JP2013155346A - 大型モールドコイル含浸用樹脂組成物、およびこれを用いた大型モールドコイル - Google Patents
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Abstract
【課題】長寿命であって、モールド時の樹脂のたれを抑制できるとともに、大型コイルをモールドしたとき、熱サイクルによるクラックや剥離の発生を抑制できるモールド性に優れた大型モールドコイル含浸用樹脂組成物を提供する。
【解決方法】大型モールドコイル含浸用樹脂組成物は、樹脂成分と硬化剤成分とを含有する。樹脂成分は、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(C)3官能のエポキシ樹脂を含み、前記(A)〜(C)成分の合計量100質量%中、前記(A)成分の含有量が65〜75質量%、前記(B)成分の含有量が15〜30質量%、前記(C)成分の含有量が5〜25質量%である。硬化剤成分は、(D)ジフェニルアミン硬化剤、および(E)イミダゾール硬化促進剤を含む。
【選択図】なし
【解決方法】大型モールドコイル含浸用樹脂組成物は、樹脂成分と硬化剤成分とを含有する。樹脂成分は、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(C)3官能のエポキシ樹脂を含み、前記(A)〜(C)成分の合計量100質量%中、前記(A)成分の含有量が65〜75質量%、前記(B)成分の含有量が15〜30質量%、前記(C)成分の含有量が5〜25質量%である。硬化剤成分は、(D)ジフェニルアミン硬化剤、および(E)イミダゾール硬化促進剤を含む。
【選択図】なし
Description
本発明は、大型モールドコイル含浸用樹脂組成物、およびこれを用いた大型モールドコイルに関する。
高圧大型回転機用の含浸用樹脂組成物としては、一般的にエポキシ樹脂組成物が使用されており、集成マイカテープを巻き回した絶縁コイルに真空含浸されている。その後、加熱硬化、成形加工されて、回転機のステータ用鉄心に装着されている。
上述のようなエポキシ樹脂組成物を上記絶縁コイルに含浸させるには、例えば本体含浸
方式によってコイルをステータに装着した後、コイルをステータごとエポキシ樹脂組成物
が入れられた含浸タンク中に浸漬して含浸させる。絶縁コイルへの含浸後においては、含浸タンク中にエポキシ樹脂組成物が残存するようになる。このエポキシ樹脂組成物は、次回の含浸時に不足分のエポキシ樹脂組成物を加えて再使用することになるので、使用しきるまで長時間を要する。このような含浸用樹脂組成物の使用の観点を考慮すると、含浸用樹脂組成物には、できるだけ経時変化が少なく、非加熱の状態で増粘しにくいことが要求される。
方式によってコイルをステータに装着した後、コイルをステータごとエポキシ樹脂組成物
が入れられた含浸タンク中に浸漬して含浸させる。絶縁コイルへの含浸後においては、含浸タンク中にエポキシ樹脂組成物が残存するようになる。このエポキシ樹脂組成物は、次回の含浸時に不足分のエポキシ樹脂組成物を加えて再使用することになるので、使用しきるまで長時間を要する。このような含浸用樹脂組成物の使用の観点を考慮すると、含浸用樹脂組成物には、できるだけ経時変化が少なく、非加熱の状態で増粘しにくいことが要求される。
一方、絶縁コイル中の含浸用樹脂組成物は、硬化のための加熱を行ったときに絶縁コイル中でできるだけ早くゲル化して硬化しなければならない。含浸用樹脂組成物の粘度は加熱によって低下するので、加熱を行ったときに早急に硬化しないと含浸用樹脂組成物がたれ落ちてしまう。
上述のように早急なゲル化は必至であるが、その際に発生する内部応力が最低限になっていなければならない。なぜならば、含浸が行われる絶縁コイルは非常に大型なため、内部応力が大きいと硬化させて室温に戻した際にクラックが発生してしまうからである。
含浸用樹脂組成物の硬化剤としては一般的に酸無水物が用いられるが、靱性が低く、耐クラック性に対してはアミンよりも劣るという問題がある。また、エポキシ樹脂組成物は空気中の水分を吸収しやすい点も増粘に影響している。従って、これらの欠点を除き、長寿命で耐熱性を損なわない安価な含浸用樹脂組成物が求められている。
このような観点から、エポキシ樹脂組成物に代わる新規な含浸用樹脂組成物の開発が盛んになされている。例えば、特許文献1には、ポリエステル樹脂20〜50質量部、エポキシ樹脂1〜25質量部、ポリイミド樹脂1〜15質量部を含む含浸用樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂とを含有する混合樹脂に対して、エポキシアクリレートを添加してなる含浸用樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、上述のような含浸用樹脂組成物は、ポリエステル樹脂を含んでいるために、特に熱伝導性に劣る。一方、上記含浸用樹脂組成物を含浸させた後の大型のコイルにおいては、使用時にコイルに対して大電流が流されるようになる。このような大電流の印加が繰り返し行われるようになると、電流の印加および停止という繰り返しの作業によって、含浸用樹脂組成物の硬化物に対して熱サイクルに伴う熱応力が作用するようになる。この結果、硬化物においてクラックが発生し、剥離してしまうなどの問題が生じ、上記大型のコイルに対するモールド性が劣化してしまうという問題が生じていた。
