JP2014179203A - 電気化学セル - Google Patents

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Abstract

【課題】過酷な高温高湿環境下において保管・使用した場合でも放電容量が低下することなく保存特性に優れ、さらに、高電圧で使用できるとともにサイクル特性に優れた電気化学セルを提供する。
【解決手段】正極10と、負極20と、支持塩及び非水溶媒を含む電解液50と、セパレータ30とを備えてなる電気化学セルであって、電解液50は、非水溶媒が、少なくとも、エチレンカーボネート(EC)、テトラグライム(TEG)及びジエトキシエタン(DEE)を含有してなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気化学セルに関するものであり、特に、正極または負極として用いる活物質と電解液とが容器内に収容されてなる、非水電解質二次電池やリチウムイオンキャパシタ等の電気化学セルに関する。
蓄電デバイスである非水電解質二次電池等の電気化学セルは、密封された収納容器内に、正極及び負極からなる一対の分極性電極と、この正極と負極の間に介在されたセパレータと、正極、負極及びセパレータに含浸され、支持塩及び非水溶媒を含む電解液とを備えるものである。このような電気化学セルは、エネルギー密度が高く軽量であることから各種電子機器の電源として注目され、例えば、携帯電話、PDA、携帯用ゲーム機等の各種小型電子機器において、メモリのバックアップ用電源や時計機能のバックアップ用電源等として利用されており、特に、コイン(ボタン)型のものが多用されている。
近年、非水電解質二次電池等の電気化学セルは、実装される電子機器等の小型化に伴い、基板上への面実装化が進められており、その実装方法としては、リフローハンダ付けによる実装化(リフロー処理)が主流となっている。リフロー処理では、電気化学セルを250〜260℃程度で加熱することから大きな熱量がかかるため、リフロー処理が施されることで、放電容量が著しく低くなることがある。
上述のような、リフロー処理における加熱によって電気化学セルの放電容量が低下するのを防止するため、非水電解質二次電池において、電解液の溶媒としてエチレンカーボネート(EC)及びγ−ブチロラクトン(GBL)を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1によれば、電解液の溶媒を適正化することで、リフロー処理によって加熱された場合であっても、放電容量が低下するのを防止できる。
また、特許文献1に記載の非水電解質二次電池においては、正極活物質にMoO等のモリブデン酸化物が用いられるとともに、負極活物質にSiOが用いられている。このように、正極活物質にMoO、負極活物質にSiOを用いた非水電解質二次電池は、2.5〜3.3Vの高電圧で使用することが可能であり、また、サイクル特性が良好であることから、小型電子機器のバックアップ用途として広く用いられるようになっている。
特開2002−117941号公報
ところで、電気化学セルは、組み込まれた電子機器等の保管環境や使用環境等により、高温高湿雰囲気に曝されることがある。このような高温高湿雰囲気において、上記構成の電気化学セルを保管あるいは長期使用した場合、その放電容量が低下するという問題があり、特に過酷な高温高湿環境下においては、このような保存特性の低下が顕著となる。これは、高湿環境下で電気化学セル内部に水分が侵入し、この水分と、電解液に支持塩として含まれるLi等との反応性が、高温環境下で顕著に高まることから電気化学セル内部で欠陥が生じ、放電容量が低下するものと考えられる。
上述したように、特許文献1に記載の非水電解質二次電池は、電解液の溶媒としてEC及びGBLを用いることで、リフロー処理の加熱による放電容量の低下を防止でき、加えて、正極にモリブデン酸化物(MoO)、負極にSiOを用いることで、高電圧で使用できるとともに、良好なサイクル特性が得られるというものである。しかしながら、本発明者が鋭意検討したところ、上記構成の電解液を用いた場合に、特に、上述した高温高湿環境下における保存特性の低下が顕著になることが明らかになった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、過酷な高温高湿環境下において保管・使用した場合でも放電容量が低下することなく保存特性に優れ、さらに、高電圧で使用できるとともにサイクル特性に優れた電気化学セルを提供することを目的とする。
本発明者等が上記課題を解決するために鋭意検討したところ、電解液に用いる非水溶媒の組成を適正化することにより、高温高湿環境下において、電気化学セル内部に侵入した水分と、電解液に支持塩として含まれるLi等とが反応するのを抑制できることを知見した。そして、電解液に用いる溶媒を、従来のエチレンカーボネート及びγ−ブチロラクトンに代わって、エチレンカーボネート(EC)、テトラグライム(TEG)及びジエトキシエタン(DEE)の混合溶媒を用いることにより、電気化学セル内部で欠陥が生じることがなく、放電容量の低下を抑制して、保存特性を向上できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の電気化学セルは、正極と、負極と、支持塩及び非水溶媒を含む電解液と、セパレータとを備えてなる電気化学セルであって、前記電解液は、前記非水溶媒が、少なくとも、エチレンカーボネート(EC)、テトラグライム(TEG)及びジエトキシエタン(DEE)を含有してなる構成を採用する。
