JP2014177581A - 樹脂組成物、熱伝導性接着剤及び半導体モジュール - Google Patents

樹脂組成物、熱伝導性接着剤及び半導体モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性が良く、200℃以上の超高温においても高い接着性と高い熱伝導性を保持することができる熱伝導性樹脂組成物、及び該樹脂組成物を含有する熱伝導性接着剤、及び該熱伝導性接着剤を有する半導体モジュールを提供する。
【解決手段】下記一般式(1)
Figure 2014177581

・・・(1)で表されるエポキシ化合物(A)、下記一般式(2)
Figure 2014177581

・・・(2)で表されるエポキシ化合物(B)、硬化剤(C)、及び、熱伝導性フィラー(D)とを含有する、樹脂組成物。及び、該樹脂組成物を含有する熱伝導性接着剤、及び該熱伝導性接着剤を有する半導体モジュール。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、及び該樹脂組成物を含有する熱伝導性接着剤、及び該熱伝導性接着剤を有する半導体モジュールに関する。
電子部品の小型化・高集積化に伴い、基板や回路、そしてモジュールを結合させるための高品質な接着剤が求められている。特に、高熱化しやすい半導体モジュールを正常に作動させるために必要な、放熱性を有する熱伝導性接着剤が、近年特に求められている。
特に、パワー半導体と言われる次世代の半導体モジュールにおいては、200℃を超える温度で作動することが予想されることから、通常の熱伝導性だけでなく、200℃以上の超高温化にも耐えうる接着剤の開発が急務である。
熱伝導性の接着剤としては、特許文献1において、エポキシ化合物とエポキシ基含有アクリルポリマーと熱伝導性フィラーとを有する熱伝導性接着剤が開示されている。しかし、150℃までの耐熱性は試験されているものの、200℃を超えるような超高温状態に対する耐熱性は課題として残されている。
特開2012−126762号公報
本発明は、柔軟性が良く、200℃以上の超高温においても高い接着性と高い熱伝導性を保持することができる熱伝導性樹脂組成物、及び該樹脂組成物を含有する熱伝導性接着剤、及び該熱伝導性接着剤を有する半導体モジュールを提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねることで、下記一般式(1)
Figure 2014177581
(式中、Ar、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良い芳香環又は脂環構造を有する二価の基であり、X、Xは炭素数4〜10の直鎖状のアルキレン鎖を表し、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表し、p、q、rは繰り返し数であって、pの平均値は0.5〜5.0であり、qの平均値は0.5〜5.0であり、rの平均値は0.05〜0.5である。)で表されるエポキシ化合物(A)、
下記一般式(2)
Figure 2014177581
・・・(2)
(一般式(2)中、mは2〜4の整数を表しnは8〜12の整数を表す)で表されるエポキシ化合物(B)、硬化剤(C)、及び、熱伝導性フィラー(D)とを含有する、樹脂組成物を提供することで、上記課題を解決できることを見出した。
本発明によれば、柔軟性が良く、200℃以上の超高温においても高い接着性と高い熱伝導性を保持することができる熱伝導性樹脂組成物、及び該樹脂組成物を含有する熱伝導性接着剤、及び該熱伝導性接着剤を有する半導体モジュールを提供することができる。
本発明の樹脂組成物は、エポキシ化合物(A)と、エポキシ化合物(B)と、硬化剤(C)と、熱伝導性フィラー(D)とを含有する。
〔エポキシ化合物(A)〕
本発明で用いるエポキシ化合物(A)は、下記一般式(1)
Figure 2014177581
・・・(1)
(式中、Ar、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良い芳香環又は脂環構造を有する二価の基であり、X、Xは炭素数4〜10の直鎖状のアルキレン鎖を表し、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表し、p、q、rは繰り返し数であって、pの平均値は0.5〜5.0であり、qの平均値は0.5〜5.0であり、rの平均値は0.05〜0.5である。)で表される化合物である。
これらの中でも、前記エポキシ化合物(A)のエポキシ当量が150〜900g/eqであるものは、得られる樹脂組成物の硬化物の架橋密度が適当であり、柔軟性が良く、200℃を超える耐熱性を兼備できる点から好ましいものである。又、前記エポキシ樹脂(A)の25℃における粘度が1,000〜20,000Pa・sであるものが、作業性が良好で、硬化物の柔軟性と接着性に優れる点から好ましく、特に1,000〜10,000Pa・sであることが好ましい。
前記一般式(1)中のAr、Ar、Ar、Arとしては、置換基を有していても良いベンゼン環、置換基を有していても良いナフタレン環、置換基を有していても良いシクロヘキシル構造、置換基を有していても良いジシクロペンタジエン構造、置換基を有していても良いノルボルネン構造、置換基を有していても良いビスフェノール構造、置換基を有していてもよいビフェニル構造等が挙げられ、例えば、o−、m−、p−にそれぞれ結合部位を有するフェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェニル基、メチレンジフェニレン基、2,2−プロパン−ジフェニル基、1,6−ナフタレン基、2,7−ナフタレン基、1,4 −ナフタレン基、1,5−ナフタレン基、2,3−ナフタレン基、及び下記構造式
