな他のピークが存在する。即ち、上記不溶不融性基体は、芳香族系多環構造が適度に発達したポリアセン系骨格構造を有し、かつアモルファス構造を有し、リチウムイオンを安定にドーピングすることができる。
本発明で負極活物質の有する粒度特性は重要であり、その50%体積累積径(D50ともいう)が0.1〜2.0μmである。D50が0.1μmより小さい場合には活物質粒子が嵩高くなってしまい、電極にした時の密度が小さくなることから単位容積当たりのエネルギー密度が低下する傾向があり好ましくない。更には、粒子同士を結着させるために必要なバインダー量が多くなるために内部抵抗が上昇することもある。また、逆にD50が2.0μmより大きい場合には、負極物質粒子の内部まで、溶媒和したリチウムイオンが拡散して出入りする際の速度が遅くなってしまうので好ましくない。本発明で、負極活物質のD50は、好ましくは0.3〜1.5μmであり、特には、0.5〜1.0μmが好適である。
一般的にリチウムイオン二次電池においては、負極材は微粉化すると比表面積が大きくなり初期の充放電効率が低下しセル容量が低下することが知られている。したがって粒径としては20μm前後が主流となっている。一方、本発明のリチウムイオンキャパシタは、負極及び/又は正極に予めリチウムイオンがドーピングされるので、初期の充放電効率によりセル容量が変化することはないので、微粉化された負極活物質を用いる上で好適な蓄電装置である。
また、本発明の負極活物質粒子は、全メソ孔容積が0.005〜1.0cc/gであり、比表面積が0.01〜1000m/gである。全メソ孔容積が0.005cc/gより小さい場合には、溶媒和したリチウムイオンの易動度が低下するので、高出力時や低温時には、負極活物質界面付近のリチウムイオン濃度が追随しにくくなり好ましくない。逆に、1.0cc/gより大きいと、活物質の真密度が低下して、電極体積当りの容量が小さくなり好ましくない。全メソ孔容積は、0.006〜0.8cc/gが好適である。また、比表面積は1000m/gを超えると、リチウムイオンの不可逆容量が大きくなり好ましくない。また、0.01m/gより小さい場合は、電解液の保液量が少なくなり、抵抗が大きくなるので好ましくない。比表面積は好ましくは、0.1〜600m/gである。
本発明における負極は、上記特定の粒度特性を有する負極活物質粉末から形成されるが、その手段は既存のものが使用できる。即ち、負極活物質粉末、バインダー及び必要に応じて導電性粉末および増粘剤(CMCなど)を水系又は有機溶媒中に分散させてスラリーとし、該スラリーを上記した集電体に塗布するか、又は上記スラリーを予めシート状に成形し、これを集電体に貼り付けてもよい。ここで使用されるバインダーとしては、例えば、SBR等のゴム系バインダーやポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、アクリル系樹脂などを用いることができる。バインダーの使用量は、負極活物質の電気伝導度、電極形状等により異なるが、負極活物質に対して2〜40重量%の割合で加えることが適当である。
また、上記で必要に応じて使用される導電剤としては、アセチレンブラック、グラファイト、金属粉末等が挙げられる。導電剤の使用量は、負極活物質の電気伝導度、電極形状等により異なるが、負極活物質に対して2〜40%の割合で加えることが適当である。
一方、本発明で正極の形成に使用される正極活物質としては、リチウムイオンと、例えばテトラフルオロボレートのようなアニオンを可逆的に担持できるものであれば特には限定されない。かかる正極活物質としては、例えば、活性炭、導電性高分子、ポリアセン系物質等を挙げることができる。本発明の正極活物質において例えば活性炭の有する粒度は一般的に使用される広い範囲のものが使用できる。例えば、その50%体積累積径(D50ともいう)が2μm以上であり好ましくは、2〜50μm、特に2〜20μmが好適である。また、平均細孔径が好ましくは10nm以下であり、比表面積が好ましくは600〜3000m/g、特には1300〜2500m/gであるのが好適である。
本発明における正極は、上記の正極活物質粉末から形成されるが、その手段は、上記負極の場合と同様に、既存のものが使用できる。即ち、負極活物質粉末、バインダー及び必要に応じて導電性粉末および増粘剤(CMCなど)を水系又は有機溶媒中に分散させてスラリーとし、該スラリーを上記した集電体に塗布するか、又は上記スラリーを予めシート状に成形し、これを集電体に貼り付けてもよい。ここで使用されるバインダーとしては、例えば、SBR等のゴム系バインダーやポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、アクリル系樹脂などを用いることができる。バインダーの使用量は、負極活物質の電気伝導度、電極形状等により異なるが、負極活物質に対して2〜40重量%の割合で加えることが適当である。
