JP2014199784A - 光増感色素及びこれを有する色素増感太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】色素増感太陽電池の光電変換特性を十分に向上させることができる光増感色素およびこれを有する色素増感太陽電池を提供する。【解決手段】下記一般式(1)で表される光増感色素。[ML1L2(L3)m]Xn(1)、(上記一般式(1)中、MはRuなどを表す。また、L1は2,2’で結合したピリジンで、4位でインドール基に直接若しくは共役した不飽和炭化水素鎖で結合したチオフェンを持つピリジン誘導体で表される配位子であり、L2は2,2’で結合したピリジンで直接若しくは二重結合の炭化水素鎖で結合した置換基を持つピリジン誘導体で表される配位子であり、L3は−NCS基などである。また、Xは一価の陰イオンを表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、光増感色素及びこれを有する色素増感太陽電池に関する。
光電変換素子として、安価で、高い光電変換効率が得られることから色素増感太陽電池が注目されており、色素増感太陽電池に関して種々の開発が行われている。
色素増感太陽電池は一般に、作用極と、対極と、作用極及び対極の間に設けられる電解質とを備えている。作用極は、酸化物半導体層を有しており、酸化物半導体層には光増感色素が吸着されている。
色素増感太陽電池においては光電変換特性を向上させることが重要であり、そのために、例えば光増感色素に着目した種々の提案がなされている。
例えば下記特許文献1には、光増感色素として、長鎖アルキル基で修飾され、疎水性が向上したビピリジンを配位子として含むルテニウム錯体が開示されている。この光増感色素によれば、色素増感太陽電池の内部に侵入した湿気による分解や酸化物半導体層からの脱離を抑制でき、その結果、優れた耐久性を有する色素増感太陽電池が得られることが開示されている。
特表2006−525632号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の光増感色素を用いた色素増感太陽電池は、光電変換特性について、未だ改善の余地があった。したがって、色素増感太陽電池に用いた際に、色素増感太陽の光電変換特性をさらに向上させることのできる光増感色素が望まれていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、色素増感太陽電池の光電変換特性を十分に向上させることができる光増感色素およびこれを有する色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために、可視領域により強い光吸収を示すルテニウム錯体光増感色素を得るべく鋭意検討を行った。その結果、ヘテロ芳香族基が結合したビピリジンを配位子として有するルテニウム錯体によって、可視領域の光吸収が大きく向上することが明らかになった。
そこで本発明者らは、ビピリジンに結合させるヘテロ芳香族基について、更なる鋭意検討を重ねた。その結果、チオフェン−インドール構造を有する置換基が結合したビピリジンを配位子として有するルテニウム錯体からなる光増感色素によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される光増感色素である。
[ML(L]X (1)
(上記一般式(1)中、MはFe、Ru又はOsを表す。また、Lは下記一般式(2)で表される配位子であり、Lは下記一般式(3)で表される配位子であり、Lは−NCS基、ハロゲン基、−CN基又は下記一般式(4)で表されるβ−ジケトナート配位子である。また、Xは一価の陰イオンを表す。ここで、Lが−NCS基、ハロゲン基又は−CN基である場合、m=2かつn=0であり、Lが下記一般式(4)で表されるβ−ジケトナート配位子である場合、m=1かつn=1である。)
Figure 2014199784
(上記式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のチオアルコキシ基又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基を表す。ここで、R及びRは互いに結合して環状構造を形成してもよく、R及びRは互いに結合して環状構造を形成してもよい。また、上記式(2)中、R〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のチオアルコキシ基又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基を表し、R13及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。また、上記式(2)中、a及びbはそれぞれ独立に1〜3の整数を表し、c及びdはそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。上記式(2)中、チオフェン骨格とインドール骨格との間のビニレン骨格はそれぞれ独立に、E体であってもZ体であってもよい。)
Figure 2014199784
(上記式(3)中、Y及びYはそれぞれ独立に、−CO15基、−SO16基又は−P(=O)(OR17)(OR18)基を表す。また、上記式(3)中、e及びfはそれぞれ独立に0又は1を表す。ここで、R15〜R18はそれぞれ独立に水素原子又は一価の陽イオンを表す。ピリジン骨格とY又はYとの間のビニレン骨格はそれぞれ独立に、E体であってもZ体であってもよい。)
Figure 2014199784
(上記式(4)中、Z及びZはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基又は−CH=CHZを表す。Zは置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基を表す。)
本発明の光増感色素によれば、色素増感太陽電池の光電変換特性を十分に向上させることができる。
前記一般式(1)において、MがRuであることが好ましい。
この場合、光増感色素を色素増感太陽電池の光増感色素として用いると、色素増感太陽電池の光電変換特性が特に優れたものになる。
前記一般式(2)において、a及びbがそれぞれ1であり、かつc及びdがそれぞれ0であることが好ましい。
この場合、光増感色素を色素増感太陽電池の光増感色素として用いると、色素増感太陽電池の光電変換特性が特に優れたものになる。
前記一般式(3)において、e及びfがそれぞれ0であることが好ましい。
この場合、光増感色素を色素増感太陽電池の光増感色素として用いると、色素増感太陽電池の光電変換特性が特に優れたものになる。
前記一般式(1)において、Lが−NCS基であり、かつ前記一般式(2)において、R〜R12が水素原子であり、R13及びR14がオクチル基であり、さらに前記一般式(3)において、Y及びYは−COH基であることが好ましい。
この場合、光増感色素を色素増感太陽電池の光増感色素として用いると、色素増感太陽電池の光電変換特性が特に優れたものになる。
また本発明は、透明基板及び前記透明基板上に設けられる透明導電膜を有する第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極又は前記第2電極に設けられる酸化物半導体層と、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられる電解質と、前記酸化物半導体層に吸着される光増感色素と、を備え、前記光増感色素が、上述した光増感色素を含む色素増感太陽電池である。
本発明の色素増感太陽電池によれば、光増感色素が上述した光増感色素を含むことで、光電変換特性を十分に向上させることができる。
上記色素増感太陽電池は、前記酸化物半導体層に吸着される共吸着剤をさらに含むことが好ましい。
この場合、酸化物半導体層に共吸着剤が吸着していない場合に比べて、酸化物半導体層から電解質への漏れ電流の量をより十分に抑制することが可能となり、開放電圧をより十分に増加させることができ、光電変換特性をより十分に向上させることができる。また、この場合は色素の会合を抑制して電子寿命長くすることができ、短絡電流値を増加させることができる。
