JP2014198922A - 剥離紙用原紙および剥離紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘着シートを構成した場合に、糊残りや身上がりが少なく、ラベル加工適性に優れた粘着シート用の剥離紙用原紙、剥離紙とその製造方法を提供する。【解決手段】基紙の少なくとも一方の面に下塗り層を設けてなる剥離紙用原紙であって、前記基紙は、JIS P8121によるカナダ標準ろ水度が100〜300mlのパルプ繊維から構成されたものであり、前記基紙は、サイズ剤を含有し、前記下塗り層は、α−オレフィン変性ポリビニルアルコールと板状顔料を含有し、前記剥離紙用原紙のJIS P8122によるステキヒトサイズ度が、5〜20秒であることを特徴とする剥離紙用原紙とその製造方法とそれを用いた剥離紙である。【選択図】 なし

Description

本発明は、粘着シートに適した剥離紙用原紙、剥離紙およびその製造方法に関するものである。
粘着シートは、表面基材と剥離紙との間に粘着剤層を形成したものであり、近年、情報化社会の進展に伴い、商業用、事務用、家庭用などの非常に広範囲に亘って、ラベル、ステッカー、シール、ワッペン、配送伝票等として使用されている。その表面基材としては、大部分は紙が使用されており、剥離紙としては、グラシン紙のような高密度原紙、クレーコート紙、ポリエチレンラミネート紙等にシリコーン化合物やフッ素化合物の如き剥離剤を塗布したものが広く使用されている。剥離剤には、通常は、剥離性能や価格面、また、環境・安全面から無溶剤型のシリコーン樹脂が使用されている。粘着剤としては、溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型等が使用されているが、中でもアクリル系エマルジョン型が、安全面、品質面から、通常多く使用されている。
近年、こうした粘着シートは、特に商業用、産業用のラベルにおいて、省資源の観点から、打ち抜かれたラベル周囲の不要部(以下「粕」と称す)をできるだけ細く、少なくし、しかも装飾性、生産性を増すため複雑な形に高速で打ち抜かれるようになってきている。このためラベル加工時に、粕を剥離紙から剥がす(以下「粕取り」と称す)際、粕切れを起こし易く、作業性の低下が問題となっている。一方、粕取り適性を向上させるためには、剥離力を小さくすると改善効果が期待できるが、本来剥離紙上に残すべきラベルも一緒に除去される(以下「身上がり」と称す)ことがあり、トラブルの一因となっている。
また、剥離紙に粘着剤を塗布する工程で、剥離紙基材にピンホールや凹部があると、剥離紙基材中に粘着剤が入り込んだ状態の粘着シートとなり、印刷・ラベル化工程で粘着剤の付着した表面基材を剥離剤層から剥離すると剥離紙上に粘着剤が残る現象(以下「糊残り」と称す)が見られる。
この糊残りは、粘着シートをフォーム印刷やシール印刷加工に供する過程で、印刷、ダイカット(打ち抜き)、粕取り等をする際に、剥離剤表面が当たるガイドロール等に剥離紙上に残った粘着剤が付着し、紙送り不良や印刷ずれ等のトラブルを起こし、作業性や品質面に重大な障害となる。また、オートラベラーやハンドラベラー等でプリントやラベリングを行う工程でも同様に紙送り不良や印刷ずれ等の剥離剤層表面の糊残りが問題となる。
この問題を解決するため、従来から、剥離剤をより均一に塗布し、剥離紙用原紙においては、剥離剤が浸み込まないようなバリア性を付与することが常套手段となっていた。特許文献1では、剥離紙用原紙を金属ロールと金属ロールで通紙処理して、高密度、高平滑化することで、剥離剤の浸透を抑制しつつ、ラベリング適性を付与する技術が開示されているが、高密度化および高平滑化を達成するための製造方法が限定される上、処理装置に莫大なコストがかかってしまう。さらに、特許文献2では、α−セルロース含有率が低めの広葉樹晒クラフトパルプを一部使用することで光電管適性を付与できることが開示されているが、身上がりや糊残りといったラベル加工適性の改善を意図したものではない。また、特許文献3では、カナダ標準ろ水度が250〜400ml(CSF)となるように叩解処理したパルプ繊維を抄紙し、重合度1000〜2500のポリビニルアルコールを塗布し、平滑化処理した原紙であって、透気度が3000秒以上であり、耐溶剤性に優れ、加工および使用時においてうねりのない剥離紙用原紙が開示されている。しかし、身上がりや糊残りといったラベル加工適性の改善を意図したものではない。
特許文献4では、下塗り層塗液の基材への加圧浸透を抑制するために重合度1500以上のポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする塗液を抄紙機内に設置されたバーコーターで乾燥質量0.5〜5g/m塗布し、下塗り層表面の王研式平滑度を500秒以上とする剥離紙の製造方法に関する技術が開示されている。しかし、バーコーターによって塗工筋が発生しないように製造するには、塗工速度を低く制限する必要があり、生産効率が著しく低下してしまう。
特開2000−345497号公報 特開2007−186816号公報 特開2006−274479号公報 特開平9−137399号公報
上記のような問題点を解決し、細い複雑な形に打ち抜かれた粕をも高速で粕取りでき、身上がりや糊残りの発生が少なく、加工性の良好な粘着シートを構成することができる剥離紙用原紙および剥離紙が求められていた。
本発明は、係る状況に鑑みてなされたものであり、粘着シートを構成した場合に、糊残りや身上がりが少なく、ラベル加工適性に優れた粘着シート用の剥離紙用原紙および剥離紙を提供することを課題とする。
本発明者らは、粘着シートの糊残りや身上がり、粕取り適性といったラベル加工適性を改善すべく、剥離紙用原紙の特性について種々検討を重ねた結果、シリコーン樹脂等の剥離剤層を剥離紙用原紙の表面に均一に形成することが、糊残りや身上がりの改善には良好であること、剥離剤層を原紙の表面に均一に形成するためには、原紙のステキヒトサイズ度を調整し、基紙のパルプ叩解度を適切な範囲にし、下塗り層の種類(樹脂種類、顔料種類)として特定のものを採用することが好ましいこと、これらの組み合わせによって、比較的少量の剥離剤の塗布によっても効果的に剥離性能を発現し、上記課題の解決につながること、を見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は以下のような構成を有している。
(1)基紙の少なくとも一方の面に下塗り層を設けてなる剥離紙用原紙であって、前記基紙は、JIS P8121によるカナダ標準ろ水度が100〜300mlのパルプ繊維から構成されたものであり、前記基紙は、サイズ剤を含有し、前記下塗り層は、α−オレフィン変性ポリビニルアルコールと板状顔料を含有し、前記剥離紙用原紙のJIS P8122によるステキヒトサイズ度が、5〜20秒であることを特徴とする剥離紙用原紙。
