JP5786621B2 - 選択的水素化用触媒、その製造方法及びそれを用いる選択的水素化法。 - Google Patents

選択的水素化用触媒、その製造方法及びそれを用いる選択的水素化法。 Download PDF

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Description

本発明は、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、アジド基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する有機化合物を湿式で水素化処理することにより、前記の官能基を選択的に水素化可能なパラジウム系選択的水素化用触媒、その製造方法、それを使用する選択的水素化法に関するものである。
水素化は有機化学においては標準的な反応であり、生じる生成物は数々の製品として市販されて利用されている。
このような水素化又は水素化分解を受ける官能基を複数種類持つ化合物は多く存在し、それらの官能基のうちの一部のみを選択的に水素化又は水素化分解する触媒は知られている。例えば、非特許文献1には、炭素粉末にエチレンジアミンをパラジウムと共に担持させた触媒が記載されているが、該触媒を使用するとベンジルエーテルのO−ベンジル基及びN−ベンジルオキシカルボニル基からなる群の中の少なくとも一つの官能基存在下でこれらの官能基を水素化分解せずに、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、芳香族ホルミル基、及び芳香族ニトロ基からなる群の中の少なくとも一つの官能基を水素化することができる。しかしながら、芳香族ケトン性カルボニル基や、O―ベンジル基でもベンジルエステルのO−ベンジル基は水素化分解を受けてしまうという問題点があった。
特許文献1には、有機硫黄化合物で被毒することにより、さらに活性を低下させたパラジウム触媒を用いることにより非特許文献1で見られた問題点を解決できることが記載されている。すなわち、特許文献1記載の触媒は、芳香族ケトン性カルボニル基や、ベンジルエステルのO−ベンジル基を水素化分解することなく、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、芳香族ホルミル基、及び芳香族ニトロ基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を水素化することができることが記載されている。
しかし、上記の触媒では炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、芳香族ニトロ基はいずれも容易に水素化されてしまうが、これらのうちの一つあるいは二つを選択的に水素化することは困難であり、このような選択的な水素化方法の登場が望まれている。すなわち、芳香族ニトロ基を水素化せずして、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合を水素化する触媒、あるいは芳香族ニトロ基や炭素−炭素二重結合を水素化せずして、炭素−炭素三重結合を炭素―炭素二重結合に水素化する触媒が求められている。しかしながら、従来の技術ではこのような選択的水素化反応は非常に困難である。
なお、芳香族ニトロ基や炭素−炭素二重結合を水素化せずして、炭素−炭素三重結合を炭素―炭素二重結合に水素化する触媒としてはリンドラー触媒が広く用いられているが、末端アルキンへの適用が難しくという問題点があった(非特許文献2)。さらにこの触媒は鉛を含んでおり、環境や人体への影響を考えるとこの触媒を使用は好ましいものではなかった。
特開2007−152199号公報
Chem. Commun., 1999, 1041 Org. Synth., Coll. Vol.5, 880 (1973)
そこで本発明の課題は、芳香環結合ハロゲン原子、O−ベンジル基、芳香族カルボニル基、N−ベンジルオキシカルボニル基、エポキシ基、水酸基、トリアルキルシロキシ基、アルコキシ基及び/又は芳香族ニトロ基が同一化合物内に存在していてもこれらを水素化又は水素化分解することなく、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合及びアジド基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を選択的に水素化する新規な触媒、該触媒の製造方法、及び該触媒を使用する水素化方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題が以下の発明により解決されることを見いだした。
即ち、本発明は、第一に、窒化ホウ素を含む担体と、該担体に担持されパラジウムを含む活性成分とを含む選択的水素化用触媒を提供する。
本発明は第二に、
溶液中で可溶性パラジウム化合物と窒化ホウ素粒子とを接触させて該パラジウム化合物を窒化ホウ素粒子に担持させることを含む、上記の選択的水素化用触媒の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、第三に、
上記触媒の存在下で、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合及びアジド基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する有機化合物を、湿式で水素化処理することにより、前記の官能基を選択的に水素化することを含む、選択的水素化法(接触還元法(1))を提供する。
