JP2007245068A - 貴金属含有触媒およびそれを用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法 - Google Patents

貴金属含有触媒およびそれを用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】化学反応において優れた性能を示す貴金属含有触媒、特にオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を高選択性かつ高生産性で製造することができる貴金属含有触媒、およびそれを用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法を提供する。
【解決手段】含有ナトリウム量が5000ppm以下の無機化合物である担体に、貴金属が担持されてなる貴金属含有触媒を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、化学反応において優れた性能を示す貴金属含有触媒に関し、特にオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸の製造用触媒として好適な貴金属含有触媒、およびそれを用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法に関する。
α,β−不飽和カルボン酸は、工業上有用な物質が多い。例えば、アクリル酸やメタクリル酸は、合成樹脂原料などの用途に極めて大量に使用されている。そのα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法として、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化して製造する方法については、従来から盛んに研究がされている。
その液相酸化で用いる触媒として貴金属含有担持触媒が多く知られている。例えば、シリカ、シリカアルミナ、カーボンブラックに担持したパラジウム触媒(特許文献1)、活性炭に担持した金触媒(特許文献2)、活性炭に担持した貴金属触媒(特許文献3)などが提案されている。使用する担体の物性については、特許文献2には疎水性担体を用いることが好ましい旨が記載されており、特許文献3には特定の比表面積を持つ担体を用いる旨が記載されている。
米国特許第3624147号明細書 特開2001−172222号公報 特開2004−141828号公報
しかしながら、上記のような触媒を使用した、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの液相酸化反応においては、反応成績、特に目的生成物の選択性及び生産性が十分といえず、更なる触媒性能の向上が望まれていた。
従って本発明の目的は、化学反応において優れた性能を示す貴金属含有触媒、特にオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を高選択性かつ高生産性で製造することができる貴金属含有触媒、およびそれを用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の問題を解決するため、担体物性に対する反応成績への影響を検討した結果、担体の含有ナトリウム量と反応成績に密接な関係があることを見出した。そして、特定のナトリウム量である無機化合物担体を選択し、その担体に少なくとも貴金属を担持させた触媒を用いることで、製造されるα,β−不飽和カルボン酸の選択性及び生産性が向上することを見出し、上記の問題を解決するに至った。
すなわち本発明は、含有ナトリウム量が5000ppm以下の無機化合物である担体に、貴金属が担持されてなる貴金属含有触媒である。
さらに本発明は、前記貴金属含有触媒の存在下、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化するα,β−不飽和カルボン酸の製造方法である。
本発明によれば、化学反応において優れた性能を示す貴金属含有触媒、特にオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を高選択性かつ高生産性で得ることができる貴金属含有触媒、その製造方法、およびそれを用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法を提供することができる。
まず、本発明の貴金属含有触媒(以下、触媒とも言う)を詳細に説明する。
本発明の触媒は、含有ナトリウム量が5000ppm以下の無機化合物である担体に、貴金属が担持されてなる貴金属含有触媒である。
本発明で用いられる担体の含有ナトリウム量は5000ppm以下である。含有ナトリウム量が5000ppmを超える担体を用いると、得られる触媒の触媒性能(α,β−不飽和カルボン酸の選択性及び/又は生産性)が低いものとなる。特に、含有ナトリウム量が5000ppmを超える担体を用いた場合には、反応原料または生成物由来の多様なポリマーやオリゴマーが多く副生することが確認された。担体の含有ナトリウム量は3000ppm以下が好ましく、1500ppm以下がより好ましく、1000ppm以下が特に好ましい。また、担体の含有ナトリウム量を小さくするためには、担体の製造時にナトリウムを減らす工程が必要になる等手間がかかる。このことから、担体の含有ナトリウム量は30ppm以上が好ましく、100ppm以上がより好ましい。
