JP4922082B2 - 選択的接触還元反応用パラジウム触媒 - Google Patents

選択的接触還元反応用パラジウム触媒 Download PDF

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Description

本発明は、分子内に二重結合を有するアルケン又は三重結合を有するアルキンを、単結合のアルカンに還元するために用いられる選択的接触還元反応用パラジウム触媒に関するものである。
従来、この種の還元触媒としては、イオン性液体(1、1、3、3−テトラメチルグアニジン乳酸エステル)により、モレキュラーシーブにパラジウムのナノ粒子が固定された触媒が知られている(例えば、非特許文献1を参照)。この還元触媒は、オレフィンの水素化触媒としてその活性及び耐久性に優れた効果を発揮することができる。また、1%のパラジウムを含有するパラジウム/シリカ、パラジウム/アルミナ触媒と同様の多孔質な触媒が、選択的水素化反応に用いられることが知られている(例えば、非特許文献2を参照)。この触媒によれば、温和な条件で炭素・炭素二重結合を還元して飽和アルデヒド等が得られる。
Angewandte Chemie,International Edition、2004、43巻、第1397〜1399頁 Green Chemistry、2004、6巻、第114〜118頁
ところで、一般にニトロ基は還元されてアミノ基に変換され、エポキシ基は還元されて水酸基に変換され、アルコキシ基は還元されてアルコールに変換され、ベンジル基は還元されてトルエンに変換されるが、これらの還元反応は、アルケンやアルキンのアルカンへの還元反応に比べれば容易に進行する。このため、アルケンやアルキンなどの二重結合や三重結合のみを有する化合物を還元する場合にはそれらの官能基が還元されるが、それらの二重結合や三重結合に加えてニトロ基、エポキシ基等を有している化合物(基質)の場合には、二重結合や三重結合を選択的に還元することは困難であった。
前記非特許文献1に記載されている還元触媒は、モレキュラーシーブの細孔内においてパラジウムがイオン性液体で被覆された状態で担持されている。このため、パラジウムはモレキュラーシーブの細孔内で安定化されているものの、パラジウムが基質に対して触媒機能を十分に発現することができず、ニトロ基、エポキシ基等を有するアルケン又はアルキンについて分子内の二重結合や三重結合を選択的に還元することはできなかった。
さらに、非特許文献2に記載されている還元触媒は、その担体がゼオライトであって、細孔径がモレキュラーシーブよりも大きく、細孔が不均一である。そのため、ニトロ基、エポキシ基等を有するアルケン又はアルキンの接触還元反応を行う場合には、ゼオライトの細孔内に取り込まれる基質にばらつきが生ずると共に、細孔内における基質と還元触媒の接触にもばらつきが発生し、アルケン又はアルキンの二重結合又は三重結合を高い選択率をもって選択的に還元することは難しいという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、還元され得る官能基を有するアルケン又はアルキンを選択的に還元してアルカンを定量的に得ることができる選択的接触還元反応用パラジウム触媒を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の選択的接触還元反応用パラジウム触媒は、細孔径が3〜7Åであるモレキュラーシーブを担体とし、その細孔に金属パラジウムが露出状態で担持され、還元され得る官能基を有するアルケン又はアルキンが、還元され得る官能基としてベンジルオキシ基、エポキシ基、ニトロ基、エステル結合、ケトン基、カルボキシル基、カーバメイト基、アルデヒド基若しくはグリシジル基を有するアルケン又はアルキンであり、このアルケン又はアルキンの二重結合又は三重結合を選択的に接触還元してアルカンに変換する反応に用いられることを特徴とする。

請求項の選択的接触還元反応用パラジウム触媒は、請求項に係る発明において、前記モレキュラーシーブに対する金属パラジウムの含有量は2〜10質量%であることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の選択的接触還元反応用パラジウム触媒は、モレキュラーシーブを担体とし、その細孔に金属パラジウムが露出状態で担持されている。このため、モレキュラーシーブの細孔には金属パラジウムが露出状態で存在すると共に、還元され得る官能基を有するアルケン又はアルキンがモレキュラーシーブの細孔内に入り込み、そこでアルケン又はアルキンのπ電子が特異的に金属パラジウムに近づき、パラジウムが活性化され、アルケン又はアルキンの二重結合又は三重結合が選択的に接触還元されて単結合に変換されるものと考えられる。従って、還元され得る官能基を有するアルケン又はアルカンを選択的に還元してアルカンを定量的に得ることができる。
さらに、モレキュラーシーブの細孔径は3〜7Åであることから、適切かつ均一な大きさの細孔内で金属パラジウムが還元作用を十分に発現することができる
