本発明における電動モータ装置は、車両用のワイパ装置、パワーウィンド装置、パワースライドドア装置などのように、動作部材を有する装置の動力源として用いることが可能である。以下、本発明における電動モータ装置を、ワイパ装置の動作部材であるワイパアームを動作させる動力源として用いる実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1に示すように、電動モータ装置10は、車体の一部を構成するパネル11の下方に設けられる。具体的には、ワイパアーム30が連結されるピボット軸12の先端が上方に向けられており、ピボット軸12がパネル11の軸孔11aに挿入された状態で、電動モータ装置10が取り付けられる。電動モータ装置10は、図2に示すように、電力が供給されて動力を発生する電動モータ13と、この電動モータ13の動力を、ピボット軸12に伝達する経路に設けられた減速機構14とを有する。減速機構14は、中空に構成されたハウジング15の内部に収容されており、電動モータ13は、主としてハウジング15の外部に配置されている。
まず、電動モータ13の構成について図3を参照して説明すると、電動モータ13は、固定子としてのステータアッセンブリ16と、電機子としてのロータアッセンブリ17とを備えている。ステータアッセンブリ16は、円筒形状に構成されたヨーク16aと、ヨーク16aの内周に固定された複数の永久磁石16bとを有している。ヨーク16aは金属材料、例えば、鉄などにより構成されている。このヨーク16aにおける軸線Aに沿った方向の一端には底部が形成されており、ヨーク16aの他端には開口部が形成されている。そして、ヨーク16aの底部により軸受16dの外輪が支持されている。ヨーク16aにおける開口部側の端部の外周には、ヨーク16aの半径方向で外側に向けて突出されたフランジ部16eが形成されている。図8のように、フランジ部16eには、軸線Aに沿った方向に貫通する孔16fが設けられている。ロータアッセンブリ17は、軸線Aを中心として回転可能である。
一方、図8のように、ロータアッセンブリ17は、アーマチュア軸17aと、アーマチュア軸17aと共に一体回転するアーマチュアコア17bと、アーマチュアコア17bに電線を巻き付けて形成されたコイル17cとを有している。図3のように、アーマチュア軸17aは、その長手方向の半分程度がヨーク16aの内部に配置され、長手方向における残りの半分程度がハウジング15の内部に配置されている。また、図8に示すアーマチュアコア17bは、図3に示す複数の永久磁石16bの内側に配置されている。つまり、ハウジング15にヨーク16aを固定した状態において、アーマチュアコア17bは、ヨーク16aの内部に位置している。さらに、アーマチュア軸17aにおいてハウジング15の内部に配置された箇所にはウォーム17dが形成されている。また、アーマチュア軸17aにおけるハウジング15の内部に配置された箇所のうち、アーマチュアコア17bとウォーム17dとの間に相当する部分が軸受17eにより支持されている。軸受17eの内輪はアーマチュア軸17aの外周に嵌合固定されている。さらに、アーマチュア軸17aにおける軸受17eとアーマチュアコア17bとの間には、コミュテータ17fが取り付けられている。
次に、ハウジング15の構成を、図4及び図5を参照して説明する。ハウジング15は導電性を有する金属材料、例えばアルミニウム合金等により形成されている。なお、ハウジング15は、導電性を有する樹脂により一体成形されていてもよい。ハウジング15は、グランドとしての車体に対して、図示しない電線より接続されている。このハウジング15は、減速機構14の全部、電動モータ13の一部を収容する要素である。ハウジング15は、減速機構14を収容する収容室15aを有している。
収容室15aは、段差部を介して連続して形成された2つの底部15c,15dと、その底部15c,15dの周囲に形成された側壁15eとにより取り囲まれた空間である。その収容室15aとハウジング15の外部との間に開口部15fが形成されている。この開口部15fは、軸線Aと平行な平面内で開口されている。また、底部15cには支持軸15gが設けられている。この支持軸15gは、後述するウォームホイールを回転可能に支持するために設けられている。支持軸15gは、ハウジング15の開口部15fの形成基準となる平面に対して垂直な方向に沿って設けられている。さらに、底部15dを貫通する軸孔15iが設けられている。軸孔15iにピボット軸12が回転可能に挿入されている。
また、ハウジング15は、後述するブラシホルダを支持する筒形状の保持部18を有する。保持部18には、軸線Aに沿った方向に貫通する保持孔18aが形成されている。さらに、保持部18の外周には、外側に向けて突出された突出部18eが設けられており、その突出部18eにはネジ孔が形成されている。そして、ヨーク16aの開口端を保持部18の開口端に接触させるとともに、フランジ部16eの孔16fにネジ部材16gが挿入されて締め付けられ、ヨーク16aとハウジング15とが固定されている。