上記構成のように、電解液に用いる非水溶媒を、EC、TEG及びDEEを含有する構成を採用することにより、支持塩をなすLiイオンに、DEE及びTEGが溶媒和する。このとき、DEEがTEGよりもドナーナンバーが高いため、DEEが選択的にLiイオンと溶媒和する。このように、支持塩をなすLiイオンにDEE及びTEGが溶媒和し、Liイオンを保護する。これにより、例え、高温高湿環境下において電気化学セル内部に水分が侵入した場合であっても、水分とLiとが反応するのを防止できるので、放電容量が低下することなく、保存特性が向上する効果が得られる。
また、上記構成の電気化学セルにおいて、正極が、正極活物質としてモリブデン酸化物を含有してなることが好ましい。
さらに、上記構成において、正極活物質が酸化モリブデン(MoO)からなることがより好ましい。
また、上記構成の電気化学セルにおいて、負極が、負極活物質としてシリコン酸化物又はアルミニウム合金を含有してなることが好ましい。
さらに、上記構成において、負極活物質がSiO(0<x<2)で表されるシリコン酸化物からなることがより好ましい。
正極活物質にMoO等のモリブデン酸化物を用い、さらに、負極活物質に上記組成のシリコン酸化物を用いることで、電気化学セルを高電圧で使用することが可能になるとともに、サイクル特性が向上する。
また、上記構成の電気化学セルにおいて、正極と負極との容量バランス{負極容量(mAh)/正極容量(mAh)}を0.92〜3.09の範囲とすることがさらに好ましい。
正極活物質としてMoO等のモリブデン酸化物を用いた場合において、正極と負極との容量バランスを上記範囲とし、負極側の容量に所定の余裕を確保しておくことで、万が一、電池反応による分解が早く進んだ場合であっても、一定以上の負極容量を確保できる。これにより、仮に、電気化学セルを、過酷な高温多湿環境下において保管・長期使用した場合であっても、放電容量が低下することがなく、保存特性が向上する。
また、上記構成の電気化学セルにおいて、さらに、負極の表面にリチウム体が積層されており、且つ、正極とリチウム体との容量バランス{Li容量(mAh)/正極容量(mAh)}が3.74〜8.88の範囲であることがさらに好ましい。
上記同様、正極活物質としてMoO等のモリブデン酸化物を用いた場合に、正極とリチウム体(Li)との容量バランスを上記範囲とし、支持塩側の容量に所定の余裕を確保しておくことで、万が一、電池反応による分解が早く進んだ場合であっても、一定以上のLi容量を確保できる。これにより、仮に、電気化学セルを、過酷な高温多湿環境下において保管・長期使用した場合であっても、放電容量が低下することがなく、保存特性が向上する。
本発明の電気化学セルによれば、上述のように、電解液に用いられる非水溶媒の組成を適正化することにより、高温高湿環境下において、電気化学セル内部に侵入した水分と、電解液に支持塩として含まれるLi等とが反応するのを抑制できるので、電気化学セル内部で欠陥が生じるのを防止できる。
従って、過酷な高温高湿環境下において保管・使用した場合であっても放電容量が低下することなく保存特性に優れ、さらに、高電圧で使用できるとともにサイクル特性に優れた電気化学セルを提供することが可能となる。
図1は、本発明の電気化学セルの実施形態である非水電解質二次電池を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の電気化学セルの実施形態である非水電解質二次電池の実施例について説明する図であり、本発明で規定する組成を有する非水溶媒を含む電解液が用いられた非水電解質二次電池(実施例)と、従来の非水溶媒を含む電解液が用いられた非水電解質二次電池(比較例)の、20日間の高温高湿保存試験を行った後の容量を示すグラフである。 図3は、本発明の電気化学セルの実施形態である非水電解質二次電池の実施例について説明する図であり、正極と負極との容量バランス{負極容量(mAh)/正極容量(mAh)}と、20日間の高温高湿保存試験を行った後の容量との関係を示すグラフである。 図4は、本発明の電気化学セルの実施形態である非水電解質二次電池の実施例について説明する図であり、正極と負極との容量バランスが本発明で規定する範囲とされた非水電解質二次電池(実施例)と、従来の非水電解質二次電池(比較例)の、20日間の高温高湿保存試験を行った後の容量を示すグラフである。 図5は、本発明の電気化学セルの実施形態である非水電解質二次電池の実施例について説明する図であり、リチウム体(Li)と正極との容量バランス{Li容量(mAh)/正極容量(mAh)}と、20日間の高温高湿保存試験を行った後の容量との関係を示すグラフである。
