JP2011157449A - 遷移金属錯体及びその配位子として有用な化合物並びにそれを含んだ酸化物半導体電極及び色素増感太陽電池 - Google Patents

遷移金属錯体及びその配位子として有用な化合物並びにそれを含んだ酸化物半導体電極及び色素増感太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な光電変換効率を有すると共に、特に耐久性(特に高温耐久性)を向上させた光増感色素及びその配位子、並びにこれを含む酸化物半導体電極及び色素増感太陽電池の提供。
【解決手段】(i)二酸化チタン等の酸化物半導体粒子表面への吸着サイトとして、ジカルボキシビピリジン(dcbpy)配位子等のビピリジル酸配位子、(ii)長波長の吸収励起・電荷移動を可能とするイソチオシアナト基、イソシアナト基またはイソセレナト基から選ばれる配位子、さらに(iii)遷移金属錯体の吸光度を向上させ、かつ吸収の深色効果を向上させるアリールまたはヘテロアリール基置換複素五員環に直接ないし共役的に結合させたビピリジル(bpy)配位子からなる二価の遷移金属錯体及び該構造を有する光増感色素。
【選択図】なし

Description

本発明は、高温耐久性に優れた新規光増感色素として有用な遷移金属錯体及びその配位子として有用な新規化合物、並びにこれを含む酸化物半導体電極、色素増感太陽電池に関する。
化石燃料の枯渇及びその燃焼による地球温暖化に伴い、これに替わる新エネルギーの開発が急務になってきている。太陽エネルギーは次世代の持続的発展を支えるに充分なポテンシャルを有するクリーンで環境に優しいエネルギー源である。太陽エネルギーを電気に変換する方法としてはシリコン系の半導体太陽電池が開発されてきている。しかし、ここで使用されるシリコンは非常に高純度である必要があり、この精製工程に費やされる多大なエネルギーと複雑な工程のため高い製造コストが要求される。
色素増感太陽電池(DSC)は、比較的高い変換効率を有し、従来型の太陽電池と比べ低コストであるため、学問的また営業的に広く注目された。特に、1991年にグレッツェルらが報告したこの色素増感太陽電池は、光電変換効率が10〜11%に達してきている。これはナノチタニア粒子表面に色素を吸着することにより、可視光領域の光を吸収することを可能にするものであり、色素の役割は光捕集作用を有することから特に重要である。そして、これまでに多くの研究機関で開発が進められ、多くの色素が報告されてはいるが(特許文献1〜9及び非特許文献1〜7)、耐久性のあると報告されているものは、ごく一部にすぎない。たとえば、Z907(非特許文献1)、K19(非特許文献2)、K60(非特許文献3)、K77(非特許文献4)、C101(非特許文献5)などを挙げることができ、これらはすべてグレッツェルらの研究グループで開発されたものである。さらに、本発明者らもこれらと同等以上の変換効率及び耐久性を有するものとして色素J2(特許文献1)を報告している。
そして、近年ではDSC技術はその研究開発という段階から、実用化、産業化という段階へと確実に移行してきており、DSCと既存のシリコン太陽電池との競合の図式は顕著化している。このような状況下でDSCに高い競争力を持たせるためには、さらなる低コスト化が重要であり、このためには変換効率、耐久性をシリコン太陽電池にさらに近づけていくことが必須である。
この点、DSCの高効率化のために、色素の吸収係数の向上及び吸収波長の拡張が必要であることは多くの研究者の一致した見解ではあるものの、高耐久性についてはセル構造の複雑さゆえに色素との関連では一定の指針がないのが現状である。
国際公開第07/091525号パンフレット 特開2003−272721号公報 特開2003−212851号公報 特開2005−47857号公報 特開2005−120042号公報 欧州特許出願公開1622178号 国際公開第06/010290号パンフレット 特開2001−291534号公報 国際公開第09/020098号パンフレット
nature materials, vol.2, JUNE 2003, 402-407 Appl. Phys. Lett. 86, 123508 (2005) Adv. Funct. Mater. 2007, 17, 154-160 Adv. Mater. 2007, 19, 1133-1137 J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 10720-10728 J. Phys. Chem. B2003, 107, 14336-144337 J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 808-809
そこで、本発明の目的は、良好な光電変換効率を有することはもちろんのこと、特に耐久性(特に高温耐久性)を向上させた光増感色素として有用な新規遷移金属錯体及びその配位子として有用な新規化合物、並びにこれを酸化物半導体上に吸着させた酸化物半導体電極及び該酸化物半導体電極を用いた色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
本発明においては、(i)二酸化チタン等の酸化物半導体粒子表面への吸着サイトとして、ジカルボキシビピリジル(dcbpy)配位子等のビピリジル酸配位子、(ii)長波長の吸収励起・電荷移動を可能とするイソチオシアナトイオン、イソシアナト基およびイソセレノシアナト基から選ばれる配位子、さらに(iii)ルテニウム錯体等の遷移金属錯体の吸光度を向上させ、かつ吸収の深色効果を向上させる特定複素五員環を直接ないし共役的に結合させたビピリジル(bpy)配位子からなる二価の遷移金属錯体において、前記特定複素五員環上にアリール又はヘテロアリール基を置換基として導入していることを特徴とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、
下記式(I)で表される二価の遷移金属錯体であって、
ML122 (I)
式(I)中、Mは二価の鉄イオン、ルテニウムイオンまたはオスミウムイオンであり、Aはそれぞれ独立に、イソチオシアナト基(−NCS)、イソシアナト基(−NCO)またはイソセレノシアナト基(−NCSe)であり、
式(I)中、L1が下記式(II−1)で表され、
Figure 2011157449
式(II−1)中、
1はそれぞれ独立に、−CO2H、−PO32、−SO3H、−OPO32またはそれらの塩を表し、
2はそれぞれ独立に、−CO2H、−PO32、−SO3H、−OPO32またはそれらの塩を表し、
a及びbはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、但し、aとbは同時に0になることはなく、a+bが2以上のときQ1及びQ2のうちの少なくとも一つを除き、Q1及びQ2がエステル化またはアミド化されていてもよく、
1及びZ2はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、
c及びdはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、
a+c、b+dはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、
1及びZ2は、Z1が複数ある場合のZ1同士、Z2が複数ある場合のZ2同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよく、
式(I)中、L2が下記式(III―1)〜(III−3)のいずれかで表され、
Figure 2011157449
Figure 2011157449
Figure 2011157449
式(III−1)中、
