JP2015135922A - 光増感色素及びこれを有する色素増感太陽電池 - Google Patents

光増感色素及びこれを有する色素増感太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】色素増感太陽電池の耐久性及び光電変換特性を向上できる光増感色素を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される光増感色素。(MはRu等;X1〜X6は少なくとも1つは−CO2H基;X7,X8は炭化水素基;Yは−NCS基等;Z+は一価の陽イオン)【選択図】図1

Description

本発明は、光増感色素及びこれを有する色素増感太陽電池に関する。
光電変換素子として、安価で、高い光電変換効率が得られることから色素増感太陽電池が注目されており、色素増感太陽電池に関して種々の開発が行われている。
色素増感太陽電池は一般に、作用極と、対極と、作用極及び対極の間に設けられる電解質とを備えている。作用極は、酸化物半導体層を有しており、酸化物半導体層には光増感色素が吸着されている。
色素増感太陽電池においては光電変換特性を向上させることが重要であり、そのために、例えば光増感色素に着目した種々の提案がなされている。
例えば下記特許文献1には、光増感色素として、式ML(Lで表される構造を有し、MがRuであり、Lがビピリジン−キノリン構造を有する配位子で且つキノリンのうちのピリジンの4位の位置にカルボキシル基等が結合している配位子であり、Lが−NCSである光増感色素が開示されている。
米国特許出願公開第2012/0247561号明細書
しかし、上述した特許文献1に記載の光増感色素は、色素増感太陽電池の耐久性及び光電変換特性を向上させる点で改善の余地を有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、色素増感太陽電池の耐久性及び光電変換特性を向上させることができる光増感色素およびこれを有する色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、ターピリジン配位子を有する金属錯体色素において、ターピリジンの末端のピリジン環をキノリン環に置換するとともに、キノリン環のベンゼン骨格中に嵩高い置換基を導入することにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)又は(2)で表される光増感色素である。
Figure 2015135922
Figure 2015135922

(上記式(1)及び(2)中、MはFe、Ru又はOsを表す。また、X〜Xはそれぞれ独立に、−CO基、−SO基、−P(=O)(OR)(OR)基、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜20の置換若しくは無置換の炭化水素基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のチオアルコキシ基又は一般式−NAで表されるアミノ基を表す。ここで、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は1価の陽イオンを表す。また、X〜Xのうち少なくとも1つは−CO基、−SO基又は−P(=O)(OR)(OR)基である。また、A及びAはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。ここでA及びAは互いに結合して環状構造を形成してもよい。またX及びXはそれぞれ独立に、炭素数3〜20の置換若しくは無置換の炭化水素基を表す。また、上記式(1)中、Y、Y及びYはそれぞれ独立に、−NCS基、ハロゲン基又は−CN基を表し、Zは1価の陽イオンを表す。上記式(2)中、Yは−NCS基、ハロゲン基又は−CN基を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基又は−CH=CHRを表す。Rは置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基を表す。)
本発明の光増感色素によれば、色素増感太陽電池の耐久性及び光電変換特性を向上させることができる。
上記一般式(1)及び(2)において、MがRuであることが好ましい。
この光増感色素を色素増感太陽電池の光増感色素として用いると、色素増感太陽電池の耐久性及び光電変換特性を特に向上させることができる。
前記光増感色素は、前記一般式(1)において、Y、Y及びYが−NCS基であり、前記一般式(2)において、Yが−NCS基であることが好ましい。
この光増感色素は、モル吸光係数の大きい吸収ピークを有するため、この光増感色素を色素増感太陽電池の光増感色素として用いると、色素増感太陽電池の光電変換特性を特に向上させることができる。
前記光増感色素は、前記一般式(1)及び(2)において、X〜Xがそれぞれ独立に水素原子又は−CO基であることが好ましい。
この光増感色素を色素増感太陽電池の光増感色素として用いると、色素増感太陽電池の耐久性及び光電変換特性を特に効果的に向上させることができる。
また本発明は、透明基板及び前記透明基板上に設けられる透明導電膜を有する第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極又は前記第2電極に設けられる酸化物半導体層と、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられる電解質と、前記酸化物半導体層に吸着される光増感色素と、を備え、前記光増感色素が、上述した光増感色素を含む色素増感太陽電池である。
本発明の色素増感太陽電池によれば、光増感色素が上述した光増感色素を含むことで、耐久性及び光電変換特性を向上させることが可能となる。
上記色素増感太陽電池は、前記酸化物半導体層に吸着される共吸着剤をさらに含むことが好ましい。
この場合、酸化物半導体層に共吸着剤が吸着していない場合に比べて、酸化物半導体層から電解質への漏れ電流の量をより十分に抑制することが可能となり、開放電圧をより十分に増加させることができ、光電変換特性をより十分に向上させることができる。
上記色素増感太陽電池において、前記光増感色素が、第1光増感色素と、前記第1光増感色素と異なる第2光増感色素とを含み、前記第1光増感色素が、上述した光増感色素で構成されてもよい。
上記色素増感太陽電池において、前記第2光増感色素が、前記第1光増感色素の吸収ピークよりも短波長側に吸収ピークを有することが好ましい。
この場合、光電変換特性をより向上させることができる。
本発明によれば、色素増感太陽電池の耐久性及び光電変換特性を向上させることができる光増感色素およびこれを有する色素増感太陽電池が提供される。
本発明の色素増感太陽電池の一実施形態を示す断面図である。 本発明の光増感色素の合成経路を示す図である。 本発明の光増感色素の合成経路を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の色素増感太陽電池の一実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、色素増感太陽電池100は、作用極10と、作用極10に対向する対極20と、作用極10及び対極20を連結する環状の封止部30とを備えており、作用極10、対極20及び封止部30によって形成されるセル空間には電解質40が充填されている。
対極20は、導電性基板21と、導電性基板21の作用極10側に設けられて電解質40の還元に寄与する触媒層22とを備えている。
一方、作用極10は、透明基板11及び透明基板11の上に設けられる透明導電膜12からなる透明導電性基板15と、透明導電性基板15の透明導電膜12の上に設けられる少なくとも1つの酸化物半導体層13とを有している。酸化物半導体層13は、封止部30の内側に配置されている。また酸化物半導体層13には、光増感色素及び共吸着剤が共に吸着されている。共吸着剤は、光増感色素同士の会合を減少させるためのものである。
上記光増感色素は、下記一般式(1)又は(2)で表される光増感色素を含む。
Figure 2015135922
Figure 2015135922

