JP2014199046A - 燃料加熱装置及びそれを備えた燃料レール - Google Patents

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Abstract

【課題】 内燃機関の始動時間を短くすることの可能な燃料加熱装置を提供する。
【解決手段】 燃料加熱装置5のハウジング10は、互いに向き合う第1側壁11及び第2側壁12、並びに第1側壁11及び第2側壁12の上方に接続する上壁15及び下方に接続する下壁16を有し、下壁16と第1側壁11との接続部19を重力方向下側にして内燃機関又はその近傍に取り付けられる。グロープラグ30は、ハウジング内に形成された加熱室17の略中央に位置する。燃料入口20は、第1側壁11の中心位置よりも上壁側に設けられる。燃料出口41は、下壁16からグロープラグ30へ向けて延びる燃料管40のグロープラグ側の端部に設けられる。これにより、燃料入口20から加熱室17に流入した燃料は、上壁15と第2側壁12に沿ってグロープラグ30の周囲を流れ、十分に加熱された後、燃料出口41に吸い込まれる。
【選択図】図2

Description

本発明は、インジェクタに供給する燃料を加熱する燃料加熱装置、及び、それを備えた燃料レールに関する。
従来、内燃機関に燃料を噴射供給する複数のインジェクタに対し燃料を分配する燃料レールが備える燃料加熱装置が知られている。
一般に、内燃機関の燃料として、エタノールなどのアルコール燃料、又はアルコールとガソリンとの混合燃料が使用される場合、アルコールの濃度が高く且つ環境温度が低いと、燃料の着火性が低下し、内燃機関の始動が困難になることがある。その際、燃料加熱装置は、インジェクタに供給する燃料を加熱することにより、内燃機関の始動性を高めることが可能である。
また、内燃機関の燃料としてガソリンが使用される場合、環境温度が低いと、燃料の粘度が増大し、燃料噴霧の粒度が増大することがある。その際、燃料の着火性が低下し、内燃機関の出力低下およびエミッションが悪化することが懸念される。その際、燃料加熱装置は、燃焼室に供給する燃料を加熱することにより、内燃機関の出力向上およびエミッションを低減することが可能である。
特許文献1に記載の燃料加熱装置は、複数のインジェクタに燃料を分配する燃料レール本体に接続されたハウジングと、そのハウジングの内側に設けられたグロープラグから構成されている。この燃料加熱装置は、燃料レール本体からハウジング内に供給された燃料をグロープラグによって加熱し、インジェクタへ供給する。
特許第4834728号公報
しかしながら、特許文献1に記載の燃料加熱装置は、ハウジングに供給された全ての燃料をグロープラグによって加熱する。そのため、内燃機関の始動に必要のない燃料も加熱することが懸念される。これにより、内燃機関の始動時に、燃料加熱装置が燃料を加熱する時間が長くなると、イグニッションキーをオンしてから内燃機関が始動するまでの時間が長くなるおそれがある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、内燃機関の始動時間を短くすることの可能な燃料加熱装置、及びそれを備えた燃料レールを提供することを目的とする。
本発明は、第1側壁、第2側壁、上壁及び下壁を有するハウジング内に加熱手段を備えた燃料加熱装置において、第1側壁の中心位置よりも上壁側に燃料入口を設け、下壁から加熱手段へ向けて延びる燃料管の加熱手段側の端部に燃料出口を設けたことを特徴とする。
燃料加熱装置は、内燃機関始動時にインジェクタから燃料を噴射する前のプレヒートにおいて、ハウジング内に形成された加熱室では、燃料管の加熱手段側の端部よりも重力方向上側に比較的暖かい燃料が滞留する。一方、重力方向下側となる下壁と第1側壁との接続部近傍には、比較的冷たい燃料が滞留する。
プレヒートの後、インジェクタからの燃料噴射が開始されると、燃料入口から加熱室に流入した燃料は、上壁から第2側壁に沿って加熱手段の周囲を流れ、加熱手段によって十分に加熱された後、燃料出口に吸い込まれる。
この燃料入口から燃料出口に向かう燃料の流れにより、プレヒート時に加熱室の重力方向上側に滞留していた比較的暖かい燃料は、燃料出口に吸い込まれる。一方、加熱室の接続部近傍に滞留していた比較的冷たい燃料は、燃料出口に吸い込まれることが抑制される。
したがって、燃料加熱装置は、加熱室の全ての燃料を加熱することなく、十分に加熱された燃料を燃料出口へ流すことができる。その結果、燃料加熱装置は、内燃機関の始動時間を短くすることができる。
