JP2011234489A - 電動モータ、減速機付モータ、およびサンルーフ駆動装置 - Google Patents

電動モータ、減速機付モータ、およびサンルーフ駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】容易、かつ確実に電磁シールド、ブラシ、およびブラシホルダを組み付けることが可能な電動モータ、減速機付モータ、およびサンルーフ駆動装置を提供する。
【解決手段】アーマチュアに設けられているコンミテータを挟んで両側に配置され、コンミテータに摺接して給電を行う一対のブラシ5と、これら一対のブラシ5をコンミテータに対して進退自在に収納するブラシホルダ43と、ブラシホルダ43を支持するホルダステー44a,44bとを備え、ホルダステー44a,44bの外側に分割構成されたGNDターミナル61a,61bを、着脱自在に設けた。
【選択図】図4

Description

この発明は、電動モータ、減速機付モータ、およびこれらを用いたサンルーフ駆動装置に関するものである。
従来から、電動モータと、この電動モータの回転軸に連結する減速機構を収納したギヤケーシングとが一体化された減速機付モータが知られている。この種の電動モータとしては、例えばアーマチュアと、アーマチュアのコンミテータに摺接する一対のブラシとを備えたブラシ付モータがある。
一対のブラシは、それぞれブラシホルダに収納された形でギヤケーシングに取り付けられている。ブラシホルダは、各ブラシに対応するように2つ設けられており、それぞれギヤケーシングに対して着脱自在に構成されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、通電状態のブラシがコンミテータの隣り合うセグメントを跨いだときに自己誘導作用によりサージ電圧が発生し、このサージ電圧によりブラシとコンミテータとの摺接部分から電磁ノイズが放射されることがある。このため、例えば減速機付モータを車両に搭載すると、電磁ノイズにより他の電装品等に影響を及ぼす虞があるので、ブラシホルダの周囲を電磁シールドで覆う場合がある。
より具体的に、図11に基づいて説明する。
図11は、従来の減速機付モータ300の一例を示す斜視図である。
同図に示すように、減速機付モータ300は、不図示の減速機構が収納されたギヤケーシング301に、電動モータ302が取り付けられている。電動モータ302は、ヨークハウジング303内に不図示のアーマチュアが回転自在に設けられたものである。
アーマチュアのコンミテータ304は、ギヤケーシング301に臨まされるように配置されている。ギヤケーシング301には、コンミテータ304に対応する位置に、電磁シールドであるGNDターミナル305が取り付けられている。
GNDターミナル305は、金属板をプレス加工等を施すことにより形成されたものである。GNDターミナル305は、コンミテータ304に摺接する一対のブラシ(不図示)に対応するように配置された2つのターミナル本体306a,306bと、これらターミナル本体306a,306bを連結するステー部307とにより構成されている。ステー部307には、不図示のボルトを挿通可能な挿通孔308が形成されている。この挿通孔308にボルトを挿入することにより、ギヤケーシング301、およびヨークハウジング303と共にGNDターミナル305を共締めできるようになっている。
特開2002−320359号公報
しかしながら、上述の従来技術にあっては、GNDターミナル305が一体化されているので、ギヤケーシング301、およびGNDターミナル305を高精度に加工しないと、寸法誤差に起因してGNDターミナル305を組み付けることが困難になるという課題がある。
また、ブラシホルダとGNDターミナル305とを別々に組み付けることになるので、この分組み付け作業工数が増大してしまうという課題がある。
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、容易、かつ確実に電磁シールド、ブラシ、およびブラシホルダを組み付けることが可能な電動モータ、減速機付モータ、およびサンルーフ駆動装置を提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、アーマチュアに設けられているコンミテータを挟んで両側に配置され、前記コンミテータに摺接して給電を行う一対のブラシと、これら一対のブラシをコンミテータに対して進退自在に収納する一対のブラシホルダと、前記一対のブラシホルダを支持するホルダステーと、前記ホルダステーの外側に着脱自在に設けられ、電磁ノイズによる影響を抑制するための電磁シールドとを備え、前記電磁シールドを、各ブラシに対応するように分割構成したことを特徴とする。
このように構成することで、分割構成された電磁シールドをそれぞれ別個に取り付けることができるので、組み付け性を向上させることができる。
請求項2に記載した発明は、前記ホルダステーに、前記電磁ノイズによる影響を抑制するための雑防素子が収納され、外側に大開口部を有する箱状の収納部本体を形成すると共に、前記ブラシホルダを、前記ブラシの進退方向両端にそれぞれ小開口部を有する筒状に形成し、前記大開口部と、前記小開口部のうちの前記ブラシの基端側に対応する部位とに、これら大開口部、および小開口部を閉塞するカバーを設け、このカバーの上から前記電磁シールドを取り付けることを特徴とする。
このように、ホルダステーに形成された収納部本体に雑防素子を配置することで、ブラシに給電を行うための給電ライン上に雑防素子を取り付けることができ、さらに電磁ノイズを抑制することが可能になる。
請求項3に記載した発明は、前記電磁シールドは、前記ホルダステーの前記収納部本体を覆うように形成されている特徴とする。
このように構成することで、電動モータから発生する電磁ノイズを抑制することが可能になる。
請求項4に記載した発明は、請求項1ないし請求項3の何れかに記載の電動モータと、この電動モータに一体的に取り付けられるギヤケーシングと、前記ギヤケーシング内に収納され、前記電動モータの回転軸に連結される減速機構とを備えた減速機付モータであって、前記ホルダステーと前記一対のブラシホルダとを一体成形すると共に、前記ホルダステーに前記電磁シールドを取り付けて一体化させた状態で、これらホルダステー、および前記電磁シールドを前記ギヤケーシングに取り付けることを特徴とする減速機付モータとした。
