JP2014183069A - インプリント方法およびインプリント装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インプリント装置1を、モールドを保持するためのモールド保持部2と、転写基板を保持するための基板保持部4と、転写基板に被成形樹脂を供給する樹脂供給部6と、モールド保持部に保持されるモールドにイオンを供給する静電気除去装置8と、を少なくとも備えたものとし、静電気除去装置8はイオンを発生させる放電極9と、この放電極9に電圧を供給する電源と、を少なくとも備え、放電極9から発生したイオンがクーロン力で移動するものとする。
【選択図】 図1
Description
このようなインプリント方法では、モールドを樹脂層から引き離す際に静電気が発生してモールドが帯電し、このモールドに雰囲気中の異物等が付着し易くなるという問題があった。モールドに異物等が付着した状態でインプリントを行うと、パターン構造体の欠陥が生じ、さらに、モールドの破損等を生じるおそれがあった。これに対応するために、例えば、モールドを樹脂層から引き離す際に、モールドの除電を行うこと(特許文献1、2)、あるいは、モールドの電位が所定値以上となった場合に、モールドの除電を行うこと(特許文献3)が提案されている。
また、モールドの除電手段として、軟X線照射方式の静電気除去装置を使用する場合、モールドや転写基板の厚みが1mm程度になると、軟X線は透過できなくなるので、モールド側および/または転写基板側から軟X線を照射しても所望の除電効果を得ることは困難である。このため、軟X線照射方式の静電気除去装置を使用する場合は、モールドや転写基板の側方から軟X線を照射する必要がある。しかし、軟X線照射方式の静電気除去装置では、中心角度90°〜150°程度の放射状に軟X線が照射されるので、照射が不要な部分にも軟X線が照射されることになる。インクジェット装置のインクジェットヘッドに軟X線が照射されると、インクジェットヘッドの液滴吐出口に存在する被成形樹脂、インクジェットヘッドから液滴として供給される被成形樹脂に影響、例えば、樹脂組成物中のC−F結合、C−C結合の切断等の影響が生じる。このような影響が生じると、近接したモールドと転写基板との間隙における液滴の展開性、モールドの凹凸構造内への液滴の充填性に影響がおよび、形成された構造体の残膜厚みにムラが生じたり、パターン欠陥が生じるおそれがある。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、モールドの破損等を防止し、高精度のパターン構造体を安定して作製することができるインプリント方法とインプリント装置を提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記放電極は、プラスイオンおよびマイナスイオンのいずれ一方を発生させる第1の放電極と、該第1の放電極が発生するイオンと反対の極性のイオンを発生させる第2の放電極であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記放電極は、前記モールド保持部に位置しているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記モールド保持部に保持されたモールドと前記基板保持部に保持された転写基板とを用いるインプリントが行われる雰囲気の気流を調整する気流調整部をさらに備え、該気流調整部により調整された気流に交わる断面における断面視において、前記放電極と前記モールドとが並列であるような構成とした。
本発明のインプリント方法では、転写樹脂層とモールドとを引き離す剥離工程におけるモールドの帯電が抑制され、また、イオンの移動に送風やエアパージを必要としないので発塵が生じるおそれがなく、これにより、モールドの破損等を防止し、かつ、高精度のパターン構造体を安定して作製することができる。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
図1は本発明のインプリント装置の一実施形態を示す側面図であり、図2は図1に示されるインプリント装置の平面図である。図1、図2において、本発明のインプリント装置1は、モールド31を保持するためのモールド保持部2と、転写基板41を保持するための基板保持部4と、転写基板41上に被成形樹脂を供給する樹脂供給部6と、モールド保持部2に保持されるモールド31にイオンを供給する静電気除去装置8とを備えている。