また、本発明は、上述した燃料加熱装置を備えた燃料レールの発明としても捉えることが可能である。この場合にも、内燃機関の始動時間を短くすることができる。
本発明の第1実施形態による燃料レールとインジェクタの斜視図である。 図1のII−II線の断面図である。 図2のIII−III線の断面図である。 図2のIV−IV線の断面図である。 燃料加熱装置の加熱室における燃料流れを示す説明図である。 燃料加熱装置の加熱室における燃料流れを示す解析データである。 本発明の第2実施形態による燃料加熱装置の断面図である。 本発明の第3実施形態による燃料加熱装置の断面図である。 本発明の第4実施形態による燃料加熱装置の断面図である。 本発明の第5実施形態による燃料加熱装置の断面図である。 本発明の第6実施形態による燃料加熱装置の断面図である。 本発明の第7実施形態による燃料加熱装置の断面図である。 本発明の第7実施形態による燃料レールとインジェクタの斜視図である。 図13の燃料レールの分解斜視図である。
以下、本発明による実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1〜図6に示す。本実施形態の燃料レール1は、例えば4気筒の内燃機関に用いられる。燃料レール1は、内燃機関の燃焼室または吸気ポートに燃料を噴射供給するインジェクタ2に対し燃料を分配すると共に、インジェクタ2の燃料噴射による燃料の圧力脈動を低減するものである。
図1に示すように、燃料レール1は、インレットパイプ3、燃料レール本体4および燃料加熱装置5などを備えている。
インレットパイプ3には、図示しない燃料タンクから燃料ポンプによって汲み上げられた燃料が供給される。この燃料は、例えばエタノールなどのアルコール燃料、又はアルコールとガソリンとの混合燃料である。
インレットパイプ3に接続された燃料レール本体4は、インレットパイプ3から流入する所定圧の燃料を貯留する蓄圧室50を有する。この蓄圧室50の容積は、インジェクタ2の燃料噴射による燃料の圧力脈動を低減可能な大きさである。
燃料レール本体4には、例えば4個の燃料加熱装置5が取り付けられている。燃料加熱装置5は、燃料レール本体4の蓄圧室50から供給された燃料を加熱する。燃料加熱装置5に固定された接続カップ6にインジェクタ2が取り付けられる。各インジェクタ2は、それぞれの燃料加熱装置5によって加熱された燃料を内燃機関に噴射供給する。
図2〜図4に示すように、燃料加熱装置5は、ハウジング10、加熱手段としてのグロープラグ30、および燃料管40などを備えている。
ハウジング10は、第1〜第4側壁11,12,13,14、上壁15及び下壁16により形成された外殻の内側に加熱室17を有する。
第1側壁11及び第2側壁12は互いに向き合い、平行に設けられる。上壁15は第1側壁11及び第2側壁12の上方に接続し、下壁16は第1側壁11及び第2側壁12の下方に接続する。
第1側壁11、第2側壁12、上壁15および下壁16によって形成される筒形状の軸方向の一方に第3側壁13が設けられ、他方に第4側壁14が設けられる。
ハウジング10は、インジェクタ2の燃料噴射による燃料の圧力脈動を低減可能な容積であることが好ましい。しかし、ハウジング10の容積を大きくすれば、加熱室17の燃料を加熱する時間が長くなる。そのため、ハウジング10は、内燃機関を始動する際にインジェクタ2の噴射に必要な燃料量を貯留可能な程度の容積に設定される。図3に示すように、ハウジング10の容積を小さくするため、上壁15は、加熱室17の内側へ凹む段部18を有する。
図2に示すように、ハウジング10は、下壁16と第1側壁11との接続部19を重力方向下側にして、内燃機関又はその近傍に取り付けられる。図2では、内燃機関又はその近傍にハウジング10が取り付けられた状態において、重力方向の上側と下側を矢印Gで示している。
ハウジング10の第1側壁11は、燃料レール本体4に固定される。第1側壁11の中心位置よりも上壁側に設けられた燃料入口20は、燃料レール本体4の有する孔9に連通する。そのため、燃料レール本体4の蓄圧室50から加熱室17に燃料が供給される。
ハウジング10の第2側壁12は、燃料入口20に向き合う位置に設けられている。
グロープラグ30は、本体部31および加熱部32を有している。加熱部32は棒状に形成され、第3側壁13に設けられた穴から加熱室17に挿入されている。
加熱部32は、第1側壁11と第2側壁12の中間に位置する。また、加熱部32は、上壁15と下壁16の略中間に位置する。つまり、加熱部32は、加熱室17の略中央に位置する。
