JP2014181199A - 脂環式カルボン酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ルテニウム-パラジウム共担持触媒を芳香族カルボン酸の芳香環の水素化の触媒として用いて、より効率的な脂環式カルボン酸の製造方法を提供する。
【解決手段】芳香族カルボン酸の芳香環をルテニウムとパラジウムを担体に共担持している触媒を用いて水素化して脂環式カルボン酸を製造する方法であって、水素化反応前に該触媒を水素と接触させ、次いで該触媒と芳香族カルボン酸を水素化反応溶媒の存在下で接触させることを特徴とする、脂環式カルボン酸の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は脂環式カルボン酸の製造方法に関する。詳しくは、芳香族カルボン酸を貴金属触媒存在下に水素化して脂環式カルボン酸を製造する方法に関する。
芳香族カルボン酸類を貴金属触媒存在下、水素化する方法はこれまで多く検討されている。芳香族カルボン酸の芳香環を直接水素化する方法として、現在は穏和な条件で水素化反応が進行する、ロジウム触媒の検討が多くなされている(非特許文献1、非特許文献2、特許文献1、特許文献2)。ロジウム触媒は芳香族カルボン酸の水素化触媒として活性が高く、副反応が進行せず生成物の選択率も高くなるといった利点がある。このように優れた触媒能を持つロジウムだが、工業化に際してはいくつか課題が挙げられる。1点目は非常に高価であることであり、工業化の際には触媒に対する初期投資の負担が大きくなる。2点目は触媒の活性低下速度が速く、触媒を長期間使用するには賦活操作を頻繁に行わなければならない点である。賦活を組み込んだプロセスの構築も可能であるが、工業化に際してはよりシンプルなプロセスが求められている(特許文献1)。
芳香族カルボン酸に対して水素化能を持つ貴金属で安価なものとしてルテニウムが挙げられる。一般的にルテニウム触媒を芳香族カルボン酸の水素化に使用すると、芳香環の水素化だけでなく、側鎖のカルボキシル基の還元が生じることが知られており、脂環式カルボン酸の選択率は低くなる。ルテニウム触媒はカルボキシル基からアルコールへの還元触媒としても使用されていることからも、選択率が低下することは明らかである(非特許文献3)。ルテニウム触媒を芳香族カルボン酸の水素化に使用するには、カルボン酸をエステルに変換する必要であることが知られており、プロセス的に芳香族カルボン酸のエステル化と脂環式カルボン酸の加水分解といった2つの工程が増えることになる(特許文献3、特許文献4)。同様にルテニウム触媒を芳香族カルボン酸の水素化に使用するには、カルボン酸をナトリウム塩のような無機塩に変換することが必要であることが知られており、プロセス的に芳香族カルボン酸の無機塩への誘導化、脂環式カルボン酸無機塩の脱塩といった2つの工程が増えることになる。
比較的安価な貴金属であるルテニウムを使用し、ロジウム触媒と同等の活性及びロジウム触媒にみられる活性低下が生じない触媒として、筆者らが開発したルテニウムとパラジウムを担体に共担持している触媒があり、このルテニウム-パラジウム共担持触媒を用いると工業的にシンプルな方法で脂環式カルボン酸を製造できることがわかっている (特許文献5) 。
芳香族カルボン酸の芳香環の水素化に貴金属触媒を使用した時に、原因は不明だが触媒の活性が低下することがある。低下した活性を回復する方法として、特許文献1にはロジウムを担持した触媒を芳香族カルボン酸の水素化に使用し、反応後の触媒を空気で賦活する方法が、特許文献6にはロジウム及びパラジウムを担持した触媒を芳香族カルボン酸の水素化に使用し、反応後の触媒を空気で賦活する方法が記載されているなど、詳細なメカニズムは解明されてないが、一般的に空気で賦活する方法が知られている。
特開2008−63263号公報 特許第4622406号公報 特許第3834836号公報 特開2006−045166号公報 国際公開第2012−117976号 国際公開第2010−010869号
Journal of Organic Chemistry ,1966年,第31巻,p.3438-3439 Chemistry a European Journal , 2009年,第15巻,p.6953-6963 Handbook of Heterogeneous Catalytic Hydrogenation for Organic Synthesis
ルテニウム-パラジウム共担持触媒を芳香族カルボン酸の芳香環の水素化の触媒として使用したとき、緩やかではあるが活性が低下することがある。その原因としてはいくつか考えられるが、主に芳香族カルボン酸の該触媒に担持されているルテニウムとパラジウムに対する作用に由来することが挙げられる。
本発明の目的はルテニウム-パラジウム共担持触媒を芳香族カルボン酸の芳香環の水素化の触媒として用いて、より効率的な脂環式カルボン酸の製造方法を確立することである。
本発明者らは、芳香族カルボン酸の該触媒に担持されているルテニウムとパラジウムに対する作用を取り除き、活性低下を防ぐために鋭意検討した結果、該触媒と水素を接触させて該触媒に担持されているルテニウムとパラジウムに水素を吸着させた後に、該触媒と芳香族カルボン酸を接触させることで、活性低下を抑制できることを見出し、本発明を開発するに至った。
なお、芳香族カルボン酸の芳香環を水素化する触媒を処理する方法として、空気で処理する方法は従来知られているが、このような水素で処理する方法はみられない。
即ち本発明は以下の[1]〜[13]の脂環式カルボン酸の製造方法に関するものである。
[1]