また、上記で必要に応じて使用される導電剤としては、アセチレンブラック、グラファイト、金属粉末等が挙げられる。導電剤の使用量は、負極活物質の電気伝導度、電極形状等により異なるが、負極活物質に対して2〜40%の割合で加えることが適当である。
本発明のリチウムイオンキャパシタにおける、非プロトン性有機溶媒電解質溶液を形成する非プロトン性有機溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン等が挙げられる。更に、これら非プロトン性有機溶媒の二種以上を混合した混合液を用いることもできる。
また、上記の単一あるいは混合の溶媒に溶解させる電解質は、リチウムイオンを生成しうる電解質であれば、あらゆるものを用いることができる。このような電解質としては、例えばLiClO、LiAsF、LiBF、LiPF等が挙げられる。上記の電解質及び溶媒は、充分に脱水された状態で混合され、電解質溶液とするのであるが、電解液中の電解質の濃度は、電解液による内部抵抗を小さくするため少なくとも0.1モル/l以上とすることが好ましく、0.5〜1.5モル/lの範囲内とすることが更に好ましい。
また、本発明のリチウムイオンキャパシタとしては、特に、帯状の正極と負極とをセパレータを介して捲回させる円筒型セル、板状の正極と負極とをセパレータを介して各3層以上積層された角型セル、あるいは、板状の正極と負極とをセパレータを介した各3層以上積層物を外壮フォルム内封入したフォルム型セルなどの大容量のセルに適する。これらのセルの構造は、国際公開WO00/07255号公報、国際公開WO03/003395号公報、特開2004−266091号公報などにより既に知られており、本発明のキャパシタセルもかかる既存のセルと同様な構成とすることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはもちろんである。
(実施例1)
(負極活物質の製造法)
平均粒子径17μmの粒状フェノール樹脂(ベルパールR700;エアウォーターベルパール社製)を静置型電気炉中に入れ、窒素雰囲気下で720℃まで50℃/時間の昇温速度で昇温し、更に720℃で5時間保持することによりPAS粉体を得た。かくして得られたPAS粉体をアルミナ製ボールミル粉砕機で粉砕時間を6時間、40時間、72時間、170時間、720時間と変えることにより、平均粒子径D50%が、それぞれ7.1μm(試料1)、2.5μm(試料2)、1.9μm(試料3)、1.0μm(試料4)、0.5μm(試料5)の試料を得た。
次に、上記試料1〜5の粉体92重量部に対し、アセチレンブラック粉体6重量部、アクリレート系共重合体バインダー5重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)4重量部、イオン交換水200重量部を加えて混合攪拌機にて充分混合することにより負極スラリー1〜5を得た。
(負極の単位重量当たりの静電容量測定が650F/gとなるために予め必要となるリチウムイオンのドーピング量の測定)
負極スラリー1〜5を、厚さ18μmの銅箔片面に対し、固形分目付量にして2.5mg/cmになるよう塗工し、200℃で20時間真空乾燥し、各電極を1.5×2.0cmサイズに切り出して負極箔電極1〜5を作製した。該負極箔電極と、対極として1.5×2.0cmサイズ、厚み250μmの金属リチウムを、厚さ50μmのポリエチレン製不織布をセパレータとして介し模擬セル1〜5を組んだ。また、参照極には金属リチウムを用いた。電解液としては、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびプロピレンカーボネートを重量比で3:4:1とした混合溶媒に、1モル/lの濃度にLiPFを溶解した溶液を用いた。
この模擬セル1〜5に対し、25℃において10mAの定電流で負極電位が25mVになるまで充電し、その後25mVの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を行った後、1mAにて1.5Vまで放電を行った。放電開始1分後の負極の電位から0.2V電位変化する間の放電時間より負極箔電極1〜5の負極活物質単位重量当たりの静電容量を求め、該静電容量が650F/gになるように充電時間を制御することにより充電量(リチウムイオンのドーピング量)を確認したところ、負極箔電極1は385mAh/g、負極箔電極2は420mAh/g、負極箔電極3は450mAh/g、負極箔電極4は530mAh/g、負極箔電極5は750mAh/gであった。即ち、平均粒子径D50%の値が小さい負極活物質程ドーピング量は大きくなった。結果を表1に示す。
