JP2003225702A - 熱間圧延ラインのミルペーシング方法 - Google Patents

熱間圧延ラインのミルペーシング方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱炉から仕上ミルまでのライン上を搬送す
る材の互いの干渉を予測し、加熱炉抽出間隔を決定する
熱間圧延ラインのミルペーシングに関する。 【解決手段】 一の粗ミルに進入する直前の材を注目材
として選定し、当該注目材よりも下流側に位置する各材
の干渉をチェックし、 それら各材の搬送予測時刻を修正
する工程と、 前記注目材とその下流側に位置する次材の
干渉をチェックし、前記一の粗ミル前に待機させる工程
と、 前記注目材とその上流側に位置する材の干渉をチェ
ックし、その上流側に位置する材の搬送予測時刻を修正
する工程と、 加熱炉抽出材とその下流側直近に位置する
次材の干渉をチェックし、 前記加熱炉抽出材の抽出タイ
ミングを早める工程と、 を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、 熱間圧延ラインの
ミルペーシング方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】図1に、熱間圧延ラインの一例を模式的
に示す。図示のように、 加熱炉2で加熱された鋼材等の
材は、ライン1に抽出され、 HSB3でスケール除去を
行い、 プレス4でプレス処理される。 そして、粗ミルR1〜R5、仕上ミルF1で順次圧延が行わ
れ、最終的に、図示しないコイラで巻き取られる。
【0003】熱間圧延ラインでは、 従来から、 ミルペー
シング制御装置5によって、加熱炉2抽出側から仕上ミ
ルF1までのプレス4と複数の粗ミルR1〜R5で構成される
ライン1上を搬送される材(図1では、 A材〜E材)に
ついて、それらの互いの干渉を予測し、干渉しない最短
ピッチでの加熱炉抽出間隔を決定するミルペーシングが
実施されてきている。
【0004】ここで、「干渉」とは、 各粗ミル等での搬
送インターロックにかかることである。例えば、 隣接す
る粗ミル間に複数の材が同時に存在することが予測され
るとインタロックが作動する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のミルペーシング方法では、その搬送予測に誤差があ
る場合、 あるいはまた、 予測不能の待機状態が発生した
場合等には、粗ミル間において材が滞留することにな
り、温度低下、テーブルマーク発生等のトラブルの原因
となっていた。
【0006】また、粗ミル間で材が互いに干渉しないよ
うに加熱炉からの抽出を実施することから、 一旦、粗ミ
ル間での材の干渉が起こると、 仕上圧延機F1でのバーツ
ーバー時間が目標よりも延長され、 圧延能率向上の大き
な阻害要因ともなっていた。ここで、「バーツーバー時
間」とは、仕上ミルでの圧延間隔を言い、この値が小さ
いほど圧延能率が良い。
【0007】更に、 従来のミルペーシング制御では、 抽
出済みの材に対してはコントロールする術がなく、 各粗
ミルでの搬送インターロックにかかって搬送されること
になる。 この場合、 各粗ミルでの待機時間は、 設備的な
インターロックに依存することになり、 適切なミルペー
シングとは相容れないものとならざるを得ない。 本発明は、 上記従来のミルペーシング方法を改良し、 仕
上圧延機F1でのバーツーバー時間の短縮を実現し、圧延
能率向上を達成するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、 従来のミル
ペーシング制御が有する上記の問題点を的確に把握し、
加熱炉抽出側から、 仕上ミルまでの中間点で材を自動待
機させる処理を付加したミルペーシング処理を再度行う
ことで上記課題を解決できることを見出したのである。
【0009】更に、 本発明者は、 加熱炉抽出時に、 前記
中間点よりも上流側に材同士の干渉ポイントがある場
合、 先行する材を早出しして前記中間点での待機を積極
的に行うようにすることで、仕上圧延機F1でのバーツー
バー時間の短縮が実現できることに想到したのである。 そして、図1に示す熱間圧延ラインを模したモデルでの
シミュレーション実験を重ね、 以下の発明をするに至っ
た。