上記色素増感太陽電池において、前記光増感色素が、第1光増感色素と、前記第1光増感色素と異なる第2光増感色素とを含み、前記第1光増感色素が、上述した光増感色素で構成されてもよい。
上記色素増感太陽電池において、前記第2光増感色素が、前記第1光増感色素の吸収ピークよりも短波長側に吸収ピークを有することが好ましい。
この場合、光電変換特性をより向上させることができる。
本発明によれば、色素増感太陽電池の光電変換特性を十分に向上させることができる光増感色素およびこれを有する色素増感太陽電池が提供される。
本発明の色素増感太陽電池の一実施形態を示す断面図である。 本発明の光増感色素の原料となる配位子Lの合成経路を表す図である。 図2の配位子Lの原料の合成経路を表す図である。 図2の配位子Lの原料の合成経路を表す図である。 図2の配位子Lの原料の合成経路を表す図である。 本発明の光増感色素の原料となる配位子Lの合成経路を表す図である。 実施例1及び比較例1に係る光増感色素の紫外可視(UV−vis)吸光スペクトルを示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の色素増感太陽電池の一実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、色素増感太陽電池100は、透明導電性基板15を有する作用極10と、透明導電性基板15に対向する対極20と、透明導電性基板15及び対極20を連結する環状の封止部30とを備えており、透明導電性基板15、対極20及び封止部30によって形成されるセル空間には電解質40が充填されている。
対極20は、導電性基板21と、導電性基板21の作用極10側に設けられて電解質40の還元に寄与する触媒層22とを備えている。本実施形態においては、対極20により第2電極が構成されている。
一方、作用極10は、透明導電性基板15と、透明導電性基板15上に設けられる少なくとも1つの酸化物半導体層13とを有している。透明導電性基板15は、透明基板11と透明基板11の上に設けられる透明導電膜12とで構成されている。酸化物半導体層13は、封止部30の内側に配置されている。また酸化物半導体層13には、光増感色素及び共吸着剤が共に吸着されている。共吸着剤は、光増感色素同士の会合を減少させるためのものである。本実施形態においては、透明導電性基板15により第1電極が構成されている。
上記光増感色素は、下記一般式(1)で表される光増感色素を含む。
[ML(L]X (1)
(上記一般式(1)中、MはFe、Ru又はOsを表す。また、Lは下記一般式(2)で表される配位子であり、Lは下記一般式(3)で表される配位子であり、Lは−NCS基、ハロゲン基、−CN基又は下記一般式(4)で表されるβ−ジケトナート配位子である。また、Xは一価の陰イオンを表す。ここで、Lが−NCS基、ハロゲン基又は−CN基である場合、m=2かつn=0であり、Lが下記一般式(4)で表されるβ−ジケトナート配位子である場合、m=1かつn=1である)
Figure 2014199784
(上記式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のチオアルコキシ基又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基を表す。ここで、R及びRは互いに結合して環状構造を形成してもよく、R及びRは互いに結合して環状構造を形成してもよい。また、上記式(2)中、R〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のチオアルコキシ基又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基を表し、R13及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。また、上記式(2)中、a及びbはそれぞれ独立に1〜3の整数を表し、c及びdはそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。上記式(2)中、チオフェン骨格とインドール骨格との間のビニレン骨格はそれぞれ独立に、E体であってもZ体であってもよい。)
Figure 2014199784
(上記式(3)中、Y及びYはそれぞれ独立に、−CO15基、−SO16基又は−P(=O)(OR17)(OR18)基を表す。また。上記式(3)中、e及びfはそれぞれ独立に0又は1を表す。ここで、R15〜R18はそれぞれ独立に水素原子又は一価の陽イオンを表す。ピリジン骨格とY又はYとの間のビニレン骨格はそれぞれ独立に、E体であってもZ体であってもよい。)
Figure 2014199784

(上記式(4)中、Z及びZはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基又は−CH=CHZを表す。Zは置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基を表す。)
色素増感太陽電池100によれば、光増感色素が、上記一般式(1)で表される光増感色素を含むことで、光電変換特性を十分に向上させることができる。
上記一般式(1)で表される光増感色素を含む色素増感太陽電池100の光電変換特性が優れたものになる理由について、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、上記一般式(1)で表される光増感色素は、ビピリジンに、少なくともチオフェン骨格及びインドール骨格を有する置換基が結合している配位子を有している。このような光増感色素は、金属−配位子電荷移動遷移による光吸収に加えて、配位子−配位子電荷移動遷移による光吸収を示す。このことにより光増感色素の可視領域の吸光係数が大幅に増大する。その結果、色素増感太陽電池100で発生し得る電流値が向上し、光電変換特性が向上するのではないか、と本発明者らは推測している。
次に、作用極10、対極20、封止部30、電解質40、光増感色素及び共吸着剤について詳細に説明する。
(作用極)
作用極10は、上述したように、透明導電性基板15と、透明導電性基板15上に設けられる少なくとも1つの酸化物半導体層13とを有している。透明導電性基板15は、透明基板11と透明基板11の上に設けられる透明導電膜12とで構成されている。
透明基板11を構成する材料は、例えば透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、及び、ポリエーテルスルフォン(PES)などが挙げられる。透明基板11の厚さは、色素増感太陽電池100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50〜40000μmの範囲にすればよい。
透明導電膜12を構成する材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(Indium−Tin−Oxide:ITO)、酸化スズ(SnO)、及び、フッ素添加酸化スズ(Fluorine−doped−Tin−Oxide:FTO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。透明導電膜12は、単層でも、異なる導電性金属酸化物で構成される複数の層の積層体で構成されてもよい。透明導電膜12が単層で構成される場合、透明導電膜12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOで構成されることが好ましい。透明導電膜12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