このように構成することで、ギヤケーシングに、ブラシ、ブラシホルダ、ホルダステー、および電磁シールドを一体化させた状態で組み付けることができる。このため、さらに組み付け作業性を向上させることができる。
請求項5に記載した発明は、前記ホルダステーを、前記電磁シールドに対応するように分割構成したことを特徴とする請求項3に記載の減速機付モータとした。
このように構成することで、ギヤケーシングの加工精度に応じて2つのホルダステーをそれぞれ別個に高精度に組み付けることが可能になる。このため、さらに、容易、かつ確実に組み付け作業を行うことができる。
請求項6に記載した発明は、前記電磁シールドに、それぞれ互いに対向するようにY端子部を形成し、それぞれのY端子部は、前記電動モータと前記ギヤケーシングとを取り付けるための締結手段により電気的に接続されていることを特徴とする。
このように構成することで、ギヤケーシングに電動モータのヨークハウジングを取り付ける際に、同時に電磁シールドをギヤケーシングに取り付けることができ、組み付け作業が容易になる。さらに、締結手段を介してY端子部とヨークハウジングとが電気的に接続されるため、電動モータから発生する電磁ノイズを抑制することが可能になる。
請求項7に記載した発明は、請求項4または請求項5に記載の減速機付モータを車両のルーフに設け、このルーフに設けられているルーフパネルを、前記減速機付モータを用いて駆動するサンルーフ駆動装置であって、前記減速機付モータは、前記電磁シールドを前記ルーフ側に向けた状態で配置されていることを特徴とするサンルーフ駆動装置とした。
このように構成することで、車両のルーフに配索されるアンテナ等への電磁ノイズによる影響を防止することができる。このため、信頼性の高いサンルーフ駆動装置を提供できる。
本発明によれば、分割構成された電磁シールドをそれぞれ別個に取り付けることができるので、組み付け性を向上させることができる。
また、ギヤケーシングに、ブラシ、ブラシホルダ、ホルダステー、および電磁シールドを一体化させた状態で組み付けることができる。このため、さらに組み付け作業性を向上させることができる。
さらに、ギヤケーシングの加工精度に応じて2つのホルダステーをそれぞれ別個に高精度に組み付けることが可能になる。このため、より容易、かつ高精度な組み付け作業を実現することができる。
本発明の第一実施形態におけるサンルーフ駆動装置の概略構成図である。 本発明の第一実施形態における減速機付モータの斜視図である。 本発明の第一実施形態における減速機付モータの分解斜視図である。 本発明の第一実施形態におけるブラシユニットの分解斜視図である。 本発明の第一実施形態におけるブラシユニットを構成する第1ユニットの縦断面図である。 本発明の第一実施形態におけるホルダステーの斜視図である。 本発明の第一実施形態における電磁ノイズの変化を示すグラフであって、(a)は、チョークコイルを左方向に向かって巻回した場合を示し、(b)は、(a)とは反対方向にチョークコイルを巻回した場合を示す。 本発明の第二実施形態における減速機付モータの斜視図である。 本発明の第二実施形態におけるブラシユニットの分解斜視図である。 本発明の第二実施形態における第1ユニットの側面図である。 本発明の第二実施形態における第1ユニットの正面図である。 従来の減速機付モータの一例を示す斜視図である。
(第一実施形態)
(サンルーフ駆動装置)
次に、この発明の第一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
図1は、サンルーフ駆動装置500の概略構成図である。
同図に示すように、サンルーフ駆動装置500は、車両501のルーフ502に取り付けられ、ルーフ502に設けられているルーフパネル503を駆動するためのものであって、減速機付モータ1を備えている。ルーフ502には、開口部502aが形成されており、この開口部502aを開閉可能にルーフパネル503が設けられている。ルーフパネル503には、ケーブル504a,504bの一端が連結されている。ケーブル504a,504bの他端は減速機付モータ1に連結されており、減速機付モータ1が駆動することによって、ルーフパネル503が開口部502aを開閉するようになっている。減速機付モータ1は、ルーフ502の開口部502aとフロントガラス505との間に配置されている。
(減速機付モータ)
図2は、減速機付モータ1の斜視図、図3は、減速機付モータ1の分解斜視図である。
図2、図3に示すように、減速機付モータ1は、電動モータ2と、減速機構20が収納されたギヤケーシング3とを備え、ギヤケーシング3にブラシユニット4が取り付けられている。
減速機構20は、電動モータ2の動力が伝達されるウォーム軸と、このウォーム軸に噛合うウォームホイール(何れも不図示)と、ウォームホイールに連結された出力軸20aとにより構成されている。そして、出力軸20aにケーブル504a,504bの他端が連結されている。
このような減速機構20を収納するギヤケーシング3は、樹脂により形成されたものであって、上ケース31と下ケース32とにより分割構成されており、上ケース31に減速機構20を収納することができるようになっている。そして、減速機付モータ1は、ルーフ502の車室内側に、上ケース31をルーフ502側に向け、出力軸20aをルーフ502側に向けた状態で、取り付けられている。
一方、下ケース32には、電動モータ2を駆動するための回路基板33が収納されている。回路基板33には、ブラシユニット4と接続可能な雌端子35aが実装されている。この他、下ケース32には、不図示の外部コネクタを嵌着可能なコネクタ部34が設けられている。コネクタ部34と回路基板33は、互いに電気的に接続されている。
ここで、上ケース31には、電動モータ2が取り付けられる箇所に、電動モータ2の一部を収納可能な電動モータ収納部36が形成されている。この電動モータ収納部36の外周部には、電動モータ2を取り付けるための外フランジ部37が一体形成されていると共に、この外フランジ部37を挟んで電動モータ2とは反対側に、ブラシユニット4が取り付けられるようになっている。
電動モータ2は、ブラシ5を用いて給電を行う所謂ブラシ付モータであって、有底筒状のヨークハウジング6と、ヨークハウジング6内に回転自在に設けられたアーマチュア7とを有している。
ヨークハウジング6は、この開口部6aをギヤケーシング3側に向けた状態で取り付けられるようになっている。ヨークハウジング6の周壁6bには、開口部6a側にナット8を挿入可能なスリット9が2箇所形成されている。