さらに、本発明は、第四に、
上記触媒及びアミン化合物の存在下で、炭素−炭素三重結合を有する有機化合物を、湿式で水素化処理することにより、前記炭素−炭素三重結合を炭素−炭素二重結合へ部分水素化することを含む、選択的水素化法(接触還元法(2))を提供する。
本発明の官能基選択的水素化触媒及び水素化方法(接触還元法(1)、(2))を用いれば、芳香環結合ハロゲン原子、O−ベンジル基、芳香族カルボニル基、N−ベンジルオキシカルボニル基、エポキシ基及び/又は芳香族ニトロ基が同一有機化合物内に存在していてもこれらを水素化又は水素化分解することない。そして、接触還元法(1)によれば、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、アジド基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を選択的に完全に水素化することができる。また、接触還元法(2)によれば、有機化合物中に存在する炭素−炭素三重結合を炭素−炭素二重結合に選択的に部分的水素化還元が可能で、この場合、有機化合物に炭素−炭素二重結合又はアジド基が存在してもこれらは水素化されない選択的部分水素化が行われる。
さらには、本触媒とアミン化合物の存在下で水素化を行うことにより、炭素−炭素三重結合を炭素−炭素二重結合へ部分水素化することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
以下、本願の特許請求の範囲及び明細書においては、下記の用語は以下の通りの意味で用いられる。
・「芳香族ニトロ基」:芳香族の炭化水素環又は複素環に結合したニトロ基。
・「芳香環結合ハロゲン原子」:芳香族の炭素環又は複素環に結合したハロゲン原子。
・「芳香族カルボニル基」:ケトンを構成するカルボニル基であって、該カルボニル基が結合する二つの炭素原子のうちの少なくとも一方が芳香族の炭素環又は複素環の一員であるカルボニル基。
・「O−ベンジル基」:酸素原子(O)に結合したベンジル基。
・「N−ベンジルオキシカルボニル基」:窒素原子(N)に結合したベンジルオキシカルボニル基。
・「常温」:約15〜約30℃の範囲の温度
<選択的水素化用触媒>
本発明に使用する還元反応用パラジウム触媒は、窒化ホウ素を担体とし、この担体にパラジウム成分が担持されているものである。このように担持されているパラジウム成分は、金属状態でも酸化物の状態でもよいが、担体の表面に金属パラジウムが露出状態で担持されていることが好ましい。ここで、露出状態とは、金属パラジウムがイオン性の液体や薄い被膜で覆われておらず、還元反応の反応原料(基質)の成分と接触して相互作用を発現できることを意味する。
担体である窒化ホウ素は粒子状態であり、その比表面積は、0.1〜1000 m2/gが好ましく、0.5〜100 m2/gが特に好ましい。ここで比表面積はBET法で測定した値である。
また、担体の粒径は、メジアン径で0.01〜500μmの範囲であることが好ましく、0.1〜200μmが特に好ましい。
<触媒の製造方法>
上記パラジウム触媒の製造は、溶液中で可溶性パラジウム化合物と窒化ホウ素粒子とを接触させて該パラジウム化合物を窒化ホウ素粒子に担持させることにより製造することができる。例えば、パラジウム化合物を溶媒に溶解し、当該溶液中に担体である窒化ホウ素を投入し、パラジウム化合物を吸着又は含浸することにより行う。
溶媒としてはパラジウム化合物が水溶性であれば水を用いることができ、非水溶性で有機溶媒に可溶であれば、有機溶媒を使用することができる。このようなパラジウム化合物は特に限定されない。より具体的には、パラジウム化合物が塩化パラジウム酸など水溶性の場合には水を溶媒として用いることができる。パラジウム化合物が、ビス(2,4−ペンタンジオナト)パラジウムなど非水溶性の場合には、当該パラジウム化合物を溶解する有機溶媒を用いて吸着又は含浸することができる。パラジウムを吸着又は含浸などの方法で担体に担持した触媒は、必要に応じて還元処理を実施してもよい。湿式で還元する場合には、メタノール、ホルムアルデヒド、蟻酸などの還元剤のほか、ガス状水素を用いることができる。乾式で還元する場合にはガス状水素を用いて行うが、水素ガスを窒素等の不活性ガスで希釈して使用することも可能である。
本発明のパラジウム触媒の最も好ましい製造法は、カルボン酸のパラジウム塩を低級アルコール中にて担体である窒化ホウ素に担持する方法である。すなわち、カルボン酸のパラジウム塩を低級アルコールに溶解した後、窒化ホウ素を添加し、不活性ガス雰囲気下、常温にて撹拌することにより行われる。カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸(酪酸)等の一価の飽和カルボン酸、シュウ酸、クエン酸等の多価のカルボン酸等が用いられる。これらのうち、パラジウム塩の還元が容易な酢酸が最も好ましい。カルボン酸のパラジウム塩としては、例えば酢酸パラジウム〔Pd(OCOCH〕が挙げられる。また、低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール等が用いられる。これらのうち、酸化が容易なメタノールが最も好ましい。
