JP4732074B2 - リチウムイオンキャパシタ - Google Patents

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Description

本発明は、正極、負極、及び電解質としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒電解液を備えた、低温特性の優れたリチウムイオンキャパシタに関する。
近年、グラファイト等の炭素材料を負極に用い、正極にLiCoO等のリチウム含有金属酸化物を用いた所謂リチウムイオン二次電池は高容量であり有力な蓄電装置として、主にノート型パソコンや携帯電話の主電源として実用化されている。リチウムイオン二次電池は、電池組立後、充電することにより正極のリチウム含有金属酸化物から負極にリチウムイオンを供給し、更に放電では負極のリチウムイオンを正極に戻すという、いわゆるロッキングチェア型電池であり、高電圧及び高容量を有することを特長としている。
一方、環境問題がクローズアップされる中、ガソリン車にかわる電気自動車用又はハイブリッド自動車用の蓄電装置(メイン電源と補助電源)の開発が盛んに行われ、また、自動車用の蓄電装置として、これまでは鉛電池が使用されてきた。しかし、車載用の電気設備や機器の充実により、エネルギー密度、出力密度の点から新しい蓄電装置が求められるようになってきている。
かかる新しい蓄電装置としては、上記のリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタが注目されている。しかし、リチウムイオン二次電池はエネルギー密度が高いものの出力特性、安全性やサイクル寿命には問題を残している。一方、電気二重層キャパシタは、ICやLSIのメモリーバックアップ用電源として利用されているが、一充電当たりの放電容量は電池に比べて小さい。しかし、瞬時の充放電特性に優れ、数万サイクル以上の充放電にも耐えるという、リチウムイオン二次電池にはない高い出力特性とメンテナンスフリー性を備えている。
電気二重層キャパシタはこうした利点を有してはいるが、従来の一般的な電気二重層キャパシタのエネルギー密度は3〜4Wh/l程度で、リチウムイオン二次電池に比べて二桁程度小さい。電気自動車用を考えた場合、実用化には6〜10Wh/l、普及させるには20Wh/lのエネルギー密度が必要であるといわれている。
こうした高エネルギー密度、高出力特性を要する用途に対応する蓄電装置として、近年、リチウムイオン二次電池と電気二重層キャパシタの蓄電原理を組み合わせた、ハイブリットキャパシタとも呼ばれる蓄電装置が注目されている。ハイブリッドキャパシタでは、通常、正極に分極性電極を使用し、負極に非分極性電極を使用するもので、電池の高いエネルギー密度と電気二重層の高い出力特性を兼ね備えた蓄電装置として注目されている。一方、このハイブリッドキャパシタにおいて、リチウムイオンを吸蔵、脱離しうる負極をリチウム金属と接触させて、予め化学的方法又は電気化学的方法でリチウムイオンを吸蔵、担持(以下、ドーピングともいう)させて負極電位を下げることにより、耐電圧を高くしエネルギー密度を大幅に大きくすることを意図したキャパシタが提案されている。(特許文献1〜特許文献4参照)
この種のハイブリッドキャパシタでは、高性能は期待されるものの、負極にリチウムイオンをドーピングさせる場合に、全負極に対して金属リチウムを貼り付けることを必要とすることや、あるいはセル内の一部に局所的にリチウム金属を配置させ負極と接触させることも可能であるが、ドーピングが極めて長時間を要することや負極全体に対する均一性のあるドーピングに問題を有し、特に、電極を捲回した円筒型装置や、複数枚の電極を積層した角型電池のような大型の高容量セルでは実用化は困難とされていた。しかし、この問題は、セルを構成する負極集電体及び正極集電体の表裏に貫通する孔を設け、この貫通孔を通じてリチウムイオンを移動させ、同時にリチウムイオン供給源であるリチウム金属と負極を短絡させることにより、セルの端部にリチウム金属を配置するだけで、セル中の全負極にリチウムイオンをドーピングできることの発明により、一挙に解決するに至った(特許文献5参照)。なお、リチウムイオンのドーピングは、通常、負極に対して行なわれるが、負極とともに、又は負極の代わりに正極に行う場合も同様であることが特許文献5に記載されている。
かくして、電極を捲回した円筒型装置や、複数枚の電極を積層した角型電池のような大型のセルでも、装置中の全負極に対して短時間にかつ負極全体に均一にリチウムイオンがドーピングでき、耐電圧が向上することによりエネルギー密度が飛躍的に増大し、電気二重層キャパシタが本来有する大きい出力密度と相俟って、高容量のキャパシタが実現する見通しが得られた。
しかし、かかる高容量のキャパシタを実用化するためには、更に、高い耐電圧、高容量、高エネルギー密度及び高出力密度とすることが要求されるとともに、このような高容量のキャパシタは自動車などの場合を含めて、低温〜高温の広温度範囲で使用されるために広い温度範囲、特に通常問題となる低温度領域で優れた特性を保持することが要求される。
特開平8−107048号公報 特開平9−55342号公報 特開平9−232190号公報 特開平11−297578号公報 国際公開WO98/033227号公報