ハウジング10の上壁15の段部18は、グロープラグ30の加熱部32と一定の距離を保って第3側壁側から第4側壁側に向かい下壁側へ傾斜している。すなわち、上壁15の段部18とグロープラグ30の加熱部32とは略平行である。
グロープラグ30は、本体部31に電力が供給されると、加熱部32が発熱する。これにより、加熱部32の周囲の燃料が加熱される。
なお、図3に示すように、燃料入口20は、ハウジング10の段部18よりも第3側壁側に設けられているので、グロープラグ30によって加熱された燃料は、段部18に沿って燃料入口側へ移動する。
燃料管40は、インジェクタ2を取り付け可能な接続カップ6と一体に形成され、下壁16から加熱室17に挿入されている。燃料管40は、下壁16とグロープラグ30との間に延びている。燃料管40のグロープラグ側の端部に燃料出口41が設けられる。燃料出口41は、加熱室17の燃料を燃料管40を通じてインジェクタ2へ排出する。
なお、燃料管40の中心軸に対し、直交する位置に燃料入口20は設けられている。
燃料管40は、第1側壁11から離れた位置に設けられる。そのため、燃料管40と第1側壁11との間に空間が形成される。
本実施形態では、加熱室17のうち、燃料出口41の第1側壁側の外周面よりも重力方向下側に位置する空間を低温燃料空間21と称し、その低温燃料空間21よりも重力方向上側に位置する空間を高温燃料空間22と称する。図2では、低温燃料空間21と高温燃料空間22との境界面を破線Pにより概念的に示している。グロープラグ30は、低温燃料空間21よりも重力方向上側に設けられる。
次に、内燃機関の始動時における加熱室17の燃料の流れ及び温度変化について、図5および図6を参照して説明する。図5は、加熱室17の燃料の流れを模式的に矢印で示したものである。図6は、加熱室17の燃料の流れ及び温度変化を示す解析データである。
燃料加熱装置5は、内燃機関の始動時にイグニッションスイッチがオンされると、燃料のアルコール濃度が所定値以上であり且つ環境温度が所定値以下の場合、インジェクタ2から燃料噴射が行われる前に燃料のプレヒートを行う。このプレヒートでは、グロープラグ30に通電して加熱部32を発熱させ、加熱部32の周囲の燃料を加熱する。加熱された燃料は重力方向上側の高温燃料空間22に充満する。一方、低温燃料空間21には加熱されていない燃料が滞留した状態となる。
プレヒートが終了し、インジェクタ2から燃料噴射が行われると、燃料入口20から加熱室17に流入した燃料は、図5の矢印に示すように加熱室17の高温燃料空間22を流れ、燃料出口41に吸い込まれる。
具体的に、燃料入口20から流入した燃料は、グロープラグ30と上壁15との間を流れ、第2側壁12に衝突した後、グロープラグ30と第2側壁12との間を下壁側に流れる。その燃料は、下壁16に衝突した後、グロープラグ30と下壁16との間を第1側壁11に向かって流れ、燃料出口41に吸い込まれる。燃料出口41では、燃料レール本体4の蓄圧室50から加熱室17に供給される燃料圧力と、インジェクタ2から噴射される燃料圧力との差圧により、加熱室17の燃料が吸い込まれる。
上述した燃料の流れにより、プレヒート時に高温燃料空間22に滞留していた比較的暖かい燃料は、燃料出口41に吸い込まれる。一方、低温燃料空間21に滞留していた比較的冷たい燃料は、燃料出口41に吸い込まれることが抑制される。
また、上述した燃料の流れにより、燃料入口20から流入した燃料は、グロープラグ30の周囲を流れる間に加熱され、燃料出口41に吸い込まれる。
図6では、グレースケールによる濃淡がつけられた所定範囲を、説明のために破線A〜Eによって区分している。
燃料入口20から加熱室17に流入した燃料は、燃料出口41へ流れる間にグロープラグ30によって加熱され、A、B,Cの順に温度が高くなり、破線Dの箇所で燃料出口41に吸い込まれる。
なお、下壁16に衝突した後、燃料管40の燃料出口41よりも下壁側を通過して、破線Eに示す低温燃料空間21に流れる燃料は少ない。低温燃料空間21の燃料は、直接燃料出口41に吸い込まれることなく、第1側壁11とグロープラグ30との間で加熱された後、燃料出口41に吸い込まれる。
燃料加熱装置5によって加熱された燃料がインジェクタ2から内燃機関に噴射供給されると、その燃料は内燃機関の燃焼室で蒸発する。その蒸発燃料が燃焼室で点火プラグによって着火し、燃焼すると内燃機関が始動する。
本実施形態では、次の作用効果を奏する。
(1)本実施形態では、第1側壁11の中心位置よりも上壁側に燃料入口20を設け、下壁16からグロープラグ30へ向けて延びる燃料管40のグロープラグ側の端部に燃料出口41を設けている。