(2)JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度が、50,000〜1,500,000秒である前記(1)に記載の剥離紙用原紙。
(3)ISO2471による不透明度が、50〜75%である前記(1)または(2)に記載の剥離紙用原紙。
(4)坪量が、40〜100g/mである前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
(5)前記下塗り層の付着量が0.5〜4.0g/mである前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
(6)前記下塗り層において、前記板状顔料100質量部に対して前記α−オレフィン変性ポリビニルアルコールを50〜300質量部含有する前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
(7)前記α−オレフィン変性ポリビニルアルコールが、α−オレフィンを1〜20モル%含有し、重合度200〜8000であり、けん化度80〜100モル%である前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
(8)前記α−オレフィンがエチレンである前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
(9)前記板状顔料のアスペクト比が7以上である前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
(10)前記サイズ剤の含有量が、前記基紙に対して0.3質量%以上である前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
(11)前記サイズ剤が、ロジン系サイズ剤である前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
(12)前記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙の下塗り層上に剥離剤層を設けた剥離紙。
(13)JIS P8121によるカナダ標準ろ水度が100〜300mlのパルプ繊維から構成され、サイズ剤を含有する基紙の少なくとも一方の面に、α−オレフィン変性ポリビニルアルコールと板状顔料を含有する下塗り層を設けて、JIS P8122によるステキヒトサイズ度が5〜20秒である剥離紙用原紙を製造する方法であって、ゲートロールコータを用いて、前記基紙に下塗り剤を塗布することを特徴とする剥離紙用原紙の製造方法。
(14)下塗り剤を塗布した後に、乾燥し、金属ロールと樹脂ロールを含む複数のカレンダーロールを用いて平滑化処理を行うことを特徴とする前記(13)に記載の剥離紙用原紙の製造方法。
(15)剥離紙用原紙の水分率を10〜20質量%にした状態で平滑化処理を行うことを特徴とする前記(14)に記載の剥離紙用原紙の製造方法。
本発明によると、粘着シートを構成した場合に、糊残りや身上がりが少なく、ラベル加工適性に優れた粘着シート用の剥離紙用原紙および剥離紙を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の剥離紙用原紙は、基紙と基紙の少なくとも一方の面に設けられた下塗り層とから構成されている。
(基紙)
本発明の剥離紙用原紙の基紙を抄造するのに使用するパルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(以下LBKPと略記する)、針葉樹晒クラフトパルプ(以下NBKPと略記する)、古紙パルプを適宜混合して使用することが可能である。古紙パルプにはDIP、抄紙工程で発生する仕損品も含まれる。地合の均一性を考慮すると、LBKPの比率が多いほうが好ましい。また、必要に応じて任意の合成繊維や非木材繊維などを配合することが可能である。
上記のパルプのJIS P8121によるカナダ標準ろ水度(叩解度)を100〜300mlに調製することが必要である。カナダ標準ろ水度(叩解度)を100〜300mlの範囲とすることによって、後記するサイズ剤の効果と相まって、均一な下塗り層を形成することが可能となる。また、適度の紙層間強度を有し、剥離紙用原紙に光透過性を付与することができる。カナダ標準ろ水度(叩解度)を100〜300mlに調製するために、パルプを叩解する方法については、公知の方法を使用することができる。
剥離紙用原紙の基紙に内添することができる填料としては、例えば、二酸化チタン、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネーテッドカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機顔料や、尿素・ホルマリン樹脂粒子、微小中空粒子等の有機顔料等を例示することができる。古紙や損紙等に含まれる填料も再使用できる。剥離紙用原紙の光透過性のためには、二酸化チタン、カオリン、タルク、炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、酸性pH領域における抄紙で高い光透過性を達成するためには、カオリンが特に好ましい。炭酸カルシウムは酸性下で溶解するため酸性抄造では好ましくない。剥離紙用原紙の光透過性は粘着シートの光電管適性に大きく影響し、剥離紙用原紙の色相や坪量により光透過性が異なるため、填料の配合量は0〜25質量%が好ましく、より好ましくは1〜20質量%の範囲である。
(サイズ剤)
剥離紙用原紙の基紙には、サイズ剤を含有させることが必要である。基紙はサイズ剤を含有することによって、基紙に後記する下塗り層を塗布する際に、下塗り剤が内部に浸透し過ぎることなく、表面付近に均一な下塗り層を設けることが可能となる。サイズ剤は元々インクがにじむことを防止する目的で添加されるものであるが、本発明では上記のような新たな効果を有することを見出している。
サイズ剤の具体例としては、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系などが挙げられる。印刷適性を確保し、表面性を維持するためには、酸性pH領域での抄紙が好ましい。酸性pH領域で十分なサイズ性を付与するには、ロジン系サイズ剤が好ましい。
サイズ剤の含有量は、基紙に対して0.3質量%以上であることが好ましい。サイズ剤の含有量が0.3質量%未満であると、剥離紙用原紙のステキヒトサイズ度が低くなり、適度の透気度が得られないおそれがある。好ましいサイズ剤の含有量は0.4〜1.5質量%の範囲であり、より好ましいサイズ剤の含有量は0.5〜1.0質量%の範囲である。
