本発明における電動モータ装置は、車両用のワイパ装置、パワーウィンド装置、パワースライドドア装置などのように、動作部材を有する装置の動力源として用いることが可能である。以下、本発明における電動モータ装置を、ワイパ装置の動作部材であるワイパアームを動作させる動力源として用いる実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図3に示す電動モータ装置10は、車体の一部を構成するパネル11の下方に設けられる。具体的には、ワイパアーム30が連結されるピボット軸12の先端が上方に向けられており、ピボット軸12がパネル11の軸孔11aに挿入された状態で、電動モータ装置10が取り付けられる。電動モータ装置10は、電力が供給されて動力を発生する電動モータ13と、この電動モータ13の動力を、ピボット軸12に伝達する経路に設けられた減速機構14とを有する。減速機構14は、中空に構成されたケーシング15の内部に収容されており、電動モータ13は、主としてケーシング15の外部に配置されている。
まず、電動モータ13の構成について説明すると、電動モータ13は、固定子としてのステータアッセンブリ16と、電機子としてのロータアッセンブリ17とを備えている。ステータアッセンブリ16は、円筒形状に構成されたヨーク16aと、ヨーク16aの内周に固定された複数の永久磁石16bとを有している。ヨーク16aは金属材料、例えば、鉄などにより構成されている。このヨーク16aにおける軸線Aに沿った方向の一端には底部16hが形成されており、ヨーク16aの他端には開口部が形成されている。そして、底部16hにより軸受16dの外輪が支持されている。ヨーク16aにおける開口部側の端部の外周には、ヨーク16aの半径方向で外側に向けて突出されたフランジ部16eが形成されている。このフランジ部16eには、軸線Aに沿った方向に貫通する孔16fが設けられている。ロータアッセンブリ17は、軸線Aを中心として回転可能である。
一方、ロータアッセンブリ17は、アマチュア軸17aと、アマチュア軸17aと共に一体回転するアマチュアコア17bと、アマチュアコア17bに電線を巻き付けて形成されたコイル17cとを有している。アマチュア軸17aは、その長手方向の半分程度がヨーク16aの内部に配置され、長手方向における残りの半分程度がケーシング15の内部に配置されている。また、アマチュアコア17bは、複数の永久磁石16bの内側に配置されている。つまり、ケーシング15にヨーク16aを固定した状態において、アマチュアコア17bは、ヨーク16aの内部に位置している。
さらに、アマチュア軸17aにおいてケーシング15の内部に配置された箇所にはウォーム17dが形成されている。また、アマチュア軸17aにおけるケーシング15の内部に配置された箇所のうち、アマチュアコア17bとウォーム17dとの間に相当する部分が軸受17eにより支持されている。軸受17eの内輪はアマチュア軸17aの外周に嵌合固定されている。さらに、アマチュア軸17aにおける軸受17eとアマチュアコア17bとの間には、コミュテータ17fが取り付けられている。
次に、ケーシング15の構成を、図3〜図5を参照して説明する。ケーシング15は導電性を有する金属材料、例えばアルミニウム合金等により形成されている。なお、ケーシング15は、導電性を有する樹脂により一体成形されていてもよい。ケーシング15は、アースとしての車体に対して、図示しない電線より接続されている。このケーシング15は、減速機構14の全部、電動モータ13の一部を収容する要素である。ケーシング15は、減速機構14を収容する収容室15aを有している。
収容室15aは、段差部15bを介して連続して形成された2つの底部15c,15dと、その底部15c,15dの周囲に形成された側壁15eとにより取り囲まれた空間である。その収容室15aとケーシング15の外部との間に開口部15fが形成されている。この開口部15fは、軸線Aと平行な平面内で開口されている。また、底部15cには支持軸15gが設けられている。この支持軸15gは、後述するウォームホイールを回転可能に支持するために設けられている。支持軸15gは、ケーシング15の開口部15fの形成基準となる平面に対して垂直な方向に沿って設けられている。さらに、底部15dを貫通する軸孔15iが設けられている。軸孔15iにピボット軸12が回転可能に挿入されている。
また、ケーシング15は、後述するブラシホルダを支持する筒形状の保持部18を有する。保持部18には、軸線Aに沿った方向に貫通する保持孔18aが形成されている。保持孔18aの内周面には、複数の突起53が設けられている。複数の突起53は、円周方向に沿って配置されている。さらに、保持部18の外周には、外側に向けて突出された突出部18eが設けられており、その突出部18eにはネジ孔18fが形成されている。そして、ヨーク16aの開口端を保持部18の開口端に接触させるとともに、フランジ部16eの孔16fにネジ部材16gが挿入されて締め付けられ、ヨーク16aとケーシング15とが固定されている。