1及びn2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、
Ar1及びAr2はそれぞれ独立に下記式(IV−1)で定義されるArを表し、
Figure 2011157449
式(IV−1)中、
XはO、S、NH、NR1を表し、
1はフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキルまたはアルコキシアルキル基を表し、
Ar5はそれぞれ独立にアリール又はヘテロアリール基を表し、
9はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシまたはアルコキシアルキル基を表し、
kは1〜3の整数を表し、
lは0〜2の整数を表し、k+lは1〜3の整数であり、
XがNR1である場合のそれぞれのZ9及びR1、またはXがO、SまたはNHである場合のZ9は、Z9が複数ある場合のZ9同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよく、
1及びY2はそれぞれ独立に水素原子または前記Arを表し、
1又はY2が前記Arの場合、それぞれAr1又はAr2と同一でも異なっていてもよく、
3及びZ4はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、
e及びfはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、
3及びZ4は、Z3が複数ある場合のZ3同士、Z4が複数ある場合のZ4同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよく、
式(III−2)中、
3は0〜3の整数を表し、
Ar3は前記式(IV−1)で定義されるArを表し、
3は水素原子または前記Arを表し、
3が前記Arの場合、それはAr3と同一でも異なっていてもよく、
5及びZ6はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、
gは0〜3の整数を表し、
hは0〜4の整数を表し、
5及びZ6は、Z5が複数ある場合のZ5同士、Z6が複数ある場合のZ6同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよく、
式(III−3)中、
Ar4は前記式(IV−1)で定義されるArを表し、
4は水素原子または前記Arを表し、
4が前記Arの場合、それはAr4と同一でも異なっていてもよく、
7及びZ8はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、
i及びjはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、
7及びZ8は、Z7が複数ある場合のZ7同士、Z8が複数ある場合のZ8同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよいことを特徴とする遷移金属錯体である。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様の遷移金属錯体の構造を有する光増感色素を酸化物半導体上に吸着させたことを特徴とする酸化物半導体電極である。
本発明の第三の態様は、前記第二の態様の酸化物半導体電極からなるアノード、電荷移動物質または有機ホール移動物質、及びカソードから構成されることを特徴とする色素増感太陽電池である。
本発明の第四の態様は、下記式(V−1)で表され、光増感金属錯体色素の配位子として有用な新規化合物である。
Figure 2011157449
式(V−1)中、
1はO、S、NH、またはNR2を表し、
2はフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキルまたはアルコキシアルキル基を表し、
2はO、S、NH、またはNR3を表し、
3はフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル又はアルコキシアルキル基を表し、
Ar6はそれぞれ独立にアリール又はヘテロアリール基を表し、
mは1〜3の整数を表し、
10はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、
nは0〜2の整数を表し、
m+nは1〜3の整数であり、
1がNR2である場合のそれぞれのZ10及びR2、XがO、S又はNHである場合のZ10は、Z10が複数ある場合のZ10同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよく、
Ar7はそれぞれ独立にアリール又はヘテロアリール基を表し、
oは1〜3の整数を表し、
11はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、
pは0〜2の整数を表し、
o+pは1〜3の整数であり、
2がNR3である場合のそれぞれのZ11及びR3、XがO、S又はNHである場合のZ11は、Z11が複数ある場合のZ11同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよい。
本発明による新規遷移金属錯体は、ビピリジル配位子に直接ないし共役的に結合する特定複素五員環(IV-1)に、置換基としてアリール又はヘテロアリール基を有する両親媒性色素であり、この芳香族基の導入により耐久性、特に高温耐久性を向上させている点が大きな特徴である。その理由については理論に束縛されるものではないが次のように考えている。すなわち、ビピリジル配位子(II−1)中のカルボキシル基等の酸性基Q1またはQ2をアンカーとして、酸化チタン等の酸化物半導体上に吸着された複数の色素分子同士が、チオフェン環等の特定複素五員環に導入されたアリールまたはヘテロアリール置換基による強化されたπ−π相互作用により橋架け構造を形成することで、各色素分子と酸化物半導体との結合が安定化されるため、色素分子が酸化チタン等の酸化物半導体から離脱することが抑制され、その結果、長時間高温に暴露されても、エネルギー変換効率の低下が抑えられたと解釈している。
また、本発明の新規遷移金属錯体は、上記のような特徴に加えて、以下のような特徴も有している。すなわち、特定複素五員環を直接ないし共役的に結合させたビピリジル配位子の導入により、可視紫外領域において高い分子吸光係数を有するため、光増感色素として高い光電変換特性を提供することが可能である。さらに、固体状態の色素増感太陽電池において、色素は、二酸化チタン等の酸化物半導体とホール伝導体間のスペーサーとして作用し、特定複素五員環を含む共役結合構造は、このスペーサー効果を有効に助長し、電子の再結合をブロックする。これにより、固体系色素増感太陽電池の性能向上にも寄与する。
本発明の遷移金属錯体を色素増感太陽電池の光増感色素として用いることにより、高い光電変換特性を有することはもちろん、耐久性、特に高温耐久性に優れた光電変換素子を提供することが可能である。
(一)本発明の第一の態様について
本態様は、下記で説明するような式:
ML122 (I)
で表される遷移金属錯体に関するものであり、特に光増感色素として有用である。
(i)遷移金属イオンM
前記式(I)中の遷移金属イオンMは、二価の鉄イオン、ルテニウムイオンまたはオスミウムイオンであり、電池性能もしくは環境影響の観点から、二価のルテニウムイオン又は鉄イオンが好ましく、特に二価のルテニウムイオンが好ましい。
(ii)配位子A
前記式(I)中の配位子Aはそれぞれ独立に、イソチオシアナト基(−NCS)、イソシアナト基(−NCO)またはイソセレノシアナト基(−NCSe)であり、電子供与性の観点からイソチオシアナト基又はイソセレノシアナト基が好ましく、特にイソチオシアナト基が好ましい。そして、2つの配位子A共にイソチオシアナト基であることが特に好ましい。
