JP2014181199A - 脂環式カルボン酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族カルボン酸の芳香環をルテニウムとパラジウムを担体に共担持している触媒を用いて水素化して脂環式カルボン酸を製造する方法であって、水素化反応前に該触媒を水素と接触させ、次いで該触媒と芳香族カルボン酸を水素化反応溶媒の存在下で接触させることを特徴とする、脂環式カルボン酸の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明の目的はルテニウム-パラジウム共担持触媒を芳香族カルボン酸の芳香環の水素化の触媒として用いて、より効率的な脂環式カルボン酸の製造方法を確立することである。
なお、芳香族カルボン酸の芳香環を水素化する触媒を処理する方法として、空気で処理する方法は従来知られているが、このような水素で処理する方法はみられない。
[1]
芳香族カルボン酸の芳香環をルテニウムとパラジウムを担体に共担持している触媒を用いて水素化して脂環式カルボン酸を製造する方法であって、水素化反応前に該触媒を水素と接触させ、次いで該触媒と芳香族カルボン酸を水素化反応溶媒の存在下で接触させることを特徴とする、脂環式カルボン酸の製造方法。
[2]
水素化反応前に該触媒と水素を水素化反応溶媒の存在下で接触させる、[1]記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[3]
水素化反応前に該触媒と水素を接触させるとき、水素化反応溶媒中に該触媒を懸濁させる、[2]記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[4]
水素化反応前に該触媒と水素を10〜150℃の温度範囲で接触させる、[1]〜[3]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[5]
水素化反応前に該触媒と水素を0.1〜15MPaの水素圧力範囲で接触させる、[1]〜[3]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[6]
水素化反応前に該触媒と水素を10〜180分の間の時間範囲で接触させる、[1]〜[3]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[7]
水素化反応溶媒が、水、メタノール、エタノール、1−プロパノールおよび2−プロパノールから選ばれる1種または2種以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[8]
水素化反応溶媒が水である、[1]〜[6]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[9]
前記担体が活性炭、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニアおよびシリカから選ばれる1種または2種以上の組み合わせからなる[1]〜[8]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[10]
芳香族カルボン酸が一般式(1)、(2)または(3)であらわされる芳香族カルボン酸である[1]〜[9]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
(式(1)中、R1〜R6は各々COOH、CH2OH、CH3、OHまたはHであり、R1〜R6の少なくとも1つはCOOHである)
(式(2)中、R1〜R8は各々COOH、CH2OH、CH3、OHまたはHであり、R1〜R8の少なくとも1つはCOOHである)
(式(3)中、R1〜R10は各々COOH、CH2OH、CH3、OHまたはHであり、R1〜R10の少なくとも1つはCOOHである)
[11]
芳香族カルボン酸がフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸またはピロメリット酸である[1]〜[9]記載の脂環式カルボン酸の製造方法
[12]
芳香族カルボン酸がトリメリット酸、トリメシン酸またはピロメリット酸である[1]〜[9]記載の脂環式カルボン酸の製造方法
[13]
[1]〜[12]のいずれかに記載の製造方法で製造された脂環式カルボン酸
具体的には水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノールといったアルコール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、THFといったエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルといったエステル類、アセトン、メチルエチルケトンといったケトン類が挙げられる。
中でも好ましいのは水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールであり、さらに好ましいのは水である。これらは単独で、または2種以上を適宜混合して使用することができる。
ルテニウム及びパラジウムを担体に担持させる順序もとくに限定されない。具体的には同時に担持する方法、逐次に担持する方法等が挙げられる。
ルテニウムとパラジウムを共担持させた後に、調製方法に応じて適宜乾燥、焼成、還元を行うことも可能である。
なお、芳香族カルボン酸の転化率、脂環式カルボン酸の選択率は反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーにて分析して求めた。
塩化ルテニウムn水和物(和光純薬製)0.647gと塩化パラジウム(和光純薬製)0.417gを水に溶解させた。キャリアクトQ6(富士シリシア化学製シリカゲル、粒径75-150μm)10gに塩化ルテニウムと塩化パラジウムを溶解させた水溶液を添加し、総重量を60gとした。アスピレーター減圧下、水浴で加熱し、水分を蒸発させて塩化ルテニウムと塩化パラジウムを担体に担持させた。その後150℃で2時間乾燥、空気雰囲気下400℃で4時間焼成、250℃で4時間気相水素還元を実施することでルテニウム-パラジウム共担持触媒(2.5重量%Ru-2.5重量%Pd/SiO2、以下「触媒A」と称す)を調製した。
金属源をルテニウムアセチルアセトナート錯体(アルドリッチ社製)と酢酸パラジウム(小島化学薬品製)、溶媒をアセトニトリルに変更した以外は参考例1と同様にしてルテニウム-パラジウム共担持触媒 (2.5重量%Ru-2.5重量%Pd/SiO2、以下「触媒B」と称す) を調製した。
キャリアクトQ6の代わりにアルミナ(GB-13粉砕品、水澤化学製)を用い、金属源をルテニウムアセチルアセトナート錯体(アルドリッチ社製)と酢酸パラジウム(小島化学薬品製)、溶媒をアセトニトリルに変更した以外は参考例1と同様にしてルテニウム-パラジウム共担持触媒(2.5重量%Ru-2.5重量%Pd/Al2O3、以下「触媒C」と称す)を調製した。
塩化ルテニウムn水和物(和光純薬製)0.647gと塩化パラジウム(和光純薬製)0.417gを水に溶解させ、50gの水溶液とした。チタニア(酸化チタン ルチル型、和光純薬製、5μm)10gと水酸化ナトリウム(和光純薬製)2gを水150gに添加し、100℃のオイルバスで加熱した。加熱開始から30分後に塩化ルテニウムと塩化パラジウムの水溶液の滴下を開始し、60分かけて滴下した。滴下終了後30分攪拌を継続し、その後冷却し、濾過で触媒を回収した。その後70℃で2時間乾燥、50℃で2時間水素還元を実施することで、ルテニウム-パラジウム共担持触媒(2.5重量%Ru-2.5重量%Pd/TiO2、以下「触媒D」と称す)を調製した。
キャリアクトQ6の代わりにキャリアクトQ10(富士シリシア化学製シリカゲル、粒径1.40-2.36mm)を用い、ルテニウムとパラジウムの担持量を共に1.0重量%とした以外は参考例1と同様にしてルテニウム-パラジウム共担持触媒(1.0重量%Ru-1.0重量%Pd/SiO2、以下「触媒E」と称す)を調製した。
キャリアクトQ6の代わりにキャリアクトG10(富士シリシア化学製シリカゲル、粒径0.5-1.0mm)を用い、ルテニウムとパラジウムの担持量を共に1.0重量%とした以外は参考例1と同様にしてルテニウム-パラジウム共担持触媒(1.0重量%Ru-1.0重量%Pd/SiO2、以下「触媒F」と称す)を調製した。
