JP2014188626A - 表面被覆部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 良好な耐溶着性と耐摩耗性とを兼ね備えた被覆層を具備する切削工具等の表面被覆部材を提供する。
【解決手段】 基体5の表面に、TiCN層(8、9、10、13)を少なくとも1層を含む多層からなる被覆層6を設け、TiCN層のうちの最も上層の上層TiCN層13が、TiCN粒状結晶からなるとともに、X線回折測定において(422)ピークが最強の切削インサート1等の表面被覆部材である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基体の表面にTiCN層を少なくとも1層を含む多層からなる被覆層を設けた表面被覆部材に関する。
表面被覆部材として、超硬合金やサーメット等の基体の表面に被覆層を成膜して、耐摩耗性、摺動性、耐欠損性を向上させたコーティング超硬合金が広く使われている。
例えば、特許文献1では、超硬合金基体の表面に、TiNやTiCNの下部層とAl層の上部層を3〜30μm厚みで成膜した後、TiO層の最表面下地層を0.1〜3μmと、TiCNO(Oは前記最表面下地層から拡散した酸素)層を0.05〜2μmとの順に積層した構成の硬質被覆層を形成した切削工具が開示され、ステンレス鋼や軟鋼などの粘性の高い被削材の切粉に対する親和性が低くて、耐溶着性に優れていることが記載されている。
また、特許文献2や特許文献3では、上記構成に類似する被覆層を成膜した後で、被覆層の表面を研磨加工して被覆層の表面を滑らかにする方法が開示されている。
特開2001−071203号公報 特開2008−055581号公報 特開2006−297585号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、被覆層の耐溶着性は向上するものの、最表層は摩耗しやすくて早期に摩滅してしまい、最表層のさらなる改善が求められていた。また、特許文献2、3のように被覆層を成膜した後で被覆層の表面を研磨する方法では、工程が増えるので製造コストがかさんでしまうとともに、被覆層の表面に存在していたTiO層やTiCNO層が研磨によって摩滅してしまい、表面層の効果が失われてしまうという問題があった。
本発明は、上記課題に対して、良好な耐溶着性と耐摩耗性とを兼ね備えた被覆層を具備する表面被覆部材を提供することを目的とする。
本発明の表面被覆部材は、基体の表面に、TiCN層を少なくとも1層含む多層からなる被覆層を設けた表面被覆部材であって、前記TiCN層のうちの最も上層に位置する上層TiCN層が、TiCN粒状結晶からなるとともに、X線回折測定において(422)ピークが最強であるものである。
本発明の表面被覆部材によれば、粒状(422)配向TiCN層からなる上層TiCN層は、粒状であるにも関わらずTiCN層の表面に対して(422)面に配向しており、従来の配向していない粒状のTiCN層に比べて簡単に摩滅や剥離することなく、耐摩耗性が高いことがわかった。また、粒状(422)配向TiCN層からなる上層TiCN層
は下表面に凹凸があっても上表面は平滑になっている。すなわち、凹凸のある表面に成膜された場合でも、成膜される上層TiCN層の表面は凹凸を打ち消すように成膜されるため、成膜後の被覆層の表面が平滑になる。そのため、成膜後に被覆層の表面を研磨しなくても耐溶着性が良好であり、かつ被覆層の表面に光沢が出て、例えば切削インサート等の表面被覆部材を使用したかどうかを被覆層の外観から目視で確認することができる。
本発明の表面被覆部材の好適例である切削インサートの一例について、(a)概略斜視図、(b)要部拡大断面図である。
本発明の表面被覆部材の好適例である切削インサートの一例である図1を基に説明する。
図1の切削インサート(以下、インサートと略す場合がある。)1は、すくい面2と逃げ面3との交差稜線部が切刃4を構成しており、図1(a)のインサート1は、板状で主面が概略正方形形状(CNMA/CNMG)からなる。