(iii)配位子L1
前記式(I)中の配位子L1は下記式(II−1)で表される。
Figure 2011157449
式(II−1)中、
1はそれぞれ独立に、カルボキシル基(−CO2H)、ホスホン酸基(−PO32)、スルホン酸基(−SO3H)、ホスホニルオキシ基(−OPO32)またはそれらの塩であり、Q2はそれぞれ独立に、カルボキシル基(−CO2H)、ホスホン酸基(−PO32)、スルホン酸基(−SO3H)、ホスホニルオキシ基(−OPO32)またはそれらの塩である。
a及びbはそれぞれ独立に0〜4の整数、好ましくは1を表し、但し、aとbは同時に0になることはない。また、a+bが2以上のとき、Q1及びQ2のうちの少なくとも一つを除き、Q1及びQ2がエステル化またはアミド化されていてもよい。ここで、「少なくとも一つを除き」とは、Q1またはQ2が複数ある場合、これら複数あるQ1またはQ2のうちの一つを除くことを意味する。このようなエステル化またはアミド化のためのアルコールあるいはアミンとしてはメタノール、エタノール、ジメチルアミンが挙げられる。
1及びZ2はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、c及びdはそれぞれ独立に0〜4の整数、好ましくはいずれも0を表す。
a+c、b+dはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。
1及びZ2は、Z1が複数ある場合のZ1同士、Z2が複数ある場合のZ2同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよい。
置換基Q1およびQ2としては、二酸化チタン等の酸化物半導体と化学結合し、電子を効率よく注入できる点で、カルボキシル基(−CO2H)またはホスホン酸基(−PO32)が好ましく、カルボキシル基(−CO2H)が特に好ましい。
また、置換基Q1およびQ2は同種の置換基であることが、前述の化学結合、電子の注入の点でより好ましい。
その位置は、π共役電子系の連鎖の点で、下記式(II−2)にあるように4位と4’位にあるのが好ましい。
Figure 2011157449
置換基Q1およびQ2の塩としては、たとえばアルカリ金属や四級アンモニウムとの塩を形成したものが挙げられる。
(iv)配位子L2
a.前記式(I)中の配位子L2は下記式(III−1)〜(III−3)のいずれかで表される。
Figure 2011157449
Figure 2011157449
Figure 2011157449
上記式(III−1)〜(III−3)のうち、構造対称性及びπ電子共役性の観点からは、式(III−1)で表されるL2が好ましい。
b.式(III−1)において、n1及びn2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、構造安定性の観点から0が好ましい。
Ar1及びAr2はそれぞれ独立にAr(後述のc.の式(IV−1)で定義される、以下、同様)を表す。
1及びY2は、それぞれ独立に水素原子または前記Arを示し、Y1又はY2が前記Arの場合、それぞれAr1又はAr2と同一でも異なっていてもよい。構造対称性の観点から、Ar1とAr2は同じ前記Arであることが好ましい。同様に、Y1及びY2はいずれも同種、すなわち、いずれも前記Arまたはいずれも水素原子であることが好ましく、電子ドナー性の観点からはいずれも水素原子であることが好ましい。
3及びZ4はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、Z3及びZ4は、Z3が複数ある場合のZ3同士、Z4が複数ある場合のZ4同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよい。
e及びfはそれぞれ独立に0〜3の整数、好ましくはいずれも0を表す。
c.ここで、前記Arは、下記式(IV−1)によって表され、構造対称性の観点から、Y1が前記Arの場合、Ar1のとる前記Arと同じものであることが好ましく、さらにY1及びY2も前記Arの場合、これらもAr1のとる前記Arと同じものであることが好ましい。
Figure 2011157449
式(IV−1)中、XはO、S、NH、NR1を表し、π電子共役系の優位性の観点から、OまたはSが好ましく、その中でもSが特に好ましい。
ここで、R1はフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16(疎水性の付与、適度な立体構造の点で、好ましくは炭素数5〜10、より好ましくは炭素数5〜8)のアルキルまたはアルコキシアルキル基を表す。
Ar5はそれぞれ独立にアリール又はヘテロアリール基を表す。
かかるアリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル、ナフチル(すなわち1−ナフチル又は2−ナフチル)、アントリル(すなわち、1−アントリル、2−アントリル又は9−アントリル)、フェナントリル(すなわち、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル又は9−フェナントリル)基を好ましいものとして挙げることができ、該置換基としてはフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシまたはアルコキシアルキル基を挙げることができる。
前記ヘテロアリール基とは芳香環構造中にヘテロ原子を含む芳香族基のことをいい、アリール基の芳香環を構成するsp2炭素原子の一部を窒素原子、硫黄原子、酸素原子等のヘテロ原子に置き換えた芳香族基(たとえば上記フェニル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリル基の芳香環を構成するsp2炭素原子の一部(1〜3個)が窒素原子に置き換わったもの)や、チエニル基、フリル基等の複素五員環基を例示することができる。前者の具体例としては、ピリジル(すなわち2−ピリジル、3−ピリジル、又は4−ピリジル)、キノリル(すなわち、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、又は8−キノリル)、イソキノリル(すなわち、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、又は8−イソキノリル)基等を挙げることができる。
Ar5の置換位置としては、適度な立体構造の観点から、上記式(IV−1)の複素五員環上の5位にあることが好ましい。
kは1〜3の整数を表し、立体構造の観点からは1が好ましい。
9はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表す。
lは0〜3の整数を表し、好ましくは0を表す。
k+lは1〜3の整数を表す。
XがNR1である場合のそれぞれのZ9及びR1、またはXがO、SまたはNHの場合のZ9は、Z9が複数ある場合のZ9同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよい。たとえば、下記式(IV−3):
Figure 2011157449
にあるようにアルキレンジオキシ基により環が形成されているものが例示できる。ここで、R7は、分岐を含んでもよい炭素数1〜4のアルキレン基であり、メチレン、エチレン、1−メチルエチレン、1,2−ジメチルエチレン等が例示できる。
上記式(IV−1)のうち、適度な立体構造の点でより好ましいものは、下記式(IV−2):
Figure 2011157449