剥離紙用原紙の基紙には、パルプ、填料、サイズ剤の他に、紙力増強剤、歩留り向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、湿潤紙力剤、染料・顔料等の抄紙用内添助剤を必要に応じて添加することができる。
紙力増強剤の具体例としては、アニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カチオン澱粉、ポリアクリルアミドと澱粉とのグラフト共重合体、各種変性澱粉類、尿素樹脂、ポリアミド・ポリアミン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。高い紙層間強度を達成するためには、アニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カチオン澱粉、ポリアクリルアミドと澱粉とのグラフト共重合体から選択される少なくとも1種が好ましい。
歩留り向上剤の具体例としては、ポリアクリルアミド系化合物、ポリエチレングリコール系化合物、ポリビニルアミン系化合物が挙げられる。填料を二酸化チタンとする場合には、全体の歩留りが低下し生産性が低下しやすいため、生産性を維持するために適宜適切な歩留り向上剤が選択される。
pH調整剤の具体例としては、硫酸バンド、塩化アルミニウム、硫酸、塩酸、アルミン酸ソーダ、塩基性アルミニウム化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、各種の第1級、第2級、第3級アミン等のアルカリ性化合物等が挙げられる。汎用性と経済性から硫酸バンド、硫酸、水酸化ナトリウムが好ましい。
剥離紙の剥離剤層の厚みを均一にするためには、剥離紙用原紙の基紙の地合は良いことが望ましい。LBKPは、NBKPに比べ、繊維が比較的細くて短く、ピンホールが少なく、均一地合を形成し易い。ピンホールの少ない均一地合を形成するためには、LBKPの配合量は、全原料パルプの70質量%以上であることが好ましい。70質量%未満では、地合の均一性が不十分となり、ピンホールができ易くなり、剥離剤樹脂を塗布しても、ピンホールが残り、糊残りの原因となるおそれがある。また、地合が不均一であると、粘着シートを打抜き加工する際に、打抜き刃の刃当たりが均一にならず、ラベルがうまく切れずに身上がりを招く要因にもなる。
NBKPを主体としたグラシン紙の場合、透気度や平滑度が高くても、元々のNBKPがLBKPに比べ繊維幅が非常に太いため、局所的にピンホールの解消が不十分となる傾向がある。本発明において使用されるその他のパルプ原料としては木材パルプに限定されず、麻やケナフなどの非木材パルプや、合成繊維を配合しても良い。
(下塗り層)
剥離紙用原紙の基紙に、剥離剤樹脂を前記基紙表面に均一に留まるようにコントロールするために、基紙の少なくとも一方の面に下塗り層を設ける。
本発明において、下塗り層は、α−オレフィン変性ポリビニルアルコールと板状顔料を含有している。
(α−オレフィン変性ポリビニルアルコール)
α−オレフィン変性ポリビニルアルコールの主鎖の構成成分としては、酢酸ビニルモノマーに代表されるビニルエステルを80モル%以上含むポリマーをけん化して得られるポリマーが好ましく用いられる。α−オレフィン変性ポリビニルアルコールは、造膜性が良好であるため、ピンホールが少ない膜となり、剥離紙用原紙の王研式透気度を高くすることが可能である。また、バリヤ性、透明性においても優れているため、好ましく使用される。
α−オレフィン変性ポリビニルアルコールを製造する際に、酢酸ビニル以外のビニルエステル、例えば、ギ酸ビニル、アクリル酸ビニル、酪酸ビニル、クロトン酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、オレイン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の飽和脂肪酸ビニルエステル類を酢酸ビニルの代わりに用いることはもちろん可能である。
本発明におけるα−オレフィン変性ポリビニルアルコールのけん化度は、得られる樹脂組成物の剥離剤樹脂の浸透性や糊残り性を改善する効果をより高度に発揮させるという点から、けん化前に存在していたエステル基に対するけん化されたエステル基のモル比で表して、けん化度80〜100%が好ましい。耐湿性の面から、けん化度90%以上がより好ましく、95%以上が更に好ましく、98%以上が最も好ましい。
ビニルエステル以外に、1〜20モル%の量で用いられるコモノマー成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜20のα−オレフィンを挙げることができる。なかでも、特にエチレンは、得られる樹脂組成物の耐溶剤性、剥離剤樹脂浸透防止性等を改善し、優れた特性の樹脂組成物を与えることから特に好ましく用いられる。
本発明において、α−オレフィン、特にエチレンを共重合したエチレン変性ポリビニルアルコールはトルエン、メチルエチルケトン、ヘキサン等の各種溶剤に対して良好な耐溶剤性を示すことから好ましい。特にエチレンの共重合比率が1〜20モル%の範囲で共重合した変性ポリビニルアルコールは、耐溶剤性、打ち抜き加工適性等のバランスが優れており、好ましい。エチレンの共重合比率が1〜15モル%の範囲であると、剥離紙原紙の再離解性が著しく向上し、従来用いられているα−オレフィン変性以外の変性ポリビニルアルコール系樹脂に対して数倍程度の再離解性を示すことから、剥離紙として使用後に紙としてリサイクルする適性に優れている。特に、エチレンを1〜9モル%の範囲で共重合した変性ポリビニルアルコールを含有させた下塗り層を設けた剥離紙用原紙は、耐溶剤性、打ち抜き加工適性が最も優れ、最適である。α−オレフィンの共重合の手法は、コモノマーがポリビニルアルコールの主鎖中に共重合されていてもよいし、ポリビニルアルコールの主鎖にグラフト重合されていてもよい。
本発明におけるエチレン変性ポリビニルアルコールの重合度は、耐溶剤性、打ち抜き加工適性の観点から200〜8000の範囲にあることが好ましい。重合度は、300〜2500の範囲にあることがより好ましく、400〜2000の範囲であることがさらに好ましく、500〜1800の範囲であることが最も好ましい。
(板状顔料)
本発明に使用される下塗り層には、α−オレフィン変性ポリビニルアルコールに板状顔料を配合することが必要である。板状顔料の種類については特に制約はなく、カオリン、タルク、イライト、マイカ、人工雲母、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ等の無機顔料を適宜選定して使用することができる。顔料を最密充填する場合、球形顔料と比べて、板状顔料を用いると一般に空隙率は減少し、ち密な塗工層を形成できるため、品質上好ましい。