一方、ギヤケーシング3の外フランジ部37には、ヨークハウジング6のスリット9に挿入されたナット8に対応する部位に、締結手段としてのボルト10を挿入可能な挿入孔27が形成されている。この挿入孔27にボルト10を挿入すると共に、ナット8にボルト10を螺入することにより、ギヤケーシング3にヨークハウジング6が締結固定される。
また、ヨークハウジング6の周壁6bには、内面側に永久磁石13が設けられている。さらに、ヨークハウジング6の底壁6cには、アーマチュア7の回転軸11の一端を回転自在に支持するための軸受部12が軸方向外側に向かって突設されている。
アーマチュア7は、回転軸11と、回転軸11の永久磁石13に対応する部位に外嵌固定されているアーマチュアコア14と、回転軸11のギヤケーシング3側に外嵌固定されているコンミテータ15とを備えている。アーマチュアコア14には巻線16が巻装されており、この巻線16の端末部がコンミテータ15に接続されている。
コンミテータ15は略円柱状に形成されたものであって、ギヤケーシング3の電動モータ収納部36内に臨まされた状態になっている。コンミテータ15は、この外周面に、板状に形成された不図示のセグメントが複数並設されている。これらセグメントに、巻線16の端末部が接続されている。また、コンミテータ15には、このコンミテータ15を挟んで両側に配置されたブラシユニット4を構成する一対のブラシ5,5が摺接するようになっている。
(ブラシユニット)
図4は、ブラシユニット4の分解斜視図、図5は、ブラシユニット4を構成する第1ユニット41の縦断面図である。
図3〜図5に示すように、ブラシユニット4は、一対のブラシ5,5に対応するように、第1ユニット41、および第2ユニット42の2つのユニット41,42により構成されている。
ここで、2つのユニット41,42の基本的構成は同一であり、各構成部品はコンミテータ15を挟んでほぼ対称に形成されている。このため、以下の説明においては、第1ユニット41のみ詳細に説明する一方、第2ユニット42については、第1ユニット41と形状が異なる部位のみ説明し、第1ユニット41と共通の構成については第1ユニット41と同一符号を付して説明を省略する。
第1ユニット41は、ギヤケーシング3を構成する上ケース31の下ケース32とは反対側(図3〜図5における上側、以下、単に上側という)の上面31aに着脱自在に設けられており、外面側をGNDターミナル61aで覆っている。つまり、GNDターミナル61aは、減速機構20の出力軸20aが配置されている側に設けられ、減速機付モータ1は、GNDターミナル61a、および出力軸20aをルーフ502側に向けた状態で配置されていることになる。
第1ユニット41は、ブラシ5を収納するためのブラシホルダ43が一体成形されているホルダステー44aを有している。
ブラシ5は、コンミテータ15を介して巻線16に電流を供給するためのものであって、断面略四角状に形成されている。ブラシ5の基端側には、ピグテール50の一端が接続されている。
ブラシホルダ43は、樹脂により形成されたものであって、ブラシ5の断面形状に対応するように四角筒状に形成されており、両端に小開口部としての開口部443を有している。そして、ブラシホルダ43内に、ブラシ5がコンミテータ15に対して進退自在に収納されている。すなわち、ブラシホルダ43は、ブラシ5の進退方向両端に開口部443が形成されていることになる。ブラシホルダ43は、ギヤケーシング3にブラシユニット4を取り付けた際、ギヤケーシング3内に収納される。
すなわち、ギヤケーシング3には、第1ユニット41、および第2ユニット42を外側から挿入可能な凹部38が形成されており、この凹部38のブラシホルダ43に対応する部位に、ブラシホルダ43を収納可能な収納部38aが形成されている。そして、収納部38aには、ブラシ5に対応する部位に不図示の開口部が形成されている。この開口部を介してブラシ5の先端がコンミテータ15のセグメント(不図示)に摺接するようになっている。
図6は、ホルダステー44aの斜視図である。
図4〜図6に示すように、ホルダステー44aは樹脂により形成されたものであって、ギヤケーシング3の外面に配置されるように、ブラシホルダ43の上面43aに一体成形されている。そして、ホルダステー44aは、上ケース31の凹部38に沿って、ブラシホルダ43から第2ユニット42側(図4における左側)に向かって突出形成されている。この第2ユニット42側に向かって突出した部位には、外側に大開口部としての開口部445を有する箱状の雑防素子収納部45が形成されている。
雑防素子収納部45は、雑防素子としてのチョークコイル46、およびコンデンサ47を収納する収納部本体40aと、ブラシ5のピグテール50を収納するためピグテール収納部40bとが一体成形されたものであって、それぞれ収納部本体40aとピグテール収納部40bとが連通している。収納部本体40aの底壁45aには、ピグテール収納部40bの近傍に、雄端子49が設けられている。
雄端子49は、底壁45aから第1ユニット41の着脱方向(図4、図5における上下方向)に沿って延出形成されている。そして、上ケース31に第1ユニット41を取り付けた状態で下ケース32に収納されている回路基板33の雌端子35aと接続するようになっている。
チョークコイル46は、雑防素子収納部45の第2ユニット42側に収納されている。チョークコイル46の一端には、ピグテール50の他端が接続されている。また、チョークコイル46は、心棒48の周囲に巻回されている。
チョークコイル46の巻回方向は、チョークコイル46の一端側、つまり、心棒48の一端側(図6における右側)から他端側(図6における左側)に向かって左回り方向(図6における矢印Y1参照)に設定されている。つまり、チョークコイル46は、第2ユニット42側である内側から外側に向かう方向に巻回されながら、心棒48の一端から他端に向かうように形成されている。
一方、チョークコイル46の他端は、雄端子49に接続されている。これにより、回路基板33の雌端子35a、第1ユニット41の雄端子49、チョークコイル46、およびピグテール50を介してブラシ5に電流が供給される。
また、雄端子49には、コンデンサ47の一端が接続されている。コンデンサ47は、雑防素子収納部45における第2ユニット42とは反対側(図4、図6における右側)、つまり、チョークコイル46の外側に収納されている。