にあるように、式(IV−1)において、k=1、l=0であり、かつAr5が複素五員環上の5位にあるものに相当するものである。
d.式(III−2)において、n3は0〜3の整数を表し、構造安定性の観点から0が好ましい。
Ar3は前記c.の式(IV−1)で定義されるArを表す。
3は水素原子または前記Arを示し、電子ドナー性の観点からは水素原子であることが好ましい。
5及びZ6はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、Z5及びZ6は、Z5が複数ある場合のZ5同士、Z6が複数ある場合のZ6同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよい。
gは0〜3の整数、hは0〜4の整数であり、好ましくはいずれも0を表す。
但し、構造対称性の観点から、Y3が前記Arの場合、Ar3のとる前記Arと同じものであることが好ましい。
e.式(III−3)において、Ar4は前記c.の式(IV−1)で定義されるArを表し、Y4は水素原子または前記Arを表し、Y4が前記Arの場合、それはAr4と同一でも異なっていてもよい。
7及びZ8はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、Z7及びZ8は、Z7が複数ある場合のZ7同士、Z8が複数ある場合のZ8同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよい。
i及びjはそれぞれ独立に0〜3の整数、好ましくはいずれも0を表す。
但し、構造対称性の観点から、Y4が前記Arの場合、Ar4のとる前記Arと同じものであることが好ましい。
f.特に好ましい配位子L2としては、以下の式(V−1)を挙げることができる。
Figure 2011157449
式(V−1)中、X1はO、S、NH、またはNR2を表し、π電子共役系の優位性の観点から、OまたはSが好ましく、その中でもSが特に好ましい。
ここで、R2はフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16(疎水性の付与、適度な立体構造の点で、好ましくは炭素数5〜10、より好ましくは炭素数5〜8)のアルキルまたはアルコキシアルキル基を表す。
また、X2はO、S、NH、またはNR3を表し、π電子共役系の優位性の観点から、OまたはSが好ましく、その中でもSが特に好ましい。
ここで、R2はフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16(疎水性の付与、適度な立体構造の点で、好ましくは炭素数5〜10、より好ましくは炭素数5〜8)のアルキル又はアルコキシアルキル基を表す。
以上のX1とX2は構造対称性の観点から、同種のもの、特にいずれもSであることがπ電子供与性の点で好ましい。
Ar6はそれぞれ独立にアリール又はヘテロアリール基を表し、前記式(IV−1)におけるAr5の説明と同様である。
mは1〜3の整数、より好ましくは1を表す。
10はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表す。
nは0〜2の整数、より好ましくは0を表す。
m+nは1〜3の整数、より好ましくは1を表す。
1がNR2である場合のそれぞれのZ10及びR2、XがO、S又はNHである場合のZ10は、Z10が複数ある場合のZ10同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよい。
Ar7はそれぞれ独立にアリール又はヘテロアリール基を表し、前記式(IV−1)におけるAr5の説明と同様である。構造対象性の観点からはAr7はAr6と同一のものであることが好ましい。
oは1〜3の整数、より好ましくは1を表す。
11は疎水性の付与、適度な立体構造の点で、それぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表す。
pは0〜2の整数、より好ましくは0を表す。
o+pは1〜3の整数、より好ましくは1を表す。
2がNR3である場合のそれぞれのZ11及びR3、XがO、S又はNHである場合のZ11は、Z11が複数ある場合のZ11同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよい。
g.さらに電池特性の観点から、前記式(V−1)の中でも、より好ましい配位子L2としては下記式(V−2)を挙げることができる。
Figure 2011157449
式(V−2)中、X1、X2、Ar6及びAr7は式(V−1)中の定義と同様のものを表す。
(v)本態様の遷移金属錯体の構造としては、特に光増感色素として好ましいものは下記式(VI)で示される。
Figure 2011157449
式(VI)中、X1、X2、Q1、Q2、Ar6およびAr7は、前記式(V−2)及び(II−2)と同じ意味である。
(vi) 本態様の遷移金属錯体の合成方法については、任意の公知の方法を採用することができるが、たとえば遷移金属としてルテニウムを採用する場合、ジハロゲノ(p−シメン)ルテニウム(II)二量体、好ましくはジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II) 二量体に対して、上記ビピリジル配位子L2、L1を順次作用させた後に、配位子Aを含む塩、たとえば配位子Aとしてイソチオシアナト基を採用する場合、イソチオシアン酸アンモニウム等のイソチオシアン酸塩を用いてルテニウム上のハロゲンをイソチオシアナト基に置換することによって製造することができる。
・配位子L1について
配位子L1においてQ1、Q2がカルボキシル基の場合、市販品を用いることができる。配位子L1において、Q1、Q2がホスホン酸基、スルホン酸基またはホスホニルオキシ基の場合、ビピリジルまたはその誘導体より、任意の公知の方法で合成できる。
・配位子L2について
式(III−1)または式(III−2)のタイプの配位子L2については、たとえば、アリール又はヘテロアリール基置換チオフェン等のアリール又はヘテロアリール基置換複素五員環に塩基(n−ブチルリチウム等)及びジメチルホルムアミド等のホルムアルデヒド供給源を作用させることで、アリール又はヘテロアリール基置換チオフェン−2−カルバルデヒド等のアリール又はヘテロアリール基置換複素五員環−2−カルバルデヒドを製造し、次いで、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン[式(III−1)のタイプの場合]または4−メチル−2,2’−ビピリジン[式(III−2)のタイプの場合]にLDA等の塩基を作用させたものと付加反応させ、得られた付加物をパラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩等の酸触媒を用いて脱水することで製造できる。なお、アリール又はヘテロアリール基置換複素五員環については、たとえばパラジウム触媒下での2−ブロモチオフェン等の2−ブロモ複素五員環とアリール又はヘテロアリールボロン酸とのカップリング反応によって調製あるいは入手することができる。
式(III−3)のタイプの配位子L2については、たとえば、5−アリール又はヘテロアリール基置換チオフェン等の5−アリール又はヘテロアリール基置換複素五員環と、n−ブチルリチウム存在下、トリメチルホウ酸との反応により得られる5−アリール又はヘテロアリール基置換チオフェン−2−ボロン酸等の5−アリール又はヘテロアリール基置換複素五員環−2−ボロン酸をテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの触媒下、4,4‘−ジブロモ−2,2−ビピリジンあるいは4−ブロモ−2,2−ビピリジンとのカップリング反応を行うことで合成できる。
