JP5327969B2 - 貴金属含有担持触媒の製造方法、その触媒、α,β−不飽和カルボン酸の製造方法 - Google Patents

貴金属含有担持触媒の製造方法、その触媒、α,β−不飽和カルボン酸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造するための貴金属含有触媒の製造方法、その触媒、ならびにその触媒を用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法に関する。
オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化して、α,β−不飽和カルボン酸を製造するための貴金属触媒の製造方法として、例えば、特許文献1には酢酸パラジウムを酢酸に溶解させて熱分解温度以上で焼成する触媒の製造方法、特許文献2には20質量%の水分を含む酢酸溶媒に酢酸パラジウムを加えて加熱溶解した後、シリカ担体を入れ還元剤としてアリルアルコールを加える触媒の製造方法が記載されている。
特開2006−167709号公報 特開2005−218952号公報
しかしながら、特許文献1または2に記載された方法で製造された触媒を用いて、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化して、α,β−不飽和カルボン酸を製造しても、目的生成物であるα,β−不飽和カルボン酸の選択性および生産性が不十分であり、また長期間液相酸化反応に使用すると金属パラジウムがシンタリングすることによって触媒が劣化するという問題があった。
本発明は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造するための貴金属含有担持触媒の製造方法であって、貴金属塩と塩基発生剤とを溶解した水溶液を得る工程(1)と、前記工程(1)で得られた水溶液を担体に含浸させる工程(2)と、前記工程(2)で得られた担体を加熱、乾燥する工程(3)と、前記工程(3)で得られた乾燥した担体を焼成して担体に貴金属酸化物が担持された触媒前駆体を得る工程(4)と、前記工程(4)で得られた触媒前駆体中の貴金属酸化物を還元する工程(5)と、を有する貴金属含有担持触媒の製造方法である。また本発明は、この製造方法で得られる貴金属含有触媒、およびこの貴金属含有触媒の存在下でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素によって液相中で酸化するα,β−不飽和カルボン酸の製造方法である。
本発明によれば、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を高生産的に製造することができる貴金属含有担持触媒およびその製造方法、ならびにα,β−不飽和カルボン酸を高生産的に製造する方法を提供できる。
また、本発明によれば、耐シンタリング性に優れており、長期間液相酸化反応に使用しても貴金属がシンタリングすることが少ない触媒が提供できる。
本発明の方法で製造される貴金属含有担持触媒は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造するための触媒(以下、単に「触媒」と称することもある)である。
触媒において、担体に担持される貴金属としては、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀、オスミウムを挙げることができる。その中でもパラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金が好ましく、特にパラジウムが好ましい。貴金属は1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
担体には、貴金属以外に、貴金属元素以外の金属元素の化合物または単体(金属)も担持することが好ましい。貴金属元素以外の金属元素としては、例えば、アンチモン、テルル、タリウム、鉛、ビスマス等の元素が挙げられる。貴金属以外の金属元素は、2種以上含むこともできる。高い触媒活性を発現させる観点から、担体に担持される全ての金属元素(貴金属元素と貴金属以外の金属元素の合計)に対する貴金属元素の比率は50モル%以上が好ましい。
触媒の担体としては、無機酸化物が好ましく、例えば、シリカ、アルミナ、マグネシア、カルシア、チタニアおよびジルコニア等を挙げることができる。その中でも、シリカ、チタニア、ジルコニアを用いることがより好ましい。担体は、1種を用いることもでき、2種以上を併用することもできる。