板状顔料としては、アスペクト比が7以上であるものが好ましい。アスペクト比が7以上の板状顔料は、塗工の際に平面方向に配向するため、バリア性及び平滑性に優れた塗工層を容易に得ることができる。ここで、アスペクト比は、平板状顔料の厚さを電子顕微鏡観察により測定し、平板状顔料の体積平均粒子径をその厚さで除することによって求めることができる。このとき、体積平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布計(日機装社製、「マイクロトラックMT−3000」)を用いて求めることができる。
板状顔料の平均粒子径は、バリア性および平滑性が優れる理由から、0.2〜10μmのものが好ましい。また板状顔料の厚みは、前項で示した通りアスペクト比が7以上となるものが好ましい。また、板状顔料は光透過性に優れたものが好ましい。
本発明で好ましく用いられる、アスペクト比が7以上の板状顔料としては、カオリン、タルク、イライト、マイカ、人工雲母、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
板状顔料とα−オレフィン変性ポリビニルアルコールの配合量は、板状顔料100質量部に対してα−オレフィン変性ポリビニルアルコールを50〜300質量部の範囲で含有することが好ましい。α−オレフィン変性ポリビニルアルコールの配合量が300質量部を超えると、塗工直後のシリンダードライヤーの汚れが顕著となり、また板状顔料によるピンホールの被覆が不足し、糊残り改善の効果が発現されない。一方、α−オレフィン変性ポリビニルアルコールの配合量が50質量部未満であると、顔料と顔料の空隙にα−オレフィン変性ポリビニルアルコールを充分に充填できないので微細な空隙が多数発生し、シリコーン塗工液の塗工層及び基材への浸透を抑えることができないおそれがある。
下塗り層の付着量は、乾燥後において剥離紙用原紙に対して0.5〜4.0g/mであることが好ましい。0.5g/m未満であると剥離剤樹脂の浸透防止効果が不充分となり、剥離力が増大してしまう。下塗り層の付着量が4.0g/mより多いと剥離力が小さくなり過ぎて身上がりが発生しやすい。
(剥離紙用原紙)
上記のようにして、剥離紙用原紙の基紙の少なくとも一方の面に下塗り層を設けることによって、剥離紙用原紙を得ることができる。
剥離紙用原紙のステキヒトサイズ度(JIS P 8122:2004に準じて測定)は、5〜20秒であることが必要である。7〜15秒程度であることが好ましい。ステキヒトサイズ度が5〜20秒であると、剥離剤や粘着剤の浸透を適度に抑制することができる。剥離紙用原紙のステキヒトサイズ度は、サイズ剤の種類や含有量、下塗り層の構成、後記する平滑化処理等によって制御することができる。
剥離紙用原紙の坪量は、調湿後で、40〜100g/mであることが好ましい。40g/m未満であると紙力が弱く加工適性に劣り、100g/mより高いと適度な光透過性を付与することが難しくなる。
剥離紙用原紙の表面をシリコーン樹脂等の剥離剤で均一に被覆するようにコントロールする手法として、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に準じて測定した剥離紙用原紙の王研式透気度を使用することができる。すなわち、剥離紙用原紙の王研式透気度が50,000秒未満では、剥離剤樹脂が浸み込み過ぎて、剥離性能が発現し難くなる。また、1,500,000秒を超えて高くなると、剥離剤樹脂の浸み込みがなくなり、剥離力が軽くなり過ぎ、身上がりが発生し易くなってしまう。剥離紙用原紙の王研式透気度が50,000〜1,500,000秒であることが好ましく、より好ましくは70,000〜1,200,000秒、特に好ましくは90,000〜1,000,000秒である。
また、剥離紙用原紙の表面をシリコーン樹脂等の剥離剤で均一に被覆するようにコントロールする手法として、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に準じて測定した剥離紙用原紙の王研式平滑度を使用することができる。すなわち、王研式平滑度が300秒未満では、剥離剤樹脂で基紙の表面を均一に被覆することが難く、王研式平滑度が3,000秒を超えて高くなると、剥離力が軽くなり過ぎ、身上がりが発生し易くなってしまう。剥離紙用原紙の王研式平滑度が300〜3,000秒であることが好ましく、より好ましくは500〜2,000秒、特に好ましくは700〜1,200秒である。
剥離紙用原紙のISO2471に準じて測定した不透明度は、50〜75%の範囲であることが好ましい。不透明度が75%を超えると光電管適性が不十分である。一方、不透明度を50%未満にするためには、透明化樹脂を含浸・塗布することが必要となり、好ましくない。本発明では、光透過性発現のために、高密度化することで光透過性を発現させるものである。剥離紙用原紙に光電管適性としての光透過性を付与するために、従来のようにNBKPを主体として高叩解するのではなく、LBKPを主体として抄紙し、カレンダー処理して高密度化する方が好ましい。また、LBKPの中でも、ヘミセルロースを多く含有する方が光透過性は発現し易い傾向にある。
(剥離紙用原紙の製造方法)
本発明の剥離紙用原紙の製造方法について説明する。
本発明では、JIS P8121によるカナダ標準ろ水度が100〜300mlのパルプ繊維から構成され、サイズ剤を含有する基紙に対して、少なくとも一方の面に、α−オレフィン変性ポリビニルアルコールと板状顔料を含有する下塗り層を塗布する。そうすることで、JIS P8122によるステキヒトサイズ度が5〜20秒である剥離紙用原紙を製造することができる。
下塗り剤を塗布する際には、カレンダー処理前の基紙が高水分を保持している必要があるなどの操業効率上の理由から、オンマシンでのサイズプレスもしくはゲートロールコータを用いることが好ましい。ここで、ゲートロールコータは、オンラインで、基紙の両側の面に同時に異なる種類の下塗り剤を塗布することができるものであり、より好ましい。
さらに、本発明では、基紙に下塗り層を塗布した後に、乾燥し、カレンダーロールを用いて平滑化処理することにより、剥離紙用原紙の高密度化を図ることが可能であり、剥離紙用原紙の光透過性を向上させることができる。また、下塗り層をピンホールが少ないバリヤ性に優れたものとすることができ、剥離剤や粘着剤が剥離紙用原紙の内部にまで浸透することを抑制することが可能となる。ここで、カレンダー処理としては、金属ロールと樹脂ロールを含む複数のカレンダーロールを用いることが好ましい。
また、カレンダー処理としては、光透過性の発現を考慮すると、密度が1.0〜1.2g/cmの範囲にすることが好ましいことから、より高密度化し易いスーパーカレンダーによる高温多段加圧処理が好ましい。スーパーカレンダーとは、金属ロールと樹脂ロールとからなるカレンダーロールを交互に10〜20段程度並べて、連続的にカレンダー加工する手法をいう。
