JP2014180675A - 鋼素材の抽出順決定支援方法、鋼材の製造方法及び鋼素材の抽出順決定支援装置 - Google Patents

鋼素材の抽出順決定支援方法、鋼材の製造方法及び鋼素材の抽出順決定支援装置 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼素材を加熱した後に熱間圧延して鋼材を製造するにあたり、圧延能率を向上できるようにした鋼素材の抽出順決定支援方法、鋼材の製造方法及び鋼素材の抽出順決定支援装置を提供する。
【解決手段】複数のスラブ1を加熱炉10にて加熱した後に熱間圧延して鋼材を製造するにあたり、加熱炉10内の複数のスラブ1のうち加熱炉抽出側先頭2列に到達した各スラブ1について、化学成分実績情報及び加熱温度実績情報を収集するステップと、収集された化学成分実績情報及び加熱温度実績情報に基づき、上記各スラブ1の圧延パススケジュール計算を実施するステップと、圧延パススケジュール計算結果に応じて、上記各スラブ1の温度調整時間を計算するステップと、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼素材の抽出順決定支援方法、鋼材の製造方法及び鋼素材の抽出順決定支援装置に関し、特に、鋼素材を加熱した後に熱間圧延して鋼材を製造するにあたり、圧延能率を向上できるようにした鋼素材の抽出順決定支援方法、鋼材の製造方法及び鋼素材の抽出順決定支援装置に関する。
厚さや長さが異なる複数のスラブを加熱炉に装入して、複数種の圧延製品を得る場合には、加熱炉に装入された各スラブについて、その加熱炉から抽出する順序や時刻などをスラブ毎に決めておく必要がある。しかしながら、加熱炉からスラブを抽出する順序や時刻などは、従来、オペレーターの判断により決定されていた。このため、オペレーターの経験が浅い場合や、加熱炉に装入されたスラブの数が多い場合には、加熱炉からスラブを抽出する順序や時刻などを決定するのに、多くの時間を要してしまいがちであった。
また、近年は、強度や靭性の優れた鋼板の製造が求められており、その一例として、熱間圧延工程においてスラブに制御圧延(Controlled Rolling;CR)を施すことが行われている。スラブに制御圧延を施すことにより、優れた材質の鋼板等を造り込むことができる。
制御圧延では、例えば、1000℃以上に加熱したスラブを一旦、中間の板厚(即ち、中間厚)まで圧延し、その後、圧延材の温度が未再結晶温度域やその温度域に近い温度域にある状態で仕上板厚(即ち、仕上厚)まで圧延する。制御圧延では、被圧延材の圧延が複数回に分けて行われ、被圧延材が圧延機と冷却装置との間を行き来する。このため、被圧延材の冷却待ちによって圧延機に空き時間が発生しやすく、圧延能率が低下しがちであった。
一方、制御圧延に関する先行技術として、例えば特許文献1、2に開示されたものがある。特許文献1、2に開示された方法は、スラブの加熱炉への装入順を作成する段階で、スラブの加熱炉における在炉時間及び、圧延機での圧延時間を予測し、修正を繰り返すことで圧延能率の向上を図る方法である。
特開2009−82985号公報 特開2008−80395号公報
ところで、特許文献1、2に開示された方法は、スラブを加熱炉に装入する段階で、スラブの装入順、圧延順を決定する。このため、スラブを加熱炉に装入した後でスラブの在炉時間や圧延時間の予測精度が低下した場合、操業トラブル等の環境変化や操業制約が発生した場合は、その効果を十分に発揮することができない、という課題があった。
即ち、スラブを加熱炉に装入する段階で、スラブの圧延能率が最大となるようにその装入順、圧延順を決定することは大変意義がある。しかしながら、上記のように、予期しない状況となった場合は、スラブの圧延能率が低下することが考えられる。また、上記の方法では、スラブの加熱炉への装入順を全自動で決定している。このため、予測と実態とが乖離した場合は、スラブの装入順及び圧延順を決定したロジックを十分に理解していない限り、手動操作にて圧延能率を最大化することは困難であった。
そこで、この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、鋼素材を加熱した後に熱間圧延して鋼材を製造するにあたり、圧延能率を向上できるようにした鋼素材の抽出順決定支援方法、鋼材の製造方法及び鋼素材の抽出順決定支援装置を提供することを目的とする。
(抽出順決定支援方法)
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る抽出順決定支援方法は、複数の鋼素材を加熱炉にて加熱した後に熱間圧延して鋼材を製造するにあたり、加熱炉内の複数の鋼素材のうち加熱炉抽出側先端部に位置する一群の鋼素材について、化学成分実績情報及び加熱温度実績情報を収集するステップと、収集された前記化学成分実績情報及び前記加熱温度実績情報に基づき、前記一群の鋼素材の圧延パススケジュール計算を実施するステップと、前記圧延パススケジュール計算結果に応じて、前記一群の鋼素材の温度調整時間を計算するステップと、を有することを特徴とする。
また、上記の抽出順決定支援方法において、さらに前記一群の鋼素材について計算された前記温度調整時間を表示するステップを有することを特徴としてもよい。
また、上記の抽出順決定支援方法において、さらに、前記温度調整時間を計算するステップでは、複数の方法による温度調整方法に応じて、前記一群の鋼素材の温度調整時間をそれぞれ計算することを特徴としてもよい。
(鋼材の製造方法)
本発明の別の態様に係る鋼材の製造方法は、上記の鋼素材の抽出順決定支援方法により計算された又は表示された前記温度調整時間をもとに決定された鋼素材の抽出順に基づいて、前記一群の鋼素材を前記加熱炉から抽出して、その後、熱間圧延を実施するステップを有することを特徴とする。