さらに、ケーシング15における保持部18と底部15cとの間には、支持壁19が設けられており、その支持壁19には軸孔19aが形成されている。この軸孔19aは、軸線Aに沿った方向に貫通されており、軸孔19aにより収容室15aと保持孔18aとが連通されている。そして、アマチュア軸17aのうち、ケーシング15の内部に配置された部分は、保持孔18a及び軸孔19a及び収容室15aに亘って配置されている。
また、軸孔19aに軸受17eが配置されており、その軸受17eの外輪が支持壁19により支持されている。この軸受17eと軸受16dとは同軸上に配置されており、軸受16dによりアマチュア軸17aの一端がヨーク16aの内部で支持されている。また、軸受17eによりアマチュア軸17aの一部がケーシング15の内部で支持されている。このように、アマチュア軸17aは、2個の軸受16d,17eにより軸線Aを中心として回転可能に支持されている。
さらに、支持壁19には、収容室15aの深さ方向に沿った取付溝19cが設けられており、取付溝19cは軸孔19aに連通されている。取付溝19cにストッパ20が差し込まれている。このストッパ20は板ばねにより構成されている。そして、アマチュア軸17aの一部がケーシング15の収容室15aに配置されるとともに、軸受17eの端面が支持壁19の端面に接触した状態で、取付溝19cにストッパ20が差し込まれている。このようにして、ストッパ20と支持壁19とにより軸受17eを挟み付け、アマチュア軸17aが軸線Aに沿った方向に位置決め固定されている。
次に、ケーシング15の一部を構成する凹部21について説明する。凹部21は、後述するコネクタユニットを嵌め込むために設けられた溝部である。ケーシング15のうち、軸線Aに沿った方向において、保持部18と支持壁19との間に、凹部21が設けられている。保持部18は、凹部21の一方に設けた壁18gを有する。凹部21は、軸線Aと垂直な平面方向に沿って設けられた第1収容部21aと、第1収容部21aに連続して形成された第2収容部21bとを有している。第1収容部21aは、軸線Aに沿った方向で、支持壁19と保持部18との間に設けられている。
第1収容部21aは軸線Aと交差するように延ばされた溝であり、軸孔19aと保持孔18aとが、第1収容部21aを介して連通されている。また、軸線Aを中心とする半径方向で、第2収容部21bは支持壁19よりも外側に配置されている。第2収容部21bは直方体形状の空間である。第1収容部21aおよび第2収容部21bは、共通の開口部21cを備えている。開口部21cは、軸線Aと平行な平面方向に沿って形成されている。
次に、減速機構14の構成を説明する。アマチュア軸17aの外周にウォーム17dが設けられ、ウォームホイール14aの外周面にはギヤ14dが設けられている。ギヤ14dはウォーム17dと噛み合っている。減速機構14は、ギヤ14d及びウォーム17dにより構成されている。減速機構14は、アマチュア軸17aからウォームホイール14aに動力を伝達するときに、アマチュア軸17aの回転数よりもウォームホイール14aの回転数の方が低回転数となる減速機構である。このように、電動モータ13のトルクがウォームホイール14aに伝達される際に、トルクが増幅される。
ウォーム17dは、アマチュア軸17aのうち、収容室15a内に位置する部分に形成されている。また、ウォームホイール14aは底部15c側に配置されており、ウォームホイール14aの軸孔14bに支持軸15gが挿入されている。ウォームホイール14aは、支持軸15gの中心軸線を中心として回転可能に支持されている。さらに、ウォームホイール14aにおいて、支持軸15gから偏心した位置に複数の孔14cが形成されている。これらの孔14cは、支持軸15gからの偏心量が異なっている。ウォームホイール14aにおける底部15c側の部位には、導電性を有する鋼板よりなるスイッチングプレートが取り付けられている。
次に、ウォームホイール14aとピボット軸12との間の動力伝達経路の構成を、図3を参照して説明する。ピボット軸12のうち、収容室15a側の端部には、リンク22の一端が固定されている。つまり、ピボット軸12とリンク22とは一体回転するように連結されている。また、リンク22の他端にはコンロッド23の一端が、相対回転可能に連結されている。このコンロッド23の他端には、ピン23aが取り付けられており、ピン23aが、ウォームホイール14aの孔14cの何れかに挿入されている。