不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム等が用いられる。この反応時間は、3〜7日程度である。該反応は、2価のパラジウムとメタノールとの酸化還元反応であり、2価のパラジウムは還元されて金属パラジウムに変換され、メタノールは酸化されてホルムアルデヒドに変換される。係る反応は、モレキュラーシーブの細孔内に酢酸パラジウムとメタノールとが入り込み、その細孔内で進行する。反応後の金属パラジウムは、モレキュラーシーブの細孔の内壁面に均一に分散され、露出状態で存在している。
窒化ホウ素に対する金属換算のパラジウムの含有量(担持量)は、基質の種類などに応じて適宜定められるが、触媒総重量に対して0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。金属パラジウムの含有量が少なすぎると、金属パラジウムの濃度が低く、十分な反応速度を得るには多量の触媒が必要となり、好ましくない。一方、金属パラジウムの含有量が多すぎると、パラジウム粒子と窒化ホウ素の相互作用が少なく、窒化ホウ素を担体として使用する効果が小さくなり、選択性が低下する傾向を示すため好ましくない。
<選択的水素化法(1)>
この方法は、触媒の存在下で、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合及びアジド基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する有機化合物を、湿式で水素化処理することにより、前記の官能基を選択的に水素化することを含む、選択的水素化法である。
前記還元反応用パラジウム触媒を用い、通常還元され得る官能基を有するアルケン又はアルキン等の有機化合物の水素化処理することによる、選択的接触還元反応を行う場合には、還元反応用パラジウム触媒及び溶媒の存在下、常温、常圧にて水素(水素ガス)を作用させることにより行われる。このように、還元反応を常温、常圧で行うことができるため、選択的な還元反応を簡便に行うことができる。そして、前述したように、還元反応用パラジウム触媒は、分子内に二重結合又は三重結合をもつ、アルケン又はアルキン等の有機化合物から単結合をもつアルカン等の有機化合物への還元について選択性が極めて高く、ほとんど定量的である。
溶媒は、基質を溶解するものであれば何でも良く、特に限定されないが、アルコール系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒等が用いられる。アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、重メタノール(CDOD)、エタノール、ブタノール等の低級アルコールが挙げられる。ニトリル系溶媒としては、例えばアセトニトリル(CHCN)等が挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば酢酸エチル等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン等が挙げられる。
この方法によれば、基質である有機化合物が芳香環結合ハロゲン原子、O−ベンジル基、芳香族カルボニル基、N−ベンジルオキシカルボニル基、エポキシ基、水酸基、トリアルキルシロキシ基、メトキシ基などのアルコキシ基及び/又は芳香族ニトロ基を有していてもこれらの官能基は水素化されない。本発明ではアルキルエーテルは切断されず、アルコキシ基についてはメトキシ基の他、エトキシ基などの炭素数の多いアルコキル基も水素化されない。
還元反応の反応時間としては、基質の種類、反応条件などによって適宜定められるが、1〜48時間が好ましく、3〜24時間がより好ましい。水素の圧力は常圧でよいが、0.3MPa以下の加圧状態であってもよい。また、還元反応用パラジウム触媒の使用量は、還元反応の基質に対し、パラジウムとして0.01〜10mol%であることが好ましい。この使用量が0.01mol%より少ない場合には、パラジウム触媒による還元反応の促進を十分に果たすことができなくなる。一方、10mol%より多い場合には、高価なパラジウム金属を多量に使用するため製造プロセスとして経済的に好ましくない。
還元反応後には、反応生成物を濾過することにより、還元反応用パラジウム触媒が除去され、目的とする還元生成物が得られる。除去されたパラジウム触媒は、再使用することが可能である。
<選択的水素化法(2)>
この方法は、触媒及びアミン化合物の存在下で、炭素−炭素三重結合を有する有機化合物を、湿式で水素化処理することにより、前記炭素−炭素三重結合を炭素−炭素二重結合へ部分水素化することを含む、選択的水素化法である。
この方法は、基質が炭素−炭素三重結合を有する有機化合物であること、触媒とともに、アミン化合物の存在下で反応を行うこと、その結果、水素化が炭素−炭素三重結合の炭素−炭素二重結合へ部分水素化に止まる点において、選択的水素化法(1)と相違するが、その他の反応条件は選択的水素化法(1)について説明した通りでよい。
使用することができるアミン化合物としては、例えば、ピリジン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ジエチレントリアミンが挙げられ、好ましくは1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ジエチレントリアミンである。
アミンの存在量は基質である有機化合物に対して0.1〜10,000モル%の範囲でよく、好ましくは10〜1,000モル%の範囲である。