担体として用いられる無機化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、マグネシア、カルシア、チタニアおよびジルコニア等を挙げることができるが、なかでも、シリカ、チタニア、ジルコニアを用いることが好ましい。また、これらの2種以上組み合わせた無機化合物、例えば、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア等を用いることができる。担体は、1種を用いることもでき、2種以上を併用することもできる。2種以上の担体を併用する場合、異なる材質の担体を併用することもでき、同じ材質で含有ナトリウム量の異なる担体を併用することもできる。2種以上の担体を併用する場合は、用いた担体全体として測定した含有ナトリウム量が上記の条件を満たせばよい。すなわち、上記の含有ナトリウム量に関する条件を満たす担体を2種以上組み合わせて使用することができる。また、上記の含有ナトリウム量に関する条件を満たさない担体であっても、担体全体として測定した含有ナトリウム量が上記の条件を満たすように他の担体を組み合わせて使用することもできる。
本発明では、何らかの前処理をして含有ナトリウム量を所定範囲に調整した担体を用いても構わない。前処理として、特に限定はしないが、酸性物質または他の元素による、置換、中和する方法等が挙げられる。
上記の条件を満たす担体の製造法については特に限定されないが、例えば、シリカの場合には、原料としてシリカゾル、水ガラス、シリカゲル等を用いてスプレードライヤーにより微粉化、あるいは造粒し所望の物性とすることが可能である。この際、あらかじめナトリウム量が少ない原料を用いることが好ましい。
担体中の含有ナトリウム量は、原子吸光分析装置によって測定することができる。含有ナトリウム量の測定においては、担体を溶液に溶解させナトリウムを全量溶出させる必要があり、使用する担体の種類により前処理、測定条件を適宜選択する。具体的な測定方法として、担体としてシリカを用いた場合について説明する。まず、0.2gの試料(担体)を白金製ルツボに秤量し、これにフッ化水素酸1mlを加えて加熱・乾固する。同操作を3回繰り返す。これにより、担体中のSiO2成分は、揮発性の四フッ化ケイ素として除去される。残った固形物に濃塩酸1mlと純水1mlを加えて加熱溶解後、濃縮・乾固直前とする。これを0.1mol/l塩酸に溶解後、PFA製(フッ素樹脂)50mlメスフラスコによりメスアップした。その後、原子吸光分析装置(パーキンエルマー製、商品名:Aanalyst800)によりナトリウム量を測定できる。
次に他の担体物性について説明する。担体のBJH吸着平均細孔径は特に限定されないが、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましい。また、30nm以下が好ましく、7nm以下がより好ましい。担体のBJH吸着平均細孔径が1nm未満であるとα,β−不飽和カルボン酸等の有効成分の選択率が低下する場合がある。また、担体のBJH吸着平均細孔径が30nmを超えると、α,β−不飽和カルボン酸等の有効成分の選択率が低下する場合がある。
担体の細孔容積は特に限定されないが、0.1cc/g以上が好ましく、0.2cc/g以上がより好ましい。また、2.0cc/g以下が好ましく、1.5cc/g以下がより好ましい。
担体の好ましいBET比表面積は、担体の種類等により異なるので一概に言えないが、シリカの場合、50m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましい。また、1500m2/g以下が好ましく、1000m2/g以下がより好ましい。なお、担体のBET比表面積は、小さいほど有用成分がより表面に担持された触媒の製造が可能となり、大きいほど有用成分が多く担持された触媒の製造が可能となる。
好適なBET比表面積の担体を得るために、触媒調製前または調製時に適度な温度で焼成することが好ましい。焼成温度は200℃以上が好ましく、300℃以上がより好ましい。また、800℃以下が好ましく、750℃以下がより好ましい。焼成雰囲気は特に限定はなく、一般的には空気中または窒素中で行われる。焼成時間は、目的とするBET比表面積により決定することができる。
上記のBJH吸着平均細孔径、細孔容積(定容法)、BET比表面積(t−plot法)は窒素ガス吸着法により測定できる。
担体の好ましい体積平均粒径は、反応装置の形状、サイズによって異なり、特に限定されないが、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。また、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。担体の体積平均粒径は、大きいほど触媒と反応液の分離が容易になり、小さいほど反応液と触媒の分散性が良くなる。
