JP4829730B2 - パラジウム含有担持触媒の製造方法 - Google Patents

パラジウム含有担持触媒の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造するためのパラジウム含有担持触媒の製造方法に関する。また本発明は、α,β−不飽和カルボン酸の製造方法に関する。
オレフィンを分子状酸素により液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造するためのパラジウム含有担持触媒として、例えば、特許文献1にはパラジウム塩を還元剤により還元したパラジウム金属の担持触媒が提案されている。
国際公開第02/083299号パンフレット
しかしながら、特許文献1に記載の方法で製造した触媒を用いた場合のα,β−不飽和カルボン酸の生産性は未だ十分ではなく、より生産性の高いα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒が望まれている。
したがって本発明の目的は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を高生産性で製造するためのパラジウム含有触媒、その触媒の製造方法、およびα,β−不飽和カルボン酸を高生産性で製造する方法を提供することにある。
本発明は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造するためのパラジウム含有担持触媒の製造方法であって、
(a)担体にパラジウム塩を担持する工程と、
(b)前記担体に対して質量比で0.01〜0.25のテトラエトキシシランを水含有溶液中で加水分解反応する工程と、
(c)前記工程(b)で加水分解反応して得られた生成物を、前記担体の存在下において脱水縮合反応する工程と、
を有することを特徴とするパラジウム含有担持触媒の製造方法である。
前記パラジウム含有担持触媒の製造方法において、前記工程(a)と前記工程(c)とを同時に行う、または前記工程(a)の後に前記工程(c)を行うことが好ましい。
さらに本発明は、前記の製造方法によりパラジウム含有担持触媒を製造し、得られた触媒の存在下で、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化するα,β−不飽和カルボン酸の製造方法である。
本発明のパラジウム含有担持触媒の製造方法によれば、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造した場合に、α,β−不飽和カルボン酸を高生産性で製造できるパラジウム含有担持触媒を製造することができる。
また、本発明のパラジウム含有担持触媒によれば、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造した場合に、α,β−不飽和カルボン酸を高生産性で製造することができる。
さらに、本発明のα,β−不飽和カルボン酸の製造方法によれば、α,β−不飽和カルボン酸を高生産性で製造することができる。
本発明のパラジウム含有担持触媒の製造方法は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造するためのパラジウム含有担持触媒の製造方法であって、以下の工程を有する。
(a)担体にパラジウム塩を担持する工程。
(b)前記担体に対して質量比で0.01〜0.25の加水分解性の官能基を有する金属化合物を水含有溶液中で加水分解反応する工程。
(c)前記工程(b)で加水分解反応して得られた生成物を、前記担体の存在下において脱水縮合反応する工程。
α,β−不飽和カルボン酸を高生産性で製造することができる要因としては、加水分解性の官能基を有する金属化合物の加水分解・脱水縮合により、担体上のパラジウム粒子が安定化されること、および加水分解性の官能基を有する金属化合物により担体表面の特性が変化し、パラジウム粒子と担体との相互作用が改良されることなどが考えられる。
本発明のパラジウム含有担持触媒は、担体に、パラジウム金属を含む触媒構成元素を担持した担持型触媒であり、例えば、下記の製造方法により得ることができる。ただし、得られるパラジウム含有担持触媒が同じであれば、下記の製造方法により製造されたものには限定されない。
担体としては特に限定されない。例えば、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、マグネシア、カルシア、チタニア、ジルコニアおよび活性炭等を挙げることができる。中でもシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアが好ましい。担体は1種を用いることも、2種以上を併用することもできる。担体は多孔質であることが好ましい。
担体の比表面積は担体の種類等により異なるので一概に言えないが、シリカの場合、50m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましい。また、1500m2/g以下が好ましく、1000m2/g以下がより好ましい。担体の比表面積は、小さいほど有用成分がより表面に担持された触媒の製造が可能となり、大きいほど有用成分が多く担持された触媒の製造が可能となる。担体の細孔容積は、担体の強度およびパラジウムの担持効率の観点から0.05〜2.0cc/gが好ましい。