以下、本発明の電気化学セルの実施形態として、非水電解質二次電池の実施形態を挙げ、それらの各構成について図面を参照しながら詳述する。なお、本発明で説明する電気化学セルとは、具体的には、正極または負極として用いる活物質と電解液とが容器内に収容されてなる、非水電解質二次電池やリチウムイオンキャパシタ等を指し、本実施形態においても、非水電解質二次電池を例に挙げて説明する。
「非水電解質二次電池」
図1に示す本実施形態の非水電解質二次電池1は、いわゆるコイン(ボタン)型のものである。この非水電解質二次電池1は、有底円筒状の本体部(正極缶)12と、正極缶12の開口部を塞ぐ有蓋円筒状の蓋部(負極缶)22と、正極缶12の内周面に沿って設けられたガスケット40とを有し、正極缶12の開口部周縁を内側にかしめた収納容器2を備えるものである。収納容器2内には、正極10と負極20とがセパレータ30を介して対向配置され、電解液50が充填されている。
そして、本発明に係る電気化学セルである非水電解質二次電池1は、電解液50が、非水溶媒が、エチレンカーボネート(EC)、テトラグライム(TEG)及びジエトキシエタン(DEE)を含有してなる構成とされている。
正極10は、正極集電体14を介して正極缶12の内面に電気的に接続され、負極20は、負極集電体24を介して負極缶22の内面に電気的に接続されている。
ガスケット40は、セパレータ30の外周と接続され、セパレータ30を保持している。
そして、正極10、負極20及びセパレータ30には、収納容器2内に充填された電解液50が含浸している。
正極缶12の材質としては、従来公知のものが用いられ、例えば、NAS64等のステンレス鋼が挙げられる。
負極缶22の材質は、正極缶12の材質と同様、従来公知のステンレス鋼が挙げられ、例えば、SUS304−BA等が挙げられる。
(正極)
正極10は、正極活物質の種類は特に限定されないが、例えば、正極活物質としてモリブデン酸化物を含有するものを用いることが好ましい。このようなモリブデン酸化物としては、例えば、酸化モリブデン(MoO)が挙げられ、正極活物質がMoOからなることがより好ましい。正極10が、正極活物質としてMoOを含有することで、非水電解質二次電池1の耐熱性が高まり、例えば、非水電解質二次電池1を過酷な高温高湿環境下において保管・使用した場合の放電容量の低下が抑制され、さらに、リフロー処理等の工程での加熱による放電容量の低下も抑制できる。
さらに、後述の負極20において、負極活物質にSiO(0<x<2)で表されるシリコン酸化物を用い、上記構成の正極20と組み合わせた場合には、非水電解質二次電池1を高電圧で使用することが可能になるとともに、サイクル特性が向上する効果が得られる。
また、本実施形態では、正極活物質として、上記のモリブデン酸化物に加え、他の正極活物質を含有していても良く、例えば、リチウムマンガン酸化物、リチウム鉄リン酸化合物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、バナジウム酸化物等、他の酸化物の何れか1種以上を含有していても良い。
また、MoO等のモリブデン酸化物からなる粒状の正極活物質を用いる場合、その粒子径(D50)は、MoO等のモリブデン酸化物の場合には、0.1〜100μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
正極活物質の粒子径(D50)が、上記好ましい範囲の下限値未満であると、リフロー処理の際に反応性が高まるために扱いにくくなり、上限値を超えると、放電レートが低下するおそれがある。
なお、本発明における「正極活物質の粒子径(D50)」とは、レーザー回折法を用いて測定される粒子径であってメジアン径を意味する。
正極10中の正極活物質の含有量は、非水電解質二次電池1に要求される放電容量等を勘案して決定され、50〜95質量%が好ましい。正極活物質の含有量が、上記好ましい範囲の下限値以上であれば、充分な放電容量が得られやすく、好ましい上限値以下であれば、正極10を成形しやすい。
正極10は、導電助剤(以下、正極10に用いられる導電助剤を「正極導電助剤」ということがある)を含有してもよい。
正極導電助剤としては、例えば、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、グラファイト等の炭素質材料が挙げられる。
正極導電助剤は、上記のうちの1種を単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、正極10中の正極導電助剤の含有量は、4〜40質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。正極導電助剤の含有量が、上記好ましい範囲の下限値以上であれば、充分な導電性が得られやすい。加えて、電極をペレット状に成型する場合に成型しやすくなる。一方、正極10中の正極導電助剤の含有量が、上記好ましい範囲の上限値以下であれば、正極10に充分な放電容量が得られやすい。
正極10は、バインダ(以下、正極10に用いられるバインダを「正極バインダ」ということがある)を含有してもよい。