(二)本発明の第二の態様について
本態様においては、前記第一の態様の遷移金属錯体の構造を有する光増感色素を酸化物半導体上に吸着させたことを特徴とする酸化物半導体電極を提供する。
該遷移金属錯体を酸化物半導体薄膜上に吸着させる方法としては任意の公知の方法を用いることができるが、たとえば、二酸化チタン等の酸化物半導体薄膜を遷移金属錯体色素溶液に所定の温度で浸漬する方法(ディップ法、ローラ法、エヤーナイフ法など)や、ルテニウム色素溶液を酸化物半導体層表面に塗布する方法(ワイヤーバー法、アプリケーション法、スピン法、スプレー法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法など)を挙げることができる。
(三)本発明の第三の態様について
本態様においては、前記第二の態様の酸化物半導体電極からなるアノード、電荷移動物質または有機ホール移動物質、及びカソードから構成されることを特徴とする色素増感太陽電池を提供する。
電荷移動物質または有機ホール移動物質としては、たとえば、酸化還元性電解質を含む液体電解質を挙げることができ、酸化還元性電解質としては、I-/I3 -系、Br-/Br3 -系、キノン/ハイドロキノン系等を挙げることができる。
(四)本発明の第四の態様について
本態様は、前記式(V−1)で表される化合物、より好ましくは前記式(V−2)で表される新規化合物である。
光増感金属錯体色素用の配位子として好ましく用いることができる。
以下に本発明の具体的な実施例を挙げて、さらに詳細に説明する。
[合成例]
A.色素A(比較例)の合成
色素A(J2、比較例)
Figure 2011157449
特許文献1の合成例1及び合成例2に基づき調製した。
B.色素B(実施例1)の合成
色素B(実施例1)
Figure 2011157449
(1)5−フェニルチオフェン−2−カルバルデヒドの合成
2−フェニルチオフェン(20g)のTHF溶液に0℃、アルゴン雰囲気下でn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液、88mL)を滴下して加えた。この溶液をさらに1時間攪拌し、DMF(15mL)を添加後、室温とした。これを飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去して粗組成物を収集し、カラムクロマトグラフ[担体:二酸化ケイ素、溶出液:ヘキサン/クロロホルム=1/1(v/v)]により精製して生成物(22g)を得た。
(2)4,4’−ビス[2−ヒドロキシ−2−(5−フェニルチオフェン−2−イル)エチル]−2,2’−ビピリジンの合成
−60℃、アルゴン気流下でジイソプロピルアミン(12g)のTHF(70mL)溶液にn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液、80mL)を滴下して加えた。この溶液を0℃に昇温し、さらに30分間攪拌し、リチウムジイソプロピルアミドのヘキサン/THF溶液を調製した。
次に4,4‘−ジメチルビピリジン(10g)のTHF(200mL)溶液を−60℃に冷却し、先ほどのリチウムジイソプロピルアミドのヘキサン/THF溶液を滴下して加えた。−60℃で1時間攪拌した後、5−フェニルチオフェン−2−カルバルデヒド(22g)のTHF(100mL)溶液を滴下して加えた。徐々に昇温させながら終夜攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した。酢酸エチルで抽出し、有機層を水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去して粗生成物を得た。これを2−プロパノールで洗浄、乾燥して生成物(28g)を得た。
(3)4,4‘−ビス[2−(5−フェニルチオフェン−2−イル)ビニル]−2,2’−ビピリジンの合成
Figure 2011157449
4,4’−ビス[2−ヒドロキシ−2−(5−フェニルチオフェン−2−イル)エチル]−2,2’−ビピリジン(28g)とパラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩(5g)をトルエン(430mL)に溶解させ、120時間加熱還流した。冷却後、ジエチルアミン(7g)を加えて室温で攪拌し、溶媒を除去して粗生成物を得た。粗生成物を2−プロパノールで洗浄、乾燥して生成物(17g)を得た。
4,4‘−ビス[2−(5−フェニルチオフェン−2−イル)ビニル]−2,2’−ビピリジンのNMRデータ:
1H−NMR(δH/ppm,THF−d8,400MHz)8.67(s,2H),8.60(d,2H),7.74−7.66(m,6H),7.45(dd,2H),7.41−7.37(m,6H),7.30−7.26(m,4H),7.05(d,2H)
(4)色素Bの合成
得られた4,4‘−ビス[2−(5−フェニルチオフェン−2−イル)ビニル]−2,2’−ビピリジンを用い、特許文献1の合成例2に準じて合成した。
色素BのNMRデータ:
1H−NMR(δH/ppm、DMSO−d6,300MHz)9.51(d,1H),9.17(d,1H),9.00(s,1H),8.85(brs,2H),8.70(s,1H),8.24(d,1H),8.04(d,1H),8.01(d,1H),7.88(d,1H),7.80(d,1H),7.74−7.65(m,4H),7.63(d,1H),7.55(d,1H),7.49−7.32(m,10H),7.28(d,1H),7.21(d,1H),6.96(d,1H)
C.色素C(実施例2)の合成
色素C(実施例2)
Figure 2011157449
(1)2−(4−n−ブチルフェニル)チオフェンの合成
2−ブロモチオフェン(1g)、4−n−ブチルフェニルボロン酸(1g)、炭酸ナトリウム(2g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.3g)、1,4−ジオキサン(18mL)、水(18mL)をアルゴン気流下、80℃で3時間加熱した。この反応溶液を室温に冷却した後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去し、カラムクロマトグラフ[担体:二酸化ケイ素、溶出液:ヘキサン/クロロホルム=1/1(v/v)]により精製して生成物(1g)を得た。
(2)5−(4−n−ブチルフェニル)チオフェン−2−カルバルデヒドの合成
2−(4−n−ブチルフェニル)チオフェン(1g)のTHF溶液に0℃、アルゴン雰囲気下でn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液、3mL)を滴下して加えた。この溶液をさらに20分間攪拌し、DMF(0.6mL)を添加後、室温とした。これを飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去して粗組成物を収集し、カラムクロマトグラフ[担体:二酸化ケイ素、溶出液:ヘキサン/クロロホルム=1/1(v/v)]により精製して生成物(0.7g)を得た。
(3)4,4’−ビス{2−ヒドロキシ−2−[5−(4−n−ブチルフェニル)チオフェン−2−イル]エチル}−2,2’−ビピリジンの合成
アルゴン気流下、4,4‘−ジメチルビピリジン(0.2g)の乾燥THF溶液を−60℃に冷却し、リチウムジイソプロピルアミド(1Mヘキサン/THF溶液、3mL)を滴下して加えた。この溶液を−60℃で1時間攪拌した後、5−(4−n−ブチルフェニル)チオフェン−2−カルバルデヒド(0.7g)のTHF(15mL)溶液を滴下して加えた。室温に昇温して1時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した。酢酸エチルで抽出し、有機層を水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去して粗生成物を得た。粗生成物を2−プロパノールで洗浄、乾燥して生成物(0.3g)を得た。
