JP6226412B2 - 非水電解質二次電池用の正極及びこれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
非水電解質二次電池としては、Li4Mn5O12等のスピネル型リチウムマンガン酸化物を正極活物質としたものが知られている(例えば、特許文献1)。
加えて、電子機器等の小型化に伴い、非水電解質二次電池は、基板上への面実装化が行われており、その実装方法としては、リフローハンダ付けによる実装化(リフロー処理)が主流となっている。リフロー処理では、非水電解質二次電池を250〜260℃程度で加熱することから、非水電解質二次電池には大きな熱量がかかる。このため、非水電解質二次電池は、リフロー処理が施されることで、放電容量が著しく低くなることがある。
従来、リフロー処理に対応するために、Li元素と、Fe元素及びP元素で構成された正極活物質を用いた非水電解質二次電池用の正極が提案されている(例えば、特許文献2)。
そこで、本発明は、放電容量が高くかつ耐熱性に優れる非水電解質二次電池用の正極を目的とする。
前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が2/8〜8/2であることが好ましく、前記(B)成分は、モリブデン酸化物、リチウム鉄リン酸化合物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物及びバナジウム酸化物から選択される1種以上が好ましい。
SiOx(0≦x<2)を含有する負極を用いることが好ましい。
図1の非水電解質二次電池1は、有底円筒状の本体部(正極缶)12と、正極缶12の開口部を塞ぐ有蓋円筒状の蓋部(負極缶)22と、正極缶12の内周面に沿って設けられたガスケット40とからなり、正極缶12の開口部周縁を内側にかしめた収納容器2を備えるものである。
非水電解質二次電池1は、収納容器2内に、正極10と負極20とがセパレータ30を介して対向配置され、電解液50が充填されたものである。正極10は正極集電体14を介して正極缶12の内面に電気的に接続され、負極20は負極集電体24を介して負極缶22の内面に電気的に接続されている。そして、正極10、負極20及びセパレータ30には、収納容器2内に充填された電解液50が含浸している。
負極缶22の材質は、正極缶12と同様である。
これらの(A)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(B)成分としては、従来公知の正極活物質であって(A)成分を除くものであればよく、例えば、モリブデン酸化物、リチウム鉄リン酸化合物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、バナジウム酸化物等が挙げられ、中でも、モリブデン酸化物、リチウム鉄リン酸化合物が好ましい。正極10がこれらの(B)成分を含有することで、非水電解質二次電池1の耐熱性を高め、リフロー処理又は使用中の熱履歴による放電容量の低下を抑制できる。加えて、正極10が(B)成分を含有することで、サイクル特性が高い非水電解質二次電池1を得られる。この非水電解質二次電池1は、特に、高温条件下でのサイクル特性に優れる。
モリブデン酸化物としては、例えば、MoO3、MoO2等が挙げられ、中でも、MoO3が好ましい。
リチウム鉄リン酸化合物としては、例えば、LiFe1−pM4 pPO4(0≦p≦1、M4はMn、Ni、Co、Ti、Al、Cr、V、Nbのうちの少なくとも1種類)、Li3Fe2−qM5 q(PO4)3(0≦q≦1、M5はM4と同じである)等が挙げられ、中でも、LiFePO4が好ましい。
リチウムコバルト酸化物としては、例えば、LiCo1−rM6 rO2(0≦r<1、M6はMn、Ti、Fe、Cr、Al、Mo、V、Cu、Nb、Zn、Ca、Mgのうちの少なくとも1種類)等が挙げられ、中でも、LiCoO2が好ましい。
リチウムニッケル酸化物としては、例えば、LiNi1−sM7 sO2(0≦s<1、M7はMn、Co、Ti、Fe、Cr、Al、Mo、V、Cu、Nb、Zn、Ca、Mgのうちの少なくとも1種類)等が挙げられ、中でも、LiNiO2が好ましい。
バナジウム酸化物としては、例えば、V2O5、V3O8、V6O13等が挙げられ、中でも、V2O5が好ましい。
これらの(B)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
例えば、モリブデン酸化物の平均粒子径(D50)は、0.1〜100μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。また、リチウム鉄リン酸化合物の平均粒子径(D50)は、0.001〜1μmが好ましく、0.01〜0.1μmがより好ましい。上記下限値未満では、(A)成分と混合しにくく、上記上限値超では放電レートが低下する場合がある。
正極10中の正極導電助剤の含有量は、例えば、4〜40質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。上記下限値未満では、十分な導電性を得にくく、正極10をペレット状に成形する場合に成形しにくく、上記上限値超では正極10の放電容量が不十分になるおそれがある。
正極10中の正極バインダの含有量は、例えば、1〜20質量%とされる。
正極10の厚さは、非水電解質二次電池1の大きさに応じて決定され、非水電解質二次電池1が、バックアップ用のコイン型の非水電解質二次電池であれば、300〜1000μmとされる。
加圧成形時の圧力は、正極導電助剤の種類等を勘案して決定され、例えば、0.2〜5ton/cm2とされる。
負極20中の負極活物質の含有量は、特に限定されないが、例えば、40〜85質量%とされる。含有量は、主に負極活物質の導電性により決まり、導電性の低い負極活物質であっても表面を炭素で被覆する等して導電性を高めたものであれば、含有量を高められる。
負極20は、バインダ(負極20に用いられるバインダを負極バインダということがある)を含有できる。負極バインダは、従来公知の物質を用いることができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられ、中でも、ポリアクリル酸が好ましく、架橋型のポリアクリル酸がより好ましい。これらの負極バインダは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。なお、ポリアクリル酸を用いる場合には、ポリアクリル酸を予めpH3〜10に調整しておくことが好ましい。pHの調整には、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物や水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物を用いることができる。