正極バインダとしては、従来公知の物質を用いることができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられ、中でも、ポリアクリル酸が好ましく、架橋型のポリアクリル酸がより好ましい。
また、正極バインダは、上記のうちの1種を単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、正極バインダにポリアクリル酸を用いる場合には、ポリアクリル酸を、予め、pH3〜10に調整しておくことが好ましい。この場合のpHの調整には、例えば、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物や水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物を用いることができる。
正極10中の正極バインダの含有量は、例えば、1〜20質量%とすることができる。
正極10の大きさは、非水電解質二次電池1の大きさに応じて決定される。
また、正極10の厚さは、非水電解質二次電池1の大きさに応じて決定され、非水電解質二次電池1がバックアップ用のコイン型のものであれば、例えば、300〜1000μm程度とされる。
正極10は、従来公知の製造方法により製造できる。
例えば、正極10の製造方法としては、正極活物質と、必要に応じて正極導電助剤、及び/又は、正極バインダとを混合して正極合剤とし、この正極合剤を任意の形状に加圧成形する方法が挙げられる。
上記の加圧成形時の圧力は、正極導電助剤の種類等を勘案して決定され、例えば0.2〜5ton/cmとすることができる。
正極集電体14としては、従来公知のものを用いることができ、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤等が挙げられる。
(負極)
負極20は、負極活物質の種類は特に限定されないが、例えば、負極活物質としてシリコン酸化物又はアルミニウム合金を含有することが好ましい。
また、負極20は、負極活物質がSiO(0<x<2)で表されるシリコン酸化物からなることがより好ましい。上述のように、正極10に含まれる正極活物質としてMoOを用いたうえで、負極活物質に上記組成のシリコン酸化物を用いることで、非水電解質二次電池1を高電圧で使用することが可能になるとともに、サイクル特性が向上する。
また、負極20は、負極活物質として、上記のSiO(0<x<2)に加え、他の負極活物質を含有していても良く、例えば、Si、C等、他の負極活物質を含有していても良い。
負極活物質として粒状のSiO(0<x<2)を用いる場合、これらの粒子径(D50)は、特に限定されず、例えば、0.1〜30μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。SiOの粒子径(D50)が、上記好ましい範囲の下限値未満であると、例えば、非水電解質二次電池1を過酷な高温高湿環境下において保管・使用した場合や、リフロー処理による反応性が高まり、電池特性が損なわれるおそれがあり、また、上限値を超えると、放電レートが低下するおそれがある。
負極20中の負極活物質、即ち、SiO(0<x<2)の含有量は、非水電解質二次電池1に要求される放電容量等を勘案して決定され、50質量%以上が好ましく、60〜70質量%がより好ましい。
負極20において、上記元素からなる負極活物質の含有量が、上記好ましい範囲の下限値以上であれば、充分な放電容量が得られやすく、また、上限値以下であれば、負極20を成形しやすい。
負極20は、導電助剤(以下、負極20に用いられる導電助剤を「負極導電助剤」ということがある)を含有してもよい。負極導電助剤は、正極導電助剤と同様のものである。
負極20は、バインダ(以下、負極20に用いられるバインダを「負極バインダ」ということがある)を含有してもよい。
負極バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド(PI)、ポリイミドアミド(PAI)等が挙げられ、中でも、ポリアクリル酸が好ましく、架橋型のポリアクリル酸がより好ましい。
また、負極バインダは、上記のうちの1種を単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、負極バインダにポリアクリル酸を用いる場合には、ポリアクリル酸を、予め、pH3〜10に調整しておくことが好ましい。この場合のpHの調整には、例えば、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物や水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物を用いることができる。
負極20中の負極バインダの含有量は、例えば1〜20質量%とされる。
なお、負極20の大きさ、厚さについては、正極10の大きさ、厚さと同様である。
また、図1に示す非水電解質二次電池1においては、図示を省略しているが、負極20の表面、即ち、負極20と後述のセパレータ30との間に、リチウム体を設けた構成を採用することができる。