請求項に係る発明では、モレキュラーシーブに対する金属パラジウムの含有量が2〜10質量%であるため、モレキュラーシーブの細孔内で十分な量の金属パラジウムが還元作用を発現することができ、請求項に係る発明の効果を一層有効に発揮させることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
一般に、ニトロ基、エポキシ基等を有する化合物は、還元触媒の存在下に還元され、それぞれアミノ基、水酸基等を有する化合物に変換される。一方、二重結合を有するアルケンや三重結合を有するアルキンは、還元触媒の存在下に還元され、単結合を有するアルカンに変換される。このため、ニトロ基、エポキシ基等の還元され得る官能基と、二重結合又は三重結合との双方を有する化合物について、還元触媒の存在下に還元反応を行うと通常ニトロ基、エポキシ基等と、二重結合又は三重結合との双方が還元される。しかしながら、本実施形態の選択的接触還元反応(以下、単に還元反応ともいう)用パラジウム触媒(不均一系触媒)を用いることにより、分子内の二重結合又は三重結合を選択的に還元することができる。
係る還元反応用パラジウム触媒は、モレキュラーシーブを担体とし、その細孔に金属パラジウムが露出状態で担持されて構成されている。モレキュラーシーブは分子篩とも称され、均一な細孔径を有する多数の細孔をもち、表面積の大きな結晶性ゼオライト、すなわち結晶アルミノシリケートの含水金属塩であり、分子を大きさにより篩分けする作用を有している。金属パラジウムは、モレキュラーシーブの細孔内における内壁面に均一に吸着されているものと考えられる。ここで、露出状態とは、金属パラジウムがイオン性の液体や薄い被膜で覆われておらず、還元反応の反応原料(基質)の成分(二重結合又は三重結合)と相互作用を発現できることを意味する。
担体であるモレキュラーシーブの細孔径は1〜15Å程度であるが、パラジウム触媒により接触還元反応を選択的に行うためには3〜7Åであることが必要である。なお、細孔径は平均細孔径である。この細孔径が3Åより小さい場合には、基質によってはモレキュラーシーブの細孔内に入り込み難くなり、還元反応が十分に進行しないことがある。その一方、7Åより大きい場合には、モレキュラーシーブの細孔内に入り込んだ基質の還元反応における選択性が低下する傾向があ。なお、モレキュラーシーブはその細孔径により、細孔径3Åのものをモレキュラーシーブ3A、細孔径5Åのものをモレキュラーシーブ5Aなどと称する。
還元反応の触媒作用を発現するパラジウム(Pd)は、2価のパラジウムではなく、金属パラジウム(0価のパラジウム又は還元パラジウム)である。パラジウムは白金族元素の一つで、常温、常圧で安定な結晶構造をもつ金属である。当該パラジウムは酸化状態では還元反応の触媒作用を発現できず、還元状態となってはじめて触媒作用を発現することができる。さらに、係るパラジウムは、モレキュラーシーブの細孔内において均一に分散され、かつイオン性液体などで覆われることなく、露出状態で存在していることが必要である。パラジウムがイオン性液体などで覆われていると、パラジウムが直接基質に接触することができず、選択的な還元反応を行うことができなくなる。
モレキュラーシーブに対する金属パラジウムの含有量(担持量)は、基質の種類などに応じて適宜定められるが、2〜10質量%であることが好ましく、3〜8質量%であることがより好ましい。金属パラジウムの含有量が2質量%より少ない場合、モレキュラーシーブの細孔内における金属パラジウムの濃度が低く、金属パラジウムに基づく還元作用が不足する傾向があり、好ましくない。一方、10質量%より多い場合、還元作用は促進されるが、基質の分子内における二重結合又は三重結合のみを還元する選択性が低下する傾向を示して好ましくない。
続いて、上記の還元反応用パラジウム触媒は、以下のようにして製造される。すなわち、カルボン酸のパラジウム塩を低級アルコールに溶解した後、モレキュラーシーブを添加し、不活性ガス雰囲気下、常温にて撹拌することにより行われる。カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸(酪酸)等の一価の飽和カルボン酸、シュウ酸、クエン酸等の多価のカルボン酸等が用いられる。これらのうち、パラジウム塩の還元が容易な酢酸が最も好ましい。カルボン酸のパラジウム塩としては、例えば酢酸パラジウム〔Pd(OCOCH〕が挙げられる。また、低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール等が用いられる。これらのうち、酸化が容易なメタノールが最も好ましい。
不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム等が用いられる。この反応時間は、3〜7日程度である。該反応は、2価のパラジウムとメタノールとの酸化還元反応であり、2価のパラジウムは還元されて金属パラジウムに変換され、メタノールは酸化されてホルムアルデヒドに変換される。係る反応は、モレキュラーシーブの細孔内に酢酸パラジウムとメタノールとが入り込み、その細孔内で進行する。反応後の金属パラジウムは、モレキュラーシーブの細孔の内壁面に均一に分散され、露出状態で存在している。