芳香族カルボン酸の芳香環をルテニウムとパラジウムを担体に共担持している触媒を用いて水素化して脂環式カルボン酸を製造する方法であって、水素化反応前に該触媒を水素と接触させ、次いで該触媒と芳香族カルボン酸を水素化反応溶媒の存在下で接触させることを特徴とする、脂環式カルボン酸の製造方法。
[2]
水素化反応前に該触媒と水素を水素化反応溶媒の存在下で接触させる、[1]記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[3]
水素化反応前に該触媒と水素を接触させるとき、水素化反応溶媒中に該触媒を懸濁させる、[2]記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[4]
水素化反応前に該触媒と水素を10〜150℃の温度範囲で接触させる、[1]〜[3]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[5]
水素化反応前に該触媒と水素を0.1〜15MPaの水素圧力範囲で接触させる、[1]〜[3]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[6]
水素化反応前に該触媒と水素を10〜180分の間の時間範囲で接触させる、[1]〜[3]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[7]
水素化反応溶媒が、水、メタノール、エタノール、1−プロパノールおよび2−プロパノールから選ばれる1種または2種以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[8]
水素化反応溶媒が水である、[1]〜[6]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[9]
前記担体が活性炭、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニアおよびシリカから選ばれる1種または2種以上の組み合わせからなる[1]〜[8]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
[10]
芳香族カルボン酸が一般式(1)、(2)または(3)であらわされる芳香族カルボン酸である[1]〜[9]のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
Figure 2014181199

(式(1)中、R〜Rは各々COOH、CHOH、CH、OHまたはHであり、R〜Rの少なくとも1つはCOOHである)
Figure 2014181199

(式(2)中、R〜Rは各々COOH、CHOH、CH、OHまたはHであり、R〜Rの少なくとも1つはCOOHである)
Figure 2014181199

(式(3)中、R〜R10は各々COOH、CHOH、CH、OHまたはHであり、R〜R10の少なくとも1つはCOOHである)
[11]
芳香族カルボン酸がフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸またはピロメリット酸である[1]〜[9]記載の脂環式カルボン酸の製造方法
[12]
芳香族カルボン酸がトリメリット酸、トリメシン酸またはピロメリット酸である[1]〜[9]記載の脂環式カルボン酸の製造方法
[13]
[1]〜[12]のいずれかに記載の製造方法で製造された脂環式カルボン酸
本発明における方法で、ルテニウム-パラジウム共担持触媒の活性低下を防げるので、工業的にシンプル且つ効率的に脂環式カルボン酸を製造できる。
本反応に用いる芳香族カルボン酸は芳香環にカルボキシル基を有する化合物であれば特に限定されず、公知の芳香族カルボン酸が使用できる。このような芳香族カルボン酸としては前記一般式(1)、(2)または(3)であらわされるものを使用することができる。
具体的には、安息香酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、2,2'-ビフェニルジカルボン酸、3,3'-ビフェニルジカルボン酸、4,4'-ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸等の芳香族トリカルボン酸;メロフアン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、3,3'4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸等の芳香族テトラカルボン酸;ベンゼンペンタカルボン酸等の芳香族ペンタカルボン酸;ベンゼンヘキサカルボン酸等の芳香族ヘキサカルボン酸などが例示される。これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
中でも、ベンゼン環に2〜4個のカルボキシル基を有する芳香族ジカルボン酸、芳香族トリカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸が好ましく、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸であり、さらに好ましいのはトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸である。これらは単独で、または2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
