JP2010284695A - スラブの熱間圧延スケジュール決定方法とスラブの熱間圧延スケジュール決定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱間圧延に供される各スラブのパススケジュール情報等をデータベース20に格納しておき、データベース20に格納された情報を基にスラブの加熱、圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各工程スケジュールを、加熱炉に装入された複数のスラブのうち抽出時刻の最も早いスラブの圧延開始から抽出時刻の最も遅いスラブの剪断完了までの時間を最小化することを目的関数とし、かつ冷却床上のスラブ数が予め定めたスラブ数制限値を超えていないことを制約条件の少なくとも1つとして定式化した最適化問題をコンピュータ30により求解して決定する。
【選択図】図2
Description
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、圧延速度を落としてスラブを圧延しなければならないなどの不都合を招くことなくスラブの加熱、圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各工程スケジュールを迅速かつ最適に決定することのできるスラブの熱間圧延スケジュール決定方法とスラブの熱間圧延スケジュール決定装置を提供することを目的とするものである。
請求項3及び6の発明によると、指数平滑値がスラブ数制限値に対する補正係数となり、リバース式圧延機から矯正機を経て冷却床に搬入される単位時間当たりのスラブ搬入数と冷却床から剪断機に搬出される単位時間当たりのスラブ搬出数との間に大きな差があっても加熱炉からスラブを抽出するときの冷却床上のスラブ数がスラブ数制限値を超えてしまうことがないので、スラブの加熱、圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各工程スケジュールをより最適に決定することができる。
本発明の一実施形態が適用される熱間圧延設備の一例を図1に示す。図1に示される熱間圧延設備は加熱炉2,4、リバース式圧延機6、矯正機8、冷却床10、剪断機12、冷却設備14、追越設備16を備えており、加熱炉2,4には図示しないスラブ装入テーブルにより複数のスラブSが並列に装入されるようになっている。
追越設備16は加熱炉2または加熱炉4から先に抽出されたスラブ(以下「先行スラブ」という。)の温調時間が加熱炉2または加熱炉4から後に抽出されたスラブ(以下「後行スラブ」という。)の温調時間より長い場合に先行スラブと後行スラブとの関係を逆転させるためのものであって、加熱炉2,4とリバース式圧延機6との間に配置されている。
本発明の一実施形態によりスラブの加熱、圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各工程スケジュールを決定するときに用いられるスケジュール決定装置の一例を図2に、また、図2のデータベース20に格納される情報の一例を図3に示す。
コンピュータ30はデータベース20に格納された情報をもとにスラブの加熱、圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各工程スケジュール(加熱開始時刻、加熱処理時間、抽出温度、圧延開始時刻、圧延処理時間、温調開始時刻、矯正開始時刻、矯正処理時間、冷却開始時刻、冷却処理時間、剪断開始時刻、剪断処理時間、剪断終了時刻など)を決定するものであって、このコンピュータ30で決定された工程スケジュールは熱間圧延設備の各機器にプロセス制御信号としてプロセス制御装置32から共有通信路34を介して供給されるようになっている。
すなわち、CPU301は加熱炉2または加熱炉4内に複数のスラブSが存在するか否かをデータベース20に格納された現状態情報を基に判断し、加熱炉2または加熱炉4内に複数のスラブSが存在する場合には、加熱炉2または加熱炉4内に存在する各スラブSの識別情報、寸法情報、抽出温度情報、材質情報、板取り情報、パススケジューリング情報をデータベース20から読み込む(図4のステップS1,S2参照)。
条件1:個々のスラブで始めに決めた処理スケジュールの順番は変えないこと。
条件2:2つ以上のスラブがリバース式圧延機、冷却装置、矯正機、冷却床および剪断機に同時に供給されないこと。
条件3:スラブの温調を予め定めた温調制限時間内で行うこと。
条件4:加熱炉とリバース式圧延機との間で待機中のスラブとリバース式圧延機で圧延中のスラブとの合計長が予め定めた合計制限長を超えないこと。
条件5:加熱炉とリバース式圧延機との間で待機中のスラブとリバース式圧延機で圧延中のスラブとの合計数が予め定めた合計制限数を超えないこと。
条件7:スラブの加熱が予め定めた加熱設定時間内で行われること。
条件8:加熱炉に装入された複数のスラブのうち同一搬送路上のスラブは加熱炉の抽出端に近いほうから先に抽出されること。