次に、前記還元反応用パラジウム触媒を用い、還元され得る官能基を有するアルケン又はアルキンの選択的接触還元反応を行う場合には、還元反応用パラジウム触媒及び溶媒の存在下、常温、常圧にて水素を作用させることにより行われる。このように、還元反応を常温、常圧で行うことができるため、選択的な還元反応を簡便に行うことができる。そして、前述したように、還元反応用パラジウム触媒は、分子内に二重結合又は三重結合をもつアルケン又はアルキンから単結合をもつアルカンへの還元について選択性が極めて高く、ほとんど定量的である。
これは、以下のような理由に基づくものと推測される。すなわち、触媒機能を発現する金属パラジウムは、モレキュラーシーブの細孔内に均一に分散されると共に、露出状態で吸着されている。一方、還元され得る官能基を有するアルケン又はアルキンがモレキュラーシーブの細孔内に入り込み、そこでアルケン又はアルキンの二重結合又は三重結合を形成するπ電子が優先的に金属パラジウムに接近すると同時に、立体構造的な要因などに基づき、パラジウムの触媒機能が活性化される。その結果、アルケン又はアルキンの分子内における二重結合又は三重結合が特に選択的に還元されて単結合に変換される。
前記還元され得る官能基は、還元触媒を用いる還元反応によって還元可能な官能基である。係る官能基としては、ベンジルオキシ基、エポキシ基、ニトロ基、エステル結合、ケトン基、カルボキシル基、カーバメート基、アルデヒド基等が含まれる。還元され得る官能基を有するアルケン又はアルキンとしては、前記還元され得る官能基と二重結合又は三重結合とを有する芳香族化合物又は脂肪族化合物が挙げられる。
溶媒としては、アルコール系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒等が用いられる。アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、重メタノール(CDOD)、エタノール、ブタノール等の低級アルコールが好ましい。ニトリル系溶媒としては、例えばアセトニトリル(CHCN)等が挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば酢酸エチル等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン等が挙げられる。
これらの溶媒のうち、溶媒から生成する水素(又は重水素)によって還元反応を促進することができる観点から、アルコール系溶媒又は二トリル系溶媒が好ましい。アルコール系溶媒は還元反応が強く作用するように働くため、二重結合又は三重結合をもつアルケン又はアルキンから単結合をもつアルカンへの選択的還元が不十分になる傾向がある。そのような場合には、還元反応の作用がアルコール系溶媒に比べて弱いニトリル系溶媒を使用することが好ましい。
還元反応の反応時間としては、基質の種類、反応条件などによって適宜定められるが、1〜48時間が好ましく、3〜24時間がより好ましい。水素の圧力は常圧でよいが、0.3MPa以下の加圧状態であってもよい。また、還元反応用パラジウム触媒の使用量は、還元反応の基質に対して5〜15質量%であることが好ましい。この使用量が5質量%より少ない場合には、パラジウム触媒による還元反応の促進を十分に果たすことができなくなる。一方、15質量%より多い場合には、還元反応の触媒作用が強く作用し、二重結合又は三重結合を有するアルケン又はアルキンから単結合を有するアルカンへの還元反応の選択性が悪くなる傾向を示す。
還元反応後には、反応生成物を濾過することにより、還元反応用パラジウム触媒が除去され、目的とする還元生成物のアルカンが得られる。除去されたパラジウム触媒は、再使用することが可能である。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような作用及び効果が発揮される。
・ 本実施形態における還元反応用パラジウム触媒は、モレキュラーシーブを担体とし、その細孔に金属パラジウムが露出状態で担持されている。このため、基質として還元され得る官能基を有するアルケン又はアルキンがモレキュラーシーブの細孔内に入ったとき、そこで金属パラジウムが基質の二重結合又は三重結合と特異的な相互作用を発現する。従って、当該還元反応用パラジウム触媒は、還元され得る官能基を有するアルケン又はアルカンの二重結合又は三重結合のみを選択的に還元して単結合とすることができ、還元生成物であるアルカンを定量的に得ることができる。
・ モレキュラーシーブの細孔径が3〜7Åであることにより、適切かつ均一な大きさの細孔内で金属パラジウムが還元作用を十分に発現することができ、前記還元反応用パラジウム触媒の効果をより有効に発揮させることができる。
・ モレキュラーシーブに対する金属パラジウムの含有量が2〜10質量%であることにより、モレキュラーシーブの細孔内で十分な量の金属パラジウムが還元作用を発現することができ、前記接触還元反応用パラジウム触媒の効果を一層有効に発揮させることができる。
・ 還元反応用パラジウム触媒の製造方法は、酢酸パラジウムをメタノールに溶解した後、モレキュラーシーブを添加し、不活性ガス雰囲気下、常温にて撹拌するものである。このため、前記効果を有する還元反応用パラジウム触媒を、簡単な操作で容易に製造することができる。