Figure 2006303330
(正極活性炭スラリーの製造法)
おが屑を原料とし、電気炉中に入れ窒素気流下で50℃/時間の速度950℃まで昇温した後、窒素/水蒸気1:1の混合ガスにより12時間賦活することにより、比表面積2450m/gの活性炭を製造した。該活性炭をアルミナ製ボールミル粉砕機で5時間粉砕して平均粒子径が7μmの活性炭粉末を得た。
上記活性炭粉末92重量部、アセチレンブラック粉体6重量部、水溶性アクリレート系共重合体バインダー7重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)4重量部、イオン交換水200重量部を混合攪拌機にて充分混合することにより正極スラリー1を得た。
(正極の単位重量当たりの静電容量測定)
正極スラリー1を、カーボン系導電塗料をコーティングした厚さ20μmのアルミニウム箔片面に固形分目付量にして4.0mg/cmになるよう塗工し、200℃で20時間真空乾燥して正極を得た。この正極を1.5×2.0cmサイズに切り出して、乾燥することにより正極箔電極1を得た。
上記正極箔電極1を、同サイズで厚み250μmのリチウム金属を対極として、厚さ50μmのポリエチレン製不織布をセパレータとして介し模擬セル6を組み立てた。また、参照極には金属リチウムを用いた。電解液としては、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびプロピレンカーボネートを重量比で3:4:1とした混合溶媒に、1モル/lの濃度にLiPFを溶解した溶液を用いた。
この模擬セル6に対し、10mAの定電流で正極電位が3.8Vになるまで充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を1時間行った。次いで、1mAの定電流で正極電位が2.5Vになるまで放電した。3.5V〜2.5V間の放電時間より正極箔電極1の単位重量当たりの静電容量を求めたところ88F/gであった。
(負極エキスパンドメタル電極の製造法)
厚さ32μm(開口率57%)の銅製エキスパンドメタル(日本金属工業社製)に対し、上記負極スラリー1〜5を順次、縦型両面同時ダイコーターにて各活物質の目付け量が同じになるようにダイの吐出量を調整し両面同時塗工、乾燥することにより、負極1〜5を得た。各負極の総厚みは負極1が165μm、負極2が171μm、負極3が173μm、負極4が180μm、負極5が193μmであった。
(正極エキスパンドメタル電極の製造法)
厚さ38μm(開口率45%)のアルミニウム製エキスパンドメタル(日本金属工業社製)の両面に水系のカーボン系導電塗料を縦型両面同時ダイコーターにて両面同時塗工し、乾燥することにより導電層が形成された正極用集電体を得た。全体の厚み(集電体厚みと導電層厚みの合計)は52μmであり貫通孔はほぼ導電塗料により閉塞された。上記正極スラリー1をコンマコーターにて該正極集電体の両面に片面ずつ塗工、乾燥することにより、総厚み260μmの正極1を得た。
(積層セルの作製)
負極1〜5および正極1を2.4cm×3.8cmの大きさにカットし、セパレータとして厚さ35μmのセルロース/レーヨン混合不織布を用いて、負極集電体、正極集電体の接続端子との溶接部(以下「接続端子溶接部」という)がそれぞれ交互に反対側になるよう配置し、負極1〜5について、それぞれ負極6枚、正極5枚を積層したセルを作製した。
最上部と最下部はセパレータを配置させて、4辺をテープ止めすることにより電極積層ユニットを得た。負極活物質重量に対して表1に示す予め必要となる充電量の調整は、所定量となるようなリチウム金属箔を厚さ80μmのステンレス網に圧着したものを作製し、これを負極と対向するように電極積層ユニットの最外部に1枚配置した。負極(6枚)とリチウム金属を圧着したステンレス網はそれぞれ溶接し、接触させ、負極とリチウム金属箔がショートした形の三極積層ユニットを得た。負極1〜5に対し、所定量となるリチウム金属箔の厚みは表2に示す。
Figure 2006303330
次に、上記三極積層ユニットの正極集電体の端子溶接部(5枚)に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した巾10mm、長さ30mm、厚さ0.2mmのアルミニウム製正極端子を重ねて超音波溶接した。同様に負極集電体の端子溶接部(6枚)に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した巾10mm、長さ30mm、厚さ0.2mmのニッケル製負極端子を重ねて抵抗溶接し、縦102mm、横52mm、深さ1.3mmに深絞りした外装フィルム2枚の内部へ設置した。