酸化物半導体層13は、酸化物半導体粒子で構成されている。酸化物半導体粒子は、例えば酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タリウム(Ta)、酸化ランタン(La)、酸化イットリウム(Y)、酸化ホルミウム(Ho)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO)、酸化アルミニウム(Al)又はこれらの2種以上で構成される。酸化物半導体層13の厚さは、例えば0.1〜100μmとすればよい。
(対極)
対極20は、上述したように、導電性基板21と、導電性基板21のうち作用極10側に設けられて電解質40の還元に寄与する導電性の触媒層22とを備えるものである。
導電性基板21は、例えばチタン、ニッケル、白金、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ステンレス等の耐食性の金属材料や、上述した透明基板11にITO、FTO等の導電性酸化物からなる膜を形成したもので構成される。導電性基板21の厚さは、色素増感太陽電池100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば0.005〜4mmとすればよい。
触媒層22は、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。ここで、炭素系材料としては、カーボンナノチューブが好適に用いられる。
(封止部)
封止部30としては、例えば変性ポリオレフィン樹脂、ビニルアルコール重合体などの熱可塑性樹脂、及び、紫外線硬化樹脂などの樹脂が挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体およびエチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
(電解質)
電解質40は、例えばI/I などの酸化還元対と有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、バレロニトリル、ピバロニトリル、グルタロニトリル、メタクリロニトリル、イソブチロニトリル、フェニルアセトニトリル、アクリロニトリル、スクシノニトリル、オキサロニトリル、ペンタニトリル、アジポニトリルなどを用いることができる。酸化還元対としては、例えばI/I のほか、臭素/臭化物イオン、亜鉛錯体、鉄錯体、コバルト錯体などの酸化還元対が挙げられる。また電解質40は、有機溶媒に代えて、イオン液体を用いてもよい。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイド、ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、エチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド、ブチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、又は、メチルプロピルイミダゾリウムアイオダイドが好適に用いられる。
また、電解質40は、上記有機溶媒に代えて、上記イオン液体と上記有機溶媒との混合物を用いてもよい。
また電解質40には添加剤を加えることができる。添加剤としては、LiI、I、4−t−ブチルピリジン、グアニジウムチオシアネート、1−メチルベンゾイミダゾール、1-ブチルベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
さらに電解質40としては、上記電解質にSiO、TiO、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を混練してゲル様となった擬固体電解質であるナノコンポジットゲル電解質を用いてもよく、また、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化した電解質を用いてもよい。
(光増感色素)
光増感色素は、上記一般式(1)で表される光増感色素を含む。
上記一般式(1)において、MはRuであることが好ましい。この場合、色素増感太陽電池100が作動する際に、光増感色素が光励起された後の電子移動過程において、発生するRuの酸化種が安定なものになるため、色素増感太陽電池100の耐久性が特に優れたものになる。
上述したように、上記一般式(1)において、Lは上記一般式(2)で表される配位子である。
上述したように、上記一般式(2)において、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のチオアルコキシ基又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基を表す。
上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ペンタデシル基などが挙げられる。これらは直鎖状であっても、分岐を有するものであってもよい。
また、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基などが挙げられる。これらは直鎖状であっても、分岐を有するものであってもよい。
また、上記チオアルコキシ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、ペンタデシルチオ基などが挙げられる。これらは直鎖状であっても、分岐を有するものであってもよい。
また、上記アルキルアミノ基としては、一般式−NR1920で表されるアルキルアミノ基が挙げられる。ここで、上記R19は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基であり、上記R20はR19とは独立に水素原子又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基を表し、R19の炭素数とR20の炭素数との合計が1〜15である。ここで、R19及びR20は互いに結合して環状構造を形成してもよい。このようなアルキルアミノ基としては、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジドデシルアミノ基、ジペンタデシルアミノ基、ピロリジル基およびピペリジル基などが挙げられる。上記アルキルアミノ基の有するアルキル基は直鎖状であっても、分岐を有するものであってもよい。
一般式(2)において、R及びRは互いに結合して環状構造を形成してもよく、R及びRは互いに結合して環状構造を形成してもよい。このような環状構造としては、例えばR及びRが結合して−C−となった構造、−O−C2h−O−となった構造、−S−CH2−S−となった構造などが挙げられる。ここで、g、h、iは1〜3の整数である。上記環状構造としては、具体的には例えばメチレン構造、エチレン構造、プロピレン構造、メチレンジオキシ構造、エチレンジオキシ構造、プロピレンジオキシ構造、メチレンジチオ構造、エチレンジチオ構造、プロピレンジチオ構造などが挙げられる。
上記アルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アルキルアミノ基の置換基としては、例えばハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基及び炭素数1〜15のチオアルコキシ基などが挙げられる。
また、上述したように、R〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のチオアルコキシ基又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基を表す。ここで、上記アルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基及びアルキルアミノ基としては、上記R〜Rとして例示したものを用いることができる。
また、上述したように、R13及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。ここで、上記アルキル基としては、上記R〜Rとして例示したものを用いることができる。
〜R12は水素原子であり、R13及びR14はオクチル基であることが好ましい。この場合、光増感色素を容易かつ安価に製造することができる。