コンロッド23は、ピン23aが孔14cに挿入された状態で、ウォームホイール14aと相対回転可能である。そして、ピン23aを差し込む孔14cを変更することにより、ワイパアーム30の揺動角度の範囲を変更することができる。これらのウォームホイール14a、コンロッド23、リンク22、ピボット軸12は、アマチュア軸17aの回転運動を、ワイパアーム30の揺動運動に変換する動力変換機構である。このように、軸線Aに沿った方向で、ヨーク16aとピボット軸12との間に、減速機構14が配置されている。
次に、図1〜図5を参照して、ケーシング15の構成を説明する。ケーシング15の側壁15eにはネジ孔15kが形成されている。そして、開口部15fを塞ぐ板形状のブラケット24が設けられている。ブラケット24は金属材料をプレス加工して成形したものである。ブラケット24には厚さ方向に貫通する孔24aが形成されており、孔24aに挿入されたネジ部材24bを締め付けることにより、ブラケット24がケーシング15に固定されている。つまり、ブラケット24は開口部15fを塞ぐカバーである。なお、ブラケット24は図示しないネジ部材により、車体に固定される。
ケーシング15の凹部21にコネクタユニット25が取り付けられている。コネクタユニット25の構造を、図3〜図9に基づいて説明する。コネクタユニット25は、電動モータ13に電気的に接続される部品を支持する要素である。コネクタユニット25は、コネクタボックス25aと、コネクタボックス25aに連続して形成されたプレート部25bとを有している。コネクタボックス25aおよびプレート部25bは、主として樹脂材料を射出成形して一体的に構成されている。そして、プレート部25bが第1収容部21aに嵌め込まれ、コネクタボックス25aが第2収容部21bに嵌め込まれている。プレート部25bには軸孔25hが設けられている。
コネクタボックス25aは、平面形状が四角形の箱型に構成されている。図3のように、コネクタボックス25aには3本の端子25c,25d,25eが取り付けられている。さらに、図6〜図7のように、コネクタユニット25のプレート部25bには、端子取付け孔41が2箇所に設けられている。2箇所の端子取付け孔41には、導電性の金属材料により構成された端子42,43が単独で取り付けられている。
端子42は、図8及び図9のように、カール部42aと押さえ部42bと接触部42cとを備えている。押さえ部42bはカール部42aに向けて近づく向きで突出するように屈曲されている。カール部42a及び押さえ部42bは端子取付け孔41に挿入されており、接触部42cは端子取付け孔41の外に配置されている。
端子43は、図8及び図9のように、カール部43aと押さえ部43bと接触部43cとを備えている。押さえ部43bはカール部43aに向けて近づく向きで突出するように屈曲されている。カール部43a及び押さえ部43bは端子取付け孔41に挿入されており、接触部43cは端子取付け孔41の外に配置されている。
また、2箇所の端子取付け孔41内には、係止爪44,45が別個に設けられている。そして、係止爪44がカール部42aに係止して、端子42がプレート部25bから抜け出さないように固定されている。つまり、係止爪44は、端子42が端子取付け孔41から抜け出すことを防止する機構である。
さらに、係止爪45がカール部43aに係止して、端子43がプレート部25bから抜け出さないように固定されている。つまり、係止爪45は、端子43が端子取付け孔41から抜け出すことを防止する機構である。そして、端子42が端子取付け孔41に取り付けられた状態で、端子42の接触部42cが端子25eと接続されている。また、端子43が端子取付け孔41に取り付けられた状態で、端子43の接触部43cが端子25cと接続されている。
コネクタユニット25の組み立て工程においては、図9のように、端子42が端子取付け孔41に挿入される。すると、係止爪44が弾性変形した後、係止爪44が端子42に係止して、端子42が固定される。さらに、端子43が端子取付け孔41に挿入されると、係止爪45が弾性変形した後、係止爪45が端子43に係止して、端子42が固定される。このように、コネクタユニット25は、係止爪44,45が弾性変形し、端子42,43がプレート部25bに固定される構造、つまり、スナップフィット構造を有する。また、端子42,43がプレート部25bへ確実に固定することができる。
したがって、プレート部25bに対する端子42,43の取り付け不良を防ぐことができる。すなわち、圧入機、圧入治具等を用いることなく、コネクタユニット25を組み立てることができ、コネクタユニット25の生産性が向上する。また、コネクタユニット25に端子42,43を取り付ける工程では、インサート成形を行う必要がなく、金型の構造を簡略化することができる。