外装ラミネートフィルムの端子部2辺と他の1辺を熱融着した後、電解液としてエチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびプロピレンカーボネートを重量比で3:4:1とした混合溶媒に、1モル/lの濃度にLiPFを溶解した溶液を真空含浸させた後、残り1辺を減圧下にて熱融着し、真空封止を行うことによりフィルム型キャパシタを各3セル組立てた。
(セルの特性評価)
14日間室温にて放置後、各負極につき1セルを分解したところ、リチウム金属はいずれも完全に無くなっていたことから、負極活物質の単位重量当たりに650F/gの静電容量を得るためのリチウムイオンがドーピングされたと判断した。
残ったフィルム型キャパシタの各セルを、25℃および−20℃で24時間放置した後に、200mAの定電流でセル電圧が3.8Vになるまで充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を1時間行った。次いで、20mAの定電流でセル電圧が1.9Vになるまで放電した。この3.8V−1.9Vのサイクルを繰り返し、3回目の放電容量を測定した。25℃と−20℃の放電容量、比率および25℃のエネルギー密度測定結果を表3に示す。
Figure 2006303330
また、各1セルずつ、正極と負極を短絡させ正極の電位を測定したところ、いずれの正極電位も0.80〜0.95Vの範囲であり、2.0V以下であった。
表3に示すように、適切にリチウムイオン量を調整することにより、正極と負極を短絡させた後の正極電位が2.0V以下となることから、微粉化された負極活物質を用いても容量は低下せず、高いエネルギー密度を有した積層フィルム型キャパシタが得られた。中でもD50%粒径が0.5〜2.0μmの範囲となる試料3、4、5はいずれも−20℃という低温領域でも25℃の放電容量に対し75%以上となる高い容量保持率を有することがわかる。

Claims (7)

  1. 正極、負極、及び、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒電解質溶液を備え、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、かつ負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、正極と負極を短絡させた後の正極電位が2.0V以下となるリチウムイオンキャパシタであって、上記負極が、50%体積累積径(D50)が0.1〜2.0μmである負極活物質粒子から形成されていることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  2. 前記負極及び/又は正極が、それぞれ該負極及び/又は該正極と対向して配置されたリチウムイオン供給源との電気化学的接触によって予めリチウムイオンがドーピングされている請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  3. 負極活物質は、正極活物質に比べて、単位重量あたりの静電容量が3倍以上を有し、かつ正極活物質重量が負極活物資の重量よりも大きい請求項1又は2に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  4. 前記正極及び負極が、それぞれ表裏面を貫通する孔を有する集電体を備える請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
  5. 負極活物質粒子の全メソ孔容積が0.005〜1.0cc/gであり、比表面積が0.01〜1000m/gである請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
  6. 負極活物質粒子が、炭素材料又はポリアセン系物質である請求項1〜5のいずれかに記載に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  7. ポリアセン系物質が、芳香族系縮合ポリマーを非酸化性雰囲気にて400〜800℃で熱処理し、H/Cが0.05〜0.5の不溶不融性基体である請求項1〜6のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
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