上述したように、一般式(2)において、a及びbはそれぞれ独立に1〜3の整数を表し、c及びdはそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。
ここで、a及びbはそれぞれ1であり、c及びdはそれぞれ0であることが好ましい。この場合、光増感色素を容易かつ安価に製造することができる。
上述したように、上記一般式(1)において、Lは上記一般式(3)で表される配位子である。
また、上述したように、一般式(3)において、Y及びYはそれぞれ独立に、−CO15基、−SO16基又は−P(=O)(OR17)(OR18)基を表す。また。上記式(3)中、e及びfはそれぞれ独立に0又は1を表す。ここで、R15〜R18はそれぞれ独立に水素原子又は一価の陽イオンを表す。ビニレン骨格はそれぞれ独立に、E体であってもZ体であってもよい。
15〜R18によって表される1価の陽イオンとしては、例えばLi、Na、K、Rb、Csなどの金属の陽イオン及び下記一般式(5)で表されるアンモニウムイオンなどが挙げられる。
Figure 2014199784
上記式(5)中、R21〜R24はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜15の置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基を表す。ここで、脂肪族炭化水素基としては、例えばアルキル基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基の置換基としては、例えばハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基及び炭素数1〜15のチオアルコキシ基などが挙げられる。
ここで、R21、R22、R23及びR24の全てがブチル基であることが好ましい。この場合、上記光増感色素の有機溶媒への溶解性が良好になる。
一般式(3)において、Y及びYは−COH基であることが好ましい。この場合、色素増感太陽電池100の光電変換特性を特に効果的に向上させることができる。
また、一般式(3)において、e及びfは0であることが好ましい。この場合、光増感色素を容易かつ安価に製造することができる。
また、上述したように、上記一般式(1)中、Lは−NCS基、ハロゲン基、−CN基又は上記一般式(4)で表されるβ−ジケトナート配位子である。
上記ハロゲン基としては、例えば−Cl基、−Br基及び−I基などが挙げられる。また、上述したように、上記一般式(4)中、Z及びZは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基又は−CH=CHZを表す。Zは置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基を表す。
上記アルキル基としては、上記R〜Rについて例示したアルキル基を用いることができる。
上記アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラシル基などが挙げられる。
上記ヘテロ芳香族基としては、例えばチオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、チエノチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基などの硫黄原子含有ヘテロ芳香族基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、インドリル基などの窒素原子含有ヘテロ芳香族基、フリル基、ベンゾフリル基などの酸素原子含有ヘテロ芳香族基などが挙げられる。
また、上記アルキル基、アリール基、ヘテロ芳香族基の置換基としては、例えばハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基及び炭素数1〜15のチオアルコキシ基などが挙げられる。
上記一般式(1)においては、Lが−NCSであることが好ましい。この場合、光増感色素は、モル吸光係数の大きい吸収ピークを有するため、色素増感太陽電池100の光電変換特性を効果的に向上させることができる。
また、上述したように、一般式(1)において、Xは一価の陰イオンである。一価の陰イオンとしては、例えばハロゲン化物イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、過塩素酸イオンなどが挙げられる。
ここで、上記の光増感色素の合成方法について図2〜図6を用いて詳細に説明する。図2は、本発明の光増感色素の原料となる配位子Lの合成経路を表す図、図3〜図5は、配位子Lの原料の合成経路を表す図、図6は、本発明の光増感色素の原料となる配位子Lの合成経路を表す図である。
まず一般式(2)で表される配位子Lの合成方法について説明する。
図2に示すように、まず4,4’−ジブロモ−2−2’−ビピリジンと、一般式(18)で表されるホウ素化合物とを、塩基の存在下、パラジウム(0)触媒を用いた鈴木−宮浦カップリングによりカップリングさせて一般式(20)で表される中間体を合成する。次に、この中間体と一般式(19)で表されるホウ素化合物とを同様にカップリングさせる。こうして一般式(2)で表される配位子Lが合成される。
なお、一般式(18)で表される化合物は、一般式(11)で表される化合物とn−ブチルリチウムとを反応させた後、2−イソプロピル−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランで処理することにより合成される。一般式(19)で表される化合物は一般式(18)で表される化合物と同様の方法で合成される。
ここで、一般式(11)で表される化合物の合成方法について説明する。
図3に示すように、上記一般式(11)で表され、かつcが0である化合物、すなわち一般式(12)で表される化合物は以下のようにして合成される。
すなわち、一般式(6)で表される化合物と、n−ブチルリチウムとを反応させた後、2−イソプロピル−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランで処理することにより、一般式(7)で表されるホウ素化合物が合成される。
一方、一般式(8)で表されるインドール化合物と、一般式R13Brで表されるアルキルブロマイドとを塩基性条件下で反応させることにより、一般式(9)で表される化合物が合成され、このアルキルインドールとピリジニウムトリブロマイドとを反応させることにより、一般式(10)で表される、インドール環の3位が臭素化された化合物が合成される。なお、上記一般式R13BrにおけるBrは、塩素又はヨウ素であってもよい。
そして、上記一般式(7)で表されるホウ素化合物と、上記一般式(10)で表されるインドール環の3位が臭素化された化合物とを、塩基の存在下、パラジウム(0)触媒を用いた鈴木−宮浦カップリングによりカップリングさせることにより、一般式(12)で表される化合物が合成される。
また、図4に示すように、上記一般式(11)で表され、かつcが1である化合物、すなわち一般式(13)で表される化合物は以下のようにして合成される。
すなわち、一般式(9)で表される化合物にホルミルを導入して一般式(15)で表される化合物を合成し、この化合物と一般式(16)で表されるホスホン酸エステルとを塩基性条件下で反応させることにより、一般式(13)で表される化合物が合成される。
また、図5に示すように、上記一般式(11)で表され、かつcが2である化合物、すなわち一般式(14)で表される化合物は以下のようにして合成される。
すなわち、一般式(15)で表される化合物とアセトアルデヒドとを塩基性条件下で縮合することにより、一般式(17)で表される化合物が合成される。そしてこの化合物と、一般式(16)で表されるホスホン酸エステルとを塩基性条件下で反応させることにより、一般式(14)で表される化合物が合成される。
次に、一般式(2)で表される配位子Lの合成方法について説明する。