本発明は、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、かつ負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、負極及び/又は正極をリチウムイオン供給源と電気化学的に接触させて、予め負極にリチウムイオンをドーピングする方式のリチウムイオンキャパシタであって、高温〜低温の広温度範囲で、特に、−30℃の低温度においても、高い耐電圧、高容量、低い直流抵抗及び高エネルギー密度を保持できる、優れたリチウムイオンキャパシタを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を行った結果、正極と負極を短絡させた後の正極及び負極電位がV以下となるように、負極及び/又は正極に対してリチウムイオンを予めドーピングさせたリチウムイオンキャパシタにおいては、使用される非プロトン性有機溶媒電解質溶液の特性が、キャパシタの特に低温度領域における耐電圧、容量、直流抵抗及びエネルギー密度と密接に関係し、上記電解質溶液として、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合物を含む非プロトン性有機溶媒であり、かつリチウム塩濃度が1.3mol/l以上である溶液を使用することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
かくして、本発明は、以下の要旨を有することを特徴とするものである。
(1)正極、負極、及び、電解質溶液を有するリチウムイオンキャパシタであって、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、正極と負極を短絡させた後の正極の電位がV以下になるように負極及び/又は正極に対してリチウムイオンがドーピングされており、かつ上記電解質溶液が、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合物を含む非プロトン性有機溶媒とリチウム塩とを含み、リチウム塩がLiPF であり、リチウム塩濃度が1.3mol/l以上であることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
(2)リチウム塩濃度が1.5〜2.0mol/lである上記(1)に記載のリチウムイオンキャパシタ。
(3)前記正極及び/又は負極が、それぞれ表裏面を貫通する孔を有する集電体を備えており、負極とリチウムイオン供給源との電気化学的接触によってリチウムイオンがドーピングされている上記(1)又は(2)に記載のリチウムイオンキャパシタ。
(4)前記負極活物質は、正極活物質に比べて、単位重量あたりの静電容量が3倍以上を有し、かつ正極活物質重量が負極活物資の重量よりも大きい(1)〜(3)のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
(5)非プロトン性有機溶媒が、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物である(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ
本発明によれば、予め負極及び/又は正極にリチウムイオンをドーピングする、特に高容量のリチウムイオンキャパシタであって、低温から高温の広温度範囲で、特に、−30℃の低温度においても、高い耐電圧、高容量、低い直流抵抗及び高エネルギー密度を保持できる、優れたリチウムイオンキャパシタが提供される。本発明において、上記電解質溶液として、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合物を含む非プロトン性有機溶媒であり、リチウム塩濃度が1.3mol/l以上である溶液を使用することにより、何故に、上記ドーピング型のリチウムイオンキャパシタの低温度における特性が改良されるかのメカニズムについては、必ずしも明らかではないが、次のように推定される。
リチウムイオンキャパシタにおいては、負極の充放電機構にリチウムイオンのドープ脱ドープ反応を用いているため、低温における直流抵抗の主成分は負極の電荷移動抵抗であると考えられる。電解質溶液中のリチウム塩濃度が高くなると、負極界面近傍のリチウムイオン濃度も増加する。負極界面近傍のリチウムイオン濃度が低温時の電荷移動抵抗に影響を与えることで負極の電荷移動抵抗が減少し、その結果リチウムイオンキャパシタセルの低温時の直流抵抗が減少すると推測される。また、環状カーボネートのみを電解液として用いた場合、常温での特性が低下するが、環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒を用いることで、低温から高温の特性がバランスよく維持される。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、正極、負極、及び、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機電解液を備え、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、かつ負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質である。ここで、「正極」とは、放電の際に電流が流れ出る側の極であり、「負極」とは放電の際に電流が流れ込む側の極をいう。