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒A0.5g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から60分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸(1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸)の選択率は96.8モル%となった。水素化反応液から分離回収した触媒を、この方法と同じ条件で繰り返し使用して水素化反応を実施すると、触媒使用23回目のトリメリット酸の転化率は99.9%、水素化トリメリット酸の選択率は96.8モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒A0.5g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素雰囲気で、電磁式攪拌羽根で30分間、室温で攪拌した。その後、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から60分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100.0%、水素化トリメリット酸の選択率は96.8モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用6回目のトリメリット酸の転化率は100.0%、水素化トリメリット酸の選択率は96.6モル%となった。
300mlのSUS316製オートクレーブに触媒A2.0g、水40gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。60℃まで昇温後、水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間攪拌した。その後圧力を2MPaまで落圧した後に、60℃に加熱したトリメリット酸(東京化成工業社製)20gと水80gの混合水溶液を送液し、送液後圧力を8MPaまで昇圧し、昇圧後75分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は99.9%、水素化トリメリット酸の選択率は96.5モル%となった。オートクレーブ内に設置した焼結フィルターで水素化反応液から分離した触媒を、この方法と同じ条件で繰り返し使用して水素化反応を実施すると、触媒使用9回目のトリメリット酸の転化率は99.9%、水素化トリメリット酸の選択率は96.3モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒B0.5g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から50分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は99.9%、水素化トリメリット酸の選択率は97.4モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用5回目のトリメリット酸の転化率は99.9%、水素化トリメリット酸の選択率は97.2モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒C0.5g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から80分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は97.0モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用4回目のトリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は97.0モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒A0.5g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメシン酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から75分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメシン酸の転化率は100%、水素化トリメシン酸(1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸)の選択率は94.6モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用3回目のトリメシン酸の転化率は98.6%、水素化トリメシン酸の選択率は94.6モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒B0.5g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにピロメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から90分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、ピロメリット酸の転化率は99.9%、水素化ピロメリット酸(1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸)の選択率は97.3モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用2回目のピロメリット酸の転化率は99.0%、水素化ピロメリット酸の選択率は97.1モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒D1.0g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から100分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は95.5モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用4回目のトリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は95.7モル%となった。
内径17mmφ、長さ320mmのSUS316製の反応管に、触媒E10g(25ml)を詰めた。水素で8MPaまで昇圧後、水を15g/hr、水素を0.9L/hrで流し、30分かけて60℃まで昇温した。60℃到達後、トリメリット酸(東京化成工業社製)6重量%水溶液を15g/hr、水素を0.9L/hrで流し反応を開始した。反応開始から22時間後のトリメリット酸の転化率は99.8%、5780時間後の転化率は99.9%となり、反応開始から5780時間経過時点ではトリメリット酸の転化率の低下は見られず、反応初期から99%以上を維持していた。この間の水素化トリメリット酸の選択率は95モル%前後を推移していた。
内径17mmφ、長さ320mmのSUS316製の反応管に、触媒F16.8g(50ml)を詰めた。水素で1MPaまで昇圧後、水を25g/hr、水素を0.6L/hrで流し、30分かけて60℃まで昇温した。60℃到達後、トリメリット酸(東京化成工業社製)6重量%水溶液を25g/hr、水素を0.6L/hrで流し反応を開始した。反応開始から4時間後のトリメリット酸の転化率は100.0%、338時間後の転化率は100.0%となり、反応開始から338時間経過時点ではトリメリット酸の転化率の低下は見られず、反応初期から99.9%以上を維持していた。この間の水素化トリメリット酸の選択率は95.5モル%前後を推移していた。
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、触媒A0.5g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から60分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は96.4モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用5回目のトリメリット酸の転化率は98.8%、水素化トリメリット酸の選択率は96.1モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、触媒B0.5g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から50分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は97.4モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用5回目のトリメリット酸の転化率は94.4%、水素化トリメリット酸の選択率は97.0モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、触媒C0.5g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から80分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は96.8モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用4回目のトリメリット酸の転化率は98.1%、水素化トリメリット酸の選択率は96.3モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメシン酸(東京化成工業社 