条件9:加熱炉に装入された複数のスラブのうち追越可能なスラブ以外は加熱炉とリバース式圧延機との間に配置された追越設備を利用できないこと。
条件10:追越設備でスラブの追越が行われない限り加熱炉から抽出された順序でスラブの圧延、温調、矯正、冷却、剪断が行われること。
条件11:加熱炉からスラブを抽出するときの冷却床上のスラブ数がスラブ数制限値を超えていないこと(加熱炉からスラブを抽出するときの冷却床上のスラブ数が式(3)の制約式を満たすこと)。
条件12: 加熱炉から既に抽出されたスラブの圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各開始時刻と各処理時間を固定値とすること。
(a)圧延処理1、冷却処理、圧延処理2
(b)圧延処理1、追い越し冷却、圧延処理2
の2つのパターンを列挙し、このパターンを決定変数で選択する。この決定変数を用いることによって、条件10の制約を立てる。
図7はスラブの熱間圧延スケジュールをオペレータの経験と勘を頼りに決定した場合(従来)と本発明の一実施形態により決定した場合とを比較して示す図であり、図7に示されるように、スラブの熱間圧延スケジュールをオペレータの経験と勘を頼りに決定し、加熱炉から順に抽出された7本のスラブの剪断が完了するまでの時間を計測したところ、約102分を要した。
また、加熱炉とリバース式圧延機との間に追越設備が配置された熱間圧延設備に適用した場合を例示したが、加熱炉とリバース式圧延機との間に追越設備を持たない熱間圧延設備についても本発明を適用することができる。
Claims (6)
- スラブを加熱する加熱炉と、前記加熱炉で加熱されたスラブを圧延するリバース式圧延機と、前記加熱炉から前記リバース式圧延機に供給されたスラブの温度を圧延と圧延との間で調整するための冷却装置と、前記リバース式圧延機で圧延されたスラブを矯正する矯正機と、前記矯正機で矯正されたスラブを冷却する冷却床と、前記冷却床で冷却されたスラブを剪断して複数の圧延板を板取りする剪断機とを備えた熱間圧延設備で熱間圧延される各スラブの識別情報、寸法情報、抽出温度情報、材質情報、板取り情報、パススケジュール情報をデータベースに格納しておき、前記データベースに格納された情報をもとに前記スラブの加熱、圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各工程スケジュールを決定するにあたり、
前記加熱炉に装入された複数のスラブのうち抽出時刻の最も早いスラブの圧延開始から抽出時刻の最も遅いスラブの剪断完了までの時間を最小化することを目的関数とし、かつ前記加熱炉からスラブを抽出するときの冷却床上のスラブ数が予め定めたスラブ数制限値を超えていないことを制約条件の少なくとも1つとして定式化した最適化問題の解をコンピュータにより求めて前記スラブの加熱、圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各工程スケジュールを決定することを特徴とするスラブの熱間圧延スケジュール決定方法。 - 前記加熱炉に装入された複数のスラブのうち抽出時刻の最も早いスラブの圧延開始から抽出時刻の最も遅いスラブの剪断完了までの時間を最小化することを目的関数とし、かつ前記加熱炉からスラブを抽出するときの冷却床上のスラブ数が予め定めたスラブ数制限値を超えていないこと、個々のスラブで始めに決めた処理スケジュールの順番は変えないこと、2つ以上のスラブが前記リバース式圧延機、前記冷却装置、前記矯正機、前記冷却床および前記剪断機に同時に供給されないこと、前記スラブの温調を予め定めた温調制限時間内で行うこと、前記加熱炉と前記リバース式圧延機との間で待機中のスラブと前記リバース式圧延機で圧延中のスラブとの合計長が予め定めた合計制限長を超えないこと、前記加熱炉と前記リバース式圧延機との間で待機中のスラブと前記リバース式圧延機で圧延中のスラブとの合計数が予め定めた合計制限数を超えないこと、前記スラブの温調を水冷または空冷のいずれかの方法で行うこと、前記スラブの加熱が予め定めた加熱設定時間内で行われること、前記加熱炉に装入された複数のスラブのうち同一搬送路上のスラブは加熱炉の抽出端に近いほうから先に抽出されること、前記加熱炉に装入された複数のスラブのうち追越可能なスラブ以外は前記加熱炉と前記リバース式圧延機との間に配置された追越設備を利用できないこと、前記追越設備でスラブの追越が行われない限り前記加熱炉から抽出された順序でスラブの圧延、温調、矯正、冷却、剪断が行われること、前記加熱炉から既に抽出されたスラブの圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各開始処理時刻と各処理時間を固定値とすることを制約条件として定式化した最適化問題の解をコンピュータにより求めて前記スラブの加熱、圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各工程スケジュールを決定することを特徴とする請求項1記載のスラブの熱間圧延スケジュール決定方法。