これにより、燃料入口20から加熱室17に流入した燃料は、上壁15と第2側壁12に沿ってグロープラグ30の周囲を流れ、十分に加熱された後、燃料出口41に吸い込まれる。
その燃料流れにより、高温燃料空間22の燃料が燃料出口41に吸い込まれる。一方、その燃料流れにより、低温燃料空間21の燃料が燃料出口41に吸い込まれることが抑制される。したがって、燃料加熱装置5は、加熱室17の全ての燃料を加熱することなく、十分に加熱された高温燃料空間22の燃料を燃料出口41へ流すことができる。その結果、燃料加熱装置5は、イグニッションキーをオンしてから内燃機関が始動するまでの時間を短くすることができる。
(2)本実施形態では、燃料管40は、第1側壁11から離れた位置に設けられる。そのため、燃料管40と第1側壁11との間に低温燃料空間21が形成される。
これにより、低温燃料空間21に比較的冷たい燃料を滞留させることが可能になる。この燃料は、上述の燃料流れにより、燃料出口41に吸い込まれることが抑制される。したがって、燃料加熱装置5は、加熱室17の全ての燃料を加熱することなく、内燃機関の始動時間を短くすることができる。
(3)本実施形態では、第2側壁12は、燃料入口20に向き合う位置に設けられる。
これにより、燃料入口20から加熱室17に流入した燃料は、第2側壁12に衝突した後、グロープラグ30と第2側壁12との間を下壁側に流れ、燃料出口41に吸い込まれる。第2側壁12がグロープラグ30の周りを燃料が流れるように案内することで、燃料出口41に吸い込まれる燃料の温度を十分に高めることが可能である。
(4)本実施形態では、燃料入口20は、燃料管40の中心軸に対し直交する位置に設けられる。
これにより、燃料入口20から加熱室17に流入した燃料は、第2側壁12に衝突し、燃料出口41に吸い込まれるまでに十分に加熱される。そのため、燃料入口20から加熱室17に流入した燃料が十分に加熱されることないまま燃料出口41に直接吸い込まれることを防ぐことができる。
(5)本実施形態では、グロープラグ30は、低温燃料空間21よりも重力方向上側に設けられる。
これにより、燃料加熱装置5は、高温燃料空間22の燃料を加熱し、加熱室17の全ての燃料を加熱することがないので、内燃機関の始動時間を短くすることができる。
(6)本実施形態では、燃料入口20は、燃料が供給される燃料レール本体4の有する孔9に連通可能であり、燃料管40は、内燃機関に燃料を噴射するインジェクタ2に接続可能である。
燃料レール本体4に供給される燃料圧力と、インジェクタ2の噴孔から噴射される燃料圧力との差圧により、加熱室17の燃料を燃料出口41へ吸い込ませることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図7に示す。以下、複数の実施形態において上述した第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、ハウジング10は、第2側壁12と下壁16に接続する第1案内部23を有する。第1案内部23は、第2側壁12から燃料管40に向かって平面状に延びている。第1案内部23は、第2側壁12とグロープラグ30との間を流れる燃料を燃料出口41に案内する。
すなわち、矢印Hに示すように、第2側壁12とグロープラグ30との間を流れる燃料は、第1案内部23に沿って燃料出口41に案内される。そのため、燃料管40の燃料出口41よりも下壁側を通過する燃料が少なり、加熱された燃料を確実に燃料出口41に吸い込ませることが可能になる。また、低圧燃料空間の燃料が燃料出口41に吸い込まれることを抑制することができる。その結果、燃料加熱装置7は、内燃機関の始動時間を短くすることができる。
なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、下壁16の外面は、インジェクタ2の軸に対し垂直である。そのため、下壁16の外面に接続カップ6を溶接などにより液密に固定することが可能である。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図8に示す。第3実施形態では、ハウジング10の第1案内部24は、加熱室17から外側へ凹む曲面状に形成されている。そのため、加熱室17を流れる燃料の流体抵抗が小さくなり、加熱室17の燃料を燃料出口41に速やかに流すことが可能になる。
第3実施形態においても、燃料入口20から加熱室17に流入し、第2側壁12に衝突した後、第2側壁12とグロープラグ30との間を上壁側から下壁側へ向かって流れる燃料は、第1案内部24に沿って燃料出口41に案内される。
