JP2007185623A - α,β−不飽和カルボン酸の製造方法、その触媒及びその製造方法 - Google Patents

α,β−不飽和カルボン酸の製造方法、その触媒及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液相中での酸化によってオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドから高生産的にα,β−不飽和カルボン酸を製造する。
【解決手段】規則性メソポーラス多孔体に、貴金属が担持されてなるα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒。規則性メソポーラス多孔体に貴金属化合物を担持させた後に酸化状態の貴金属化合物を還元する工程を含むα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒の製造方法。有機溶媒中または有機溶媒水溶液中で、分子状酸素によりオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを酸化するα,β−不飽和カルボン酸の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、液相中での酸化によってオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造するための触媒、その製造方法、およびその触媒を用いたカルボン酸の製造方法に関する。
α,β−不飽和カルボン酸には工業上有用な物質が多い。アクリル酸やメタクリル酸は合成樹脂原料などの用途に極めて大量に使用されている。メタクリル酸はイソブテンの気相酸化法やアセトンシアンヒドリン経由の方法などによって工業的に生産されている。
液相中においてオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素によって酸化し、α,β−不飽和カルボン酸を得るための触媒および方法については、従来より盛んに研究されている。例えば、金を担持した触媒の存在下に行なう方法(特許文献1)、パラジウム金属触媒を用いる方法(特許文献2〜5)、モリブデン化合物とパラジウム触媒を用いる方法(特許文献6)などが挙げられる。
これら特許文献1〜6に記載されている触媒の中には、活性炭、アルミナ、シリカ等の担体に担持されているものもある。それら担体の物性については、特許文献1において「疎水性担体あるいは通常の担体を疎水化処理したものが良い」との記載があるのみであり、それ以外の担体の物性に言及したものは見当たらない。
特開2001−172222号公報 特開昭60−155148号公報 特開昭60−139341号公報 特開昭60−139643号公報 米国特許第4435598号明細書 特開昭56−59722号公報
これまでの触媒を使用した液相酸化においては、反応成績、特に目的生成物の生産性が十分とはいえず、さらなる向上が望まれていた。
本発明の目的はオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドから液相酸化により高生産的にα,β−不飽和カルボン酸を製造する触媒、その製造方法、およびその触媒を用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、担持触媒を製造する際に使用する担体として規則性メソポーラス多孔体を使用することにより触媒の生産性が向上することを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は、規則性メソポーラス多孔体に貴金属が担持されているα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒である。
また本発明は前記規則性メソポーラス多孔体に貴金属化合物を担持させた後に酸化状態の貴金属化合物を還元する工程を含むα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒の製造方法である。
さらに本発明は、上記α,β−不飽和カルボン酸製造用触媒を用いて、有機溶媒または有機溶媒水溶液の液相中で、分子状酸素によりオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを酸化するα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法である。
本発明のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒を使用してオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを液相中において酸化することにより、高生産的にα,β−不飽和カルボン酸を製造することができる。
《α、β−不飽和カルボン酸製造用触媒》