カレンダーロールを用いて平滑化処理する際には、剥離紙用原紙は10〜20%の水分を保持させた状態で平滑化処理を行う方が、高密度化を図り易いため、好ましい。
以上説明してきたように、本発明の剥離紙用原紙は、基紙のパルプのカナダ標準ろ水度を所定の範囲にし、サイズ剤を含有させ、下塗り層として、α−オレフィン変性ポリビニルアルコールと板状顔料とからなるものを使用することで、基紙の表面付近に剥離剤の内部への浸透を抑制する下塗り層が形成され、原紙としてのステキヒトサイズ度を所定の範囲に調整することによって、剥離剤層を剥離紙用原紙の表面付近に均一に形成させることを可能にするものである。また、剥離剤層の形成に用いるシリコーン樹脂等の剥離剤の使用量を剥離効果を低下させずに少なくすることを可能とするものである。
(剥離紙)
本発明では、上記のような紙質範囲にある剥離紙用原紙に、剥離剤樹脂を塗布し、乾燥させて、剥離剤層を形成させて、剥離紙を形成する。本発明での剥離剤樹脂としては、一般的にシリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、ポリエステル樹脂等が例示できるが、通常は剥離品質、価格面から水性エマルション型、溶剤型または無溶剤型のシリコーン樹脂が使用される。特に、環境配慮面、作業者の安全面から水性エマルション型や無溶剤型への切替えが進んでおり、本発明では、無溶剤型シリコーン樹脂を使用することがより好ましい。中でも25℃における粘度が50〜1,000mPa・sである無溶剤型シリコーン樹脂がさらに好ましい。剥離剤樹脂を塗布する方法としては、バーコーター、エアナイフコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、多段ロールコーター等が挙げられる。
剥離剤樹脂の塗布量は、0.5〜1.5g/mが好ましい。塗布量が0.5g/m未満では、剥離剤量が少なく剥離性能が不十分となり、ラベル加工時に粕切れが頻発するおそれがある。また、1.5g/mを超えて多くなると、剥離力が軽くなり過ぎ、身上がりが頻発するおそれがある。また、前述したように剥離紙とした後の地合の均一性を透過光により地合ムラとして数値化した場合、その規格化標準偏差は0.4以下が好ましい。0.4を超えて大きくなると、地合ムラが徐々に大きくなり、打ち抜き加工時の刃当たりの不均一化を招き、ラベル加工適性が悪化する。また、剥離紙の厚み方向での圧縮弾性率も高くした方が、打ち抜き適性には良好な傾向もあり、その意味からも剥離紙の密度は高くした方が好ましい。
(粘着シート)
粘着シートを製造する際には、剥離紙の剥離剤層の表面に、粘着剤を塗布し、乾燥した後、表面基材と貼り合せることによって形成する。粘着剤としては、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピレンブロック共重合体、再生ゴム、合成ゴム等のゴム系、アクリル系、シリコーン系等の粘着剤が適宜使用される。これら粘着剤は、溶剤型、水性エマルション型、ホットメルト型、液状硬化型等の形態をしている。粘着剤の塗布量としては、乾燥質量で10〜40g/mの範囲で適宜調整される。粘着剤の塗布量が、10g/m未満では粘着力が低くなり過ぎ、ラベルを各種被着体に貼付した際にラベル浮きが発生するおそれがある。粘着剤の塗布量が40g/mを超えるとラベルの打ち抜き加工時に粘着剤が粘着シート断面からはみ出し、その粘着剤が堆積してラベルの印刷面を汚したり、破損するおそれがある。なお、粘着剤を塗布する方法としては、リバースロールコーター、リバースグラビアコーター、バリオグラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
表面基材としては、例えば、キャストコート紙、アート紙、コート紙、上質紙、感熱紙、インクジェット用紙、合成紙、蒸着紙、各種高分子フィルム等があり、その用途、目的に応じ適宜選択して使用することができる。
本発明を下記の実施例によって、さらに具体的に説明する。実施例、比較例中の部、%は、特に断らない限り、それぞれ質量部、質量%を示し、塗布量、部数、混合割合等はすべて固形分で示した。
<エチレン変性ポリビニルアルコール1>
撹拌機、温度計、エチレン導入管、窒素導入管、及び冷却機を備えた耐圧反応容器に、酢酸ビニル100部とメタノール30部を仕込み、次いで、窒素置換した後、圧力3.0kg/cmになるようにエチレンを注入した。重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリルをメタノールに溶解した溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングによって窒素置換した。上記単量体を仕込んだ反応容器を昇温し、内温が60℃に達したとき開始剤溶液を注入し、重合を開始した。3時間後に冷却した。脱エチレンし、次いで、減圧下に未反応酢酸ビニル単量体を除去し、エチレン変性されたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を得た。これにNaOHのメタノール溶液(NaOHの含有量10質量%)を添加してけん化反応を開始した。アルカリ溶液を添加して1分経過後、生成したゲル化物を粉砕機で粉砕し、さらに1時間放置してけん化反応を進行させた後、反応系内に酢酸メチルを加えて、残存するアルカリを部分的に中和した。白色固体の変性ポリビニルアルコールを濾別し、これにメタノールを加えて室温で3時間放置し、洗浄し、遠心分離法により脱液した。洗浄後の変性ポリビニルアルコールを遠心脱液し、次いで内温が90℃に保たれた乾燥機を用いて、窒素気流下(酸素濃度8%)に1日間乾燥処理を行い、チップ状の変性ポリビニルアルコールを得た。これを変性ポリビニルアルコール1とする。
該変性ポリビニルアルコール1は、重合度1200、けん化度98.6モル%、エチレン変性度2.0モル%であった。
なお、本発明において重合度およびけん化度は、JIS K 6726−1994「ポリビニルアルコール試験方法」の「3.7 平均重合度」および「3.5 けん化度」に従って求めた。また、エチレン変性度については、H−NMRおよび13C−NMRによって解析して求めた。なお、エチレン変性度については市販のエチレン変性ポリビニルアルコール(クラレ社製:商品名「エバールL101」など)を標準物質とした。
<エチレン変性ポリビニルアルコール2>
圧力を4.0kg/cmになるようにエチレンを注入したこと以外は、変性ポリビニルアルコール1と同様にして変性ポリビニルアルコールを製造した。これを変性ポリビニルアルコール2とする。
該変性ポリビニルアルコール2は、重合度1200、けん化度98.2モル%、エチレン変性度5.2モル%であった。
<エチレン変性ポリビニルアルコール3>