パラジウム塩としては、例えば、塩化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、テトラアンミンパラジウム硝酸塩(II)、およびビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II)等を挙げることができる。中でも酢酸パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、テトラアンミンパラジウム硝酸塩(II)、およびビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II)が好ましい。パラジウム塩は1種を用いることも、2種以上を併用することもできる。
パラジウム塩を担体に担持させる方法としては特に限定されないが、パラジウム塩の溶解液に担体を浸漬した後に溶媒を蒸発させる方法、または担体の細孔容積分のパラジウム塩の溶解液を担体に吸収させた後に溶媒を蒸発させる、いわゆるポアフィリング法による方法が好ましい。パラジウム塩を溶解させる溶媒としては、パラジウム塩を溶解するものであれば特に限定されない。
加水分解性の官能基を有する金属化合物としては、金属アルコキシド又はそのオリゴマーを用いることができる。金属アルコキシドを形成するアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数が1〜3のものが好ましい。また、金属アルコキシドを形成する金属としては、最終的に形成される金属酸化物に対応した金属、例えばケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムが使用される。この金属は、1種でもよく2種以上でも良い。一方、オリゴマーとしては特に限定されず、10量体程度までを好適に使用できる。
また、金属がケイ素の場合、ケイ素アルコキシド又はそのオリゴマーのアルコキシ基の一部がアルキル基に置換されたアルキルアルコキシシラン類、2つ以上のケイ素を炭化水素を主とする架橋構造によって結びつけた架橋アルコキシド類、およびそれらの10量体程度までのオリゴマーも好適に用いられる。また、ケイ素に変えて金属をチタン、ジルコニア、アルミニウム等に置換したアルキル置換金属アルコキシドも同様に用いることができる。
加水分解性の官能基を有する金属化合物の使用量は、担体に対して質量比で0.01〜0.25の範囲である。質量比が0.01以下では十分な効果が得られず、質量比が0.25以上では担体の細孔閉塞、パラジウム金属表面の被覆等が生じ、効果が得られないことが考えられる。好ましくは、質量比で0.02以上であり、さらに好ましくは0.03以上である。また、好ましくは、質量比で0.2以下であり、さらに好ましくは0.15以下である。
加水分解性の官能基を有する金属化合物の加水分解反応条件は特に限定されないが、例えば、加水分解性の官能基を有する金属化合物1モルに対して水4モル以上を混合することで加水分解反応を行うことができ、それにより加水分解物を得ることができる。さらに、必要により有機溶剤を混合してもよい。加水分解反応は、pH1〜5の酸性条件下で行うことが好ましい。加水分解反応の処理時間は0.5〜2時間とすることが好ましく、その処理温度は10〜60℃とすることが好ましい。加水分解性の官能基を有する金属化合物が金属アルコキシドである場合、加水分解反応の進行は、1H−NMRを用いて金属アルコキシド由来のスペクトルおよび加水分解により生成するアルコール由来のスペクトルを観測すること等により確認することができる。
次いで、加水分解物の脱水縮合反応を行う。この脱水縮合反応は、担体の存在下で行うため、加水分解反応の処理時または加水分解反応の処理後に担体を添加する。加水分解物の脱水縮合反応の方法は特に限定されず、種々の方法を用いることができる。例えば、アルカリの添加によるpH調整による方法、加熱による方法、脱水縮合触媒の添加による方法、溶媒の除去による方法などが挙げられる。本発明においては、水および有機溶剤を蒸発させて、加水分解物の脱水縮合反応を行うことが好ましい。
担体にパラジウム塩を担持する工程と、担体の存在下において加水分解物を脱水縮合反応する工程とは、別々または同時に行うことができる。担体上のパラジウム塩の周辺に金属水酸化物が担体表面の水酸基と脱水縮合することによってパラジウム塩が安定化されると考えられることから、脱水縮合反応を、パラジウム塩の担持と同時またはパラジウム塩の担持後に行うことが好ましい。パラジウム塩の溶解液に担体を浸漬させ、さらに加水分解性の官能基を有する金属化合物の加水分解物が共存している状態で、水および溶媒を蒸発させることで、脱水縮合反応とパラジウム塩の担持とを同時に行うことができる。
担体表面の水酸基量の定量方法としては、担体を加熱して水酸基の脱離による重量減少を測定する方法がある。このような方法としては、例えば、担体がシリカの場合にはJIS K1150の測定方法に則り、強熱減量の値からシラノール基数を算出することができる。その他に、定量試薬としてリチウムアルミニウムハイドライドを用いて、担体表面の水酸基との反応で発生する水素をガスビューレットやガスクロマトグラフを用いて測定し、担体表面の水酸基数を算出する方法もある。