上記式(1)及び(2)中、MはFe、Ru又はOsを表す。また、X〜Xはそれぞれ独立に、−CO基、−SO基、−P(=O)(OR)(OR)基、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜20の置換若しくは無置換の炭化水素基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のチオアルコキシ基又は一般式−NAで表されるアミノ基を表す。ここで、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は1価の陽イオンを表す。また、X〜Xのうち少なくとも1つは−CO基、−SO基又は−P(=O)(OR)(OR)基である。また、A及びAはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。ここでA及びAは互いに結合して環状構造を形成してもよい。またX及びXはそれぞれ独立に、炭素数3〜20の置換若しくは無置換の炭化水素基を表す。また、上記式(1)中、Y、Y及びYはそれぞれ独立に、−NCS基、ハロゲン基又は−CN基を表し、Zは1価の陽イオンを表す。上記式(2)中、Yは−NCS基、ハロゲン基又は−CN基を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基又は−CH=CHRを表す。Rは置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基を表す。
色素増感太陽電池100によれば、光増感色素が、上記一般式(1)又は(2)で表される光増感色素を含むことで、色素増感太陽電池の耐久性及び光電変換特性を向上させることが可能となる。
上記一般式(1)又は(2)で表される光増感色素を含む色素増感太陽電池100が、耐久性及び光電変換特性を向上させることができる理由について、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、上記一般式(1)で表される光増感色素は、ターピリジンに比べて大きい共役π電子系を有するビピリジン−キノリン構造を有する配位子を含んでいる。したがって、上記一般式(1)又は(2)で表される光増感色素は、ターピリジン配位子を含んでいるブラックダイ等の光増感色素と比べて、配位子の共役π電子系を拡張することができ、HOMO−LUMO間のエネルギーギャップを小さくすることができる。この結果、光吸収波長領域の長波長化が起こり、太陽光によって励起される電子数が増大する。さらに、一般式(1)又は(2)で表される光増感色素の配位子は、キノリン環のベンゼン骨格に炭素数3〜20の嵩高い炭化水素基を有する。このため、隣接する光増感色素分子同士間での会合が起こりにくくなり、隣接する光増感色素分子同士間の電子移動が起こりにくくなり、その分、光増感色素から酸化物半導体層へと流れる電流を増大させることができる。またキノリン環のベンゼン骨格に結合した炭化水素基は嵩高いため、電解質中の酸化還元対が接近しても、光増感色素からの逆電子移動を効果的に抑制することもできる。以上のことから、上記一般式(1)又は(2)で表される光増感色素を含む色素増感太陽電池100は、光電変換特性を向上させることができるのではないか、と本発明者らは推測している。またキノリン環のベンゼン骨格に結合した炭化水素基は嵩高いため、酸化物半導体層に対するバリア層として機能することが可能となる。このため、上記一般式(1)又は(2)で表される光増感色素を含む色素増感太陽電池100は、耐久性を向上させることができるのではないかと本発明者らは推測している。
次に、作用極10、対極20、封止部30、電解質40、光増感色素及び共吸着剤について詳細に説明する。
(作用極)
作用極10は、上述したように、透明基板11と、透明基板11の上に設けられる透明導電膜12と、透明導電膜12の上に設けられる少なくとも1つの酸化物半導体層13とを有している。
透明基板11を構成する材料は、例えば透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、及び、ポリエーテルスルフォン(PES)などが挙げられる。透明基板11の厚さは、色素増感太陽電池100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50〜40000μmの範囲にすればよい。
透明導電膜12を構成する材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(Indium−Tin−Oxide:ITO)、酸化スズ(SnO)、及び、フッ素添加酸化スズ(Fluorine−doped−Tin−Oxide:FTO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。透明導電膜12は、単層でも、異なる導電性金属酸化物で構成される複数の層の積層体で構成されてもよい。透明導電膜12が単層で構成される場合、透明導電膜12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOで構成されることが好ましい。透明導電膜12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
酸化物半導体層13は、酸化物半導体粒子で構成されている。酸化物半導体粒子は、例えば酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タリウム(Ta)、酸化ランタン(La)、酸化イットリウム(Y)、酸化ホルミウム(Ho)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO)、酸化アルミニウム(Al)又はこれらの2種以上で構成される。酸化物半導体層13の厚さは、例えば0.1〜100μmとすればよい。
(対極)
対極20は、上述したように、導電性基板21と、導電性基板21のうち作用極10側に設けられて電解質40の還元に寄与する導電性の触媒層22とを備えるものである。
導電性基板21は、例えばチタン、ニッケル、白金、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ステンレス等の耐食性の金属材料や、上述した透明基板11にITO、FTO等の導電性酸化物からなる膜を形成したもので構成される。導電性基板21の厚さは、色素増感太陽電池100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば0.005〜4mmとすればよい。
触媒層22は、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。ここで、炭素系材料としては、カーボンナノチューブが好適に用いられる。
(封止部)
封止部30としては、例えば変性ポリオレフィン樹脂、ビニルアルコール重合体などの熱可塑性樹脂、及び、紫外線硬化樹脂などの樹脂が挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体およびエチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
(電解質)
電解質40は、例えばI/I などの酸化還元対と有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、バレロニトリル、ピバロニトリル、グルタロニトリル、メタクリロニトリル、イソブチロニトリル、フェニルアセトニトリル、アクリロニトリル、スクシノニトリル、オキサロニトリル、ペンタニトリル、アジポニトリルなどを用いることができる。酸化還元対としては、例えばI/I のほか、臭素/臭化物イオン、亜鉛錯体、鉄錯体、コバルト錯体などのレドックス対が挙げられる。また電解質40は、有機溶媒に代えて、イオン液体を用いてもよい。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイド、ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、エチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド、ブチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、又は、メチルプロピルイミダゾリウムアイオダイドが好適に用いられる。
また、電解質40は、上記有機溶媒に代えて、上記イオン液体と上記有機溶媒との混合物を用いてもよい。
また電解質40には添加剤を加えることができる。添加剤としては、LiI、I、4−t−ブチルピリジン、グアニジウムチオシアネート、1−メチルベンゾイミダゾール、1-ブチルベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
さらに電解質40としては、上記電解質にSiO、TiO、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を混練してゲル様となった擬固体電解質であるナノコンポジットゲル電解質を用いてもよく、また、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化した電解質を用いてもよい。
(光増感色素)
光増感色素は、上記一般式(1)又は(2)で表される。
上記一般式(1)及び(2)において、MはRuであることが好ましい。この場合、色素増感太陽電池100が作動する際に、光増感色素が光励起された後の電子移動過程において、発生するRuの酸化種が安定なものになるため、色素増感太陽電池100の耐久性及び光電変換特性を特に向上させることができる。
上述したように、上記一般式(1)及び(2)において、X〜Xはそれぞれ独立に、−CO基、−SO基、−P(=O)(OR)(OR)基、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜20の置換若しくは無置換の炭化水素基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のチオアルコキシ基又は一般式−NAで表されるアミノ基を表す。ここで、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は1価の陽イオンを表す。また、X〜Xのうち少なくとも1つは−CO基、−SO基又は−P(=O)(OR)(OR)基である。また、A及びAはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。ここでA及びAは互いに結合して環状構造を形成してもよい。さらにX及びXはそれぞれ独立に、炭素数3〜20の置換若しくは無置換の炭化水素基を表す。