Figure 2014177581
のいずれかで表される基等を挙げる事ができ、得られる硬化物の柔軟性と強靭性のバランスに優れる点からメチレンジフェニレン基、2,2−プロパン−ジフェニル基であることが好ましい。
更に、前記一般式(1)中のp、qは繰り返し数であって、得られる硬化物の柔軟強靭性と耐熱性を兼備する点から繰り返し数の平均値が0.5〜5.0であることを必須とし、特に前記性能のバランスに優れる点から、pの平均値が0.5〜3.0であり、qの平均値が0.5〜3.0であることが好ましい。
また、rは繰り返し数であって、rの平均値が0.5より大きい場合、得られるエポキシ化合物の粘度が上昇してしまうことから、rの平均値は0.05〜0.5の範囲である。
従って、本発明に用いる、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(A)としては、において、エポキシ当量が150〜900g/eq.の範囲であり、且つ25℃における粘度が1,000〜20,000Pa・sのであることが好ましい。
Figure 2014177581
・・・(1)
(式中、Ar、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良い芳香環又は脂環構造を有する二価の基であり、X、Xは炭素数4〜10の直鎖状のアルキレン鎖を表し、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表し、p、q、rは繰り返し数であって、pの平均値は0.5〜5.0であり、qの平均値は0.5〜5.0であり、rの平均値は0.05〜0.5である。)
好ましいエポキシ化合物(A)としては、具体的な構造式として、下記に示すものを挙げる事ができる。
Figure 2014177581
Figure 2014177581
・・・(1−2)
Figure 2014177581
・・・(1−3)
Figure 2014177581
・・・(1−4)
上記各構造式において、Gはグリシジル基であり、p、q、rは繰り返し数であってpの平均値は0.5〜5.0であり、qの平均値は0.5〜5.0であり、rの平均値は0.05〜0.5である。又、これらの中でも、得られる硬化物の物性バランスに優れる点から、前記構造式(1−3)、(1−4)で表されるものを用いることが最も好ましい。
前記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(A)の製造方法としては、特に限定されるものではないが、炭素数4〜10の直鎖状のアルキレン鎖の両末端にエーテル結合を介してグリシジル基が連結した化合物(a1)とビスフェノールF及びビスフェノールAからなる群から選択される芳香族系ジヒドロキシ化合物(a2)とを、モル比(a1)/(a2)が1/1.1〜1/5.0の範囲で反応させて得られるヒドロキシ化合物を更にエピハロヒドリン類(a3)と反応ささる方法を用いることが、原料入手や反応が容易である点から好ましい。
〔エポキシ化合物(B)〕
本発明の樹脂組成物は、下記一般式(2)で表される構造を有するエポキシ化合物(B)を含有する。
Figure 2014177581
・・・(2)
(一般式(2)中、mは2〜4の整数を表し、nは8〜12の整数を表す。)
上記エポキシ化合物(B)を用いることにより、樹脂組成物の硬化物の柔軟性を高めることができる。従って、上記エポキシ化合物(B)を含有することにより、本発明の樹脂組成物を含有する熱伝導性接着剤は、熱伝導性フィラーを含有しているものの硬化物が硬くなりすぎず、冷熱サイクル下等で生じる不良の原因となる応力を緩和することができる。加えて、モールド樹脂は一般的にエポキシ樹脂で構成されることが多いことから、上記エポキシ化合物(B)を含有することにより、本発明の熱伝導性接着剤は、モールド樹脂に対する接着力が向上し、モールド樹脂に対する界面剥離が抑制される。
上記一般式(2)において、C2mOは直鎖状であっても分岐していてもよく、全ての構造異性体を含む。また、上記一般式において、繰り返し単位中のC2mOはそれぞれ異なる構造を有していてもよい。
上記一般式(2)においてmが2未満であると、上記エポキシ化合物(B)は、高温時に揮発してしまったり、エーテル結合が増えることで吸水率が上昇したりする。上記一般式(2)においてmが4を超えると、上記エポキシ化合物(B)は、粘度が高くなり、熱伝導性接着剤も粘度が高くなって塗布性、作業性等が低下する。また、上記一般式(2)においてnが8未満であると、上記エポキシ化合物(B)は、高温時に揮発してしまう。上記一般式(2)においてnが12を超えると、上記エポキシ化合物(B)は、粘度が高くなり、熱伝導性接着剤も粘度が高くなって塗布性、作業性等が低下する。上記一般式(2)中、mの好ましい下限は3であり、nの好ましい下限は9である。