本発明における水素化反応には反応溶媒が好適に用いられる。この水素化反応溶媒は芳香族カルボン酸を溶解し、反応を阻害しなければ特に限定されない。
具体的には水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノールといったアルコール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、THFといったエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルといったエステル類、アセトン、メチルエチルケトンといったケトン類が挙げられる。
中でも好ましいのは水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールであり、さらに好ましいのは水である。これらは単独で、または2種以上を適宜混合して使用することができる。
水素化反応において、芳香族カルボン酸は溶媒中に溶解させても懸濁させてもよく、濃度も特に限定されない。具体的な芳香族カルボン酸の濃度は、芳香族カルボン酸と溶媒の合計に対する芳香族カルボン酸として、好ましくは1〜50重量%であり、より好ましくは2〜40重量%であり、さらに好ましくは2〜20重量%である。
水素化反応に使用されるルテニウム-パラジウム共担持触媒は、担体表面上に両者を含む粒子の形態で存在している、つまり同一の粒子内にルテニウムとパラジウムが共存している触媒である。ルテニウムとパラジウムが同一粒子内に共存し、互いに近接していることで芳香族カルボン酸の芳香環の水素化に高い活性と選択率を示す。該共担持触媒としては、本発明者らが特許文献5(国際公開第2012−117976号)にて開示した共担持触媒が好適に使用できる。
ルテニウム-パラジウム共担持触媒の担体表面上のルテニウムとパラジウムが共存している粒子のサイズは、ルテニウムとパラジウムが共存していれば特に限定されない。一般的に担持金属の粒子のサイズが大きいと粒子の外表面積が小さくなり、担持されている金属が効率的に反応に使用されないことが知られている。本発明のルテニウム-パラジウム共担持触媒も同様に、ルテニウムとパラジウムが共存している粒子のサイズが大きいと粒子の外表面積が小さくなり、担持されているルテニウムとパラジウムが効率的に反応に使用されない。ルテニウムとパラジウムを効率的に水素化反応に使用するには、粒子径は小さい方が好適であり、好ましくは1-50nmであり、より好ましくは1-15nmである。この粒径は透過型電子顕微鏡などの方法により容易に測定することができる。又、この粒子はルテニウムとパラジウムから構成されるのが好ましい。
ルテニウム-パラジウム共担持触媒の製造方法は、担体表面上の同一の粒子にルテニウムとパラジウムを共存できれば制限はなく、ルテニウムとパラジウムの他に第3の成分を添加することも可能である。具体的な調製方法としてはイオン交換法、含浸法、沈着法等が挙げられ、好ましくは含浸法と沈着法である。
ルテニウム及びパラジウムを担体に担持させる順序もとくに限定されない。具体的には同時に担持する方法、逐次に担持する方法等が挙げられる。
ルテニウムとパラジウムを共担持させた後に、調製方法に応じて適宜乾燥、焼成、還元を行うことも可能である。
ルテニウム-パラジウム共担持触媒に含有されるルテニウム及びパラジウムの担持量に制限はない。ルテニウム及びパラジウムの担持量が少ない時は水素化反応に用いる触媒を多くし、逆にルテニウム及びパラジウムの担持量が多い時は水素化反応に用いる触媒を少なくすればよい。具体的にルテニウム及びパラジウムの合計担持量は好ましくは0.5〜10重量%で、より好ましくは0.5〜5重量%である。ルテニウム及びパラジウムの合計担持量は、蛍光X線分析などにより測定することができる。
ルテニウム-パラジウム共担持触媒に含有されている成分中のルテニウム及びパラジウムの割合は、ルテニウム及びパラジウムが担体表面上の粒子に共存していれば制限はない。具体的なルテニウム及びパラジウムの割合はそれぞれ好ましくは1〜99重量%で、より好ましくは10〜90重量%で、さらに好ましくは20〜80重量%である。
触媒の担体は、ルテニウム及びパラジウムを担持することができれば特に制限はなく、担体の形状(例えば粉末や成型品等)や担体の物性(例えば比表面積や平均細孔径等)にも制限はない。具体的には活性炭、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト、酸化クロム、酸化タングステン、イオン交換樹脂、合成吸着材等が例示できる。中でも活性炭、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、シリカが好ましく、これらは単独で、または2種以上を適宜混合して使用することができる。又、担体の粒径(平均粒径)は、懸濁床で反応を行う場合は1μm〜300μm、固定床で反応を行う場合は0.3mm〜10mmであるのが好ましい。
水素化反応に使用する触媒量に制限はなく、ルテニウム及びパラジウムの含有量と反応に用いる芳香族カルボン酸の量を勘案し、目的とする反応時間になるよう適宜決めればよい。
水素化反応の温度に制限はなく、温度が低すぎると、反応速度が小さくなり、水素化反応の完結に要する時間が長くなり、逆に温度が高すぎると、反応速度は大きくなり、水素化反応の完結に要する時間は短くなるが、目的とする脂環式カルボン酸の選択率は低くなる。40〜150℃の温度範囲で反応を行うことができ、好ましくは40〜100℃の温度範囲である。