さらに、ハウジング15における保持部18と底部15cとの間には、支持壁19が設けられており、その支持壁19には軸孔19aが形成されている。この軸孔19aは、軸線Aに沿った方向に貫通されており、軸孔19aにより収容室15aと保持孔18aとが連通されている。そして、アーマチュア軸17aのうち、ハウジング15の内部に配置された部分は、保持孔18a及び軸孔19a及び収容室15aに亘って配置されている。
また、保持孔18aと支持壁19との間に位置する軸孔19aに軸受17eが配置されており、その軸受17eの外輪が支持壁19により支持されている。この軸受17eと軸受16dとは同軸上に配置されており、軸受16dによりアーマチュア軸17aの一端がヨーク16aの内部で支持されている。また、軸受17eによりアーマチュア軸17aの一部がハウジング15の内部で支持されている。このように、アーマチュア軸17aは、2個の軸受16d,17eにより軸線Aを中心として回転可能に支持されている。
さらに、支持壁19には、収容室15aの深さ方向に沿った取付溝19cが設けられており、取付溝19cは軸孔19aに連通されている。取付溝19cにストッパ20が差し込まれている。このストッパ20は板ばねにより構成されている。そして、アーマチュア軸17aの一部がハウジング15の収容室15aに配置されるとともに、軸受17eの端面が支持壁19の端面に接触した状態で、取付溝19cにストッパ20が差し込まれている。このようにして、ストッパ20と支持壁19とにより軸受17eを挟み付け、アーマチュア軸17aが軸線Aに沿った方向に位置決め固定されている。
次に、ハウジング15の一部を構成する凹部21について説明する。凹部21は、後述するコネクタユニットを嵌め込むために設けられた溝部である。ハウジング15のうち、軸線Aに沿った方向において、保持部18と支持壁19との間に、凹部21が設けられている。凹部21は、軸線Aと垂直な平面方向に沿って設けられた第1収容部21aと、第1収容部21aに連続して形成された第2収容部21bとを有している第1収容部21aは、軸線Aに沿った方向で、支持壁19と保持部18との間に設けられている。第1収容部21aは軸線Aと交差するように延ばされた溝であり、軸孔19aと保持孔18aとが、第1収容部21aを介して連通されている。また、軸線Aを中心とする半径方向で、第2収容部21bは支持壁19よりも外側に配置されている。第2収容部21bは直方体形状の空間である。第1収容部21aおよび第2収容部21bは、共通の開口部21cを備えている。開口部21cは、軸線Aと平行な平面方向に沿って形成されている。
次に、減速機構14の構成を説明する。アーマチュア軸17aの外周にウォーム17dが設けられ、ウォームホイール14aの外周面にはギヤ14dが設けられている。ギヤ14dはウォーム17dと噛み合っている。減速機構14は、ギヤ14d及びウォーム17dにより構成されている。減速機構14は、アーマチュア軸17aからウォームホイール14aに動力を伝達するときに、アーマチュア軸17aの回転数よりもウォームホイール14aの回転数の方が低回転数となる減速機構である。このように、電動モータ13のトルクがウォームホイール14aに伝達される際に、トルクが増幅される。
ウォーム17dは、アーマチュア軸17aのうち、収容室15a内に位置する部分に形成されている。また、ウォームホイール14aは底部15c側に配置されており、図8のように、ウォームホイール14aの軸孔14bに支持軸15gが挿入されている。図7のように、ウォームホイール14aは、回転軸線Bを中心として回転可能に支持されている。さらに、ウォームホイール14aにおいて、支持軸15gから偏心した位置に複数の孔14cが形成されている。これらの孔14cは、支持軸15gからの偏心量が異なっている。
ウォームホイール14aにおける底部15c側の部位には、図6及び図7のように導電性を有する鋼板よりなるスイッチングプレート70が取り付けられている。スイッチングプレート70は、プレス加工等により略環状に形成されている。スイッチングプレート70は支持軸15gを中心としてウォームホイール14aに取り付けられている。スイッチングプレート70の内周には、ウォームホイール14aの半径方向で内側に向けて突出した凸部70aが設けられている。凸部70aは、スイッチングプレート70の円周方向で一定の範囲に亘って設けられている。
また、スイッチングプレート70の外周には、ウォームホイール14aの半径方向で内側に窪む凹部70bが設けられている。凹部70bは、スイッチングプレート70を円周方向で一定の範囲に亘って切り欠いて設けられている。具体的に説明すると、スイッチングプレート70の円周方向で凸部70aが設けられている範囲は、スイッチングプレート70の円周方向で凹部70bが設けられている範囲とは、少なくとも一部が重なっている。さらに、スイッチングプレート70の円周方向で凹部70bが設けられている範囲は、凸部70aが設けられている範囲よりも広い。