一般式(3)で表され、e及びfが0である配位子Lは公知の方法で合成される。
また、図6に示すように、一般式(3)で表され、e及びfが1である配位子Lは、以下のようにして合成される。
すなわち、まず4,4’−ジホルミル−2−2’−ビピリジンと、一般式(21)で表されるホスホン酸エステル、一般式(22)で表されるホスホン酸エステルとを塩基性条件下で順次反応させることにより、一般式(23)で表される化合物を合成する。ここで、YはYをアルキルエステル化した置換基であり、YはYをアルキルエステル化した置換基である。これらのアルキルエステル化した置換基は、例えばメチルエステル化した置換基であればよい。そして、一般式(23)で表される化合物を加水分解する。こうして、一般式(3)で表される配位子Lが合成される。
次に、上記一般式(1)で表される光増感色素の合成方法について説明する。
すなわち、まず原料金属塩を、上記一般式(2)で表される配位子L、及び、上記一般式(3)で表される配位子Lと順次反応させ、続いてLの原料と反応させる。こうして上記一般式(1)で表される光増感色素が合成される。
上記一般式(1)においてMがFeである場合、上記原料金属塩としては、ハロゲン化鉄(II)4水和物を用いることが好ましい。
また、上記一般式(1)においてMがRuである場合、上記原料金属塩としては、ジハロ(シメン)ルテニウムダイマーを用いることが好ましい。さらに、MがOsである場合、上記原料金属塩としては、ジハロ(シメン)オスミウムダイマーを用いることが好ましい。ここで、原料金属塩に含まれるハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオンおよびヨウ化物イオンなどが挙げられる。
さらに、上記一般式(1)においてMがRuである場合は、上記原料金属塩としてハロゲン化ルテニウム(III)水和物を用いてもよい。この場合、原料金属塩は、反応系中で還元されてRu(II)イオン種となる。
が−NCS基、ハロゲン基又は−CN基である場合、Lの原料としては、1価の陽イオンと1価の陰イオンとの塩であるALを用いればよい。1価の陽イオンAとしては、例えばLi、Na、K、Rb、Csなどの金属の陽イオン及び上記一般式(5)で表されるアンモニウムイオンなどが挙げられる。
上記1価の陽イオンAのうち、テトラブチルアンモニウムイオンが好ましい。この場合、ALの有機溶媒への溶解性が良好になる。
また、Lが、上記一般式(4)で表されるβ−ジケトナート配位子である場合、Lの原料としては、このβ−ジケトナートに水素イオンが付加したβ−ジケトンを用いればよい。
こうして、一般式(1)で表される光増感色素が得られる。
(共吸着剤)
共吸着剤は、上記光増感色素同士の会合を抑制するものであればよいが、共吸着剤としては下記一般式(24)で表される有機化合物又はその塩が用いられてもよい。ここで、有機化合物は非金属原子のみで構成される。
Figure 2014199784
上記式(24)中、nは0〜5の整数を表し、R25は、ステロイド骨格を有する一価の基を表す。
nは好ましくは0〜2の整数である。
ステロイド骨格を有する一価の基としては、例えば下記一般式(25)で表される一価の基が用いられる。
Figure 2014199784
上記式(25)中、R26、R27及びR28はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基を表す。
ステロイド骨格を有する共吸着剤の具体例としては、例えばデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸、ヒオデオキシコール酸及びこれらの塩などが挙げられる。
光増感色素に対する共吸着剤のモル比は通常、0.5〜200であり、好ましくは10〜100である。光増感色素に対する共吸着剤のモル比が上記範囲内にあると、上記範囲を外れる場合に比べて、漏れ電流をより効果的に低減することができると共に、発電電流をより増加させることができる。
次に、上述した色素増感太陽電池100の製造方法について説明する。
まず1つの透明基板11の上に、透明導電膜12を形成してなる透明導電性基板15を用意する。
透明導電膜12の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、スプレー熱分解法(SPD:Spray Pyrolysis Deposition)及びCVD法などが用いられる。
次に、透明導電膜12の上に、酸化物半導体層13を形成する。酸化物半導体層13は、酸化物半導体粒子を含む多孔質酸化物半導体層形成用ペーストを印刷した後、焼成して形成する。
酸化物半導体層形成用ペーストは、上述した酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テレピネオールなどの溶媒を含む。
酸化物半導体層形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又は、バーコート法などを用いることができる。
焼成温度は酸化物半導体粒子の材質により異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子の材質により異なるが、通常は1〜5時間である。
こうして作用極10が得られる。
次に、作用極10の酸化物半導体層13の表面に、上記のようにして合成された光増感色素を吸着させる。このためには、作用極10を、光増感色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その光増感色素を酸化物半導体層13に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な光増感色素を洗い流し、乾燥させることで、光増感色素を酸化物半導体層13に吸着させればよい。但し、光増感色素を含有する溶液を酸化物半導体層13に塗布した後、乾燥させることによって光増感色素を酸化物半導体層13に吸着させてもよい。
次に、作用極10の酸化物半導体層13の表面に、上述した共吸着剤を吸着させる。このためには、作用極10を、共吸着剤を含有する溶液の中に浸漬させ、その共吸着剤を酸化物半導体層13に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な共吸着剤を洗い流し、乾燥させることで、共吸着剤を酸化物半導体層13の表面に吸着させればよい。但し、共吸着剤を含有する溶液を酸化物半導体層13に塗布した後、乾燥させることによって共吸着剤を酸化物半導体層13に吸着させてもよい。
このとき、共吸着剤は、酸化物半導体層13の表面において、光増感色素が吸着していない領域に吸着されることになる。
なお、共吸着剤は、光増感色素と混合し、同時に酸化物半導体層13の表面に吸着させてもよい。この場合、酸化物半導体層13を、光増感色素及び共吸着剤を含む溶液中に浸漬すればよい。このとき、溶液中における酸化物半導体層13の浸漬時間は、好ましくは10〜48時間であり、より好ましくは15〜25時間である。
次に、酸化物半導体層13の上に電解質40を配置する。電解質40は、例えばスクリーン印刷等の印刷法によって配置することが可能である。
次に、環状の封止部形成体を準備する。封止部形成体は、例えば封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに1つの四角形状の開口を形成することによって得ることができる。
そして、この封止部形成体を、作用極10の透明導電性基板15の上に接着させる。このとき、封止部形成体の透明導電性基板15への接着は、例えば封止部形成体を加熱溶融させることによって行うことができる。
次に、対極20を用意し、封止部形成体の開口を塞ぐように配置した後、封止部形成体と貼り合わせる。このとき、対極20にも予め封止部形成体を接着させておき、この封止部形成体を作用極10側の封止部形成体と貼り合せてもよい。対極20の封止部形成体への貼合せは、大気圧下で行っても減圧下で行ってもよいが、減圧下で行うことが好ましい。