本発明は、長寿命であって、モールド時の樹脂のたれを抑制できるとともに、大型コイルをモールドしたとき、大型コイルへの電流の流入に起因する加熱や電流の停止に起因する冷却からなる熱サイクルによるクラックや剥離の発生を抑制できるモールド性に優れた大型モールドコイル含浸用樹脂組成物、およびこれを用いた大型モールドコイルを提供することを目的としている。
本発明の大型モールドコイル含浸用樹脂組成物は、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(C)3官能のエポキシ樹脂を含み、前記(A)〜(C)成分の合計量100質量%中、前記(A)成分の含有量が65〜75質量%、前記(B)成分の含有量が15〜30質量%、前記(C)成分の含有量が5〜25質量%である樹脂成分と、(D)ジフェニルアミン硬化剤、および(E)イミダゾール硬化促進剤を含む硬化剤成分とを含有することを特徴とする
また、本発明の大型モールドコイルは、上記大型モールドコイル含浸用樹脂組成物によって含浸されたことを特徴とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を実施した。その結果、エポキシ樹脂がポリエステル樹脂等に比較して熱伝導率が高いことに注目し、このエポキシ樹脂に種々の工夫を加えることで上記課題の解決を試み、以下のような事実を見出すに至った。すなわち、樹脂成分を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および3官能のエポキシ樹脂の混合物とすることによって、硬化剤としてのジフェニルアミン硬化剤によって上記混合物を比較的短時間で硬化させることができ、モールド時の樹脂たれを抑制することができる。
なお、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および3官能のエポキシ樹脂の混合物中、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の含有割合は65〜75質量%であることが重要であり、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルの含有割合は15〜30質量%であることが重要であり、3官能のエポキシ樹脂の含有割合は5〜25質量%であることが重要である。
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルの含有割合が30質量%を超えると、耐クラック性には有利に働くが、ゲル化が遅くなる。また、3官能のエポキシ樹脂の含有割合が25質量%以上であると、ゲル化が早くなり、強度も増すが、ガラス転移点(Tg)が高くなり、耐クラック性も低下する。
また、イミダゾール化合物を硬化触媒として用いることで、反応に潜在性を持たせることができる。つまり貯蔵時に硬化するようなことがなく、含浸用樹脂組成物の貯蔵時における長寿命化を図ることができる。
さらに、エポキシ樹脂は比較的熱伝導率が高く、また可撓性に優れているので、大型コイルに電流が流入することにより熱サイクルを受けても、熱を比較的容易に外部に発散させることができる。この結果、熱応力が発生しにくくなり、クラックの発生や剥離を抑制することができ、モールド性に優れた大型モールドコイル含浸用樹脂組成物を提供することができる。
また、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを含んでいることによって、熱サイクルを受けた際にも、熱に応じて比較的容易に変形することができるので、熱応力が緩和される。従って、この点からも熱応力が発生しにくくなり、クラックの発生や剥離を抑制することができ、モールド性に優れた大型モールドコイル含浸用樹脂組成物を提供することができる。
なお、本発明における「大型コイル」および「大型モールドコイル」とは、コイル芯の外周周りに導線を巻回した状態のコイル構造体、さらには含浸用樹脂組成物を含浸させて得られたコイル構造体の直径が50cm以上の大きさのものを意味する。
本発明によれば、長寿命であって、モールド時の樹脂のたれを抑制できるとともに、大型コイルをモールドしたとき、大型コイルへの電流の流入に起因する加熱や電流の停止に起因する冷却からなる熱サイクルによるクラックや剥離の発生を抑制できるモールド性に優れた大型モールドコイル含浸用樹脂組成物、およびこれを用いた大型モールドコイルを提供することができる。
以下、本発明のその他の特徴および利点について、発明を実施するための形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施形態における大型モールドコイルの概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の大型モールドコイル10は、コイル芯11の外周周りに電気的良導体、例えば、銅、銀、金、アルミニウム等の金属からなる導線12が巻回されるとともに、以下に説明する含浸用樹脂組成物13によって導線12がモールドされている。なお、モールドは、真空含浸等の公知の方法を用いて行うことができる。
図1に示すように、本実施形態の大型モールドコイル10は、コイル芯11の外周周りに電気的良導体、例えば、銅、銀、金、アルミニウム等の金属からなる導線12が巻回されるとともに、以下に説明する含浸用樹脂組成物13によって導線12がモールドされている。なお、モールドは、真空含浸等の公知の方法を用いて行うことができる。