さらに、コンデンサ47の他端は、GNDターミナル61aに接続されている。これにより、チョークコイル46は、ブラシ5と雄端子49との間の給電ライン上に直列に接続された状態になる。一方、チョークコイル46と並列に、コンデンサ47が設けられた状態になる。このように、チョークコイル46、およびコンデンサ47が収納されたホルダステー44aには、この外側を閉塞するカバー51aが取り付けられている。
図3〜図5に示すように、カバー51aは、ホルダステー44aの収納部本体40aの開口、およびピグテール収納部40bの一部の開口である雑防素子収納部45の開口部445を閉塞するカバー本体52と、ピグテール収納部40bの一部の開口と、ブラシホルダ43の基端側の開口部443を閉塞するスプリングストッパ53とが一体成形されたものである。
スプリングストッパ53の先端には、ブラシホルダ43の下面43bに回り込むように屈曲延出された爪部53aが形成されている。この爪部53aとカバー本体52とでブラシホルダ43、およびホルダステー44aを挟持した状態になり、ホルダステー44aにカバー51aが取り付けられる。スプリングストッパ53は、ブラシホルダ43、およびホルダステー44aの一部と共に、ギヤケーシング3の凹部38に形成されている収納部38aに収納される。
ここで、ブラシホルダ43には、ブラシ5をコンミテータ15側に向かって付勢するコイルスプリング21が収納されている。コイルスプリング21は、ブラシホルダ43にカバー51aのスプリングストッパ53が取り付けられることにより、確実にブラシ5をコンミテータ15側に向かって付勢する。
一方、カバー本体52の電動モータ2側(図5における左側)の側縁52aには、断面略L字状の鉤部54が電動モータ2側に向かって延出形成されている。また、鉤部54は、ギヤケーシング3の外フランジ部37の周縁を取り囲むように形成されている。
一方、外フランジ部37の周縁には、鉤部54の内側に臨まされる凸条部55が形成されている。そして、ギヤケーシング3にブラシユニット4を取り付けた状態において、鉤部54と、凸条部55とにより、カバー本体52とギヤケーシング3との間隙に、ラビリンス部56aが形成さる。
また、ギヤケーシング3にブラシユニット4を取り付けた状態において、カバー本体52のスプリングストッパ53側の側縁52bは、ギヤケーシング3の凹部38の周縁よりも外側、つまり、第2ユニット42とは反対側に向かって突出するように形成されている。そして、これらカバー本体52の側縁52bとギヤケーシング3の凹部38の周縁、およびGNDターミナル61aによって、カバー本体52とギヤケーシング3との間隙に、ラビリンス部56a,56bが形成される。
さらに、カバー本体52には、ギヤケーシング3の外フランジ部37とは反対側(図5における左側)の側壁57に、切り欠き部58が形成されている。この切り欠き部58は、GNDターミナル61aに形成されている後述の凸部65と係合し、ホルダステー44aとGNDターミナル61aとを一体化するためのものである。
GNDターミナル61aは、例えば真鍮等からなる金属板をプレス加工等を施すことによって形成されたものである。GNDターミナル61aは、カバー51aのカバー本体52を外側から覆うターミナル本体62と、ターミナル本体62の周縁から下ケース32側(図3〜図5における下側、以下、単に下側という)に向かって延出するGND端子63とが一体成形されている。
ターミナル本体62におけるギヤケーシング3の外フランジ部37側には、挿入孔27に対応する部位に、Y端子部64が一体成形されている。すなわち、2つのユニット41,42の各GNDターミナル61a,61bは、互いにY端子部64が対向配置された状態になっている。Y端子部64は、ギヤケーシング3の外フランジ部37、および電動モータ2のヨークハウジング6と共に、ボルト10、ナット8により共締めされるようになっている。これにより、GNDターミナル61aがギヤケーシング3に締結固定され、GNDターミナル61aによってホルダステー44aの抜け方向への移動が規制される。
また、Y端子部64は、ギヤケーシング3とヨークハウジング6を締結固定するためのボルト10を介し、第2ユニット42のGNDターミナル61bに形成されているY端子部64、およびヨークハウジング6と電気的に接続される。すなわち、GNDターミナル61a,61bは、一体のGNDターミナルを一対のブラシ5,5に対応するように分割した構造になっている。
さらに、第1ユニット41のY端子部64と、第2ユニット42のY端子部64は、それぞれギヤケーシング3に取り付けた状態でY端子部64,64間に隙間Sが形成されるようになっている(図2参照)。
また、ターミナル本体62には、ホルダステー44aの側壁57と重なり合う側壁66に、凸部65がホルダステー44の側壁57側に向かって突出形成されている。凸部65は、ホルダステー44aに形成されている切り欠き部58に対応する位置に配置されており、この切り欠き部58と係合するようになっている。これにより、ホルダステー44a、カバー51a、およびGNDターミナル61aが一体化される。
また、ターミナル本体62の第2ユニット42とは反対側の側縁62aは、カバー本体52の側縁52bを覆うように側縁52bよりも下側に向かって延出するように形成されている。この延出した部分がラビリンス部56bの一部を構成する。
GNDターミナル61aのGND端子63は、上ケース31を貫通して下ケース32に収納されている回路基板33に至るまで延出している。回路基板33には、GND端子63に接続可能な雌端子35bが実装されており、ここにGND端子63が接続される。これにより、GNDターミナル61a,61bがGNDに接地された状態になる。
ここで、図4に基づいて、第1ユニット41を構成するホルダステー44a、およびGNDターミナル61aの形状に対して、第2ユニット42を構成するホルダステー44b、およびGNDターミナル61bの形状が異なる点について説明する。
まず、第1ユニット41のホルダステー44aでは、収納部本体40aの底壁45aにおけるピグテール収納部40b近傍に、雄端子49が立設されている。これに対し、第2ユニット42のホルダステー44bでは、収納部本体40aの底壁45aにおけるピグテール収納部40bとは反対側に立設されている。