上記ハロゲン基としては、例えば−Cl基、−Br基及び−I基などが挙げられる。
また、上記X〜Xを構成する炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば置換又は無置換のフェニル基および炭素数1〜20の置換又は無置換の脂肪族炭化水素基などが挙げられる。上記脂肪族炭化水素基の炭素数は3〜20であることが好ましく、4〜18であることがより好ましい。脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられるが、運動の自由度が高く光増感色素の会合が効果的に抑制されるという理由からアルキル基が好ましい。アルキル基は分岐状であっても直鎖状であってもよいが、分岐状が好ましい。この場合、光増感色素の会合が効果的に抑制される。上記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−C17、n−C19、n−C1225、n−C1531、n−C1837、n−C2041、8−ヘプタデシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
上記X〜Xを構成する炭化水素基の置換基としては、例えばハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基及び炭素数1〜15のチオアルコキシ基などが挙げられる。置換フェニル基の具体例としては、例えば3,4,5−トリメチルフェノル基、3,5−ジフルオロフェニル基などが挙げられる。
また、上記アルコキシ基又はチオアルコキシ基の置換基としては、例えばハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基及び炭素数1〜15のチオアルコキシ基などが挙げられる。
上記一般式−NAで表されるアミノ基としては、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジドデシルアミノ基、ジペンタデシルアミノ基、ピロリジル基およびピペリジル基などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記X及びXを構成する炭素数3〜20の炭化水素基としては、例えば置換又は無置換のフェニル基および炭素数3〜20の置換又は無置換の脂肪族炭化水素基などが挙げられる。上記脂肪族炭化水素基の炭素数は4〜18であることが好ましい。脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられるが、運動の自由度が高く光増感色素の会合が効果的に抑制されるという理由からアルキル基が好ましい。アルキル基は分岐状であっても直鎖状であってもよいが、分岐状が好ましい。この場合、光増感色素の会合が効果的に抑制される。上記アルキル基の具体例としては、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−C17、n−C19、n−C1225、n−C1531、n−C1837、n−C2041、8−ヘプタデシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
上記X及びXを構成する炭化水素基の置換基としては、上記X〜Xを構成する炭化水素基の置換基と同じものを用いることができる。
〜Rによって表される1価の陽イオンとしては、例えばLi、Na、K、Rb、Csなどの金属の陽イオン及び下記一般式(3)で表されるアンモニウムイオンなどが挙げられる。
Figure 2015135922
上記式(3)中、R〜R11はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜15の置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基を表す。ここで、脂肪族炭化水素基としては、例えばアルキル基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基の置換基としては、例えばハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基及び炭素数1〜15のチオアルコキシ基などが挙げられる。
ここで、R、R、R10及びR11の全てがブチル基であることが好ましい。この場合、上記光増感色素の有機溶媒への溶解性が良好になる。
上記X〜Xはそれぞれ独立に水素原子又は−CO基であることが好ましい。この場合、色素増感太陽電池100の光電変換特性を特に効果的に向上させることができる。
上述したように、上記一般式(1)中、Y、Y及びYはそれぞれ独立に、−NCS基、ハロゲン基又は−CN基を表し、上記一般式(2)中、Yは−NCS基、ハロゲン基又は−CN基を表す。
上記ハロゲン基としては、例えば−Cl基、−Br基及び−I基などが挙げられる。
また、上記一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基又は−CH=CHRを表す。Rは置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基を表す。
上記ヘテロ芳香族基としては、例えばチオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、チエノチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基などの硫黄原子含有ヘテロ芳香族基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、インドリル基などの窒素原子含有ヘテロ芳香族基、フリル基、ベンゾフリル基などの酸素原子含有ヘテロ芳香族基などが挙げられる。
また、上記一般式(1)において、Y、Y及びYが−NCS基であり、上記一般式(2)において、Yが−NCS基であることが好ましい。この場合、光増感色素は、モル吸光係数の大きい吸収ピークを有するため、色素増感太陽電池100の光電変換特性を特に向上させることができる
ここで、上記の光増感色素の合成方法について図2及び図3を用いて詳細に説明する。図2及び図3は、本発明の光増感色素の合成経路を表す図である。
図2に示すように、一般式(7)で表されるビピリジン−キノリン構造を有する配位子は、以下のようにして合成される。
すなわち、一般式(4)で表される2−アミノベンズアルデヒド誘導体又は一般式(5)で表されるイサチン誘導体と、一般式(6)で表されるビピリジン骨格を有するケトンとを反応させることにより合成される。
ここで、一般式(4)で表される2−アミノベンズアルデヒド誘導体と一般式(6)で表されるビピリジン骨格を有するケトンとを反応させると、一般式(7)において、Xが水素原子である配位子が得られる。例えば、2−アミノ−5−オクチルベンズアルデヒドと6−アセチル−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸ジn−ブチルとを反応させると、6−(2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸ジn−ブチルが得られる。
また、一般式(5)で表されるイサチン誘導体と一般式(6)で表されるビピリジン骨格を有するケトンとを反応させると、一般式(7)において、Xが−COH基である配位子が得られる。例えば、5−オクチルイサチンと6−アセチル−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸ジn−ブチルとを反応させると、6−(4−カルボキシ−6−オクチル−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸が得られる。
また、一般式(7)で表されるビピリジン−キノリン構造を有する配位子は、例えばビピリジン誘導体とキノリン誘導体をクロスカップリングさせることによっても合成することができる。この方法で配位子を合成する場合、Xとして−COH基以外の置換基を導入することができる。
こうして、一般式(7)で表されるビピリジン−キノリン構造を有する配位子が合成される。
また、図2に示すように、一般式(1)においてY、Y及びYが共にYである光増感色素、すなわち一般式(10)で表される光増感色素を合成する場合には、一般式(8)又は(9)で表される原料金属塩を、上記一般式(7)で表されるビピリジン−キノリン構造を有する配位子、および、1価の陽イオンと1価の陰イオンとの塩であるZYと順次反応させればよい。
ここで、一般式(8)で表される原料金属塩、すなわちハロゲン化鉄(II)4水和物は、一般式(1)及び(2)においてMがFeである場合に用いることが好ましい。また、一般式(1)及び(2)においてMがRuである光増感色素を合成する場合は、一般式(9)で表される原料金属塩として、ジハロ(シメン)ルテニウムダイマーを用いることが好ましい。さらに、一般式(1)及び(2)においてMがOsである光増感色素を合成する場合は、一般式(9)で表される原料金属塩として、ジハロ(シメン)オスミウムダイマーを用いることが好ましい。ここで、一般式(9)においてYは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオンである。
また、一般式(1)及び(2)においてMがRuである光増感色素を合成する場合は、原料金属塩としてハロゲン化ルテニウム(III)水和物を用いてもよい。この場合、原料金属塩は、反応系中で還元されてRu(II)イオン種となる。この場合、一般式(10)で表される光増感色素は、先ず一般式(7)で表されるビピリジン−キノリン構造を有する配位子の−CO基、−SO基、及び/又は−P(=O)(OR)(OR)基をアルキルエステル化してエステル化配位子とし、一般式(8)又は(9)で表される原料金属塩を、上記エステル化配位子および上記ZYと順次反応させた後、アルキルエステル化された置換基を加水分解することにより合成することができる。
1価の陽イオンZとしては、例えばLi、Na、K、Rb、Csなどの金属の陽イオン及び上記一般式(3)で表されるアンモニウムイオンなどが挙げられる。
上記1価の陽イオンZのうち、テトラブチルアンモニウムイオンが好ましい。この場合、上記一般式(10)で表される光増感色素の有機溶媒への溶解性が良好になる。
また、1価の陰イオンYとしては、例えばNCS、CN及びハロゲン化物イオンなどが挙げられる。ハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどが挙げられる。
さらに、異なる種類のZYを順次反応させることにより、一般式(10)で表される光増感色素において、Mに配位した3個のYを互いに異なるものとすることができる。
