JP6226412B2 - 非水電解質二次電池用の正極及びこれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用の正極及びこれを用いた非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用の正極及びこれを用いた非水電解質二次電池に関する。
非水電解質二次電池は、エネルギー密度が高く軽量であることから、電子機器の電源として注目され、特にコイン型(又はボタン型)の非水電解質二次電池は、小型であることから携帯電話等の携帯電子機器に広く利用されている。
非水電解質二次電池としては、LiMn12等のスピネル型リチウムマンガン酸化物を正極活物質としたものが知られている(例えば、特許文献1)。
電子機器に実装された非水電解質二次電池は、電子機器から発せられた熱により、50℃以上に加熱されることがある。非水電解質二次電池は、長期間加熱されると放電容量が低くなる傾向にある。
加えて、電子機器等の小型化に伴い、非水電解質二次電池は、基板上への面実装化が行われており、その実装方法としては、リフローハンダ付けによる実装化(リフロー処理)が主流となっている。リフロー処理では、非水電解質二次電池を250〜260℃程度で加熱することから、非水電解質二次電池には大きな熱量がかかる。このため、非水電解質二次電池は、リフロー処理が施されることで、放電容量が著しく低くなることがある。
従来、リフロー処理に対応するために、Li元素と、Fe元素及びP元素で構成された正極活物質を用いた非水電解質二次電池用の正極が提案されている(例えば、特許文献2)。
特開2004−327282号公報 特開2003−331836号公報
しかしながら、特許文献2の発明では、製造直後の放電容量(初期放電容量)が小さいため、リフロー処理や使用中に与えられる熱履歴によって放電容量が不十分なものになりやすい。
そこで、本発明は、放電容量が高くかつ耐熱性に優れる非水電解質二次電池用の正極を目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、正極にスピネル型リチウムマンガン酸化物とスピネル型リチウムマンガン酸化物以外の正極活物質とを併用することで、放電容量が高く、かつ耐熱性に優れる非水電解質二次電池を得られることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の非水電解質二次電池用の正極は、(A)成分:スピネル型リチウムマンガン酸化物と、(B)成分:前記(A)成分を除く正極活物質と、を含有することを特徴とする。
前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が2/8〜8/2であることが好ましく、前記(B)成分は、モリブデン酸化物、リチウム鉄リン酸化合物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物及びバナジウム酸化物から選択される1種以上が好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、前記の本発明の正極を用いたことを特徴とする。
SiO(0≦x<2)を含有する負極を用いることが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池用の正極によれば、放電容量が高くかつ耐熱性に優れる非水電解質二次電池を得られる。
本発明の一実施形態にかかる非水電解質二次電池の断面図である。
本発明の非水電解質二次電池の一実施形態について、図1を参照して説明する。非水電解質二次電池1は、いわゆるコイン型構造のものである。
図1の非水電解質二次電池1は、有底円筒状の本体部(正極缶)12と、正極缶12の開口部を塞ぐ有蓋円筒状の蓋部(負極缶)22と、正極缶12の内周面に沿って設けられたガスケット40とからなり、正極缶12の開口部周縁を内側にかしめた収納容器2を備えるものである。
非水電解質二次電池1は、収納容器2内に、正極10と負極20とがセパレータ30を介して対向配置され、電解液50が充填されたものである。正極10は正極集電体14を介して正極缶12の内面に電気的に接続され、負極20は負極集電体24を介して負極缶22の内面に電気的に接続されている。そして、正極10、負極20及びセパレータ30には、収納容器2内に充填された電解液50が含浸している。
正極缶12の材質としては、従来公知のものが用いられ、例えば、ステンレス鋼等が挙げられる。
負極缶22の材質は、正極缶12と同様である。