本発明のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒(以下単に「本発明の触媒」という)は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを液相中で分子状酸素を用いて酸化することによりα,β−不飽和カルボン酸を得るための触媒である。本発明の触媒は、オレフィンの中でも特にプロピレンおよびイソブチレンの液相酸化に有効であり、またα,β−不飽和アルデヒドの中でも特にアクロレインおよびメタクロレインの液相酸化に有効である。
本発明の触媒は、均一な細孔径を有し、規則的に構成元素が配列した規則性メソポーラス多孔体に貴金属が担持されているものである。このような触媒を利用することで、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドから液相酸化により高生産的にα,β−不飽和カルボン酸を製造できるようになる。以下、その構成及び製造方法を説明する。
本発明で使用する担体は、細孔径が2〜50nm程度の規則性ナノ細孔を有するメソポーラス多孔体であり、骨格を構成する主成分がシリカであるものが好ましい。
本発明で使用する担体は、TEMにて得られる像が、2次元ヘキサゴナル構造、キュービックIa−3d構造、キュービックPm−3n構造、ラメラ構造等を示す。これらの担体の細孔径分布は、BJH吸着法では、2〜50nmの範囲において、標準偏差1以下のピークを示す。
このような担体としては、たとえばMCM−41やFSM−16等のメソポーラスシリカが好ましい。また、メソポーラスシリカの表面に存在する水酸基をアルキル基を含むシリル化剤でシリル化処理たものを用いても良い。
本発明において用いられる規則性メソポーラスシリカの合成方法には特に制限はないが、炭素数8以上のアルキル基を有する4級アンモニウム塩を型剤として、シリカ源としてはコロイダルシリカ、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、テトラメトキシシラン、などを使用して公知の方法で合成することができる。
これらの規則性メソポーラス多孔体を担体として用いることにより、原料分子や反応生成分子の拡散が容易になり、活性が高く目的生成物の生産性が高い触媒を製造することができる。また規則的なメソポアをもつことにより、
(1)反応基質が侵入して有効に機能する細孔の割合が格段に増え、
(2)従来の規則性のない担体と比較すれば均一な状態(例えば金属粒子径、担持位置等)で担持金属が担持されやすく、それらの担持金属が有効に反応に使われるため、活性の高い触媒が得られやすいと考えられる。
規則性メソポーラス多孔体の細孔径としては、α、β−不飽和カルボン酸の選択率が高くなる点で2nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましい。また20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましい。
細孔径を2〜20nmとすることにより、生成物であるα,β−不飽和カルボン酸の細孔外への拡散が適度に進行し、細孔内のα,β−不飽和カルボン酸濃度が適切に保たれ、α,β−不飽和カルボン酸と貴金属の反応による副反応が起こりにくくなって、α,β−不飽和カルボン酸の選択率が高くなると考えられる。
規則性メソポーラス多孔体の全細孔容積としてはα、β−不飽和カルボン酸の選択率が高くなる点で0.7cc/g以上が好ましく、0.9cc/g以上がより好ましい。また2.0cc/g以下が好ましく、1.5cc/g以下がより好ましい。さらに、規則性メソポーラスシリカのBET比表面積が、600m/g以上が好ましく、800m/g以上がより好ましく、2000m/g以下が好ましく、1500m/g以下がより好ましい。
また、規則性メソポーラス多孔体の好ましい体積平均粒径は、反応装置の形状、サイズによって異なるが、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。また、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。体積平均粒径は、大きいほど触媒と反応液の分離が容易になり、小さいほど反応液と触媒の分散性が良くなる。
なお、担体のBET比表面積、全細孔容積は、例えば、Micromeritics社製自動比表面積/細孔分布測定装置TriStar3000(商品名)等により測定できる。また細孔径はBJH法、体積平均粒径はレーザー回折法により測定できる。
本発明において使用される貴金属とは、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀、オスミウム等の貴金属が挙げられ、中でもパラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金が好ましく、特にパラジウムが好ましい。貴金属は1種を用いることも、2種以上を併用することもできる。貴金属は金属単体でもよく、金属化合物でもよい。