次に、ウォームホイール14aとピボット軸12との間の動力伝達経路の構成を、図3を参照して説明する。ピボット軸12のうち、収容室15a側の端部には、リンク22の一端が固定されている。つまり、ピボット軸12とリンク22とは一体回転するように連結されている。また、リンク22の他端にはコンロッド23の一端が、相対回転可能に連結されている。このコンロッド23の他端には、ピン23aが取り付けられており、ピン23aが、ウォームホイール14aの孔14cの何れかに挿入されている。ピン23aが孔14cに挿入された状態で、ウォームホイール14aと相対回転可能である。そして、ピン23aを差し込む孔14cを変更することにより、ワイパアーム30の揺動角度の範囲を変更することができる。これらのウォームホイール14a、コンロッド23、リンク22、ピボット軸12は、アーマチュア軸17aの回転運動を、ワイパアーム30の揺動運動に変換する動力変換機構である。このように、軸線Aに沿った方向で、ヨーク16aとピボット軸12との間に、減速機構14が配置されている。
次に、図2、図3、図4、図5、図8を参照して、ハウジング15の構成を説明する。ハウジング15の側壁15eにはネジ孔15kが形成されている。そして、開口部15fを塞ぐ板形状のブラケット24が設けられている。ブラケット24は金属材料をプレス加工して成形したものである。ブラケット24には厚さ方向に貫通する孔24aが形成されており、孔24aに挿入されたネジ部材24bを締め付けることにより、ブラケット24がハウジング15に固定されている。つまり、ブラケット24は開口部15fを塞ぐカバーである。なお、ブラケット24は図示しないネジ部材により、車体に固定される。
ハウジング15の凹部21にコネクタユニット25が取り付けられている。コネクタユニット25は、電動モータ13に電気的に接続される部品を支持する要素である。コネクタユニット25は、コネクタボックス25aと、コネクタボックス25aに連続して形成されたプレート部25bとを有している。コネクタボックス25aおよびプレート部25bは、主として樹脂材料を射出成形して一体的に構成されている。そして、プレート部25bが第1収容部21aに嵌め込まれ、コネクタボックス25aが第2収容部21bに嵌め込まれている。
コネクタボックス25aは、平面形状が四角形の箱型に構成されている。コネクタボックス25aには3本の端子25c,25d,25eが取り付けられている。図9のように、プレート部25bには、端子取付け孔41が2箇所に設けられている。2箇所の端子取付け孔41には、端子42,43が単独で挿入して固定されている。さらに、図10のように、端子42は端子25eと接続され、端子43は端子25cと接続されている。
さらに、コネクタユニット25のプレート部25bには、2本のコンタクトプレート46,47が取り付けられている。コンタクトプレート46,47は、導電性の金属材料により一体成形されている。また、コンタクトプレート46,47は、バネ弾性を備えた板バネで一体成形されている。
コンタクトプレート46は、軸線Aに対して垂直な平面に沿った方向に延ばされた基部46aと、基部46aの一端から、底部15cに沿った方向に延ばされた張り出し部46bと、張り出し部46bにおける基部46aとは反対側の端部に連続された腕部46cとを有している。コネクタユニット25が凹部21に取り付けられた状態で、腕部46cは底部15cから離れる方向に傾斜している。
コンタクトプレート47は、軸線Aに対して垂直な平面に沿った方向に延ばされた基部47aと、基部47aの一端から、底部15cに沿った方向に延ばされた張り出し部47bと、張り出し部47bにおける基部47aとは反対側の端部に連続された腕部47cとを有している。コネクタユニット25が凹部21に取り付けられた状態で、腕部47cは底部15cから離れる方向に傾斜している。このように、コンタクトプレート46,47の大部分は、収容室15aにおいて底部15c上に配置されている。
基部46a,47aは相互に平行に並べられ、かつ、プレート部25bに取り付けられている。張り出し部46b,47bは、相互に平行に並べられている。腕部46c,47cは、相互に平行に並べられている。コンタクトプレート46は、導電ワイヤ49を介して端子25cに接続されている。コンタクトプレート47は、導電ワイヤ50を介して端子25dに接続されている。
コンタクトプレート47の基部47aの一部を切り起こしてアース端子47dが設けられている。アース端子47dはコンタクトプレート47の製造工程で、金属材料をプレス加工する際、コンタクトプレート47に一体化されている。アース端子47dは、基部47aに対して、張り出し部47bが延ばされた方向とは逆向きに立ち上げられている。また、コネクタユニット25が凹部21に取り付けられた状態で、アース端子47dの自由端は、アース端子47dの固定端よりも開口部15fに近い位置に配置されている。腕部46cの先端は、スイッチングプレート70の半径方向で、凹部70bと同一円周上に配置されている。また、腕部47cの先端は、スイッチングプレート70の半径方向で、凸部70aと凹部70bとの間に相当する箇所の円周上に配置されている。