・ 選択的接触還元方法においては、還元され得る官能基を有するアルケン又はアルキンに、前記接触還元反応用パラジウム触媒及び溶媒の存在下、常温、常圧にて水素を作用させ還元反応が行われる。このため、常温、常圧という最も容易な条件下で還元反応を実施することができ、還元反応用パラジウム触媒の効果を発揮することができる。
・ 前記溶媒がアルコール系溶媒又は二トリル系溶媒であることにより、溶媒から生成する水素によって還元反応を促進させることができる。
以下、製造例、参考例及び実施例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら製造例及び実施例の範囲に限定されるものではない。
(製造例1)
選択的接触還元反応用パラジウム触媒の製造を以下のようにして実施した。すなわち、細孔径5Åのモレキュラーシーブ(以下、モレキュラーシーブ5Aという)を用意した。そして、不活性ガスとしてアルゴン(Ar)を満たしたフラスコに酢酸パラジウムを555mg(2.47mmol)量り取り、メタノール30mlに溶解した。この溶液中にモレキュラーシーブ5Aを、金属パラジウムの含有量が5質量%になるように5.00g添加し、アルゴン雰囲気下に室温で、上澄みが透明になるまで6日間攪拌を続けた。そして、得られた灰白色の粉末を吸引濾過した後、メタノール(20mlずつ2回)及び水(20mlずつ2回)の順に洗浄し、次いでデシケータ中で減圧下、室温にて3日間乾燥した。
その結果、+2価のパラジウムがほぼ定量的に還元されて金属パラジウム(0価のパラジウム、還元パラジウム)に変換され、選択的接触還元反応用パラジウム触媒(以下、5%Pd/MS5Aと称する)が得られた。この場合、酢酸パラジウムとメタノールとの酸化還元反応により、+2価のパラジウムが還元されて金属パラジウムに変換されると同時に、メタノールが酸化されてホルムアルデヒドに変換されたものと考えられる。
(製造例2及び3)
製造例2では、製造例1において、細孔径3Åのモレキュラーシーブ(以下、モレキュラーシーブ3Aという)を用い、該モレキュラーシーブに対する金属パラジウムの含有量を10質量%に変更した以外は、製造例1と同様に操作して選択的接触還元反応用パラジウム触媒(以下、10%Pd/MS3Aと称する)を定量的に得た。
また、製造例3では、製造例1において、細孔径4Åのモレキュラーシーブ(以下、モレキュラーシーブ4Aという)を用い、モレキュラーシーブに対する金属パラジウムの含有量を10質量%に変更した以外は、製造例1と同様に操作して選択的接触還元反応用パラジウム触媒(以下、10%Pd/MS4Aと称する)を定量的に得た。
(製造例4)
この製造例4では、製造例1において、モレキュラーシーブ3Aを用いた以外は、製造例1と同様に操作して選択的接触還元反応用パラジウム触媒(以下、5%Pd/MS3Aと称する)を定量的に得た。
(実施例1、2及び参考例1、ベンジルオキシ基を含むアルケンの接触還元)
実施例1では、メトキシ基とベンジルオキシ基とを有する芳香族アルケン(基質)としての1−ベンジルオキシ−2−メトキシ−4−(1−プロペン−1−イル)ベンゼン〔1-Benzyloxy-2-methoxy-4-(1-propene-1-yl)benzene〕127mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの12.7mg(基質に対して10質量%)をアセトニトリル(CHCN)に懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮することにより、1−ベンジルオキシ−2−メトキシ−4−プロピルベンゼン〔1-Benzyloxy-2-methoxy-4-propylbenzene〕が転化率100%で得られた。この芳香族アルカンの収量は125mg(収率98%)であった。なお、上記の芳香族アルケンはトランス体である。
すなわち、下記の反応式(1)に示すように、芳香族アルケンのメトキシ基とベンジルオキシ基は全く還元されることなく、アルケンの二重結合のみが全て還元された。このように、アルケンが選択的に還元され、高収率でアルカンが得られたのは、モレキュラーシーブの細孔内に金属パラジウムが均一かつ十分に分散されると同時に、モレキュラーシーブの細孔内にアルケンが入り込み、そのアルケンのπ電子が金属パラジウムに近づいて選択的に還元されたものと推測される。
Figure 0004922082
また、実施例2では、ベンジルオキシ基を有する脂肪族アルケン(基質)としてのシス−3−ヘキセニルベンジルエーテル〔cis-3-Hexenyl Benzyl ether〕95mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの9.5mg(基質に対して10質量%)をメタノール(CHOH)1.0mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮することにより、ベンジル−n−ヘキシルエーテル〔Benzyl n-hexyl ether〕が転化率100%で得られた。この脂肪族アルケンの収量は91mg(収率96%)であった。なお、脂肪族アルケンはシス体である。