上記エポキシ化合物(B)として、具体的には、例えば、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(一般式(2)においてm=4かつn=10)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(一般式(2)においてm=3かつn=11)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(一般式(2)においてm=2かつn=9)等が挙げられる。なかでも、熱伝導性接着剤の硬化物の柔軟性をより一層高めることができることから、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(一般式(2)においてm=4かつn=10)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(一般式(2)においてm=3かつn=11)が好適であり、更には、強靭性をより一層高めることができることから、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(一般式(2)においてm=4かつn=10)が最も好適である。
上記エポキシ化合物(B)の数平均分子量の好ましい下限は800、好ましい上限は10000である。上記エポキシ化合物(B)の数平均分子量が800未満であると、熱伝導性接着剤の硬化物の柔軟性が充分に高められないことがある。上記エポキシ化合物(B)の数平均分子量が10000を超えると、熱伝導性接着剤の粘度が高くなって塗布性、作業性等が低下することがある。上記エポキシ化合物(B)の数平均分子量のより好ましい下限は850、より好ましい上限は2000であり、更に好ましい下限は900、更に好ましい上限は1500である。
上記エポキシ化合物(B)は、熱伝導性接着剤の塗布性、作業性等を高めることができることから、E型粘度計を用いて23℃、5rpmの条件で測定された粘度が500mPa・s以下であることが好ましい。
上記エポキシ化合物(B)の市販品として、例えば、エポゴーセーPT(四日市合成社製、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、一般式(2)においてm=4かつn=10)、EX−830(ナガセケムテックス社製、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、一般式(2)においてm=2かつn=9)、SR−8EGS(阪本薬品工業製、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、一般式(2)においてm=2かつn=9)、SR−PTMG(阪本薬品工業製、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、一般式(2)においてm=4かつn=10)等が挙げられる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、(A)成分および(B)成分以外のエポキシ化合物(E)を含んでも良い。エポキシ化合物(E)としては、特に限定されるものではなく、公知慣用のものを使用することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等の液状エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ、単独でも、2種以上を併用してもよく、目的とする用途や硬化物の物性等に応じて種々選択して用いることが好ましい。
〔硬化剤(C)〕
本発明の樹脂組成物は、硬化剤(C)を含有する。硬化剤(C)としては特に限定されるものではなく、公知慣用の硬化剤を使用すればよく、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。
例えばアミン系化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミンなどの脂肪族ポリアミン類や、メタキシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミンなどの芳香族ポリアミン類や、1、3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミンなどの脂環族ポリアミン類等や、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂が挙げられる。
酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸などが挙げられる。
フェノール系化合物としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂やこれらの変性物等が挙げられる。また潜在性触媒として、イミダゾ−ル、三フッ化ホウ素−アミン錯体、グアニジン誘導体なども挙げられる。
また、これらのアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物等の硬化剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。尚、アンダーフィル材等の用途や一般塗料用途においては、流動性や密着性などに優れる樹脂組成物が得られることから、酸無水物系化合物又はアミン系化合物を用いることが好ましい。また、接着剤などの用途では、アミン系化合物が好ましく、なかでも、柔軟かつ密着性が良い硬化物を得られることから、ジシアンジアミドがより好ましい。