担体の好ましい比表面積は、担体の種類等により異なるので一概に言えないが、シリカの場合、50〜1500m/gが好ましく、100〜1000m/gがより好ましい。担体の比表面積は、小さいほど貴金属などの担持成分がより表面に担持され、大きいほど担持成分が内部及び表面ともに担持されて担持成分の担持率が高くなる。
担体に対する貴金属の担持率は、担持前の担体質量に対して0.1〜40質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%がさらに好ましい。
触媒を製造するにあたって、まず、工程(1)として貴金属塩と塩基発生剤とが水に溶解した水溶液(以下「含浸液」ともいう)を調製する。
含浸液に含まれる貴金属塩は特に限定されないが、例えば、貴金属の、塩化物、硝酸塩および硫酸塩等が好ましい。
含浸液に含まれる塩基発生剤とは、加熱することで自身が加水分解又はその他の化学反応により含浸液中に塩基を発生させ、含浸液のpHを上昇させる作用を有する化合物である。このような塩基の発生により、含浸液中には貴金属の水酸化物、貴金属の炭酸水素化物、貴金属の炭酸化物、貴金属の酸化物などの沈殿が生じる。以下、このように生じる沈殿を単に「沈殿」ということもある。
塩基発生剤としては、尿素、シアヌル酸、アルキル置換尿素、チオ尿素、アルキル置換チオ尿素や、アミド化合物が好ましい。その中でも尿素が容易に入手できること及びコスト面で特に好ましい。
含浸液中の塩基発生剤の量は、使用する貴金属塩によって異なるが、加熱乾燥時に貴金属元素を含む沈殿を生じさせることができる量の塩基を発生させることができる量であれば良い。貴金属元素に対する塩基発生剤のモル比は0.5以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上がさらに好ましい。また、このモル比は、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、13以下がさらに好ましい。塩基発生剤の量は、少なすぎると金属の分散性が低下したり、多すぎると貴金属元素を含む沈殿が生じなくなったりすることがあり、本発明の効果が低くなることあるので、塩基発生剤の量を決める際にはこれらの点を考慮することが望ましい。
次いで工程(2)として、前記工程(1)で得られた含浸液を担体に含浸させる。含浸させる方法としては特に制限はないが、後述する工程(3)において沈殿が均一に担持された担体を得るためには、ポアフィリング法で実施することが好ましい。この場合において、担体に含浸させる含浸液の体積は、担体の細孔容積の50〜120%であることが好ましく、60〜100%であることが特に好ましい。含浸液の量が少なすぎると、含浸液が担体の細孔内部に均一に入らず、沈殿が不均一に担持された担体が得られる結果になることがある。逆に量が多すぎても担体の外表面に含浸液が付着するので、沈殿が不均一に担持された担体が得られる結果になることがある。含浸液を担体に含浸させた状態では、貴金属塩と塩基発生剤は、細孔内部で実質的に溶液の状態を保っている。
次いで工程(3)として、前記工程(2)で得られた担体を加熱乾燥する。これにより塩基発生剤の加水分解などの反応が起こり、塩基が発生する。その際、担体の内部と外周部の温度差は少ないので、塩基は担体中で均一に発生すると考えられる。その結果、貴金属元素を含む沈殿も担体中で均一に発生し、乾燥後には沈殿が担体に均一に担持されるものと考えられる。
加熱乾燥の温度は、用いる塩基発生剤の種類にもよるが、50〜200℃が好ましく、より好ましくは60〜150℃である。加熱温度は時間とともに変化させてもよい。加熱温度は低すぎると塩基発生剤から塩基が発生しないか発生量が少なくなるので、沈殿が生じないか沈殿発生に長時間を要することがある。逆に加熱温度が高すぎると、塩基発生剤の加水分解などに必要な水分が先に除去されてしまうので、沈殿ではなく溶解していた貴金属塩が担持されるといった問題や、先に水分が除去されたところには沈殿が少なく、後から水分が除去されたところには沈殿が多く担持され、沈殿の担持状態に斑が生じるという問題が起きることがある。
加熱乾燥は、担体が動かない状態で行っても、担持担体が流動する状態で行ってもよい。大量の触媒を調製する場合には、流動床装置や回転式加熱装置などの担体が流動する装置を使用して加熱乾燥を行うと、担体の粒ごとの水分蒸発量に変化が少なく均質性が増すので好ましい。