貴金属化合物としては、例えば、貴金属塩、貴金属酸化物、貴金属酸化物合金等を挙げることができる。中でも貴金属塩が好ましい。貴金属塩としては、例えば、貴金属の塩化物、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、テトラアンミン錯体およびアセチルアセトナト錯体等が好ましく、貴金属の酢酸塩、硝酸塩、テトラアンミン錯体およびアセチルアセトナト錯体がより好ましい。
本願において担持とは前記担体上に貴金属成分が物理的または化学的な吸着により保持されている状態をいう。担体に対する貴金属の担持率は、単位触媒量当たりの活性を確保する点で、担持前の担体質量に対して0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。また、過剰な担持による活性成分脱落を避ける点で、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
なお、本発明の触媒は貴金属以外の金属成分を含むことができる。貴金属以外の金属成分としては、例えば、アンチモン、テルル、タリウム、鉛、ビスマス等が挙げられる。貴金属以外の金属成分は、2種以上含むこともできる。高い触媒活性を発現させる観点から、触媒に含まれる金属のうち、50質量%以上が、貴金属であることが好ましい。
貴金属を担体に担持させる方法は特に限定されず、沈殿法、含浸法等の各種の方法を用いることができるが、貴金属塩の溶解液に担体を浸漬した後に溶媒を蒸発させる方法、または担体の全細孔容積に相当する量の貴金属塩溶解液を担体に吸収させた後に溶媒を蒸発させる、いわゆるポアフィリング法による方法が好ましい。
貴金属塩を溶解させる溶媒としては例えば、水、硝酸、塩酸等の無機酸類;t−ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸等の有機酸類;酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の有機酸エステル類;ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素類等が使用できる。中でも水、無機酸類、有機酸類が好ましい。溶媒は1種でも、2種以上の混合溶媒でもよい。
担持させた貴金属塩は、加熱処理を行って一旦貴金属酸化物に酸化して、その後還元する方法が好ましい。貴金属塩を担体に担持させる前に酸化/還元を行っても良いし、担体に担持させる前に酸化し、その後担持/還元を行っても良いし、貴金属塩を担体に担持させた後に担体上の貴金属塩を酸化/還元してもよいが、貴金属を担体に担持させた後に担体上の貴金属塩を酸化/還元する方法が好ましい。
加熱処理の温度は、用いる貴金属塩の分解温度以上の温度とすることが好ましい。所定の加熱処理温度までの昇温方法は特に限定されないが、最終的に得られる触媒における貴金属原子の良好な分散状態を得るため、昇温速度は1℃/分以上が好ましく、また10℃/分以下が好ましい。所定の加熱処理温度に達した後の保持時間は、貴金属塩が分解される時間であれば特に限定されないが、1時間以上が好ましく、また12時間以下が好ましい。
貴金属酸化物の還元に用いる還元剤としては、例えば、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、水素、蟻酸、蟻酸の塩、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1,3−ブタジエン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、シクロヘキセン、アリルアルコール、メタリルアルコール、アクロレインおよびメタクロレイン等が挙げられる。中でも水素、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、蟻酸、蟻酸の塩が好ましい。これらは単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
還元の際に使用する溶媒としては、水が好ましいが、担体の分散性によっては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸、n−吉草酸、イソ吉草酸等の有機酸;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等の有機溶媒を単独又は複数組み合わせて用いることができる。これらと水との混合溶媒を用いることもできる。
還元剤が気体の場合、溶液中への溶解度を上げる為にオートクレーブ等の加圧装置中で行うことが好ましい。その際、加圧装置の内部は還元剤で加圧する。その圧力は0.1〜1MPaとすることが好ましい。尚、本明細書において圧力はゲージ圧を意味する。