すなわち、下記の反応式(2)で示されるように、脂肪族アルケンのベンジルオキシ基は全く還元されることなく、アルケンの二重結合のみが還元され、還元生成物が得られた。
Figure 0004922082
次に、参考例1では、ベンジルオキシ基と芳香族ケトン基とを有する芳香族化合物(基質)としての4−(ベンジルオキシ)ベンゾフェノン〔4-(Benzyloxy)benzophenone〕72mg(250μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの7.2mg(基質に対して10質量%)をメタノール0.5mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮することにより、4−(ベンジルオキシ)ベンゾフェノン72mg(回収率100%)を回収した。
すなわち、下記の反応式(3)で示されるように、芳香族化合物のベンジルオキシ基と芳香族ケトン基は全く還元されることなく、そのまま残存した。
Figure 0004922082
(実施例3及び参考例2〜4、エポキシ基を有するアルケン等の接触還元)
実施例3では、エポキシ基を有する脂肪族アルケン(基質)としての1,2−エポキシ−9−デセン(1,2-Epoxy-9-decene)77mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの7.7mg(基質に対して10質量%)をメタノール1.0mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮することにより、1,2−エポキシデカン(1,2-Epoxydecane)が転化率100%で得られた。この脂肪族アルカンの収量は70mg(収率91%)であった。
すなわち、下記の反応式(4)に示すように、脂肪族アルケンのエポキシ基は全く還元されることなく、アルケンの二重結合のみが全て還元され、還元生成物(アルカン)が得られた。
Figure 0004922082
次に、参考例2では、エポキシ基を有する芳香族化合物(基質)としてのグリシジルフェニルエーテル(Glycidyl phenyl ether)136mg(1mmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの13.6mg(基質に対して10質量%)をメタノール2.0mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮することにより、グリシジルフェニルエーテル136mg(回収率100%)を回収した。
すなわち、下記の反応式(5)で示されるように、芳香族化合物のエポキシ基は全く還元されることなく、そのまま残存した。
Figure 0004922082
参考例3では、エポキシ基とハロゲンとしての塩素原子を有する芳香族化合物(基質)としての4−クロロフェニルグリシジルエーテル(4-Chlorophenyl glycidyl ether)92mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの9.2mg(基質に対して10質量%)をメタノール1.0mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮したところ、4−クロロフェニルグリシジルエーテルは全く還元されず、回収量は76mg(回収率83%)であった。
すなわち、下記の反応式(6)で示されるように、芳香族化合物のエポキシ基と塩素原子は、通常の還元反応では容易に還元されて水酸基及び炭化水素になるが、製造例1の還元触媒はアルケンに対して選択的還元を行う触媒であるため、還元反応は全く行われず、元の芳香族化合物がそのまま残存した。
Figure 0004922082
参考例4では、エポキシ基とニトロ基を有する芳香族化合物(基質)としての4−ニトロフェニルグリシジルエーテル(4-Nitrophenyl glycidyl ether)98mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの9.2mg(基質に対して10質量%)をメタノール1.0mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮したところ、4−ニトロフェニルグリシジルエーテルは全く還元されず、その回収量は93mg(回収率95%)であった。
すなわち、下記の反応式(7)で示されるように、芳香族化合物のエポキシ基とニトロ基は、通常の還元反応では容易に還元されて水酸基及びアミノ基に変換されるが、製造例1の還元触媒はアルケンに対して選択的還元を行う触媒であるため、還元反応は全く行われず、元の芳香族化合物がそのまま残存した。
Figure 0004922082
(実施例4及び5、ベンジルエステルの接触還元)