正極10は、(A)成分:スピネル型リチウムマンガン酸化物と、(B)成分:前記(A)成分を除く正極活物質とを含有するものである。正極10が(A)成分と(B)成分とを含有することで、放電容量が高く、かつリフロー処理又は使用中の熱履歴による放電容量の低下が抑制された非水電解質二次電池1を得られる。加えて、正極10が(A)成分と(B)成分とを含有することで、充放電が繰り返されても、放電容量が低下しにくい(サイクル特性が高い)非水電解質二次電池1を得られる。この非水電解質二次電池1は、特に、高温(例えば、80℃以上)条件下でのサイクル特性に優れる。
(A)成分は、スピネル型リチウムマンガン酸化物であればよく、例えば、LiMn5−w 12(0≦w<1、MはNi、Co、Ti、Fe、Cr、Al、Mo、V、Cu、Nb、Zn、Ca、Mgのうちの少なくとも1種類)、LiMn2−y (0≦y<1、MはMと同じである)、LiMn4−z (0≦z<1、MはMと同じである)等が挙げられ、中でも、w=0であるLiMn12が好ましい。正極10は、(A)成分を含有することで、非水電解質二次電池1の放電容量を高められる。
これらの(A)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(A)成分の平均粒子径(D50)は、特に限定されないが、例えば、0.1〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。上記下限値未満では、リフロー処理における反応性が高くなりすぎて扱いにくくなり、上記上限値超では放電レートが低下するおそれがある。なお、平均粒子径(D50)は、レーザー回折法を用いて測定される質量平均粒子径である。
正極10中の(A)成分の含有量は、非水電解質二次電池1に求める放電容量等を勘案して決定され、例えば、10〜76質量%が好ましく、28〜53質量%がより好ましい。上記下限値未満では、十分な放電容量を得にくく、上記上限値超では、正極10を成形しにくい傾向となる。
(B)成分は、(A)成分以外の正極活物質である。
(B)成分としては、従来公知の正極活物質であって(A)成分を除くものであればよく、例えば、モリブデン酸化物、リチウム鉄リン酸化合物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、バナジウム酸化物等が挙げられ、中でも、モリブデン酸化物、リチウム鉄リン酸化合物が好ましい。正極10がこれらの(B)成分を含有することで、非水電解質二次電池1の耐熱性を高め、リフロー処理又は使用中の熱履歴による放電容量の低下を抑制できる。加えて、正極10が(B)成分を含有することで、サイクル特性が高い非水電解質二次電池1を得られる。この非水電解質二次電池1は、特に、高温条件下でのサイクル特性に優れる。
モリブデン酸化物としては、例えば、MoO、MoO等が挙げられ、中でも、MoOが好ましい。
リチウム鉄リン酸化合物としては、例えば、LiFe1−p PO(0≦p≦1、MはMn、Ni、Co、Ti、Al、Cr、V、Nbのうちの少なくとも1種類)、LiFe2−q (PO(0≦q≦1、MはMと同じである)等が挙げられ、中でも、LiFePOが好ましい。
リチウムコバルト酸化物としては、例えば、LiCo1−r (0≦r<1、MはMn、Ti、Fe、Cr、Al、Mo、V、Cu、Nb、Zn、Ca、Mgのうちの少なくとも1種類)等が挙げられ、中でも、LiCoOが好ましい。
リチウムニッケル酸化物としては、例えば、LiNi1−s (0≦s<1、MはMn、Co、Ti、Fe、Cr、Al、Mo、V、Cu、Nb、Zn、Ca、Mgのうちの少なくとも1種類)等が挙げられ、中でも、LiNiOが好ましい。
バナジウム酸化物としては、例えば、V、V、V13等が挙げられ、中でも、Vが好ましい。
これらの(B)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(B)成分の平均粒子径(D50)は、特に限定されないが、好ましくは(B)成分の種類に応じて、0.001〜100μmの範囲で適宜決定される。
例えば、モリブデン酸化物の平均粒子径(D50)は、0.1〜100μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。また、リチウム鉄リン酸化合物の平均粒子径(D50)は、0.001〜1μmが好ましく、0.01〜0.1μmがより好ましい。上記下限値未満では、(A)成分と混合しにくく、上記上限値超では放電レートが低下する場合がある。
正極10中の(B)成分の含有量は、非水電解質二次電池1に求める放電容量等を勘案して決定され、例えば、10〜76質量%が好ましく、28〜53質量%がより好ましい。上記下限値未満では、十分な放電容量を得にくく、上記上限値超では、正極10を成形しにくい傾向となる。