還元剤が液体の場合、貴金属塩の還元を行う装置に制限はなく、溶液中に還元剤を添加することで行うことができる。
還元剤の使用量は、貴金属塩1モルに対して1モル以上とすることが好ましく、また100モル以下とすることが好ましい。
還元温度および還元時間は用いる貴金属化合物や還元剤等により異なるが、還元温度は通常−5℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。また、150℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。還元時間は0.1時間以上が好ましく、0.25時間以上がより好ましく、0.5時間以上がさらに好ましい。また、4時間以下が好ましく、3時間以下がより好ましく、2時間以下がさらに好ましい。
得られた触媒は、水、有機溶媒等で洗浄することが好ましい。水、有機溶媒等での洗浄により、例えば、塩化物、酢酸根、硝酸根、硫酸根等の貴金属化合物由来の不純物が除去される。洗浄の方法および回数は特に限定されないが、不純物によってはオレフィンまたはα、β−不飽和アルデヒドの液相酸化反応を阻害する恐れがあるため、不純物を十分除去できる程度に洗浄することが好ましい。洗浄された触媒は、ろ別または遠心分離などにより回収する。
回収した触媒はそのまま反応に用いてもよいし、乾燥してもよい。乾燥方法は特に限定されないが、乾燥機を用いて空気中または不活性ガス中で乾燥することが好ましい。乾燥された触媒は、必要に応じて反応に使用する前に活性化することもできる。活性化の方法としては、例えば、水素気流中の還元雰囲気下で熱処理する方法が挙げられる。この方法によれば、貴金属表面の酸化被膜と洗浄で取り除けなかった不純物を除去することができる。
触媒中に貴金属以外の金属成分(非貴金属成分)を担持させる場合、その担持時期は限定されず、非貴金属成分は貴金属成分の担持前または担持後に担持することができ、また、貴金属成分と同時に担持することができる。金属塩や酸化物等の非貴金属成分は貴金属塩の担持方法と同様の方法で担持することができる。担体に担持された金属塩や酸化物等の非貴金属化合物は、前記と同様にして還元してもよい。
本発明のα、β−不飽和カルボン酸製造用触媒は、プロピレンもしくはアクロレインからアクリル酸、またはイソブチレンもしくはメタクロレインからメタクリル酸を製造する液相酸化で特に好適である。
《α、β−不飽和カルボン酸の製造方法》
次に、本発明の触媒を用いてα、β−不飽和カルボン酸を製造する方法について説明する。α、β−不飽和カルボン酸の製造方法としては、有機溶媒中または有機溶媒水溶液中で、原料であるオレフィンまたはα、β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化して、α、β−不飽和カルボン酸とする反応を、本発明の触媒存在下で行う。このような方法によれば、高生産的にα、β−不飽和カルボン酸が製造可能となる。
原料がオレフィンの場合はオレフィンと同一炭素骨格を有するα、β−不飽和カルボン酸、また原料がα、β−不飽和アルデヒドの場合、α、β−不飽和アルデヒドのアルデヒド基がカルボキシル基となったα、β−不飽和カルボン酸が製造される。具体的には、原料がプロピレンまたはアクロレインの場合はアクリル酸が得られ、原料がイソブチレンまたはメタクロレインの場合はメタクリル酸が得られる。
原料であるオレフィンとしては、例えば、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン等が挙げられる。
また、α、β−不飽和アルデヒドとしては、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド(β−メチルアクロレイン)、シンナムアルデヒド(β−フェニルアクロレイン)等が挙げられる。
原料のオレフィンまたはα、β−不飽和アルデヒドには、不純物として飽和炭化水素および/または低級飽和アルデヒド等が少々含まれていてもよい。
有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、有機酸類、有機酸エステル類、炭化水素類等が使用できる。アルコール類としては、例えば、第3級ブタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。有機酸類としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸等が挙げられる。有機酸エステル類としては、例えば、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。炭化水素類としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。中でも炭素数2〜6の有機酸類、炭素数3〜6のケトン類、第3級ブタノールが好ましい。溶媒は1種でも、2種以上の混合溶媒でもよい。また、アルコール類、ケトン類、有機酸類および有機酸エステル類からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用する場合は、水との混合溶媒とすることが好ましい。その際の水の量は混合溶媒の質量に対して2質量%以上が好ましく5質量%以上がより好ましい。また、70質量%以下が好ましく50質量%以下がより好ましい。混合溶媒は、均一であることが望ましいが不均一な状態であっても差し支えない。