この方法においては、基質である上記炭素−炭素三重結合を含む有機化合物が、該炭素−炭素三重結合を分子の末端に有する場合に特に有効である。
また、この方法では、触媒の存在下で、炭素−炭素三重結合を有する有機化合物を選択的に水素化し、基質である有機化合物が芳香環結合ハロゲン原子、O−ベンジル基、芳香族カルボニル基、N−ベンジルオキシカルボニル基、エポキシ基、炭素−炭素二重結合、アジド基、水酸基、トリアルキルシロキシ基、アルコキシ基及び/又は芳香族ニトロ基を有していてもこれらの官能基は水素化されない。
以下、製造例、参考例及び実施例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら製造例及び実施例の範囲に限定されるものではない。以下において、室温は25℃であった。
[製造例1]
(Pd/BN触媒の製造例)
選択的水素化反応用パラジウム触媒の製造は以下のようにして実施した。すなわち、窒化ホウ素(和光純薬工業(株)製)を用意した。そして、不活性ガスとしてアルゴン(Ar)を満たしたフラスコに酢酸パラジウムを56.1mg(0.25mmol)量り取り、メタノール30mlに溶解した。この溶液中に窒化ホウ素を5.32g添加し、アルゴン雰囲気下に室温で、上澄みが透明になるまで6日間攪拌を続けた。そして、得られた灰白色の粉末を吸引濾過した後、メタノール(20mlずつ2回)及び水(20mlずつ2回)の順に洗浄し、次いでデシケータ中で減圧下、室温にて3日間乾燥した。
その結果、+2価のパラジウムがほぼ定量的に還元されて金属パラジウム(0価のパラジウム)に変換された触媒を得た。これの洗浄・乾燥後の触媒に担持されている金属パラジウムの量を測定したところ、触媒総重量に対して0.3質量%の金属パラジウムが担持された選択的水素化反応用パラジウム触媒(以下、0.3%Pd/BNと称する)が得られた。この場合、酢酸パラジウムとメタノールとの酸化還元反応により、+2価のパラジウムが還元されて金属パラジウムに変換されると同時に、メタノールが酸化されてホルムアルデヒドに変換されたものと考えられる。
[実施例1]:ベンジルオキシカルボニル基を有するアルキンの接触還元
実施例1では、ベンジルオキシカルボニル基を含むアルキン(基質)としてベンジル 4−エチニルフェニルカルバメート56.8mg(0.25mmol)及び還元触媒として製造例1で得た0.3%Pd/BN 2.7mg(基質に対して金属パラジウムとして0.05モル%)をメタノール1mlに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で12時間激しく撹拌した。得られた反応液をメンブランフィルター(Millipore製、Millex−LH、孔径0.45μm)を用いてろ過し、更にメンブランフィルターをエーテル15mlで洗浄した。得られたろ液を濃縮し、得られた濃縮物をH−NMRにかけた。得られたスペクトルから、原料の回収率、ならびに、生成物として得られたアルキン部が水素化されたベンジル 4−エチルフェニルカルバメートの収率を算出した。原料の転化率は100%で、ベンジル 4−エチルフェニルカルバメートの収率は99%(57.2mg)であった。
[実施例2]:ベンジルオキシカルボニル基を有するアルキンの接触還元
実施例2では、ベンジルオキシカルボニル基を含むアルキン(基質)として1−エチニル−4−メトキシベンゼン33.0mg(0.25mmol)を使用し、室温下で6時間激しく撹拌した以外は実施例1と同様にして接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、アルキン部が水素化された4−ビニルアニソールの収率は100%(34mg)であった。
[実施例3]:芳香族ニトロ基を有するアジドの接触還元
実施例3においては、芳香族ニトロ基を有するアジド化合物として2−アジド−5−ニトロトルエン44.5mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、アジド基が水素化されアミノ基となった2−アミノ−5−ニトロトルエンの収率は99%(37.7mg)であった。
[実施例4]:芳香族ケトン基を有するアジドの接触還元
実施例4においては、芳香族ケトン基を有するアジド化合物として4−アジドベンゾフェノン52.8mg(0.25mmol)及び0.3%Pd/BN 5.4mg(基質に対してパラジウムとして0.1モル%)をメタノールに懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で24時間激しく撹拌した。実施例1と同様にして反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、アジド基が水素化されアミノ基となった4−アミノベンゾフェノンの収率は99%(45.8mg)であった。
[実施例5]:ベンジルオキシ基を有するアルケンの接触還元
実施例5では、メトキシ基とベンジルオキシ基を有する芳香族アルケンとして1−ベンジルオキシ−2−メトキシ−4−(1E)−(1−プロペン−1−イル)ベンゼン63.6mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、アルケン部が水素化された1−ベンジルオキシ−2−メトキシ−4−プロピルベンゼンの収率は99%(63.7mg)であった。