コイル芯11の略中央部には、開口部11Aが形成されている。開口部11Aは、主としてコイル芯11を所定の巻回装置に取り付けて巻回させることにより、導線12を図1に示すようにコイル芯11の外周周りに巻回させるものである。さらに、コイル芯11の軽量化を図ることができるとともに、用途によっては開口部11Aを介して所定の機器に取り付けるようにすることもできる。
このようにコイル芯11は所定の装置に取り付けられて機械的に扱われることから、例えば、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のポリエステル、ポリメチルメタクリル酸樹脂(PMMA)等のアクリル樹脂等、軽量かつ高強度の樹脂から構成することが好ましい。
また、コイル芯11は、導線12を巻回する本体部111と、両端において本体部11より外方に突出した庇部112とを有している。庇部112は、巻回した導線12がコイル芯11の外方へ巻き崩れてしまうのを防止するために設けられているものである。なお、図1から明らかなように、本実施形態では、含浸用樹脂組成物13によるモールドがコイル芯11の庇部112の突出部分の高さと同程度となるようにしている。これは、コイル芯11の庇部112およびモールドされた含浸用樹脂組成物13のいずれか一方が突出して機械的応力を受けた際に破損するのを防止するためである。
含浸用樹脂組成物13は、樹脂成分と硬化剤成分とを含有する。樹脂成分は、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(C)3官能のエポキシ樹脂を含み、(A)〜(C)成分の合計量100質量%中、(A)成分の含有量が65〜75質量%、(B)成分の含有量が15〜30質量%、(C)成分の含有量が5〜25質量%である。硬化剤成分は、(D)ジフェニルアミン硬化剤、および(E)イミダゾール硬化促進剤を含む。
含浸用樹脂組成物13によれば、(A)成分のビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)成分のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(C)成分の3官能のエポキシ樹脂を上記割合で含有することによって、(D)成分の硬化剤としてのジフェニアルアミンと、(E)成分の触媒としてのイミダゾール化合物とによって比較的短時間で硬化させることができ、モールド時の樹脂たれを抑制することができる。
(A)成分のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、特に限定されず、市販のものであればいずれも使用できる。このようなものとしては、例えば、三井化学株式会社製の商品名「エピコートR−140P」、ダウケミカル社製の商品名「DER383J」等が挙げられる。
(B)成分のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルは、下記化学式(1)に示されるような骨格にエーテル結合を有する2官能エポキシ樹脂であり、1〜9個のエーテル結合を有するものが好ましく、特に3個のエーテル結合を有するものが好ましい。このようなものとしては、市販品を用いることができ、例えば、3個のエーテル結合を有するポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルとして、ダウケミカル社製の商品名「DER736」が挙げられる。
(C)成分の3官能のエポキシ樹脂としては、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、トリス(グリシジルオキシ)メタン等が挙げられる。このようなものとしては、市販品を用いることができ、例えば、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルとして、阪本薬品工業社製の商品名「SR−TMP」(化学式(2))などが好ましく使用できる。
樹脂成分は、基本的に、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(C)3官能のエポキシ樹脂のみからなることが好ましいが、これら(A)〜(C)成分以外の他のエポキシ樹脂等を含有することができる。他のエポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ビフェニル型またはスチルベン型二官能エポキシ化合物等を使用することができる。これらのエポキシ樹脂は、(A)〜(C)成分とともに1種を単独で併用してもよく、2種以上を混合して併用してもよい。他のエポキシ樹脂等を併用する場合、(A)〜(C)成分の合計量100質量部に対し、30質量部以下であり、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下である。
(D)成分のジフェニルアミン硬化剤としては、例えば、ジエチルジアミノジフェニルエタンが挙げられる。このようなものとしては、市販品を用いることができ、例えば、日本化薬社製の商品名「カヤハードAA」などが好ましく使用できる。