分子状酸素としては、空気が経済的であるが、純酸素または純酸素と空気の混合ガスを用いることもでき、必要であれば空気または純酸素を窒素、二酸化炭素、水蒸気等で希釈した混合ガスを用いることもできる。
分子状酸素を含むガスは、通常オートクレーブ等の反応容器内に加圧状態で供給される。
分子状酸素の使用量は、原料であるオレフィンまたはα、β−不飽和アルデヒド1モルに対して、0.1モル以上が好ましく、0.3モル以上がより好ましく、0.5モル以上が特に好ましい。また、30モル以下が好ましく、25モル以下がより好ましく、20モル以下が特に好ましい。
液相中での酸化反応は連続式、バッチ式の何れの形式で行ってもよいが、生産性を考慮すると連続式が好ましい。
液相中での酸化反応の原料であるオレフィンまたはα、β−不飽和アルデヒドの使用量は、溶媒100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましい。また、通常20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
通常、触媒は液相中での酸化を行う反応液に懸濁させた状態で使用されるが、固定床で使用してもよい。触媒の使用量は、反応器内に存在する溶液100質量部に対して、反応器内に存在する触媒として通常0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上が特に好ましい。また、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下が特に好ましい。
液相中での酸化を行う温度および圧力は、用いる溶媒および原料によって適宜選択される。反応温度は30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。また、200℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。反応圧力は0MPa以上が好ましく、2MPa以上がより好ましい。また、10MPa以下が好ましく、7MPa以下がより好ましい。
液相酸化反応系には、必要に応じて重合防止剤を共存させることもできる。重合防止剤としては、たとえばp−メトキシフェノール、ジフェノールジフェニルメタン、1,1,1−トリス(パラヒドロキシフェニル)エタン、分子内にN−オキシル基を有する化合物ハイドロキノン等が挙げられるが、特に限定はされない。
重合防止剤の使用量は、原料のオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒド10質量部に対して0.001〜5質量部が好ましく、0.005〜1質量部がより好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明する。実施例および比較例中の「部」は質量部である。
α,β−不飽和アルデヒドおよびα,β−不飽和カルボン酸の製造における原料および生成物の分析はガスクロマトグラフィーを用いて行った。オレフィンの反応率、生成するα,β−不飽和アルデヒド、α,β−不飽和カルボン酸の選択率、生産性は以下のように定義される。
オレフィンの反応率(%) =(B/A)×100
α,β−不飽和アルデヒドの選択率(%) =(C/B)×100
α,β−不飽和カルボン酸の選択率(%) =(D/B)×100
α,β−不飽和アルデヒドの生産性(g/g−Pd・h)=E/(I×G)
α,β−不飽和カルボン酸の生産性(g/g−Pd・h)=F/(I×G)
ここで、Aは供給したオレフィンのモル数、Bは反応したオレフィンのモル数、Cは生成したα,β−不飽和アルデヒドのモル数、Dは生成したα,β−不飽和カルボン酸のモル数、Eは生成したα,β−不飽和アルデヒドの質量(単位:g)、Fは生成したα,β−不飽和カルボン酸の質量(単位:g)、Gは反応に使用したパラジウムの質量(単位:g)、Iは反応時間(単位:h)である。
[実施例1]
(触媒調製)