また、第1ユニット41のGNDターミナル61aには、GND端子63が設けられているが、第2ユニット42のGNDターミナル61bには、GND端子63が設けられていない。これは、第1ユニット41のGNDターミナル61aと第2ユニット42のGNDターミナル61bは、互いにボルト10を介して電気的に接続されるからである。
そして、第2ユニット42のGNDターミナル61bには、ターミナル本体62のY端子部64とは反対側に、GND端子63に代わって舌片部67が下方に向かって屈曲形成されている。一方、ギヤケーシング3の上ケース31には、舌片部67に対応する部位にスリット29が形成されており、ここに舌片部67が差込まれるようになっている。これにより、第2ユニット42のGNDターミナル61bのガタツキが防止される。
(ブラシユニットの組み付け方法)
次に、図3〜図6に基づいて、ブラシユニット4の組み付け方法について説明する。なお、以下の説明において、ブラシユニット4を構成する第1ユニット41、および第2ユニット42の組み付け方法は両者とも同じであるので、第1ユニット41の組み付け方法についてのみ説明し、第2ユニット42の組み付け方法についての説明を省略する。
まず、ホルダステー44aに雄端子49を組み付ける。そして、チョークコイル46の一端に、ピグテール50の他端をスポット溶接等により接続する。その後、雑防素子収納部45にチョークコイル46を収納すると共に、ブラシホルダ43にブラシ5を収納する。
次に、雑防素子収納部45にコンデンサ47を収納する。雑防素子収納部45にチョークコイル46、およびコンデンサ47を収納した後、ブラシホルダ43のブラシ5の基端側(図6における紙面手前側)からコイルスプリング21を収納する。この後、ホルダステー44aにカバー51aを取り付ける。そして、雄端子49に、チョークコイル46の他端、およびコンデンサ47の一端をはんだ付け等により接続する。
続いて、カバー51aの上からGNDターミナル61aを取り付ける。このとき、GNDターミナル61aの凸部65がホルダステー44aの切り欠き部58に係合するので、GNDターミナル61aがホルダステー44aから容易に脱落してしまうのを阻止できる。この状態で、GNDターミナル61aに、コンデンサ47の他端をスポット溶接等により接続する。これにより、第1ユニット41の組み立てが完了する。
続いて、ギヤケーシング3の凹部38に、第1ユニット41、および第2ユニット42を取り付ける。このとき、各ユニット41,42のブラシホルダ43,43を凹部38側に向けて、上ケース31の上方から各ユニット41,42を組み付ける。また、各ユニット41,42を組み付けるにあたって、ブラシホルダ43に収納されているブラシ5の先端を、治具を用いて突出しないように押さえる。そして、凹部38の収納部38aにブラシホルダ43,43を挿入しながら、不図示の治具を取り外す。
ここで、ギヤケーシング3に、第1ユニット41、および第2ユニット42をそれぞれ別個に組み付けることができる。このため、ギヤケーシング3の製作精度によらず、各ユニット41,42をスムーズに組み付けることができる。
すなわち、例えば、各ユニット41,42を一体成形した場合、それぞれのブラシホルダ43,43間の距離とギヤケーシング3の収納部38a,38a間の距離とに誤差が生じると各ユニット41,42の組み付けが困難になってしまう。
しかしながら、本第一実施形態においては、ギヤケーシング3に第1ユニット41、および第2ユニット42をそれぞれ別個に組み付けるように構成されている。また、第1ユニット41のY端子部64と、第2ユニット42のY端子部64は、それぞれギヤケーシング3に取り付けた状態でY端子部64,64間に隙間Sが形成されるようになっている(図2参照)。このため、Y端子部64同士が互いに干渉することなく、各ユニット41,42の寸法誤差を吸収し、確実に、かつ精度よく組み付けることができる。
また、ギヤケーシング3の上ケース31に形成されている凹部38の周縁と、各ユニット41,42のカバー本体52の周縁との間隙に、ラビリンス部56a,56bが形成されている。このため、上ケース31と各ユニット41,42との寸法関係を高精度に維持することなく、ギヤケーシング3内への塵埃の侵入を防止できる。換言すれば、ラビリンス部56a,56bを形成するために、上ケース31と各ユニット41,42との間にガタツキを持たせている。また、このガタツキにより、ギヤケーシング3と各ユニット41,42の寸法誤差を吸収することができる。
続いて、ギヤケーシング3に各ユニット41,42を取り付けた後、ボルト10によって、ギヤケーシング3にGNDターミナル61a,61bを締結固定する。これにより、ギヤケーシング3への第1ユニット41、および第2ユニット42の組み付けが完了する。
このように各ユニット41,42が組み付けられた減速機付モータ1を駆動する場合、ギヤケーシング3に設けられているコネクタ部34に、不図示の外部電源に接続されている外部コネクタを嵌着する。そして、回路基板33を介してブラシ5に電流を供給し、さらにブラシ5が摺接されているコンミテータ15を介してアーマチュア7の巻線16に電流を供給する。
巻線16に電流が供給されると、アーマチュアコア14に磁界が発生し、ヨークハウジング6に設けられている永久磁石13との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、アーマチュア7が回転する。
ここで、アーマチュア7の回転に伴って、通電状態のブラシ5がコンミテータ15のセグメント(不図示)を跨いだときに自己誘導作用によりサージ電圧が発生し、このサージ電圧によりブラシ5とコンミテータ15との摺接部分から電磁ノイズが放射されることがある。しかしながら、ブラシユニット4を構成する第1ユニット41、および第2ユニット42にそれぞれGNDターミナル61a,61bが設けられているので、電磁ノイズによる影響を抑制できる。
ここで、減速機付モータ1が取り付けられているルーフ502には、例えばカーナビゲーションシステム等の通信機器の情報送受信部として、アンテナが配索されている場合がある。このような場合、減速機付モータ1による電磁ノイズが通信機器に影響を及ぼす虞がある。しかしながら、減速機付モータ1は、GNDターミナル61a,61bをルーフ502側に向けた状態で配置されているので、アンテナへの電磁ノイズによる影響を防止することができる。