さらに、図3のようにハウジング15は壁18gを有する。そして、コネクタユニット25が凹部21に取り付けられた状態で、図7のようにアース端子47dの自由端は、壁18gの壁面18hに接触されている。具体的には、コネクタユニット25が凹部21に取り付けられる際に、アース端子47dが壁18gに接触して、アース端子47dが弾性変形し、アース端子47dが壁面18hに押し付けられている。なお、コネクタユニット25のプレート部25bには、アース端子47dが、壁面18h側に張り出すための開口部もしくは切り欠きが設けられている。
このように、コンタクトプレート46,47は、電動モータ13に電気的に接続または接触された部品である。ここで、電気的に接続または接触は、通電可能に接続または接触という意味を含む。図7においては、コンタクトプレート47を、便宜上、1本の要素で示してある。コンタクトプレート46,47は、コネクタユニット25を介して間接的にハウジング15により支持されており、コンタクトプレート46,47はウォームホイール14aが回転しても回転しない構成を有する。
つぎに、ブラシホルダ26の構成を図11、図12に基づいて説明する。ブラシホルダ26は樹脂材料により一体成形されたステー26aを有する。ステー26aには位置決めピン55が設けられている。ブラシホルダ26は保持孔18aに取り付けられた状態で、軸線Aを中心とする回転方向に位置決めされている。また、ステー26aがコネクタユニット25及びヨーク16aに接触して、軸線Aに沿った方向でステー26aが位置決めされている。
ステー26aにはブラシ26c,26dが取り付けられている。また、ステー26aにはチョークコイル26eが取り付けられている。チョークコイル26eの一端は、導電ワイヤ61を介してブラシ26cに接続されている。さらに、ブラシ26dには、接続部材63を介してチョークコイル26iの一端が接続されている。さらに、接続部材63にはアース端子26mが接続されている。ブラシホルダ26が保持部18に取り付けられた状態で、アース端子26mは、保持孔18aの内周面に通電可能に接続されている。なお、図3に示す軸線Aに沿った方向で、図12に示すブラシ26c,26dと、図3に示すコンタクトプレート46,47との間に壁18gが設けられている。
さらにまた、ステー26aに端子26f,26jが取り付けられている。端子26f,26jは、軸線Aに沿った方向に延ばされた長尺形状の要素である。端子26fには、チョークコイル26eの他端が接続されている。端子26jには、チョークコイル26iの他端が接続されている。また、その端子26jにはキャパシタ26kを介してアース端子26hが通電可能に接続されている。ブラシホルダ26が保持部18に取り付けられた状態で、アース端子26hは、保持孔18aの内周面に通電可能に接続されている。電動モータ装置10が組み立てられた状態では、図13のように、ブラシ26cが、端子26f,42を介して端子25eに接続される。また、ブラシ26dは、端子26j,43を介して、端子25c及びコンタクトプレート46に接続される。
また、コネクタユニット25が凹部21に挿入されるともに、ブラケット24がハウジング15に固定された状態では、ブラケット24の一部がプレート部25bの上面に接触する。つまり、コネクタユニット25は、ハウジング15とブラケット24とにより挟み付けられており、コネクタユニット25が凹部21から抜け出すことはない。さらに、ブラケット24の平面形状は、ブラケット24をハウジング15に固定したときに、コネクタボックス25aがブラケット24により覆われないような形状になっている。このため、ブラケット24がハウジング15に固定された状態で、ブラケット24を取り外すことなく、外部コネクタをコネクタボックス25aに着脱することができる。
電動モータ装置10が取り付けられた車両には、図13のように、電動モータ13に電流を供給する電源72として、例えば、バッテリ、キャパシタ等が搭載されている。電動モータ装置10が、車両に取り付けられた状態において、外部コネクタがコネクタユニット25のコネクタボックス25aに接続される。この外部コネクタに操作スイッチ73及び電源72が接続されている。電源72は、操作スイッチ73で端子25eに接続される。また、操作スイッチ73はコントローラに接続されており、コンタクトプレート46とスイッチングプレート70との接触・非接触状態を示す信号が、コントローラに入力される。