実施例4では、ベンジルエステル(基質)としてのベンジルシンナメート(Benzyl cinnamate)60mg(250μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの5.9mg(基質に対して10質量%)をアセトニトリル0.5mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で3時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮することにより、ベンジル−3−フェニルプロパノエート(Benzyl-3-phenylpropanoate)が転化率100%で得られた。その還元生成物の収量は55mg(収率92%)であった。
すなわち、下記の反応式(8)に示すように、ベンジルエステルのエステル結合とフェニル基は全く還元されることなく、アルケンの二重結合のみが全て還元され、還元生成物(アルカン)が得られた。
Figure 0004922082
また、実施例5では、ベンジルエステル(基質)としてのベンジルメタクリレート(Benzyl methacrylate)88mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの8.8mg(基質に対して10質量%)をメタノール1.0mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮することにより、ベンジルイソブチレート(Benzyl isobutylate)が転化率100%で得られた。このアルカンの収量は70mg(収率80%)であった。
すなわち、下記の反応式(9)に示すように、ベンジルエステルのエステル結合は全く還元されることなく、アルケンの二重結合の全てが還元され、還元生成物(アルカン)が得られた。
Figure 0004922082
(実施例6及び7、芳香族ケトンの接触還元)
実施例6では、下記の化学式で表されるフェニル基及びジエン結合を有する芳香族ケトン(基質)としての1,5−ジフェニル−2,4−ペンタジエン−1−オン(1,5-Diphenyl-2,4-pentadien-1-on)117mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの11.7mg(基質に対して10質量%)をメタノール1.0mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮することにより、1,5−ジフェニル−1−ペンタノン(1,5-Diphenyl-2,4-pentadien-1-on)が転化率100%で得られた。その還元生成物(アルカン)の収量は117mg(収率100%)であった。
すなわち、下記の反応式(10)に示すように、芳香族ケトンのケトン基は全く還元されることなく、ジエンの二重結合の全てが還元され、アルカンが得られた。
Figure 0004922082
実施例7では、ビニル基及びフェノール性水酸基を有する芳香族ケトン(基質)としての3−アリル−4−ヒドロキシアセトフェノン(3-Allyl-4-hydroxyacetophenone)88mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの8.8mg(基質に対して10質量%)をメタノール1.0mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮することにより、4−ヒドロキシ−3−プロピルアセトフェノン(4-Hydroxy-3-propylacetophenone)が転化率100%で得られた。その還元生成物(アルカン)の収量は87mg(収率98%)であった。
すなわち、下記の反応式(11)に示すように、芳香族ケトンのフェノール性水酸基は全く還元されることなく、ビニル基の二重結合の全てが還元され、アルカンが得られた。
Figure 0004922082
(実施例8、脂肪族カーバメート化合物の接触還元)
この実施例8では、両末端にビニル基を有するカーバメート化合物(基質)としてのベンジルN,N−ジアリルカーバメート(Benzyl N,N-diallylcarbamate)116mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの11.6mg(基質に対して10質量%)をメタノール1.0mlと共に、圧力計付き封管中で懸濁させ、水素置換した後、0.3MPa(3気圧)、室温下で3時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮することにより、ベンジルN,N−ジプロピルカーバメート(Benzyl N,N-dipropylcarbamate)が転化率100%で得られた。その還元生成物(アルカン)の収量は109mg(収率94%)であった。
すなわち、下記の反応式(12)に示すように、脂肪族カーバメート化合物のカーバメート基は全く還元されることなく、両末端のビニル基の二重結合のみが全て還元され、還元生成物としてアルカンが得られた。
Figure 0004922082
(実施例9〜11、ニトロ基を有するアルケン又はアルキンの接触還元)