本発明のリチウムイオンキャパシタでは、負極及び/又は正極に対するリチウムイオンのドーピングにより正極と負極を短絡させた後の正極の電位がV以下にされていることが必要である。負極及び/又は正極に対するリチウムイオンのドーピングされていないキャパシタでは、正極及び負極の電位はいずれも3Vであり、充電前においては、正極と負極を短絡させた後の正極の電位は3Vである。なお、本発明で、正極と負極を短絡させた後の正極の電位がV以下とは、以下の(A)又は(B)の2つのいずれかの方法で求められる正極の電位がV以下の場合をいう。即ち、(A)リチウムイオンによるドーピングの後、キャパシタセルの正極端子と負極端子を導線で直接結合させた状態で12時間以上放置した後に短絡を解除し、0.5〜1.5時間内に測定した正極電位。(B)充放電試験機にて12時間以上かけて0Vまで定電流放電させた後に正極端子と負極端子を導線で結合させた状態で12時間以上放置した後に短絡を解除し、0.5〜1.5時間内に測定した正極電位。
また、短絡後の正極電位がV以下というのは、リチウムイオンがドーピングされたすぐ後だけに限られるものではなく、充電状態、放電状態あるいは充放電を繰り返した後に短絡した場合等、いずれかの状態で短絡後の正極電位がV以下となることである。
正極電位がV以下になるということに関し、以下に詳細に説明する。上述のように活性炭や炭素材は通常3V(Li/Li)前後の電位を有しており、正極、負極ともに活性炭を用いてセルを組んだ場合、いずれの電位も約3Vとなるためセル電圧は約0Vとなり、短絡しても正極電位はかわらず約3Vである。また、正極に活性炭、負極にリチウムイオン二次電池にて使用されている黒鉛や難黒鉛化炭素のような炭素材を用いた、いわゆるハイブリットキャパシタの場合も同様であり、いずれの電位も約3Vとなるためセル電圧は約0Vとなり、短絡しても正極電位はかわらず約3Vである。正極と負極の重量バランスにもよるが充電すると負極電位が0V近傍まで推移するので、充電電圧を高くすることが可能となるため高電圧、高エネルギー密度を有したキャパシタとなる。一般的に充電電圧の上限は正極電位の上昇による電解液の分解が起こらない電圧に決められるので、正極電位を上限にした場合、負極電位が低下する分、充電電圧を高めることが可能となるのである。しかしながら、短絡時に正極電位が約3Vとなる上述のハイブリットキャパシタでは、正極の上限電位が例えば4.0Vとした場合、放電時の正極電位は3.0Vまでであり、正極の電位変化は1.0V程度と正極の容量を充分利用できていない。更に、負極にリチウムイオンを挿入(充電)、脱離(放電)した場合、初期の充放電効率が低い場合が多く、放電時に脱離できないリチウムイオンが存在していることが知られている。これは、負極表面にて電解液の分解に消費される場合や、炭素材の構造欠陥部にトラップされる等の説明がなされているが、この場合正極の充放電効率に比べ負極の充放電効率が低くなり、充放電を繰り返した後にセルを短絡させると正極電位は3Vよりも高くなり、更に利用容量は低下する。すなわち、正極は4.0Vから2.0Vまで放電可能であるところ、4.0Vから3.0Vまでしか使えない場合、利用容量として半分しか使っていないこととなり、高電圧にはなるが高容量にはならないのである。
ハイブリットキャパシタを高電圧、高エネルギー密度だけでなく、高容量そして更にエネルギー密度を高めるためには、正極の利用容量を向上させることが必要である。
短絡後の正極電位が3.0Vよりも低下すればそれだけ利用容量が増え、高容量になるということである。V以下になるためには、セルの充放電により充電される量だけでなく、別途リチウム金属から負極にリチウムイオンを充電することが好ましい。正極と負極以外からリチウムイオンが供給されるので、短絡させた時には、正極、負極、リチウム金属の平衡電位になるため、正極電位、負極電位ともに3.0V以下になる。リチウム金属の量が多くなる程に平衡電位は低くなる。負極材、正極材が変われば平衡電位も変わるので、短絡後の正極電位がV以下になるように、負極材、正極材の特性を鑑みて負極に担持させるリチウムイオンの調整をすることが必要である。
本発明において、予め負極及び/又は正極にリチウムイオンをドーピングし、正極と負極を短絡させた後の正極の電位をV以下にすることにより、正極の利用容量が高くなるため高容量となり、大きいエネルギー密度が得られる。リチウムイオンの供給量が多くなるほどに正極と負極を短絡させた時の正極電位は低くなりエネルギー密度は向上する正極及び/又は負極に供給されたリチウムイオンの量が少ないと正極と負極を短絡させた時に正極電位がVよりも高くなり、セルのエネルギー密度は小さくなる。
本発明で、リチウムイオンのドーピングは、負極と正極の片方あるいは両方いずれでもよいが、例えば正極に活性炭を用いた場合、リチウムイオンのドーピング量が多くなり正極電位が低くなると、リチウムイオンを不可逆的に消費してしまい、セルの容量が低下する等の不具合が生じる場合がある。このため、負極と正極にドーピングするリチウムイオンは、それぞれの電極活物質を考慮し、これらの不具合を生じないようにするのが好ましい。本発明では、正極のドーピング量と負極のドーピング量を制御することは工程上煩雑となるため、リチウムイオンのドーピングは好ましくは負極に対して行われる。