次に工程(4)として、前記工程(3)で得られた乾燥した担体を焼成して担体に貴金属酸化物が担持された触媒前駆体を得る。焼成の温度は貴金属元素を含む沈殿の少なくとも一部が貴金属酸化物に変化する温度以上とすることが好ましい。貴金属酸化物が生成したかどうかを判断するためには焼成後の触媒前駆体をXRD測定し、そのスペクトルから判断可能である。例えば、水酸化パラジウムでは300℃以上に加熱するとよい。沈殿が貴金属酸化物の場合は、水分を飛ばし乾燥できる温度であればよい。
焼成の時間は、前記焼成温度において貴金属元素を含む沈殿の少なくとも一部が貴金属酸化物に変化する時間であればよく、1〜12時間が好ましい。
焼成は、担体が動かない状態で行っても、担体が流動する状態で行ってもよい。大量の触媒を調製する場合には、流動床装置や回転式加熱装置などの担体が流動する装置を使用して焼成を行うと、担体ごとの加熱状態に変化が少なく均質性が増すので好ましい。
また、工程(4)の焼成は、工程(3)の加熱乾燥と同じ装置で工程(3)と連続して行ってもよい。
次に、工程(5)として、前記工程(4)で得られた触媒前駆体中の貴金属酸化物を還元する。これにより担体に貴金属粒子が担持された本発明の触媒を得ることができる。還元は触媒前駆体と還元剤を接触させて行う。
用いる還元剤は特に限定されないが、例えば、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、水素、蟻酸、蟻酸の塩、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1,3−ブタジエン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、シクロヘキセン、エチレングリコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、アクロレインおよびメタクロレイン等が挙げられる。その中でも水素、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、蟻酸、エチレングリコールが安価かつ反応活性の面で好ましい。還元剤は2種以上併用することもできる。
触媒前駆体と還元剤を接触させる方法としては、溶媒に分散させた触媒前駆体を還元剤により還元する液相還元法でも、触媒前駆体を還元雰囲気で還元する気相還元法でもよい。中でも液相還元法が貴金属の粒子径制御の面で好ましい。
液相還元法で使用する溶媒としては、水が好ましいが、担体の分散性や還元剤の溶解性によっては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸、n−吉草酸、イソ吉草酸等の有機酸類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類等の有機溶媒を単独又は複数組み合わせて用いることができる。これらの有機溶媒と水との混合溶媒を用いることもできる。
液相還元法で使用する還元剤が気体の場合、溶媒中への溶解度を挙げる為にオートクレーブ等の加圧装置中で還元処理を行うことが好ましい。その際、加圧装置の内部は還元剤で加圧することができる。その圧力は0.1MPa(ゲージ圧;以下圧力はゲージ圧表記とする)以上とすることが溶液への還元剤の溶解性の面で好ましく、また1.0MPa以下とすることが貴金属の凝集を少なくできるので好ましい。
液相還元法で使用する還元剤が液体の場合、溶媒中に還元剤を添加することで還元処理を行うことができる。このときの還元剤の使用量は特に限定されないが、貴金属酸化物1モルに対して1モル以上とすることが還元時間の点で好ましく、また100モル以下とすることがコスト的に好ましい。
液相還元法における還元温度は、用いる貴金属酸化物や還元剤等により異なるが、より高い本発明の効果を得るためには、5〜150℃が好ましく、15〜80℃がより好ましい。また、還元時間も用いる貴金属酸化物や還元剤等により異なるが、より高い本発明の効果を得るためには、0.1〜4時間が好ましく、0.25〜4時間がより好ましく、0.5〜3時間がさらに好ましい。
液相還元法では触媒前駆体を分散させた状態で超音波処理を施すこともできる。
一方、気相還元法を用いて還元を行うこともできる。還元剤は貴金属酸化物を還元できるものであればよい。例えば水素、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどが挙げられるが、コストを考えた場合には水素が好ましい。還元は流通式で行うのが好ましく流動床で行っても固定床で行ってもよい。還元剤の使用量は特に限定されない。気相還元法を用いる場合の還元温度は、より高い本発明の効果を得るためには、25℃〜800℃が好ましく、50℃〜600℃がより好ましい。また、還元時間は用いる貴金属酸化物や還元剤により異なるが、より高い本発明の効果を得るためには、0.1〜6時間が好ましく、0.25〜4時間がより好ましい。