さらに、コネクタユニット25のプレート部25bには、図10に示すように、2本のコンタクトプレート46,47が取り付けられている。コンタクトプレート46,47は、導電性の金属材料により一体成形されている。また、コンタクトプレート46,47は、それぞれがバネ弾性を備えた板バネで一体成形されている。コンタクトプレート46,47の大部分は、収容室15aにおいて底部15c上に配置されている。コンタクトプレート46は、導電ワイヤ49を介して端子25cに接続されている。コンタクトプレート47は、導電ワイヤ50を介して端子25dに接続されている。
コンタクトプレート47の基部47aの一部を切り起こして端子47dが設けられている。端子47dはコンタクトプレート47の製造工程で、金属材料をプレス加工する際、コンタクトプレート47に一体化されるように加工されている。そして、コネクタユニット25が凹部21に取り付けられた状態で、端子47dは壁18gに接触されている。
ケーシング15の保持孔18aには、ブラシホルダ26が取り付けられている。ブラシホルダ26の構成を図11〜図14に基づいて説明する。ブラシホルダ26は樹脂材料により一体成形されたステー26aを有する。ステー26aには、軸線Aに沿った方向に貫通する軸孔26bが設けられている。軸孔26bは、軸線Aに対して垂直な平面内で、軸線Aを中心とする円形である。ステー26aにおけるコネクタユニット25側には、係止爪54が4個設けられている。4個の係止爪54は、軸孔26bを囲むように設けられており、4個の係止爪は、軸線Aを中心とする円周方向で異なる位置に設けられている。係止爪54は、軸線Aに対して垂直な平面内でL字形を有している。
さらに、ステー26aにおけるコネクタユニット25側の位置には、位置決めピン55が設けられている。ブラシホルダ26が保持孔18aに取り付けられた状態で、位置決めピン55が位置決め孔56に挿入されている。さらに、係止爪54が突起53に接触して、ブラシホルダ26が、ケーシング15に対して軸線Aを中心とする円周方向で位置決めされている。また、ステー26aの端面が突起53に接触して、ブラシホルダ26が、ケーシング15に対して軸線Aに沿った方向に位置決めされている。
ステー26aには取付け孔57,58が設けられている。取付け孔57,58は、軸線Aに沿った方向にステー26aを貫通している。取付け孔57に端子26fが取り付けられ、取付け孔58に端子26jが取り付けられている。取付け孔57,58の両方を含む平面内における取付け孔57の形状を説明する。取付け孔57は、幅広部57a及び幅狭部57bを有する。幅広部57aの幅は、幅狭部57bの幅よりも広い。
また、幅広部57aと幅狭部57bとを連続する段部57cが設けられている。幅狭部57bには2個の突起57dが設けられている。2個の突起57dは、取付け孔57の幅方向で両側に設けられている。端子26fは、幅広部59a及び幅狭部59bを有する。幅広部59aの幅は、幅狭部59bの幅よりも広い。また、幅狭部59bには、幅方向に突出した2個の突起59dが設けられている。
一方、取付け孔58は、幅広部58a及び幅狭部58bを有する。幅広部58aの幅は、幅狭部58bの幅よりも広い。また、幅広部58aと幅狭部58bとを連続する段部58cが設けられている。幅狭部58bには2個の突起58dが設けられている。2個の突起58dは、取付け孔58の幅方向で両側に設けられている。端子26jは、幅広部60a及び幅狭部60bを有する。幅広部60aの幅は、幅狭部60bの幅よりも広い。また、幅狭部60bには、幅方向に突出した2個の突起60dが設けられている。
さらに、接続部材63には端子26mが接続されている。ブラシホルダ26が保持部18に取り付けられた状態で、端子26mは、保持孔18aの内周面に通電可能に接続されている。また、その端子26jにはキャパシタ26kを介して端子26hが通電可能に接続されている。ブラシホルダ26が保持部18に取り付けられた状態で、端子26hは、保持孔18aの内周面に通電可能に接続されている。
ブラシホルダ26の組み立て工程では、端子26fが取付け孔57へ挿入され、端子26jが取付け孔58へ挿入される。まず、端子26fは、幅狭部59bを挿入方向の先端として、取付け孔57へ挿入される。また、端子26fの幅狭部59bは、先に幅広部57aを通過し、その後、幅狭部57bへ進入する。そして、突起59dと突起57dとが接触すると、ステー26aの一部が弾性変形する。具体的には、2個の突起57d同士の間隔が広くなるように、ステー26aの一部が弾性変形する。
そして、端子26fの幅広部59aが段部57cに接触すると、ステー26aに対する端子26fの取り付けが完了する。端子26fがステー26aに取付けられると、端子26fに取付け孔57から抜け出す向きの力が加わっても、突起59dと突起57dとが接触することで、端子26fが取付け孔57から抜け出すことが防止される。