本発明のリチウムイオンキャパシタでは、特に、負極活物質の単位重量当たりの静電容量が正極活物質の単位重量当たりの静電容量の3倍以上を有し、かつ正極活物質重量が負極活物質重量よりも大きくする場合、高電圧且つ高容量のキャパシタが得られる。また、それと同時に、正極の単位重量当たりの静電容量に対して大きな単位重量当たりの静電容量を持つ負極を用いる場合には、負極の電位変化量を変えずに負極活物質重量を減らすことが可能となるため、正極活物質の充填量が多くなりセルの静電容量及び容量が大きくなる。
なお、本発明において、キャパシタセル(以下、単にセルもいう)の静電容量及び容量は次のように定義される。セルの静電容量とは、セルの単位電圧当たりセルに流れる電気量(放電カーブの傾き)を示し、単位はF(ファラッド)である。セルの単位重量当たりの静電容量とはセルの静電容量に対するセル内に充填している正極活物質重量と負極活物質重量の合計重量の除で示され、単位はF/gである。また、正極又は負極の静電容量とは、正極あるいは負極の単位電圧当たりセルに流れる電気量(放電カーブの傾き)を示し、単位はFである。正極あるいは負極の単位重量当たりの静電容量とは正極あるいは負極の静電容量をセル内に充填している正極あるいは負極活物質重量の除で示され、単位はF/gである。
更に、セル容量とは、セルの放電開始電圧と放電終了電圧の差、即ち電圧変化量とセルの静電容量の積であり単位はC(クーロン)であるが、1Cは1秒間に1Aの電流が流れたときの電荷量であるので本発明においては換算してmAh表示する。正極容量とは放電開始時の正極電位と放電終了時の正極電位の差(正極電位変化量)と正極の静電容量の積であり単位はCまたはmAh、同様に負極容量とは放電開始時の負極電位と放電終了時の負極電位の差(負極電位変化量)と負極の静電容量の積であり単位はCまたはmAhである。これらセル容量と正極容量、負極容量は一致する。
本発明のリチウムイオンキャパシタにおいて、予め負極及び/又は正極にリチウムをドーピングさせる手段は特に限定されない。例えば、リチウムイオンを供給可能な、金属リチウム等のリチウム供給源をリチウム極としてキャパシタセル内に配置できる。リチウム供給源の量(リチウム金属等の重量)は、所定の負極の容量が得られる量だけあればよい。この場合、負極とリチウム極は物理的な接触(短絡)でもよいし、電気化学的にドーピングさせてもよい。リチウム供給源は、導電性多孔体からなるリチウム極集電体上に形成してもよい。リチウム集電体となる導電性多孔体としては、ステンレスメッシュ等のリチウムイオン供給源と反応しない金属多孔体が使用できる。
大容量の多層構造のキャパシタセルでは正極及び負極にそれぞれ電気を受配電する正極集電体及び負極集電体が備えられるが、かかる正極集電体及び負極集電体が使用され、かつリチウム極が設けられるセルの場合、リチウム極が負極集電体に対向する位置に設けられ、電気化学的に負極にリチウムイオン供給することが好ましい。この場合、正極集電体及び負極集電体として、例えばエキスパンドメタルのように表裏面を貫通する孔を備えた材料を用い、リチウム極を負極及び/又は正極に対向させて配置する。この貫通孔の形態、数等は特に限定されず、後述する電解液中のリチウムイオンが電極集電体に遮断されることなく電極の表裏間を移動できるように、設定することができる。
本発明のリチウムイオンキャパシタでは、負極及び/又は正極にドーピングするリチウム極をセル中の局所的に配置した場合もリチウムイオンのドーピングが均一に行うことができる。従って、正極及び負極を積層若しくは捲回した大容量のセルの場合も、最外周又は最外側のセルの一部にリチウム極を配置することにより、スムーズにかつ均一に負極にリチウムイオンをドーピングできる。
電極集電体の材質としては、一般にリチウム系電池に提案されている種々の材質を用いることができ、正極集電体にはアルミニウム、ステンレス等、負極集電体にはステンレス、銅、ニッケル等をそれぞれ用いることができる。また、セル内に配置されたリチウム供給源との電気化学的接触によりドーピングする場合のリチウムとは、リチウム金属あるいはリチウム−アルミニウム合金のように、少なくともリチウムを含有し、リチウムイオンを供給することのできる物質をいう。
本発明のリチウムイオンキャパシタにおける正極活物質は、リチウムイオンと、例えばテトラフルオロボレートのようなアニオンを可逆的に担持できる物質からなる。かかる正極活物質としては、種々のものが使用できるが、活性炭、又は芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であって水素原子/炭素原子の原子比が0.5〜0.05であるポリアセン系骨格構造を有するポリアセン系有機半導体(PAS)等を挙げることができる。
一方、本発明のリチウムイオンキャパシタにおける負極を構成する負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に担持できる物質から形成される。本発明で使用される好ましい負極活物質としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素等の炭素材料又は上記正極活物質としても使用されるポリアセン系有機半導体(PAS)が好ましい。黒鉛としては、人造黒鉛、天然黒鉛いずれでも良く、難黒鉛化性炭素としてはフェノール樹脂炭、フラン樹脂炭などが挙げられ、易黒鉛化性炭素としては石油コークス、石炭ピッチコークス、ポリ塩化ビニル炭等を挙げることができる。