また、上記の鋼材の製造方法において、前記一群の鋼素材を前記加熱炉から抽出して、その後、熱間圧延を実施するステップでは、前記一群の鋼素材のうちから第1の鋼素材を抽出して、前記第1の鋼素材を予め設定された中間厚まで圧延機で圧延して第1の被圧延材を形成し、前記第1の被圧延材を前記圧延機から温度調整エリアへ搬送し、前記第1の被圧延材が前記圧延機から前記温度調整エリアへ搬送されるタイミングで、前記一群の鋼素材のうちから前記第2の鋼素材を前記加熱炉から抽出することを特徴としてもよい。
また、上記の鋼材の製造方法において、前記加熱炉から抽出された前記第2の鋼素材を前記圧延機で圧延して第2の被圧延材を形成し、前記第2の被圧延材を前記圧延機から前記温度調整エリアへ搬送し、前記第1の被圧延材が目標温度まで調整され、且つ、前記第2の被圧延材が前記圧延機から搬出された後で、前記第1の被圧延材を前記中間厚から仕上厚まで前記圧延機で圧延することを特徴としてもよい。
(鋼素材の抽出順決定支援装置)
本発明のさらに別の態様に係る鋼素材の抽出順決定支援装置は、複数の鋼素材を加熱炉にて加熱した後に熱間圧延して鋼材を製造するにあたり、複数の鋼素材の加熱炉からの抽出順決定を支援する装置であって、加熱炉内の鋼素材のうち加熱炉抽出側先端部に位置する一群の鋼素材の化学成分実績情報を記憶する化学成分実績情報記憶部と、前記一群の鋼素材の加熱温度実績情報を記憶する加熱温度実績情報記憶部と、前記化学成分実績情報記憶部及び前記加熱温度実績情報記憶部から、前記一群の鋼素材の化学成分実績情報及び加熱温度実績情報を入手し、入手した前記化学成分実績情報及び前記加熱温度実績情報を用いて前記一群の鋼素材の圧延パススケジュールを計算する圧延パススケジュール計算部と、計算された前記圧延パススケジュールから前記一群の鋼素材の温度調整時間を計算する温度調整時間計算部と、を有することを特徴とする。
また、上記の鋼素材の抽出順決定支援装置において、さらに、前記一群の鋼素材について計算された前記温度調整時間を表示する表示部を有することを特徴としてもよい。
また、上記の鋼素材の抽出順決定支援装置において、さらに、前記温度調整時間計算部は、複数の方法による温度調整方法に応じて、前記一群の鋼素材の温度調整時間をそれぞれ計算することを特徴としてもよい。
(用語の説明)
なお、本明細書において、「圧延パススケジュール」とは、鋼素材(または、後述する被圧延材)が圧延機に進入してから圧延機を抜けるまでの1回の工程をパス(1パス)と称したとき、各パスにおける圧下量、圧延速度、圧延温度などの情報を意味する。
また、本明細書において、「制御圧延」とは、所定の温度域、特に、オーステナイト温度域の中でも低めの領域に相当するオーステナイト未再結晶温度域において熱間圧延を実施した後、冷却して、フェライト、ベイナイト、マルテンサイトなどへ変態させることにより、再結晶オーステナイトから変態させた場合に比べて優れた強度・靱性を有する鋼材を得る技術のことを意味する。即ち、制御圧延とは、オーステナイト未再結晶温度域における熱間圧延のことを意味する。また、制御圧延の前に実施される圧延のことを、「前段圧延」と称する。
また、本明細書において、「鋼素材」とは、加熱炉にて加熱される圧延素材のことを意味する。鋼素材としては、例えばスラブ、インゴット、ビレット又はブルームが挙げられる。また、「鋼材」とは、圧延の最終段階(例えば、制御圧延)を行うことにより得られる「鋼」のことを意味する。圧延の中間段階で得られる圧延素材のことを「被圧延材」と称する。また、被圧延材のうち、前段圧延が終了した被圧延材のことを「前段圧延終了材」と称し、制御圧延を行う直前の被圧延材のことを「制御圧延直前材」と称する。
また、本明細書において「化学成分実績」としては、例えば、製鋼工程で入手される鋼素材のレードル分析値が挙げられる。レードル分析値は、例えば、転炉で鋼を溶製する際に採取した試料を分析した結果である。スラブとレードル分析値は互いに関連付けされている(即ち、紐付けされている)。
また、本明細書において「加熱温度実績」としては、例えば、加熱炉内の温度分布とその経時変化に基づいて計算される、鋼素材の熱履歴が挙げられる。加熱炉抽出側先端部の鋼素材の加熱温度実績は、例えば、以下(1)、(2)の方法で求めることができる。
(1)加熱炉抽出側先端部付近に設けられた放射温度計により鋼素材の表面温度を測定し、伝熱計算により、鋼素材の平均温度を求める。
(2)炉温実績を基礎とした伝熱計算により、加熱炉抽出側先端部付近の鋼素材の温度を求める。
本発明の一態様によれば、加熱炉抽出側先端部に位置する一群の鋼素材の圧延パススケジュールは、各鋼素材が加熱炉内に装入されている間に計算される。また、この圧延パススケジュールの計算は、各鋼素材の化学成分実績情報及び加熱温度実績情報に基づいて行われる。このため、例えば、鋼素材を加熱炉に装入した後で在炉時間や圧延時間の予測精度が低下した場合、操業トラブル等の環境変化や操業制約が発生した場合など、鋼素材を装入した後で予期しない状況となった場合でも、予測と実態の乖離を少なくすることができる。
これにより、各鋼素材の圧延パススケジュールを精度良く計算することができ、圧延パススケジュール計算結果に応じて、各鋼素材の温度調整時間を精度良く算出することができる。そして、精度良く算出した各鋼素材の温度調整時間に基づいて、各鋼素材の加熱炉からの抽出順を適切に決定することができる。例えば、一群の鋼素材のうちの第1の鋼素材(例えば、先行材)の温度調整を行っている間に第2の鋼素材(例えば、後続材)を圧延するにあたり、圧延機の空き時間を最小限に抑えるように、各鋼素材の加熱炉からの抽出順を決定することができる。これにより、圧延機の圧延能率(単位時間当たりの圧延量)を向上することができる。