一方、端子26jは、幅狭部60bを挿入方向の先端として、取付け孔58へ挿入される。また、端子26jの幅狭部60bは、先に幅広部58aを通過し、その後、幅狭部58bへ進入する。そして、突起58dと突起60dとが接触すると、ステー26aの一部が弾性変形する。具体的には、2個の突起58d同士の間隔が広くなるように、ステー26aの一部が弾性変形する。
そして、端子26jの幅広部60aが段部58cに接触すると、ステー26aに対する端子26jの取り付けが完了する。端子26jがステー26aに取付けられると、端子26jに取付け孔58から抜け出す向きの力が加わっても、突起60dと突起58dとが接触することで、端子26jが取付け孔58から抜け出すことが防止される。
上記のように、ブラシホルダ26は、端子26f,26jをステー26aに取り付ける工程で、ステー26aの一部が弾性変形して、ステー26aに端子26f,26jが取り付けられる構造、つまり、スナップフィット構造を有する。このため、ブラシホルダ26の組み立て工程において、圧入機または圧入治具等を使わずに、手作業でブラシホルダ26を組み立てることができる。さらに、ステー26aに端子26f,26jを固定する工程では、インサート成形を行う必要がなく、ステー26aを成形する金型の構造を簡略化できる。
また、端子26fの幅広部59aと、取付け孔57の幅広部57aの内面との間には、端子26fの幅方向の隙間が形成されるように、予め、端子26fの寸法、ステー26aの寸法が設計されている。さらに、端子26jの幅広部60aと、取付け孔58の幅広部58aの内面との間には、端子26jの幅方向の隙間が形成されるように、予め、端子26jの寸法、ステー26aの寸法が設計されている。端子26f,26jの幅方向は、図13の左右方向である。
さらに、突起57dと突起59dとの間に隙間が形成され、段部57cと幅広部59aとの間に隙間が形成されるように、予め、端子26fの寸法、ステー26aの寸法が設計されている。隙間は、取付け孔57に対する端子26fの挿入方向に沿った隙間である。さらに、突起58dと突起60dとの間に隙間が形成され、段部58cと幅広部60aとの間に隙間が形成されるように、予め、端子26jの寸法、ステー26aの寸法が設計されている。隙間は、取付け孔58に対する端子26jの挿入方向に沿った隙間である。
さらに、図14に示すように、ステー26aと端子26f,26jとの間に、端子26f,26jの厚さ方向の隙間が形成されるように、予め、端子26f,26jの寸法、ステー26aの寸法が設計されている。端子26f,26jの厚さ方向は、図14の上下方向である。このように、ステー26aと端子26f,26jとの間には、相互に直角な3方向、つまり、X軸、Y軸、Z軸方向で隙間がそれぞれ形成されている。例えば、X軸は、端子26f,26jの厚さ方向とし、Y軸は、端子26f,26jの幅方向とし、Z軸は、端子26f,26jの挿入方向とすることができる。このため、端子26fが取付け孔57に取り付けられた状態で、端子26fは、ステー26aに対して、3方向に移動可能である。また、端子26jが取付け孔58に取り付けられた状態で、端子26jは、ステー26aに対して、3方向に移動可能である。
したがって、端子26f,26jの加工精度、ステー26aの加工精度にばらつきがあったり、ステー26aに対する端子26f,26jの組み付け精度にばらつきがあったとしても、圧入機、圧入治具等を使うことなく、端子26f,26jをステー26aに取り付けることができる。したがって、ブラシホルダ26の生産性が向上する。
ステー26aにはブラシ26c,26dが取り付けられている。また、ステー26aにはチョークコイル26eが取り付けられている。チョークコイル26eのコイル部の軸心は、軸線Aと平行である。チョークコイル26eの一端は、導電ワイヤ61を介してブラシ26cに接続されている。チョークコイル26eのコイル部の軸心が軸線Aと平行であるため、チョークコイル26eの一端を、コイル部の半径方向に延ばすことで、導電ワイヤ61とチョークコイル26eの一端とが接続されている。
さらに、ブラシ26dには、接続部材63を介してチョークコイル26iの一端が接続されている。さらにまた、ブラシホルダ26には端子26f,26jが取り付けられている。端子26f,26jは、軸線Aに沿った方向に延ばされた長尺形状の要素である。端子26fには、チョークコイル26eの他端が接続されている。端子26jには、チョークコイル26iの他端が接続されている。上記した各種の端子は、電動モータ13に供給される電流が通る経路である。