また、第3実施形態のハウジング10の容積は、第2実施形態のハウジング10の容積よりも大きい。したがって、燃料加熱装置8は、燃圧脈動を抑制すると共に、ハウジング10の体格を小さくすることができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態を図9に示す。第4実施形態では、ハウジング10は、上壁15と第2側壁12に接続する第2案内部25を有する。第2案内部25は、上壁15とグロープラグ30との間を流れる燃料を第2側壁12とグロープラグ30との間へ向けて案内する。すなわち、矢印Iに示すように、上壁15と第2側壁12との間を流れる燃料は、第2案内部25に沿って、第2側壁12とグロープラグ30との間へ案内される。その燃料は、矢印Hに示すように、第1案内部23に沿って燃料出口41に案内される。
第4実施形態では、加熱室17の容積が小さくなるので、プレヒート時に、加熱室17の燃料を加熱する時間が短くなる。また、グロープラグ30から遠い位置にある空間が減少するので、加熱室17の燃料を十分に加熱することができる。
さらに、第4実施形態では、燃料入口20から燃料出口41へ流れる燃料の流体抵抗が小さくなる。そのため、その燃料の流れにより、高温燃料空間22の燃料は、速やかに燃料出口41に吸い込まれる。したがって、燃料加熱装置5は、十分に加熱された燃料を燃料出口41へ流すことができる。その結果、燃料加熱装置5は、イグニッションキーをオンしてから内燃機関が始動するまでの時間を短くすることができる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態を図10に示す。第5実施形態では、ハウジング10の第2案内部26は、加熱室17から外側へ凹む曲面状に形成されている。そのため、加熱室17を流れる燃料の流体抵抗が小さくなり、燃料入口20から燃料出口41へ燃料を速やかに流すことが可能になる。
なお、上述した第4実施形態及び第5実施形態において、第1案内部23、24を廃止した構成とすることも可能である。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態を図11に示す。第6実施形態では、ハウジング10は、第1側壁11と下壁16との接続部が重力方向下側へ凹むことにより、加熱室17の重力方向下側に容積室42を有する。つまり、第6実施形態では、低温燃料空間21は容積室42を含むものであり、低温燃料空間21の容積は容積室42により増大している。これにより、プレヒート時に、グロープラグ30によって加熱された燃料が重力方向へ移動して高温燃料空間22に充満すると、加熱されていない燃料は重力方向下側へ移動して低温燃料空間21に滞留する。このとき、温度の低い燃料ほど、容積室42の下方に滞留する。
その状態で、インジェクタ2から燃料噴射が行われると、燃料入口20からグロープラグ30の周囲を通り燃料出口41に向かう燃料流れにより、高温燃料空間22の燃料は、燃料出口41に吸い込まれる。その際、容積室42の燃料は、燃料入口20から燃料出口41に向かう燃料流れの影響を受けにくい。したがって、低温燃料空間21に滞留した燃料は、燃料出口41に吸い込まれることが抑制される。
第6実施形態では、ハウジング10が容積室42を有することにより、燃料入口20から燃料出口41に向かう燃料流れによって加熱されていない燃料が燃料出口41に吸い込まれることが抑制される。したがって、十分に加熱された燃料のみを燃料出口41へ流すことができる。
第6実施形態では、ハウジング10の内側の容積が容積室42によって大きくなる。そのため、インジェクタ2の燃料噴射による燃圧脈動の低減効果を高めることができる。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態を図12から図14に示す。第7実施形態では、ハウジング10と燃料レール本体4が、第1プレス材60、第2プレス材70及び第3プレス材80を含んで構成されている。
第1プレス材60は、断面がU字形のU字部61と、そのU字部61の一方の側から平面状に延びる第1平面部62と、その第1平面部62のU字部61とは反対側に設けられた第1フランジ63とを有する。
U字部61は、上方に開口し、燃料レール本体4の下側の壁を形成する。
第1平面部62は、ハウジング10の下壁16を形成する。第1プレス材60の第1平面部62に設けられた孔64に接続カップ6の燃料管40が取り付けられる。
第1フランジ63は、第1平面部62から下方へ曲折している。