(D)成分のジフェニルアミン硬化剤は、樹脂成分の100質量部、すなわち、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(C)3官能のエポキシ樹脂、ならびに必要に応じて添加されるその他のエポキシ樹脂等の合計量100質量部に対し、10〜40質量部が好ましく、15〜35質量部がより好ましく、20〜30質量部がさらに好ましい。(D)成分のジフェニルアミン硬化剤の含有量を10質量部以上とすることで、含浸用樹脂組成物13を短時間で有効に硬化させることができる。また、(D)成分のジフェニルアミン硬化剤の含有量を40質量部以下とすることで、含浸用樹脂組成物13の硬化物における特性低下を抑制できる。
なお、本発明では、硬化剤として(D)成分のジフェニルアミン硬化剤のみを用いることが好ましいが、(D)成分のジフェニルアミン硬化剤以外の硬化剤を併用することもできる。(D)成分のジフェニルアミン硬化剤以外の硬化剤としては、他のアミン系硬化剤を使用でき、例えば、脂肪族アミン、脂環式アミン、その他の芳香族アミンが挙げられる。このようなものとしては市販品を使用することができ、例えば、脂肪族アミンとして、ジェファーミンD−230、T−403(ハンツマン社製、商品名)、脂環式アミンとして、アンカミン2049(エアープロダクツ社製、商品名)、芳香族アミンとして、カヤボンドC−200S、C−300S(日本化薬社製、商品名)を使用することができる。これらは、(D)成分のジフェニルアミン硬化剤とともに、1種を単独で併用してもよく、2種以上を混合して併用してもよい。(D)成分のジフェニルアミン硬化剤とともにそれ以外の硬化剤を併用する場合、(D)成分のジフェニルアミン硬化剤100質量部に対し、10質量部以下であり、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは3質量部以下である。
(E)成分のイミダゾール硬化促進剤としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物が挙げられる。これらのイミダゾール化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらのイミダゾール化合物の中でも、反応性の観点から、2−エチル−4−メチルイミダゾールが好ましい。
(E)成分のイミダゾール硬化促進剤は、樹脂成分の100質量部、すなわち、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(C)3官能のエポキシ樹脂、ならびに必要に応じて添加されるその他のエポキシ樹脂等の合計量100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましく、1〜3質量部がさらに好ましい。(E)成分のイミダゾール硬化促進剤の含有量を1質量部以上とすることで、含浸用樹脂組成物13を短時間で有効に硬化させることができる。また、(E)成分のイミダゾール硬化促進剤の含有量を10質量部以下とすることで、含浸用樹脂組成物13の硬化物における特性低下を抑制できる。
なお、本発明では、硬化促進剤として、(E)成分のイミダゾール硬化促進剤のみを用いることが好ましいが、(E)成分のイミダゾール硬化促進剤以外の硬化促進剤を併用することもできる。(E)成分のイミダゾール硬化促進剤以外の硬化促進剤としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、α‐メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2‐(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類、1,8‐ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン‐7(DBU)、1,5‐ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン‐5などのジアザビシクロアルケンおよびその誘導体、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィンなどホスフィン類等が挙げられる。これらは、1種を単独で併用してもよく、2種以上を混合して併用してもよい。(E)成分のイミダゾール硬化促進剤とともにそれ以外の硬化促進剤を併用する場合、(E)成分のイミダゾール硬化促進剤100質量部に対し、30質量部以下であり、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下である。
硬化剤成分は、樹脂成分の100質量部に対し、10〜40質量部が好ましく、特に20〜30質量部が好ましい。ここで、樹脂成分とは、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(C)3官能のエポキシ樹脂、ならびに必要に応じて添加されるその他のエポキシ樹脂等である。また、硬化剤成分とは、(D)成分のジフェニルアミン硬化剤および必要に応じて添加されるその他の硬化剤、ならびに(E)成分のイミダゾール硬化促進剤および必要に応じて添加されるその他の硬化促進剤である。硬化剤成分の含有量を10質量部以上とすることで、含浸用樹脂組成物13を短時間で有効に硬化させることができる。また、硬化剤成分の含有量を40質量部以下とすることで、含浸用樹脂組成物13の硬化物における特性低下を抑制できる。
本発明の含浸用樹脂組成物13では、イミダゾール化合物を硬化触媒として用いることで、反応に潜在性を持たせることができる。つまり貯蔵時に硬化するようなことがなく、含浸用樹脂組成物13の貯蔵時における長寿命化を図ることができる。