水素化反応の水素圧力は特に制限はなく、水素圧力が低いと、反応速度が小さくなり、水素化反応の完結に要する時間が長くなり、逆に水素圧力が高いと、水素化反応の完結に要する時間は短くなるが、装置の耐圧仕様等の装置への投資が大きくなる。具体的には水素圧力は0.5〜15MPaの範囲で水素化反応を行うことができ、好ましくは1〜10MPaである。
水素化反応は回分式、半回分式、連続式といった反応形式に制限はない。目的とする生産量が少量の場合は回分式や半回分式での製造プロセスを構築すればよく、生産量が多量の場合は連続式での製造プロセスを構築すればよい。
本発明における水素化反応は、上記の芳香族カルボン酸の量、触媒量、反応温度、水素圧力、反応形式を適宜組み合わせることで、目的の反応時間で目的とする選択率の脂環式カルボン酸の製造が可能となる。
本発明においては、水素化反応前にルテニウム-パラジウム共担持触媒を水素と接触させて前処理を行い、次いで該触媒と芳香族カルボン酸を接触させることにより水素化反応を進行させる。水素化反応前にルテニウム-パラジウム共担持触媒を水素と接触させることにより、水素化反応を行った際の触媒活性低下を抑制することができる。活性低下抑制のメカニズムは明らかではないが、触媒を水素と接触させることで触媒中のルテニウムやパラジウムに水素が吸着され、これらの触媒金属に対する芳香族カルボン酸の作用を軽減させることが考えられる。
本発明での前処理の方法は、触媒と水素を接触させることができれば、制限はない。前処理は溶媒の存在下で行っても良く、該溶媒としては前処理の効果を阻害しないものであれば制限はないが、前述の水素化反応溶媒が好適に使用できる。具体的な方法としては、回分式や半回分式では水素化反応溶媒中に触媒を懸濁させて、気相部を水素置換もしくは水素加圧し、攪拌混合する方法等が挙げられる。連続式(流通式)では、水素を単独で、又は水素化反応溶媒とともに触媒層を通過させる方法等が挙げられる。
本発明での前処理時の温度には特に制限はない。前処理の後に水素化反応を実施するので、水素化反応の温度より高い温度で前処理を実施した場合は、水素化反応前に降温すればよく、水素化反応の温度より低い温度で前処理を実施した場合は、水素化反応前に昇温すればよい。具体的には10〜150℃の温度範囲で前処理を行うことができ、好ましくは10〜100℃の温度範囲である。
本発明での前処理時の水素の圧力には制限はない。前処理の後に水素化反応を実施するので、水素を効率的に利用する観点から、水素化反応の圧力以下で行うのがよい。水素と触媒が十分に接触出来れば、気相部を水素置換しただけの水素雰囲気でもよい。具体的には水素圧力は0.1MPa〜15MPaの範囲で前処理を行うことができ、好ましくは0.1MPa〜10MPaである。
本発明での前処理時の時間に制限はない。反応に使用する触媒量に応じて、適宜決めればよい。前処理の時間が短すぎると前処理の効果が低減することもあり、前処理の時間を長くしすぎても、効果が向上するわけではない。具体的には前処理の時間は10分〜180分範囲であり、好ましくは10分〜60分である。
水素化反応に使用したルテニウム-パラジウム共担持触媒は、回分式や半回分式においては反応毎の大きな活性低下が見られないので賦活操作をしなくても再利用が可能であるが、反応毎に本発明の水素での前処理を実施することで、活性低下の抑制が可能となる。触媒を再利用できる回数が増加するので、触媒の交換頻度を減らすことができ、より効率的に脂環式カルボン酸の製造が可能となる。連続式においても、本発明の水素前処理を実施してから反応を開始すると、時間が経過しても触媒の大きな活性低下はみられず、より効率的に脂環式カルボン酸の製造が可能となる。
以上のように本発明を実施することで、工業的にシンプル且つ効率的に脂環式カルボン酸を製造できる。
次に本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、芳香族カルボン酸の転化率、脂環式カルボン酸の選択率は反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーにて分析して求めた。
参考例1
塩化ルテニウムn水和物(和光純薬製)0.647gと塩化パラジウム(和光純薬製)0.417gを水に溶解させた。キャリアクトQ6(富士シリシア化学製シリカゲル、粒径75-150μm)10gに塩化ルテニウムと塩化パラジウムを溶解させた水溶液を添加し、総重量を60gとした。アスピレーター減圧下、水浴で加熱し、水分を蒸発させて塩化ルテニウムと塩化パラジウムを担体に担持させた。その後150℃で2時間乾燥、空気雰囲気下400℃で4時間焼成、250℃で4時間気相水素還元を実施することでルテニウム-パラジウム共担持触媒(2.5重量%Ru-2.5重量%Pd/SiO2、以下「触媒A」と称す)を調製した。
参考例2
金属源をルテニウムアセチルアセトナート錯体(アルドリッチ社製)と酢酸パラジウム(小島化学薬品製)、溶媒をアセトニトリルに変更した以外は参考例1と同様にしてルテニウム-パラジウム共担持触媒 (2.5重量%Ru-2.5重量%Pd/SiO2、以下「触媒B」と称す) を調製した。
参考例3
キャリアクトQ6の代わりにアルミナ(GB-13粉砕品、水澤化学製)を用い、金属源をルテニウムアセチルアセトナート錯体(アルドリッチ社製)と酢酸パラジウム(小島化学薬品製)、溶媒をアセトニトリルに変更した以外は参考例1と同様にしてルテニウム-パラジウム共担持触媒(2.5重量%Ru-2.5重量%Pd/Al2O3、以下「触媒C」と称す)を調製した。
参考例4