また、図3に示すように、一般式(2)で表される光増感色素を合成する場合には、上記一般式(8)又は(9)で表される原料金属塩を、上記一般式(7)で表されるビピリジン−キノリン構造を有する配位子、下記一般式(A)で表されるβ−ジケトン、および、1価の陽イオンと1価の陰イオンとの塩であるZYと順次反応させればよい。
Figure 2015135922
こうして、一般式(10)及び一般式(2)で表される光増感色素が得られる。
(共吸着剤)
共吸着剤は、上記光増感色素同士の会合を抑制するものであればよいが、共吸着剤としては下記一般式(11)で表される有機化合物又はその塩が用いられてもよい。ここで、有機化合物は非金属原子のみで構成される。
Figure 2015135922
上記式(11)中、nは0〜5の整数を表し、R12は、ステロイド骨格を有する一価の基を表す。
nは好ましくは0〜2の整数である。
ステロイド骨格を有する一価の基としては、例えば下記一般式(12)で表される一価の基が用いられる。
Figure 2015135922
上記式(12)中、R13、R14及びR15はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基を表す。
ステロイド骨格を有する共吸着剤の具体例としては、例えばデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸、ヒオデオキシコール酸及びこれらの塩などが挙げられる。
光増感色素に対する共吸着剤のモル比は通常、0.5〜200であり、好ましくは10〜100である。光増感色素に対する共吸着剤のモル比が上記範囲内にあると、上記範囲を外れる場合に比べて、漏れ電流をより効果的に低減することができると共に、発電電流をより増加させることができる。
次に、上述した色素増感太陽電池100の製造方法について説明する。
まず1つの透明基板11の上に、透明導電膜12を形成してなる透明導電性基板15を用意する。
透明導電膜12の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、スプレー熱分解法(SPD:Spray Pyrolysis Deposition)及びCVD法などが用いられる。
次に、透明導電膜12の上に、酸化物半導体層13を形成する。酸化物半導体層13は、酸化物半導体粒子を含む多孔質酸化物半導体層形成用ペーストを印刷した後、焼成して形成する。
酸化物半導体層形成用ペーストは、上述した酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テレピネオールなどの溶媒を含む。
酸化物半導体層形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又は、バーコート法などを用いることができる。
焼成温度は酸化物半導体粒子の材質により異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子の材質により異なるが、通常は1〜5時間である。
こうして作用極10が得られる。
次に、作用極10の酸化物半導体層13の表面に、上記のようにして合成された光増感色素を吸着させる。このためには、作用極10を、光増感色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その光増感色素を酸化物半導体層13に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な光増感色素を洗い流し、乾燥させることで、光増感色素を酸化物半導体層13に吸着させればよい。但し、光増感色素を含有する溶液を酸化物半導体層13に塗布した後、乾燥させることによって光増感色素を酸化物半導体層13に吸着させてもよい。
次に、作用極10の酸化物半導体層13の表面に、上述した共吸着剤を吸着させる。このためには、作用極10を、共吸着剤を含有する溶液の中に浸漬させ、その共吸着剤を酸化物半導体層13に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な共吸着剤を洗い流し、乾燥させることで、共吸着剤を酸化物半導体層13の表面に吸着させればよい。但し、共吸着剤を含有する溶液を酸化物半導体層13に塗布した後、乾燥させることによって共吸着剤を酸化物半導体層13に吸着させてもよい。
このとき、共吸着剤は、酸化物半導体層13の表面において、光増感色素が吸着していない領域に吸着されることになる。
なお、共吸着剤は、光増感色素と混合し、同時に酸化物半導体層13の表面に吸着させてもよい。この場合、酸化物半導体層13を、光増感色素及び共吸着剤を含む溶液中に浸漬すればよい。このとき、溶液中における酸化物半導体層13の浸漬時間は、好ましくは10〜48時間であり、より好ましくは15〜25時間である。
次に、酸化物半導体層13の上に電解質40を配置する。電解質40は、例えばスクリーン印刷等の印刷法によって配置することが可能である。
次に、環状の封止部形成体を準備する。封止部形成体は、例えば封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに1つの四角形状の開口を形成することによって得ることができる。
そして、この封止部形成体を、作用極10の上に接着させる。このとき、封止部形成体の作用極10への接着は、例えば封止部形成体を加熱溶融させることによって行うことができる。
次に、対極20を用意し、封止部形成体の開口を塞ぐように配置した後、封止部形成体と貼り合わせる。このとき、対極20にも予め封止部形成体を接着させておき、この封止部形成体を作用極10側の封止部形成体と貼り合せてもよい。対極20の封止部形成体への貼合せは、大気圧下で行っても減圧下で行ってもよいが、減圧下で行うことが好ましい。
以上のようにして色素増感太陽電池100が得られる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、透明導電性基板15の透明導電膜12上に多孔質酸化物半導体層13が設けられ、こちら側から受光する構造となっているが、多孔質酸化物半導体層13が形成される基材に不透明な材料(例えば金属基板)を用い、対極20を形成する基材に透明な材料を用いて対極側から受光する構造をとっても構わず、さらに、両面から受光する構造としても構わない。
また上記実施形態では作用極10の酸化物半導体層13の表面に共吸着剤が吸着されているが、共吸着剤は必ずしも用いられなくてもよい。
さらに上記実施形態では、光増感色素は、上記一般式(1)又は(2)で表される光増感色素を含んでいるが、この光増感色素を第1光増感色素として、第1光増感色素と異なる第2光増感色素をさらに含んでいてもよい。
ここで、第2光増感色素としては、第1光増感色素の吸収ピーク波長よりも短波長側に吸収ピークを有する光増感色素が好ましい。
この場合、光電変換特性をより向上させることができる。ここで、第2光増感色素の吸収ピーク波長は、好ましくは300〜500nmであり、より好ましくは300〜450nmである。
このような第2光増感色素としては、その吸収ピーク波長におけるモル吸光係数が、第1光増感色素の吸収ピーク波長におけるモル吸光係数よりも大きいものが好ましく用いられる。この場合、広い波長領域にわたってより優れた吸光特性を有することが可能となる。
このような第2光増感色素としては、下記一般式(13)で表される色素が用いられる。
Figure 2015135922
上記式(13)中、R16及びR17はそれぞれ独立に、水素原子、−CN、−COOH、又は炭素原子数1〜5の炭化水素基を表し、R18、R19、R21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基を表し、R20は炭素原子数1〜5のアルコキシ基で置換されたフェニル基、又は下記一般式(14)で表される置換基を表す。R21及びR22は互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよい。
Figure 2015135922
上記式(14)中、R23、R24、R25及びR26はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を表す。
上記一般式(13)で表される色素としては、具体的には下記構造式(15)及び(16)で表されるものが挙げられる。
Figure 2015135922
Figure 2015135922
なお、上記構造式(15)で表される第2光増感色素(D131)の吸収ピーク波長は420nmであり、上記構造式(16)で表される第2光増感色素の吸収ピーク波長は395nmである。
上記第2光増感色素としては、下記一般式(17)で表される色素を用いることも可能である。
Figure 2015135922
上記式(17)中、R27は水素原子又は−CNR2930を表し、R28は−CNR2930を表す。R29及びR30はそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。
上記一般式(17)で表される光増感色素のうち、R27が水素原子を表し、R28が−CNR2930を表す色素が好ましい。この場合、光電変換特性をより向上させることができる傾向にある。
上記一般式(17)で表される光増感色素の具体例としては、例えば下記構造式(18)及び(19)で表されるものが挙げられる。
Figure 2015135922
Figure 2015135922
なお、上記構造式(18)で表される第2光増感色素(NKX−2553)の吸収ピーク波長は455nmであり、上記構造式(19)で表される第2光増感色素(NKX−2554)の吸収ピーク波長は465nmである。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<光増感色素の合成>
(合成例1)
6−(6−オクチル−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸の合成:
6−アセチル−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸ジn−ブチル210mgに2−アミノ−5−オクチルベンズアルデヒド124mg、水酸化カリウム123mg、エタノール13mlを加えて溶解させ、得られた反応溶液を14時間加熱還流させた。加熱還流後、この反応溶液に水6mlを加えて反応溶液をさらに8時間加熱還流させた。加熱還流後、反応溶液を室温まで冷却し、この反応溶液に3M塩酸を加えて反応溶液のpHを7に調整し、沈殿物を生成させた。生成した沈殿物をろ別し、水で洗浄し、減圧下で乾燥することにより固体143mgを得た。この固体についてNMRを測定したところ、NMRの結果は以下の通りであった。