第1実施形態に係る熱間圧延工程100の構成例を示す概念図。 抽出順決定支援装置40の構成例を示すブロック図。 抽出順決定支援装置40の動作例を示すフローチャート。 熱間圧延工程100における各スラブ1の処理フローを示す概念図。 表示部90が表示する画面の一例を示す図。 第2実施形態に係る抽出順決定支援装置140の構成例を示すブロック図。 表示部90が表示する画面の他の例を示す図。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成で同一の機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
<第1実施形態>
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱間圧延工程100の構成例を示す概念図である。図1に示す熱間圧延工程100は、鋼板又は形鋼等の鋼製品を製造する製造ラインの一部であり、例えば、連続式加熱炉10と、圧延機20と、加速冷却装置30と、抽出順決定支援装置40と、を備える。
連続式加熱炉(以下、単に加熱炉ともいう。)10は、被加熱物である鋼素材(例えば、スラブ)1を予め設定された温度(即ち、所定温度)まで加熱する装置である。加熱炉10において、複数のスラブ1の各々(即ち、各スラブ1)は、加熱炉10の装入口から炉内に順番に装入され、装入口から抽出口に向けて搬送されながら所定の温度まで加熱され、その後、抽出口から炉外に搬出される。加熱炉10は、その装入口の側(即ち、入側)より、予熱帯、加熱帯、均熱帯等の各領域に分かれており、常温ないしは数百℃のスラブ1を1100〜1250℃程度まで加熱し、一時間当たり数百トン程度の鋼素材を加熱できる能力を持っている。また、この加熱炉10の、例えば抽出側付近に設けられる図示しない運転室には、オペレーターが画面を視認することが可能な表示装置が設けられている。この表示装置は、例えば後述する表示部90を含む。
圧延機20は、例えば上下一対のワークロール及びその上下に各1個のバックアップロールを有し、このワークロールを用いてスラブ1を圧下することにより、スラブ1を予め設定された厚さ(即ち、所定の厚さ)まで圧延する装置である。この圧延機20は、例えばリバース式の圧延機である。リバース式の圧延機は、上下一対のワークロール間でスラブ1を前後に往復移動させながら圧延することによって、スラブ1を所定の厚さまで圧延する。加速冷却装置30は、圧延後のスラブ1に水を噴射して冷却する(即ち、水冷する)装置である。
また、図1に示す熱間圧延工程100では、例えば、圧延機20又は加速冷却装置30に隣接して複数の待機装置55が設けられている。前段圧延終了後のスラブ(即ち、被圧延材)は、この待機装置55に搬送されて一旦待機し、その間空冷される。また、被圧延材は、適切なタイミングで待機装置55から圧延機20又は加速冷却装置30に搬送されて、制御圧延又は水冷処理が施されることが可能となっている。
詳しく説明すると、前段圧延終了後、制御圧延を実施する場合には、被圧延材の温度が制御圧延開始温度に下がるまで、圧延を開始することができない。そのため、制御圧延を実施するにあたり、被圧延材の温度を制御圧延開始温度まで調整する必要がある。このプロセス(即ち、温度調整)にあたっては、自然空冷(放冷)して被圧延材の温度が低下するのを待ってもよく、また、加速冷却装置30などを用いて被圧延材を積極的に水冷することにより、温度低下に要する時間を短縮してもよい。
温度調整中の被圧延材が圧延ライン50上に載っていると他の材料(例えば、前段圧延終了材又は制御圧延直前材)を圧延することができない。このため、温度調整中の被圧延材は、他の材料の圧延の妨げにならない場所で待機する必要がある。この待機場所(本明細書では温度調整エリアとも称する)の候補として、例えば図1に示す圧延ライン50の位置A〜Dが挙げられる。
位置Aは、圧延ライン50の最上流のエリアである。位置Aは、加熱炉10よりもさらに上流側のエリアであり、加熱炉10を挟んで圧延機20とは反対側のエリアである。位置Aにて被圧延材を温度調整している間に、次のスラブ1を加熱炉10から抽出し、圧延し、圧延ライン50の下流側へ搬送することが可能である。
位置Bは、加熱炉10と圧延機20との間のエリアである。位置Cは、圧延機20の下流側であり、加速冷却装置30よりも上流側のエリアである。位置B、Cで温度調整中の材料は、圧延ライン50上に待機させることができるほか、圧延ライン50上に待機させるのではなく、圧延ライン50の側方、あるいは、上方に設けられる待機設備にて、待機させることにしてもよい。この待機設備は水冷設備を備えていてもよい。
位置Dは、加速冷却装置30である。被圧延材に温度調整時間短縮のため水冷を実施する場合、水冷の手段として加速冷却装置30を用いてもよい。例えば、加熱炉10から先行して抽出された被圧延材(即ち、先行材)を加速冷却装置30で冷却し、その間に、先行材に続いて加熱炉10から抽出された被圧延材(即ち、後続材)の前段圧延を圧延機20で実施する。後続材の前段圧延終了後、後続材を圧延機20よりも上流側(例えば、位置B)に搬送して待機させれば、引き続いて、温度調整していた先行材を圧延機20で圧延することができる。なお、温度調整エリア(待機装置55の場合を含む)に関して、位置A〜Dはあくまで一例である。
図1に示す熱間圧延工程100では、小ロット多品種生産に対応させるため、加熱温度の異なるスラブ1が混在した状態での操業を行うことが可能となっている。また、この熱間圧延工程100では、制御圧延が施されるスラブ(以下、制御圧延材ともいう。)と、制御圧延ではない通常の圧延が施されるスラブ(以下、通常圧延材ともいう。)とが混在した状態での操業を行うことが可能となっている。
ここで、制御圧延とは上記した通りであり、換言すれば、スラブ1の加熱温度、圧延温度及び圧下量を適正に制御することによって、鋼の結晶組織を微細化し、その機械的性質を改善する圧延方法のことである。制御圧延では、例えば、1100〜1250℃まで加熱したスラブ1を、初期厚から予め設定された中間厚となるまで圧延し、中間厚まで圧延された被圧延材を700〜950℃まで冷却し、この冷却された温度域(即ち、仕上温度)で被圧延材を中間厚から仕上厚まで圧延して鋼材を得る。