以上のようにして色素増感太陽電池100が得られる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、透明導電性基板15の透明導電膜12上に多孔質酸化物半導体層13が設けられ、こちら側から受光する構造となっているが、多孔質酸化物半導体層13が形成される基材に不透明な材料(例えば金属基板)を用い、対極20を形成する基材に透明な材料を用いて対極側から受光する構造をとっても構わず、さらに、両面から受光する構造としても構わない。
また上記実施形態では作用極10の酸化物半導体層13の表面に共吸着剤が吸着されているが、共吸着剤は必ずしも用いられなくてもよい。
さらに上記実施形態では、光増感色素は、上記一般式(1)で表される光増感色素を含んでいるが、この光増感色素を第1光増感色素として、第1光増感色素と異なる第2光増感色素をさらに含んでいてもよい。
ここで、第2光増感色素としては、第1光増感色素の吸収ピーク波長よりも短波長側に吸収ピークを有する光増感色素が好ましい。
この場合、光電変換特性をより向上させることができる。ここで、第2光増感色素の吸収ピーク波長は、好ましくは300〜500nmであり、より好ましくは300〜450nmである。
このような第2光増感色素としては、その吸収ピーク波長におけるモル吸光係数が、第1光増感色素の吸収ピーク波長におけるモル吸光係数よりも大きいものが好ましく用いられる。この場合、広い波長領域にわたってより優れた吸光特性を有することが可能となる。
このような第2光増感色素としては、下記一般式(26)で表される色素が用いられる。
Figure 2014199784
上記式(26)中、R29及びR30はそれぞれ独立に、水素原子、−CN、−COOH、又は炭素原子数1〜5の炭化水素基を表し、R31、R32、R34及びR35はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基を表し、R33は炭素原子数1〜5のアルコキシ基で置換されたフェニル基、又は下記一般式(27)で表される置換基を表す。R34及びR35は互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよい。
Figure 2014199784
上記式(27)中、R36、R37、R38及びR39はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を表す。
上記一般式(26)で表される色素としては、具体的には下記構造式(28)及び(29)で表されるものが挙げられる。
Figure 2014199784
Figure 2014199784
なお、上記構造式(28)で表される第2光増感色素(D131)の吸収ピーク波長は420nmであり、上記構造式(29)で表される第2光増感色素の吸収ピーク波長は395nmである。
上記第2光増感色素としては、下記一般式(30)で表される色素を用いることも可能である。
Figure 2014199784
上記式(30)中、R40は水素原子又は−CNR4243を表し、R41は−CNR4243を表す。R42及びR43はそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。
上記一般式(30)で表される光増感色素のうち、R40が水素原子を表し、R41が−CNR4243を表す色素が好ましい。この場合、光電変換特性をより向上させることができる傾向にある。
上記一般式(30)で表される光増感色素の具体例としては、例えば下記構造式(31)及び(32)で表されるものが挙げられる。
Figure 2014199784
Figure 2014199784
なお、上記構造式(31)で表される第2光増感色素(NKX−2553)の吸収ピーク波長は455nmであり、上記構造式(32)で表される第2光増感色素(NKX−2554)の吸収ピーク波長は465nmである。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
<光増感色素の合成>
1−(n−オクチル)インドールの合成:
インドール2.0gをジメチルスルホキシド20mLに溶かし、水素化ナトリウム(60%, 流動パラフィンに分散)0.80gを加え、室温で1時間撹拌した。n−オクチルブロミド3.28gを加え、室温で4時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液3mLを加えた後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。飽和食塩水20mLを加え、クロロホルム30mLで3回抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウム5gを加えて脱水した。綿栓ろ過し、有機層中の硫酸マグネシウムを除去した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去することにより、淡黄色の粘性液体4.1gを得た。この固体についてH−NMRを測定したところ、H−NMRの結果は以下の通りであった。

H−NMR(270MHz/CDCl)δ(ppm)
0.87(t、3H)、1.25−1.31(m、10H)、1.81−1.88(m、2H)、4.11(t、2H)、6.48(d、1H)、7.09−7.33(m、4H)、7.63(d、1H)
上記H−NMRの結果より、上記淡黄色の粘性液体は、1−(n−オクチル)インドールであることが分かった。ここで、収率は100%であった。
3−ブロモ−1−(n−オクチル)インドールの合成:
1−(n−オクチル)インドールをピリジン8.3mLに溶かし、0℃に冷却した。ピリジニウムトリブロミド1.73gを加え、0℃で30分撹拌した。反応液を35mLのジエチエーテルに注ぎ、生じた沈殿物を吸引ろ過により取り除いた。得られたジエチルエーテル溶液を分液ロートに移し、1M塩酸30mL、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10mL、飽和食塩水10mLで順次有機層を洗浄した。有機層をフラスコにとり、硫酸マグネシウム5gを加えて脱水した。綿栓ろ過し、有機層中の硫酸マグネシウムを除去した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。残渣をヘプタンに溶かし、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘプタン)にて精製することにより、無色の液体1.03gを得た。この固体についてH−NMRを測定したところ、H−NMRの結果は以下の通りであった。

H−NMR(270MHz/CDCl)δ(ppm)
0.87(t、3H)、1.25−1.31(m、10H)、1.81−1.88(m、2H)、4.11(t、2H)、7.11−7.30(m、4H)、7.55(d、1H)
上記H−NMRの結果より、上記無色の液体は、3−ブロモ−1−(n−オクチル)インドールであることが分かった。ここで、収率は74%であった。
1−(n−オクチル)−3−(2−チオフェニル)インドールの合成:
3−ブロモ−1−(n−オクチル)インドール0.90g、2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン0.74g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.34g、2M炭酸カリウム4.4mLをフラスコにとり、アルゴン雰囲気とした。テトラヒドロフラン18mLを加えて懸濁液とし、90℃のオイルバス上で42時間加熱還流した。飽和食塩水10mLを加えて分液ロートに移し、有機層を分離した。水層に含まれる生成物を酢酸エチル30mLで3回抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウム5gを加えて脱水した。綿栓ろ過し、有機層中の硫酸マグネシウムを除去した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。残渣をヘプタンに溶かし、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=7/1(体積比))にて精製することにより、黄色の液体0.466gを得た。この固体についてH−NMRを測定したところ、H−NMRの結果は以下の通りであった。