負極20を製造する方法としては、例えば、負極活物質としてSiO(0<x<2)、と、必要に応じて負極導電助剤、及び/又は、負極バインダとを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤を任意の形状に加圧成形する方法を採用することができる。
この場合の加圧成形時の圧力は、負極導電助剤の種類等を勘案して決定され、例えば0.2〜5ton/cmとすることができる。
また、負極集電体24は、正極集電体14と同様の材料を用いて構成することができる。
(正極と負極との容量バランス)
本発明に係る電気化学セルである非水電解質二次電池1においては、正極10と負極20との容量バランス{負極容量(mAh)/正極容量(mAh)}が、0.92〜3.09の範囲であることがより好ましい。
正極10に含まれる正極活物質としてMoO等のモリブデン酸化物を用いた場合、正極10と負極20との容量バランスを上記範囲とすることで、負極側の容量に所定の余裕を確保しておくことができる。これにより、例えば、電池反応による負極活物質の分解が早く進んだ場合であっても、一定以上の負極容量を確保することが可能となる。従って、仮に、非水電解質二次電池1を過酷な高温多湿環境下において保管・長期使用した場合であっても、放電容量の低下が抑制され、保存特性が向上する効果が得られる。
(電解液)
電解液50は、通常、支持塩を非水溶媒に溶解させたものである。
本発明に係る電気化学セルである非水電解質二次電池1においては、電解液50をなす非水溶媒が、エチレンカーボネート(EC)、テトラグライム(TEG)及びジエトキシエタン(DEE)を含有するものである。非水溶媒は、通常、電解液50に求められる耐熱性や粘度等を勘案して決定されるが、本発明においては、上記の各溶媒からなるものを用いる。
上述したように、従来のエチレンカーボネート(EC)及びγ−ブチロラクトン(GBL)を非水溶媒として用いた電解液を電気化学セルに使用した場合、特に、高温高湿環境下における保存特性の低下が顕著であった。これは、従来の非水溶媒を用いた場合、高温高湿環境下において電気化学セル内部に水分が侵入し、この水分と、電解液中に支持塩として含まれるLi等との反応性が顕著に高まることから、内部欠陥が生じて放電容量が低下するためと考えられる。
これに対して、本発明においては、EC、TEG及びDEEを含有する非水溶媒を用いた電解液50を採用している。このような構成を採用することで、支持塩をなすLiイオンに、DEE及びTEGが溶媒和する。このとき、DEEがTEGよりもドナーナンバーが高いため、DEEが選択的にLiイオンと溶媒和する。このように、支持塩をなすLiイオンにDEE及びTEGが溶媒和し、Liイオンを保護する。これにより、例え、高温高湿環境下において電気化学セル内部に水分が侵入した場合であっても、水分とLiとが反応するのを防止できるので、放電容量が低下するのを抑制し、保存特性が向上する効果が得られる。
電解液50中の非水溶媒における上記各溶媒の比率は、特に限定されないが、例えば、体積%で、EC:10%〜40%、TEG:30%〜45%、DEE:30%〜45%の範囲(トータル100%)であることがより好ましい。非水溶媒に含まれるEC、TEG及びDEEの割合が上記範囲であると、上述した、DEEがLiイオンに溶媒和することでLiイオンが保護される作用がより確実に得られる。従って、電気化学セル内部に侵入した水分とLiとが反応するのを防止する効果がさらに顕著となる。
支持塩としては、非水電解質二次電池の電解液に支持塩として用いられる公知のLi化合物を用いることができ、例えば、LiCHSO、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(FSO等の有機酸リチウム塩;LiPF、LiBF、LiB(C、LiCl、LiBr等の無機酸リチウム塩等のリチウム塩等が挙げられる。なかでも、リチウムイオン導電性を有する化合物であるリチウム塩が好ましく、LiN(CFSO、LiN(FSO、LiBFがより好ましく、耐熱性及び水分との反応性が低く、保存特性を充分に発揮できるという観点から、LiN(CFSOが特に好ましい。
支持塩は、上記のうちの1種を単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電解液50中の支持塩の含有量は、支持塩の種類等を勘案して決定でき、例えば、0.1〜3.5mol/Lが好ましく、0.5〜3mol/Lがより好ましく、1〜2.5mol/Lが特に好ましい。電解液50中の支持塩濃度が高過ぎても、あるいは低過ぎても、電導度の低下が起き、電池特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
(正極とLiとの容量バランス)
本発明に係る電気化学セルである非水電解質二次電池1においては、正極20と、上述した負極20表面に設けられるリチウム体(図示略)との容量バランス{Li容量(mAh)/正極容量(mAh)}を、3.74〜8.88の範囲とすることが好ましい。