塩化ルテニウムn水和物(和光純薬製)0.647gと塩化パラジウム(和光純薬製)0.417gを水に溶解させ、50gの水溶液とした。チタニア(酸化チタン ルチル型、和光純薬製、5μm)10gと水酸化ナトリウム(和光純薬製)2gを水150gに添加し、100℃のオイルバスで加熱した。加熱開始から30分後に塩化ルテニウムと塩化パラジウムの水溶液の滴下を開始し、60分かけて滴下した。滴下終了後30分攪拌を継続し、その後冷却し、濾過で触媒を回収した。その後70℃で2時間乾燥、50℃で2時間水素還元を実施することで、ルテニウム-パラジウム共担持触媒(2.5重量%Ru-2.5重量%Pd/TiO2、以下「触媒D」と称す)を調製した。
参考例5
キャリアクトQ6の代わりにキャリアクトQ10(富士シリシア化学製シリカゲル、粒径1.40-2.36mm)を用い、ルテニウムとパラジウムの担持量を共に1.0重量%とした以外は参考例1と同様にしてルテニウム-パラジウム共担持触媒(1.0重量%Ru-1.0重量%Pd/SiO2、以下「触媒E」と称す)を調製した。
参考例6
キャリアクトQ6の代わりにキャリアクトG10(富士シリシア化学製シリカゲル、粒径0.5-1.0mm)を用い、ルテニウムとパラジウムの担持量を共に1.0重量%とした以外は参考例1と同様にしてルテニウム-パラジウム共担持触媒(1.0重量%Ru-1.0重量%Pd/SiO2、以下「触媒F」と称す)を調製した。
実施例1
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒A0.5g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から60分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸(1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸)の選択率は96.8モル%となった。水素化反応液から分離回収した触媒を、この方法と同じ条件で繰り返し使用して水素化反応を実施すると、触媒使用23回目のトリメリット酸の転化率は99.9%、水素化トリメリット酸の選択率は96.8モル%となった。
実施例2
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒A0.5g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素雰囲気で、電磁式攪拌羽根で30分間、室温で攪拌した。その後、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から60分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100.0%、水素化トリメリット酸の選択率は96.8モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用6回目のトリメリット酸の転化率は100.0%、水素化トリメリット酸の選択率は96.6モル%となった。
実施例3
300mlのSUS316製オートクレーブに触媒A2.0g、水40gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。60℃まで昇温後、水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間攪拌した。その後圧力を2MPaまで落圧した後に、60℃に加熱したトリメリット酸(東京化成工業社製)20gと水80gの混合水溶液を送液し、送液後圧力を8MPaまで昇圧し、昇圧後75分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は99.9%、水素化トリメリット酸の選択率は96.5モル%となった。オートクレーブ内に設置した焼結フィルターで水素化反応液から分離した触媒を、この方法と同じ条件で繰り返し使用して水素化反応を実施すると、触媒使用9回目のトリメリット酸の転化率は99.9%、水素化トリメリット酸の選択率は96.3モル%となった。
実施例4
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒B0.5g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から50分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は99.9%、水素化トリメリット酸の選択率は97.4モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用5回目のトリメリット酸の転化率は99.9%、水素化トリメリット酸の選択率は97.2モル%となった。
実施例5
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒C0.5g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から80分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は97.0モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用4回目のトリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は97.0モル%となった。
実施例6