実施例9では、ニトロ基及びビニル基を有する脂肪族アルケン(基質)としての6−ニトロ−1−ヘキセン(6-Nitro-1-hexene)65mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの6.5mg(基質に対して10質量%)を重メタノール(CDOD)1.0mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で3時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮することによって、1−ニトロヘキサン(1-Nitrohexane)が転化率100%で得られた。この還元生成物(アルカン)の変換収率は100%であった。該還元生成物の構造及び変換収率については、H−NMR(核磁気共鳴スペクトル分析)によって確認した。
すなわち、下記の反応式(13)に示すように、脂肪族アルケンのニトロ基は全く還元されることなく、ビニル基の二重結合のみが全て還元され、還元生成物(アルカン)が得られた。
Figure 0004922082
実施例10では、ニトロ基及び三重結合を有するアルキン(基質)としての4−ニトロフェニル酢酸3−ブチニルエステル(4-Nitrophenylacetic acid 3-butynyl ester)117mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの11.7mg(基質に対して10質量%)をメタノール1.0mlと共に、圧力計付き封管中で懸濁させ、水素置換した後、0.3MPa(3気圧)、室温下で19時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮したところ、4−ニトロフェニル酢酸ブチルエステル(4-Nitrophenylacetic acid butyl ester)が転化率100%で得られた。その還元生成物(アルカン)の収量は105mg(収率95%)であった。
すなわち、下記の反応式(14)に示すように、アルキンのニトロ基は全く還元されることなく、三重結合のみが還元され、還元生成物としてアルカンが得られた。
Figure 0004922082
実施例11では、ニトロ基及びエステル結合を有するアルケン(基質)としての4−ニトロシンナム酸エチルエステル(4-Nitrocinnamic acid ethyl ester)111mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの11.1mg(基質に対して10質量%)をメタノール1.0mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮したところ、4−ニトロフェニルプロパン酸エチルエステル(4-Nitrophenylpropanoic acid ethyl ester)が転化率100%で得られた。その還元生成物(アルカン)の収量は103mg(収率93%)であった。
すなわち、下記の反応式(15)に示すように、アルケンのニトロ基及びエステル結合は全く還元されることなく、ビニル基の二重結合のみが還元され、還元生成物としてアルカンが得られた。
Figure 0004922082
(実施例12、芳香族アルデヒドの接触還元)
この実施例12では、末端にビニル基を有する芳香族アルデヒド(基質)としての4−(アリロキシ)ベンズアルデヒド〔4-(Allyloxy)benzaldehyde〕81mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの8.1mg(基質に対して10質量%)をメタノール1.0mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮したところ、4−プロピロキシベンズアルデヒド(4-Propyloxybenzaldehyde)が転化率100%で得られた。その還元生成物(アルカン)の収量は76mg(収率94%)であった。
すなわち、下記の反応式(16)に示すように、芳香族アルデヒドのアルデヒド基は全く還元されることなく、ビニル基の二重結合のみが還元され、還元生成物としてアルカンが得られた。
Figure 0004922082
(実施例13及び14、モレキュラーシーブの細孔径及び金属パラジウムの含有量を変更した場合におけるベンジルエステルの接触還元)
実施例13では、ベンジルエステル(基質)としてのベンジルシンナメート(Benzyl cinnamate)60mg(250μmol)及び還元触媒として製造例2で得た10%Pd/MS3Aの6.0mg(基質に対して10質量%)をメタノール1.0mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で3時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮したところ、ベンジル3−フェニルプロパノエート(Benzyl3-phenylpropanoate)が転化率100%で得られた。その還元生成物(アルカン)の収量は44mg(収率74%)であった。
このように、実施例13ではモレキュラーシーブとして細孔径が3Åのものを用い、かつ金属パラジウムの含有量が10質量%のものを用いたところ、前記反応式(8)に示すように、ベンジルエステルのエステル結合とフェニル基は全く還元されることなく、アルケンの二重結合のみが全て還元され、還元生成物(アルカン)が得られた。