また、本実施態様によれば、図1(b)に示すように、インサート1は、基体5の表面に、TiCN層を含む多層からなる被覆層6が設けられている。被覆層6は、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、窒酸化物および炭窒酸化物のうちの1層以上と、Al層12と、粒状(422)配向TiCN層(以下、上層TiCN層と称す場合がある。)13と、TiNからなる最表層14とが順に積層されている。上層TiCN層13は、粒状のTiCN結晶からなるとともに、X線回折測定において(422)ピークが最強のピーク強度を有するものであり、被覆層6のうちの他のTiCN層よりも上層として設けられている。なお、TiCN層が1層のみの場合には、その1層が上層TiCN層となる。
なお、本発明において、被覆層6を構成する結晶が粒状であるとは、被覆層6を構成する結晶の任意10個について最長長さとそれに直交する長さとの比であるアスペクト比を各結晶について求めて、その平均値が1.5未満のものを指す。このアスペクト比が1.5以上の場合には、被覆層6を構成する結晶が柱状であるという。
上層TiCN層13は、従来の配向していない粒状TiCN層に比べて簡単に摩滅や剥離することなく、耐摩耗性が高い。また、上層TiCN層13は、下表面に凹凸があっても上表面は平滑になっている。すなわち、凹凸のある表面に成膜された場合でも、成膜される上層TiCN層13の表面は凹凸を打ち消すように成膜されるため、成膜後の被覆層6の表面が平滑になる。そのため、成膜後に被覆層6の表面を研磨しなくても耐溶着性が良好であり、かつ被覆層6の表面に光沢が出て、被覆層6の外観からインサート1を使用したかどうかを目視で確認することができる。また、さらに被覆層6の表面に光沢を出すために被覆層6の表面を研磨加工する場合でも、研磨加工時間を短くすることができる。なお、上層TiCN層13は、銀色を示すため、インサート1の表面が有色となりインサート1を使用したときに最表層14が摩耗して使用済みかどうかの判別がつきやすく、また、摩耗の進行を容易に確認できる。
本実施態様によれば、上層TiCN層13を構成するTiCN粒状結晶の平均粒径が0.01〜0.1μmである。これによって、上層TiCN層13の上表面がより平滑になる結果、被覆層6の表面が平滑になる。また、本実施態様によれば、上層TiCN層13の厚みが1〜10μmである。これによって、上層TiCN層13の上表面がより平滑になる結果、被覆層6の表面が平滑になる。なお、本実施態様によれば、上層TiCN層1
3の下表面の表面粗さ(Ra)が0.2〜0.5μmであるとともに、上層TiCN層13の上表面の表面粗さ(Ra)が0.01〜0.3μmである。なお、本発明においては、上層TiCN層13の下表面および上表面の表面粗さ(Ra)は、被覆層6の断面写真において、上層TiCN層13の下表面および上表面の凹凸をトレースし、この凹凸形状をJISB0651による算出方法に準じて平均粗さ(Ra)を算出する。
また、本実施態様では、上層TiCN層13の上層としてTiNからなる最表層14を設けているが、最表層14を設けないものであってもよい。最表層14はインサート1の使用時に早期に摩滅して、上層TiCN層13が最表面に露出する。
本実施態様によれば、Al層12はα型結晶構造のAl結晶からなり、かつ基体5の表面に対して垂直な方向から見た平均結晶幅が0.05〜2μmである。これによって、耐摩耗性が向上する。
また、Al層12の基体5側に形成される被覆層は、TiC、TiN、TiCN、TiCNO、TiCO、TiNOの群から選ばれる1層以上が好適に用いられ、耐摩耗性および耐欠損性が向上する。本実施態様によれば、具体的な構成として、基体5の直上には第1層としてTiN層7が形成され、第2層としてTiCN層(第2TiCN層と称す場合がある。)8−10が形成されている。第2TiCN層8−10としては、アセトニトリル(CHCN)ガスを原料として含み成膜温度が780〜900℃と比較的低温で成膜した柱状結晶からなる、いわゆるMT−TiCN層8,9と、成膜温度が950〜1100℃と高温で成膜した、いわゆるHT−TiCN層10とが順に成膜された構成であることが望ましい。さらに、MT−TiCN層8,9は、平均結晶幅が0.5μm未満と微細な微細柱状結晶からなる微細MT−TiCN層と8、平均結晶幅が0.5〜2μmと比較的大きい粗大柱状結晶からなる粗大MT−TiCN層9との積層からなることが望ましい。これによって、HT−TiCN層10と中間層11とを介して積層される粗大MT−TiCN層9およびAl層12との密着力が高まり、被覆層の剥離やチッピングを抑えることができる。
