JP2007203284A - パラジウム担持触媒及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの液相酸化反応に用いるパラジウム担持触媒であって、シリカ担体に金属酸化物が含まれているシリカ−金属酸化物担体に、パラジウムが担持されていることを特徴とするパラジウム担持触媒を用いる。
【選択図】なし
Description
パラジウム担持触媒の還元の際に、本発明において担体として用いているシリカ−金属酸化物に含まれる金属酸化物の一部が還元剤により還元される場合もある。このような金属酸化物の一部が還元された場合においても、金属酸化物が残っていれば本発明の効果は現れる。本発明では、シリカ−金属酸化物担体を使用することで、パラジウムと金属酸化物との相互作用(界面における電子的な効果など)によりパラジウムの分散性を保つことにより効果を奏すると推測している。パラジウムと金属酸化物との相互作用については、パラジウムの担持、または、焼成工程において発現すると推測される。そのため還元工程において金属酸化物の一部が還元された場合でも、パラジウムの分散性は維持されていると推察される。金属酸化物の酸化/還元状態は、例えばX線光電子分光分析(XPS)により確認できる。
原料および生成物の分析は、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略)またはガスクロマトグラフィー(以下、GCと略)により行なった。
HPLCによる分析では、目的生成物であるα,β−不飽和アルデヒド、α,β−不飽和カルボン酸およびα,β−不飽和カルボン酸骨格を有する酸無水物についてのみ分析を行った。ここで、求めた全生成物量をA(モル)、α,β−不飽和アルデヒドの生成量をB(モル)、α,β−不飽和カルボン酸の生成量をC(モル)およびα,β−不飽和カルボン酸骨格を有する酸無水物の生成量をD(モル)、生成したα,β−不飽和カルボン酸の質量をE(g)とする。
α,β−不飽和アルデヒドの選択率、α,β−不飽和カルボン酸の選択率およびα,β−不飽和カルボン酸骨格を有する酸無水物の選択率、α,β−不飽和カルボン酸の生産性は、以下のように定義される。なお、触媒中のパラジウム金属の質量をF(g)、反応時間をG(h)とする。
α,β−不飽和アルデヒドの選択率(%)= B/A ×100
α,β−不飽和カルボン酸の選択率(%)= C/A ×100
α,β−不飽和カルボン酸骨格を有する酸無水物の選択率(%)= D/A
全生成物量A(モル)= B +C +D
α,β−不飽和カルボン酸の生産性(g/gPd/h)=(E/F/G)
GCによる分析では、オレフィン、α,β−不飽和アルデヒド、α,β−不飽和カルボン酸、α,β−不飽和カルボン酸骨格を有する酸無水物について分析を行った。ここで、反応原料として用いたオレフィンの仕込み量をX(モル)、反応したオレフィンをY(モル)、α,β−不飽和アルデヒドの生成量をB(モル)、α,β−不飽和カルボン酸の生成量をC(モル)およびα,β−不飽和カルボン酸骨格を有する酸無水物の生成量をD(モル)、生成したα,β−不飽和カルボン酸の質量をE(g)とする。
オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの反応率、α,β−不飽和アルデヒドの選択率、α,β−不飽和カルボン酸の選択率およびα,β−不飽和カルボン酸骨格を有する酸無水物の選択率、α,β−不飽和カルボン酸の生産性は、以下のように定義される。なお、触媒中のパラジウム金属の質量をF(g)、反応時間をG(h)とする。
オレフィンまたはα,β不飽和アルデヒドの反応率 = Y/X ×100
α,β−不飽和アルデヒドの選択率(%)= B/Y ×100
α,β−不飽和カルボン酸の選択率(%)= C/Y ×100
α,β−不飽和カルボン酸骨格を有する酸無水物の選択率(%)= D/Y
α,β−不飽和カルボン酸の生産性(g/gPd/h)=(E/F/G)
触媒の粒度分布測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、商品名;SALD−7000)を用いて行った。分散媒には純水を使用し、測定は超音波照射を1分間実施した直後に行った。10μm以下の粒子の存在割合は測定により得られた体積基準の粒度分布から算出した。
(触媒調製)
チタンイソプロポキシド5.9部を1−プロパノール60.0部に溶解した溶液に、シリカ担体(富士シリシア製、BET比表面積490m2/g、全細孔容積0.70ml/g)20.0部を加え、ホットスターラー上50℃で1時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーター(バス温50℃)により、溶媒を減圧留去した。得られた粉末をマッフル炉にて、600℃、3時間空気焼成して、シリカ担体に酸化チタンが担持されているシリカ−酸化チタン担体を得た。