インプリント装置1を構成するモールド保持部2は、モールド31の凹凸構造領域32を有する面が基板保持部4に保持される転写基板41と対向可能となるようにモールド31を保持するものである。このモールド保持部2におけるモールド31の保持機構は、例えば、吸引による保持機構、機械挟持による保持機構等であってよく、保持機構には特に制限はない。また、モールド保持部2は、昇降機構3により図1に示す矢印Z方向で昇降可能とされている。このようなモールド保持部2の上方には、被成形樹脂として光硬化性樹脂を使用した場合の樹脂硬化のための光源12、光学系13が配設されており、モールド保持部2は、光源からの光をモールド31に照射するための開口部2aを有している。
尚、図2においては、モールド保持部2とモールド31のみを記載し、昇降装置3、光源12、光学系13の記載を省略している。また、図示例では、モールド31は凹凸構造領域32が段差をもって凸構造部位となっている、所謂メサ構造であるが、使用するモールドはメサ構造を具備しないものであってもよい。
インプリント装置1を構成する樹脂供給部6は、基板保持部4に保持された転写基板41上に被成形樹脂を供給するものであり、例えば、樹脂供給部6はインクジェット装置を備えるものであってよい。図示例では、樹脂供給部6が備えるインクジェット装置のインクジェットヘッド7のみを示し、被成形樹脂の液滴が吐出される方向を図1に実線矢印で示している。樹脂供給部6が備えるインクジェット装置は、基板保持部4に保持された転写基板41上に被成形樹脂の液滴を供給する際のインクジェットヘッド7の所望の動作、例えば、図2に示されるX方向および/またはY方向での往復動作等を可能とする駆動部、インクジェットヘッド7へのインク供給部、および、インクジェットヘッド7と駆動部やインク供給部を制御する制御部等を具備している。
また、樹脂供給部6は、スピンコート法により転写基板41上に被成形樹脂を供給するものであってもよい。この場合、転写基板41を回転するための駆動機構は、基板保持部4に内蔵されていてもよく、また、基板保持部4とは別に設け、転写基板41上に被成形樹脂を供給した後、転写基板41を基板保持部4に保持するような構成であってもよい。
インプリント装置1を構成する静電気除去装置8は、モールド保持部2に保持されているモールド31にイオンを供給ものであり、モールド保持部2に位置している放電極9と、この放電極9に電圧を供給する電源(図示せず)を少なくとも備えている。図示例では、放電極9は、プラスイオンおよびマイナスイオンのいずれか一方を発生する第1の放電極9aであり、モールド保持部2のモールド31を保持する面の平面視において、モールド31の両側に対向するように2個の第1の放電極9aが配設されている。
また、インプリント装置1では、図4に示すように、静電気除去装置8を構成する放電極9を、プラスイオンおよびマイナスイオンのいずれか一方を発生する第1の放電極9aと、この第1の放電極9aが発生するイオンと反対の極性のイオンを発生させる第2の放電極9bからなるものとしてもよい。これにより、使用するモールド31の材質と、被成形樹脂との帯電列上での位置関係に応じて、第1の放電極9aからのイオン発生、第2の放電極9bからのイオン発生を、適宜使い分けることができる。例えば、第1の放電極9aがプラスイオンを発生、第2の放電極9bがマイナスイオンを発生する場合、帯電列上での位置関係から、モールド31がマイナスに帯電するときには、第1の放電極9aからプラスイオンを供給することにより、モールド31の静電気を除去することができる。また、モールド31がプラスに帯電するときには、第2の放電極9bからマイナスイオンを供給することにより、モールド31に帯電している静電気を除去することができる。
このインプリント装置1′は、静電気除去装置8を除いて、上述のインプリント装置1と同様であり、モールド保持部2、基板保持部4、樹脂供給部6の説明は省略する。
インプリント装置1′を構成する静電気除去装置8は、基板保持部4に位置している放電極9と、この放電極9に電圧を供給する電源(図示せず)を少なくとも備えている。図示例では、放電極9は、プラスイオンおよびマイナスイオンのいずれか一方を発生する第1の放電極9aであり、基板保持部4の転写基板41を保持する面の平面視において、転写基板41の両側に対向するように2個の第1の放電極9aが配設されている。このような静電気除去装置8では、第1の放電極9aに電源(図示せず)からプラスあるいはマイナスの電圧を印加することによりプラスイオンあるいはマイナスイオンが発生し、第1の放電極9aから発生したイオンは、主としてクーロン力で移動する。