また、図6に示すように、チョークコイル46は、一端側から他端側に向かって巻回するとき、第2ユニット42側である内側から外側に向かう方向に巻回されている。また、コンデンサ47は、雑防素子収納部45における第2ユニット42とは反対側(図4、図6における右側)、つまり、チョークコイル46の外側に収納されている。このため、特定の周波数域の電磁ノイズが低減される。
より詳しく図7に基づいて説明する。
図7は、モータ駆動時の電磁ノイズのグラフであり、縦軸は電磁ノイズの強度[dBμB]を表し、横軸は周波数[Hz]を表している。(a)は、チョークコイル46を本第一実施形態のように巻回した場合を示し、(b)は、(a)とは反対方向にチョークコイル46を巻回した場合を示す。
図7(a)に示すように、本第一実施形態のようにチョークコイル46を巻回すると、高周波数域での電磁ノイズが低減される(図7(a)におけるA部参照)。一方、中間周波数域での電磁ノイズがやや増大する(図7(a)におけるB部参照)。
これに対し、図7(b)に示すように、チョークコイル46を本第一実施形態とは反対方向に巻回すると、高周波数域での電磁ノイズが増大してしまう(図7(b)におけるC部参照)。一方、中間周波数域での電磁ノイズが低減する(図7(b)におけるD部参照)。
これらのことから、減速機付モータ1を使用する状況に応じて、チョークコイル46の巻回方向を変えることも可能である。
(効果)
したがって、上述の第一実施形態によれば、一対のブラシ5,5を保持するブラシホルダ43,43を、それぞれ第1ユニット41と第2ユニット42に設け、各ユニット41,42に、それぞれ対応するように分割構成された状態のGNDターミナル61a,61bを設けているので、組み付け性を向上させることができる。
また、各ホルダステー44a,44bの雑防素子収納部45に、チョークコイル46、およびコンデンサ47を収納しているので、さらに電磁ノイズを抑制することが可能になる。
さらに、各ホルダステー44a,44bの雑防素子収納部45に、チョークコイル46、およびコンデンサ47を収納した上からカバー51a,51bを取り付け、さらにGNDターミナル61a,61bを取り付けるように構成している。このため、これらチョークコイル46、コンデンサ47、カバー51a,51b、およびGNDターミナル61a,61bを一体化できる。よって、さらに組み付け作業性を向上させることができる。
そして、ラビリンス部56a,56bを形成することにより、上ケース31と各ユニット41,42との間にガタツキを持たせることができる。このため、上ケース31の凹部38、ブラシホルダ43、およびホルダステー44a,44bの加工精度を高精度に設定することなく、ギヤケーシング3内への塵埃の侵入を防止できる。よって、製造コストを低減することが可能になる。
また、各GNDターミナル61a,61bは、互いにY端子部64が対向配置された状態になっており、それぞれギヤケーシング3とヨークハウジング6を締結固定するためのボルト10を介し、ヨークハウジング6と電気的に接続されている。このため、ギヤケーシング3にヨークハウジング6を取り付ける際に、同時にGNDターミナル61a,61bをギヤケーシング3に取り付けることができ、組み付け作業が容易になると共に、電動モータ2から発生する電磁ノイズを抑制することが可能になる。
さらに、減速機付モータ1は、GNDターミナル61a、および出力軸20aをルーフ502側に向けた状態で配置されているので、車両501のルーフ502に配索されるアンテナへの電磁ノイズによる影響を防止することができる。このため、信頼性の高いサンルーフ駆動装置500を提供できる。
(第二実施形態)
次に、この発明の第二実施形態を、図1を援用し、図8〜図11に基づいて説明する。なお、第一実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する。
図8は、第二実施形態における減速機付モータ100の斜視図、図9は、第二実施形態におけるブラシユニット104の分解斜視図である。
この第二実施形態において、減速機付モータ100は、サンルーフ駆動装置500に用いられるものであって、車両501のルーフ502に取り付けられている点、減速機付モータ100は、電動モータ2と、減速機構20が収納されたギヤケーシング3とを備え、ギヤケーシング3の上ケース31にブラシユニット104が取り付けられている点、電動モータ2は、ブラシ5を用いて給電を行う所謂ブラシ付モータである点等の基本的構成は、前述した第一実施形態と同様である。
ここで、第二実施形態と第一実施形態との相違点は、第一実施形態のブラシユニット4には、チョークコイル46、およびコンデンサ47が設けられているのに対し、第二実施形態のブラシユニット104には、チョークコイル46、およびコンデンサ47が設けられていない点にある。
(ブラシユニット)
図8、図9に示すように、ブラシユニット104は、一対のブラシ5,5に対応するように、第1ユニット141、および第2ユニット142の2つのユニット141,142により構成されている。
ここで、2つのユニット141,142の基本的構成は同一であり、各構成部品はコンミテータ15を挟んでほぼ対称に形成されている。このため、以下の説明においては、第1ユニット141のみ詳細に説明する一方、第2ユニット142については、第1ユニット141と形状が異なる部位のみ説明し、第1ユニット141と共通の構成については第1ユニット141と同一符号を付して説明を省略する。
第1ユニット141は、ギヤケーシング3を構成する上ケース31の上面31aに着脱自在に設けられており、外面側をGNDターミナル161aで覆うようになっている。すなわち、減速機付モータ100は、GNDターミナル161a,161bをルーフ502側に向けた状態で配置されている。第1ユニット141は、ブラシ5を収納するためのブラシホルダ143が一体成形されているホルダステー144aを有している。
図10は、第1ユニット141の側面図、図11は、第1ユニット141の正面図である。
図8〜図11に示すように、第1ユニット141のホルダステー144aは、樹脂により形成されたものであって、ギヤケーシング3の外面に配置されるように、ブラシホルダ143の上部に一体成形されている。そして、ホルダステー144aは、上ケース31の凹部38に沿うように形成されたベース部145aを有している。
ベース部145aの電動モータ2側(図10における左側)には、ギヤケーシング3の外フランジ部37に対応するように立ち上がる前壁146が一体成形されている。