正極及び/又は負極活物質として使用される上記PASはアモルファス構造を有することから、リチウムイオンの挿入・脱離に対して膨潤・収縮といった構造変化がないためサイクル特性に優れ、またリチウムイオンの挿入・脱離に対して等方的な分子構造(高次構造)であるため急速充電、急速放電にも優れるので好適である。PASの前駆体である芳香族系縮合ポリマーとは、芳香族炭化水素化合物とアルデヒド類との縮合物である。芳香族炭化水素化合物としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール等の如き、いわゆるフェノール類を好適に用いることができる。例えば、下記式
Figure 0004732074
(ここで、x及びyはそれぞれ独立に、0、1または2である)で表されるメチレン・ビスフェノール類であることができ、あるいはヒドロキシ・ビフェニル類、ヒドロキシナフタレン類であることもできる。なかでも、フェノール類が好適である。
また、上記芳香族系縮合ポリマーとしては、上記のフェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物の1部をフェノール性水酸基を有さない芳香族炭化水素化合物、例えばキシレン、トルエン、アニリン等で置換した変成芳香族系縮合ポリマー、例えばフェノールとキシレンとホルムアルデヒドとの縮合物を用いることもできる。更に、メラミン、尿素で置換した変成芳香族系ポリマーを用いることもでき、フラン樹脂も好適である。
本発明でPASは好ましくは次のようにして製造される。即ち、上記芳香族系縮合ポリマーを、非酸化性雰囲気下(真空も含む)中で400〜800°Cの適当な温度まで徐々に加熱することにより、水素原子/炭素原子の原子比(以下H/Cと記す)が0.5〜0.05、好ましくは0.35〜0.10の不溶不融性基体となる。この不溶不融性基体を、非酸化性雰囲気下(真空も含む)中で、350〜800°Cの温度まで、好ましくは400〜750°Cの適当な温度まで徐々に加熱することにより、上記H/Cを有し、かつ例えば賦活処理をすることにより600m/g以上のBET法による比表面積を有する不溶不融性基体を得ることもできる。
上記の不溶不融性基体は、X線回折(CuKα)によれば、メイン・ピークの位置は2θで表して24°以下に存在し、また該メイン・ピークの他に41〜46°の間にブロードな他のピークが存在する。即ち、上記不溶不融性基体は、芳香族系多環構造が適度に発達したポリアセン系骨格構造を有し、かつアモルファス構造を有し、リチウムイオンを安定にドーピングすることができる。
本発明において、上記の正極活物質の粒子径としてはD50が2μm以上であり、好ましくは2〜50μm、特に2〜20μmが最も好ましい。これより小さい粒度の場合には、正極を形成することができない。また、平均細孔径が好ましくは10nm以下であり、比表面積が600〜3000m/gであるのが好適である。また、負極活物質の粒子径としてはD50が0.5〜30μmであり、好ましくは0.5〜15μmであり、特には0.5〜6μmが好適である。また、本発明の負極活物質粒子は、比表面積が好ましくは0.1〜2000m/gであり、好ましくは0.1〜1000m/gであり、特には0.1〜600m/gが好適である。
本発明における正極及び負極は、それぞれ上記の正極活物質及び負極活物質から形成されるが、その手段は既知の手段が使用できる。即ち、活物質粒子、バインダー及び必要に応じて導電性粉末を水系又は有機溶媒中に分散させてスラリーとし、該スラリーを必要に応じて使用される集電体に塗布するか、又は上記スラリーを予めシート状に成形し、これを好ましくは導電性接着剤を使用して集電体に貼り付けてもよい。ここで使用されるバインダーとしては、例えば、SBR、NBR等のゴム系バインダーや、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート等の熱可塑性樹脂を用いることができる。なかでも、バインダーとしては、ニトリル基を有する(メタ)アクリレート重合体の使用が好ましい。また、ニトリル基を有する(メタ)アクリレート重合体としては、次の3つの重合体、即ち、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリロニトリルとの共重合体(a)、(メタ)アクリル酸エステルと、カルボン酸基を有するビニルモノマーと、(メタ)アクリロニトリルとの共重合体(b)、(メタ)アクリル酸エステルを含む重合体に対し、(メタ)アクリロニトリルがグラフトされてなるグラフト重合体(c)が好ましい。
本発明でバインダーは、水に乳濁又は懸濁させたエマルジョン又はサスペンジョンとして使用されるのが好ましい。エマルジョン又はサスペンジョン中のバインダーの含有量は、固形分として、好ましくは30〜50重量%、特に好ましくは35〜45重量%が好適である。バインダーの使用量は、活物質粒子の電気伝導度、電極形状等によっても異なるが、活物質粒子100重量部に対して、好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは2〜10重量%で含有させることが好適である。