さらに、樹脂成分にエポキシ系化合物を含むことから、比較的熱伝導率が高く、また可撓性に優れており、図1に示すようにモールド後に大型コイルに電流が流入した際の熱サイクルを受けても、熱を比較的容易に外部に発散させることができる。この結果、含浸用樹脂組成物13において熱応力が発生しにくくなり、クラックの発生や剥離を防止することができる。
また、可撓性エポキシ樹脂を含んでいることによって、熱サイクルを受けた際にも、熱に応じて比較的容易に変形することができるので、熱応力が緩和されるようになる。従って、この点からも、含浸用樹脂組成物13において熱応力が発生しにくくなり、クラックの発生や剥離を抑制することができ、良好なモールド特性を得ることができる。
含浸用樹脂組成物13には、上述した樹脂成分および硬化剤成分に加えて、必要に応じて、かつ本発明の趣旨に反しない限度において、その他の成分、例えば、無機充填材、消泡剤、着色剤、離型剤、形状維持剤等を含有させることができる。無機充填材としては、シリカ、アルミナ、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、タルク、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタンホワイト、クレー、ベンガラ、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ等が挙げられる。
含浸用樹脂組成物13は公知の調製方法を適用して調製することができる。すなわち、樹脂成分として、(A)成分のビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)成分のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(C)成分の3官能のエポキシ樹脂、また硬化剤成分として、(D)ジフェニルアミン硬化剤、および(E)イミダゾール硬化促進剤、さらに必要に応じて配合されるその他の成分を混合槽等によって十分に均一混合することにより調製することができる。
大型モールドコイル10は、コイル芯11の外周周りに電気的良導体、例えば、銅、銀、金、アルミニウム等の金属からなる導線12が巻回されたものに、公知の方法により、含浸用樹脂組成物13を含浸させ、硬化させることにより製造することができる。例えば、本体含浸方式により、導線12が巻回されたコイル芯11を含浸用樹脂組成物13が入れられた含浸タンク中に浸漬し、含浸用樹脂組成物13を含浸させる。その後、含浸用樹脂組成物13が含浸されたコイル芯11に対して硬化のための加熱を行って、大型モールドコイル10とする。
(実施例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三井化学株式会社製、商品名「R−140P」)100質量部、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(3個のエーテル結合を有するもの、ダウケミカル株式会社製、商品名「DER736」)25質量部、3官能のエポキシ樹脂としてのトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名「SR−TMP」)25質量部からなる樹脂成分150質量部に対し、消泡剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−060N」)0.1質量部、硬化剤としてのジフェニルアミン硬化剤(芳香族アミン、日本化薬株式会社製、商品名「カヤハードAA」)39質量部、およびイミダゾール硬化促進剤としての2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール(四国化成株式会社製、商品名「2E4MZ」)3質量部を溶融混練して、含浸用樹脂組成物を調製した。なお、混練は、温度60℃、60rpmで10分間実施した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三井化学株式会社製、商品名「R−140P」)100質量部、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(3個のエーテル結合を有するもの、ダウケミカル株式会社製、商品名「DER736」)25質量部、3官能のエポキシ樹脂としてのトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名「SR−TMP」)25質量部からなる樹脂成分150質量部に対し、消泡剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−060N」)0.1質量部、硬化剤としてのジフェニルアミン硬化剤(芳香族アミン、日本化薬株式会社製、商品名「カヤハードAA」)39質量部、およびイミダゾール硬化促進剤としての2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール(四国化成株式会社製、商品名「2E4MZ」)3質量部を溶融混練して、含浸用樹脂組成物を調製した。なお、混練は、温度60℃、60rpmで10分間実施した。
(実施例2)