また、本発明では、工程(a)〜(c)を行った後に、少なくとも酸化パラジウムが担持された触媒前駆体とすることが好ましい。触媒前駆体は、パラジウム塩を担体に担持した後に酸化パラジウムを別途担持させる方法により調製することもできるが、パラジウム塩が担体に担持された状態で熱処理することにより、パラジウム塩の少なくとも一部が分解して酸化パラジウムとする方法により調製することが好ましい。熱処理温度は、パラジウム塩の熱分解温度以上が好ましい。また、熱処理温度は、800℃以下が好ましく、700℃以下がより好ましい。所定の熱処理温度までの昇温方法は特に限定されないが、パラジウム含有担持触媒におけるパラジウム原子の良好な分散状態を得るため、昇温速度は1〜10℃/分が好ましい。所定の熱処理温度に達した後の保持時間は、所望の量のパラジウム塩が分解されて酸化パラジウムになる時間であれば特に限定されないが、1〜12時間が好ましい。
本発明では、担体上にパラジウム塩および/または酸化パラジウムが担持された触媒前駆体を還元剤で還元することが好ましい。
用いる還元剤は特に限定されないが、例えば、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、水素、蟻酸、蟻酸の塩、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1,3−ブタジエン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、シクロヘキセン、アリルアルコール、メタリルアルコール、アクロレインおよびメタクロレイン等が挙げられる。還元剤は1種を用いることも、2種以上を併用することもできる。
パラジウム塩および/または酸化パラジウムの還元は、気相中で行っても液相中で行ってもよい。気相中で還元を行う場合は、還元剤として水素を用いることが好ましい。また、液相中で還元を行う場合は、還元剤としてヒドラジン、ホルムアルデヒド、蟻酸、または蟻酸の塩を用いることが好ましい。
液相中で還元を行う場合に使用する溶媒としては、水が好ましいが、担体の分散性によっては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸、n−吉草酸、iso−吉草酸等の有機酸類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;等の有機溶媒を単独又は複数組み合わせて用いることができる。これらと水との混合溶媒を用いることもできる。
液相中で還元を行う場合で還元剤が気体の場合、溶媒中への溶解度を挙げる為にオートクレーブ等の加圧装置中で行うことが好ましい。その際、加圧装置の内部は還元剤で加圧する。その圧力は0.1〜1.0MPa(ゲージ圧;以下圧力はゲージ圧表記とする)とすることが好ましい。
また、液相中で還元を行う場合で還元剤が液体の場合、パラジウム塩および/または酸化パラジウムの還元を行う装置に制限はなく、溶媒中に還元剤を添加することで行うことができる。この時の還元剤の使用量は特に限定されないが、パラジウム塩及び酸化パラジウムの合計1モルに対して1〜100モルとすることが好ましい。
還元温度および還元時間は還元剤等により異なるが、還元温度は−5〜150℃が好ましく、15〜80℃がより好ましい。還元時間は0.1〜4時間が好ましく、0.25〜3時間がより好ましく、0.5〜2時間がさらに好ましい。
還元後、パラジウム金属が担体に担持されたパラジウム含有担持触媒を分離する。この触媒を分離する方法は特に限定されないが、例えば、ろ過、遠心分離等の方法を用いることができる。分離されたパラジウム含有担持触媒は適宜乾燥される。乾燥方法は特に限定されず、種々の方法を用いることができる。
なお、本発明のパラジウム含有担持触媒では、パラジウム以外の金属成分を含むものとすることができる。パラジウム以外の金属成分としては、例えば、ルテニウム、ロジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金、銅、アンチモン、テルル、鉛、ビスマス等が挙げられる。高い触媒活性を発現させる観点から、パラジウム含有担持触媒に含まれる金属成分のうち、50質量%以上がパラジウム金属であることが好ましい。パラジウム以外の金属成分を含むパラジウム含有担持触媒は、対応する金属の塩や酸化物等の金属化合物を担体に担持し、必要に応じて前記の還元を行うことで得ることができる。その際の金属化合物の担持方法としては特に限定されないが、パラジウム塩を担持する方法と同様に行うことができる。また、金属化合物は、パラジウム塩を担持する前に担持することもでき、パラジウム塩を担持した担持後に担持することもでき、パラジウム塩と同時に担持することもできる。
パラジウム金属の担持率は、担持前の担体に対して0.1〜40質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%がさらに好ましい。