圧力を7.0kg/cmになるようにエチレンを注入したこと以外は、変性ポリビニルアルコール1と同様にして変性ポリビニルアルコールを製造した。これを変性ポリビニルアルコール3とする。
該変性ポリビニルアルコール3は、重合度1200、けん化度98.4モル%、エチレン変性度16.4モル%であった。
(実施例1)
(1)表面基材
表面基材として、坪量78g/mの感熱紙(商品名:「LCB575」、王子イメージングメディア社製)を用いた。
(2)剥離紙用原紙
LBKP70部とNBKP30部とからなる、カナダ標準ろ水度(カナディアン・スタンダード・フリーネス)250mlのパルプスラリー中に、絶乾パルプに対して紙力剤としてカチオン化澱粉(商品名:「ピラースターチP−3T」、ピラースターチ社製)0.3%、サイズ剤としてロジンサイズ剤(商品名:「サイズパインN−776」、荒川化学工業社製)0.5%、硫酸バンド1.0%を添加し定着させた後、長網抄紙機で抄紙濃度0.3%で抄紙し、オンマシンゲートロールコーターにて、α−オレフィン変性ポリビニルアルコール(エチレン変性ポリビニルアルコール1)150質量部とカオリン(商品名:「HT」、アスペクト比7、エンゲルハード社製)100質量部の12%混合液を塗工し、塗工量が乾燥質量で1.2g/mとなる下塗り層を設けた剥離紙用原紙を得た。ついで、この原紙をスーパーカレンダー処理し、高密度化することで、本発明の剥離紙用原紙を作成した。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は10秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は90,000秒、ISO2471による不透明度は70%であった。
(3)粘着シート
上記剥離紙用原紙に3本オフセットグラビアコーターで、無溶剤型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーング・シリコーン社製「LTC−1056L」)(25℃における粘度:250mPa・s)を架橋反応に必要な触媒と混合した後、1g/m塗布・硬化し、剥離紙を得た。
次いで、この剥離紙のシリコーン塗布面に粘着剤(トーヨーケム社製「オリバインBPW6111」)を固形分として20g/mとなるように塗布乾燥した後、カール矯正のため粘着剤塗布の反対面にグラビアロールで水付け処理を行い、上記表面基材と貼り合せ、粘着シートを得た。
(実施例2)
剥離紙用原紙の基紙の作製において、パルプのカナダ標準ろ水度(カナディアン・スタンダード・フリーネス)を100mlとした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は10秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は130,000秒、ISO2471による不透明度は65%であった。
(実施例3)
剥離紙用原紙の基紙の作製において、パルプのカナダ標準ろ水度(カナディアン・スタンダード・フリーネス)を300mlとした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は9秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は85,000秒、ISO2471による不透明度は72%であった。
(実施例4)
剥離紙用原紙の基紙の作製において、ロジンサイズ剤(商品名:「サイズパインN−776」、荒川化学工業社製)を0.3%、硫酸バンド0.6%とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は5秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は67,000秒、ISO2471による不透明度は69%であった。
(実施例5)
剥離紙用原紙の基紙の作製において、ロジンサイズ剤(商品名:「サイズパインN−776」、荒川化学工業社製)を1.1%、硫酸バンド2.0%とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は19秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は110,000秒、ISO2471による不透明度は70%であった。
(実施例6)
剥離紙用原紙の作製において、α−オレフィン変性ポリビニルアルコールをエチレン変性ポリビニルアルコール2とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は11秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は140,000秒、ISO2471による不透明度は69%であった。
(実施例7)
剥離紙用原紙の作製において、α−オレフィン変性ポリビニルアルコールをエチレン変性ポリビニルアルコール3とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は13秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は260,000秒、ISO2471による不透明度は70%であった。
(実施例8)
剥離紙用原紙の基紙の作製において、サイズ剤をアルケニル無水コハク酸(ASA)(商品名:「ファイブランF81K」、ナショナルスターチ社製)を0.1%、硫酸バンド0.5%とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は6秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は70,00 0秒、ISO2471による不透明度は70%であった。
(実施例9)
剥離紙用原紙の作製において、下塗り層の顔料を高アスペクト比のカオリン(商品名:「バリサーフHX」、アスペクト比100、イメリス ミネラルズ・ジャパン社製)とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は12秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は170,000秒、ISO2471による不透明度は71%であった。
(実施例10)
剥離紙用原紙の作製において、下塗り層の顔料をナトリウム四珪素雲母(人造雲母)(商品名:「NTO−5」、アスペクト比1000、トピー工業社製)とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は12秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は300,000秒、ISO2471による不透明度は70%であった。
(実施例11)