抽出順決定支援装置40は、例えば、加熱炉10の抽出側から先頭2列(一例として、抽出側から2列×4=8本分)に到達した各スラブ1について、その化学成分実績情報及び加熱温度実績情報を入手し、入手した化学成分実績情報及び加熱温度実績情報を用いて圧延パススケジュール計算を行い、計算された圧延パススケジュール計算から温度調整時間を算出する装置である。ここで、圧延パススケジュールと、化学成分実績情報及び加熱温度実績情報は、それぞれ上記した通りである。
なお、圧延パススケジュールについて、スラブ1の化学成分実績情報と加熱温度実績情報をもとに変更する可能性がある項目としては、例えば、圧延仕上温度、制御温度(温度調整後に圧延再開する時の温度)、制御板厚(温度調整する時の板厚)、温度調整方法(水冷か空冷)、温度調整場所(位置A〜Dの選択)等が挙げられる。スラブ1の圧延パススケジュール計算に実績値である化学成分実績情報と加熱温度実績情報を反映することで、圧延パススケジュールに含まれる仕上温度や制御温度・制御板厚をより適正な値に変更することが可能となる。また、制御温度・制御板厚をより適正な値に変更することにより、より適正な温度調整方法や温度調整場所を決定することが可能となり、材質安定化だけでなく圧延能力を向上させるメリットも享受できる。
図2は、抽出順決定支援装置40の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、抽出順決定支援装置40は、例えば記憶部60と、計算部70と、出力部80、表示部90とを備える。
記憶部60は、例えば、化学成分実績情報記憶部61と、加熱温度実績情報記憶部62と、圧延パススケジュール記憶部63と、温度調整時間記憶部64と、圧延時間記憶部65と、を有する。化学成分実績情報記憶部61は、加熱炉10に装入される各スラブ1の化学成分実績情報を記憶する機能を有する。加熱温度実績情報記憶部62は、各スラブ1の加熱温度実績情報を記憶する機能を有する。圧延パススケジュール記憶部63は、各スラブ1の圧延パススケジュールを記憶する機能を有する。温度調整時間記憶部64は、各スラブ1の温度調整に要する時間を記憶する機能を有する。圧延時間記憶部65は、各スラブ1の圧延に要する時間を記憶する機能を有する。
記憶部60は、例えば、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性の記憶装置で構成されている。記憶部60の各機能部である化学成分実績情報記憶部61、加熱温度実績情報記憶部62、圧延パススケジュール記憶部63、温度調整時間記憶部64及び圧延時間記憶部65はそれぞれ異なる記憶装置で構成されていてもよいし、同一の記憶装置で構成されていてもよい。
計算部70は、圧延パススケジュール計算部71と、温度調整時間計算部72及び圧延時間計算部73、を有する。圧延パススケジュール計算部71は、加熱炉10の抽出側に到達した各スラブ1について、それらの化学成分実績情報や加熱温度実績情報を用いて、それらの圧延パススケジュール計算を行う機能を有する。また、温度調整時間計算部72は、加熱炉10の抽出側に到達した各スラブ1の温度調整時間を、圧延パススケジュール計算結果に応じて計算する機能を有する。圧延時間計算部73は、加熱炉10の抽出側に到達した各スラブ1の圧延時間を、圧延パススケジュール計算結果に応じて計算する機能を有する。計算部70は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置で構成されている。計算部70の各機能部である圧延パススケジュール計算部71、温度調整時間計算部72及び圧延時間計算部73はそれぞれ異なる演算処理装置で構成されていてもよいし、同一の演算処理装置で構成されていてもよい。
記憶部60は、計算部70及び出力部80にそれぞれ接続されている。出力部80は、各スラブ1について、水冷/空冷等による温度調整時間に関する情報を温度調整時間記憶部64から読み出すと共に、読み出した情報を表示部90に出力する機能を有する。また、出力部80は、各スラブ1について、例えば圧延時間に関する情報を圧延時間記憶部65から読み出すと共に、読み出した情報を表示部90に出力する機能も有する。出力部80は、例えばディスプレイ表示用のドライバーICで構成されている。
表示部90は、抽出順決定支援装置40によって計算され、出力される各スラブ1の温度調整時間や圧延時間を表示するものである。表示部90は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等である。
(動作)
次に、図2に示した抽出順決定支援装置40の動作例について説明する
図3は、抽出順決定支援装置40の動作例を示すフローチャートである。ここでは、図1に示した熱間圧延工程100において、抽出順決定支援装置40が行う動作例について説明する。
図3に示すように、抽出順決定支援装置40は、例えば、加熱炉10の抽出側からスラブ1本が抽出されるたびに、以下のステップS110〜S160を行う。即ち、抽出順決定支援装置40は、加熱炉10の抽出側先頭部(例えば、先頭2列)に到達した各スラブ1を選択する(ステップS110)。次に、抽出順決定支援装置40は、選択した各スラブ1について、化学成分実績情報及び加熱温度実績情報を収集する(ステップS120)。各スラブ1の化学成分実績情報は化学成分実績情報記憶部61が記憶し、各スラブ1の加熱温度実績情報は加熱温度実績情報記憶部62が記憶する。
次に、抽出順決定支援装置40は、収集した加熱温度実績情報及び加熱温度実績情報に基づき、各スラブ1の圧延パススケジュール計算を行う(ステップS130)。この計算は圧延パススケジュール計算部71が行う。また、その計算結果は、圧延パススケジュール記憶部63が記憶する。