第2プレス材70は、平面状の第2平面部71と、その第2平面部71の幅方向左右に設けられた第2フランジ72及び第3フランジ73を有する。
第2プレス材70は、第1プレス材60の上に被さり、燃料レール本体4の上側の壁を形成する。第2プレス材70の第2フランジ72は、第1プレス材60のU字部61の外側に重なり、第2プレス材70の第3フランジ73は、第1プレス材60の第1フランジ63に重なる。第2プレス材70と第1プレス材60により、蓄圧室50が形成される。
第2プレス材70は、板厚方向に通じる連通孔74を有する。この連通孔74は、燃料レール本体4の蓄圧室50と後述する加熱予備室51とを連通する。
第2平面部71の一部を切り欠いた箇所を折り曲げ加工することにより、仕切部75が形成される。仕切部75は、第2プレス材70の第2平面部71からハウジング10の上壁15へ向けて延び、ハウジング10の第1側壁11を形成する。
第3プレス材80は、箱型に形成された箱部81と、その箱部81の開口部の周囲に設けられた第4フランジ84、第5フランジ85、第6フランジ86及び第7フランジ87を有し、第2プレス材70の上に被さる。第3プレス材80の箱部81は、ハウジング10の第2側壁12、第3側壁13、第4側壁14、及び上壁15を形成する。また、第3プレス材80の箱部81の内側に、加熱室17と加熱予備室51が形成される。
第3プレス材80の第4フランジ84は第2プレス材70の第2フランジ72に重なり、第3プレス材80の第5フランジ85は第2プレス材70の第3フランジ73に重なる。第3プレス材80の第6フランジ86と第7フランジ87は、第2プレス材70の第2平面部71に重なる。
上述した第1プレス材60、第2プレス材70及び第3プレス材80は、例えばろう付けによる工法で接合される。
この工法の場合、第1プレス材60と第2プレス材70と第3プレス材80を順に重ね、図示しない炉に入れて加熱し、各プレス材60、70、80の隙間にろう材を流し込み、接合する。これにより、ハウジング10と燃料レール本体4が形成される。
第7実施形態の燃料レールは、燃料レール本体4の蓄圧室50とハウジング10の加熱室17との間に加熱予備室51を有する。蓄圧室50から連通孔74を通り加熱予備室51に流入した燃料は、仕切部75と上壁15との間に形成された燃料入口20から加熱室17に流入し、グロープラグ30の周囲を流れた後、燃料出口41に吸い込まれる。なお、図12では、燃料入口20を概念的に破線で示している。
第7実施形態の燃料レールは、次の作用効果を奏する。
(1)第7実施形態では、ハウジング10と燃料レール本体4が、3枚のプレス材60、70、80から形成されるので、製造上のコストを低減することができる。
(2)第7実施形態では、第1プレス材60と第2プレス材70と第3プレス材80の組付け方向が一方向になるので、組付けが容易になると共に、組付け時に生じる製造上の公差を小さくすることができる。
(3)第7実施形態では、仕切部75は、第2プレス材70と一体で形成される。これにより、部品点数を少なくし、製造コストを低減することができる。
(4)第7実施形態では、加熱室17と蓄圧室50との間に加熱予備室51を有するので、インジェクタ2の燃料噴射による燃料の圧力脈動を低減することができる。また、加熱室17の容積を小さくし、プレヒート時の加熱時間を短くすることができる。
(他の実施形態)
上述した実施形態では、エタノール等のアルコール燃料、または、アルコールとガソリンとの混合燃料を使用する内燃機関に用いる燃料加熱装置について説明した。これに対し、他の実施形態では、燃料加熱装置は、ガソリンまたは軽油を使用する内燃機関に用いてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、上述した複数の実施形態を組み合わせることに加え、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
5,7,8 ・・・燃料加熱装置
10 ・・・ハウジング
11 ・・・第1側壁
12 ・・・第2側壁
17 ・・・加熱室
19 ・・・接続部
20 ・・・燃料入口
30 ・・・グロープラグ(加熱手段)
40 ・・・燃料管
41 ・・・燃料出口

Claims (14)

  1. 内燃機関に供給する燃料を加熱する燃料加熱装置(5,7,8)において、
    互いに向き合う第1側壁(11)及び第2側壁(12)、並びに前記第1側壁及び前記第2側壁の上方に接続する上壁(15)及び下方に接続する下壁(16)を有し、前記第1側壁と前記下壁との接続部(19)を重力方向下側にして内燃機関又はその近傍に取り付けられるハウジング(10)と、