[実施例6]:ベンジルエステル基を有するアルケンの接触還元
実施例6では、ベンジルエステル基を有するアルケンとしてアクリル酸ベンジル40.5mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、アルケン部が水素化されたプロピオン酸ベンジルの収率は97%(39.8mg)であった。
[実施例7]:芳香族ニトロ基を有するアルケンの接触還元
実施例7では、芳香族ニトロ基を有するアルケンとして(E)−4−ニトロシンナミルアルコール44.8mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、アルケン部が水素化された3−(4−ニトロフェニル)プロパン−1−オールの収率は99%(44.8mg)であった。
[実施例8]:ベンジルオキシ基と芳香族ケトンを有する基質の接触還元
実施例8では、ベンジルオキシ基と芳香族ケトンを有する基質としての4−ベンジルオキシベンゾフェノン72.1mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、ベンジルオキシ基が水素化分解あるいは芳香族ケトンが水素化された生成物は検出されず、原料である4−ベンジルオキシベンゾフェノンが回収され、回収量は64.2mg(回収率89%)であった。
[実施例9]:エポキシ基とニトロ基を有する基質の接触還元
実施例9では、エポキシ基とニトロ基を有する基質としての4−ニトロフェニルグリシジルエーテル48.8mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、エポキシ基あるいはニトロ基が水素化された生成物は検出されず、原料である4−ニトロフェニルグリシジルエーテルが回収され、回収量は48.3mg(回収率99%)であった。
[実施例10]:ニトロ基と芳香族ケトンを有する基質の接触還元
実施例10では、ニトロ基と芳香族ケトンを有する基質としての4−ニトロベンゾフェノン56.8mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、ニトロ基と芳香族ケトンが水素化された生成物は検出されず、原料である4−ニトロベンゾフェノンが回収され、回収量は55.7mg(回収率98%)であった。
[実施例11]:ニトロ基と芳香環−臭素結合を有する基質の接触還元
実施例11では、ニトロ基と芳香環−臭素結合を有する基質としての4−ニトロブロモベンゼン50.5mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、ニトロ基が水素化あるいは芳香環−臭素結合が水素化分解された生成物は検出されず、原料である4−ニトロブロモベンゼンが回収され、回収量は50.0mg(回収率99%)であった。
[実施例12]:トリアルキルシロキシ基を有する基質の接触還元
実施例12では、トリアルキルシロキシ基を有する基質として、式(X)において4−tert−ブチルジメチルシロキシ−1−ブテン(化合物a)46.1mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、アルキン部が水素化された1−(tert−ブチルジメチルシロキシ)ブタン(化合物b)の収率は90%(42.2mg)であった。
Figure 0005786621
尚、式中、「TBS」はtert−ブチルジメチルシリル基を示す。以下同じ。
[実施例13]:ピリジン存在下での4−エチニルアニソールの接触還元
実施例13では、アルキンを有する基質として4−エチニルアニソール33.0mg(0.25mmol)と、還元触媒として製造例1で得た0.3%Pd/BN 2.7mg(基質に対してパラジウムとして0.05モル%)、及びアミン化合物としてピリジン1ml(982mg、12.4mmol)と溶媒であるメタノール1mlに混合・懸濁させ、系内を水素置換した後、室温下で6時間激しく撹拌した。得られた反応液をメンブランフィルター(Millipore製、Millex−LH、孔径0.45μm)を用いてろ過し、更にメンブランフィルターをエーテル15mlで洗浄し、炉液に30mLの水と1mLの1M塩酸溶液を加え抽出した。得られた有機層に再びを30mLの水を加え抽出した。この操作を計3回行った。有機層を硫酸ナトリウムで1時間乾燥し、濾過により硫酸ナトリウムを除去後、炉液を濃縮した。得られた濃縮物をH−NMRにかけた。得られたスペクトルから、原料の回収率、ならびに、生成物として得られたアルキン部が部分的に水素化された4−ビニルアニソール及び完全に水素化された4−エチルアニソールの収率を算出した。原料の転化率は100%で、4−ビニルアニソールの収量は33.2mg(収率99%)であり、4−エチルアニソールは全く生成しなかった。
[実施例14]:ピリジン(基質と等モル)存在下での4−エチニルアニソールの接触還元
実施例14では、アミン化合物であるピリジンの添加量を19.8mg(0.25mmol)に減量した以外は実施例13と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、4−ビニルアニソールの収量は26.8mg(収率80%)であり、4−エチルアニソールの収量は6.8mg(収率20%)であった。
[実施例15]:エチレンジアミン存在下での4−エチニルアニソールの接触還元