なお、圧延パススケジュールとは、上記したように、スラブ(または、被圧延材)が圧延機20に進入してから抜けるまでの各パスにおける圧下量、圧延速度、圧延温度などの情報を意味する。一般に、圧下量は、通常、ワークロールギャップとして設定される。鋼の組織形成に対しては、絶対値としての圧下量ではなく、圧下率が重要である。圧延速度は、通常、ワークロールの周速として管理される。また、圧延温度は、基本的には、各パスについて設定される。
次に、抽出順決定支援装置40は、各スラブ1の圧延パススケジュール計算結果に応じて、各スラブ1の温度調整時間と圧延時間をそれぞれ計算する(ステップS140)。圧延パススケジュールが確定し、圧下量(圧下率)と圧延速度とがわかれば、1パスに要する「圧延時間」を計算することができる。例えば、圧延パススケジュールが確定したら、スラブ(又は、被圧延材)がワークロール間に噛み込まれてから噛み放されるまでの時間を圧下量と圧延速度とから計算することができる。これに、圧延機20から噛み放された被圧延材が停止するまでの時間、圧延機20のギャップ調整時間、被圧延材の搬送方向を反転させて圧延機20に再び噛み込ませるまでの時間、などを考慮すれば、Nパス目開始時刻から(N+1)パス目開始時刻までの所要時間も計算できる。この繰り返しにより、任意のパス数の圧延に要する時間を求めることが可能である。圧延時間の計算は圧延時間計算部73が行い、その計算結果は圧延時間記憶部65が記憶する。
また、対象とするスラブ(または、被圧延材)の初期温度、初期サイズがわかれば、圧延時のロールからの抜熱や、圧延直前のデスケーリング水噴射による温度低下、テーブルローラ上を搬送されているときの放冷(自然空冷)、加速冷却装置の冷却能力などを考慮することにより、被圧延材の温度変化を予測計算可能で、その温度変化に要する時間(即ち、目標温度に至るまでの所要時間)を把握することができる。温度調整時間の計算は温度調整時間計算部72が行い、その計算結果は温度調整時間記憶部64が記憶する。なお、温度調整時間計算部72は、各スラブについて、複数の方法(例えば、水冷/空冷)による温度調整方法に応じて複数の温度調整時間を算出してもよい。また、温度調整時間計算部72は、各スラブ1について、算出された複数の温度調整時間を記憶してもよい。
次に、抽出順決定支援装置40は、加熱炉10の抽出側先頭部(例えば、先頭2列)に到達した、抽出順決定の対象とする全てのスラブ1について、温度調整時間と圧延時間の計算が終了したか否かを判断する(ステップS150)。ステップS150の判断結果がYesの場合はステップS160に進み、Noの場合はステップS120に戻る。
ステップS160では、抽出順決定支援装置40は、対象とする全てのスラブ1について、温度調整時間と圧延時間を表示する。各スラブ1について、複数の方法による複数の温度調整時間が記憶されている場合は、抽出順決定支援装置40は、複数の温度調整時間をそれぞれ表示してもよい。各スラブ1の温度調整時間、圧延時間の表示は、表示部90が行う。
次に、熱間圧延工程100における複数のスラブ1の処理フローについて説明する。
図4は、熱間圧延工程100における各スラブ1の処理フローを示す概念図である。ここでは、図1に示した熱間圧延工程100において、加熱炉10の抽出側に到達した先頭2列のスラブ1の抽出順を、抽出順決定支援装置40により表示される各スラブ1の温度調整時間等に基づいて決定し、決定した順に各スラブ1を加熱炉10から抽出して、圧延する場合の動作について説明する。なお、図4では、加熱炉10の抽出側先頭部に到達した複数のスラブ1に、制御圧延材と通常圧延材とが含まれている場合を想定する。
図4において、加熱炉10内では各スラブ1が加熱されつつ、抽出側に向かって搬送されている。上記したように、抽出順決定支援装置40は、加熱炉10の抽出側に到達した先頭2列の各スラブ1について、各々が加熱炉10内から抽出される前にその圧延パススケジュールを計算する。そして、この計算結果に応じて温度調整時間及び圧延時間を算出し、その結果を表示部90に表示させる。
図5は、表示部90が表示する画面の一例を示す図である。図5に示すように、表示部90の画面には、例えば、加熱炉抽出側の先頭2列に到達した各スラブ1の圧延方法と、温度調整時間及び圧延時間が表示される。図示しないが、表示部90の画面には、各スラブ1毎に、加速冷却装置で水冷した場合の温度調整時間と、待機装置55で空冷した場合の温度調整時間とがそれぞれ表示されていてもよい。
オペレーターは、まず始めに、図5に示したような表示画面を確認して、先頭2列の各スラブ1の中から最初に圧延するスラブ1Aを選択する。圧延ライン50上にほかのスラブ1や被圧延材などが全く存在しない場合には、抽出側1例目の各スラブ1の中から、最初に圧延するスラブ1Aを選択する。このスラブ1Aの選択は、任意でもよいし、温度調整時間等に基づいていてもよい。例えば、先頭2列の各スラブ1の中から、制御圧延材であって、水冷による温度調整時間が42secと最も長い「抽出側一列目」の「1」に該当するスラブ1を、1番目に抽出するスラブ1Aとして選択する。オペレーターは、スラブ1Aを選択した後、この選択されたスラブ1Aを加熱炉10から抽出する指示を、図示しない操作盤を操作して加熱炉10に入力する。
これにより、スラブ1Aは加熱炉10から抽出され、圧延機20に搬送される。圧延機20に搬送されたスラブ1Aには、圧延機20と加速冷却装置30とを用いた制御圧延が施される。例えば、1100〜1250℃まで加熱されたスラブ1Aは加熱炉10から抽出され、圧延機20に搬送される。そして、スラブ1はその厚さが初期厚から中間厚となるまで、つまり、所定の中間厚の被圧延材となるまで、圧延機20で複数パス繰り返し圧延される。その後、中間厚まで圧延された被圧延材1A´は圧延機20から搬出され、加速冷却装置30へ搬送される。初期厚は例えば300mmであり、中間厚は例えば100mmである。