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(ダウケミカル株式会社製、商品名「DER736」)40質量部、3官能のエポキシ樹脂(阪本薬品工業株式会社製、商品名「SR−TMP」)10質量部とした以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(ダウケミカル株式会社製、商品名「DER736」)40質量部、3官能のエポキシ樹脂(阪本薬品工業株式会社製、商品名「SR−TMP」)10質量部とした以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
(実施例3)
イミダゾール硬化促進剤として、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾールの代わりに1,2−ジメチルイミダゾール(四国化成株式会社製、商品名「1,2DMZ」)3質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
イミダゾール硬化促進剤として、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾールの代わりに1,2−ジメチルイミダゾール(四国化成株式会社製、商品名「1,2DMZ」)3質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
(実施例4)
イミダゾール硬化促進剤として、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾールの代わりに1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製、商品名「1B2MZ」)3質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
イミダゾール硬化促進剤として、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾールの代わりに1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製、商品名「1B2MZ」)3質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
(比較例1)
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(ダウケミカル株式会社製、商品名「DER736」)を用いず、3官能のエポキシ樹脂(阪本薬品工業株式会社製、商品名「SR−TMP」)50質量部とした以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(ダウケミカル株式会社製、商品名「DER736」)を用いず、3官能のエポキシ樹脂(阪本薬品工業株式会社製、商品名「SR−TMP」)50質量部とした以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
(比較例2)
硬化促進剤として、イミダゾール硬化促進剤の代わりに、トリエタノールアミン(三井化学ファイン株式会社製、商品名「AC399」)3質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
硬化促進剤として、イミダゾール硬化促進剤の代わりに、トリエタノールアミン(三井化学ファイン株式会社製、商品名「AC399」)3質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
(比較例3)
硬化促進剤として、イミダゾール硬化促進剤の代わりに、トリエタノールアミン(三井化学ファイン株式会社製、商品名「TEA−99」)3質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
硬化促進剤として、イミダゾール硬化促進剤の代わりに、トリエタノールアミン(三井化学ファイン株式会社製、商品名「TEA−99」)3質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
(比較例4)
硬化剤として、ジフェニルアミンの代わりに、フェニルアミン(芳香族アミン、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製、商品名「エタキュア100」)39質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
硬化剤として、ジフェニルアミンの代わりに、フェニルアミン(芳香族アミン、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製、商品名「エタキュア100」)39質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
(比較例5)
硬化剤として、ジフェニルアミンの代わりに、フェニルアミン(芳香族アミン、三菱化学株式会社製、商品名「jERキュアW」)39質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
硬化剤として、ジフェニルアミンの代わりに、フェニルアミン(芳香族アミン、三菱化学株式会社製、商品名「jERキュアW」)39質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