本発明において、上記正極及び負極活物質粒子から負極を形成する場合、必要に応じて導電剤が使用される。導電剤としては、アセチレンブラック、グラファイト、金属粉末等が挙げられる。導電剤は、活物質粒子の電気伝導度、電極形状等により異なるが、活物質粒子100重量部に対して好ましくは2〜40重量部、特に好ましくは5〜10重量部使用されるのが好適である。
また、本発明のリチウムイオンキャパシタにおいて使用される非プロトン性有機溶媒電解質溶液は重要であり、これを形成する非プロトン性有機溶媒としては、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合物を含むことが必要である。環状カーボネートとしては、好ましくは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどが挙げられる。また、鎖状カーボネートとしては、好ましくは、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネートなどが挙げられる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合比率は、体積比で、1:99〜80:20が好ましく、特には10:90〜60:40が好適である。
本発明の非プロトン性有機溶媒としては、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合物のなかでも、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物が特に好ましく、かかる組み合わせによって、電解液の粘度上昇を抑制し、電解質の解離度を高め、伝導度を高めることができ、また、常温での特性と低温での特性のバランスがとれたキャパシタセルの作製が可能である。
本発明の非プロトン性有機溶媒としては、上記したカーボネートを含むことを必須とするが、必要により他の溶媒を含有することができる。このような他の溶媒を含む場合においても、カーボネートは、非プロトン性有機溶媒中、モル基準において、50モル%以上含有することが好ましく、特には、80モル%以上含有するのが好適である。一方、本発明の非プロトン性有機溶媒に含有される上記他の溶媒の例としては、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン等が挙げられる。
本発明において、上記の非プロトン性有機溶媒に溶解させる電解質であるリチウム塩として、LiPFは高い導電率を得ることができ、酸化安定性にも優れているため必要である
上記のリチウム塩及び非プロトン性有機溶媒は、充分に脱水された状態で混合され、電解質溶液とされるが、本発明では、電解質溶液中のリチウム塩の濃度は、1.3mol/l以上であることが必要である。リチウム塩の濃度が1.3mol/lより小さい場合には、得られるキャパシタの低温における内部抵抗、静電容量などの特性が劣り、本発明の目的の達成が困難である。リチウム塩の濃度は、好ましくは1.4mol/l以上であり、特に好ましくは1.5mol/l以上が好適である。一方、リチウム塩濃度は、溶媒に溶解する大きい方が好ましいが。過度に大きい場合には、溶媒中への溶解が困難であるばかリでなく、常温での特性が低下する場合があるため、通常、2.5mol/l以下、特には2.0mol/l以下であるのが好適である。
本発明のリチウムイオンキャパシタとしては、特に、帯状の正極と負極とをセパレータを介して捲回させる捲回型セル、板状の正極と負極とをセパレータを介して各3層以上積層された積層型セル、あるいは、板状の正極と負極とをセパレータを介した各3層以上積層物を外装フィルム内に封入したフィルム型セル等の大容量のセルに適する。これらのセルの構造は、国際公開WO00/07255号公報、国際公開WO03/003395号公報、特開2004−266091号公報等により既に知られており、本発明のキャパシタセルもかかる既存のセルと同様な構成とすることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはもちろんである。(負極製造法)
厚さ0.5mmのフェノール樹脂成形板をシリコニット電気炉中に入れ、窒素雰囲気下で550℃まで50℃/時間の速度で、更に10℃/時間の速度で670℃まで昇温し、熱処理し、PASを合成した。かくして得られたPAS板をボールミルで粉砕することにより、平均粒子径が4μmのPAS粉体を得た。このPAS粉体のH/C比は0.2であった。
次に、上記PAS粉体92重量部、アセチレンブラック粉体6重量部、アクリル系バインダー5重量部、カルボキシメチルセルロース3重量部、水200重量部となる組成にて充分混合することによりスラリーを得た。
厚さ32μm(気孔率57%)の銅製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)両面に負極のスラリーをロールコーターにて該負極集電体の両面に成形し、真空乾燥後、全体の厚さ(両面の負極電極層厚さと両面の導電層厚さと負極集電体厚さの合計)が89μmの負極を得た。
(正極製造法)
比表面積2200m/gの市販活性炭粉末92重量部、アセチレンブラック粉体6重量部、アクリル系バインダー7重量部、カルボキシメチルセルロース4重量部、水200重量部となる組成にて充分混合することによりスラリーを得た。