また、上記の動作と並行して、オペレーターは、先頭2列の各スラブ1の中から、先行材として既に抽出されたスラブ1Aに続いて加熱炉10から抽出される、後続材としてのスラブ1Bを選択する。スラブ1Bの選択は、例えば、図5に示した表示部90が表示する各スラブの圧延時間と、先に抽出したスラブ1Aの圧延時間とに基づいて行う。
即ち、各スラブ1の加熱炉10からの抽出順を適切に決定するためには、先行材の温度調整時間の他に、先行材の温度調整中に圧延される後続材の圧延時間を把握する必要がある。例えば、後続材が制御圧延材であれば、制御圧延前に行う前段圧延の合計時間を求めておき、求めた合計時間と先行材の温度調整時間とを比較する。そして、後続材の前段圧延の合計時間が、先行材の温度調整時間よりも短ければ、この先行材・後続材の組合せで、効率的な圧延が可能となる。
また、後続材が通常圧延材(即ち、制御圧延を実施せず、最終板厚まで一気に圧延する材料)であれば、後続材の全圧延時間を計算し、これと先行材の温度調整時間とを比較し、先行材・後続材としての組合せの可否を判断する。例えば、後続材が通常圧延材であり、後続材の全圧延時間が先行材の温度調整時間よりも短ければ、この先行材・後続材の組合せで、効率的な圧延が可能となる。なお、本実施形態では、空冷よりも短時間で温度調整可能な水冷の場合を優先して計算する。
その計算結果に基づいて、オペレーターはスラブ1Bを選択する。そして、オペレーターは、選択されたスラブ1Bを加熱炉10から抽出する指示を、図示しない操作盤を操作して加熱炉10に入力する。これにより、スラブ1Bは加熱炉10から抽出され、圧延機20に搬送される。なお、スラブ1Bの加熱炉10からの抽出は、スラブ1Aが圧延機20から加速冷却装置30へ搬送されるタイミングで行うことが好ましい。これにより、圧延機20の空き時間を短くすることができる。
加熱炉10から抽出されたスラブ1Bは圧延機20に搬送され、圧延機20で複数パス繰り返し圧延される。圧延機20でスラブ1Bが複数パス繰り返し圧延されている間、被圧延材1A´は加速冷却装置30で冷却される。
そして、加速冷却装置30で被圧延材1A´が目標温度まで冷却され、且つ、圧延機20から所定の中間厚まで圧延された被圧延材1B´が搬出された後、被圧延材1A´は圧延機20に搬送される。圧延機20に搬送された被圧延材1A´は中間厚から仕上厚まで圧延されて鋼材1A´´が得られる。仕上厚は例えば30mmである。その後、鋼材1A´´は図1に示した熱間圧延工程100から次工程へ搬送される。なお、被圧延材1A´が仕上厚まで圧延されている間、被圧延材1B´は例えば待機装置55で待機していてもよいし、加速冷却装置30で水冷されていてもよい。スラブ1Bは、待機装置55で待機している間も、空気により冷却される(即ち、空冷される)。
また、上記の動作と並行して、オペレーターは、先頭2列の各スラブ1の中から、スラブ1Bに続いて加熱炉10から抽出されるスラブ1Cを選択する。スラブ1Cの選択は、表示装置が表示するスラブ1Bの温度調整時間、又は、スラブ1Bの温度調整時間と圧延時間とに基づいて行う。そして、オペレーターは、図示しない操作盤を操作して、加熱炉10にスラブ1Cを抽出する指示を入力する。これにより、スラブ1Cは加熱炉10から抽出され、圧延機20に搬送される。なお、スラブ1Cの加熱炉10からの抽出は、鋼材1A´´が圧延機20から搬出され、次工程へ搬送されるタイミングで行う。
以降のスラブ1C、1Dについての処理フローは、例えば、スラブ1A、1Bについての処理フローと同様である。即ち、オペレーターは、先頭2列の各スラブ1の中から、スラブ1Cに続いて加熱炉10から抽出されるスラブ1Dを選択する。スラブ1Dの選択は、表示装置が表示するスラブ1Cの温度調整時間、又は、スラブ1Cの温度調整時間と圧延時間とに基づいて行う。また、スラブ1Dの加熱炉10からの抽出は、スラブ1Cが圧延機20から加速冷却装置30へ搬送されるタイミングで行う。
この第1実施形態及び、後述の第2実施形態では、スラブ1が本発明の「鋼素材」に対応し、加熱炉抽出側に到達した先頭2列の各スラブ1が本発明の「一群の鋼素材」に対応している。また、スラブ1Aが本発明の「第1の鋼素材」に対応し、被圧延材1A´が本発明の「第1の被圧延材」に対応している。スラブ1Bが本発明の「第2の鋼素材」に対応し、被圧延材1B´が本発明の「第2の被圧延材」に対応している。
(第1実施形態の効果)
本発明の第1実施形態は、以下の効果(1)〜(5)を奏する。
(1)加熱炉10の抽出側先端2列に位置する一群のスラブ1の圧延パススケジュールは、各スラブ1が加熱炉10内に装入されている間に計算される。また、この圧延パススケジュールの計算は、各スラブ1の化学成分実績情報及び加熱温度実績情報に基づいて行われる。このため、例えば、スラブ1を加熱炉10に装入した後で在炉時間や圧延時間の予測精度が低下した場合、操業トラブル等の環境変化や操業制約が発生した場合など、スラブ1を装入した後で予期しない状況となった場合でも、予測と実態の乖離を少なくすることができる。
これにより、各スラブ1の圧延パススケジュールを精度良く計算することができ、圧延パススケジュール計算結果に応じて、各スラブ1の温度調整時間を精度良く算出することができる。そして、精度良く算出した各スラブ1の温度調整時間及び圧延時間に基づいて、各スラブ1の加熱炉10からの抽出順を適切に決定することができる。例えば、一群のスラブ1のうち、先行材であるスラブ1Aの温度調整を行っている間に後続材であるスラブ1Bを圧延するにあたり、圧延機20の空き時間を最小限に抑えるように、各スラブ1の抽出順を決定することができる。これにより、圧延機20の圧延能率(単位時間当たりの圧延量)を向上することができる。
(2)また、表示部90は、各スラブ1の温度調整時間及び圧延時間を表示する。これにより、オペレーターは、表示部90の画面を目視することで各スラブ1の温度調整時間及び圧延時間を容易に把握することができ、把握した内容に基づいて、各スラブ1の加熱炉10からの抽出順を決定することができる。