前壁146の周縁には、断面略L字状の鉤部54が電動モータ2側に向かって延出形成されている。また、鉤部54は、ギヤケーシング3の外フランジ部37の周縁を取り囲むように形成されている。そして、鉤部54と、外フランジ部37に形成されている凸条部55とにより、ホルダステー144aとギヤケーシング3との間隙に、ラビリンス部56aが形成さる。
また、ギヤケーシング3にブラシユニット104を取り付けた状態において、ベース部145aの第2ユニット142とは反対側の側縁145cは、ギヤケーシング3の凹部38の周縁よりも外側に向かって突出するように形成されている。そして、これらベース部145aの側縁145cとギヤケーシング3の凹部38の周縁、および後述のGNDターミナル161aによって、ホルダステー144aとギヤケーシング3との間隙に、ラビリンス部56bが形成される。
さらに、ベース部145aの上面には、GNDターミナル161aを取り付けるための係合部130が一体成形されている。
ここで、ブラシホルダ143には、ブラシ5の基端側(図10における紙面手前側)の開口部143aを閉塞するスプリングストッパ151が設けられている。スプリングストッパ151は、樹脂製の板材によって、ブラシホルダ143の開口部143aに対応するように平面視略長方形状に形成されたものである。
スプリングストッパ151の下端には、ブラシホルダ143の下面143bに回り込むように屈曲延出された爪部153が形成されている。一方、スプリングストッパ151の上端には、側辺側に向かって突出する舌片部152が形成されている。
また、ブラシホルダ143の舌片部152に対応する部位には、舌片部152を受け入れ可能な切り欠き部147が形成されている。この切り欠き部147と舌片部152とが係合し、かつ爪部153がブラシホルダ143の下面143bに係合することにより、ブラシホルダ143の開口部143aにスプリングストッパ151が取り付けられる。
ここで、ブラシホルダ143に形成されている切り欠き部147は、この上端がベース部145aを僅かに切除するように形成されている。このため、切り欠き部147の長手方向の長さL1は、スプリングストッパ151の舌片部152の長手方向の長さL2よりも長く設定されている。これにより、舌片部152は、ブラシホルダ143の長手方向に沿って、ベース部145a側に僅かにスライド移動可能になっている。
また、ブラシホルダ143には、ブラシ5をコンミテータ15側に向かって付勢するコイルスプリング21が収納されている。コイルスプリング21は、ブラシホルダ143にスプリングストッパ151が取り付けられることにより、確実にブラシ5をコンミテータ15側に向かって付勢する。
GNDターミナル161aは、例えば真鍮等からなる金属板をプレス加工等を施すことによって形成されたものである。GNDターミナル161aは、スプリングストッパ151のベース部145aを覆うターミナルベース162を有している。ターミナルベース162には、ホルダステー144aに一体成形されている前壁146の一面を覆う前壁シールド部163が屈曲形成されている。
この前壁シールド部163には、Y端子部64が一体形成されている。この第二実施形態におけるY端子部64も第一実施形態と同様、ギヤケーシング3に各ユニット141,142を取り付けた状態でY端子部64,64間に隙間Sが形成されるようになっている(図8参照)。
また、ターミナルベース162の第2ユニット142とは反対側の側縁162aは、スプリングストッパ151のベース部145aよりも外側に向かって延出している。この延出した部分がラビリンス部56bの一部を構成するようになっている。
さらに、ターミナルベース162には、前壁シールド部163とは反対側に、第2ユニット142側に向かって湾曲延出された補助シールド部164が一体成形されている。
また、ターミナルベース162には、前壁シールド部163と補助シールド部164との間であって、かつホルダステー144aの係合部130に対応する部位に、この係合部130と係合可能な爪片168が延出形成されている。ホルダステー144aの係合部130には、GNDターミナル161aの爪片168を圧入可能な孔130aが形成されている。この孔130aに爪片168を圧入することにより、ホルダステー144aとGNDターミナル161aとが一体化される。
さらに、第2ユニット142のGNDターミナル161bには、ターミナルベース162bの前壁シールド部163とは反対側に、GND端子63が下方に向かって屈曲延出されている。これにより、ギヤケーシング3に、ボルト10によって2つのGNDターミナル161a,161bを締結固定すると、両者161a,161bが電気的に接続され、電磁ノイズによる影響を抑制することができる。
一方、第1ユニット141のGNDターミナル161aには、ターミナルベース162の前壁シールド部163とは反対側に、GND端子63に代わって舌片部167が下方に向かって屈曲形成されている。ギヤケーシング3の上ケース31には、舌片部167に対応する部位にスリット129が形成されており、ここに舌片部167が差込まれるようになっている。これにより、第1ユニット141のGNDターミナル161aのガタツキが防止される。
(ブラシユニットの組み付け方法)
次に、図11に基づいて、第二実施形態のブラシユニット104の組み付け方法について説明する。
図11は、ブラシユニット104の組み付け方法を示す説明図である。なお、以下の説明において、ブラシユニット104を構成する第1ユニット141、および第2ユニット142の組み付け方法は両者とも同じであるので、第1ユニット141の組み付け方法についてのみ説明し、第2ユニット142の組み付け方法についての説明を省略する。
まず、ホルダステー144aに雄端子49を取り付けると共に、ブラシホルダ143にブラシ5を収納し、このブラシ5のピグテール50(第二実施形態においては不図示)と雄端子49とをはんだ付け等により接続する。
続いて、ブラシホルダ143のブラシ5の基端側(図11における右側)からコイルスプリング21(第二実施形態においては不図示)を収納し、スプリングストッパ151を取り付ける。この後、ホルダステー144aにGNDターミナル161aを取り付ける。