実施例15では、アミン化合物としてピリジンに代えてエチレンジアミン15.0mg(0.25mmol)を使用し、反応後の反応液の処理時に1M塩酸溶液を加えないこと以外は実施例14と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は65%で、4−ビニルアニソールの収量は21.8mg(収率65%)であり、4−エチルアニソールは全く生成しなかった。
[実施例16]:1,3−プロパンジアミン存在下での4−エチニルアニソールの接触還元
実施例16では、アミン化合物としてピリジンに代えて1,3−プロパンジアミン18.5mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例14と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、4−ビニルアニソールの収量は33.5mg(収率100%)であり、4−エチルアニソールは全く生成しなかった。
[実施例17]:1,4−ブタンジアミン存在下での4−エチニルアニソールの接触還元
実施例17では、アミン化合物としてピリジンに代えて1,4−ブタンジアミン22.0mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例14と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、4−ビニルアニソールの収量は31.9mg(収率95%)であり、4−エチルアニソールの収量は1.7mg(収率5%)であった。
[実施例18]:ジエチレントリアミン存在下での4−エチニルアニソールの接触還元
実施例18では、アミン化合物としてピリジンに代えてジエチレントリアミン25.8mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例14と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、4−ビニルアニソールの収量は33.5mg(収率100%)であり、4−エチルアニソールは全く生成しなかった。
[実施例19]:ジエチレントリアミン存在下での2−エチニル−6−メトキシナフタレンの接触還元
実施例19では、基質として4−エチニルアニソールに代えて2−エチニル−6−メトキシナフタレン45.6mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例18と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、アルキン部が部分的に水素化された2−ビニル−6−メトキシナフタレンの収量は45.1mg(収率98%)であり、2−エチニル−6−メトキシナフタレンは全く生成しなかった。
[実施例20]:ジエチレントリアミン存在下での4−エチニルトルエンの接触還元
実施例20では、基質として4−エチニルアニソールに代えて4−エチニルトルエン29.0mg(0.25mmol)を使用し、さらに添加するジエチレントリアミンの量を38.7mg(0.375mmol)に変更した以外は実施例18と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、アルキン部が部分的に水素化された4−メチルスチレンの収量は28.3mg(収率99%)であり、4−エチルトルエンは全く生成しなかった。
[実施例21]ジエチレントリアミン存在下での1−プロパルギル−1H−ベンゾトリアゾールの接触還元
実施例21では、基質として4−エチニルアニソールに代えて1−プロパルギル−1H−ベンゾトリアゾール39.3mg(0.25mmol)を使用し、さらに添加するジエチレントリアミンの量を38.7mg(0.375mmol)に変更した以外は実施例18と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、アルキン部が部分的に水素化された1−アリル−1H−ベンゾトリアゾールの収量は38.6mg(収率97%)であり、1−プロピル−1H−ベンゾトリアゾールは全く生成しなかった。
[実施例22]:ジエチレントリアミン存在下での4−エチニルアニリンの接触還元
実施例22では、基質として4−エチニルアニソールに代えて4−エチニルアニリン29.3mg(0.25mmol)を使用し、さらに添加するジエチレントリアミンの量を38.7mg(0.50mmol)に変更した以外は実施例18と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、アルキン部が部分的に水素化された4−ビニルアニリンの収量は38.6mg(収率97%)であり、4−エチルアニリンは全く生成しなかった。
[実施例23]:アミン化合物の非存在下の4−エチニルアニソールの接触還元
実施例23では、アミン化合物であるピリジンを添加しないこと以外は実施例14と同様にして0.3%Pd/BNを用いて接触還元及び反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、アルキン部が部分的に水素化された4−ビニルアニソールは全く生成せず、4−エチルアニソールが34.0mg(収率100%)得られた。
[実施例24]ジエチレントリアミンの存在下での式(1)で表される4−ベンジルオキシ−1−ブチンの接触還元