(4)4,4‘−ビス{2−[5−(4−n−ブチルフェニル)チオフェン−2−イル]ビニル}−2,2’−ビピリジンの合成
Figure 2011157449
4,4’−ビス{2−ヒドロキシ−2−[5−(4−n−ブチルフェニル)チオフェン−2−イル]エチル}−2,2’−ビピリジン(0.3g)とパラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩(0.04g)をトルエン(20mL)に溶解させ、48時間加熱還流した。冷却後、ジエチルアミン(0.8g)を加えて室温で攪拌し、溶媒を除去して粗生成物を得た。粗生成物を2−プロパノールで洗浄、乾燥して生成物(0.09g)を得た。
4,4‘−ビス{2−[5−(4−n−ブチルフェニル)チオフェン−2−イル]ビニル}−2,2’−ビピリジンのNMRデータ:
1H−NMR(δH/ppm,CDCl3,400MHz)8.66(d,2H),8.51(d,2H),7.59−7.52(m,6H),7.35(dd,2H),7.23−7.21(m,6H),7.14(d,2H),6.93(d,2H),2.64(t,4H),1.64−1.60(m,4H),1.41−1.35(m,4H),0.94(t,6H)
(5)色素Cの合成
得られた4,4‘−ビス{2−[5−(4−n−ブチルフェニル)チオフェン−2−イル]ビニル}−2,2’−ビピリジンを用い、特許文献1の合成例2に準じて合成した。
色素CのNMRデータ:1H−NMR(δH/ppm、DMSO−d6,300MHz)9.51(d,1H),9.16(d,1H),9.00(s,1H),8.85(s,1H),8.84(s,1H),8.68(s,1H),8.24(d,1H),8.01(d,1H),8.00(d,1H),7.87(d,1H),7.78(d,1H),7.63(d,2H),7.62(d,1H),7.56(d、2H),7.49(d、1H),7.45(d,1H),7.42(d,1H),7.36(d,1H),7.34(d,1H),7.29−7.22(m,5H),7.20(d,1H),6.92(d,1H),2.63(m,4H),1.62(m,4H),1.35(m,4H),0.91(m,6H)
D.色素Dの合成
色素D(実施例3)
Figure 2011157449
(1)2−(ナフタレン−1−イル)チオフェンの合成
2−ブロモチオフェン(5g)、1−ナフタレンボロン酸(5g)、炭酸ナトリウム(10g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(2g)、1,4−ジオキサン(100mL)、水(100mL)をアルゴン気流下、80℃で4時間加熱した。この反応溶液を室温に冷却した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去し、カラムクロマトグラフ(担体:二酸化ケイ素、溶出液:ヘキサン)により精製して生成物(6g)を得た。
(2)5−(ナフタレン−1−イル)チオフェン−2−カルバルデヒドの合成
2−(ナフタレン−1−イル)チオフェン(6g)のTHF溶液に0℃、アルゴン雰囲気下でn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液、21mL)を滴下して加えた。この溶液をさらに50分間攪拌し、DMF(3mL)を添加後、室温とした。これを飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去して粗組成物を収集し、カラムクロマトグラフ[担体:二酸化ケイ素、溶出液:クロロホルム]により精製して生成物(7g)を得た。
(3)4,4’−ビス{2−ヒドロキシ−2−[5−(ナフタレン−1−イル)チオフェン−2−イル]エチル}−2,2’−ビピリジンの合成
アルゴン気流下、4,4‘−ジメチルビピリジン(2g)のTHF溶液を−60℃に冷却し、リチウムジイソプロピルアミド(1Mヘキサン/THF溶液、28mL)を滴下して加えた。この溶液を−60℃で1時間攪拌した後、5−(ナフタレン−1−イル)チオフェン−2−カルバルデヒド(7g)のTHF(20mL)溶液を滴下して加えた。室温に昇温して1時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した。THFで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去した後、クロロホルムで洗浄、乾燥して生成物(2g)を得た。
(4)4,4‘−ビス{2−[5−(ナフタレン−1−イル)チオフェン−2−イル]ビニル}−2,2’−ビピリジンの合成
Figure 2011157449
4,4’−ビス{2−ヒドロキシ−2−[5−(ナフタレン−1−イル)チオフェン−2−イル]エチル}−2,2’−ビピリジン(2g)とパラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩(0.3g)をトルエン(50mL)に溶解させ、27時間加熱還流した。冷却後、ジエチルアミン(0.7g)を加えて室温で攪拌し、溶媒を除去して粗生成物を得た。粗生成物を2−プロパノールで洗浄、乾燥して生成物(1g)を得た。
4,4‘−ビス{2−[5−(ナフタレン−1−イル)チオフェン−2−イル]ビニル}−2,2’−ビピリジンのNMRデータ:
1H−NMR(δH/ppm,CDCl3,400MHz)8.68(d,2H),8.55(d,2H),8.30(dd,2H),7.94−7.88(m,4H),7.66(m,10H),7.38(dd,2H),7.32(d,2H),7.21(d,2H),6.99(d,2H)
(5)色素Dの合成
得られた4,4‘−ビス{2−[5−(ナフタレン−1−イル)チオフェン−2−イル]ビニル}−2,2’−ビピリジンを用い、特許文献1の合成例2に準じて合成した。
色素DのNMRデータ:1H−NMR(δH/ppm、DMSO−d6,300MHz)9.52(d,1H),9.19(d,1H),9.02(s,1H),8.91(s,1H),8.87(s,1H),8.76(s,1H),8.29−8.18(m,3H),8.12(d,1H),8.08−7.84(m,7H),7.70−7.53(m,10H),7.47(d、1H),7.42−7.38(m,2H),7.34−7.25(m,3H),7.02(d,1H)
E.色素Eの合成
色素E(実施例4)
Figure 2011157449
(1)2−(フェナントレン−9−イル)チオフェンの合成
2−ブロモチオフェン(4g)、9−フェナントレンボロン酸(4g)、炭酸ナトリウム(6g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1g)、1,4−ジオキサン(65mL)、水(65mL)をアルゴン気流下、80℃で4時間加熱した。この反応溶液を室温に冷却した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去し、カラムクロマトグラフ(担体:二酸化ケイ素、溶出液:ヘキサン)により精製して生成物(3g)を得た。
(2)5−(フェナントレン−9−イル)チオフェン−2−カルバルデヒドの合成