最終的に得られるパラジウム含有担持触媒の物性等は、XRD測定、XPS測定、TEM観察等により確認できる。
次に、本発明のパラジウム含有担持触媒を用いて、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法について説明する。
原料のオレフィンとしては、例えば、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン等が挙げられる。また、原料のα,β−不飽和アルデヒドとしては、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド(β−メチルアクロレイン)、シンナムアルデヒド(β−フェニルアクロレイン)等が挙げられる。原料のオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドには、不純物として飽和炭化水素および/または低級飽和アルデヒド等が少々含まれていてもよい。
製造されるα,β−不飽和カルボン酸は、原料がオレフィンの場合、オレフィンと同一炭素骨格を有するα,β−不飽和カルボン酸である。また、原料がα,β−不飽和アルデヒドの場合、α,β−不飽和アルデヒドのアルデヒド基がカルボキシル基に変化したα,β−不飽和カルボン酸である。
本発明の製造方法は、プロピレンまたはアクロレインからアクリル酸、イソブチレンまたはメタクロレインからメタクリル酸を製造する液相酸化に好適である。
液相酸化反応に用いる分子状酸素源には、空気が経済的であるが、純酸素または純酸素と空気の混合ガスを用いることもでき、必要であれば、空気または純酸素を窒素、二酸化炭素、水蒸気等で希釈した混合ガスを用いることもできる。
液相酸化反応に用いる溶媒は特に限定されないが、例えば、水;ターシャリーブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸等の有機酸類;酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の有機酸エステル類;ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素類;を用いることができる。なかでも炭素数2〜6の有機酸類、炭素数3〜6のケトン類、ターシャリーブタノールが好ましい。溶媒は1種でもよく、2種以上の混合溶媒でもよい。また、アルコール類、ケトン類、有機酸類および有機酸エステル類からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用する場合は、水との混合溶媒とすることが好ましい。その際の水の量は特に限定されないが、混合溶媒の質量に対して2〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。溶媒は均一であることが望ましいが、不均一な状態で用いても差し支えない。
液相酸化反応は、連続式、バッチ式の何れの形式で行ってもよいが、生産性を考慮すると工業的には連続式が好ましい。
液相酸化反応の原料であるオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの使用量は、溶媒100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
分子状酸素の使用量は、原料であるオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒド1モルに対して、0.1〜30モルが好ましく、0.3〜25モルがより好ましく、0.5〜20モルが特に好ましい。
前記触媒は、液相酸化を行う反応液に懸濁させた状態で使用することが好ましいが、固定床で使用してもよい。前記触媒の使用量は、反応器内に存在する溶液100質量部に対して、反応器内に存在する触媒として0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部が特に好ましい。
液相酸化の反応温度および反応圧力は、用いる溶媒および反応原料によって適宜選択される。反応温度は30〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。反応圧力は大気圧(0MPa)〜10MPaが好ましく、2〜7MPaがより好ましい。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。下記の実施例および比較例中の「部」は質量部である。
(原料および生成物の分析)
原料および生成物の分析はガスクロマトグラフィーを用いて行った。なお、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの反応率、生成するα,β−不飽和カルボン酸の生産性は以下のように定義される。
オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの反応率(%)=(B/A)×100
α,β−不飽和カルボン酸の生産性(g/gPd/h) =(C/D/E)