このように、上記の正極10と負極20との容量バランスにおける説明と同様、正極10に含まれる正極活物質としてMoO等のモリブデン酸化物を用いた場合に、正極10と、リチウム体との容量バランスを上記範囲とし、リチウム体側の容量に所定の余裕を確保しておくことができる。これにより、例えば、電池反応によるLiの分解が早く進んだ場合であっても、一定以上のLi容量を確保できる。従って、仮に、非水電解質二次電池1を過酷な高温多湿環境下において保管・長期使用した場合であっても、放電容量の低下が抑制され、保存特性が向上する効果が得られる。
(セパレータ)
セパレータ30は、正極10と負極20との間に介在され、大きなイオン透過度を有し、かつ、機械的強度を有する絶縁膜が用いられる。
セパレータ30としては、従来から非水電解質二次電池のセパレータに用いられるものを何ら制限無く適用でき、例えば、アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、鉛ガラス等のガラス、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド、ポリイミド(PI)等の樹脂からなる不織布等が挙げられる。中でも、ガラス製不織布が好ましく、ホウ珪酸ガラス製不織布がより好ましい。ガラス製不織布は、機械強度に優れるとともに、大きなイオン透過度を有するため、内部抵抗を低減して放電容量の向上を図れる。
セパレータ30の厚さは、非水電解質二次電池1の大きさや、セパレータ30の材質等を勘案して決定され、例えば5〜300μmとすることができる。
(ガスケット)
ガスケット40は、例えば、その材質が、熱変形温度が230℃以上の樹脂であることが好ましい。ガスケット40に用いる樹脂材料の熱変形温度が230℃以上であれば、リフロー処理や非水電解質二次電池1の使用中の加熱によってガスケットが著しく変形し、電解液50が漏出するのを防止できる。
このようなガスケット40の材質としては、例えば、ポリフェニルサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、液晶ポリマー(LCP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルニトリル樹脂(PEN)、ポリエーテルケトン樹脂(PEK)、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、これらの材料にガラス繊維、マイカウイスカー、セラミック微粉末等を、30質量%以下の添加量で添加したものを好適に用いることができる。このような材質を用いることで、加熱によってガスケットが著しく変形し、電解液50が漏出するのを防止できる。
なお、本実施形態においては、好ましくはステンレス鋼製の正極缶とステンレス鋼製の負極缶とを用い、これらをかしめた収納容器を備えるコイン型構造の非水電解質二次電池を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、セラミックス製の容器本体の開口部が、金属製の封口部材を用いたシーム溶接等の加熱処理によってセラミックス製の蓋体で封止された構造の非水電解質二次電池であってもよい。
本実施形態の構成の正極10、負極20及び電解液50を備える非水電解質二次電池1は、過酷な高温高湿環境下においても放電容量が低下することなく保存特性に優れ、さらに、高電圧で使用できるとともにサイクル特性に優れたものなので、例えば、電圧値2〜3Vのバックアップ用の電源に好適に用いられる。
以上説明したように、本発明の電気化学セルに係る非水電解質二次電池1によれば、電解液50に用いられる非水溶媒が、エチレンカーボネート(EC)、テトラグライム(TEG)及びジエトキシエタン(DEE)を含むものなので、高温高湿環境下においても、電気化学セル内部に侵入した水分と、電解液に支持塩として含まれるLi等とが反応するのを抑制し、内部欠陥が生じるのを防止できる。
従って、特に過酷な高温高湿環境下において保管・使用した場合であっても、放電容量が低下することなく保存特性に優れ、さらに、高電圧で使用できるとともにサイクル特性に優れた電気化学セルを提供することが可能となる。
次に、実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は、本実施例によってその範囲が制限されるものではなく、本発明に係る電気化学セルは、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
[実施例1]
実施例1においては、電気化学セルとして、図1に示すようなコイン型の非水電解質二次電池を作製した。なお、本実施例では、正極活物質としてMoO、負極活物質としてSiOを用いて非水電解質二次電池を作製した。
(電池の作製)
まず、下記表1に示す混合割合(質量部)に従い、正極活物質として酸化モリブデン(MoO)と、正極導電助剤として炭素と、バインダである架橋型のポリアクリル酸とを混合して正極合剤とした。そして、この正極合剤4.40mgを加圧成形し、円盤型の正極を得た。
次に、下記表1に示す混合割合(質量部)に従い、負極活物質としてSiOと、炭素と、架橋型のポリアクリル酸とを混合して負極合剤とした。そして、この負極合剤1.33mgを加圧成形し、円盤型の正極を得た。