また、本実施態様によれば、HT−TiCN層10とAl層12との間には、TiCNOからなる厚み0.05〜0.5μmの中間層11が設けられている。この酸素成分の存在によって、α型Al層12を構成する結晶を、平均粒径0.05〜2μmのα型結晶構造のAl結晶とすることができ、耐摩耗性を向上させることができる。
なお、各層の厚みおよび各層を構成する結晶の性状は、インサート1の断面における電子顕微鏡写真(走査型電子顕微鏡(SEM)写真または透過電子顕微鏡(TEM)写真)を観察することにより、測定することが可能である。
一方、インサート1の基体5は、炭化タングステン(WC)と、所望により周期表第4、5、6族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物の群から選ばれる少なくとも1種と、からなる硬質相を、コバルト(Co)やニッケル(Ni)等の鉄属金属からなる結合相にて結合させた超硬合金やTi基サーメット、またはSi、Al、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)等のセラミックスのいずれかが好適に使用できる。中でも、インサート1を切削工具として用いる場合には、基体5は、超硬合金またはサーメットからなることが耐欠損性および耐摩耗性の点で望ましい。また、用途によっては、基体5は炭素鋼、高速度鋼、合金鋼等の金属からなるものであっても良い。
さらに、上記記載では切削インサートについて説明したが、摺動部品や金型等の耐摩部品、掘削工具、刃物等の工具、耐衝撃部品等の各種の用途への応用も可能である。
(製造方法)
また、本実施形態のインサートの製造方法の一実施形態について説明する。
まず、上述した硬質合金を焼成によって形成しうる金属炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物等の無機物粉末に、金属粉末、カーボン粉末等を適宜添加、混合し、プレス成形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形等の公知の成形方法によって所定の工具形状に成形する。その後、得られた成形体を真空中または非酸化性雰囲気中にて焼成することによって上述した硬質合金からなる基体5を作製する。そして、上記基体の表面に所望によって研磨加工や切刃部のホーニング加工を施す。
次に、得られた基体5の表面に化学気相蒸着(CVD)法によって被覆層を形成する。まず、基体の直上に1層目としてTiN層を形成する。TiN層の成膜条件としては、混合ガス組成として四塩化チタン(TiCl)ガスを0.5〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜60体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を800〜940℃、圧力を8〜50kPaにて成膜される。
次に、2層目としてTiCN層を形成する。ここでは、TiCN層が、平均結晶幅が小さい微細柱状結晶層と、この層よりも平均結晶幅が大きい粗柱状結晶層とのMT−TiCN層と、HT−TiCN層との3層にて構成する場合の成膜条件について説明する。
MT−TiCN層のうちの微細柱状結晶層の成膜条件は、四塩化チタン(TiCl)ガスを0.5〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜60体積%、アセトニトリル(CHCN)ガスを0.1〜0.4体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を780〜900℃、圧力を5〜25kPaとする。MT−TiCN層のうちの粗柱状結晶層の成膜条件は、四塩化チタン(TiCl)ガスを0.5〜4.0体積%、窒素(N)ガスを5〜40体積%、アセトニトリル(CHCN)ガスを0.4〜2.0体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を780〜900℃、圧力を5〜25kPaとする。
HT−TiCN層の成膜条件は、四塩化チタン(TiCl)ガスを0.1〜5体積%、メタン(CH)ガスを0.1〜10体積%、窒素(N)ガスを5〜30体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を950〜1100℃、圧力を5〜40kPaとして成膜する。