    前記ハウジングの内側に形成された加熱室(17)の略中央に位置し、前記加熱室の燃料を加熱する加熱手段(30)と、
    前記第1側壁の中心位置よりも前記上壁側に設けられ、前記加熱室に燃料を供給する燃料入口(20)と、
    前記下壁から前記加熱手段へ向けて延びる燃料管(40)と、
    前記燃料管の前記加熱手段側の端部に設けられ、前記加熱室の燃料を排出する燃料出口(41)と、を備えることを特徴とする燃料加熱装置。
  2. 前記燃料管は、前記第1側壁から離れた位置に設けられ、前記燃料管と前記第1側壁との間に空間(21)を形成することを特徴とする請求項1に記載の燃料加熱装置。
  3. 前記第2側壁は、前記燃料入口に向き合う位置に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料加熱装置。
  4. 前記燃料入口は、前記燃料管の中心軸に対し直交する位置に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料加熱装置。
  5. 前記加熱手段は、前記燃料管と前記第1側壁との間に形成された前記空間よりも重力方向上側に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料加熱装置。
  6. 前記ハウジングは、前記第2側壁と前記下壁に接続し、前記上壁側から前記下壁側へ向かって流れる燃料を前記燃料出口に案内する第1案内部(23,24)を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料加熱装置(7,8)。
  7. 前記ハウジングは、前記上壁と前記第2側壁に接続し、前記燃料入口から前記第2側壁側へ向かって流れる燃料を前記下壁側に案内する第2案内部(25,26)を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料加熱装置。
  8. 前記第1案内部または前記第2案内部は、平面状または前記ハウジングの外側へ凹む曲面状に形成されることを特徴とする請求項7に記載の燃料加熱装置。
  9. 前記ハウジングは、前記第1側壁と前記下壁との接続部が重力方向下側へ凹むことにより前記加熱室の重力方向下側に容積室(42)を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の燃料加熱装置。
  10. 前記燃料入口は、燃料が供給される燃料レール本体(4)の有する孔(9)に接続可能であり、
    前記燃料管は、前記内燃機関に燃料を噴射するインジェクタ(2)に接続可能であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の燃料加熱装置。
  11. 内燃機関に燃料を噴射するインジェクタに燃料を分配供給する燃料レール(1)において、
    燃料が供給されるインレットパイプ(3)と、
    前記インレットパイプに接続され、所定圧の燃料を貯留する蓄圧室(50)を有する燃料レール本体と、
    前記燃料レール本体の前記蓄圧室から供給される燃料を加熱する請求項1から10のいずれか一項に記載の燃料加熱装置と、
    前記燃料加熱装置の有する前記燃料管に接続され、前記インジェクタを取り付け可能な接続カップ(6)と、を備えることを特徴とする燃料レール。
  12. 前記ハウジングおよび前記燃料レール本体は、
    前記ハウジングの前記下壁と前記燃料レール本体の下側の壁を形成する第1プレス材(60)と、
    前記第1プレス材の上に被さり、前記燃料レール本体の上側の壁を形成する第2プレス材(70)と、
    前記第2プレス材の上に被さり、前記ハウジングの前記第2側壁及び前記上壁を形成する箱型の第3プレス材(80)と、
    前記第2プレス材から前記ハウジングの前記上壁側に延びて前記ハウジングの前記第1側壁を形成する仕切部(75)と、を含んで構成されることを特徴とする請求項11に記載の燃料レール。
  13. 前記仕切部は、前記第2プレス材の一部を切り欠いた箇所を折り曲げ加工することにより、前記第2プレス材と一体で形成されることを特徴とする請求項12に記載の燃料レール。
  14. 前記燃料レールの前記蓄圧室と前記ハウジングの前記加熱室との間に加熱予備室(51)を有することを特徴とする請求項12または13に記載の燃料レール。
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