Figure 2014179203
ここで、表1においては、調製した正極合剤の総質量と、そのうちの正極活物質であるMoOの質量を示すとともに、調製した負極合剤の総質量と、そのうちの負極活物質であるSiOの質量をしめした。さらに、表1においては、負極に貼り付けて用いたリチウム体(Li)の質量も記載した。
さらに、これらのうち、MoO、SiO、Liの質量から、正極、負極及びリチウム体の理論容量を計算し、それらの比、即ち、正極と負極との容量バランス{負極容量(mAh)/正極容量(mAh)}、並びに、正極とリチウム体との容量バランス{Li容量(mAh)/正極容量(mAh)}を表1中に示した。
なお、本実施例においては、正極容量、負極容量及びLi(リチウム体)容量に関し、以下の関係式によって各理論容量を求めたうえで、上記各容量バランスを求めた。
(1)正極容量=MoO理論容量×MoO質量
(2)負極容量=SiO理論容量×SiO質量
(3)Li(リチウム体)容量=Li理論容量×Li質量
次に、表1に従い、エチレンカーボネート(EC)、テトラグライム(TEG)及びジエトキシエタン(DEE)の各溶媒を混合して非水溶媒とし、得られた非水溶媒に支持塩としてLiTFSI(1M)を溶解させて電解液を得た。この際の、各溶媒の混合比率は、体積%で、EC:TEG:DEE=20:41:39とした。
次に、ステンレス鋼(NAS64)製の正極缶の内面に、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる正極集電体を用いて、上記の正極を接着して正極ユニットを得た。その後、この正極ユニットを、大気中で200℃、10時間の条件で加熱して乾燥させた。そして、正極ユニットにおける正極缶の開口部の内側面に、シール剤を塗布した。
次に、ステンレス鋼(SUS304−BA)製の負極缶の内面に、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる負極集電体を用いて負極を接着し、さらに、負極上にリチウムフォイルを載置した。
その後、ホウ珪酸ガラス製繊維を原料とする不織布を乾燥後、円盤型に打ち抜いてセパレータとした。そして、このセパレータを負極上に載置し、負極缶の開口部にガスケットを設け、負極ユニットを得た。
次に、正極缶及び負極缶に、上記手順で得られた電解液を充填した。
次に、リチウムフォイルがセパレータに当接するように、負極ユニットを正極ユニットにかしめた。そして、正極缶の開口部をかしめて正極缶と負極缶とを密封した後、25℃で7日間静置して、各例の非水電解質二次電池を得た。
(評価方法)
上記手順で得られた非水電解質二次電池に対して、以下に説明するような高温高湿保存試験(HHTS)を行うことにより、保存特性を評価した。
まず、得られた非水電解質二次電池を、24℃の環境下、定電流5μA(放電電流)で電圧1.5Vになるまで放電し、次いで、24℃の環境下、電圧3.3Vで48時間印加した。その後、24℃の環境下、定電流5μA(放電電流)で電圧1.5Vになるまで放電した際の容量を測定し、この値を初期容量(mAh)として表1中に示した。
次に、上記の非水電解質二次電池を、高湿恒温試験機を用いて、80℃・90%RHの高温高湿環境に曝しながら20日間放置した(HHTS)。
そして、上記条件の高温高湿環境に曝された非水電解質二次電池について、24℃の環境下、定電流5μA(放電電流)で電圧1.5Vになるまで放電した際の容量を測定し、この値を試験後容量(mAh)として表1中に示した。
本実施例における高温高湿保存試験では、初期容量に対する試験後容量の変化(減少状態)をもって保存特性の指標とした。
[実施例2]
実施例2では、実施例1における電池の作製条件に対し、正極合剤及び負極合剤の各質量、並びに、正極活物質であるMoO及び負極活物質であるSiOの各質量と、負極に積層するリチウム体の質量を、表1に示す質量に変更した点を除き、実施例1と同様の手順によって非水電解質二次電池を作製した。
そして、得られた非水電解質二次電池について、実施例1と同様の高温高湿保存試験を行い、初期容量に対する試験後容量の変化を調べ、結果を表1に示した。
[比較例1、2]
比較例1、2では、実施例1における電池の作製条件に対し、エチレンカーボネート(EC)及びγ−ブチロラクトン(GBL)からなる非水溶媒(EC:GBL=50:50)中に、支持塩としてLiBF(2M)を溶解させた従来の構成の電解液を用いた。さらに、比較例1、2では、正極合剤及び負極合剤の各質量、並びに、正極活物質であるMoO及び負極活物質であるSiOの各質量と、負極に積層するリチウム体の質量を、表1に示す質量に変更した点を除き、実施例1と同様の手順によって非水電解質二次電池を作製した。
そして、得られた非水電解質二次電池について、実施例1と同様の高温高湿保存試験を行い、初期容量に対する試験後容量の変化を調べ、結果を表1に示した。
[参考例1、2]