- 請求項1または2記載のスラブの熱間圧延スケジュール決定方法であって、前記加熱炉からスラブを抽出したときの冷却床上のスラブ数を実績スラブ数情報として前記データベースに格納しておき、前記加熱炉からスラブを抽出するときの冷却床上のスラブ数と前記データベースに格納された実績スラブ数情報との差を前記リバース式圧延機から矯正機を経て冷却床に搬入される単位時間当たりのスラブ搬入数と前記冷却床から剪断機に搬出される単位時間当たりのスラブ搬出数との推定誤差として求め、前記推定誤差の指数平滑値を前記スラブ数制限値に加えた制約式を作成して前記スラブの加熱、圧延、温調、冷却、剪断の各工程スケジュールを決定することを特徴とするスラブの熱間圧延スケジュール決定方法。
- スラブを加熱する加熱炉と、前記加熱炉で加熱されたスラブを圧延するリバース式圧延機と、前記加熱炉から前記リバース式圧延機に供給されたスラブの温度を調整するための冷却装置と、前記リバース式圧延機で圧延されたスラブを矯正する矯正機と、前記矯正機で矯正されたスラブを冷却する冷却床と、前記冷却床で冷却されたスラブを剪断して複数の圧延板を板取りする剪断機とを備えた熱間圧延設備で熱間圧延されるスラブの加熱、圧延、温調、剪断、冷却、剪断の各工程スケジュールを決定する装置であって、
前記スラブの識別情報、寸法情報、抽出温度情報、材質情報、板取り情報、パススケジュール情報を格納するデータベースと、
前記データベースに格納された情報をもとに前記スラブの加熱、圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各工程スケジュールを決定するスケジュール決定手段とを備え、
前記スケジュール決定手段が、前記加熱炉に装入された複数のスラブのうち抽出時刻の最も早いスラブの圧延開始から抽出時刻の最も遅いスラブの剪断完了までの時間を最小化することを目的関数とする最適化問題を定式化し、前記加熱炉からスラブを抽出するときの冷却床上のスラブ数が予め定めたスラブ数制限値を超えていないことを制約条件の少なくとも1つとする制約プログラミングの枠組みで前記最適化問題を求解して前記スラブの加熱、圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各工程スケジュールを決定することを特徴とするスラブの熱間圧延スケジュール決定装置。 - 請求項4記載のスラブの熱間圧延スケジュール決定装置において、前記スケジュール決定手段が、前記加熱炉に装入された複数のスラブのうち抽出時刻の最も早いスラブの圧延開始から抽出時刻の最も遅いスラブの剪断完了までの時間を最小化することを目的関数とする最適化問題を定式化し、前記加熱炉からスラブを抽出するときの冷却床上のスラブ数が予め定めたスラブ数制限値を超えていないこと、個々のスラブで始めに決めた処理スケジュールの順番は変えないこと、2つ以上のスラブが前記リバース式圧延機、前記冷却装置、前記矯正機、前記冷却床および前記剪断機に同時に供給されないこと、前記スラブの温調を予め定めた温調制限時間内で行うこと、前記加熱炉と前記リバース式圧延機との間で待機中のスラブと前記リバース式圧延機で圧延中のスラブとの合計長が予め定めた合計制限長を超えないこと、前記加熱炉と前記リバース式圧延機との間で待機中のスラブと前記リバース式圧延機で圧延中のスラブとの合計数が予め定めた合計制限数を超えないこと、前記スラブの温調を水冷または空冷のいずれかの方法で行うこと、前記スラブの加熱が予め定めた加熱設定時間内で行われること、前記加熱炉に装入された複数のスラブのうち同一搬送路上のスラブは加熱炉の抽出端に近いほうから先に抽出されること、前記加熱炉に装入された複数のスラブのうち追越可能なスラブ以外は前記加熱炉と前記リバース式圧延機との間に配置された追越設備を利用できないこと、前記追越設備でスラブの追越が行われない限り前記加熱炉から抽出された順序でスラブの圧延、温調、矯正、冷却、剪断が行われること、前記加熱炉から既に抽出されたスラブの圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各開始処理時刻と各処理時間を固定値とすることを制約条件とする制約プログラミングの枠組みで前記最適化問題を求解して前記スラブの加熱、圧延、温調、矯正、冷却、剪断の各工程スケジュールを決定することを特徴とするスラブの熱間圧延スケジュール決定装置。
- 前記加熱炉からスラブを抽出したときの冷却床上のスラブ数が前記データベースに実績スラブ数情報として格納され、前記スケジュール決定手段が、前記加熱炉からスラブを抽出するときの冷却床上のスラブ数と前記データベースに格納された実績スラブ数情報との差を前記リバース式圧延機から矯正機を経て冷却床に搬入される単位時間当たりのスラブ搬入数と前記冷却床から剪断機に搬出される単位時間当たりのスラブ搬出数との推定誤差として求め、前記推定誤差の指数平滑値を前記スラブ数制限値に加えた制約式を作成して前記スラブの加熱、圧延、温調、冷却、剪断の各工程スケジュールを決定することを特徴とするスラブの熱間圧延スケジュール決定装置。
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