本発明で用いられる貴金属とは、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀、レニウム、オスミウムであり、なかでもパラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金が好ましく、パラジウムが特に好ましい。
触媒における貴金属の担持率は、担持前の担体質量に対して0.1〜40質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%がさらに好ましい。
本発明の触媒は、貴金属以外の金属成分を含むものとすることができる。貴金属以外の金属成分としては、例えば、アンチモン、テルル、タリウム、鉛、ビスマス等が挙げられる。貴金属以外の金属成分は、2種以上含むこともできる。高い触媒活性を発現させる観点から、触媒に含まれる金属のうち、50質量%以上が貴金属であることが好ましい。
このような触媒は、貴金属を含有する貴金属化合物を担体に担持させた後、還元剤で還元することで好適に製造することができる。担体としては、含有ナトリウム量が前記の範囲である無機化合物を用いる。
貴金属化合物は特に限定されないが、例えば、貴金属の、塩化物、酸化物、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、テトラアンミン錯体およびアセチルアセトナト錯体等が好ましく、貴金属の、塩化物、酸化物、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩がより好ましく、貴金属の、塩化物、酢酸塩、硝酸塩が特に好ましい。
貴金属化合物を担体に担持させる方法は特に限定されないが、貴金属化合物の溶解液に担体を浸漬した後に溶媒を蒸発させる方法、または、担体の細孔容積分の貴金属化合物の溶解液を担体に吸収させた後に溶媒を蒸発させる、いわゆるポアフィリング法による方法が好ましい。
貴金属化合物として貴金属塩を用いた場合、貴金属塩を担体に担持した段階で、貴金属塩の分解温度以上で加熱処理を行い、担体上の貴金属塩を一旦貴金属酸化物とし、その後還元する方法が好ましい。加熱処理の時間は、貴金属塩が貴金属酸化物となる時間であれば特に限定されないが、1時間以上が好ましく、また12時間以下が好ましい。
還元に用いる還元剤は特に限定されないが、例えば、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、水素、蟻酸、蟻酸の塩、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1,3−ブタジエン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、シクロヘキセン、アリルアルコール、メタリルアルコール、アクロレインおよびメタクロレイン等が挙げられる。水素、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、蟻酸、蟻酸の塩が好ましい。これらを2種以上併用することもできる。
ただし、還元剤として、硫黄が含まれていない化合物を用いることが好ましい。ここで、硫黄が含まれていない化合物とは、化合物の構造中に硫黄元素が含まれないこと、即ち硫黄含有化合物でないことを意味し、硫黄や硫黄化合物が少量の不純物として含まれる化合物は含まない。本発明では、以下のように還元を比較的低温で行うことが好ましいため、硫黄含有化合物である還元剤を使用すると、担体、貴金属化合物等に硫黄が強く吸着し、得られる触媒の活性が低下することがある。
還元は、気相、液相のどちらで行っても差し支えないが、液相での還元の方がより好ましい。液相中での還元の際に使用する溶媒としては、水が好ましいが、担体の分散性によっては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸、n−吉草酸、イソ吉草酸等の有機酸類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類等の有機溶媒を単独又は複数組み合わせて用いることができる。これらと水との混合溶媒を用いることもできる。
還元剤が気体の場合、溶液中への溶解度を挙げるためにオートクレーブ等の加圧装置中で行うことが好ましい。その際、加圧装置の内部は還元剤で加圧する。その圧力は0.1MPa(ゲージ圧;以下圧力はゲージ圧表記とする)以上とすることが好ましく、また1.0MPa以下とすることが好ましい。
また、還元剤が液体の場合、還元を行う装置に制限はなく、貴金属化合物を溶媒に溶解した溶液中に還元剤を添加することで行うことができる。
還元剤の添加方法は特に限定されないが、例えば、還元剤を滴下しながら還元を行う方法、還元剤を全量加えた後に還元を行う方法等が挙げられる。
還元時の系の温度および還元時間は、還元方法、用いる溶媒および還元剤等により異なるので一概に言えないが、液相還元法の場合、還元温度は0〜100℃、還元時間は0.5〜24時間とすることが好ましい。この時の還元剤の使用量は特に限定されないが、貴金属化合物1モルに対して1モル以上とすることが好ましく、また100モル以下とすることが好ましい。