剥離紙用原紙の作製において、下塗り層の顔料をタルク(商品名:「シュウエン」、アスペクト比約7、中央カオリン社製)とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は9秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は72,000秒、ISO2471による不透明度は70%であった。
(実施例12)
剥離紙用原紙の作製において、下塗り層の塗工量が乾燥質量で0.5g/mとなるとした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は6秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は51,000秒、ISO2471による不透明度は69%であった。
(実施例13)
剥離紙用原紙の作製において、下塗り層の塗工量が乾燥質量で3.8g/mとなるとした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、72g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は15秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は1,500,000秒、ISO2471による不透明度は73%であった。
(実施例14)
剥離紙用原紙の作製において、α−オレフィン変性ポリビニルアルコール(エチレン変性ポリビニルアルコール1)を50質量部とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は8秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は50,000秒、ISO2471による不透明度は71%であった。
(実施例15)
剥離紙用原紙の作製において、α−オレフィン変性ポリビニルアルコール(エチレン変性ポリビニルアルコール1)を300質量部とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は12秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は120,000秒、ISO2471による不透明度は70%であった。
(実施例16)
剥離紙用原紙の作製において、下塗り層の塗工量が乾燥質量で4.5g/mとなるとした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、73g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は15秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は2,000,000秒、ISO2471による不透明度は74%であった。
(実施例17)
剥離紙用原紙の作製において、α−オレフィン変性ポリビニルアルコール(エチレン変性ポリビニルアルコール1)を40質量部とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は8秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は62,000秒、ISO2471による不透明度は70%であった。
(実施例18)
剥離紙用原紙の作製において、α−オレフィン変性ポリビニルアルコール(エチレン変性ポリビニルアルコール1)を330質量部とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は11秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は125,000秒、ISO2471による不透明度は69%であった。
(比較例1)
剥離紙用原紙の基紙の作製において、パルプのカナダ標準ろ水度(カナディアン・スタンダード・フリーネス)を90mlとした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は9秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は150,000秒、ISO2471による不透明度は64%であった。
(比較例2)
剥離紙用原紙の基紙の作製において、パルプのカナダ標準ろ水度(カナディアン・スタンダード・フリーネス)を340mlとした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は10秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は60,000秒、ISO2471による不透明度は72%であった。
(比較例3)
剥離紙用原紙の基紙の作製において、ロジンサイズ剤(商品名:「サイズパインN−776」、荒川化学工業社製)を0.2%、硫酸バンド0.4%とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は2秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は41,000秒、ISO2471による不透明度は70%であった。
(比較例4)
剥離紙用原紙の基紙の作製において、ロジンサイズ剤(商品名:「サイズパインN−776」、荒川化学工業社製)を2.0%、硫酸バンド2.5%とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は25秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は130,000秒、ISO2471による不透明度は69%であった。
(比較例5)
剥離紙用原紙の作製において、α−オレフィン変性ポリビニルアルコールを一般ポリビニルアルコール(重合度1700、けん化度98.5モル%、エチレン変性度0モル%)に代えた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は11秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は40,000秒、ISO2471による不透明度は71%であった。
(比較例6)
剥離紙用原紙の作製において、下塗り層の顔料を板状ではない軽質炭酸カルシウム(商品名:「ブリリアント15」、白石カルシウム社製)とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は9秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は39,000秒、ISO2471による不透明度は72%であった。