(比較例6)
3官能のエポキシ樹脂を用いず、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(ダウケミカル株式会社製、商品名「DER736」)50質量部とした以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
3官能のエポキシ樹脂を用いず、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(ダウケミカル株式会社製、商品名「DER736」)50質量部とした以外は、実施例1と同様にして含浸用樹脂組成物を調製した。
(比較例7)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三井化学株式会社製、商品名「R−140P」)40質量部、可撓性エポキシ樹脂(株式会社アデカ製、商品名「EP−4000」)60質量部からなる樹脂成分100質量部に対し、消泡剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−060N」)0.1質量部、硬化剤として酸無水物(日立化成株式会社製、商品名「MTHPA」)68質量部、カチオン系硬化促進剤(宇津商事株式会社製、商品名「M2−100R」)0.3質量部を溶融混練して、含浸用樹脂組成物を調製した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三井化学株式会社製、商品名「R−140P」)40質量部、可撓性エポキシ樹脂(株式会社アデカ製、商品名「EP−4000」)60質量部からなる樹脂成分100質量部に対し、消泡剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−060N」)0.1質量部、硬化剤として酸無水物(日立化成株式会社製、商品名「MTHPA」)68質量部、カチオン系硬化促進剤(宇津商事株式会社製、商品名「M2−100R」)0.3質量部を溶融混練して、含浸用樹脂組成物を調製した。
次いで、上述のように得た含浸用樹脂組成物について、硬化性およびライフの評価を行った。また、含浸用樹脂組成物の硬化物について、ガラス転移点(Tg)、弾性率、引っ張り強さ、寸法収縮率、接着力を測定した。また、冷熱サイクル試験、クラック発生試験、剥離試験を行うことにより、信頼性の評価を行った。なお、各測定、評価は以下のように実施した。結果を表1(実施例)、表2(比較例)に示す。
・硬化性:含浸用樹脂組成物に対し、60℃で8時間の加熱、および82.3℃で6時間の加熱を行って、表面状態により評価を行った。表中、「◎」は表面にタックがなく、固体状態であったもの、「×」は表面にタックが発生し、または液状であったものを示す。
・ライフ:含浸用樹脂組成物を25℃の状態に放置し、粘度が1Pa・sに到達するまでの時間を評価した。粘度は、東機産業社製のE型粘度計(3°コーン)を用い、25℃、0.5rpmの条件で測定した。表中、「◎」は粘度が1Pa・sに到達するまでの時間が3時間以上であったもの、「×」は粘度が1Pa・sに到達するまでの時間が3時間未満であったものを示す。
・ガラス転移点(Tg):硬化後の含浸用樹脂組成物をTMA法にて実施した。温度は、室温から200℃まで、5℃/分の速度で昇温させた。なお、含浸用樹脂組成物の硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とした。
・弾性率:含浸用樹脂組成物を用いて10mm×4mm×100mmのテストピースを作製し、JIS−K−6911に準拠して測定した。なお、テストピースの作製における含浸用樹脂組成物の硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とした。
・引っ張り強さ:含浸用樹脂組成物を用いて、JIS−K−6911に準拠してダンベル状のテストピースを作製して測定した。なお、テストピースの作製における含浸用樹脂組成物の硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とした。
・寸法収縮率:含浸用樹脂組成物の液体状態から硬化後にかけての体積の変化率を測定した。含浸用樹脂組成物の硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とし、最終的な体積は室温になった状態で測定した。
・接着力:2枚の銅板(25mm×100mm×1.5mm)を含浸用樹脂組成物によって貼り合わせ、JIS−C−2105に準拠して測定した。なお、テストピースの作製における硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とした。
・冷熱サイクル試験:直径3mmのステンレスボールを貼り付けた外径3cm、内径1.5cmのワッシャーを、含浸用樹脂組成物中に埋め込んで、高さ1cm、直径6cmの円柱状の試験片を作製した後、この試験片を−55〜155℃の冷熱サイクルにかけ、クラック発生までのサイクル数を求めた。なお、試験片の作製における含浸用樹脂組成物の硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とした。