ここで、コネクタユニット25が取り付けられているケーシング15に対して、ブラシホルダ26を取り付ける工程を説明する。まず、ステー26aの軸孔26bと、コネクタユニット25の軸孔25hとを同軸とし、かつ、位置決めピン55と位置決め孔56とを円周方向で同じ位置として、ブラシホルダ26を保持孔18aに挿入する。すると、位置決めピン55が位置決め孔56に挿入されるとともに、ステー26aが突起53に接触してブラシホルダ26が停止し、ブラシホルダ26がケーシング15に取付けられる。
このように、ステー26aに設けられた係止爪54と、ケーシング15の保持孔18aの内周面に設けた突起53とが接触して、ブラシホルダ26がケーシング15に対して軸線Aを中心とする円周方向に位置決めされる構成である。また、ステー26aの端面が、突起53に接触してブラシホルダ26が、ケーシング15に対して位置決めされる。このように、コネクタユニット25が凹部21に取り付けられ、かつ、ブラシホルダ26が保持孔18aに挿入されると、ブラシホルダ26とコネクタユニット25とが、軸線Aに沿った方向に位置決めされ、かつ、軸線Aを中心とする円周方向に位置決めされる。
次に、電動モータ装置10の組み立て方法を、図15を参照しながら説明する。電動モータ装置10の組立は、図示しない自動機を使用して行われる。まず、開口部15fを上向きとした状態でケーシング15を支持する。ついで、プレート部25bを略垂直に立てた状態としたコネクタユニット25を、開口部15fを含む平面に対して垂直な方向、つまり、軸線Aに対して直角な方向に沿って移動させる。つまり、コネクタユニット25をケーシング15に向けて下降させ、凹部21にコネクタユニット25を挿入する。
コネクタユニット25を凹部21に挿入すると、コネクタユニット25の下端が、凹部21の底面に接触して停止する。また、プレート部25bの両端面の一部が、支持壁19および保持部18に接触して、コネクタユニット25は軸線Aに沿った方向に位置決めされる。コネクタユニット25を凹部21に取り付ける工程が第1工程である。コネクタユニット25を凹部21に取り付ける工程で、端子47dが壁18gに接触して弾性変形し、凹部21に対するコネクタユニット25の取り付けが完了すると、端子47dが壁18gに押し付けられた状態となる。
この第1工程に次いで、ブラシホルダ26の軸孔26bの中心線を略水平として、ブラシホルダ26を支持する。そして、軸線Aに沿った方向にブラシホルダ26を移動させ、ブラシホルダ26を保持孔18aに挿入する。すると、図16のように、端子26fがプレート部25bの端子取付け孔41に進入し、端子26fと端子42とが接続される。また、端子26jがプレート部25bの端子取付け孔41に進入し、端子26jと端子43とが接続される。前記のように、端子26f,26jと、ブラシホルダ26のステー26aとの間には、X軸、Y軸、Z軸方向に沿った隙間が形成されている。
したがって、コネクタユニット25に対する端子42,43の組み付け精度にばらつきがあったとしても、端子26fと端子42とのコジリ、端子26jと端子43とのコジリを防止できる。すなわち、端子26fと端子42とを確実に接触させ、端子26jと端子43とを確実に接触させることができ、電動モータ装置10の製品品質が向上する。このように、ブラシホルダ26を保持孔18aに取り付けて、コネクタユニット25の端子25c,25eとブラシ26c,26dとを給電可能に接続する工程が、第2工程である。
上記のように、端子26fと端子42とが接続されるときは、端子26fがカール部42aと押さえ部42bとの間に進入し、押さえ部42bが弾性変形する。つまり、押さえ部42bの弾性復元力で、端子26fと端子42との接触圧力が確保される。また、端子26jと端子43とが接続されるとき、端子26jがカール部42aと押さえ部43bとの間に進入し、押さえ部43bが弾性変形する。つまり、押さえ部43bの弾性復元力で、端子26jと端子43との接触圧力が確保される。
このため、端子26fと孔57との間に隙間が形成され、端子26jと孔58との間に隙間が形成されているが、ブラシホルダ26を保持孔18aに取り付けて、端子26fと端子42とを接続し、端子26jと端子43とを接続すると、端子26fと端子42とが相対移動することはなく、端子26fと端子42とが相対移動することはない。
この第2工程に次いで、ロータアッセンブリ17を軸線Aに沿った方向に移動させて、アマチュア軸17aの先端を、軸孔26b,19aを通過させてケーシング15の収容室15aまで進入させる。そして、軸受17eの端面が支持壁19の端面に接触した時点で、ロータアッセンブリ17を停止する。さらに、ストッパ20を取付溝19cに差し込むと、アマチュア軸17aとケーシング15とが軸線Aに沿った方向で位置決め固定される。アマチュア軸17aとケーシング15とが軸線Aに沿った方向で位置決めされると、ブラシ26c,26dがコミュテータ17fに接触する。このように、アマチュア軸17aを移動させてアマチュア軸17aのうちウォーム17dが形成された部分を収容室15aに配置し、ブラシ26c,26dをコミュテータ17fに接触させる工程が、第3工程である。