貴金属以外の金属成分を含む貴金属含有触媒を製造する場合は、対応する金属成分の塩や酸化物等の金属化合物が担体に担持された状態で前記の還元を行うことで得ることができる。その際の金属化合物の担持方法としては特に限定されないが、貴金属化合物を担持する方法と同様に行うことができる。また、貴金属以外の金属の金属化合物は、貴金属化合物を担持する前に担持することもでき、貴金属化合物を担持した担持後に担持することもでき、貴金属化合物と同時に担持することもできる。
得られた触媒は、水、有機溶媒等で洗浄することが好ましい。水、有機溶媒等での洗浄により、例えば、塩化物、酢酸根、硝酸根、硫酸根等の貴金属化合物由来の不純物が除去される。洗浄の方法および回数は特に限定されないが、不純物によってはオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの液相酸化反応を阻害する恐れがあるため、不純物を十分除去できる程度に洗浄することが好ましい。洗浄された触媒は、ろ別または遠心分離などにより回収した後、そのまま反応に用いてもよい。
また、回収された触媒を乾燥してもよい。乾燥方法は特に限定されないが、乾燥機を用いて空気中または不活性ガスで乾燥することが好ましい。乾燥された触媒は、必要に応じて反応に使用する前に活性化することもできる。活性化の方法には特に限定されないが、例えば、水素気流中の還元雰囲気下で熱処理する方法が挙げられる。この方法によれば、貴金属表面の酸化被膜と洗浄で取り除けなかった不純物を除去することができる。
こうして製造された貴金属含有触媒は各種反応に使用することができる。例えば、芳香族炭化水素の酸化反応、アミン類の酸化反応、ブタジエンと酸素及び酢酸による酸化的アセトキシ化、α,β−不飽和アルデヒドと酸素及びアルコールによる酸化的エステル化反応等が挙げられる。特にオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素によって酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造するための触媒として使用すると効果的である。ここでは、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素によって液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法について説明する。
原料のオレフィンとしては、例えば、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン等が挙げられるが、なかでもプロピレンおよびイソブチレンが好適である。原料のオレフィンは、不純物として飽和炭化水素および/または低級飽和アルデヒド等を少量含んでいてもよい。製造されるα,β−不飽和カルボン酸は、オレフィンと同一炭素骨格を有するα,β−不飽和カルボン酸である。具体的には、原料がプロピレンの場合アクリル酸が得られ、原料がイソブチレンの場合メタクリル酸が得られる。
原料のα,β−不飽和アルデヒドとしては、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド(β−メチルアクロレイン)、シンナムアルデヒド(β−フェニルアクロレイン)等が挙げられる。なかでもアクロレインおよびメタクロレインが好適である。原料のα,β−不飽和アルデヒドは、不純物として飽和炭化水素および/または低級飽和アルデヒド等を少量含んでいてもよい。製造されるα,β−不飽和カルボン酸は、α,β−不飽和アルデヒドのアルデヒド基がカルボキシル基に変化したα,β−不飽和カルボン酸である。具体的には、原料がアクロレインの場合アクリル酸が得られ、原料がメタクロレインの場合メタクリル酸が得られる。
本発明の触媒は、プロピレンまたはアクロレインからアクリル酸、イソブチレンまたはメタクロレインからメタクリル酸を製造する液相酸化で特に好適である。
オレフィンを分子状酸素によって酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する反応では、α,β−不飽和カルボン酸のカルボキシル基がアルデヒド基となった化合物であるα,β−不飽和アルデヒドが生成する。例えば、原料がプロピレンまたはアクロレインの場合はアクロレインが得られ、原料がイソブチレンまたはメタクロレインの場合はメタクロレインが得られる。α,β−不飽和アルデヒドは、別途酸化処理をすることで目的物質であるα,β−不飽和カルボン酸に変換できる。