2−(フェナントレン−9−イル)チオフェン(3g)のTHF溶液に0℃、アルゴン雰囲気下でn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液、8mL)を滴下して加えた。この溶液をさらに50分間攪拌し、DMF(1mL)を添加後、室温とした。これを飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去して粗組成物を収集し、カラムクロマトグラフ(担体:二酸化ケイ素、溶出液:ヘキサン)により精製して生成物(2g)を得た。
(3)4,4’−ビス{2−ヒドロキシ−2−[5−(フェナントレン−9−イル)チオフェン−2−イル]エチル}−2,2’−ビピリジンの合成
アルゴン気流下、−60℃で4,4‘−ジメチルビピリジン(0.8g)のTHF溶液にリチウムジイソプロピルアミド(1Mヘキサン/THF溶液、10mL)を滴下して加えた。この溶液を−60℃で1時間攪拌した後、5−(フェナントレン−9−イル)チオフェン−2−カルバルデヒド(2g)のTHF溶液を滴下して加えた。室温に昇温して3時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した。酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフ(担体:アミノ基修飾二酸化ケイ素、溶出液:クロロホルム)で精製して生成物(2g)を得た。
(4)4,4‘−ビス{2−[5−(フェナントレン−9−イル)チオフェン−2−イル]ビニル}−2,2’−ビピリジンの合成
Figure 2011157449
4,4’−ビス{2−ヒドロキシ−2−[5−(フェナントレン−9−イル)チオフェン−2−イル]エチル}−2,2’−ビピリジン(2g)とパラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩(0.3g)をトルエン(40mL)に溶解させ、18時間加熱還流した。冷却後、ジエチルアミン(1g)を加えて室温で攪拌し、溶媒を除去して粗生成物を得た。粗生成物を2−プロパノールで洗浄、乾燥して生成物(1g)を得た。
4,4‘−ビス{2−[5−(フェナントレン−9−イル)チオフェン−2−イル]ビニル}−2,2’−ビピリジンのNMRデータ:
1H−NMR(δH/ppm,CDCl3,400MHz)8.76(d,2H),8.72(d,2H),8.69(d、2H),8.56(s,2H),8.34(dd,2H),7.94−7.90(m,4H),7.74−7.62(m、10H),7.39(dd,2H),7.30−7.26(m、4H),7.01(d,2H)
(5)色素Eの合成
得られた4,4‘−ビス{2−[5−(フェナントレン−9−イル)チオフェン−2−イル]ビニル}−2,2’−ビピリジンを用い、特許文献1の合成例2に準じて合成した。
色素EのNMRデータ:1H−NMR(δH/ppm、DMSO−d6,300MHz)9.54(d,1H),9.20(d,1H),9.03(s,1H),8.93−8.77(m、7H),8.32−8.22(m,3H),8.15(d,1H),8.10−7.96(m,5H),7.92(d,1H),7.90(d,1H),7.78−7.63(m,9H),7.61(d,1H),7.50(d,1H),7.45(d,1H),7.42(d,1H),7.38(d,1H),7.33(d,1H),7.30(d,1H),7.04(d,1H)
(1)以下の手順により、上記合成例により調製した各種色素A〜Eを用いた色素増感太陽電池を作製した。
i. 基板(フッ素ドープ酸化スズ膜付ガラス板、35mm×33mm)上の1辺1cmの正方形面積部分にスクリーン印刷により酸化チタンペースト[触媒化成製PST−18NR]を膜厚8μmにスクリーン印刷し、乾燥後、その上にさらに酸化チタンペースト[触媒化成製PST−400C]を膜厚4μmにスクリーン印刷した。これを500℃で焼成することで、発電層を形成した。
ii. 前記発電層を形成した電極を色素溶液[濃度:0.3mM、溶媒:アセトニトリル/t−ブタノール1/1(v/v)の混合溶媒]に40℃で2時間、浸漬することで、色素を前記発電層の酸化チタン上に担持させアノード電極を得た。
iii. 上記アノード電極の発電層の周囲に接着剤を施し、このアノード電極と、別途用意した電解液注入孔を有する白金被覆チタン板(カソード電極)とを、該接着剤により接着し、両電極が50μm程度の一定間隔を置いて平行に配置されるようにした。
iv. 次いで、電解液注入口より電解液を注入した。ここで、用いた電解液は、ヨウ素0.1M、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムヨウ化物0.8M、4−tert−ブチルピリジン0.3M、3−メトキシプロピオニトリルを溶媒とする溶液を用いた。
v. 接着剤を用いて電解液注入孔を封止し、アノード電極上に端子取り出しのためのハンダを塗布して実験用セルを完成させた。
(2)次いで、上記(1)で得られたそれぞれの実験用セルにつき耐熱性試験を行った。すなわち、AM1.5,1SUN(100mW/cm2)の照射条件下で、セル作製直後の変換効率を測定した(この変換効率を「初期変換効率」とする)後、実験用セルを85℃の乾燥機(ヤマト科学株式会社製 DK810、暗所)に投入、そのままの温度で1000時間、該乾燥機内にて保存した。1000時間経過後、実験用セルを取り出し、室温まで冷却後、初期変換効率の測定と同条件にて、再度、変換効率を測定(この変換効率を「1000時間後の変換効率」とする)した。また変換効率保持率は以下の式に基づいて算出した。
変換効率保持率(%)
=[(1000時間後の変換効率)/(初期変換効率)]×100
上記のようにして得られた評価結果を下表に示す。
Figure 2011157449
なお上記変換効率は下記式により計算した。
変換効率(%)=
[(短絡電流密度×開放電圧×曲線因子)/(照射太陽光エネルギー)]×100
上記の表に示された結果からも明らかなとおり、アリールまたはヘテロアリール基で置換された複素五員環を有する本発明の色素は、アルキル基置換された比較例品に比べて耐熱性試験(85℃、1000時間)後の変換効率保持率がいずれも向上した。

Claims (12)

  1. 下記式(I)で表される二価の遷移金属錯体であって、
    ML122 (I)
    式(I)中、Mは二価の鉄イオン、ルテニウムイオンまたはオスミウムイオンであり、Aはそれぞれ独立に、イソチオシアナト基(−NCS)、イソシアナト基(−NCO)またはイソセレノシアナト基(−NCSe)であり、
    式(I)中、L1が下記式(II−1)で表され、
    Figure 2011157449
    式(II−1)中、
    1はそれぞれ独立に、−CO2H、−PO32、−SO3H、−OPO32またはそれらの塩を表し、
    2はそれぞれ独立に、−CO2H、−PO32、−SO3H、−OPO32またはそれらの塩を表し、
    a及びbはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、但し、aとbは同時に0になることはなく、a+bが2以上のときQ1及びQ2のうちの少なくとも一つを除き、Q1及びQ2がエステル化またはアミド化されていてもよく、
    1及びZ2はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、
    c及びdはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、
    a+c、b+dはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、
    1及びZ2は、Z1が複数ある場合のZ1同士、Z2が複数ある場合のZ2同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよく、
    式(I)中、L2が下記式(III―1)〜(III−3)のいずれかで表され、