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒A0.5g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメシン酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から75分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメシン酸の転化率は100%、水素化トリメシン酸(1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸)の選択率は94.6モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用3回目のトリメシン酸の転化率は98.6%、水素化トリメシン酸の選択率は94.6モル%となった。
実施例7
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒B0.5g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにピロメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から90分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、ピロメリット酸の転化率は99.9%、水素化ピロメリット酸(1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸)の選択率は97.3モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用2回目のピロメリット酸の転化率は99.0%、水素化ピロメリット酸の選択率は97.1モル%となった。
実施例8
200mlのSUS316製オートクレーブに触媒D1.0g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から100分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は95.5モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用4回目のトリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は95.7モル%となった。
実施例9
内径17mmφ、長さ320mmのSUS316製の反応管に、触媒E10g(25ml)を詰めた。水素で8MPaまで昇圧後、水を15g/hr、水素を0.9L/hrで流し、30分かけて60℃まで昇温した。60℃到達後、トリメリット酸(東京化成工業社製)6重量%水溶液を15g/hr、水素を0.9L/hrで流し反応を開始した。反応開始から22時間後のトリメリット酸の転化率は99.8%、5780時間後の転化率は99.9%となり、反応開始から5780時間経過時点ではトリメリット酸の転化率の低下は見られず、反応初期から99%以上を維持していた。この間の水素化トリメリット酸の選択率は95モル%前後を推移していた。
実施例10
内径17mmφ、長さ320mmのSUS316製の反応管に、触媒F16.8g(50ml)を詰めた。水素で1MPaまで昇圧後、水を25g/hr、水素を0.6L/hrで流し、30分かけて60℃まで昇温した。60℃到達後、トリメリット酸(東京化成工業社製)6重量%水溶液を25g/hr、水素を0.6L/hrで流し反応を開始した。反応開始から4時間後のトリメリット酸の転化率は100.0%、338時間後の転化率は100.0%となり、反応開始から338時間経過時点ではトリメリット酸の転化率の低下は見られず、反応初期から99.9%以上を維持していた。この間の水素化トリメリット酸の選択率は95.5モル%前後を推移していた。
比較例1
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、触媒A0.5g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から60分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は96.4モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用5回目のトリメリット酸の転化率は98.8%、水素化トリメリット酸の選択率は96.1モル%となった。
比較例2
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、触媒B0.5g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から50分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は97.4モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用5回目のトリメリット酸の転化率は94.4%、水素化トリメリット酸の選択率は97.0モル%となった。
比較例3
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、触媒C0.5g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から80分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は96.8モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用4回目のトリメリット酸の転化率は98.1%、水素化トリメリット酸の選択率は96.3モル%となった。