H−NMR(270MHz/CDCl)δ(ppm)
0.85−1.30(m、13H)、1.84−1.86(m、2H)、4.12(t、2H)、7.19−7.33(m、7H)、7.97(d、1H)
上記H−NMRの結果より、上記黄色の液体は、1−(n−オクチル)−3−(2−チオフェニル)インドールであることが分かった。ここで、収率は51%であった。
1−(n−オクチル)−3−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン−2−イル]インドールの合成:
1−(n−オクチル)−3−(2−チオフェニル)インドール0.466gをフラスコにとり、アルゴン雰囲気とした。テトラヒドロフラン5mLを加えて溶かし、−45℃に冷却した。2M n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液0.8mLを加え、−45℃で1時間撹拌した。2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン0.33を加え、室温で2時間撹拌した純水20mLを加えて分液ロートに移し、生成物をクロロホルム30mLで3回抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウム5gを加えて脱水した。綿栓ろ過し、有機層中の硫酸マグネシウムを除去した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去することにより、緑色粘性液体0.62gを得た。この固体についてH−NMRを測定したところ、H−NMRの結果は以下の通りであった。

H−NMR(270MHz/CDCl)δ(ppm)
0.88(t、3H)、1.26−1.38(m、22H)、1.88(m、2H)、4.14(t、2H)、7.24−7.40(m、5H)、7.64(s、1H)、8.05(d、1H)
上記H−NMRの結果より、上記緑色粘性液体は、1−(n−オクチル)−3−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン−2−イル]インドールであることが分かった。ここで、収率は94%であった。
4,4’−ビス−[5−{1−(n−オクチル)−3−インドリル}}チオフェン−2−イル]−2,2’−ビピリジンの合成:
1−(n−オクチル)−3−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン−2−イル]インドール0.62g、4,4’−ジブロモ−2,2’−ビピリジン0.15g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.054g、炭酸ナトリウム0.30gをとり、テトラヒドロフラン25mLと純水5MLを加えて溶かし、アルゴン雰囲気下24時間加熱還流した。溶媒をロータリーエバポレーターで留去し、残渣をクロロホルム100mLに溶かして分液ロートに移し、飽和食塩水20mLで洗浄した後、硫酸マグネシウム5gを加えて脱水した。綿栓ろ過し、有機層中の硫酸マグネシウムを除去した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。残渣をクロロホルムに溶かし、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=10/1(体積比))にて精製することにより、黄色の固体0.36gを得た。この固体についてH−NMRを測定したところ、H−NMRの結果は以下の通りであった。

H−NMR(270MHz/CDCl)δ(ppm)
0.87−1.35(m、26H)、1.91(m、4H)、4.15(t、4H)、7.29−7.71(m、14H)、8.06(d、2H)、8.70(d、4H)
上記H−NMRの結果より、上記黄色の固体は、4,4’−ビス−[5−{1−(n−オクチル)−3−インドリル}}チオフェン−2−イル]−2,2’−ビピリジンであることが分かった。ここで、収率100%であった。
(2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸)(4,4’−ビス−[5−{1−(n−オクチル)−3−インドリル}}チオフェン−2−イル]−2,2’−ビピリジン)ジチオシアナートルテニウム(II)の合成:
4,4’−ビス−[5−{1−(n−オクチル)−3−インドリル}}チオフェン−2−イル]−2,2’−ビピリジン0.30g、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー0.12gをとり、N,N−ジメチルホルムアミド80mLを加えて溶かし、アルゴン雰囲気下70℃で4時間撹拌した。2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸0.090gを加え、4時間加熱還流した。テトラブチルアンモニウムチオシアナート 1.1gを加え、4時間加熱還流した。室温に冷却し、純水80mLを加えて沈殿を生じさせた。吸引ろ過して沈殿物を分離し、これをエタノールで洗浄した。得られた沈殿物を0.1M水酸化テトラブチルアンモニウムエタノール溶液に溶かし、Sephadex LH−20カラム(展開溶媒:エタノール)で精製することにより、茶色の固体0.13gを得た。この固体についてH−NMRを測定したところ、H−NMRの結果は以下の通りであった。

H−NMR(270MHz/DMSO−d6+NaOD)δ(ppm)
0.83−1.76(m、26H)、1.90(m、4H)、4.33(m、4H)、7.20−7.95(m、12H)、8.01−8.55(m、8H)、8.71(s、1H)、8.87(s、1H)、9.03(s、1H)、9.19(s、1H)、9.30(d、2H)
上記H−NMRの結果より、上記茶色の固体は、下記式(33)で表される(2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸)(4,4’−ビス−[5−{1−(n−オクチル)−3−インドリル}}チオフェン−2−イル]−2,2’−ビピリジン)ジチオシアナートルテニウム(II)であることが分かった。ここで、収率は27%であった。なお、下記式(33)において、−C17はn−オクチル基を表す。
Figure 2014199784
(実施例1)
まずガラスからなる厚さ1mmの透明基板の上に、厚さ1μmのFTOからなる透明導電膜を形成してなる透明導電性基板を準備した。
次に、透明導電膜上に、チタニアを含む酸化物半導体層形成用ペーストを塗布し乾燥した後、500℃で1時間焼成した。こうして厚さ40μmの多孔質酸化物半導体層を有する作用極を得た。
次に、作用極を、色素溶液中に一昼夜浸漬させた後、取り出して乾燥させ、酸化物半導体層に光増感色素を担持させた。色素溶液は、アセトニトリルとtert−ブタノールとを1:1の体積比で混合して得られる混合溶媒中に、上記のようにして得られた合成例1の光増感色素を、その濃度が0.2mMとなるように溶解させることで作製した。
次に、多孔質酸化物半導体層の上に、電解質を塗布した。電解質は、3−メトキシプロピオニトリルからなる溶媒中に、Iを0.05M、ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイドを0.6M、グアニジンチオシアネートを0.1Mとなるように溶解させることで調製した。
次に、封止部を形成するための封止部形成体を準備した。封止部形成体は、10mm×10mm×50μmのアイオノマー(商品名:ハイミラン、三井・デュポンポリケミカル社製)からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに、四角形状の開口を形成することによって得た。このとき、開口は、6mm×6mm×50μmの大きさとなるようにした。