また、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素によって酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する反応では、α,β−不飽和カルボン酸のカルボキシル基二個から水一分子が脱離した化合物である酸無水物が生成する。例えば、原料がプロピレンまたはアクロレインの場合は無水アクリル酸が得られ、原料がイソブチレンまたはメタクロレインの場合は無水メタクリル酸が得られる。反応過程において酸無水物がどのような経路で合成されるかは断定できないが、オレフィンの酸化反応がある程度進行し、α,β−不飽和アルデヒド及びα,β−不飽和カルボン酸の存在量が高くなってから酸無水物の存在が確認されることから、α,β−不飽和アルデヒドとα,β−不飽和カルボン酸及び酸素との反応により生成するものと推定される。酸無水物は、アルコールまたは水と接触させることで目的物質であるα,β−不飽和カルボン酸に変換できる。
液相酸化反応に用いる分子状酸素源には、空気が経済的であるが、純酸素または純酸素と空気の混合ガスを用いることもでき、必要であれば、空気または純酸素を窒素、二酸化炭素、水蒸気等で希釈した混合ガスを用いることもできる。
液相酸化反応に用いる溶媒は特に限定されないが、例えば、水;ターシャリーブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸等の有機酸;酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の有機酸エステル;ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素;またはこれらの群から選ばれる1種または2種以上の溶媒の混合溶媒を用いることができる。なかでも、アルコール、ケトン、有機酸および有機酸エステルからなる群から選ばれる1種または2種以上の溶媒と水との混合溶媒が好ましい。その際の水の量は特に限定されないが、混合溶媒の質量に対して通常2〜70質量%、好ましくは5〜50質量%である。溶媒は均一であることが望ましいが、相溶性が高くない溶媒同士を混合した溶媒の場合には、不均一な状態で用いても差し支えない。
液相酸化反応は、連続式、バッチ式のいずれの形式で行ってもよいが、生産性を考慮すると工業的には連続式が好ましい。
原料であるオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの使用量は、溶媒100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部である。
分子状酸素の使用量は、原料であるオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒド1モルに対して0.1〜20モルが好ましく、より好ましくは0.3〜15モル、特に好ましくは0.5〜10モルである。
触媒は反応液に懸濁させた状態で使用することが好ましいが、固定床で使用してもよい。触媒の使用量は、反応器内に存在する溶媒100質量部に対して、反応器内に存在する触媒として0.1〜30質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜20質量部、特に好ましくは1〜15質量部である。
反応温度および反応圧力は、用いる溶媒および反応原料によって適宜選択される。反応温度は30〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜150℃である。また、反応圧力は大気圧〜10MPaが好ましく、より好ましくは0.5〜5MPaである。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。下記の実施例および比較例中の「部」は質量部である。
(担体の含有ナトリウム量測定)
担体(実施例ではシリカを使用)の含有ナトリウム量測定には、パーキンエルマー製原子吸光分析装置(商品名:Aanalyst800)を用いて実施した。具体的には、次のように測定した。前処理として0.2gの担体を白金製ルツボに秤量し、これにフッ化水素酸1mlを加えて加熱・乾固した。同操作を3回繰り返した。これにより、担体中のSiO2成分は、揮発性の四フッ化ケイ素として除去された。残った固形物に濃塩酸1mlと純水1mlを加えて加熱溶解後、濃縮・乾固直前とし、これを0.1mol/l塩酸に溶解後、PFA製(フッ素樹脂)50mlメスフラスコにより定容とした。その後、原子吸光分析装置を用いてナトリウム量を測定した。
(担体のBJH吸着平均細孔径、細孔容積、BET比表面積測定)
担体のBJH吸着平均細孔径、細孔容積、BET比表面積は、Micromeritics社製自動比表面積/細孔分布測定装置TriStar3000(商品名)を用いて窒素ガス吸着法により測定した。
(原料および生成物の分析)
原料および生成物の分析はガスクロマトグラフィーを用いて行った。なお、オレフィンの反応率、α,β−不飽和アルデヒドの選択率、α,β−不飽和カルボン酸の選択率および生産性、ポリマー・オリゴマーの選択率、酸無水物の選択率は以下のように定義される。
オレフィンの反応率(%)=(B/A)×100
α,β−不飽和アルデヒドの選択率(%) =(C/B)×100
α,β−不飽和カルボン酸の選択率(%) =(D/B)×100
酸無水物の選択率(%) =(E×2/B)×100
ポリマー・オリゴマーの選択率(%) =(F/B)×100