また、実施例14では、還元触媒として製造例3で得た10%Pd/MS4Aを用いた以外は実施例13と同様に実施した。その結果、ベンジル3−フェニルプロパノエート(Benzyl3-phenylpropanoate)が転化率100%で得られた。その還元生成物(アルカン)の収量は56mg(収率93%)であった。この場合にも、前記反応式(8)に示すように、ベンジルエステルのエステル結合とフェニル基は全く還元されることなく、アルケンの二重結合のみが全て還元され、還元生成物としてアルカンが得られた。
(実施例15及び16、モレキュラーシーブの細孔径を変更した場合におけるグリシジルエステルの接触還元)
実施例15では、グリシジル基を有する脂肪族アルケン(基質)としてのグリシジルメタクリレート(Glycidyl methacrylate)71mg(500μmol)及び還元触媒として製造例1で得た5%Pd/MS5Aの7.1mg(基質に対して10質量%)をメタノール1.0mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。次いで、還元触媒をメンブランフィルタで濾別し、濾液を減圧濃縮したところ、グリシジルイソブチレート(Glycidyl isobutylate)が転化率100%で定量的に得られた。得られたグリシジルイソブチレートの収量は66mg(収率91%)であった。
すなわち、下記の反応式(17)に示すように、脂肪族アルケンのグリシジル基は全く還元されることなく、エキソメチレン(アルケン)の二重結合のみが全て還元され、還元生成物(アルカン)が得られた。
Figure 0004922082
実施例16では、実施例15において、還元触媒として製造例4で得た5%Pd/MS3Aを用いた以外は実施例15と同様に接触還元反応を行った。その結果、生成物はグリシジルイソブチレートが90%(転化率90%)で、未反応のグリシジルメタクリレートが10%であった。実施例15と16とを比較すると、モレキュラーシーブの細孔径が5Åである還元触媒を用いた場合(実施例15)の方が、モレキュラーシーブの細孔径が3Åである還元触媒を用いた場合(実施例16)に比べ、アルケンの還元について高い活性を示した。
(実施例17、モレキュラーシーブの細孔径を変更した場合におけるベンジルエステルの接触還元)
この実施例17では、前記実施例5において、還元触媒として製造例4で得た5%Pd/MS3Aを用いた以外は実施例5と同様に接触還元反応を行った。その結果、生成物はベンジルイソブチレートが85%(転化率85%)で、未反応のベンジルメタクリレートが15%であった。この実施例17を実施例5と比較すると、モレキュラーシーブの細孔径が5Åである還元触媒を用いた場合(実施例5)の方が、モレキュラーシーブの細孔径が3Åである還元触媒を用いた場合(実施例17)に比べ、アルケンの還元について高い活性を示した。
(実施例18、モレキュラーシーブの細孔径を変更した場合における脂肪族カーバメート化合物の接触還元)
この実施例18では、前記実施例8において、還元触媒として製造例4で得た5%Pd/MS3Aを用いた以外は実施例8と同様に接触還元反応を行った。その結果、ベンジルN,N−ジアリルカーバメートが全て還元され、生成物としてベンジルN,N−ジプロピルカーバメートが転化率100%で得られた。この実施例18を実施例8と比較すると、モレキュラーシーブの細孔径が5Åである還元触媒を用いた場合(実施例8)と、モレキュラーシーブの細孔径が3Åである還元触媒を用いた場合(実施例18)とでアルケンの還元について全く同じ活性を示した。
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 基質として、二重結合のみを有するアルケン又は三重結合のみを有するアルキンが含まれている混合物を使用することもできる。
・ 基質として、還元され得る官能基を有するアルケンと、還元され得る官能基を有するアルキンとの混合物を用いることもできる。
・ 還元反応用パラジウム触媒として、モレキュラーシーブの細孔径の異なるものを複数種類組合せて得られたものを使用することも可能である。
・ 還元反応を加熱条件下に行ない、反応を促進させることも可能である。

Claims (2)

  1. 細孔径が3〜7Åであるモレキュラーシーブを担体とし、その細孔に金属パラジウムが露出状態で担持され、還元され得る官能基を有するアルケン又はアルキンが、還元され得る官能基としてベンジルオキシ基、エポキシ基、ニトロ基、エステル結合、ケトン基、カルボキシル基、カーバメイト基、アルデヒド基若しくはグリシジル基を有するアルケン又はアルキンであり、このアルケン又はアルキンの二重結合又は三重結合を選択的に接触還元してアルカンに変換する反応に用いられることを特徴とする選択的接触還元反応用パラジウム触媒
  2. 前記モレキュラーシーブに対する金属パラジウムの含有量は2〜10質量%であることを特徴とする請求項1に記載の選択的接触還元反応用パラジウム触媒。
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