本発明の触媒の製造方法によれば、貴金属元素を含む沈殿が担体の細孔内部に均一に担持されるため、貴金属粒子が担体上で微粒子化及び高分散化された触媒を得ることができる。その結果、α,β−不飽和カルボン酸を高選択率かつ高生産性で製造できる触媒を得ることができる。
貴金属元素以外の金属元素をも含む触媒を製造する場合、当該金属元素の化合物または単体(金属)を担体に担持する方法や時期は特に限定されないが、例えば、前記工程(2)で用いる担体に予め担持しておく方法(a)、前記工程(3)における沈殿を担持するのと同時に担持する方法(b)、前記工程(3)より後に担持する方法(c)などが挙げられる。
方法(b)の場合、例えば、前記工程(1)で得る含浸液中に金属元素の塩や酸化物等の金属化合物を加えておく方法が挙げられる。また、方法(a)または(c)の場合、例えば、本発明における貴金属を担持するのと同様に塩基発生剤を用いて担持する方法、金属化合物を含む液(溶媒)と担体を接触させたのち溶媒を蒸発させる方法、金属化合物を含む液と担体を接触させたのち還元剤を加えて金属を沈殿させる方法などが挙げられる。工程数が少なくなるという観点では方法(b)が好ましい。
得られた貴金属含有触媒は、水、有機溶媒等で洗浄することが好ましい。水、有機溶媒等での洗浄により、例えば、塩化物、酢酸根、硝酸根、硫酸根等の貴金属化合物由来の不純物が除去される。洗浄の方法および回数は特に限定されないが、不純物によっては液相酸化反応を阻害する恐れがあるため、不純物を十分除去できる程度に洗浄することが好ましい。洗浄された触媒は、濾別または遠心分離などにより回収した後、そのまま反応に用いてもよい。
また、回収された触媒を乾燥してもよい。乾燥方法は特に限定されないが、乾燥機を用いて空気中または不活性ガスで乾燥することが好ましい。乾燥された触媒は、必要に応じて反応に使用する前に活性化することもできる。活性化の方法には特に限定されないが、例えば、水素気流中の還元雰囲気下で熱処理する方法が挙げられる。この方法によれば、貴金属表面の酸化被膜と洗浄で取り除けなかった不純物を除去することができる。
得られた貴金属含有触媒の物性は、BET比表面積測定、XRD測定、COパルス吸着法、TEM観察等により確認できる。
次に、本発明の貴金属含有触媒を用いて、α,β−不飽和カルボン酸を製造する方法について説明する。α,β−不飽和カルボン酸の製造方法としては、液相中で、原料であるオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化して、α,β−不飽和カルボン酸とする反応を、本発明の貴金属含有触媒の存在下で行う。この方法によれば、高選択性かつ高生産性で、α,β−不飽和カルボン酸が製造可能となる。
オレフィンとしては、例えば、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン等が挙げられる。中でもプロピレンおよびイソブチレンが好適である。原料のオレフィンには、不純物として飽和炭化水素および/または低級飽和アルデヒド等が少々含まれていてもよい。
α,β−不飽和アルデヒドとしては、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等が挙げられる。中でもアクロレインおよびメタクロレインが好適である。原料のα,β−不飽和アルデヒドには、不純物としてアセトンおよびアクリル酸、メタクリル酸等が少々含まれていてもよい。
製造されるα,β−不飽和カルボン酸は原料のオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドと同一炭素骨格を有するα,β−不飽和カルボン酸である。具体的には、原料がプロピレンまたはアクロレインの場合は、アクリル酸が得られ、原料がイソブチレンまたはメタクロレインの場合は、メタクリル酸が得られる。
本発明の貴金属含有触媒は、プロピレンまたはアクロレインからアクリル酸、イソブチレンまたはメタクロレインからメタクリル酸を製造する液相酸化で特に好適である。
液相酸化反応に用いる分子状酸素源としては、空気が経済的であり好ましいが、その他に、例えば、純酸素、純酸素と空気の混合ガス、空気または純酸素を窒素、二酸化炭素、水蒸気等で希釈した混合ガスなどを用いることもできる。この空気等のガスは、通常オートクレーブ等の反応容器内に加圧状態で供給される。