また、本発明の樹脂組成物には、更に硬化促進剤を適宜使用することもできる。硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩、等が挙げられ、これらは単独のみならず2種以上の併用も可能である。例えば、半導体封止材料用途としては、リン系ではトリフェニルホスフィン、アミン系では1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7などが、硬化性に優れ、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる硬化物が得られる点から好ましい。
〔熱伝導性フィラー(D)〕
本発明の樹脂組成物は、熱伝導性フィラー(D)を含有する。熱伝導性フィラー(D)としては、公知慣用のものを使用すればよく、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、鉄、アルミニウム、ステンレス、グラファイト(黒鉛)等の導電性の粉体、酸化珪素、窒化アルミニウム、窒化硼素、硼酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ダイヤモンド等の非導電性の粉体などが挙げられる。中でも窒化アルミニウム、窒化硼素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムが熱伝導性と絶縁性の確保の点で好ましく、特に酸化アルミニウムが熱伝導性と絶縁性に加えて樹脂に対する充填性が良くなるのでより好ましい。また、これらの無機充填剤は1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
上記熱伝導性フィラーの平均粒子径は特に限定されないが、好ましくは0.1μm〜200μmである。上記熱伝導性フィラーの平均粒子径が0.1μm以上であると、樹脂組成物の粘度が低くなり塗布性、作業性等が向上するため好ましい。上記熱伝導性フィラーの平均粒子径が200μm以下であると、熱伝導性接着剤における充填率が低くなり、柔軟性及び/又は接着力が向上するため好ましい。より好ましくは、平均粒子径が1〜100μmである。
上記熱伝導性フィラーの形状は特に限定されない。
上記熱伝導性フィラーのアスペクト比は特に限定されないが、好ましい下限が1、好ましい上限が80であり、より好ましい下限が1、より好ましい上限が10である。
なお、本明細書においてアスペクト比とは、粒子の短径の長さに対する粒子の長径の長さの比(長径の長さ/短径の長さ)を意味する。アスペクト比の値が1に近いほど熱伝導性フィラーの形状は真球に近くなる。
本発明の樹脂組成物100質量部中、上記熱伝導性フィラーの含有量は40〜90質量部であることが好ましい。上記熱伝導性フィラーの含有量が40質量部以上であると、熱伝導性接着剤の熱伝導性に優れる。上記熱伝導性フィラーの含有量が90質量部未満であると、熱伝導性接着剤の柔軟性及び/又は接着力に優れる。
本発明の樹脂組成物における上記熱伝導性フィラーの含有量の好ましい下限は65質量部、好ましい上限は90質量部であり、より好ましい下限は75質量部であり、より好ましい上限は85質量部である。
上記熱伝導性フィラー(D)は、2種類以上の粒子径の異なるものを混合して用いることが好ましく、これにより大粒子径の熱伝導性フィラーの空隙に小粒子径の熱伝導性フィラーがパッキングされることによって、単一粒子径の熱伝導性フィラーのみを使用するよりも密に充填されるために、より高い熱伝導率を発揮することが可能である。具体的には、熱伝導性フィラー全体を100質量部としたとき、0.1〜1μmの構成割合が25〜55質量%、5〜100μmの構成割合が20〜50質量%の範囲の割合で混合すると、熱伝導率の温度依存性が小さくなるので好ましい。さらに好ましい範囲としては、平均粒子径が1〜4.5μmであり、0.1〜1μmの構成割合が30〜50質量%であり、5〜100μmの構成割合が25〜45質量%である。熱伝導性フィラー(D)の平均粒子径、及び、粒子径分布は、粒度分布測定装置マイクロトラックMT3300(日機装製)を用いて、波長780nmの半導体レーザの照射により得られた散乱光から粒子径分布を測定した値である。
上記熱導性フィラー(D)は、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤から選ばれた一種又は二種以上の表面処理剤Aにて表面処理したものを使用することが好ましい。これを用いることによって、樹脂との密着性が更に高められ、熱伝導フィラーと樹脂間での界面熱抵抗が低下し、更なる高熱伝導性を付与することができる。表面処理剤としては、高熱伝導性無機粉末基材との反応性の点からシラン系カップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β(3,4エポキシシンクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシリメトキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等であり、これらを一種または二種以上用いることが好ましい。