参考例1、2では、実施例1における電池の作製条件に対し、比較例1、2と同じ従来の成分を有する電解液を用い、さらに、正極合剤及び負極合剤の各質量、並びに、正極活物質であるMoO及び負極活物質であるSiOの各質量と、負極に積層するリチウム体の質量を、表1に示す質量に変更した点を除き、実施例1と同様の手順によって非水電解質二次電池を作製した。なお、負極に積層するリチウム体の質量に関し、参考例1においては実施例1と同じ条件とし、参考例2においては実施例2と同じ条件とした。
そして、得られた非水電解質二次電池について、実施例1と同様の高温高湿保存試験を行い、初期容量に対する試験後容量の変化を調べ、結果を表1に示した。
[評価結果]
表1及び図2のグラフに示すように、本発明(請求項1)で規定する成分を有する非水溶媒に支持塩が溶解された電解液を用いてなる実施例1、2の非水電解質二次電池は、従来の成分を有する電解液が用いられた比較例1、2に較べて、高温高湿保存試験後の容量減少率が低く、保存特性に優れていることが明らかである。なお、図2のグラフにおいては、高温高湿保存試験後の容量について、実施例2と比較例1とを比較している。
また、表1及び図3のグラフに示すように、正極と負極との容量バランス{負極容量(mAh)/正極容量(mAh)}が、本発明の請求項6における規定を満足することにより、高温高湿保存試験後の容量の減少が抑制され、保存特性を向上できることがわかる。なお、図4のグラフにおいては、高温高湿保存試験後の容量について、実施例1と比較例1とを比較しているが、正極と負極との容量バランスが適正化された実施例1は、比較例1に較べて容量減少率が低く、保存特性に優れていることが明らかである。
また、表1及び図5のグラフに示すように、正極とリチウム体との容量バランス{Li容量(mAh)/正極容量(mAh)}が、本発明の請求項7における規定を満足することにより、高温高湿保存試験後の容量の減少が抑制され、保存特性を向上できることがわかる。
ここで、上述したように、参考例1は、EC及びGBLからなる非水溶媒中に支持塩を溶解させた従来の構成の電解液を用いた例であるが、この場合においても、正極と負極との容量バランスを適正化することにより、実施例1、2には及ばないものの、高温高湿保存試験後の容量減少率が若干改善される効果があることがわかる。
また、参考例2も、参考例1と同様、EC及びGBLからなる非水溶媒中に支持塩を溶解させた従来の構成の電解液を用いた例であるが、この場合でも、正極とリチウム体との容量バランスを適正化することにより、実施例1、2には及ばないものの、高温高湿保存試験後の容量減少率が若干改善される効果があることがわかる。
本発明の電気化学セルによれば、上記電解液を備えることにより、高温高湿環境下においても、電気化学セル内部に侵入した水分と、電解液に支持塩として含まれるLi等とが反応するのを抑制し、内部欠陥が生じるのを防止できる。これにより、特に過酷な高温高湿環境下においても放電容量が低下することなく保存特性に優れ、さらに、高電圧で使用できるとともにサイクル特性に優れた電気化学セルを提供することが可能となる。従って、本発明を、例えば、各種の電子機器等の分野において用いられる非水電解質二次電池等の電気化学セルに適用することで、各種機器類の性能向上にも貢献できるものである。
1…非水電解質二次電池(電気化学セル)、
2…収納容器、
10…正極、
12…正極缶
14…正極集電体、
20…負極、
22…負極缶、
24…負極集電体、
30…セパレータ、
40…ガスケット、
50…電解液、

Claims (7)

  1. 正極と、負極と、支持塩及び非水溶媒を含む電解液と、セパレータとを備えてなる電気化学セルであって、
    前記電解液は、前記非水溶媒が、少なくとも、エチレンカーボネート(EC)、テトラグライム(TEG)及びジエトキシエタン(DEE)を含有してなることを特徴とする電気化学セル。
  2. 前記正極が、正極活物質としてモリブデン酸化物を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
  3. 前記正極活物質が酸化モリブデン(MoO)からなることを特徴とする請求項2に記載の電気化学セル。
  4. 前記負極が、負極活物質としてシリコン酸化物又はアルミニウム合金を含有してなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電気化学セル。
  5. 前記負極活物質がSiO(0<x<2)で表されるシリコン酸化物からなることを特徴とする請求項4に記載の電気化学セル。
  6. 前記正極と前記負極との容量バランス{負極容量(mAh)/正極容量(mAh)}が0.92〜3.09の範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の電気化学セル。
  7. さらに、前記負極の表面にリチウム体が積層されており、且つ、前記正極と前記リチウム体との容量バランス{Li容量(mAh)/正極容量(mAh)}が3.74〜8.88の範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の電気化学セル。
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