この第3工程に次いで、ウォームホイール14aを、軸孔14bの中心線が垂直となるようにするとともに、そのウォームホイール14aを垂直な方向に下降させて、ウォームホイール14aをケーシング15の収容室15aに収容する。ここで、支持軸15gを軸孔14bに通し、かつ、ウォーム17dとウォームホイール14aのギヤとを噛み合わせる。さらに、ピボット軸12の先端を下に向け、そのピボット軸12をケーシング15の軸孔15iに挿入するとともに、リンク22とウォームホイール14aとをコンロッド23により連結する。このように、ウォームホイール14a、リンク22、コンロッド23を収容室15aに配置して相互に動力伝達可能に連結する工程が、第4工程である。
一方、ヨーク16aを軸線Aに沿った方向に移動させるとともに、フランジ部16eを保持部18に接触させ、ネジ部材16gを締め付けてヨーク16aをケーシング15に固定する。ヨーク16aをケーシング15に固定すると、ブラシホルダ26が保持部18とフランジ部16eとにより挟み付けられて、ブラシホルダ26がケーシング15に対して位置決め固定される。このように、ヨーク16aを軸線Aに沿った方向に沿って移動させ、ヨーク16aをケーシング15に固定する工程が、第5工程である。なお、電動モータ装置10を組み立てる際に、第4工程および第5工程は、何れの工程を先に行ってもよいし、2つの工程を同時に行ってもよい。
その後、ケーシング15の開口部15fをブラケット24で塞ぐとともに、ネジ部材24bを締め付けてブラケット24をケーシング15に固定する。ブラケット24をケーシング15に固定すると、ブラケット24の一部がプレート部25bの上端に接触する。つまり、コネクタユニット25が、ケーシング15とブラケット24とにより挟み付けられる。
その結果、コネクタユニット25が、凹部21から抜け出さないように固定される。さらに、ブラケット24の平面形状は、ブラケット24をケーシング15に固定したときに、コネクタボックス25aがブラケット24により覆われないような形状になっている。このため、ブラケット24がケーシング15に固定された状態で、ブラケット24を取り外すことなく、外部コネクタをコネクタボックス25aに着脱することができる。
次に、電動モータ装置10の他の構成例を、図17に基づいて説明する。図17に示す電動モータ装置10では、軸線Aに沿った方向で減速機構14の配置スペース内にピボット軸12が配置されている。具体的には、軸線Aに対して直角な方向で、ピボット軸12とアマチュア軸17aとの間にウォームホイール14aが配置されている。ウォームホイール14aにおいて支持軸15gから偏心した位置にピン64が取り付けられている。ピン64には連結腕65が回転可能に取り付けられている。連結腕65にはセクタギヤ65aが設けられている。また、連結腕65にはピン65bが設けられている。
一方、ピボット軸12を中心として、ピボット軸12と共に一体回転するピニオンギヤ66が設けられている。そして、ピニオンギヤ66とセクタギヤ65aとが噛み合わされている。また、ピボット軸12とピン65bとを連結するリンク67が設けられている。リンク67は、ピボット軸12及びピン65bに対して回転可能に連結されている。つまり、リンク67はピニオンギヤ66とセクタギヤ65aとの軸間距離を一定に保持する要素である。
図17に示す電動モータ装置10は、電動モータ13の動力でアマチュア軸17aが所定角度の範囲内で一方向に回転する。アマチュア軸17aの動力がウォームホイール14aに伝達されて、ウォームホイール14aが一方向に回転すると、ウォームホイール14aの動力は、セクタギヤ65a及びピニオンギヤ66を介してピボット軸12に伝達される。したがって、ピボット軸12が所定角度の範囲内で正逆回転する。図17に示す電動モータ装置10は、軸線Aに沿った方向で減速機構14の配置スペース内にピボット軸12が配置されている。このため、電動モータ装置10の軸線Aに沿った方向における占有スペースを短くすることができる。なお、図17に示す電動モータ装置10において、その他の構成は、図1〜図16を用いて説明した電動モータ装置10と同様である。