液相酸化反応に用いる溶媒は特に限定されないが、例えば、水、アルコール類、ケトン類、有機酸類、有機酸エステル類、炭化水素類等が使用できる。アルコール類としては、例えば、ターシャリーブタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。有機酸類としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸等が挙げられる。有機酸エステル類としては、例えば、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。炭化水素類としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。中でも炭素数2〜6の有機酸類、炭素数3〜6のケトン類、ターシャリーブタノールが好ましい。溶媒は1種でも、2種以上の混合溶媒でもよい。また、アルコール類、ケトン類、有機酸類および有機酸エステル類からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用する場合は、水との混合溶媒とすることが好ましい。その際の水の量は特に限定されないが、混合溶媒の質量に対して、2〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。混合溶媒は均一であることが望ましいが、不均一な状態で用いても差し支えない。
液相酸化反応は連続式、バッチ式の何れの形式で行ってもよいが、生産性を考慮すると工業的には連続式が好ましい。
液相酸化反応の原料であるオレフィンの使用量は、溶媒100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
分子状酸素の使用量は、原料であるオレフィンおよびα,β−不飽和アルデヒド1モルに対して、0.1〜30モルが好ましく、0.3〜25モルがより好ましく、0.5〜20モルが特に好ましい。
通常、触媒は液相酸化反応を行う反応液に懸濁させた状態で使用されるが、固定床で使用してもよい。触媒の使用量は、反応器内に存在する溶液100質量部に対して、反応器内に存在する触媒として0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部が特に好ましい。
液相酸化反応を行う温度および圧力は、用いる溶媒および反応原料によって適宜選択される。反応温度は30〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。反応圧力は0〜10MPaが好ましく、2〜7MPaがより好ましい。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。下記の実施例および比較例中の「部」は質量部である。
(α,β−不飽和カルボン酸の製造における原料および生成物の分析)
オレフィンからα,β−不飽和カルボン酸の製造における原料および生成物の分析はガスクロマトグラフィーを用いて行った。なお、α,β−不飽和カルボン酸の生産性は以下のように定義される。
α,β−不飽和カルボン酸の生産性(g−MAA/(g−貴金属×h))=C/(A×B)
ここで、Aは使用した触媒の中に含まれる貴金属の質量(g)、Bは反応時間(h)、Cは生成したα,β−不飽和カルボン酸の質量(g)である。
(触媒の耐シンタリング性評価)
触媒の劣化試験は、触媒前駆体をホルマリン(37質量%のホルムアルデヒド水溶液)中で70℃、2時間還元して得られた触媒のXRD測定と、ガス流通加熱炉中に触媒前駆体を仕込み、20体積%のHガスと80体積%のNガスを500℃で2時間流通させ還元して得られた触媒のXRD測定を各々行い、Pd(111)面における半価幅の比(ホルマリン還元(70℃)/H還元(500℃))で評価できる。半価幅の比が大きい触媒ほど、触媒はシンタリングを起こしたことになる。逆に半価幅の増加が小さいほど、耐シンタリング性の強い触媒といえる。
[実施例1]
(触媒調製)
<含浸液の調製:工程(1)>
テルル酸(和光純薬工業製)0.11部を純水7.5部にて希釈してテルル酸水溶液を調製した。そこに尿素1.1部を溶解させ、さらに硝酸パラジウム(N.E.ケムキャット製)4.3部を加えて均一に混合し、含浸液を調製した。このときのパラジウム元素に対するテルル元素のモル比(Te/Pd)は0.05、パラジウム元素に対する尿素のモル比(尿素/Pd)は2であった。
<含浸液の含浸:工程(2)>
この含浸液をシリカ担体(比表面積447m/g、細孔容積0.74cc/g)20.0部に添加し、30分振り混ぜながら、ポアフィリング法で含浸させた。このときの含浸液の量は、シリカ担体の細孔容積の80%であった。