ワイパアーム30を動作させるように操作スイッチ73が操作されると、端子25cと端子25dとが接続される。このため、電源72の電流が、端子25e、ブラシ26c,26d、端子43、端子25c,25d、コンタクトプレート47を経由してハウジング15に流れ、電動モータ13のアーマチュア軸17aが回転する。アーマチュア軸17aは一方向に回転するとウォームホイール14aが一方向に回転する。ウォームホイール14aの動力は、リンク22、コンロッド23を介してピボット軸12に伝達され、ワイパアーム30が所定の角度範囲内で揺動運動する。
これに対して、電動モータ13のアーマチュア軸17aが回転している状態で、ワイパアーム30を停止させるように操作スイッチ73が操作されると、端子25cと端子25dとが電気に遮断される。すると、コンタクトプレート46がスイッチングプレート70に接触している間は、電源72から供給される電流が、端子25e、ブラシ26c,26d、端子43、コンタクトプレート46,47を経由してハウジング15に流れ、アーマチュア軸17aの回転が継続される。そして、ウォームホイール14aの回転位相が変化して、コンタクトプレート46がスイッチングプレート70から離れると、電源72の電流が電動モータ13に供給されなくなり、アーマチュア軸17aの回転速度が低下する。その結果、アーマチュア軸17aが停止し、ワイパアーム30が停止する。ここで、ワイパアームが所定角度の範囲内で揺動運動するにあたり、揺動方向が逆となる反転位置に到達した状態でワイパアームが停止するように、ウォームホイール14aの円周方向における凸部70aの位置及び範囲、凹部70bの位置及び範囲が決定されている。
次に、電動モータ装置10の組み立て方法を、図8を参照しながら説明する。電動モータ装置10の組立は、図示しない自動機を使用して行われる。まず、開口部15fを上向きとした状態でハウジング15を支持する。ついで、プレート部25bを略垂直に立てた状態としたコネクタユニット25を、開口部15fを含む平面に対して垂直な方向(第1方向)に沿って移動させる。つまり、コネクタユニット25をハウジング15に向けて下降させ、凹部21にコネクタユニット25を挿入する。コネクタユニット25を凹部21に挿入すると、コネクタユニット25の下端が、凹部21の底面に接触して停止する。また、プレート部25bの両端面の一部が、支持壁19および保持部18に接触して、コネクタユニット25が軸線Aに沿った方向に位置決めされる。コネクタユニット25を凹部21に取り付ける工程が第1工程である。コネクタユニット25を凹部21に取り付ける工程で、アース端子47dが壁18gに接触して弾性変形し、凹部21に対するコネクタユニット25の取り付けが完了すると、アース端子47dが壁面18hに押し付けられた状態となる。
この第1工程に次いで、ブラシホルダ26の軸孔26bの中心線を略水平として、ブラシホルダ26を支持する。そして、軸線Aに沿った方向にブラシホルダ26を移動させ、ブラシホルダ26を保持孔18aに挿入する。すると、端子42と端子26fとが接触し、端子43と端子26jとが接触した状態となる。このように、ブラシホルダ26を保持孔18aに取り付けて、端子25cとブラシ26dとを端子43を介して給電可能に接続し、端子25eとブラシ26cとを端子42を介して給電可能に接続する工程が、第2工程である。
この第2工程に次いで、ロータアッセンブリ17を軸線Aに沿った方向に移動させて、アーマチュア軸17aの先端を、軸孔26b,19aを通過させてハウジング15の収容室15aまで進入させる。そして、軸受17eの端面が支持壁19の端面に接触した時点で、ロータアッセンブリ17を停止する。さらに、ストッパ20を取付溝19cに差し込むと、アーマチュア軸17aとハウジング15とが軸線Aに沿った方向で位置決め固定される。アーマチュア軸17aとハウジング15とが軸線Aに沿った方向で位置決めされると、ブラシ26c,26dがコミュテータ17fに接触する。このように、アーマチュア軸17aを移動させてアーマチュア軸17aのうちウォーム17dが形成された部分を収容室15aに配置し、ブラシ26c,26dをコミュテータ17fに接触させる工程が、第3工程である。
この第3工程に次いで、ウォームホイール14aを、軸孔14bの中心線が垂直となるようにするとともに、そのウォームホイール14aを垂直な方向に下降させて、ウォームホイール14aをハウジング15の収容室15aに収容する。ここで、支持軸15gを軸孔14bに通し、かつ、ウォーム17dとウォームホイール14aのギヤとを噛み合わせる。さらに、ピボット軸12の先端を下に向け、そのピボット軸12をハウジング15の軸孔15iに挿入するとともに、リンク22とウォームホイール14aとをコンロッド23により連結する。このように、ウォームホイール14a、リンク22、コンロッド23を収容室15aに配置して相互に動力伝達可能に連結する工程が、第4工程である。