比較例4
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメシン酸(東京化成工業社 製)5g、触媒A0.5g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から75分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメシン酸の転化率は100%、水素化トリメシン酸の選択率は94.5モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用3回目のトリメシン酸の転化率は94.0%、水素化トリメシン酸の選択率は94.4モル%となった。
比較例5
200mlのSUS316製オートクレーブにピロメリット酸(東京化成工業社 製)5g、触媒B0.5g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、ピロメリット酸の転化率は99.6%、水素化ピロメリット酸の選択率は96.9モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用2回目のピロメリット酸の転化率は93.5%、水素化ピロメリット酸の選択率は96.4モル%となった。
比較例6
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、触媒D1.0g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は98.7%、水素化トリメリット酸の選択率は94.7モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用4回目のトリメリット酸の転化率は94.1%、水素化トリメリット酸の選択率は94.8モル%となった。
比較例7
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、5重量%Pd/カーボン粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)0.9g、5重量%Rh/カーボン粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)0.1g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は100%、水素化トリメリット酸の選択率は97.0モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブに5重量%Pd/カーボン粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)0.9g、5重量%Rh/カーボン粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)0.1g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は63.1%、水素化トリメリット酸の選択率は97.2モル%となった。
5%Pd/カーボン粉末触媒と5%Rh/カーボン粉末触媒の混合触媒では、触媒の活性が低下してしまい、水素での前処理の効果は見られない。
比較例8
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、5重量%Pd/カーボン粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)1.0g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温した。昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は42.1%、水素化トリメリット酸の選択率は96.6モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブに5重量%Pd/カーボン粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)1.0g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら50℃に昇温し、昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は22.1%、水素化トリメリット酸の選択率は94.3モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用3回目のトリメリット酸の転化率は17.0%、水素化トリメリット酸の選択率は87.5モル%となった。
5%Pd/カーボン粉末触媒では、触媒の活性が低下してしまい、水素での前処理の効果は見られない。また、触媒を繰り返し使用した時の活性低下抑制効果も見られない。
比較例9