そして、チャンバ内を950〜1100℃、5〜40kPaとし、四塩化チタン(TiCl)ガスを1〜5体積%、メタン(CH)ガスを4〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜30体積%、一酸化炭素(CO)ガスを4〜8体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整してチャンバ内に10〜60分導入した後、続いて体積%で二酸化炭素(CO)ガスを0.5〜4.0体積%、残りが窒素(N)ガスからなる混合ガスを調整してチャンバ内に導入し、成膜温度を950〜1100℃、5〜40kPaにて、二酸化炭素(CO)ガスを0.5〜10体積%、残りが窒素(N)ガスからなる混合ガスをチャンバ内に10〜60分導入することによって、中間層を成膜する。なお、このCOガスを含む混合ガスを流す工程を経ることなく中間層を形成することもできるが、α型Al層を構成する結晶を微細なものとするためには、COガスを含む混合ガスを流す工程を経ることが望ましい。
そして、引き続き、α型Al層を形成する。α型Al層の成膜条件としては、三塩化アルミニウム(AlCl)ガスを0.5〜5.0体積%、塩化水素(HCl)ガスを0.5〜3.5体積%、二酸化炭素(CO)ガスを0.5〜5.0体積%、硫
化水素(HS)ガスを0〜0.5体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスをチャンバ内に導入し、成膜温度を950〜1100℃、圧力を5〜10kPaとして成膜することが望ましい。
さらに、α型Al層の上層に上層TiCN層を形成する。四塩化チタン(TiCl)ガスを1〜10体積%、アセトニトリル(CHCN)ガスを0.1〜2.0体積%、一酸化炭素(CO)ガスを0.1〜10体積%、窒素(N)ガスを5〜60体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスをチャンバ内に導入し、成膜温度を960〜1100℃、圧力を10〜85kPaとして、成膜時間を10分〜60分の
間で成膜する。この成膜条件によって、上層TiCN層13は、TiCN粒状結晶からなるとともに、X線回折測定において(422)ピークが最強のピーク強度を有するものとなる。
平均粒径1.5μmの炭化タングステン(WC)粉末に対して、平均粒径1.2μmの金属コバルト(Co)粉末を6質量%の割合で添加、混合して、プレス成形により切削工具形状(CNMG120412)に成形した。得られた成形体について、脱バインダ処理を施し、0.5〜100Paの真空中、1400℃で1時間焼成して超硬合金を作製した。さらに、作製した超硬合金に対して、ブラシ加工にてすくい面側について刃先処理(Rホーニング)を施した。
そして、上記超硬合金をCVD装置内にセットし、以下の順序で被覆層を成膜した。まず、四塩化チタン(TiCl)ガスを2.0体積%、窒素(N)ガスを33体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を880℃、ガス圧を16kPaにてTiN層を成膜した。次に、四塩化チタン(TiCl)ガスを2.5体積%、窒素(N)ガスを25体積%、アセトニトリル(CHCN)ガスを0.2体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を865℃、圧力を15kPaとして、TiCN層の下側のMT−TiCN層を成膜した。そして、四塩化チタン(TiCl)ガスを2.5体積%、窒素(N)ガスを25体積%、アセトニトリル(CHCN)ガスを0.5体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を865℃、圧力を9kPaとして、TiCN層の上側のMT−TiCN層を成膜した。その後、四塩化チタン(TiCl)ガスを3.5体積%、メタン(CH)ガスを7体積%、窒素(N)ガスを25体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を1010℃、圧力を20kPaとして、HT−TiCN層を成膜した。