実施例24では、ベンジルオキシ基を含むアルキン(基質)として4−ベンジルオキシ−1−ブチン40.1mg(0.25mmol)及び還元触媒として製造例1で得た0.3%Pd/BN 2.7mg(基質に対して金属パラジウムとして0.03モル%)、アミン化合物としてジエチレントリアミン25.8mg(0.25mmol)をメタノール1mlに混合・懸濁させ、系内を水素置換した後、25℃で6時間激しく攪拌した。得られた反応液をメンブレンフィルター(Millipore製、Millex−LH、孔径0.45μm)を用いてろ過し、更にメンブレンフィルターをエーテル15mlで洗浄した。得られたろ液を濃縮し、この濃縮物をH−NMRにかけた。得られたスペクトルから、原料の回収率、並びに生成物として得られたアルキン部が水素化された4−ベンジルオキシ−1−ブテンの収率を算出した。その結果、原料の転化率は100%で、4−ベンジルオキシ−1−ブテンの収率は96%(38.9mg)であった。
Figure 0005786621
[実施例25]ジエチレントリアミンの存在下での式(2)で表される3−フェニル−1−プロピン−3−オールの接触還元
実施例25では、基質として1−フェニル−2−プロペン−1−オール33.0mg(0.25mmol)を、アミン化合物としてジエチレントリアミン46.4mg(0.45mmol)を使用した以外は実施例24と同様にして接触還元、反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、3−フェニル−1−プロペン−3−オールの収率は95%(31.9mg)であった。
Figure 0005786621
[実施例26]ジエチレントリアミンの存在下での式(3)で表されるtert−ブチルジメチルシリルオキシ]−2−フェニル−3−ブチンの接触還元
実施例26では、基質としてtert−ブチルジメチルシリルオキシ]−2−フェニル−3−ブチン62.1mg(0.25mmol)、アミン化合物としてジエチレントリアミン12.9mg(0.125mmol)を使用し、反応温度を50℃に変更した以外は実施例24と同様にして接触還元、反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、2−[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ]−2−フェニル−3−ブテンの収率は97%(60.7mg)であった。
Figure 0005786621
[実施例27]ジエチレントリアミンの存在下での式(4)で表される6−ドデシンの接触還元
実施例27では、基質として6−ドデシン42.1mg(0.25mmol)、アミン化合物としてジエチレントリアミン25.8mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例24と同様にして接触還元、反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は100%で、(6Z)−ドデセンの収率は98%(41.7mg)であった。
Figure 0005786621
[実施例28]ジエチレントリアミンの存在下での式(5)で表される1−フェニル−1−ヘキシンの接触還元
実施例28では、基質として1−フェニルヘキシン39.6mg(0.25mmol)、アミン化合物としてジエチレントリアミン25.8mg(0.25mmol)を使用した以外は実施例24と同様にして接触還元、反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は98%で、1−フェニル−(1Z)−ヘキセンの収率は92%(36.9mg)であった。
Figure 0005786621
[実施例29]ジエチレントリアミンの存在下での式(6)で表されるジフェニルアセチレンの接触還元
実施例29では、基質としてジフェニルアセチレン44.6mg(0.25mmol)、アミン化合物としてジエチレントリアミン25.8mg(0.25mmol)を使用し、反応温度を50℃に変更した以外は実施例24と同様にして接触還元、反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は97%で、シス−スチルベンの収率は90%(40.6mg)であった。
Figure 0005786621
[実施例30]ジエチレントリアミンの存在下での式(7)で表される4−メチル−1−(2−フェニルエチニル)ベンゼンの接触還元
実施例30では、基質として1−メチル−4−(2−フェニルエチニル)ベンゼン48.1mg(0.25mmol)、アミン化合物としてジエチレントリアミン25.8mg(0.25mmol)を使用し、反応温度を50℃に変更した以外は実施例24と同様にして接触還元、反応後の処理を行い、得られた生成物を確認したところ、原料の転化率は96%で、4−メチル−1−[(2Z)−フェニルエテニル]ベンゼンの収率は89%(43.2mg)であった。
Figure 0005786621
<Pd/BN触媒の再利用>
以下の実施例においては、本発明の触媒を再利用した場合の性能を調べた。
[実施例31]
(本発明の触媒の再利用)
(1)ベンジルオキシカルボニル基を含むアルキン(基質)として反応式(8)に示すようにベンジル−4−エチニルフェニルカルバメート(化合物4)59.6mg(0.25mmol)及び還元触媒として製造例2で得た0.3%Pd/BN 5.3mg(基質に対して金属パラジウムとして0.06モル%)をメタノール1mlに混合・懸濁させ、系内を水素置換した後、25℃で12時間激しく攪拌した。得られた反応液をメンブレンフィルター(Millipore製、Millex−LH、孔径0.45μm)を用いてろ過し、更にメンブレンフィルターをエーテル15mlで洗浄し、得られたろ液を濃縮し、一回目の生成物を得た。