上記の方法で得られたパラジウム担持触媒1.0部を、ヒーターを備えた内容積50ccのオートクレーブ(耐圧硝子工業製、型式:TPR3−VS2−SV)に仕込み、75質量%ターシャリーブタノール水溶液20.0部と攪拌子を加え、容器を密閉した。マグネチックスターラー上にオートクレーブをセットし、1200rpmで攪拌を開始した。オートクレーブ出口にアスピレーターを接続しバルブを開き、吸引して容器内とラインを減圧にした後、一旦バルブを閉めた。ガス導入ラインをオートクレーブに接続し、35℃に保温した液化イソブチレンボンベからイソブチレンガスを0.25MPa導入した。さらに、導入ラインを窒素に切り替え、全圧2.5MPaまで窒素を導入後、ヒーターを100℃にセットし加熱を開始した。100℃に到達後、導入ラインを空気に切り替え、全圧5.0MPaまで空気を導入した。空気を導入した時点から120分間保持して反応を行なった。反応終了後、反応器を氷水により冷却して、20℃に到達した時点で攪拌を止め、圧力を徐々に抜いた。常圧まで戻したところで容器を開放し、反応液を回収し、メンブレンフィルターにより触媒を除去した後、1μLをHPLCに導入し分析を行なった。
(触媒調製)
三酸化アンチモン1.2部を純水100部に分散した分散液に、シリカ担体(富士シリシア製、BET比表面積490m2/g、全細孔容積0.70ml/g)20.0部を加え、ホットスターラー上80℃で2時間加熱攪拌した。その後、100℃で溶媒である水分を蒸発乾固させた後、さらに100℃で1晩乾燥して、シリカ担体に三酸化アンチモンが混合されているシリカ−三酸化アンチモン担体を得た。このシリカ−三酸化アンチモン担体に、実施例1と同様にしてパラジウムを担持させて、パラジウム担持触媒を得た。このパラジウム担持触媒における三酸化アンチモンの担持率は6.0質量%であり、パラジウムの担持率は5.0質量%であった。また、この触媒における10μm以下の粒子の存在割合は、3.3%であった。
上記の方法で調製したパラジウム担持触媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、反応評価を行なった。このときの全生成物量は4.10ミリモル、メタクロレインの生成量は2.22ミリモル、メタクリル酸の生成量は1.85ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は0.03ミリモルであった。メタクロレインの選択率は54.1%、メタクリル酸の選択率は45.2%、メタクリル酸無水物の選択率は0.8%であった。結果を表1に示した。
(触媒調製)
三酸化モリブデン1.5部を用いたこと以外は実施例2と同様にして、シリカ担体に三酸化モリブデンが混合されているシリカ−三酸化モリブデン担体を得た。このシリカ−三酸化モリブデン担体に、実施例1と同様にしてパラジウムを担持させて、パラジウム担持触媒を得た。このパラジウム担持触媒における三酸化モリブデンの担持率は7.5質量%であり、パラジウムの担持率は5.0質量%であった。
上記の方法で調製したパラジウム担持触媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、反応評価を行なった。このときの全生成物量は5.25ミリモル、メタクロレインの生成量は2.86ミリモル、メタクリル酸の生成量は2.38ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は0.01ミリモルであった。メタクロレインの選択率は54.5%、メタクリル酸の選択率は45.3%、メタクリル酸無水物の選択率は0.2%であった。結果を表1に示した。
(触媒調製)
水酸化タンタル2.8部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シリカ担体に酸化タンタルが担持されているシリカ−酸化タンタル担体を得た。このシリカ−酸化タンタル担体に、実施例1と同様にしてパラジウムを担持させて、パラジウム担持触媒を得た。このパラジウム担持触媒における酸化タンタルの担持率は13.9質量%であり、パラジウムの担持率は5.0質量%であった。
上記の方法で調製したパラジウム担持触媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、反応評価を行なった。このときの全生成物量は3.97ミリモル、メタクロレインの生成量は2.00ミリモル、メタクリル酸の生成量は1.92ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は0.06ミリモルであった。メタクロレインの選択率は50.3%、メタクリル酸の選択率は48.2%、メタクリル酸無水物の選択率は1.5%であった。結果を表1に示した。
(触媒調製)