1H−NMR(270MHz/DMSO)δ(ppm):
0.85(t、3H)1.30(m、10H)、1.72(m、2H)、2.82(t、2H)、7.72(d、1H)、7.83(s、1H)、7.91(d、1H)、8.13(d、1H)、8.56(d、1H)、8.72(d、1H)、8.88(d、1H)、8.92(s、1H)、9.02(s、1H)、9.07(s、1H)

上記NMRの結果より、上記固体は、6−(6−オクチル−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸であることが分かった。

[6−(6−オクチル−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸]トリチオシアナートルテニウム(II)テトラブチルアンモニウムの合成:
ジメチルホルムアミド20mlに、上記のようにして得られた6−(6−オクチル−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸130mgとジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー83mgを溶解させ、得られた反応溶液をアルゴン雰囲気下、90℃で4時間加熱撹拌した。続いて反応溶液をテトラブチルアンモニウムチオシアナート0.977gを加えて16時間加熱還流させた。加熱還流終了後、溶媒を減圧留去し、残渣をメタノール2mlに溶解させて溶液を得た。そして、この溶液に水6mlを加え、生じた沈殿物をろ別した。生じた沈殿物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:Sephadex LH−20、溶離液:エタノール)にて精製し、固体42mgを得た。そして、この固体についてNMRを測定したところ、NMRの結果は以下の通りであった。