(3)また、表示部90は、例えば、各スラブ1毎に複数の温度調整方法(水冷/空冷)による複数の温度調整時間を表示する。これにより、オペレーターは、各スラブ1の加熱炉10からの抽出順について、先行材と後続材の組み合わせの選択肢を増やすことができる。なお、計算部70は、複数の温度調整方法(例えば、水冷の有無)によって、温度調整時間がどの程度変化するかを計算してもよい。そして、表示部90は、その計算結果を表示してもよい。この計算結果を基に、オペレーターは、各スラブ1について水冷と空冷の比率を調整してもよい。
(4)また、後続材であるスラブ1Bの加熱炉10からの抽出は、先行材であるスラブ1Aが圧延機20から加速冷却装置30へ搬送されるタイミングで行うことが好ましい。これにより、圧延機20の空き時間をさらに短くすることができる。
(5)また、被圧延材1A´が加速冷却装置30で目標温度まで冷却され、且つ、被圧延材1B´が圧延機20から搬出された後で、被圧延材1A´は中間厚から仕上厚まで圧延される。これにより、圧延機20の空き時間を最小限に抑えつつ、スラブ1Aから仕上厚まで圧延された鋼材を得ることができる。
<第2実施形態>
上記の第1実施形態では、加熱炉10抽出側に到達した先頭2列の各スラブ1について、それらの抽出順はオペレーターが表示部90を確認して選択し、そして決定する場合について説明した。しかしながら、本発明において、上記の抽出順の選択はオペレーターではなく、装置が自動で行ってもよい。
(構成・動作)
図6は、本発明の第2実施形態に係る抽出順決定支援装置140の構成例を示すブロック図である。図6に示すように、抽出順決定支援装置140は、例えば記憶部160と、計算部70と、出力部80と、表示部90と、選択部180と、を備える。
選択部180は、温度調整時間記憶部64から各スラブ1の温度調整時間を読み出すと共に、圧延時間記憶部65から各スラブ1の圧延時間を読み出し、読み出した情報に基づいて、各スラブ1の抽出順を選択する機能を有する。即ち、選択部180は、先頭2列の各スラブ1の温度調整時間と圧延時間とに基づいて、各スラブ1の抽出順を自動で選択する機能を有する。選択部180は、例えば、CPU等の演算処理装置で構成されている。選択部180は、計算部70とは異なる演算処理装置で構成されていてもよいし、同一の演算処理装置で構成されていてもよい。
また、記憶部160は抽出順記憶部66を有する。記憶部160は選択部180に接続されており、選択部180による選択の結果(即ち、スラブ1の抽出順)は抽出順記憶部66に記憶される。抽出順記憶部66は、記憶部160の他の機能部とは異なる記憶装置で構成されていてもよいし、同一の記憶装置で構成されていてもよい。出力部80は、記憶部160からスラブ1の抽出順に関する情報を読み出すと共に、読み出した情報を表示部90に出力する機能を有する。
図7は、表示部90が表示する画面の他の例を示す図である。図7に示すように、表示部90の画面には、例えば、加熱炉抽出側の先頭2列に到達した各スラブ1の圧延方法と、温度調整時間及び圧延時間が表示される。また、この画面には、各スラブ1のうちの、加熱炉10から次に抽出することが選択部180により選択されたスラブ1が表示される。この画面では、例えば、選択されたスラブ1が太枠で囲まれて表示されている例を示している。オペレーターは、この画面を目視することで、選択部180が選択したスラブ1を確認することができる。
(第2実施形態の効果)
本発明の第2実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)〜(5)と同様の効果を奏する。また、選択部180が、加熱炉抽出側の先頭2列に到達した各スラブ1の抽出順を自動で選択する。このため、オペレーターの作業負荷を軽減することができる。
<その他の実施形態>
なお、上記の第1、第2実施形態では、加熱炉抽出側に到達した先頭2列の各スラブ1の圧延パススケジュール計算を、加熱炉10からスラブ1を1本抽出する毎に行う場合について説明した。つまり、スラブ1を1本抽出する毎に圧延パススケジュールを再計算する場合について説明した。圧延パススケジュールを再計算することにより、各スラブ1の温度調整時間の精度をさらに高めることができる。また、再計算の結果を表示部90の画面で表示することにより、最新で、且つ精度の高い情報をオペレーターに示すことができるという利点がある。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。圧延パススケジュールの再計算は、例えば、加熱炉10からスラブ1を1本する毎ではなく、複数本抽出する毎に行うようにしてもよい。このような場合であっても、再計算により情報が更新されるため、抽出順に関してオペレーターに有用な情報を提供することができる。
また、本発明の第1、第2実施形態は、加熱炉10は、連続式加熱炉だけでなく、バッチ式加熱炉にも適用可能である。即ち、図1に示した加熱炉10を、バッチ式加熱炉に置き換えてもよい。連続式加熱炉の場合と同様、バッチ式加熱炉についても、加熱炉からのスラブ1の抽出順を上記のように設定し、決定することで、圧延能率を向上することができる。
また、上記の第1、第2実施形態では、加熱炉抽出側に到達した先頭2列の各スラブ1には、制御圧延材と通常圧延材とが混在している場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、先頭2列のスラブ1は全て制御圧延材であってもよい。さらには、熱間圧延工程100で圧延される全てのスラブ1が制御圧延材であってもよい。即ち、本発明の「第1の鋼素材」「第2の鋼素材」は、その両方が制御圧延材であってもよい。このような場合であっても、上記の第1、第2実施形態と同様の効果を奏する。