厚さ38μm(気孔率47%)のアルミニウム製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)両面に非水系のカーボン系導電塗料をロールコーターにてコーティングし、乾燥することにより導電層が形成された正極用集電体を得た。全体の厚み(集電体厚みと導電層厚みの合計)は52μmであり貫通孔はほぼ導電塗料により閉塞された。上記正極のスラリーをロールコーターにて該正極集電体の両面に成形し、真空乾燥後、正極全体の厚さ(両面の正極電極層厚さと両面の導電層厚さと正極集電体厚さの合計)が173μmの正極を得た。
(負極の単位重量当たりの静電容量測定)
上記負極を1.5×2.0cmサイズに4枚切り出し、評価用負極とした。負極と対極として1.5×2.0cmサイズ、厚み200μmの金属リチウムを厚さ50μmのポリエチレン製不織布をセパレータとして介し模擬セルを組んだ。参照極として金属リチウムを用いた。電解液としては、プロピレンカーボネートに、1モル/lの濃度にLiPFを溶解した溶液を用いた。充電電流1mAにて負極活物質重量に対して600mAh/g分のリチウムを充電し、その後1mAにて1.5Vまで放電を行った。放電開始後1分後の負極の電位から0.2V電位変化する間の放電時間より負極の単位重量当たりの静電容量を求めたところ912F/gであった。
(正極の単位重量当たりの静電容量測定)
上記正極を1.5×2.0cmサイズに4枚切り出し、評価用正極とした。正極と対極として1.5×2.0cmサイズ、厚み200μmの金属リチウムを厚さ50μmのポリエチレン製不織布をセパレーターとして介し模擬セルを組んだ。参照極としてリチウム金属を用いた。電解液としては、プロピレンカーボネートに、1モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用いた。充電電流1mAにて3.6Vまで充電しその後定電圧充電を行い、総充電時間1時間の後、1mAにて2.5Vまで放電を行った。3.5V〜2.5V間の放電時間より正極の単位重量当たりの静電容量を求めたところ160F/gであった。
(フィルム型キャパシタセル作成方法)
正極を2.4cm×3.8cmに5枚カットし、負極を2.4cm×3.8cmに6枚カットし、図1のようにセパレータを介して積層し、150℃12時間乾燥した後、最上部と最下部はセパレータを配置させて4辺をテープ止めして電極積層ユニットを得た。負極活物質重量に対して600mAh/g分のリチウム金属としては、厚さ70μmのリチウム金属箔を厚さ23μmの銅ラスに圧着したものを用い、負極と対向するように電極積層ユニットの最外部に1枚配置した。負極(6枚)とリチウム金属を圧着したステンレス網はそれぞれ溶接し、接触させ電極積層ユニットを得た。上記電極積層ユニットの正極集電体の端子溶接部(5枚)に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した巾3mm、長さ50mm、厚さ0.1mmのアルミニウム製正極端子を重ねて超音波溶接した。同様に負極集電体の端子溶接部(6枚)に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した巾3mm、長さ50mm、厚さ0.1mmのニッケル製負極端子を重ねて超音波溶接し、縦60mm、横30mm、深さ3mmに深絞りした外装フィルム1枚と深絞りしていない外装フィルム1枚の間に設置した。
外装ラミネートフィルムの端子部2辺と他の1辺を熱融着した後、電解液を真空含浸させ、その後、残り1辺を減圧下にて熱融着し、真空封止を行うことによりフィルム型キャパシタセルを組立てた。
実施例1では、電解液として、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびプロピレンカーボネートを体積比で3:4:1とした混合溶媒に、1.3モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用い、3セル作製した。
実施例2では、電解液として、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびプロピレンカーボネートを体積比で3:4:1とした混合溶媒に、1.5モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用い、3セル作製した。
実施例3では、電解液として、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比で、2:3とした混合溶媒に、1.5モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用い、3セル作製した。
比較例1では、電解液として、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびプロピレンカーボネートを体積比で3:4:1とした混合溶媒に、1.0モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用い、3セル作製した。
比較例2では、電解液として、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートを体積比で2:3とした混合溶媒に、1.5モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用い、3セル作製した。