【0010】本発明は、 加熱炉抽出側から仕上ミルまで
の複数の粗ミルを含むライン上を搬送する材の互いの干
渉を予測し、干渉しない最短ピッチでの加熱炉抽出間隔
を決定する熱間圧延ラインのミルペーシング方法におい
て、 いずれか一の粗ミルに進入する直前の材を注目材と
して選定し、当該注目材よりも下流側に位置する各材の
干渉をチェックし、 それら各材の搬送予測時刻を修正す
る工程と、 修正した搬送予測時刻を基に、前記注目材と
その下流側に位置する次材の干渉をチェックし、その干
渉する時間だけ前記注目材の前記一の粗ミルへの進入予
定時刻を変更して前記一の粗ミル前に待機させる工程
と、 前記の変更した進入予定時刻を基に、前記注目材と
その上流側に位置する材の干渉をチェックし、その上流
側に位置する材の搬送予測時刻を修正する工程と、 修正
した搬送予測時刻を基に、加熱炉抽出材の抽出タイミン
グを修正する工程と、該加熱炉抽出材とその下流側直近
に位置する次材の干渉をチェックし、 その干渉ポイント
が前記一の粗ミルより上流側にある場合、加熱炉抽出材
の下流側直近に位置する次材を早出しし、前記一の粗ミ
ル前で待機させる工程と、前記加熱炉抽出材の抽出タイ
ミングを早める工程と、 を有することを特徴とする熱間
圧延ラインのミルペーシング方法によって上記課題を解
決した。
【0011】なお、加熱炉と1台めの粗ミルの間にプレ
スを配置し、 前記一の粗ミルが2台めの粗ミルであるこ
とが好適であることを見出した。 ところで、前記シミュレーション実験においては、 上記
の各発明方法を適用することで、 仕上圧延機F1でのバー
ツーバー時間が0.5 秒短縮することを確認している。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、 図1に例示するプレス
を含む熱間圧延ライン1において、 従来から行われてい
るミルペーシング制御5に対し、 以下で説明する粗ミル
進入制御(図1では、 R2ミルに適用するR2ミル進入制御
100 として例示)と加熱炉抽出制御200 を付加するもの
である。
【0013】粗ミル進入制御は、粗ミルR1〜R5のいずれ
に進入する材にも好適に適用することができる。ただ
し、粗ミルでの材の待機位置としては、 待機による温度
低下があまり問題とならず、 かつ、できるだけ仕上ミル
に近い位置とすることを好適とすることから、2台目の
粗ミル、すなわち、R2の前面テーブルが最も好適な位置
である。
【0014】以下では、 その最も好適とするR2ミルに進
入する直前の材に適用するR2ミル進入制御100 につい
て、図2(a)のフローに基づいて具体的に説明する。 なお、図1に例示の熱間圧延ラインでは、 加熱炉抽出側
から仕上ミルまでに最大5つの材が並ぶ場合が有る。こ
こで、R2ミルに進入する材、すなわち、注目材をC材と
する。また、C材より下流側の各材を順にB材、A材と
し、上流側に位置する各材を順にD材、 E材とする。な
お、E材は加熱炉抽出材でもある。
【0015】R2ミル進入制御100 のフローにおいては、
まず、C材のR1オンのタイミング(110 )で、A材とB
材の干渉をチェックし、B材の搬送予測時刻を修正する
処理(120 )を行う。 そして、修正したB材の搬送予測
時刻を基に、B材とC材の干渉をチェックし、その干渉
する時間だけR2進入予定時刻を変更し、C材をR2前面テ
ーブルで待機させる(130 )。
【0016】次に、 図2(b)に示す加熱炉抽出制御20
0 のフローでは、上記のR2ミル進入制御100 の処理で変
更したC材のR2進入予定時刻を基に、C材とD材の干渉
をチェックし、D材の搬送予測時刻を修正する(210
)。そして、修正したD材の搬送予測時刻を基に、D
材とE材の干渉をチェックし、E材の加熱炉抽出タイミ
ングを修正する(220 )。
【0017】本発明の熱間圧延ライン1のミルペーシン
グ方法では、 まず、R2ミル進入制御100 を行って、 R2ミ
ル前のテーブルに材を所要時間だけ滞留させる。こうす
ることで、 仕上圧延F1前での不要の滞留を抑止でき、 バ
ーツーバー時間を延長することなく目標とするバーツー
バー時間での搬送を実現できる。更に、 加熱炉抽出制御
200 を適用して、E材の加熱炉抽出タイミングを修正
し、早出しを行うようにする。 この早出し処理を行っ