シュウ酸ニオブアンモニウム4.8部を純水100部に分散した分散液に、シリカ担体(富士シリシア製、BET比表面積490m2/g、全細孔容積0.70ml/g)20.0部を加え、ホットスターラー上50℃で1時間攪拌した。その後、100℃で溶媒である水分を蒸発乾固後、マッフル炉にて600℃、3時間空気焼成してシリカ担体に酸化ニオブが担持されているシリカ−酸化ニオブ担体を得た。このシリカ−酸化ニオブ担体に、実施例1と同様にしてパラジウムを担持させて、パラジウム担持触媒を得た。このパラジウム担持触媒における酸化ニオブの担持率は7.2質量%であり、パラジウムの担持率は5.0質量%であった。
上記の方法で調製したパラジウム担持触媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、反応評価を行なった。このときの全生成物量は3.98ミリモル、メタクロレインの生成量は2.19ミリモル、メタクリル酸の生成量は1.77ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は0.02ミリモルであった。メタクロレインの選択率は54.9%、メタクリル酸の選択率は44.5%、メタクリル酸無水物の選択率は0.6%であった。結果を表1に示した。
(触媒調製)
酸化タングステン1.3部を用いたこと以外は実施例2と同様にして、シリカ担体に酸化タングステンが混合されているシリカ−酸化タングステン担体を得た。このシリカ−酸化タングステン担体に、実施例1と同様にしてパラジウムを担持させて、パラジウム担持触媒を得た。このパラジウム担持触媒における酸化タングステンの担持率は6.3質量%であり、パラジウムの担持率は5.0質量%であった。
上記の方法で調製したパラジウム担持触媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、反応評価を行なった。このときの全生成物量は3.44ミリモル、メタクロレインの生成量は2.11ミリモル、メタクリル酸の生成量は1.31ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は0.02ミリモルであった。メタクロレインの選択率は61.3%、メタクリル酸の選択率は38.0%、メタクリル酸無水物の選択率は0.7%であった。結果を表1に示した。
(触媒調製)
二酸化ゲルマニウム1.4部を用いたこと以外は実施例2と同様にして、シリカ担体に二酸化ゲルマニウムが混合されているシリカ−二酸化ゲルマニウム担体を得た。このシリカ−二酸化ゲルマニウム担体に、実施例1と同様にしてパラジウムを担持させて、パラジウム担持触媒を得た。このパラジウム担持触媒における二酸化ゲルマニウムの担持率は7.2質量%であり、パラジウムの担持率は5.0質量%であった。
上記の方法で調製したパラジウム担持触媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、反応評価を行なった。このときの全生成物量は3.41ミリモル、メタクロレインの生成量1.88ミリモル、メタクリル酸の生成量は1.49ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は0.04ミリモルであった。メタクロレインの選択率は55.2%、メタクリル酸の選択率は43.6%、メタクリル酸無水物の選択率は1.2%であった。結果を表1に示した。
(触媒調製)
酸化テルル0.2部を用いたこと以外は実施例2と同様にして、シリカ担体に酸化テルルが混合されているシリカ−酸化テルル担体を得た。このシリカ−酸化テルル担体に、実施例1と同様にしてパラジウムを担持させて、パラジウム担持触媒を得た。このパラジウム担持触媒における酸化テルルの担持率は1.1質量%であり、パラジウムの担持率は5.0質量%であった。
上記の方法で調製したパラジウム担持触媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、反応評価を行なった。このときの全生成物量は5.20ミリモル、メタクロレインの生成量は3.34ミリモル、メタクリル酸の生成量は1.46ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は0.40ミリモルであった。メタクロレインの選択率は64.3%、メタクリル酸の選択率は28.1%、メタクリル酸無水物の選択率は7.6%であった。結果を表1に示した。
(触媒調製)
酸化スズ(IV)1.2部を用いたこと以外は実施例2と同様にして、シリカ担体に酸化スズ(IV)が混合されているシリカ−酸化スズ(IV)担体を得た。このシリカ−酸化スズ(IV)担体に、実施例1と同様にしてパラジウムを担持させて、パラジウム担持触媒を得た。このパラジウム担持触媒における酸化スズ(IV)の担持率は6.4質量%であり、パラジウムの担持率は5.0質量%であった。
上記の方法で調製したパラジウム担持触媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、反応評価を行なった。このときの全生成物量は4.60ミリモル、メタクロレインの生成量は2.56ミリモル、メタクリル酸の生成量は1.98ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は0.06ミリモルであった。メタクロレインの選択率は55.6%、メタクリル酸の選択率は43.1%、メタクリル酸無水物の選択率は1.3%であった。結果を表1に示した。