1H−NMR(270MHz/CDOD):δ(ppm)
0.89(t、3H)、0.97(t、12H)、1.36(m、18H)、1.62(m、8H)、1.80(m、2H)、2.90(t、2H)、3.20(m、8H)、7.78(s、1H)、7.86(d、1H)、8.11(d、1H)、8.44(s、1H)、8.85(d、1H)、8.93(s、1H)、9.13(d、1H)、9.77(d、1H)

上記結果より、上記固体は、[6−(6−オクチル−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸]トリチオシアナートルテニウム(II)テトラブチルアンモニウムであることが分かった。
(合成例2)
6−(4−メトキシカルボニル−6−オクチル−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン4,4’−ジカルボン酸ジメチルの合成:
5−オクチルイサチン212mgを33%水酸化カリウム水溶液1mlとエタノール2mlの混合溶液に溶解させ、得られた溶液を、6−アセチル−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸ジn−ブチル263mgのエタノール溶液1mlに加えて反応溶液を得た。そして、得られた反応溶液を、激しく撹拌しながら6時間加熱還流させた。続いて反応溶液に水2mlを加え、反応溶液をさらに14時間加熱還流させた。加熱還流終了後、反応溶液を室温まで冷却し、不溶物をろ別し、エタノール2mlで洗った。得られたろ液に1M塩酸を加えてpHを3に調整し、沈殿物を生成させた。得られた沈殿物をろ別し、水で洗浄し、減圧下で乾燥することにより固体148mgを得た。得られた固体にメタノール10ml、濃硫酸0.8mlを加え、6時間加熱還流させた。加熱還流終了後、反応溶液を室温まで冷却し、純水20mlに滴下することにより沈殿を生じさせた。得られた沈殿をろ別し、水で洗浄し、減圧下で乾燥することにより固体175mgを得た。これについてNMRを測定したところ、NMRの結果は以下の通りであった。

H−NMR(270MHz/CDCl):δ(ppm)
0.89(t、3H)1.35(m、10H)、1.76(m、2H)、2.87(t、2H)、4.06(s、3H)、4.07(s、3H)、4.15(s、3H)、7.69(d、1H)、7.95(d、1H)、8.22(d、1H)、8.58(s、1H)、8.92(m、1H)、9.06(s、1H)、9.19(s、1H)、9.24(s、1H)、9.27(d、1H)


[6−(4−カルボキシ−6−オクチル−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸]トリチオシアナートルテニウム(II)テトラブチルアンモニウムの合成:
クロロホルム:エタノール=1:1の混合溶媒34mlに、上記のようにして得られた6−(4−メトキシカルボニル−6−オクチル−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸ジメチル175mgと塩化ルテニウム(III)100mgを溶解させ、反応溶液を得た。そして、得られた反応溶液を、アルゴン雰囲気下、7時間加熱還流させた。加熱還流終了後、反応溶液を室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にエタノール5mlを加えて懸濁させ、固体をろ別した。得られた固体をエタノールで洗浄後、減圧下乾燥することにより、茶色固体101mgを得た。この茶色固体とテトラブチルアンモニウムチオシアナート0.585gとを、ジメチルホルムアミド10mlに溶解させ、得られた反応溶液を、アルゴン雰囲気下、16時間加熱還流させた。続いてこの反応溶液にトリエチルアミン2ml、水0.5mlを加え、さらに8時間加熱還流させた。加熱還流終了後、溶媒を減圧留去し、残渣を0.1M水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液に溶解させて溶液を得た。この溶液に0.1M硝酸を加え溶液のpHを5に調整し、沈殿物を生成させた。生成した沈殿物をろ別し、減圧下で乾燥させた。この沈殿物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:Sephadex LH−20、溶離液:0.01Mテトラブチルアンモニウム水溶液)にて精製し、固体31mgを得た。この固体についてNMRを測定したところ、NMRの結果は以下の通りであった。

1H−NMR(270MHz/DMSO):δ(ppm)
0.89(t、3H)、0.97(t、12H)、1.36(m、18H)、1.62(m、8H)、1.80(m、2H)、2.90(t、2H)、3.20(m、8H)、7.89(d、1H)、8.20(d、1H)、8.49(s、1H)、8.69(s、1H)、8.90(s、1H)、8.92(s、1H)、9.03(s、1H)、9.24(d、1H)、9.86(d、1H)

上記NMRの結果より、上記固体は、[6−(4−カルボキシ−6−オクチル−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸]トリチオシアナートルテニウム(II)テトラブチルアンモニウムであることが分かった。
(合成例3)
6−(2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸の合成:
6−アセチル−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸ジn−ブチル610mgに2−アミノベンズアルデヒド390mg、水酸化カリウム300mg、エタノール30mlを加えて溶解させ、得られた反応溶液を14時間加熱還流させた。加熱還流後、この反応溶液に水15mlを加えて反応溶液をさらに14時間加熱還流させた。加熱還流後、反応溶液を室温まで冷却し、この反応溶液に4M塩酸を加えて反応溶液のpHを7に調整し、沈殿物を生成させた。生成した沈殿物をろ別し、水で洗浄し、減圧下で乾燥することにより固体470mgを得た。この固体についてNMRを測定したところ、NMRの結果は以下の通りであった。

H−NMR(270MHz/DMSO)δ(ppm):
7.76(t、1H)、7.92(t、1H)、8.01(d、1H)、8.12(d、1H)、8.26(d、1H)、8.68(d、1H)、8.75(d、1H)、8.96(s、1H)、9.01(d、1H)、9.05(s、1H)、9.13(s、1H)