て、R2前テーブルに材を積極的に待機させるようにする
ことで、 仕上圧延F1前でのバーツーバー時間短縮を実現
できるのである。
【0018】
【実施例】図3に、 3本の材(当該材、 先行材、先々行
材)に、従来のミルペーシングを適用した場合の搬送ダ
イヤグラム(a)と、 本発明のミルペーシングを適用し
た場合の搬送ダイヤグラム(b)を比較して示す。 図3(a)の従来例では、 先々行材と先行材のバーツー
バーネックがあり、更に、 先行材と当該材にプレスネッ
クがあることから、当該材において、 バーツーバー時間
の延長が発生することになる。
【0019】一方、 図3(b)に示す本発明例では、加
熱炉抽出制御に基づく早出し処理で早出しして抽出され
た先行材が、R2ミル進入制御によって、R2前テーブル上
で待機することになる。なお、先行材の搬送ダイヤグラ
ムにおいて、 点線が(a)に示す従来のダイヤグラムで
あり、 実線が本発明で早出しを行ったダイヤグラムであ
る(以下、 同様)。
【0020】このようにして早出しされた先行材に対
し、 当該材が干渉のない最短ピッチで抽出されてライン
上を搬送されることから、 当該材の仕上ミルF1でのバー
ツーバー時間の短縮を実現できる。 表1に、仕上ミルF1におけるバーツーバー平均時間(F1
バーツーバー平均時間)について、従来例と本発明例を
対比して示す。 また、それに伴う本発明例での生産効率
の向上を示す。
【0021】
【表1】
【0022】表1から明らかなように、本発明の適用に
よって、 F1バーツーバー平均時間を0.6 秒短縮し、3.0t
/hの生産効率向上を達成した。
【0023】
【発明の効果】本発明によって、 仕上ミルF1でのバーツ
ーバー平均時間を短縮することができ、 熱間圧延ライン
の生産効率向上を実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する熱間圧延ラインにおいて、加
熱炉から仕上ミルまでを示す模式図である。
【図2】本発明の制御を示すフロー図である。
【図3】従来例(a)と本発明例(b)を比較する搬送
ダイヤグラムである。
【符号の説明】 1 (熱間圧延)ライン 2 加熱炉 3 HSB(ホットスケールブレーカ) 4 プレス 5 熱間圧延ラインのミルペーシング制御装置 A材〜E材 熱間圧延ライン上を搬送される鋼材 R1〜R5 粗ミル F1 仕上ミル(部分)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱炉抽出側から仕上ミルまでの複数の
    粗ミルを含むライン上を搬送する材の互いの干渉を予測
    し、干渉しない最短ピッチでの加熱炉抽出間隔を決定す
    る熱間圧延ラインのミルペーシング方法において、いず
    れか一の粗ミルに進入する直前の材を注目材として選定
    し、当該注目材よりも下流側に位置する各材の干渉をチ
    ェックし、 それら各材の搬送予測時刻を修正する工程
    と、修正した搬送予測時刻を基に、前記注目材とその下
    流側に位置する次材の干渉をチェックし、その干渉する
    時間だけ前記注目材の前記一の粗ミルへの進入予定時刻
    を変更して前記一の粗ミル前に待機させる工程と、前記
    の変更した進入予定時刻を基に、 前記注目材とその上流
    側に位置する材の干渉をチェックし、その上流側に位置
    する材の搬送予測時刻を修正する工程と、修正した搬送
    予測時刻を基に、加熱炉抽出材の抽出タイミングを修正
    する工程と、該加熱炉抽出材とその下流側直近に位置す
    る次材の干渉をチェックし、 その干渉ポイントが前記一
    の粗ミルより上流側にある場合、加熱炉抽出材の下流側
    直近に位置する次材を早出しし、前記一の粗ミル前で待
    機させる工程と、前記加熱炉抽出材の抽出タイミングを
    早める工程と、を有することを特徴とする熱間圧延ライ
    ンのミルペーシング方法。
  2. 【請求項2】 加熱炉と1台めの粗ミルの間にプレスを
    配置し、 前記一の粗ミルが2台めの粗ミルであることを
    特徴とする請求項1に記載の熱間圧延ラインのミルペー
    シング方法。
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