そして、この封止部形成体を、作用極の上に載せた後、封止部形成体を加熱溶融させることによって作用極に接着させた。
次に、対極を用意した。対極は、15mm×15mm×1mmのFTO導電性ガラス基板の上にスパッタリング法によって厚さ600nmの白金からなる触媒層を形成することによって用意した。また、上記封止部形成体をもう1つ準備し、この封止部形成体を、対極のうち作用極と対向する面に、上記と同様にして接着させた。
そして、作用極に接着させた封止部形成体と、対極に接着させた封止部形成体とを対向させ、封止部形成体同士を重ね合わせた。そして、この状態で封止部形成体を加圧しながら加熱溶融させた。こうして作用極と対極との間に封止部を形成した。
こうして色素増感太陽電池を得た。
(実施例2)
色素溶液を作製する際、共吸着剤として、デオキシコール酸を、色素溶液中の濃度が20mMとなるように混合溶媒中に溶解させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の色素増感太陽電池を作製した。
(実施例3)
色素溶液を作製する際、第2光増感色素として、構造式(29)で表される光増感色素(D131、吸収ピーク波長:420nm)を、色素溶液中の濃度が0.08mMとなるように混合溶媒中に溶解させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の色素増感太陽電池を作製した。
(比較例1)
光増感色素として下記式(34)で表される光増感色素Z907を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の色素増感太陽電池を作製した。なお、下記式(34)において、−C19はn−ノニル基を表す。
Figure 2014199784
<特性の評価>
(1)光増感色素の評価
実施例1および比較例1で用いた光増感色素をそれぞれN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させて0.05mMの溶液とし、紫外可視(UV−vis)分光光度計(島津製作所社製、製品名UV2550)で吸光度を測定し、モル吸光係数のスペクトルを得た。結果を図6に示す。図6において、実線が実施例1の吸光スペクトルであり、破線が比較例1の吸光スペクトルである。
(2)色素増感太陽電池の光電変換特性の評価
まず、実施例1〜3及び比較例1の色素増感太陽電池について、白色LEDを用いて、照度2000luxの条件で光電変換効率η(%)を測定した。そして、下記式により、比較例1に対する実施例1〜3の光電変換効率の増大率を算出した。結果を表1に示す。

光電変換効率の増大率(%)=100×(実施例の光電変換効率−比較例1の光電変換効率)/比較例1の光電変換効率

Figure 2014199784
図7に示す結果より、波長400〜800nmの可視領域において、実施例1の光増感色素のモル吸光係数は、比較例1の光増感色素のモル吸光係数と比べ、大幅に増大することがわかった。
また、表1に示す結果より、実施例1〜3の色素増感太陽電池の光電変換効率は、比較例1の色素増感太陽電池の光電変換効率に対し、3%以上向上することが分かった。
以上より、本発明の光増感色素によれば、色素増感太陽電池の光電変換特性を十分に向上させることができることが確認された。
10…作用極
11…透明基板
12…透明導電膜
13…酸化物半導体層
15…透明導電性基板(第1電極)
20…対極(第2電極)
40…電解質
100…色素増感太陽電池

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表される光増感色素。
    [ML(L]X (1)
    (上記一般式(1)中、MはFe、Ru又はOsを表す。また、Lは下記一般式(2)で表される配位子であり、Lは下記一般式(3)で表される配位子であり、Lは−NCS基、ハロゲン基、−CN基又は下記一般式(4)で表されるβ−ジケトナート配位子である。また、Xは一価の陰イオンを表す。ここで、Lが−NCS基、ハロゲン基又は−CN基である場合、m=2かつn=0であり、Lが下記一般式(4)で表されるβ−ジケトナート配位子である場合、m=1かつn=1である。)
    Figure 2014199784
    (上記式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のチオアルコキシ基又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基を表す。ここで、R及びRは互いに結合して環状構造を形成してもよく、R及びRは互いに結合して環状構造を形成してもよい。また、上記式(2)中、R〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のチオアルコキシ基又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基を表し、R13及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。また、上記式(2)中、a及びbはそれぞれ独立に1〜3の整数を表し、c及びdはそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。上記式(2)中、チオフェン骨格とインドール骨格との間のビニレン骨格はそれぞれ独立に、E体であってもZ体であってもよい。)
    Figure 2014199784
    (上記式(3)中、Y及びYはそれぞれ独立に、−CO15基、−SO16基又は−P(=O)(OR17)(OR18)基を表す。また。上記式(3)中、e及びfはそれぞれ独立に0又は1を表す。ここで、R15〜R18はそれぞれ独立に水素原子又は一価の陽イオンを表す。ピリジン骨格とY又はYとの間のビニレン骨格はそれぞれ独立に、E体であってもZ体であってもよい。)
    Figure 2014199784
    (上記式(4)中、Z及びZはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基又は−CH=CHZを表す。Zは置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基を表す。)
  2. 前記一般式(1)において、MがRuである請求項1に記載の光増感色素。
  3. 前記一般式(2)において、a及びbがそれぞれ1であり、かつc及びdがそれぞれ0である請求項1又は2に記載の光増感色素。
  4. 前記一般式(3)において、e及びfがそれぞれ0である請求項1〜3のいずれか一項に記載の光増感色素。
  5. 前記一般式(1)において、Lが−NCS基であり、かつ前記一般式(2)において、R〜R12が水素原子であり、R13及びR14がオクチル基であり、さらに前記一般式(3)において、Y及びYは−COH基である請求項1〜4のいずれか一項に記載の光増感色素。
  6. 透明基板及び前記透明基板上に設けられる透明導電膜を有する第1電極と、
    前記第1電極に対向する第2電極と、
    前記第1電極又は前記第2電極に設けられる酸化物半導体層と、
    前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられる電解質と、
    前記酸化物半導体層に吸着される光増感色素と、
    を備え、
    前記光増感色素が請求項1〜5のいずれか一項に記載の光増感色素を含む色素増感太陽電池。
  7. 前記酸化物半導体層に吸着される共吸着剤をさらに含む請求項6に記載の色素増感太陽電池。
  8. 前記光増感色素が、第1光増感色素と、前記第1光増感色素と異なる第2光増感色素とを含み、前記第1光増感色素が請求項1〜5のいずれか一項に記載の光増感色素で構成される請求項6又は7に記載の色素増感太陽電池。
  9. 前記第2光増感色素が、前記第1光増感色素の吸収ピークよりも短波長側に吸収ピークを有する請求項8に記載の色素増感太陽電池。
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