負極20中の負極バインダの含有量は、例えば、1〜20質量%とされる。
非水溶媒としては、従来公知のものが用いられ、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2−ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネート、γ−ブチロラクトン(GBL)、スルホラン(SL)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、1,2−エトキシメトキシエタン(EME)、テトラヒドロフラン(THF)、1,3−ジオキソラン(DOL)等が挙げられる。これらの非水溶媒は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
さらに、本実施形態の非水電解質二次電池の正極によれば、サイクル特性に優れる。
表1〜8に従い、(A)成分と(B)成分とを混合して正極活物質を得た。正極活物質70質量部と、正極導電助剤である炭素(グラファイト)28質量部と、バインダである架橋型のポリアクリル酸2質量部とを混合して正極合剤とした。この正極合剤7mgを2ton/cm2で加圧成形し、直径2mm、厚さ600μmの円盤型の正極を得た。
負極活物質として粉砕したSiOx(x=1)45質量部と、負極導電助剤である炭素(グラファイト)40質量部と、架橋型のポリアクリル酸15質量部とを混合して負極合剤とした。この負極合剤1.0mgを2ton/cm2で加圧成形し、直径2.0mm、厚さ200μmの円盤型のペレット状の負極を得た。
表1〜8に従い、各溶媒を混合して非水溶媒とし、得られた非水溶媒に支持塩を溶解して電解液を得た。
次いで、正極ユニットの正極缶の開口部の内側面にシール剤を塗布した。
ステンレス鋼製の負極缶の内面に、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる負極集電体を用いて負極を接着し、負極上にリチウムフォイル(直径:2mm、厚さ:200μm)を載置した。
次いで、ホウ珪酸ガラス製繊維を原料とする不織布を乾燥後、直径3mm、厚さ200μmの円盤型に打ち抜いてセパレータとした。このセパレータを負極上に載置し、負極缶の開口部にガスケットを設け、負極ユニットを得た。
正極缶及び負極缶に計5μLの電解液を充填した。
リチウムフォイルがセパレータに当接するように、負極ユニットを正極ユニットに嵌めた。次いで、正極缶の開口部をかしめて正極缶と負極缶とを密封した後、25℃で7日間静置して、各例の非水電解質二次電池を得た。
得られた非水電解質二次電池について、後述する耐熱性を評価し、その結果を表中に示す。加えて、実施例30、31、33、34、比較例3、4について、サイクル特性を評価し、その結果を表中に示す。
ただし、実施例1〜21、43〜47、58は参考例である。
<耐熱性>
≪初期放電容量≫
製造直後の各例の非水電解質二次電池6個について、24℃の環境下、定電流5μA(放電電流)で2.0Vになるまで放電し、24℃の環境下、充電電圧値3.3Vで48時間印加した。その後、24℃の環境下、定電流5μA(放電電流)で2.0Vになるまで放電し、下記(i)式により放電容量を算出した。なお、表中の初期放電容量は、比較例1の放電容量(α)に対する各例の放電容量(β)の相対値として表され、下記(ii)式により求められたものである。
初期放電容量を測定した各例の非水電解質二次電池6個について、160〜200℃で10分間加熱し(予備加熱処理)、次いで、260℃で10秒間加熱する(本加熱処理)リフロー処理を施した。リフロー処理を施した非水電解質二次電池を24℃で24時間静置してリフロー二次電池とし、このリフロー二次電池について、「<初期放電容量>」と同様にして放電容量(リフロー後放電容量)を求めた。初期放電容量とリフロー後放電容量とから下記(iii)式よりリフロー後容量維持率(%)を求めた。なお、表中のリフロー後放電容量は、初期放電容量と同様に、比較例1の初期放電容量に対する相対値として表されたものである。
≪サイクル特性(85℃)≫
上述の「<耐熱性>」における「≪初期放電容量≫」と同様にして、製造直後の各例の非水電解質二次電池6個について、初期放電容量(比較例1に対する相対値)を求めた。
サイクル操作の環境温度を105℃にした以外は、「≪サイクル特性(85℃)≫」と同様にして、サイクル特性を評価した。
加えて、本発明を適用した実施例1〜60と(A)成分を含有しない1、3、5、6、8との比較において、いずれの実施例も(B)成分が共通する比較例に対し初期放電容量が高まっていた。
これらの結果から、本発明を適用することで、(A)成分のみを含有する正極を用いた場合に比べて耐熱性を高められ、A/B比を2/8〜8/2とすることで、耐熱性をより高められることが判った。
一方、(B)成分のみを含有する正極を用いた比較例3、(A)成分のみを含有する正極を用いた比較例4は、サイクル特性(85℃)におけるサイクル後容量維持率が13%以下であり、サイクル特性(105℃)におけるサイクル後容量維持率が3%以下であった。
これらの結果から、本発明を適用することで、サイクル特性を高められることが判った。
10 正極
20 負極
Claims (4)
- (A)成分:Li4Mn5−wM1 wO12(0≦w<1、M1はNi、Co、Ti、Fe、Cr、Al、Mo、V、Cu、Nb、Zn、Ca、Mgのうちの少なくとも1種類)で表されるスピネル型リチウムマンガン酸化物と、(B)成分:リチウム鉄リン酸化合物、リチウムニッケル酸化物及びバナジウム酸化物から選択される1種以上である正極活物質と、を含有する非水電解質二次電池用の正極。
- 前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が2/8〜8/2である請求項1に記載の非水電解質二次電池用の正極。
- 請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用の正極を用いた非水電解質二次電池。
- SiOx(0≦x<2)を含有する負極を用いた請求項3に記載の非水電解質二次電池。
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