表面処理剤による高熱伝導性無機粉末基材の表面処理方法は、流体ノズルを用いた噴霧方式、せん断力のある攪拌、ボールミル、ミキサー等の乾式法、水系または有機溶剤系等の湿式法を採用することができる。せん断力は、高熱伝導性無機粉末基材の破壊が起こらない程度にして行うことが望ましい。
乾式法における系内温度ないしは湿式法における処理後の乾燥温度は、表面処理剤の種類に応じ熱分解しない領域で適宜決定される。例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシランである場合の温度は、80〜150℃が望ましい。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、エポキシ化合物(A)、エポキシ化合物(B)、硬化剤(C)、熱伝導性フィラー(D)を含有する。本発明の樹脂組成物において、熱伝導性フィラー(D)40−90質量%であることが好ましい。また、エポキシ化合物(A)とエポキシ化合物(B)の合計を100質量%とした場合、エポキシ化合物(B)は20質量%〜80質量%であることが好ましく、エポキシ化合物(A)とエポキシ化合物(B)との合計に対し、硬化剤(C)は0.1質量%〜200質量%であることが好ましい。
〔その他の配合物〕
本発明の樹脂組成物は、必要に応じてその他の配合物を含有してもよく、発明の効果を損ねない範囲で、外部滑剤、内部滑剤、酸化防止剤、難燃剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ガラス繊維、カーボン繊維等の補強材、熱伝導フィラー(D)以外のフィラー、各種着色剤等を添加してもよい。
〔熱伝導性接着剤〕
本発明の樹脂組成物は、熱伝導性に優れることから、熱伝導性接着剤として用いることができる。また、樹脂組成物を接着剤とする際に、種々の配合物を含有していてもよい。
〔半導体モジュール〕
本発明の熱伝導性接着剤は、様々な用途に使用することができるが、特に半導体モジュールに好適に使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。単位は特に言及がない場合、重量基準とする。
〔合成例1〕
温度計、撹拌機を取り付けたフラスコに1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル(DIC株式会社製: 商品名EPICLON 726D、エポキシ当量124g/eq)744g(6当量)とビスフェノールA(水酸基当量114g/eq)1368g(12当量)を仕込み、140℃まで30分間要して昇温した後、4%水酸化ナトリウム水溶液5gを添加した。その後、30分間要して150℃まで昇温し、さらに150℃で3時間反応させた。その後、中和量のリン酸ソーダを添加し、反応物であるヒドロキシ化合物(Ph−1)2090gを得た。次いで、温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコにヒドロキシ化合物(Ph−1)261g(水酸基当量261g/eq)、エピクロルヒドリン1110g(12モル)、n−ブタノール222gを仕込み溶解させた。その後、窒素ガスパージを施しながら、65℃に昇温した後に、共沸する圧力までに減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液122g(1.5モル)を5時間かけて滴下した。次いでこの条件下で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸で留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離して、水層を除去し、有機層を反応系内に戻しながら反応した。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン1000gとn−ブタノール100gを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液20gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPH が中性となるまで水300gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し精密濾過を経た後に溶媒を減圧下で留去して液状のエポキシ化合物(A−1)380gを得た。このエポキシ化合物(A−1)は、NMRスペクトル(13C)から、またマススペクトルで前記構造式(1−3)中のp=1、q=1、r=0の理論構造に相当するM+=798、p=2、q=2、r=0の理論構造に相当するM+=1257のピークが得られたことから前記構造式(1−3)で表される構造のエポキシ化合物を含有することが確認された。得られたエポキシ化合物(A−1)は、前記構造式(1−3)においてp=0、q=0、r=0の化合物を含んでおり、GPCで確認したところ該混合物中p=0、q=0、r=0の化合物を29質量%の割合で含有するものであった。また、このエポキシ化合物(Ep−1)のエポキシ当量は350g/eq、粘度は2000Pa・s(25℃,E 型粘度法)、エポキシ当量から算出される前記構造式(1−3)中のrの平均値は0.1であった。
〔実施例1〜3、比較例1、2〕
表1に示した配合割合にて組成物材料を配合し、3本ロールで混練し脱泡することで液状樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物に対し、以下の評価を行った。