ここで、Aは供給したオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドのモル数、Bは反応したオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドのモル数、Cは生成したα,β−不飽和カルボン酸の質量(g)、Dは触媒中のパラジウム金属の質量(g)、Eは反応時間(h)である。
なお、以下の実施例及び比較例では、イソブチレンからメタクリル酸を製造する反応を行っており、この場合、Aは供給したイソブチレンのモル数、Bは反応したイソブチレンのモル数、Cは生成したメタクリル酸の質量(g)である。
[実施例1]
(触媒調製)
硝酸パラジウム(II)溶液(パラジウム金属として換算してパラジウム原子を約25質量%含有する硝酸水溶液)4.0部に、テルル酸0.22部を純水15部に溶解した水溶液を加えた。さらにテトラエトキシシラン0.7部を加え、この溶液を室温中で1時間攪拌処理を行い、テトラエトキシシランの加水分解を進行させた。次いで、シリカ担体(比表面積:450m2/g、細孔容積:0.68cc/g、JIS K1150の測定方法で測定したシラノール基量:6.0mmol/g)10.0部を上記溶液に浸漬し、エバポレーションを行った。その後、熱処理として、空気中で室温から200℃まで1.0℃/分で昇温し、200℃で3時間保持した後、室温まで降温した。
こうして得られた触媒前駆体を、還元剤であるホルムアルデヒドの37質量%水溶液50.0部に加えた。70℃に加熱し、2時間攪拌保持し、吸引ろ過後純水1000部でろ過洗浄した。さらに窒素流通下100℃で2時間乾燥して、シリカ担持型パラジウム含有触媒(パラジウム金属の担持率:10.0質量%)を得た。得られた触媒のXRD測定を行ったところ、金属パラジウムが生成していることが確認された。
(反応評価)
上記の方法で得た触媒の1/4(パラジウム金属0.25部に相当)を75質量%t−ブタノール水溶液でろ過洗浄した。得られた触媒と反応溶媒として75質量%t−ブタノール水溶液75部をオートクレーブに入れ、オートクレーブを密閉した。次いで、イソブチレンを2.0部導入し、攪拌(回転数1000rpm)を開始し、90℃まで昇温した。昇温完了後、オートクレーブに窒素を内圧2.4MPaまで導入した後、圧縮空気を内圧4.8MPaまで導入して反応を開始させた。反応中に内圧が0.1MPa低下した時点(内圧4.7MPa)で、酸素を0.1MPa導入する操作を繰り返した。導入直後の圧力は4.8MPaである。反応開始後30分で反応を終了した。
反応終了後、氷浴でオートクレーブ内を氷冷した。オートクレーブのガス出口にガス捕集袋を取り付け、ガス出口を開栓して出てくるガスを回収しながら反応器内の圧力を開放した。オートクレーブから触媒入りの反応液を取り出し、メンブランフィルターで触媒を分離して、反応液を回収した。回収した反応液と捕集したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、反応率及び生産性を算出した。
[実施例2]
(触媒調製)
テトラエトキシシラン1.4部を使用した以外は実施例1と同様の方法で行った。
(反応評価)
実施例1と同様の方法で行った。
[実施例3]
(触媒調製)
テトラエトキシシラン1.8部を使用した以外は実施例1と同様の方法で行った。
(反応評価)
実施例1と同様の方法で行った。
[比較例1]
(触媒調製)
テトラエトキシシランを使用しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。
(反応評価)
実施例1と同様の方法で行った。
[比較例2]
(触媒調製)
テトラエトキシシラン3.5部を使用した以外は実施例1と同様の方法で行った。
(反応評価)
実施例1と同様の方法で行った。
Figure 0004829730
以上の結果を表1にまとめて示したように、本発明の方法によれば、より高い生産性でα,β−不飽和カルボン酸を製造できることが分かった。

Claims (3)

  1. オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造するためのパラジウム含有担持触媒の製造方法であって、
    (a)担体にパラジウム塩を担持する工程と、
    (b)前記担体に対して質量比で0.01〜0.25のテトラエトキシシランを水含有溶液中で加水分解反応する工程と、
    (c)前記工程(b)で加水分解反応して得られた生成物を、前記担体の存在下において脱水縮合反応する工程と、
    を有することを特徴とするパラジウム含有担持触媒の製造方法。
  2. 前記工程(a)と前記工程(c)とを同時に行う、または前記工程(a)の後に前記工程(c)を行う請求項1に記載のパラジウム含有担持触媒の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法によりパラジウム含有担持触媒を製造し、得られた触媒の存在下で、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化するα,β−不飽和カルボン酸の製造方法。
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