製)5g、触媒A0.5g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から75分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメシン酸の転化率は100%、水素化トリメシン酸の選択率は94.5モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用3回目のトリメシン酸の転化率は94.0%、水素化トリメシン酸の選択率は94.4モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブにピロメリット酸(東京化成工業社 製)5g、触媒B0.5g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、ピロメリット酸の転化率は99.6%、水素化ピロメリット酸の選択率は96.9モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用2回目のピロメリット酸の転化率は93.5%、水素化ピロメリット酸の選択率は96.4モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、触媒D1.0g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は98.7%、水素化トリメリット酸の選択率は94.7モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用4回目のトリメリット酸の転化率は94.1%、水素化トリメリット酸の選択率は94.8モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、5重量%Pd/カーボン粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)0.9g、5重量%Rh/カーボン粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)0.1g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は97.0モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブに5重量%Pd/カーボン粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)0.9g、5重量%Rh/カーボン粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)0.1g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は63.1%、水素化トリメリット酸の選択率は97.2モル%となった。
5%Pd/カーボン粉末触媒と5%Rh/カーボン粉末触媒の混合触媒では、触媒の活性が低下してしまい、水素での前処理の効果は見られない。
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、5重量%Pd/カーボン粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)1.0g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は42.1%、水素化トリメリット酸の選択率は96.6モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブに5重量%Pd/カーボン粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)1.0g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は22.1%、水素化トリメリット酸の選択率は94.3モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用3回目のトリメリット酸の転化率は17.0%、水素化トリメリット酸の選択率は87.5モル%となった。
5%Pd/カーボン粉末触媒では、触媒の活性が低下してしまい、水素での前処理の効果は見られない。また、触媒を繰り返し使用した時の活性低下抑制効果も見られない。
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、5重量%Ru/アルミナ粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)1.0g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら60℃に昇温した。昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は3.2%、水素化トリメリット酸の選択率は64.6モル%となった。の方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用2回目のトリメリット酸の転化率は4.1%、水素化トリメリット酸の選択率は69.9モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブに5重量%Ru/アルミナ粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)1.0g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら60℃に昇温し、昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は3.2%、水素化トリメリット酸の選択率は64.9モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用2回目のトリメリット酸の転化率は4.2%、水素化トリメリット酸の選択率は72.0モル%となった。
5%Ru/アルミナ粉末触媒では、水素で前処理を行っても触媒になんら変化はみられなかった。
Claims (13)
- 芳香族カルボン酸の芳香環をルテニウムとパラジウムを担体に共担持している触媒を用いて水素化して脂環式カルボン酸を製造する方法であって、水素化反応前に該触媒を水素と接触させ、次いで該触媒と芳香族カルボン酸を水素化反応溶媒の存在下で接触させることを特徴とする、脂環式カルボン酸の製造方法。
- 水素化反応前に該触媒と水素を水素化反応溶媒の存在下で接触させる、請求項1に記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
- 水素化反応前に該触媒と水素を接触させるとき、水素化反応溶媒中に該触媒を懸濁させる、請求項2記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
- 水素化反応前に該触媒と水素を10〜150℃の温度範囲で接触させる、請求項1〜3のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
- 水素化反応前に該触媒と水素を0.1〜15MPaの水素圧力範囲で接触させる、請求項1〜3のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
- 水素化反応前に該触媒と水素を10〜180分の間の時間範囲で接触させる、請求項1〜3のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
- 水素化反応溶媒が、水、メタノール、エタノール、1−プロパノールおよび2−プロパノールから選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
- 水素化反応溶媒が水である、請求項1〜6のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
- 前記担体が活性炭、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニアおよびシリカから選ばれる1種または2種以上の組み合わせからなる請求項1〜8のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
- 芳香族カルボン酸がフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸またはピロメリット酸である請求項1〜9のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
- 芳香族カルボン酸がトリメリット酸、トリメシン酸またはピロメリット酸である請求項1〜9のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法で製造された脂環式カルボン酸。
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