<加熱乾燥:工程(3)>
この含浸液を含浸させた担体を焼成皿に移し、100℃の乾燥機中で24時間加熱乾燥することによって、炭酸水素パラジウムが担持された担体の乾燥物を得た。
<担体の乾燥物の焼成:工程(4)>
この担体の乾燥物を空気中300℃で3時間焼成し、パラジウム酸化物およびテルル酸化物が担時された触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体をホルマリン30.0部に加え、70℃で2時間還元処理を行った。その後純水で洗浄濾過し、パラジウム、テルルが担持された触媒を得た。
(反応評価)
オートクレーブに上記の方法で得た触媒のうち10.5部(パラジウムとしては0.5部)を内容積330mlのオートクレーブ(東洋高圧製、型式:LC−3)に仕込み、反応溶媒としての86質量%t−ブタノール水溶液100部と、ラジカルトラップ剤としてp−メトキシフェノールを反応溶液に対して200ppmを入れ、オートクレーブを密閉した。オートクレーブ内を窒素ガスで置換し、次いで、イソブチレンを6.5部導入し、攪拌(回転数1000rpm)を開始し、110℃まで昇温した。昇温完了後、オートクレーブに窒素を内圧2.4MPaまで導入した後、圧縮空気を内圧4.8MPaまで導入した。反応中に内圧が0.2MPa低下した時点(内圧4.6MPa)で、酸素を0.2MPa導入する操作を繰り返し、酸素追加量は合計1.8MPaとした。
反応終了後、氷水浴にてオートクレーブ内を冷却した。オートクレーブのガス出口にガス捕集袋を取り付け、ガス出口を開栓して出てくるガスを回収しながら反応器内の圧力を開放した。オートクレーブから触媒入りの反応液を取り出し、メンブランフィルターで触媒を分離して、反応液を回収した。回収した反応液と捕集したガスをガスクロマトグラフィーにより分析した。
[実施例2]
尿素の量を2.3部に変更した以外は実施例1と同様の方法で触媒を製造し、反応評価を行った。このときTe/Pdは0.05、尿素/Pdは4であった。
[実施例3]
尿素の量を4.5部に変更した以外は実施例1と同様の方法で触媒を製造し、反応評価を行った。このときTe/Pdは0.05、尿素/Pdは8であった。
[実施例4]
尿素の量を6.8部に変更した以外は実施例1と同様の方法で触媒を製造し、反応評価を行った。このときTe/Pdは0.05、尿素/Pdは12であった。
[比較例1]
尿素を加えないこと以外は実施例1と同様の方法で触媒を製造し、反応評価を行った。このときTe/Pdは0.05、尿素/Pdは0であった。
[実施例5]
テルル酸を加えないこと以外は実施例1と同様の方法で触媒を製造し、反応評価を行った。このときTe/Pdは0、尿素/Pdは2であった。
[比較例2]
テルル酸を加えないこと以外は比較例1と同様の方法で触媒を製造し、反応評価を行った。このときTe/Pdは0、尿素/Pdは0であった。
[実施例6]
実施例3と同様の方法で調製した触媒前駆体について触媒の耐シンタリング性評価を行った結果を表2に示した。
[比較例3]
比較例1と同様の方法で調製した触媒前駆体について触媒の耐シンタリング性評価を行った結果を表2に示した。

以上の結果を表1および2に示す。表1に示すように本発明の貴金属含有触媒を用いることでメタクリル酸が高生産的に製造可能であることが分かった。また、表2に示すように本発明の触媒の製造方法によれば耐シンタリング性に優れた触媒を提供できる。
Figure 0005327969
Figure 0005327969

Claims (3)

  1. オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造するための貴金属含有担持触媒の製造方法であって、貴金属塩と塩基発生剤とを溶解した水溶液を得る工程(1)と、前記工程(1)で得られた水溶液を担体に含浸させる工程(2)と、前記工程(2)で得られた担体を加熱、乾燥する工程(3)と、前記工程(3)で得られた乾燥した担体を焼成して担体に貴金属酸化物が担持された触媒前駆体を得る工程(4)と、前記工程(4)で得られた触媒前駆体中の貴金属酸化物を還元する工程(5)と、を有する貴金属含有担持触媒の製造方法。
  2. 請求項1記載の方法で得られる貴金属含有触媒。
  3. 請求項2記載の貴金属含有触媒の存在下でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素によって液相中で酸化するα,β−不飽和カルボン酸の製造方法。
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