(2)次に、還元触媒として(1)のろ過で分離した0.3%Pd/BNを再使用した以外は(1)と同手順で二回目の生成物を得た。
(3)一回目の濃縮された生成物と、二回目の濃縮された生成物をそれぞれH−NMRにかけ、得られたスペクトルから、原料の回収率、並びに生成物として得られたアルキン部が水素化されたベンジル−4−エチルフェニルカルバメート(化合物5)の収率を算出した。その結果を下表1に示す。この結果から、本発明の触媒は再利用時にも優れた性能を発揮することが確認できた。
なお、反応式(8)中[Cbz]はベンジルオキシカルボニル基をあらわす。
Figure 0005786621
Figure 0005786621
また、アミン化合物の存在下で本発明の触媒を再利用した場合について以下に記す。
[実施例32]
(アミン化合物の存在下における本発明の触媒の再利用)
(1)ベンジルオキシカルボニル基を含むアルキン(基質)として反応式(9)に示すように2−エチニル−6−メトキシナフタレン(化合物6)33.0mg(0.25mmol)と、還元触媒として0.3%Pd/BN 2.7mg(基質に対して金属パラジウムとして0.03モル%)と、アミン化合物としてジエチレントリアミン25.8mg(0.25mmol)をメタノール1mlに混合・懸濁させ、系内を水素置換した後、25℃で6時間激しく攪拌した。得られた反応液をメンブレンフィルター(Millipore製、Millex−LH、孔径0.45μm)を用いてろ過し、更にメンブレンフィルターをエーテル15mlで洗浄し、得られたろ液を濃縮し、一回目の生成物を得た。
(2)次に、還元触媒として(1)のろ過で分離した0.3%Pd/BNを使用した以外は(1)と同様の手順で二回目の生成物を得た。
(3)さらに、還元触媒として(2)のろ過で分離した0.3%Pd/BNを使用した以外は(1)と同様の手順で三回目の生成物を得た。
(4)上記の一回目、二回目、三回目の濃縮された生成物をH−NMRにかけ、得られたスペクトルから、原料の回収率、並びに生成物として得られたアルキン部が水素化された2−メトキシ−6−ビニルナフタレン(化合物7)の収率を算出した。その結果を表2示す。この結果から、本発明の触媒はアミン化合物の存在下の再利用時にも優れた性能を発揮することが確認できた。
Figure 0005786621
Figure 0005786621
本発明の選択的接触還元用触媒及びこれを用いる選択的水素化法は、様々の有機合成において、特に、医薬品の中間体の合成、機能性材料の製造などにおいて有用である。

Claims (9)

  1. 担体である窒化ホウ素と、該担体に担持されパラジウムを活性成分として含む触であって、
    前記担体は粒子状態であり、その比表面積はBET法で測定した値で0.1〜1000m /gであり、
    前記担体の粒径はメジアン径で0.01〜500μmの範囲であり、
    前記パラジウムの含有量は、前記触媒総重量に対して0.01〜10質量%であることを特徴とする選択的水素化用触媒
  2. 請求項1に記載の触媒の存在下で、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合及びアジド基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する有機化合物を、湿式で水素化処理することにより、前記の官能基を選択的に水素化することを含む、選択的水素化法
  3. 前記有機化合物が芳香環結合ハロゲン原子、O−ベンジル基、芳香族カルボニル基、N−ベンジルオキシカルボニル基、エポキシ基、水酸基、トリアルキルシロキシ基、アルコキシ基及び/又は芳香族ニトロ基を有し、しかしこれらの官能基は水素化されない、請求項2に係る選択的水素化法
  4. 請求項1に記載の触媒及びアミン化合物の存在下で、炭素−炭素三重結合を有する有機化合物を、湿式で水素化処理することにより、前記炭素−炭素三重結合を炭素−炭素二重結合へ部分水素化することを含む、選択的水素化法
  5. 前記有機化合物が芳香環結合ハロゲン原子、O−ベンジル基、芳香族カルボニル基、N−ベンジルオキシカルボニル基、エポキシ基、炭素−炭素二重結合、アジド基、水酸基、トリアルキルシロキシ基、アルコキシ基及び/又は芳香族ニトロ基を有し、しかしこれらの官能基は水素化されない、請求項4に係る選択的水素化法
  6. 上記アミン化合物が、ピリジン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ジエチレントリアミンから選ばれる少なくとも1種である請求項4又は5に係る選択的水素化法
  7. 上記炭素−炭素三重結合を含む有機化合物が、該炭素−炭素三重結合を分子の末端に有する、請求項4〜6のいずれか1項に係る選択的水素化法
  8. 溶液中で可溶性パラジウム化合物と窒化ホウ素粒子とを接触させて該パラジウム化合物を窒化ホウ素粒子に担持させることを含む、請求項1に記載の選択的水素化用触媒の製造方法。
  9. パラジウムのカルボン酸塩を低級アルコール溶液中で不活性ガス雰囲気下窒化ホウ素粒子と接触させることを含む、請求項8に記載の製造方法。
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