(比較例7)
剥離紙用原紙の作製において、下塗り層の顔料を板状ではないシリカ(商品名:「ミズカシルP527」、水澤化学工業社製)とした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は8秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は28,000秒、ISO2471による不透明度は72%であった。
(比較例8)
剥離紙用原紙の作製において、下塗り層の塗工量が乾燥質量で0.3g/mとなるとした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。得られた剥離紙用原紙の調湿坪量は、70g/m、JIS P8122によるステキヒトサイズ度は4秒、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度は37,000秒、ISO2471による不透明度は70%であった。
<粘着シートの評価>
・身上がり適性
粘着シート220mm巾のロールを凸版輪転印刷機SKP−250A(三起社製)にて、速度20m/minで粕取りし、身上がりの有無を評価した。
○…身上がり発生せず
△…わずかに身上がり発生
×…身上がり発生
・糊残り評価
上記身上がり適性評価工程で、ロールに付着した糊量によって評価した。
○:糊残りがほとんど発生しない
△:糊残りが多少ある
×:糊残りがかなり目立つ
・剥離評価
粘着ラベルを、引っ張り試験機を用いて180°の角度で剥離するのに要する力(g/50mm)を測定した。なお、引っ張りの速度は10m/分とした。40g/50mm以上は剥離性に劣ると判定した。
・カール評価
得られた粘着シートからA4サイズのサンプルを作成し20℃/65%RHの雰囲気下に4時間調湿し、平らなサンプル台の上にカールした側を上に置き、サンプルの4隅がサンプル台からどれだけ浮いたかを測定してその平均値を求めて、下記の基準で評価した。
○:0〜1.5cm未満
△:1.5cm以上〜3.0cm未満
×:3.0cm以上
実施例及び比較例で得られた結果を表1に示す。
Figure 2014198922
Figure 2014198922
表1および2から明らかなように、剥離紙用原紙のパルプのカナダ標準ろ水度、下塗り層の種類(樹脂種類、顔料種類)と塗工量、ステキヒトサイズ度を特定の範囲内にコントロールした実施例1〜18は、剥離紙用原紙表面を剥離剤樹脂で適正に被覆することができ、糊残り、身上がり、剥離力、カール、光電管適性(不透明度)ともに問題がなかった。また透気度も好ましい範囲の数値を有するものであった。
一方、請求項1に規定した範囲から外れる比較例1〜8は、糊残り、身上がり、剥離力、カールのいずれか1つ以上の性能において、劣るものであった。
パルプのろ水度、下塗り層の種類(樹脂種類、顔料種類)、ステキヒトサイズ度を特定の範囲内にコントロールした剥離紙用原紙に剥離剤層を設けた剥離紙を用いて粘着シートを構成することにより、糊残りや身上がりが少なく、カールにも問題がなく、ラベル加工適性に優れた製品が得ることができる。

Claims (15)

  1. 基紙の少なくとも一方の面に下塗り層を設けてなる剥離紙用原紙であって、前記基紙は、JIS P8121によるカナダ標準ろ水度が100〜300mlのパルプ繊維から構成されたものであり、前記基紙は、サイズ剤を含有し、前記下塗り層は、α−オレフィン変性ポリビニルアルコールと板状顔料を含有し、前記剥離紙用原紙のJIS P8122によるステキヒトサイズ度が、5〜20秒であることを特徴とする剥離紙用原紙。
  2. JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000による王研式透気度が、50,000〜1,500,000秒である請求項1に記載の剥離紙用原紙。
  3. ISO2471による不透明度が、50〜75%である請求項1または請求項2に記載の剥離紙用原紙。
  4. 坪量が、40〜100g/mである請求項1〜3のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
  5. 前記下塗り層の付着量が0.5〜4.0g/mである請求項1〜4のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
  6. 前記下塗り層において、前記板状顔料100質量部に対して、前記α−オレフィン変性ポリビニルアルコールを50〜300質量部含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
  7. 前記α−オレフィン変性ポリビニルアルコールが、α−オレフィンを1〜20モル%含有し、重合度200〜8000であり、けん化度80〜100モル%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
  8. 前記α−オレフィンがエチレンである請求項1〜7のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
  9. 前記板状顔料のアスペクト比が7以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
  10. 前記サイズ剤の含有量が、前記基紙に対して0.3質量%以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
  11. 前記サイズ剤が、ロジン系サイズ剤である請求項1〜10のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙。
  12. 前記請求項1〜11のいずれか1項に記載の剥離紙用原紙の下塗り層上に剥離剤層を設けた剥離紙。
  13. JIS P8121によるカナダ標準ろ水度が100〜300mlのパルプ繊維から構成され、サイズ剤を含有する基紙の少なくとも一方の面に、α−オレフィン変性ポリビニルアルコールと板状顔料を含有する下塗り層を設けて、JIS P8122によるステキヒトサイズ度が5〜20秒である剥離紙用原紙を製造する方法であって、ゲートロールコータを用いて、前記基紙に下塗り剤を塗布することを特徴とする剥離紙用原紙の製造方法。
  14. 下塗り剤を塗布した後に、乾燥し、金属ロールと樹脂ロールを含む複数のカレンダーロールを用いて平滑化処理を行うことを特徴とする請求項13に記載の剥離紙用原紙の製造方法。
  15. 剥離紙用原紙の水分率を10〜20質量%にした状態で平滑化処理を行うことを特徴とする請求項14に記載の剥離紙用原紙の製造方法。
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