そして、チャンバ内を1000℃、30kPaとし、四塩化チタン(TiCl)ガスを2体積%、メタン(CH)ガスを8体積%、窒素(N)ガスを20体積%、一酸化炭素(CO)ガスを6体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整してチャンバ内に20分導入して成膜した後、成膜温度を1000℃、20kPaにて、二酸化炭素(CO)ガスを5体積%、残りが窒素(N)ガスからなる混合ガスをチャンバ内に20分導入して、TiCNOからなる中間層を成膜した。
次に、三塩化アルミニウム(AlCl)ガスを1.5体積%、塩化水素(HCl)ガスを2.0体積%、二酸化炭素(CO)ガスを4.0体積%、硫化水素(HS)ガスを0.3体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用いて、成膜温度を1005℃、圧力を9kPaとして、Al層を成膜した。
その後、Al層の上層に、各種の被覆層を表1に示す成膜条件で第1層を成膜し、表2に示す層構成にて成膜してインサートを作製した。なお、第2層の成膜条件は、T
iN層の場合、四塩化チタン(TiCl)ガスを2.0体積%、窒素(N)ガスを33体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を880℃、ガス圧を16kPaとした。TiCNO層の場合、四塩化チタン(TiCl)ガスを2.0体積%、メタン(CH)ガスを8体積%、窒素(N)ガスを33体積%、二酸化炭素(CO)ガスを4.0体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を880℃、ガス圧を16kPaとした。TiNO層の場合、四塩化チタン(TiCl)ガスを2.0体積%、窒素(N)ガスを33体積%、二酸化炭素(CO)ガスを4.0体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を880℃、ガス圧を16kPaとした。
得られたインサートについて、走査型電子顕微鏡観察を行い、各層を構成する結晶の形状、平均粒径(または平均結晶幅)、厚みを見積もった。結果は表2に示した。
次に、このインサートを用いて以下の切削条件にて切削試験を行った。結果は表2に示した。
切削方法:端面加工
被削材 :FC250
切削速度:450m/分
送り :0.35mm/rev
切り込み:3.0mm
切削状態:乾式
評価方法:フランク摩耗が0.3mm以上となるまでに加工できた個数(表中、加工数と記載。)とそのときの切刃の状態
表1、2に示される結果から、柱状(422)配向の上層TiCN層を設けた試料No.5では被削材が溶着しやすく、(422)配向でない配向状態の上層TiCN層を設けた試料No.6〜8では、早期に剥離してクレータ摩耗が大きくなって加工数がすくなかった。これに対し、本発明の範囲内であるAl層の上層として粒状(422)配向の上層TiCN層を設けた試料No.1〜4では、インサートの表面への被削材の溶着が少なく、摩耗しにくくて工具寿命が長いものであった。
1 切削インサート(インサート)
2 すくい面
3 逃げ面
4 切刃
5 基体
6 被覆層
7 TiN層
8、9 MT−TiCN層
10 HT−TiCN層
11 中間層
12 Al
13 上層TiCN層(粒状(422)配向TiCN層)
14 最表層

Claims (4)

  1. 基体の表面に、TiCN層を少なくとも1層含む多層からなる被覆層を設けた表面被覆部材であって、前記TiCN層のうちの最も上層に位置する上層TiCN層が、TiCN粒状結晶からなるとともに、X線回折測定において(422)ピークが最強である表面被覆部材。
  2. 前記上層TiCN層を構成するTiCN粒状結晶の平均粒径が0.01〜0.1μmである請求項1記載の表面被覆部材。
  3. 前記上層TiCN層の厚みが1〜10μmである請求項1または2記載の表面被覆部材。
  4. 前記上層TiCN層の下表面の表面粗さ(Ra)が0.2〜0.5μmであるとともに、該上層TiCN層の上表面の表面粗さ(Ra)が前記下表面の表面粗さ(Ra)よりも小さい請求項1乃至3のいずれか記載の表面被覆部材。
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