酢酸パラジウム(N.E.ケムキャット製)1.05部を酢酸20部に溶解した。規則性メソポーラス多孔体であるMCM−41(日本化学社製商品名:SILFAM−A、BET比表面積1084m2/g、BJH法による平均細孔径3.9nm、標準偏差:0.78、全細孔容積1.26cc/g)10部に酢酸溶液を加えて振とうした後、エバポレーションを行った。その後、空気中で昇温速度2.5℃/分で450℃に昇温し、450℃で3時間加熱処理を行った。得られた触媒前駆体を37質量%ホルムアルデヒド水溶液13部中に加えた。70℃に加熱し、2時間攪拌保持し、吸引ろ過後、水および75質量%t−ブタノール水溶液でろ過洗浄して、担持率5質量%のパラジウム含有担持触媒を得た。
(液相酸化反応)
内容積300mlのオートクレーブに上記の方法で得た触媒全量(10.5部)と反応溶媒として75質量%t−ブタノール水溶液100部、p−メトキシフェノール0.02部を入れ、オートクレーブを密閉した。次いで、イソブチレンを2.75部導入し、攪拌(回転数1000rpm)を開始し、90℃まで昇温した。昇温完了後、オートクレーブに窒素を内圧2.3MPaまで導入した後、圧縮空気を内圧4.6MPaまで導入した。反応中に内圧が0.1MPa低下した時点で、酸素を導入して内圧を0.1MPa昇圧させる操作を10回繰り返した。10回目の酸素導入後、内圧が0.1MPa低下した時点で反応を終了した。このときの反応時間は34分であった。
反応終了後、氷浴でオートクレーブ内を氷冷した。オートクレーブのガス出口にガス捕集袋を取り付け、ガス出口を開栓して出てくるガスを回収しながら反応器内の圧力を開放した。オートクレーブから触媒入りの反応液を取り出し、メンブランフィルターで触媒を分離して、反応液を回収した。回収した反応液と捕集したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、反応率及び選択率を算出し、表1の結果を得た。 メタクリル酸の生産性は良好であった。
[実施例2]
(触媒調製)
テルル酸0.165部を純水12.6部に溶解した水溶液をMCM−41の10.0部に少量ずつ添加し、振とうすることを繰り返した。空気中100℃で3時間保持し、ついで空気中400℃で3時間焼成を行い、テルルを担持した担体を得た。
一方、酢酸パラジウム(N.E.ケムキャット製)1.1部を酢酸10.0部に溶解した酢酸溶液を調製した。上記テルルを担持した担体に酢酸溶液を少量ずつ添加し、振とうすることを繰り返した。全細孔容積分の酢酸溶液を添加したところで一旦エバポレーションを行った。残りの酢酸溶液についても同様に、少量ずつ添加し、振とうすることを繰り返し、エバポレーションを行った。その後、空気中450℃で3時間焼成を行った。得られたテルル、パラジウム担持担体を37質量%ホルムアルデヒド水溶液25.0部中に加えた。70℃に加熱し、2時間攪拌保持し、吸引ろ過後温水1000部でろ過洗浄した。さらに窒素流通下100℃で2時間乾燥して、パラジウム及びテルルが担持された触媒を得た。触媒中のテルル/パラジウム質量比は0.15であった。
(液相酸化反応)
このようにして得られた触媒を用いて実施例1と同様に反応を行ない、表1の結果を得た。反応時間は61分であり、メタクリル酸の生産性は良好であった。
[比較例1]
担体をシリカA(BET比表面積528m/g、BJH法による平均細孔径4.7nm、標準偏差:2.43、全細孔容積0.68cc/g)とした以外は実施例1と同様にして触媒を調製して反応を行ない、表1の結果を得た。反応時間は51分であり、メタクリル酸の生産性は不充分であった。
[比較例2]
担体をシリカC(BET比表面積740m/g、BJH法による平均細孔径7nm、標準偏差:4.34、全細孔容積1.21cc/g)とした以外は実施例1と同様にして触媒を調製して反応を行ない、表1の結果を得た。反応時間は49分であり、メタクリル酸の生産性は不充分であった。
[比較例3]
担体を比較例1のシリカAとしテルル酸を溶解させるための純水を6.8部とした以外は実施例2と同様にして触媒を調製して反応を行ない、表1の結果を得た。反応時間は68分であり、メタクリル酸の生産性は不充分であった。
Figure 2007185623

Claims (3)

  1. 液相中での酸化によってオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造するための触媒であって、規則性メソポーラス多孔体に貴金属が担持されているα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒。
  2. 規則性メソポーラス多孔体に貴金属化合物を担持させた後に酸化状態の貴金属化合物を還元する工程を含むα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒の製造方法。
  3. 請求項1記載の触媒を用いて、有機溶媒または有機溶媒水溶液の液相中で、分子状酸素によりオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを酸化するα,β−不飽和カルボン酸の製造方法。
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