α,β−不飽和カルボン酸の生産性(g/g−Pd・h) =G/(H×I)
ここで、Aは供給したオレフィンのモル数、Bは反応したオレフィンのモル数、Cは生成したα,β−不飽和アルデヒドのモル数、Dは生成したα,β−不飽和カルボン酸のモル数、Eは生成した酸無水物のモル数、Fはポリマーおよびオリゴマーの総質量(単位:g)を供給したオレフィンの分子量で除して算出したオレフィン換算のポリマーおよびオリゴマーのモル数である。Gは生成したα,β−不飽和カルボン酸の質量(単位:g)、Hは反応に使用したPdの質量(単位:g)、Iは反応時間(単位:h)である。
[実施例1]
(触媒調製)
テルル酸0.270部に蒸留水5.0部を加えて均一溶液とした。硝酸パラジウム水溶液(N.E.ケムキャット製:24.4質量%硝酸パラジウム水溶液)2.05部(パラジウムとしては0.5部)を加えた。さらに蒸留水25部を加えた溶液を調製した。
シリカ担体No.1(含有ナトリウム量:89ppm、BJH吸着平均細孔径:7.3nm、細孔容積:0.73cc/g、BET比表面積:369m2/g)10.0部を上記溶液に浸漬し、エバポレーションを行った。その後、空気中200℃で3時間焼成を行った。得られた触媒前駆体を37質量%ホルムアルデヒド水溶液20部に加えた。70℃に加熱し、2時間攪拌保持し、吸引ろ過後温水1000部でろ過洗浄して、シリカ担持型貴金属含有触媒を得た。
(反応評価)
内容積330mlのオートクレーブに、上記の方法で得た触媒全量(パラジウムとしては0.5部)と、反応溶媒としての75質量%t−ブタノール水溶液100部と、ラジカルトラップ剤としてp−メトキシフェノールを反応溶液に対して200ppmと、を入れ、オートクレーブを密閉した。次いで、イソブチレンを6.5部導入し、攪拌(回転数1000rpm)を開始し、110℃まで昇温した。昇温完了後、オートクレーブに窒素を内圧2.4MPaまで導入した後、圧縮空気を内圧4.8MPaまで導入した。反応中に内圧が0.2MPa低下した時点(内圧4.6MPa)で、酸素を0.2MPa導入する操作を繰り返し、酸素追加量は合計2.0MPaとした。反応時間は40分であった。
反応終了後、氷水浴にてオートクレーブ内を冷却した。オートクレーブのガス出口にガス捕集袋を取り付け、ガス出口を開栓して出てくるガスを回収しながら反応器内の圧力を開放した。オートクレーブから触媒入りの反応液を取り出し、メンブランフィルターで触媒を分離して、反応液を回収した。回収した反応液と捕集したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、反応率、選択率および生産性を算出した。結果は表1に示した。
[実施例2]
触媒調製において、担体としてシリカNo.2(含有ナトリウム量:590ppm、BJH吸着平均細孔径:6.6nm、細孔容積:0.26cc/g、BET比表面積:156m2/g)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った。これにより得られた触媒を用いて、実施例1と同様な操作で反応評価を行った。反応時間は38分であった。結果は表1に示した。
[実施例3]
触媒調製において、担体としてシリカNo.3(含有ナトリウム量:1120ppm、BJH吸着平均細孔径:6.7nm、細孔容積:0.29cc/g、BET比表面積:171m2/g)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った。これにより得られた触媒を用いて、実施例1と同様な操作で反応評価を行った。反応時間は37分であった。結果は表1に示した。
[実施例4]
触媒調製において、担体としてシリカNo.4(含有ナトリウム量:1150ppm、BJH吸着平均細孔径:3.5nm、細孔容積:0.25cc/g、BET比表面積:297m2/g)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った。これにより得られた触媒を用いて、実施例1と同様な操作で反応評価を行った。反応時間は45分であった。結果は表1に示した。
[比較例1]
触媒調製において、担体としてシリカNo.4(含有ナトリウム量:7900ppm、BJH吸着平均細孔径:8.2nm、細孔容積:0.26cc/g、BET比表面積:117m2/g)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った。これにより得られた触媒を用いて、実施例1と同様な操作で反応評価を行った。反応時間は60分であった。結果は表1に示した。
Figure 2007245068

Claims (2)

  1. 含有ナトリウム量が5000ppm以下の無機化合物である担体に、貴金属が担持されてなる貴金属含有触媒。
  2. 請求項1記載の貴金属含有触媒の存在下、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化するα,β−不飽和カルボン酸の製造方法。
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