<硬化物の熱伝導性>
得られた液状樹脂組成物を用いて、60×110×0.8mmの硬化物を作成した(仮硬化条件170℃×20分、本硬化条件170℃×2時間)。得られた硬化物から10×10mmに切り出した試験片について、熱伝導率測定装置(LFA447nanoflash、NETZSCH社製)を用いて熱伝導率の測定を行った。200℃における熱伝導率が1.5W/m・K以上であった場合を○、1.5W/m・Kを超えて、1.8W/m・K未満であった場合を△、1.5W/m・K未満であった場合を×とした。
<接着性>
得られた液状樹脂組成物を接着剤として用いて、引っ張り剪断接着強さの測定を行った。被着体は幅25mm×長さ100mm×厚み1.5mmのアルミ板(A1050)を用いて、JIS K6850に準拠して試験片を作成した(硬化条件170℃×2時間)。引張試験機(ストログラフAP II、東洋精機製)を用いて、引張速度10mm/min、つかみ具間隔120mmで引っ張り剪断接着強さの測定を行った。200℃における接着強度が5MPa以上であった場合を○、5MPa未満であった場合を×とした。
Figure 2014177581
表中、配合量は重量部である。用いた材料は以下の通りである。
(1)エポキシ化合物(A)
エポキシ化合物(A) A−1 前記合成例1で得られた化合物(A−1)。
比較エポキシ化合物(A2)A−2 エポキシ基含有アクリルポリマーCP−30(日油(株)社製、数平均分子量9000、エポキシ当量530g/eq.)
(2)エポキシ化合物(B)
B−1 ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(前記一般式(2)においてm=4かつn=10)
B−2 ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル(前記一般式(2)においてm=6かつn=1)
(3)硬化剤(C)
C−1 ジシアンジアミド アミキュアAH−154(味の素ファインテクノ(株)製)
(4)熱伝導性フィラー(D)
D−1 平均粒径10μmの酸化アルミニウム粉末 AO−509(アドマテックス(株)製)
D−2 平均粒径0.6μmの酸化アルミニウム粉末 AO−502(アドマテックス(株)製)
D−3 N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理した平均粒径10μmの酸化アルミニウム粉末 AC9500−SXC(アドマテックス(株)製)
D−4 N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理した平均粒径0.6μmの酸化アルミニウム粉末 AC2500−SXQ(アドマテックス(株)製)
実施例6
実施例3の液状樹脂組成物を用いて、トランジスタ(Vishay Semiconductors製 SMD−220)とヒートシンク(リョーサン製 アルミ製ヒートシンク 12BS102)を接着(接着面積3.0cm、硬化条件170℃2時間)した後、トランジスタに電圧(10W)を掛けた。10分後トランジスタ及びヒートシンクの温度を測定したところ、熱抵抗は2℃/Wであり、本発明の液状樹脂組成物の硬化物は良好な熱伝導性を有していた。また、トランジスタ(SMD−220)とヒートシンクを接着(接着面積3.0cm、硬化条件170℃2時間)したものを、200℃24時間放置した後、接着面を目視で観察したところ、界面の剥離、接着面の割れがなく、良好な接着性を保持していた。
本発明によれば、柔軟性が良く、また、幅広い温度範囲で高い接着性と高い熱伝導性を保持することができる熱伝導性接着剤を提供することができる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2014177581
    ・・・(1)
    (式中、Ar、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良い芳香環又は脂環構造を有する二価の基であり、X、Xは炭素数4〜10の直鎖状のアルキレン鎖を表し、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表し、p、q、rは繰り返し数であって、pの平均値は0.5〜5.0であり、qの平均値は0.5〜5.0であり、rの平均値は0.05〜0.5である。)で表されるエポキシ化合物(A)、
    下記一般式(2)
    Figure 2014177581
    ・・・(2)
    (一般式(2)中、mは2〜4の整数を表しnは8〜12の整数を表す)で表されるエポキシ化合物(B)、
    硬化剤(C)、及び、熱伝導性フィラー(D)とを含有する、樹脂組成物。
  2. 前記熱伝導性フィラー(D)の粒子径が、0.1〜1μmの構成割合が25〜55質量%であり、5〜100μmの構成割合が20〜50質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂組成物を含有する接着剤。
  4. 熱伝導性接着剤である、請求項3に記載の接着剤。
  5. 請求項3または4に記載の接着剤を含有することを特徴とする、電子部材。
  6. 半導体モジュールである、請求項5に記載の電子部材。
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