ウォームホイール14aを収容室15aに挿入する途中で、腕部47cがスイッチングプレート70に接触すると、コンタクトプレート47が弾性変形する。ウォームホイール14aを収容室15aに挿入する途中で、腕部46cがスイッチングプレート70に接触すると、コンタクトプレート46が弾性変形する。なお、腕部47cは、ウォームホイール14aの回転位相に関わりなく、必ずスイッチングプレート70に接触するが、腕部46c,47cが、スイッチングプレート70の周方向において同時に接触することのない箇所が存在する。
一方、ヨーク16aを軸線Aに沿った方向に移動させるとともに、フランジ部16eを保持部18に接触させ、ネジ部材16gを締め付けてヨーク16aをハウジング15に固定する。ヨーク16aをハウジング15に固定すると、ブラシホルダ26が保持部18とフランジ部16eとにより挟み付けられて、ブラシホルダ26がハウジング15に対して位置決め固定される。このように、ヨーク16aを第2方向に沿って移動させ、ヨーク16aをハウジング15に固定する工程が、第5工程である。なお、電動モータ装置10を組み立てる際に、第4工程および第5工程は、何れの工程を先に行ってもよいし、2つの工程を同時に行ってもよい。
その後、ハウジング15の開口部15fをブラケット24で塞ぐとともに、ネジ部材24bを締め付けてブラケット24をハウジング15に固定する。ブラケット24をハウジング15に固定すると、ブラケット24の一部がプレート部25bの上端に接触する。つまり、コネクタユニット25が、ハウジング15とブラケット24とにより挟み付けられる。その結果、コネクタユニット25が、凹部21から抜け出さないように固定される。
上記実施の形態で説明したコネクタユニット25は、コネクタボックス25a側に設けた3本の端子25c,25d,25eと、2本のコンタクトプレート46,47とを有する。しかし、本発明は上記のコネクタユニット以外の構造を含む。コネクタユニット25の他の構造例を、図14〜図17に基づいて説明する。なお、図14〜図17において、前述の実施例と同じ構成部分については、前述と同じ符号を付してある。図14、図15に示すコネクタユニット25は、コネクタボックス25a側に設けた4本の端子と、3本のコンタクトプレートとを有する。
図14、15に示すように、コネクタボックス25aは、平面形状が四角形の箱型に構成されている。コネクタボックス25aには4本の端子25c,25d,25e,25fが取り付けられている。プレート部25bには、端子取付け孔41が2箇所に設けられている。2箇所の端子取付け孔41には、端子42,43が単独で挿入して固定されている。端子42は端子25eと接続され、端子43は端子25cと接続されている。
さらに、コネクタユニット25のプレート部25bには、3本のコンタクトプレート46,47,48が取り付けられている。コンタクトプレート46,47,48は、導電性の金属材料により一体成形されている。また、コンタクトプレート46,47,48は、バネ弾性を備えた板バネで一体成形されている。
コンタクトプレート48は、軸線Aに対して垂直な平面に沿った方向に延ばされた基部48aと、基部48aの一端から、底部15cに沿った方向に延ばされた張り出し部48bと、張り出し部48bにおける基部48aとは反対側の端部に連続された腕部48cとを有している。コネクタユニット25が凹部21に取り付けられた状態で、腕部48cは底部15cから離れる方向に傾斜している。このように、コンタクトプレート46,47,48の大部分は、収容室15aにおいて底部15c上に配置されている。
基部46a,47a,48aは相互に平行に並べられ、かつ、プレート部25bに取り付けられている。張り出し部46b,47b,48bは、相互に平行に並べられている。腕部46c,47c,48cは、相互に平行に並べられている。コンタクトプレート46は、導電ワイヤ51を介して端子25dに接続されている。コンタクトプレート47は、導電ワイヤ52を介して端子25fに接続されている。コンタクトプレート48は、導電ワイヤ53を介して端子25cに接続されている。
コンタクトプレート46の基部46aの一部を切り起こしてアース端子46dが設けられている。アース端子46dはコンタクトプレート46の製造工程で、金属材料をプレス加工する際、コンタクトプレート46に一体化されている。アース端子46dは、基部46aに対して、張り出し部46bが延ばされた方向とは逆向きに立ち上げられている。また、コネクタユニット25が凹部21に取り付けられた状態で、アース端子46dの自由端は、アース端子46dの固定端よりも開口部15fに近い位置に配置されている。
腕部46cの先端は、スイッチングプレート70の半径方向で、凹部70bと同一円周上に配置されている。また、腕部48cの先端は、スイッチングプレート70の半径方向で、凸部70aと同一円周上に配置されている。腕部47cの先端は、スイッチングプレート70の半径方向で、凸部70aと凹部70bとの間に相当する箇所の円周上に配置されている。