(触媒調製)
実施例1記載の触媒を用いた。
イソブチレンの代わりにメタクロレイン1.0部を用いたこと以外は実施例1と同様にして反応評価を行った。このときの全生成物量は7.96ミリモル、メタクリル酸の生成量は5.13ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は2.83ミリモルであった。メタクリル酸の選択率は64.4%、メタクリル酸無水物の選択率は35.6%であった。結果を表1に示した。
(触媒調製)
シリカ担体(富士シリシア製、BET比表面積490m2/g、全細孔容積0.70ml/g)に、実施例1と同様にしてパラジウムを担持させて、パラジウム担持触媒を得た。このパラジウム担持触媒におけるパラジウムの担持率は5.0質量%であった。
上記の方法で調製したパラジウム担持触媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、反応評価を行なった。このときの全生成物量は2.00ミリモル、メタクロレインの生成量は1.77ミリモル、メタクリル酸の生成量は0.23ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は0ミリモルであった。メタクロレインの選択率は88.7%、メタクリル酸の選択率は11.3%、メタクリル酸無水物の選択率は0%であった。結果を表1に示した。
(触媒調製)
チタンイソプロポキシド3.6部を1−プロパノール60.0部に溶解した溶液に、シリカ担体(富士シリシア製、BET比表面積490m2/g、全細孔容積0.70ml/g)20.0部を加え、ホットスターラー上50℃で1時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーター(バス温50℃)により、溶媒を減圧留去した。得られた粉末をマッフル炉にて、600℃、3時間空気焼成して、シリカ担体に酸化チタンが担持されているシリカ−酸化チタン担体を得た。
上で得られたシリカ−酸化チタン担体20.0部に、酢酸パラジウム(N.E.ケムキャット製)2.1部およびテルル酸0.22部を酢酸100.0部に溶解した溶液を加え、15分間攪拌した後、ロータリーエバポレーター(バス温80℃)により溶媒を減圧留去した。得られた褐色粉末を、マッフル炉にて450℃、3時間空気焼成した。さらに、得られた粉末にホルマリン溶液(37質量%ホルムアルデヒド水溶液)100.0部を添加して、ホットスターラー上で70℃、2時間還元を行なった。吸引ろ過により、60℃の温水200部で洗浄しながら黒色粉末を分離した。これを100℃で3時間乾燥して、パラジウム担持触媒を得た。このパラジウム担持触媒における酸化チタンの担持率は5.0質量%であり、パラジウムの担持率は5.0質量%、およびテルルの担持率は0.6質量%であった。
上記の方法で得られたパラジウム担持触媒10.56部(パラジウムとしては0.5部)を、内容積330mlのオートクレーブ(東洋高圧製、型式:LC−3)に仕込み、反応溶媒としての75質量%ターシャリーブタノール水溶液100部と、ラジカルトラップ剤としてp−メトキシフェノールを反応溶液に対して200ppmを入れ、オートクレーブを密閉した。次いで、イソブチレンを6.5部導入し、攪拌(回転数1000rpm)を開始し、110℃まで昇温した。昇温完了後、オートクレーブに窒素を内圧2.4MPaまで導入した後、圧縮空気を内圧4.8MPaまで導入した。反応中に内圧が0.2MPa低下した時点(内圧4.6MPa)で、酸素を0.2MPa導入する操作を繰り返し、酸素追加量は合計2.0MPaとした。反応時間は26分であった。
このときの反応したイソブチレンは92.42ミリモル、メタクロレインの生成量は25.90ミリモル、メタクリル酸の生成量は30.84ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は14.99ミリモルであった。メタクロレインの選択率は32.1%、メタクリル酸の選択率は38.2%、メタクリル酸無水物の選択率は18.6%であった。結果を表2に示した。
(触媒調製)
酒石酸スズ0.4部に10質量%酒石酸水溶液100部を加えホットスターラー上80℃で30分間攪拌した。この溶液に、シリカ担体(富士シリシア製、BET比表面積490m2/g、全細孔容積0.70ml/g)20.0部を加え、ホットスターラー上80℃で1時間加熱攪拌した。その後、ロータリーエバポレーター(バス温80℃)により、溶媒を減圧留去した。得られた粉末をマッフル炉にて、600℃、3時間空気焼成して、シリカ担体に酸化スズが担持されているシリカ−酸化スズ担体を得た。このシリカ−酸化スズ担体20.0部に、実施例11と同様にしてパラジウムおよびテルルを担持させて、パラジウム担持触媒を得た。このパラジウム担持触媒における酸化スズの担持率は1.1質量%であり、パラジウムの担持率は5.0質量%、およびテルルの担持率は0.6質量%であった。