また、このインプリント装置1′においても、図7に示すように、静電気除去装置8を構成する放電極9を、プラスイオンおよびマイナスイオンのいずれか一方を発生する第1の放電極9aと、この第1の放電極9aが発生するイオンと反対の極性のイオンを発生させる第2の放電極9bからなるものとしてもよい。
上述のインプリント装置の実施形態は例示であり、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。例えば、モールド保持部2、基板保持部4、樹脂供給部6、静電気除去装置8を筐体内部に配置した構成とすることができる。
本発明のインプリント方法は、樹脂供給工程、接触工程、硬化工程、離型工程を有している。そして、放電極からイオンを発生し、このイオンをクーロン力で移動させてモールドの凹凸構造を有する面に供給する静電気除去装置を配し、少なくとも離型工程では、静電気除去装置を用いてモールドの除電を行うものである。
このような本発明のインプリント方法を、上述の本発明のインプリント装置1を使用した場合を例として図9を参照しながら説明する。尚、図9では、転写基板とモールド、および、モールド保持部と静電気除去装置のみを示し、インプリント装置1を構成する他の部材は図示しておらず、以下の説明では、図示していない部材については、図1および図2に示されるインプリント装置1の対応する部材番号を括弧内に記載する。
本発明では、転写基板41を保持した基板保持部(4)が樹脂供給位置に移動し、樹脂供給工程で、基板保持部(4)に保持されているインプリント用の転写基板41上の所望の領域に、樹脂供給部(6)のインクジェットヘッド(7)から被成形樹脂の液滴51を吐出して供給する(図9(A))。
本発明のインプリント方法に使用する転写基板41は適宜選択することができ、例えば、石英やソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス、シリコンやガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基板、金属基板、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合材料基板であってよい。また、例えば、半導体やディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路、ホログラフィのような光学的構造等の所望のパターン構造物が形成されたものであってもよい。
また、樹脂供給部(6)のインクジェットヘッド(7)から転写基板41上に供給する被成形樹脂の液滴51の個数、隣接する液滴の距離は、個々の液滴の滴下量、必要とされる光硬化性樹脂の総量、基板に対する光硬化性樹脂の濡れ性、後工程である接触工程におけるモールド31と転写基板41との間隙等から適宜設定することができる。
次に、基板保持部(4)を樹脂供給位置から転写位置に移動させ、モールド保持部2と基板保持部(4)とを近接させ凹凸構造を備えたモールド31と転写基板41を近接させて、このモールド31と転写基板41との間に樹脂の液滴51を展開して光硬化性樹脂層52を形成する(図9(B))。
図示例では、モールド31は凸構造部位を有するメサ構造であり、凹凸構造領域32は凸構造部位に位置している。このようなモールド31の材質は適宜選択することができるが、光硬化性樹脂層を硬化させるための照射光が透過可能な透明基板を用いて形成することができ、例えば、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。モールド31の厚みは凹凸構造の形状、材料強度、取り扱い適性等を考慮して設定することができ、例えば、300μm〜10mm程度の範囲で適宜設定することができる。尚、モールド31はメサ構造を具備しないものであってもよい。
次いで、モールド31側から光照射を行い、光硬化性樹脂層52を硬化させて、モールド31の凹凸構造が転写された転写樹脂層55とする(図9(C))。この硬化工程では、転写基板41が光透過性の材料からなる場合、転写基板41側から光照射を行ってもよく、また、転写基板41とモールド31の両側から光照射を行ってもよい。
また、被成形樹脂が熱硬化性樹脂、あるいは、熱可塑性樹脂である場合には、それぞれ被成形樹脂層52に対して加熱処理、あるいは、冷却(放冷)処理を施すことにより硬化させることができる。
次に、離型工程にて、転写樹脂層55とモールド31を引き離して、転写樹脂層55であるパターン構造体61を転写基板41上に位置させた状態とする(図9(D))。