(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下、A/B比ということがある)は、2/8〜8/2が好ましく、3/7〜7/3がより好ましく、4/6〜6/4がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、放電容量をより高められ、上記上限値以下であれば、耐熱性をより高められる。
正極10中の(A)成分と(B)成分との合計量は、非水電解質二次電池1に求める放電容量等を勘案して決定され、例えば、50〜95質量%が好ましく、70〜88質量%がより好ましい。上記下限値未満では、十分な放電容量を得にくく、上記上限値超では、正極10を成形しにくい傾向となる。
正極10は、導電助剤(正極10に用いられる導電助剤を正極導電助剤ということがある)を含有してもよい。正極導電助剤としては、例えば、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、グラファイト等の炭素材料等が挙げられる。これらの正極導電助剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
正極10中の正極導電助剤の含有量は、例えば、4〜40質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。上記下限値未満では、十分な導電性を得にくく、正極10をペレット状に成形する場合に成形しにくく、上記上限値超では正極10の放電容量が不十分になるおそれがある。
正極10はバインダ(正極10に用いられるバインダを正極バインダということがある)を含有してもよい。正極バインダとしては、従来公知の物質を用いることができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PA)等のポリマー、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられ、中でも、ポリアクリル酸が好ましく、架橋型のポリアクリル酸がより好ましい。これらの正極バインダは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。なお、ポリアクリル酸を用いる場合には、ポリアクリル酸を予めpH3〜10に調整しておくことが好ましい。pHの調整には、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物や水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物を用いることができる。
正極10中の正極バインダの含有量は、例えば、1〜20質量%とされる。
正極10の大きさは、非水電解質二次電池1の大きさに応じて決定される。
正極10の厚さは、非水電解質二次電池1の大きさに応じて決定され、非水電解質二次電池1が、バックアップ用のコイン型の非水電解質二次電池であれば、300〜1000μmとされる。
正極10は、従来公知の製造方法により得られる。正極10の製造方法は、例えば、(A)成分、(B)成分、ならびに必要に応じて正極導電助剤及び/又は正極バインダを混合して正極合剤とし、この正極合剤を任意の形状に加圧成形する方法が挙げられる。
加圧成形時の圧力は、正極導電助剤の種類等を勘案して決定され、例えば、0.2〜5ton/cmとされる。
正極集電体14としては、従来公知のものが用いられ、例えば、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤等が挙げられる。
負極20としては、非水電解質二次電池1の電圧値等に応じて適宜決定される。非水電解質二次電池1の電圧値が2〜3Vである場合、負極20としては、例えば、SiO、Si等(以下、総じてSiO(0≦x<2)という場合がある)、SnO(0≦v<1)、C(グラファイト、ハードカーボン等)、LiTi12、LiAl等を活物質(負極に用いられる活物質を負極活物質ということがある)として含有するものが挙げられ、中でも、SiO(0≦x<2)、SnO(0≦v<1)、C(グラファイト、ハードカーボン等)が好ましく、SiO(0≦x<2)を含有するものがより好ましい。なお、SiO(0≦x<2)は、X線回折パターンでブロードを示すアモルファス状で用いられてもよいが、予めSiO(0≦x<2)に熱処理を施して不均化した状態で用いられてもよい。
負極20中の負極活物質の含有量は、特に限定されないが、例えば、40〜85質量%とされる。含有量は、主に負極活物質の導電性により決まり、導電性の低い負極活物質であっても表面を炭素で被覆する等して導電性を高めたものであれば、含有量を高められる。