次に、ギヤケーシング3の凹部38に、第1ユニット141、および第2ユニット142を取り付ける。このとき、各ユニット141,142のブラシホルダ143,143を凹部38側に向けて、上ケース31の上方から各ユニット141,142を組み付ける(図11における矢印Y2参照)。また、ブラシホルダ43に収納されているブラシ5の先端を治具を用いて突出しないように押さえて各ユニット141,142を組み付ける。そして、凹部38の収納部38aにブラシホルダ143,143を挿入しながら、不図示の治具を取り外す。
ここで、凹部38の収納部38aにブラシホルダ143を収納する際、スプリングストッパ151の爪部153がギヤケーシング3の周壁3aに衝突する場合がある。この場合、爪部153に上向きの力が作用する図11における矢印Y3参照)。そして、これに伴って舌片部152に上向きの力が作用する(図11における矢印Y4参照)。
このとき、ブラシホルダ143に形成されている切り欠き部147の長手方向の長さL1は、スプリングストッパ151の舌片部152の長手方向の長さL2よりも長く設定されているので、舌片部152がブラシホルダ143の長手方向に沿って、ベース部145a側に僅かにスライド移動する。このため、ブラシホルダ143からスプリングストッパ151が脱落するのを防止できる。
続いて、ギヤケーシング3に各ユニット141,142を取り付けた後、ボルト10によって、ギヤケーシング3にGNDターミナル161a,161bを締結固定する。これにより、第1ユニット141、および第2ユニット142の組み付けが完了する。
したがって、上述の第二実施形態によれば、前述の第一実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、前述の第一実施形態のように、チョークコイル46やコンデンサ47を設けない減速機付モータ100を用意することにより、減速機付モータのバリエーションを増大させることができる。このため、ユーザの要望に応じて適切な減速機付モータを提供することが可能になる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、減速機付モータ1,100は、電動モータ2と、減速機構20が収納されたギヤケーシング3とを備え、ギヤケーシング3の上ケース31にブラシユニット4,104が取り付けられている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、電動モータ2単体に、ブラシユニット4,104を取り付ける構造としてもよい。
また、上述の実施形態におけるギヤケーシング3の外表面に金属膜を成膜し、電磁ノイズによる影響をさらに低減することも可能である。金属膜としては、例えばニッケル銅(NiCu)などが挙げられ、成膜方法としては、例えばスパッタ法、真空蒸着法、CVD法等の成膜方法を用いることが可能である。
1, 100 減速機付モータ
2 電動モータ
3 ギヤケーシング
4,104 ブラシユニット
7 アーマチュア
10 ボルト(締結手段)
11 回転軸
15 コンミテータ
20 減速機構
41,141 第1ユニット
42,142 第2ユニット
43,143 ブラシホルダ
44a,44b,144a,144b ホルダステー
45 雑防素子収納部(収納部本体)
46 チョークコイル
47 コンデンサ
51a,51b カバー
53,151 スプリングストッパ
61a,61b,161a,161b GNDターミナル(電磁シールド)
443 開口部(小開口部)
445 開口部(大開口部)
500 サンルーフ駆動装置
501 車両
502 ルーフ
503 ルーフパネル

Claims (7)

  1. アーマチュアに設けられているコンミテータを挟んで両側に配置され、前記コンミテータに摺接して給電を行う一対のブラシと、
    これら一対のブラシをコンミテータに対して進退自在に収納する一対のブラシホルダと、
    前記一対のブラシホルダを支持するホルダステーと、
    前記ホルダステーの外側に着脱自在に設けられ、電磁ノイズによる影響を抑制するための電磁シールドとを備え、
    前記電磁シールドを、各ブラシに対応するように分割構成したことを特徴とする電動モータ。
  2. 前記ホルダステーに、前記電磁ノイズによる影響を抑制するための雑防素子が収納され、外側に大開口部を有する箱状の収納部本体を形成すると共に、
    前記ブラシホルダを、前記ブラシの進退方向両端にそれぞれ小開口部を有する筒状に形成し、
    前記大開口部と、前記小開口部のうちの前記ブラシの基端側に対応する部位とに、これら大開口部、および小開口部を閉塞するカバーを設け、
    このカバーの上から前記電磁シールドを取り付けることを特徴とする請求項1に記載の電動モータ。
  3. 前記電磁シールドは、前記ホルダステーの前記収納部本体を覆うように形成されている特徴とする請求項2に記載の電動モータ。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の電動モータと、
    この電動モータに一体的に取り付けられるギヤケーシングと、
    前記ギヤケーシング内に収納され、前記電動モータの回転軸に連結される減速機構とを備えた減速機付モータであって、
    前記ホルダステーと前記一対のブラシホルダとを一体成形すると共に、前記ホルダステーに前記電磁シールドを取り付けて一体化させた状態で、これらホルダステー、および前記電磁シールドを前記ギヤケーシングに取り付けることを特徴とする減速機付モータ。
  5. 前記ホルダステーを、前記電磁シールドに対応するように分割構成したことを特徴とする請求項4に記載の減速機付モータ。
  6. 前記電磁シールドに、それぞれ互いに対向するようにY端子部を形成し、
    それぞれのY端子部は、前記電動モータと前記ギヤケーシングとを取り付けるための締結手段により電気的に接続されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の減速機付モータ。
  7. 請求項4または請求項5に記載の減速機付モータを車両のルーフに設け、このルーフに設けられているルーフパネルを、前記減速機付モータを用いて駆動するサンルーフ駆動装置であって、
    前記減速機付モータは、前記電磁シールドを前記ルーフ側に向けた状態で配置されていることを特徴とするサンルーフ駆動装置。
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