この離型工程では、静電気除去装置8の第1の放電極9aからイオンを発生して、モールド31の除電を行う。
静電気除去装置8は、転写樹脂層55とモールド31との引き離しによりモールド31に帯電する静電気と反対の極性のイオン(図示例ではマイナスイオン)を第1の放電極9aから発生する。このように第1の放電極9aから発生したイオンは、クーロン力でモールド31に供給され、転写樹脂層55との剥離によりモールド31に帯電した静電気が除去される。
離型工程での静電気除去装置8からのイオン供給は、モールド31の除電が可能なように行うものであり、供給時期は適宜設定することができる。例えば、転写樹脂層55とモールド31の引き離しに際して行うことができ、また、転写樹脂層55とモールド31の引き離しが完了した後に行ってもよい。さらに、硬化工程が終了した後、静電気除去装置8からのイオン供給を開始し、転写樹脂層55とモールド31の引き離しが完了し、基板保持部(4)が移動を開始するまでイオンの供給を継続してもよい。
上述のインプリント方法の実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のインプリント方法では、インクジェットヘッド(7)から供給される被成形樹脂、転写基板41上に供給された被成形樹脂の液滴51に悪影響が及ばない範囲で、樹脂供給工程、接触工程、硬化工程において静電気除去装置(8)から随時イオンを発生してもよい。
2…モールド保持部
4…基板保持部
6…樹脂供給部
7…インクジェットヘッド
8…静電気除去装置
9…放電極
9a…第1の放電極
9b…第2の放電極
31…モールド
41…転写基板
51…液滴
52…被成形樹脂層
55…転写樹脂層
Claims (7)
- モールドを保持するためのモールド保持部と、転写基板を保持するための基板保持部と、前記転写基板に被成形樹脂を供給する樹脂供給部と、前記モールド保持部に保持されるモールドにイオンを供給する静電気除去装置と、を少なくとも備え、
前記静電気除去装置は、イオンを発生させる放電極と、該放電極に電圧を供給する電源と、を少なくとも備え、前記放電極から発生したイオンは、クーロン力で移動することを特徴とするインプリント装置。 - 前記放電極は、プラスイオンおよびマイナスイオンのいずれ一方を発生させる第1の放電極であることを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
- 前記放電極は、プラスイオンおよびマイナスイオンのいずれ一方を発生させる第1の放電極と、該第1の放電極が発生するイオンと反対の極性のイオンを発生させる第2の放電極であることを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
- 前記放電極は、前記モールド保持部に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインプリント装置。
- 前記放電極は、前記基板保持部に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインプリント装置。
- 前記モールド保持部に保持されたモールドと前記基板保持部に保持された転写基板とを用いるインプリントが行われる雰囲気の気流を調整する気流調整部をさらに備え、該気流調整部により調整された気流に交わる断面における断面視において、前記放電極と前記モールドとが並列であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインプリント装置。
- 転写基板に被成形樹脂を供給する樹脂供給工程と、
凹凸構造を有するモールドと前記転写基板を近接させて、前記モールドと前記転写基板との間に前記被成形樹脂を展開して被成形樹脂層を形成する接触工程と、
前記被成形樹脂層を硬化させて前記凹凸構造が転写された転写樹脂層とする硬化工程と、
前記転写樹脂層と前記モールドを引き離して、前記転写樹脂層であるパターン構造体を前記転写基板上に位置させた状態とする離型工程と、を有し、
放電極からイオンを発生し、当該イオンをクーロン力で移動させて前記モールドの前記凹凸構造を有する面に供給する静電気除去装置を配し、
少なくとも前記離型工程では、前記静電気除去装置を用いて前記モールドの除電を行うことを特徴とするインプリント方法。
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