そして、コネクタユニット25が凹部21に取り付けられた状態で、図7のようにアース端子46dの自由端は、壁18gの壁面18hに接触されている。具体的には、コネクタユニット25が凹部21に取り付けられる際に、アース端子46dが壁18gに接触して、アース端子46dが弾性変形し、アース端子46dが壁面18hに押し付けられている。なお、コネクタユニット25のプレート部25bには、アース端子46dが、壁面18h側に張り出すための開口部もしくは切り欠きが設けられている。
このように、コンタクトプレート46,47,48は、電動モータ13に電気的に接続または接触された部品である。ここで、電気的に接続または接触は、通電可能に接続または接触という意味を含む。コンタクトプレート46,47,48は、コネクタユニット25を介して間接的にハウジング15により支持されており、コンタクトプレート46,47,48はウォームホイール14aが回転しても回転しない構成を有する。
電動モータ装置10が取り付けられた車両には、図17のように、電動モータ13に電流を供給する電源72として、例えば、バッテリ、キャパシタ等が搭載されている。電動モータ装置10が、車両に取り付けられた状態において、外部コネクタがコネクタユニット25のコネクタボックス25aに接続される。この外部コネクタに操作スイッチ73及び電源72が接続されている。また、操作スイッチ73はコントローラに接続されており、コンタクトプレート46,48とスイッチングプレート70との接触・非接触状態を示す信号が、コントローラに入力される。
ワイパアーム30を動作させるように操作スイッチ73が操作されると、端子25dと端子25cとが接続され、端子25fはいずれの端子にも接続されない。すると、電源72の電流が、端子25e,26f、ブラシ26c,26d、端子43,25c,25d、コンタクトプレート46を経由してハウジング15に流れ、電動モータ13のアーマチュア軸17aが回転する。アーマチュア軸17aは一方向に回転するとウォームホイール14aが一方向に回転する。ウォームホイール14aの動力は、リンク22、コンロッド23を介してピボット軸12に伝達され、ワイパアーム30が所定の角度範囲内で揺動運動する。
これに対して、電動モータ13のアーマチュア軸17aが回転している状態で、ワイパアーム30を停止させるように操作スイッチ73が操作されると、端子25cと端子25fとが接続され、端子25dはいずれの端子にも接続されない。すると、コンタクトプレート46がスイッチングプレート70に接触している間は、電源72の電流が、端子25e,26f、ブラシ26c,26d、端子43,25c,25f、コンタクトプレート46を経由してハウジング15に流れ、電動モータ13のアーマチュア軸17aが回転する。
そして、ウォームホイール14aの回転位相が変化して、コンタクトプレート46がスイッチングプレート70から離れると、電源72の電流が電動モータ13に供給されなくなり、アーマチュア軸17aの回転速度が低下する。ここで、ワイパアームが所定角度の範囲内で揺動運動するにあたり、揺動方向が逆となる反転位置に到達した状態でワイパアームが停止するように、ウォームホイール14aの円周方向における凸部70aの位置及び範囲、凹部70bの位置及び範囲が決定されている。
次に、図14に示す電動モータ装置10の組み立て方法を、上記実施形態と異なる部分について説明する。コネクタユニット25を凹部21に取り付ける工程で、アース端子46dが壁18gに接触して弾性変形し、凹部21に対するコネクタユニット25の取り付けが完了すると、図7のようにアース端子46dが壁面18hに押し付けられた状態となる。
また、ウォームホイール14aを収容室15aに挿入する途中で、腕部48cがスイッチングプレート70に接触すると、コンタクトプレート48が弾性変形する。なお、腕部47cは、ウォームホイール14aの回転位相に関わりなく、必ずスイッチングプレート70に接触するが、腕部46c,47c,48cが、スイッチングプレート70に全て同時に接触することはない。
本実施形態においては、アース端子47dがコンタクトプレート47と共に一体成形されて単一の部品を構成し、アース端子46dがコンタクトプレート46と共に一体成形されて単一の部品を構成している。したがって、電動モータ13に電気的に接続される部品の数を低減できる。また、部品の数を低減できるため、コネクタユニット25の組み立て工数を低減することができ、電動モータ装置の生産性が向上する。
また、コンタクトプレートにアース端子を設けるか否かは、プレス成形に用いる金型の治具を交換するだけで切り替えることができる。したがって、アース端子とコンタクトプレートとを別々に成形する場合のように、アース端子とコンタクトプレートとを溶接して固定する工程が不要である。すなわち、アース端子を成形するために専用の製造ラインを設ける必要がなく、生産性が向上する。さらに、コンタクトプレート46,47,48が取り付けられたコネクタユニット25を、ハウジング15の凹部21に取り付けることで、電気回路をグランドに接続することができる。したがって、電動モータ装置の生産性が向上する。