上記NMRの結果より、上記固体は、6−(2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸であることが分かった。

[6−(2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸]トリチオシアナートルテニウム(II)テトラブチルアンモニウムの合成:
ジメチルホルムアミド30mlに、上記のようにして得られた6−(2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸100mgとジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー82mgを溶解させ、得られた反応溶液をアルゴン雰囲気下、90℃で4時間加熱撹拌した。続いて反応溶液をテトラブチルアンモニウムチオシアナート1.2gを加えて4時間加熱還流させた。加熱還流終了後、溶媒を減圧留去し、残渣をメタノール2mlに溶解させて溶液を得た。そして、この溶液に水6mlを加え、生じた沈殿物をろ別した。生じた沈殿物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:Sephadex LH−20、溶離液:エタノール)にて精製し、固体69mgを得た。そして、この固体についてNMRを測定したところ、NMRの結果は以下の通りであった。

H−NMR(270MHz/DMSO):δ(ppm)
0.97(t、12H)、1.36(m、8H)、1.62(m、8H)、3.20(m、8H)7.83(t、1H)、8.04(m、2H)、8.24(d、1H)、8.58(s、1H)、8.59(s、1H)、8.95(m、2H)、9.07(d、2H)、9.33(d、1H)、9.90(d、1H)

上記結果より、上記固体は、[6−(2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸]トリチオシアナートルテニウム(II)テトラブチルアンモニウムであることが分かった。
(合成例4)
6−(4−メトキシカルボニル−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸ジメチルの合成:
イサチン160mgを33%水酸化カリウム水溶液1mlに溶解させ、得られた溶液を、6−アセチル−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸ジn−ブチル390mgのエタノール溶液5mlに加えて反応溶液を得た。そして、得られた反応溶液を、激しく撹拌しながら14時間加熱還流させた。続いて反応溶液に水2mlを加え、反応溶液をさらに14時間加熱還流させた。加熱還流終了後、反応溶液を室温まで冷却し、この反応溶液に3M塩酸を加えてpHを3に調整し、沈殿物を生成させた。得られた沈殿物をろ別し、水で洗浄し、減圧下で乾燥することにより固体430mgを得た。得られた固体にメタノール15ml、濃硫酸1mlを加え、6時間加熱還流させた。加熱還流終了後、反応溶液を室温まで冷却し、純水20mlに滴下することにより沈殿を生じさせた。得られた沈殿をろ別し、水で洗浄し、減圧下で乾燥することにより固体407mgを得た。得られた固体についてNMRを測定したところ、NMRの結果は以下の通りであった。

1H−NMR(270MHz/CDCl):δ(ppm)
4.19(s、3H)、4.12(s、6H)、7.81(t、1H)、7.97(t、1H)、8.28(d、1H)、8.62(d、1H)、8.82(d、1H)、9.01(s、1H)、9.16(s、1H)、9.33(m、3H)

上記NMRの結果より、上記固体は、6−(4−メトキシカルボニル−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸ジメチルであることが分かった。

[6−(4−カルボキシ−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸]トリチオシアナートルテニウム(II)の合成:
クロロホルム:エタノール=1:1の混合溶媒70mlに、上記のようにして得られた6−(4−メトキシカルボニル−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸ジメチル360mgと塩化ルテニウム(III)220mgを溶解させ、反応溶液を得た。そして、得られた反応溶液を、アルゴン雰囲気下、3時間加熱還流させた。加熱還流終了後、反応溶液を室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にエタノール10mlを加えて懸濁させ、固体をろ別した。得られた固体をエタノールで洗浄後、減圧下乾燥することにより、茶色固体270mgを得た。この茶色固体とテトラブチルアンモニウムチオシアナート1.8gとを、ジメチルホルムアミド30mlに溶解させ、得られた反応溶液を、アルゴン雰囲気下、16時間加熱還流させた。続いてこの反応溶液にトリエチルアミン6ml、水1.5mlを加え、さらに8時間加熱還流させた。加熱還流終了後、溶媒を減圧留去し、残渣を0.1M水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液に溶解させて溶液を得た。この溶液に0.1M硝酸を加え溶液のpHを3.6に調整し、沈殿物を生成させた。生成した沈殿物をろ別し、減圧下で乾燥させた。この沈殿物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:Sephadex LH−20、溶離液:0.01Mテトラブチルアンモニウム水溶液)にて精製し、固体150mgを得た。この固体についてNMRを測定したところ、NMRの結果は以下の通りであった。

1H−NMR(270MHz/DMSO):δ(ppm)
7.84(m、1H)、8.03(m、1H)、8.20(m、1H)、8.73(m、2H)、8.92(s、1H)、8.73(m、2H)、8.92(s、2H)、9.07(s、1H)、9.26(d、1H)、9,97(d、1H)