上記の方法で調製したパラジウム担持触媒10.56部(パラジウムとしては0.5部)を用いたこと以外は実施例11と同様にして、反応評価を行なった。酸素追加量が合計2.0MPaに達した時点で反応終了した。反応時間は25分であった。このときの反応したイソブチレンは78.58ミリモル、メタクロレインの生成量は32.33ミリモル、メタクリル酸の生成量は26.15ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は9.97ミリモルであった。メタクロレインの選択率は41.1%、メタクリル酸の選択率は33.3%、メタクリル酸無水物の選択率は12.7%であった。結果を表2に示した。
(触媒調製)
モリブデン酸アンモニウム1.2部に純水100部を加え溶解させた。この溶液に、シリカ担体(富士シリシア製、BET比表面積490m2/g、全細孔容積0.70ml/g)20.0部を加え、ホットスターラー上50℃で1時間加熱攪拌した。その後、ロータリーエバポレーター(バス温80℃)により、溶媒を減圧留去した。得られた粉末をマッフル炉にて、400℃、3時間空気焼成して、シリカ担体に酸化モリブデンが担持されているシリカ−酸化モリブデン担体を得た。このシリカ−酸化モリブデン担体20.0部に、実施例11と同様にしてパラジウムおよびテルルを担持させて、パラジウム担持触媒を得た。このパラジウム担持触媒における酸化モリブデンの担持率は5.0質量%であり、パラジウムの担持率は5.0質量%、およびテルルの担持率は0.6質量%であった。
上記の方法で調製したパラジウム担持触媒10.56部(パラジウムとしては0.5部)を用いたこと以外は実施例11と同様にして、反応評価を行なった。酸素追加量が合計2.0MPaに達した時点で反応終了した。反応時間は19分であった。このときの反応したイソブチレンは85.22ミリモル、メタクロレインの生成量は31.94ミリモル、メタクリル酸の生成量は33.24ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は7.99ミリモルであった。メタクロレインの選択率は39.3%、メタクリル酸の選択率は40.9%、メタクリル酸無水物の選択率は9.8%であった。結果を表2に示した。
(触媒調製)
比較例1と同様の操作でパラジウム担持触媒を得た。このパラジウム担持触媒におけるパラジウムの担持率は5.0質量%であった。
上記の方法で調製したパラジウム担持触媒10.5部(パラジウムとしては0.5部)を用いたこと以外は実施例11と同様にして、反応評価を行なった。酸素追加量が合計2.0MPaに達した時点で反応終了した。反応時間は33分であった。このときの反応したイソブチレンは82.13ミリモル、メタクロレインの生成量は23.77ミリモル、メタクリル酸の生成量は19.61ミリモル、メタクリル酸無水物の生成量は6.55ミリモルであった。メタクロレインの選択率は35.6%、メタクリル酸の選択率は31.8%、メタクリル酸無水物の選択率は10.6%であった。結果を表2に示した。
Claims (5)
- オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの液相酸化反応に用いるパラジウム担持触媒であって、シリカに金属酸化物が含まれているシリカ−金属酸化物担体に、パラジウムが担持されていることを特徴とするパラジウム担持触媒。
- 請求項1に記載のパラジウム担持触媒の製造方法であって、シリカ担体と金属酸化物とを溶媒に溶解または分散し撹拌した後、溶媒を除去し、乾燥および/または焼成して、前記シリカ−金属酸化物担体を調製する工程と、前記シリカ−金属酸化物担体にパラジウムを担持させる工程とを有することを特徴とするパラジウム担持触媒の製造方法。
- 請求項1に記載のパラジウム担持触媒の製造方法であって、シリカ担体と金属酸化物の前駆体とを溶媒に溶解または分散し撹拌した後、溶媒を除去し、焼成して、前記シリカ−金属酸化物担体を調製する工程と、前記シリカ−金属酸化物担体にパラジウムを担持させる工程とを有することを特徴とするパラジウム担持触媒の製造方法。
- 請求項1に記載のパラジウム担持触媒を用いて、オレフィンを分子状酸素により液相酸化することを特徴とする、α,β−不飽和アルデヒド、α,β−不飽和カルボン酸およびα,β−不飽和カルボン酸骨格を有する酸無水物の製造方法。
- 請求項1に記載のパラジウム担持触媒を用いて、α,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化することを特徴とする、α,β−不飽和カルボン酸およびα,β−不飽和カルボン酸骨格を有する酸無水物の製造方法。
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