負極20は、導電助剤(負極20に用いられる導電助剤を負極導電助剤ということがある)を含有できる。負極導電助剤は、正極導電助剤と同様である。
負極20は、バインダ(負極20に用いられるバインダを負極バインダということがある)を含有できる。負極バインダは、従来公知の物質を用いることができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられ、中でも、ポリアクリル酸が好ましく、架橋型のポリアクリル酸がより好ましい。これらの負極バインダは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。なお、ポリアクリル酸を用いる場合には、ポリアクリル酸を予めpH3〜10に調整しておくことが好ましい。pHの調整には、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物や水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物を用いることができる。
負極20中の負極バインダの含有量は、例えば、1〜20質量%とされる。
負極集電体24は、正極集電体14と同様である。
電解液50は、支持塩を非水溶媒に溶解させたものである。
非水溶媒としては、従来公知のものが用いられ、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2−ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネート、γ−ブチロラクトン(GBL)、スルホラン(SL)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、1,2−エトキシメトキシエタン(EME)、テトラヒドロフラン(THF)、1,3−ジオキソラン(DOL)等が挙げられる。これらの非水溶媒は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
支持塩としては、非水電解質二次電池の電解液に支持塩として用いられる公知の物質を用いることができる。例えば、LiCHSO、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(FSO等の有機酸リチウム塩、LiPF、LiBF、LiB(C、LiCl、LiBr等の無機酸リチウム塩等のリチウム塩等が挙げられる。中でも、リチウムイオン導電性を有する化合物であるリチウム塩が好ましく、LiN(CFSO2、LiN(FSO2、LiBFがより好ましく、耐熱性及び水分との反応性が低く、保存特性を十分に発揮できるという観点から、LiN(CFSOが特に好ましい。これらの支持塩は1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
電解液50中の支持塩の含有量は、支持塩の種類等を勘案して決定でき、例えば、リチウム塩を用いる場合、0.5〜3.5mol/Lが好ましく、0.5〜3.0mol/Lがより好ましく、1〜2.5mol/Lが特に好ましい。リチウム塩濃度が高すぎても低すぎても電導度の低下が起き、電池特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
セパレータ30は、従来、非水電解質二次電池のセパレータに用いられるものを適用でき、例えば、ホウ珪酸ガラス、アルカリガラス、石英ガラス、鉛ガラス等のガラス、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)等の樹脂からなる不織布等が挙げられる。中でも、ガラス製不織布が好ましく、ホウ珪酸ガラス製不織布がより好ましい。ガラス製不織布は、機械強度に優れると共に、大きなイオン透過度を有するため、内部抵抗を低減して放電容量の向上を図れる。
セパレータ30の厚さは、非水電解質二次電池1の大きさやセパレータ30の材質等を勘案して決定され、例えば、5〜300μmとされる。