200mlのSUS316製オートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社 製)5g、5重量%Ru/アルミナ粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)1.0g、水60gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら60℃に昇温した。昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は3.2%、水素化トリメリット酸の選択率は64.6モル%となった。の方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用2回目のトリメリット酸の転化率は4.1%、水素化トリメリット酸の選択率は69.9モル%となった。
200mlのSUS316製オートクレーブに5重量%Ru/アルミナ粉末触媒(エヌ・イー・ケムキャット製)1.0g、水30gを仕込んだ。窒素1MPaで3回気相部を置換した後、水素1MPaで3回気相部を置換し水素雰囲気とした。水素で5MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で60分間、室温で攪拌した。その後落圧し、フランジを開放しオートクレーブにトリメリット酸(東京化成工業社製)5gと水30gを仕込んだ。水素で9MPaまで昇圧し、電磁式攪拌羽根で攪拌しながら60℃に昇温し、昇温開始から120分で反応を停止した。反応生成物をメチルエステル体に誘導体化後、ガスクロマトグラフィーで分析すると、トリメリット酸の転化率は3.2%、水素化トリメリット酸の選択率は64.9モル%となった。この方法と同じ条件で触媒を繰り返し使用すると、触媒使用2回目のトリメリット酸の転化率は4.2%、水素化トリメリット酸の選択率は72.0モル%となった。
5%Ru/アルミナ粉末触媒では、水素で前処理を行っても触媒になんら変化はみられなかった。

Claims (13)

  1. 芳香族カルボン酸の芳香環をルテニウムとパラジウムを担体に共担持している触媒を用いて水素化して脂環式カルボン酸を製造する方法であって、水素化反応前に該触媒を水素と接触させ、次いで該触媒と芳香族カルボン酸を水素化反応溶媒の存在下で接触させることを特徴とする、脂環式カルボン酸の製造方法。
  2. 水素化反応前に該触媒と水素を水素化反応溶媒の存在下で接触させる、請求項1に記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
  3. 水素化反応前に該触媒と水素を接触させるとき、水素化反応溶媒中に該触媒を懸濁させる、請求項2記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
  4. 水素化反応前に該触媒と水素を10〜150℃の温度範囲で接触させる、請求項1〜3のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
  5. 水素化反応前に該触媒と水素を0.1〜15MPaの水素圧力範囲で接触させる、請求項1〜3のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
  6. 水素化反応前に該触媒と水素を10〜180分の間の時間範囲で接触させる、請求項1〜3のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
  7. 水素化反応溶媒が、水、メタノール、エタノール、1−プロパノールおよび2−プロパノールから選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
  8. 水素化反応溶媒が水である、請求項1〜6のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
  9. 前記担体が活性炭、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニアおよびシリカから選ばれる1種または2種以上の組み合わせからなる請求項1〜8のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
  10. 芳香族カルボン酸が一般式(1)、(2)または(3)であらわされる芳香族カルボン酸である請求項1〜9のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
    Figure 2014181199

    (式(1)中、R〜Rは各々COOH、CHOH、CH、OHまたはHであり、R〜Rの少なくとも1つはCOOHである)
    Figure 2014181199

    (式(2)中、R〜Rは各々COOH、CHOH、CH、OHまたはHであり、R〜Rの少なくとも1つはCOOHである)
    Figure 2014181199

    (式(3)中、R〜R10は各々COOH、CHOH、CH、OHまたはHであり、R〜R10の少なくとも1つはCOOHである)
  11. 芳香族カルボン酸がフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸またはピロメリット酸である請求項1〜9のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
  12. 芳香族カルボン酸がトリメリット酸、トリメシン酸またはピロメリット酸である請求項1〜9のいずれかに記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法で製造された脂環式カルボン酸。
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