ここで、本実施形態において説明した構成と、本発明の構成との対応関係を説明すると、アマチュア軸17aが、本発明の回転軸に相当し、端子26f,26jが、本発明の第1端子に相当し、ブラシホルダ26が、本発明の第1保持部材に相当し、端子42,43が、本発明の第2端子に相当し、コネクタユニット25が、本発明の第2保持部材に相当する。また、X軸に沿った方向、Y軸に沿った方向、Z軸に沿った方向が、本発明の相互に異なる3方向に相当する。突起57d,58dが、本発明の第1係止片に相当し、突起59d,60dが、本発明の第2係止片に相当する。
また、係止爪44,45が、本発明の第3係止片に相当し、カール部42a,43aが、本発明の第4係止片に相当する。また、保持孔18aが、本発明の保持孔に相当し、凹部21が、本発明の凹部に相当する。さらに、ブラシホルダ26の孔57,58の寸法、形状、端子26f,26jの寸法、形状等が、本発明の第1移動機構に相当する。コネクタユニット25の孔41の寸法、形状、端子42,43の寸法、形状等が、本発明の第2移動機構に相当する。
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、コンタクトプレートを2本、コネクタボックス内に配置される端子を3本としたが、コンタクトプレートが3本で、端子が4本となっていてもよい。また、これ以外の本数の組合せでも良い。また、ステー26aには係止爪54を4個設けたものを示したが、4個以外でもよい。
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、端子42及び孔41の寸法、形状、大きさは、端子42を孔41に取り付けた状態で、コネクタユニット25に対して端子42が孔41内で移動できる値とすることができる。具体的には、端子42とコネクタユニット25との間に、異なる3方向の隙間を形成することができる。さらに、端子43及び孔41の寸法、形状、大きさは、端子43を孔41に取り付けた状態で、プレート部25bに対して端子43が孔41内で移動できる値とすることができる。
具体的には、端子43とコネクタユニット25との間に、異なる3方向の隙間を形成することができる。異なる3方向は、X軸に沿った方向、Y軸に沿った方向、Z軸に沿った方向である。このように、端子42,43をコネクタユニット25に対して移動可能に構成すると、ブラシホルダ26を保持孔18aに挿入して、端子26fと端子42とを接続させ、かつ、端子26jと端子43とを接続するときに、端子26fと端子42との接続を確実に行うことができる。したがって、ブラシホルダ26に対する端子26f,26jの取り付け位置にばらつきがあり、コネクタユニット25に対する端子42,43の取り付け位置にばらつきがあっても、製品品質を向上し、生産性を向上することができる。
すなわち、本実施形態においては、ブラシホルダ26に取り付けられる端子26f,26jまたは、またはコネクタユニット25に取り付けられる端子42,43のうち、少なくとも一方が取り付けられる部材に対して移動可能であればよい。
本発明の電動モータ装置は、動作部材を動作させる動力源として使用することができ、例えば、本発明の電動モータ装置をパワーウィンド装置に用いることもできる。パワーウィンド装置は、ドア内部に設けた電動モータの回転運動を、動作部材としてのドアガラスの昇降運動、つまり、直線運動に変換する機構である。このパワーウィンド装置は、特開2011−132685号公報、特開2011−140787号公報などに記載されているように公知であるため、具体的な構成の説明を省略する。
また、本発明の電動モータ装置を、パワースライドドア装置の動力源として用いることもできる。このパワースライドドア装置は、ドアに取り付けた電動モータの回転運動を、動作部材としてのドアの開閉動作、つまり、直線運動に変換する機構である。このパワースライドドア装置は、特開2006−333691号公報、特開2009−24387号公報などに記載されているように公知であるため、具体的な構成の説明を省略する。さらに、本発明の電動モータ装置において、電動モータの動力が伝達される動作部材の動作は、回転運動、揺動運動、直線運動、往復運動などのいずれでもよい。
さらに、上記の実施形態においては、ケーシング15の開口部15fが上側に向くように支持して、電動モータ装置10を組み立てる工程を説明したが、電動モータ装置10を組み立てるにあたり、ケーシング15の開口部15fが側方に向くように自動機で支持し、上記第1工程〜第5工程を行うこともできる。この場合、各工程で説明した上下方向、つまり、垂直方向が水平方向となり、水平方向が上下方向、つまり垂直方向となるが、各要素をケーシング15に対して相互に直角な2つの方向から移動させて組み付けるという、原理原則は同じである。さらに、支持軸15gはケーシング15に固定されていてもよいし、支持軸15gはウォームホイール14aと一体回転するように構成されていてもよい。