(セルの特性評価)
セル組み立て後14日間放置後に各1セルずつ分解したところ、リチウム金属はいずれも完全に無くなっていたことから、負極活物質の単位重量当たりに912F/gの静電容量を得るためのリチウムイオンが予備充電されたと判断した。
その後、各1セルずつ、正極と負極を短絡させ正極の電位を測定したところ、いずれの正極電位も0.85〜0.95Vの範囲であり、V以下であった。
残ったフィルム型キャパシタの各セルを、200mAの定電流でセル電圧が3.8Vになるまで充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を30分行った。次いで、200mAの定電流でセル電圧1.9Vになるまで放電した。この3.8V−1.9Vサイクルのセル容量、放電開始電圧、放電終了電圧、平均電圧、IRドロップから初期静電容量、エネルギー密度、直流抵抗を算出した。
その後、−30℃の恒温槽に3時間放置した後、同様の充放電サイクルを行い、静電容量、直流抵抗を算出した。
Figure 0004732074
表1に示されるように、予めリチウムイオンをドーピングさせたセルにおいては、いずれのセルも高いエネルギー密度を有している。なお、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびプロピレンカーボネートを重量比で3:4:1とした混合溶媒に、2.0mol/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液はセル作製時にLiPFの結晶が析出しており、電解液溶質濃度2.0mol/lのセルが作製できなかったことから、溶質濃度は2.0mol/l以下が好ましい。また、電解液溶媒に環状カーボネートのみを用いた場合(比較例2)、室温での直流抵抗が他のものと比較して大幅に高いことから電解液溶媒は環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒であることが好ましい。
Figure 0004732074
表2に示されるように、本発明の実施例のキャパシタセルは、比較例1に比べて、−30℃における静電容量が高く、また直流抵抗が低いことから低温特性に優れていることがわかる。また、溶質濃度1.3mol/lの場合(実施例1)に比べ溶質濃度1.5mol/lの場合(実施例2)の方が低温特性に優れていることから溶質濃度は1.5mol/l以上とするのが特に好ましい。一方、電解液溶媒に環状カーボネートのみを用いた場合(比較例2)は−30℃での特性は優れるが、室温での特性が実施例のキャパシタセルに比べ大幅に劣る(表1参照)ため、低温〜高温の特性を総合的に判断すると不適である。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの駆動用または補助用蓄電源として極めて有効である。また、電動自転車、電動車椅子などの駆動用蓄電源、ソーラーエネルギーや風力発電などの各種エネルギーの蓄電装置、あるいは家庭用電気器具の蓄電源などとして好適に用いることができる。
図1は、実施例1で使用したキャパシタセルの構造を示す概略図である。
符号の説明
1:正極、 1’:集電体(正極)、 2:負極、
2’:集電体(負極)、 3:セパレータ 4:リチウム金属
4’:集電体(リチウム金属) 5:導線

Claims (5)

  1. 正極、負極、及び、電解質溶液を有するリチウムイオンキャパシタであって、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、正極と負極を短絡させた後の正極の電位がV以下になるように負極及び/又は正極に対してリチウムイオンがドーピングされており、かつ上記電解質溶液が、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合物を含む非プロトン性有機溶媒とリチウム塩とを含み、リチウム塩がLiPF であり、リチウム塩濃度が1.3mol/l以上であることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  2. リチウム塩濃度が1.5〜2.0mol/lである請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  3. 前記正極及び/又は負極が、それぞれ表裏面を貫通する孔を有する集電体を備えており、負極とリチウムイオン供給源との電気化学的接触によってリチウムイオンがドーピングされている請求項1又は2に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  4. 負極活物質は、正極活物質に比べて、単位重量あたりの静電容量が3倍以上を有し、かつ正極活物質重量が負極活物資の重量よりも大きい請求項1〜3のいずれかに項1又は2に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  5. 非プロトン性有機溶媒が、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物である請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ
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