    Figure 2011157449
    Figure 2011157449
    Figure 2011157449
    式(III−1)中、
    1及びn2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、
    Ar1及びAr2はそれぞれ独立に下記式(IV−1)で定義されるArを表し、
    Figure 2011157449
    式(IV−1)中、
    XはO、S、NH、NR1を表し、
    1はフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキルまたはアルコキシアルキル基を表し、
    Ar5はそれぞれ独立にアリール又はヘテロアリール基を表し、
    9はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシまたはアルコキシアルキル基を表し、
    kは1〜3の整数を表し、
    lは0〜2の整数を表し、k+lは1〜3の整数であり、
    XがNR1である場合のそれぞれのZ9及びR1、またはXがO、SまたはNHである場合のZ9は、Z9が複数ある場合のZ9同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよく、
    1及びY2はそれぞれ独立に水素原子または前記Arを表し、
    1又はY2が前記Arの場合、それぞれAr1又はAr2と同一でも異なっていてもよく、
    3及びZ4はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、
    e及びfはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、
    3及びZ4は、Z3が複数ある場合のZ3同士、Z4が複数ある場合のZ4同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよく、
    式(III−2)中、
    3は0〜3の整数を表し、
    Ar3は前記式(IV−1)で定義されるArを表し、
    3は水素原子または前記Arを表し、
    3が前記Arの場合、それはAr3と同一でも異なっていてもよく、
    5及びZ6はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、
    gは0〜3の整数を表し、
    hは0〜4の整数を表し、
    5及びZ6は、Z5が複数ある場合のZ5同士、Z6が複数ある場合のZ6同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよく、
    式(III−3)中、
    Ar4は前記式(IV−1)で定義されるArを表し、
    4は水素原子または前記Arを表し、
    4が前記Arの場合、それはAr4と同一でも異なっていてもよく、
    7及びZ8はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、
    i及びjはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、
    7及びZ8は、Z7が複数ある場合のZ7同士、Z8が複数ある場合のZ8同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよいことを特徴とする遷移金属錯体。
  2. 前記L2が、下記式(V−1)で表され、
    Figure 2011157449
    式中、X1はO、S、NH、またはNR2を表し、
    2はフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基またはアルコキシアルキル基を表し、
    Ar6はそれぞれ独立にアリール又はヘテロアリール基を表し、
    mは1〜3の整数を表し、
    10はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、
    nは0〜2の整数を表し、m+nは1〜3の整数であり、
    1がNR2である場合のそれぞれのZ10及びR2、またはX1がO、S又はNHである場合のZ10は、Z10が複数ある場合のZ10同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよく、
    2はO、S、NH、またはNR3を表し、
    3はフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキルまたはアルコキシアルキル基を表し、
    Ar7はそれぞれ独立にアリール又はヘテロアリール基を表し、
    oは1〜3の整数を表し、
    11はそれぞれ独立にフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、
    pは0〜2の整数を表し、o+pは1〜3の整数であり、
    2がNR3である場合のそれぞれのZ11若しくはR3、またはX2がO、SまたはNHである場合のZ11は、Z11が複数ある場合のZ11同士も含め、お互いに結合して環を形成してもよいことを特徴とする請求項1に記載の遷移金属錯体。
  3. 前記Arが下記式(IV−2):
    Figure 2011157449
    で表され、
    X及びAr5は請求項1に定義されるものであることを特徴とする請求項1に記載の遷移金属錯体。
  4. Ar5が置換基を有していてもよいフェニル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリル基であり、該置換基はフルオロ基で置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル、アルコキシまたはアルコキシアルキル基であることを特徴とする請求項3に記載の遷移金属錯体。
  5. 前記配位子Aがいずれもイソチオシアナト基であり、前記Mが二価のルテニウムイオンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遷移金属錯体。
  6. 1及びX2はそれぞれ独立にOまたはSを表し、m=o=1,n=p=0であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の遷移金属錯体。
  7. 前記式(I)中、L1が下記式(II−2):
    Figure 2011157449
    で表されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の遷移金属錯体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の遷移金属錯体の構造を有する光増感色素。
  9. 請求項8の光増感色素を酸化物半導体上に吸着させたことを特徴とする酸化物半導体電極。
  10. 請求項9の酸化物半導体電極からなるアノード、電荷移動物質または有機ホール移動物質、及びカソードから構成されることを特徴とする色素増感太陽電池。
  11. 下記式(V−1)で表され、式(V−1)中、X1、X2、Ar6、Ar7、Z10、Z11、m、n、o及びpは請求項1に定義されるものであることを特徴とする化合物。
    Figure 2011157449
  12. 請求項11に記載の化合物を光増感色素である金属錯体触媒用の配位子として用いる方法。
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