また、アース端子は、複数のコンタクトプレート46,47,48のうち、何れにも形成可能である。したがって、プレート部25bの構造を変更することなく、コネクタユニット25の汎用性を向上することができる。また、コンタクトプレート46,47,48がスイッチングプレート70に接触して擦れてノイズが生じると、そのノイズがアース端子46d,47dを介してハウジング15に逃がされる。したがって、ノイズ低減効果を得られる。さらに、図14の軸線Aに沿った方向で、図12に示すブラシ26c,26dと、図14に示すコンタクトプレート46,47,48との間に壁18gが設けられている。したがって、コンタクトプレート46,47,48で発生したノイズが、ブラシ26c,26d側に伝播されることを抑制できる。
さらに、コンタクトプレート46,47,48は、コネクタユニット25に取り付けられており、コネクタユニット25を凹部21に取り付けると、コネクタユニット25がハウジング15に接触して、軸線Aに沿った方向、軸線Aに対して直角な方向に位置決めされる。したがって、ねじ24bを締め付けてブラケット24を固定する際に、腕部46c,47c,48cの何れかと、スイッチングプレート70との接触状態が変化すること、アース端子46d,47dと壁面18hとの接触状態が変化すること、を抑制できる。ここで接触状態は、腕部46c,47c,48cとスイッチングプレート70との接触圧力及び接触面積、アース端子46d,47dと壁面18hとの接触圧力及び接触面積を含む。
さらに、図7のように腕部46c,47c,48cの何れかがスイッチングプレート70に押し付けられる力F1の方向は、回転軸線Bに沿った方向である。これに対して、アース端子46d,47dが壁18gの壁面18hに押し付けられる力F2の方向は、回転軸線Bに対して交差する方向である。したがって、ウォームホイール14aを支持軸15gに取り付ける工程で、スイッチングプレート70がコンタクトプレート46,47,48の何れかに押し付けられたとしても、アース端子46d,47dと壁面18hとの接触状態が変化することを抑制できる。ここで接触状態は、アース端子46d,47dと壁面18hとの接触圧力及び接触面積を含む。
ここで、本実施形態において説明した構成と、本発明の構成との対応関係を説明すると、スイッチングプレート70が、本発明の導電部材に相当し、コンタクトプレート46,47,48が、本発明の接続端子に相当し、コネクタユニット25が、本発明の端子ユニットに相当する。また、コンタクトプレート47が、本発明における第1の接続端子に相当し、コンタクトプレート46が、本発明における第2の接続端子に相当し、コンタクトプレート48が、本発明における第3の接続端子に相当し、ハウジング15及び車体が、本発明のグランド(接地)に相当し、アース端子46d,47dが、本発明のアース部に相当し、腕部46c,47c,48cが、本発明の接触部に相当し、アーマチュア軸17aが回転軸に相当する。
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。本発明の電動モータ装置は、動作部材を動作させる動力源として使用することができ、例えば、本発明の電動モータ装置をパワーウィンド装置に用いることもできる。パワーウィンド装置は、ドア内部に設けた電動モータの回転運動を、ドアガラス(動作部材)の昇降運動(直線運動)に変換する機構である。このパワーウィンド装置は、特開2011−132685号公報、特開2011−140787号公報などに記載されているように公知であるため、具体的な構成の説明を省略する。
また、本発明の電動モータ装置を、パワースライドドア装置の動力源として用いることもできる。このパワースライドドア装置は、ドアに取り付けた電動モータの回転運動を、ドア(動作部材)の開閉動作(直線運動)に変換する機構である。このパワースライドドア装置は、特開2006−333691号公報、特開2009−24387号公報などに記載されているように公知であるため、具体的な構成の説明を省略する。さらに、本発明の電動モータ装置において、電動モータの動力が伝達される動作部材の動作は、回転運動、揺動運動、直線運動、往復運動などのいずれでもよい。
さらに、上記の実施形態においては、ハウジング15の開口部15fが上側に向くように支持して、電動モータ装置10を組み立てる工程を説明したが、電動モータ装置10を組み立てるにあたり、ハウジング15の開口部15fが側方に向くように自動機で支持し、上記第1工程〜第5工程を行うこともできる。この場合、各工程で説明した上下方向(垂直方向)が水平方向となり、水平方向が上下方向(垂直方向)となるが、各要素をハウジング15に対して相互に直角な2つの方向から移動させて組み付けるという、原理原則は同じである。さらに、支持軸15gはハウジング15に固定されていてもよいし、支持軸15gはウォームホイール14aと一体回転するように構成されていてもよい。