ガスケット40の材質は、熱変形温度が230℃以上の樹脂が好ましい。熱変形温度が230℃以上であれば、例えばリフロー処理で、ガスケット40が著しく変形して電解液50が漏出するのを防止できる。ガスケット40の材質としては、例えば、ポリフェニルサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、液晶ポリマー(LCP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルニトリル樹脂(PEN)、ポリエーテルケトン樹脂(PEK)、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂(PES)、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、これらの材料にガラス繊維、マイカウイスカー、セラミック微粉末等を30質量%以下の添加量で添加したものを好適に用いることができる。このような材質を用いることで、リフローハンダ付けにおいて、ガスケット40の変形を防止し、電解液50の揮発や漏出を防止できる。
本実施形態の非水電解質二次電池用の正極によれば、正極活物質として(A)成分と(B)成分とを含有するため、放電容量が高くかつ耐熱性に優れる非水電解質二次電池を得られる。
さらに、本実施形態の非水電解質二次電池の正極によれば、サイクル特性に優れる。
本実施形態の非水電解質二次電池用の正極は、負極活物質としてSiO(0≦x<2)、SnO(0≦v<1)、C、LiTi12、LiAlから選択される1種以上を含有する負極と組み合わせて、電圧値2〜3Vのバックアップ用の非水電解質二次電池に好適に用いられる。本実施形態の非水電解質二次電池用の正極は、負極活物質として、SiO(0≦x<2)を含有する負極との組み合わせにおいて、特に好適である。
上述の実施形態では、ステンレス鋼製の正極缶とステンレス鋼製の負極缶とをかしめた収納容器を備えるコイン型構造の非水電解質二次電池を例にして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、非水電解質二次電池は、セラミックス製の容器本体の開口部が、金属製の封口部材を用いたシーム溶接等の加熱処理によってセラミックス製の蓋体で封止された構造であってもよい。
以下に実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜60、比較例1〜8)
表1〜8に従い、(A)成分と(B)成分とを混合して正極活物質を得た。正極活物質70質量部と、正極導電助剤である炭素(グラファイト)28質量部と、バインダである架橋型のポリアクリル酸2質量部とを混合して正極合剤とした。この正極合剤7mgを2ton/cmで加圧成形し、直径2mm、厚さ600μmの円盤型の正極を得た。
負極活物質として粉砕したSiO(x=1)45質量部と、負極導電助剤である炭素(グラファイト)40質量部と、架橋型のポリアクリル酸15質量部とを混合して負極合剤とした。この負極合剤1.0mgを2ton/cmで加圧成形し、直径2.0mm、厚さ200μmの円盤型のペレット状の負極を得た。
表1〜8に従い、各溶媒を混合して非水溶媒とし、得られた非水溶媒に支持塩を溶解して電解液を得た。
ステンレス鋼製の正極缶の内面に、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる正極集電体を用いて正極を接着して正極ユニットを得た。正極ユニットを大気中で、00℃、10時間加熱して、乾燥した。
次いで、正極ユニットの正極缶の開口部の内側面にシール剤を塗布した。
ステンレス鋼製の負極缶の内面に、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる負極集電体を用いて負極を接着し、負極上にリチウムフォイル(直径:2mm、厚さ:200μm)を載置した。
次いで、ホウ珪酸ガラス製繊維を原料とする不織布を乾燥後、直径3mm、厚さ200μmの円盤型に打ち抜いてセパレータとした。このセパレータを負極上に載置し、負極缶の開口部にガスケットを設け、負極ユニットを得た。
正極缶及び負極缶に計5μLの電解液を充填した。
リチウムフォイルがセパレータに当接するように、負極ユニットを正極ユニットに嵌めた。次いで、正極缶の開口部をかしめて正極缶と負極缶とを密封した後、25℃で7日間静置して、各例の非水電解質二次電池を得た。
得られた非水電解質二次電池について、後述する耐熱性を評価し、その結果を表中に示す。加えて、実施例30、31、33、34、比較例3、4について、サイクル特性を評価し、その結果を表中に示す。
ただし、実施例1〜21、43〜47、58は参考例である。
(評価方法)
<耐熱性>
≪初期放電容量≫
製造直後の各例の非水電解質二次電池6個について、24℃の環境下、定電流5μA(放電電流)で2.0Vになるまで放電し、24℃の環境下、充電電圧値3.3Vで48時間印加した。その後、24℃の環境下、定電流5μA(放電電流)で2.0Vになるまで放電し、下記(i)式により放電容量を算出した。なお、表中の初期放電容量は、比較例1の放電容量(α)に対する各例の放電容量(β)の相対値として表され、下記(ii)式により求められたものである。