また、上記の第1、第2実施形態では、加熱炉抽出側に到達した先頭2列の各スラブ1について、圧延時間計算部73が圧延時間を計算し、その結果を圧延時間記憶部65が記憶すると共に表示部90が表示する場合について説明した。しかしながら、本発明において、抽出順決定支援装置40が表示する圧延時間に関する情報は、時間そのものではなく、例えば、前段圧延で実施されるパスの回数、後段圧延で実施されるパスの回数など、圧延時間と相関のある間接的な情報であってもよい。このような場合であっても、圧延のパス回数から圧延時間を把握できるので、上記の第1、第2実施形態と同様の効果を奏する。
本発明者は、上記の実施形態と同様の方法で各スラブに圧延を施し、その効果を確認した。以下に、その内容を実施例として説明する。
実施例で用いた鋼素材は、YP32/YP36A級鋼のスラブである。また、実施例では各スラブに以下の条件で熱間圧延を実施した。
スラブ厚:220mm以下
仕上板厚:20mm以下
圧延仕上温度:750℃以上
本実施例の圧延能率(単位時間当たりの製造重量、t/Hr)は、従来法と比較して、4%以上向上することが確認された。なお、実施例における実績は、表1に示す通りである。
Figure 2014180675
表1において、スラブ単重とは、スラブ1本当たりの重さのことである。また、平均板厚は仕上板厚の平均値、平均板幅は仕上板幅の平均値のことである。
1、1A、1B、1C、1D スラブ
1A´、1B´、1C´、1D´ 被圧延材
1A´´、1B´´、1C´´ 鋼材
10 加熱炉
20 圧延機
30 加速冷却装置
40、140 抽出順決定支援装置
50 圧延ライン
55 待機装置
60、160 記憶部
61 化学成分実績情報記憶部
62 加熱温度実績情報記憶部
63 圧延パススケジュール記憶部
64 温度調整時間記憶部
65 圧延時間記憶部
70 計算部
71 圧延パススケジュール計算部
72 温度調整時間計算部
73 圧延時間計算部
80 出力部
90 表示部
100 熱間圧延工程

Claims (9)

  1. 複数の鋼素材を加熱炉にて加熱した後に熱間圧延して鋼材を製造するにあたり、
    加熱炉内の複数の鋼素材のうち加熱炉抽出側先端部に位置する一群の鋼素材について、化学成分実績情報及び加熱温度実績情報を収集するステップと、
    収集された前記化学成分実績情報及び前記加熱温度実績情報に基づき、前記一群の鋼素材の圧延パススケジュール計算を実施するステップと、
    前記圧延パススケジュール計算結果に応じて、前記一群の鋼素材の温度調整時間を計算するステップと、を有することを特徴とする鋼素材の抽出順決定支援方法。
  2. さらに、前記一群の鋼素材について計算された前記温度調整時間を表示するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の鋼素材の抽出順決定支援方法。
  3. さらに、前記温度調整時間を計算するステップでは、複数の方法による温度調整方法に応じて、前記一群の鋼素材の温度調整時間をそれぞれ計算することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋼素材の抽出順決定支援方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の鋼素材の抽出順決定支援方法により計算された又は表示された前記温度調整時間をもとに決定された鋼素材の抽出順に基づいて、前記一群の鋼素材を前記加熱炉から抽出して、その後、熱間圧延を実施するステップを有することを特徴とする鋼材の製造方法。
  5. 前記一群の鋼素材を前記加熱炉から抽出して、その後、熱間圧延を実施するステップでは、
    前記一群の鋼素材のうちから第1の鋼素材を抽出して、前記第1の鋼素材を予め設定された中間厚まで圧延機で圧延して第1の被圧延材を形成し、前記第1の被圧延材を前記圧延機から温度調整エリアへ搬送し、
    前記第1の被圧延材が前記圧延機から前記温度調整エリアへ搬送されるタイミングで、前記一群の鋼素材のうちから前記第2の鋼素材を前記加熱炉から抽出することを特徴とする請求項4に記載の鋼材の製造方法。
  6. 前記加熱炉から抽出された前記第2の鋼素材を前記圧延機で圧延して第2の被圧延材を形成し、前記第2の被圧延材を前記圧延機から前記温度調整エリアへ搬送し、
    前記第1の被圧延材が目標温度まで調整され、且つ、前記第2の被圧延材が前記圧延機から搬出された後で、前記第1の被圧延材を前記中間厚から仕上厚まで前記圧延機で圧延することを特徴とする請求項5に記載の鋼材の製造方法。
  7. 複数の鋼素材を加熱炉にて加熱した後に熱間圧延して鋼材を製造するにあたり、複数の鋼素材の加熱炉からの抽出順決定を支援する装置であって、
    加熱炉内の鋼素材のうち加熱炉抽出側先端部に位置する一群の鋼素材の化学成分実績情報を記憶する化学成分実績情報記憶部と、
    前記一群の鋼素材の加熱温度実績情報を記憶する加熱温度実績情報記憶部と、
    前記化学成分実績情報記憶部及び前記加熱温度実績情報記憶部から、前記一群の鋼素材の化学成分実績情報及び加熱温度実績情報を入手し、入手した前記化学成分実績情報及び前記加熱温度実績情報を用いて前記一群の鋼素材の圧延パススケジュールを計算する圧延パススケジュール計算部と、
    計算された前記圧延パススケジュールから前記一群の鋼素材の温度調整時間を計算する温度調整時間計算部と、を有することを特徴とする鋼素材の抽出順決定支援装置。
  8. さらに、前記一群の鋼素材について計算された前記温度調整時間を表示する表示部を有することを特徴とする請求項7に記載の鋼素材の抽出順決定支援装置。
  9. さらに、前記温度調整時間計算部は、複数の方法による温度調整方法に応じて、前記一群の鋼素材の温度調整時間をそれぞれ計算することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の鋼素材の抽出順決定支援装置。
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