上記NMRの結果より、上記固体は、[6−(4−カルボキシ−2−キノリニル)−2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸]トリチオシアナートルテニウム(II)であることが分かった。
(実施例1)
まずガラスからなる厚さ1mmの透明基板の上に、厚さ1μmのFTOからなる透明導電膜を形成してなる透明導電性基板を準備した。
次に、透明導電膜上に、チタニアを含む酸化物半導体層形成用ペーストを塗布し乾燥した後、500℃で1時間焼成した。こうして厚さ40μmの多孔質酸化物半導体層を有する作用極を得た。
次に、作用極を、色素溶液中に一昼夜浸漬させた後、取り出して乾燥させ、酸化物半導体層に光増感色素を担持させた。色素溶液は、1−プロパノール溶媒中に、上記のようにして得られた合成例1の光増感色素を0.2mMとなるように溶解させることで作製した。
次に、多孔質酸化物半導体層の上に、電解質を塗布した。電解質は、アセトニトリルからなる溶媒中に、ヨウ化リチウムを2.0M、Iを0.05Mとなるように溶解させることで調製した。
次に、封止部を形成するための封止部形成体を準備した。封止部形成体は、10mm×10mm×50μmのアイオノマー(商品名:ハイミラン、三井・デュポンポリケミカル社製)からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに、四角形状の開口を形成することによって得た。このとき、開口は、6mm×6mm×50μmの大きさとなるようにした。
そして、この封止部形成体を、作用極の上に載せた後、封止部形成体を加熱溶融させることによって作用極に接着させた。
次に、対極を用意した。対極は、15mm×15mm×1mmのFTO導電性ガラス基板の上にスパッタリング法によって厚さ600nmの白金からなる触媒層を形成することによって用意した。また、上記封止部形成体をもう1つ準備し、この封止部形成体を、対極のうち作用極と対向する面に、上記と同様にして接着させた。
そして、作用極に接着させた封止部形成体と、対極に接着させた封止部形成体とを対向させ、封止部形成体同士を重ね合わせた。そして、この状態で封止部形成体を加圧しながら加熱溶融させた。こうして作用極と対極との間に封止部を形成した。
こうして色素増感太陽電池を得た。
(実施例2)
光増感色素として、合成例1で得られた光増感色素の代わりに、合成例2で得られた光増感色素を用いたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
(比較例1)
光増感色素として、合成例1で得られた光増感色素の代わりに、合成例3で得られた光増感色素を用いたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
(比較例2)
光増感色素として、合成例1で得られた光増感色素の代わりに、合成例4で得られた光増感色素を用いたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
<特性の評価>
(1)色素増感太陽電池の光電変換特性
まず、実施例1〜2及び比較例1〜2の色素増感太陽電池について、ソーラーシュミレーター(山下電装社製、製品名YSS−150A)を用いて、照射光100mW/cm、エアマス1.5の条件で短絡電流密度JSC(mA/cm)及び初期光電変換効率η(%)を測定した。結果を表1及び表2に示す。また比較例1のη(以下、「η1」と呼ぶ)を基準とした実施例1及び比較例1のηの増加率A1(=100×(η−η1)/η1)を算出した。結果を表1に示す。さらに比較例2のη(以下、「η2」と呼ぶ)を基準とした実施例2及び比較例2のηの増加率A2(=100×(η−η2)/η2)を算出した。結果を表2に示す。
(2)色素増感太陽電池の耐久性
実施例1〜2および比較例1〜2で得られた色素増感太陽電池について、大気圧下、85℃の高温環境下で100h放置した後の光電変換効率(η)も測定した。そして、下記式:
光電変換効率の低下率B(%)=(η−η)/η×100
に基づき、光電変換効率の低下率Bを算出した。結果を表1及び表2に示す。
Figure 2015135922
Figure 2015135922
表1に示す結果より、比較例1を基準とした実施例1のηの増加率A1は4.4%であり、実施例1は、比較例1に対して色素増感太陽電池の光電変換特性を向上させることができることが分かった。
また表2に示す結果より、比較例2を基準とした実施例2のηの増加率A2は5.3%であり、実施例2は、比較例2に対して色素増感太陽電池の光電変換特性を向上させることができることが分かった。
さらに表1に示す結果より、実施例1のηの低下率B1は2.2%であり、比較例1のηの低下率B1は47.3%であったことから、実施例1は、比較例1に対して色素増感太陽電池の耐久性を向上させることができることが分かった。
また表2に示す結果より、実施例2のηの低下率B2は2.1%であり、比較例2のηの低下率B2は51.4%であったことから、実施例2は、比較例2に対して色素増感太陽電池の耐久性を向上させることができることが分かった。
以上より、本発明の光増感色素によれば、色素増感太陽電池の耐久性及び光電変換特性を向上させることができることが確認された。
10…作用極
11…透明基板
12…透明導電膜
13…酸化物半導体層
15…透明導電性基板(第1電極)
20…対極(第2電極)
40…電解質
100…色素増感太陽電池

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)又は(2)で表される光増感色素。
    Figure 2015135922
    Figure 2015135922

    (上記式(1)及び(2)中、MはFe、Ru又はOsを表す。また、X〜Xはそれぞれ独立に、−CO基、−SO基、−P(=O)(OR)(OR)基、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜20の置換若しくは無置換の炭化水素基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のチオアルコキシ基又は一般式−NAで表されるアミノ基を表す。ここで、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は1価の陽イオンを表す。また、X〜Xのうち少なくとも1つは−CO基、−SO基又は−P(=O)(OR)(OR)基である。また、A及びAはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。ここでA及びAは互いに結合して環状構造を形成してもよい。またX及びXはそれぞれ独立に、炭素数3〜20の置換若しくは無置換の炭化水素基を表す。また、上記式(1)中、Y、Y及びYはそれぞれ独立に、−NCS基、ハロゲン基又は−CN基を表し、Zは1価の陽イオンを表す。上記式(2)中、Yは−NCS基、ハロゲン基又は−CN基を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜15の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基又は−CH=CHRを表す。Rは置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換のヘテロ芳香族基を表す。)
  2. 前記一般式(1)及び(2)において、MがRuである請求項1に記載の光増感色素。
  3. 前記一般式(1)において、Y、Y及びYが−NCS基であり、前記一般式(2)において、Yが−NCS基である請求項1又は2に記載の光増感色素。
  4. 前記一般式(1)及び(2)において、X〜Xがそれぞれ独立に水素原子又は−CO基である請求項1〜3のいずれか一項に記載の光増感色素。
  5. 透明基板及び前記透明基板上に設けられる透明導電膜を有する第1電極と、
    前記第1電極に対向する第2電極と、
    前記第1電極又は前記第2電極に設けられる酸化物半導体層と、
    前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられる電解質と、
    前記酸化物半導体層に吸着される光増感色素と、
    を備え、
    前記光増感色素が請求項1〜4のいずれか一項に記載の光増感色素を含む色素増感太陽電池。
  6. 前記酸化物半導体層に吸着される共吸着剤をさらに含む請求項5に記載の色素増感太陽電池。
  7. 前記光増感色素が、第1光増感色素と、前記第1光増感色素と異なる第2光増感色素とを含み、前記第1光増感色素が請求項1〜4のいずれか一項に記載の光増感色素で構成される請求項5又は6に記載の色素増感太陽電池。
  8. 前記第2光増感色素が、前記第1光増感色素の吸収ピークよりも短波長側に吸収ピークを有する請求項7に記載の色素増感太陽電池。
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