放電容量(μAh)=放電電流(5μA)×放電時間(h)・・・・(i)
相対値=β÷α×100・・・・(ii)
≪リフロー後容量維持率≫
初期放電容量を測定した各例の非水電解質二次電池6個について、160〜200℃で10分間加熱し(予備加熱処理)、次いで、260℃で10秒間加熱する(本加熱処理)リフロー処理を施した。リフロー処理を施した非水電解質二次電池を24℃で24時間静置してリフロー二次電池とし、このリフロー二次電池について、「<初期放電容量>」と同様にして放電容量(リフロー後放電容量)を求めた。初期放電容量とリフロー後放電容量とから下記(iii)式よりリフロー後容量維持率(%)を求めた。なお、表中のリフロー後放電容量は、初期放電容量と同様に、比較例1の初期放電容量に対する相対値として表されたものである。
リフロー後容量維持率(%)=リフロー後放電容量÷初期放電容量×100・・・・(iii)
<サイクル特性>
≪サイクル特性(85℃)≫
上述の「<耐熱性>」における「≪初期放電容量≫」と同様にして、製造直後の各例の非水電解質二次電池6個について、初期放電容量(比較例1に対する相対値)を求めた。
初期放電容量を測定した非水電解質二次電池について、85℃の環境温度において、充電電圧値3.3Vで48時間印加した後、85℃の環境温度において、定電流5μA(放電電流)で2.0Vになるまで放電する操作(充放電サイクル)を50回繰り返した(サイクル操作)。50回目の充放電サイクルにおける放電容量(サイクル後放電容量)を初期放電容量と同様にして求め、下記(iv)式によりサイクル後容量維持率を算出した。サイクル後容量維持率が高いほど、サイクル特性が高いといえる。
サイクル後容量維持率(%)=サイクル後放電容量÷初期放電容量×100 ・・・・(iv)
≪サイクル特性(105℃)≫
サイクル操作の環境温度を105℃にした以外は、「≪サイクル特性(85℃)≫」と同様にして、サイクル特性を評価した。
Figure 0006226412
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表1〜7に示すように、本発明を適用した実施例1〜60は、(B)成分を含有しない比較例2、4、7に比べ、リフロー後容量維持率が高まっていた。中でも、A/B比=2/8〜8/2の実施例1〜5、8〜13、16〜26、29〜39、42〜57は、リフロー後放電容量が101以上と高いものであった。
加えて、本発明を適用した実施例1〜60と(A)成分を含有しない1、3、5、6、8との比較において、いずれの実施例も(B)成分が共通する比較例に対し初期放電容量が高まっていた。
これらの結果から、本発明を適用することで、(A)成分のみを含有する正極を用いた場合に比べて耐熱性を高められ、A/B比を2/8〜8/2とすることで、耐熱性をより高められることが判った。
表8に示すように、本発明を適用した実施例30、31、33、34は、サイクル特性(85℃)におけるサイクル後容量維持率が43%以上であり、サイクル特性(105℃)におけるサイクル後容量維持率が15%以上であった。
一方、(B)成分のみを含有する正極を用いた比較例3、(A)成分のみを含有する正極を用いた比較例4は、サイクル特性(85℃)におけるサイクル後容量維持率が13%以下であり、サイクル特性(105℃)におけるサイクル後容量維持率が3%以下であった。
これらの結果から、本発明を適用することで、サイクル特性を高められることが判った。
1 非水電解質二次電池
10 正極
20 負極

Claims (4)

  1. (A)成分:LiMn5−w 12(0≦w<1、MはNi、Co、Ti、Fe、Cr、Al、Mo、V、Cu、Nb、Zn、Ca、Mgのうちの少なくとも1種類)で表されるスピネル型リチウムマンガン酸化物と、(B)成分:リチウム鉄リン酸化合物、リチウムニッケル酸化物及びバナジウム酸化物から選択される1種以上である正極活物質と、を含有する非水電解質二次電池用の正極。
  2. 前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が2/8〜8/2である請求項1に記載の非水電解質二次電池用の正極。
  3. 請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用の正極を用いた非水電解質二次電池。
  4. SiO(0≦x<2)を含有する負極を用いた請求項3に記載の非水電解質二次電池。
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