・クラック発生試験:5mm×5mmの平角銅線を、直径600mmのFRP芯に300回巻回してなるコイル構造体に、含浸用樹脂組成物を塗布して硬化させ、その表面を観察することにより、クラックの数をカウントした。なお、含浸用樹脂組成物の硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とした。
・剥離試験:クラック発生試験と同様にしてコイル構造体を作製し、含浸用樹脂組成物を塗布して硬化させ、その表面を観察することにより、剥離の有無をカウントした。
・ライフ:含浸用樹脂組成物を25℃の状態に放置し、粘度が1Pa・sに到達するまでの時間を評価した。粘度は、東機産業社製のE型粘度計(3°コーン)を用い、25℃、0.5rpmの条件で測定した。表中、「◎」は粘度が1Pa・sに到達するまでの時間が3時間以上であったもの、「×」は粘度が1Pa・sに到達するまでの時間が3時間未満であったものを示す。
・ガラス転移点(Tg):硬化後の含浸用樹脂組成物をTMA法にて実施した。温度は、室温から200℃まで、5℃/分の速度で昇温させた。なお、含浸用樹脂組成物の硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とした。
・弾性率:含浸用樹脂組成物を用いて10mm×4mm×100mmのテストピースを作製し、JIS−K−6911に準拠して測定した。なお、テストピースの作製における含浸用樹脂組成物の硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とした。
・引っ張り強さ:含浸用樹脂組成物を用いて、JIS−K−6911に準拠してダンベル状のテストピースを作製して測定した。なお、テストピースの作製における含浸用樹脂組成物の硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とした。
・寸法収縮率:含浸用樹脂組成物の液体状態から硬化後にかけての体積の変化率を測定した。含浸用樹脂組成物の硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とし、最終的な体積は室温になった状態で測定した。
・接着力:2枚の銅板(25mm×100mm×1.5mm)を含浸用樹脂組成物によって貼り合わせ、JIS−C−2105に準拠して測定した。なお、テストピースの作製における硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とした。
・冷熱サイクル試験:直径3mmのステンレスボールを貼り付けた外径3cm、内径1.5cmのワッシャーを、含浸用樹脂組成物中に埋め込んで、高さ1cm、直径6cmの円柱状の試験片を作製した後、この試験片を−55〜155℃の冷熱サイクルにかけ、クラック発生までのサイクル数を求めた。なお、試験片の作製における含浸用樹脂組成物の硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とした。
・クラック発生試験:5mm×5mmの平角銅線を、直径600mmのFRP芯に300回巻回してなるコイル構造体に、含浸用樹脂組成物を塗布して硬化させ、その表面を観察することにより、クラックの数をカウントした。なお、含浸用樹脂組成物の硬化条件は、60℃で8時間、82.3℃で6時間とした。
・剥離試験:クラック発生試験と同様にしてコイル構造体を作製し、含浸用樹脂組成物を塗布して硬化させ、その表面を観察することにより、剥離の有無をカウントした。
表1から明らかなように、実施例の含浸用樹脂組成物については、低温での硬化性に優れており、ライフも長くできることがわかる。また、冷熱サイクル試験から明らかなように、クラック発生までに13回以上の冷熱サイクルを必要とし、冷熱サイクル特性に優れるとともに、クラック発生試験および剥離試験から明らかなように、製造時のクラックや剥離の発生も抑制できることがわかる。
一方、比較例の含浸用樹脂組成物については、硬化性とライフとを両立できるものは冷熱サイクル特性が十分でなく、冷熱サイクル特性に優れるものは硬化性とライフとを両立できないことが認められた。特に、硬化剤を酸無水物とした比較例7の含浸用樹脂組成物については、クラックの発生等が顕著となることが認められた。
以上、本発明について上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
10…大型モールドコイル、11…コイル芯、12…導線、13…含浸用樹脂組成物
Claims (3)
- (A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(C)3官能のエポキシ樹脂を含み、前記(A)〜(C)成分の合計量100質量%中、前記(A)成分の含有量が65〜75質量%、前記(B)成分の含有量が15〜30質量%、前記(C)成分の含有量が5〜25質量%である樹脂成分と、(D)ジフェニルアミン硬化剤、および(E)イミダゾール硬化促進剤を含む硬化剤成分とを含有することを特徴とする大型モールドコイル含浸用樹脂組成物。
- 前記樹脂成分100質量部に対して、前記硬化剤成分が10〜40質量部の割合であることを特徴とする請求項1記載の大型モールドコイル含浸用樹脂組成物。
- 請求項1または2記載の大型モールドコイル含浸用樹脂組成物によって含浸されたことを特徴とする大型モールドコイル。
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JP2012018714A JP2013155346A (ja) | 2012-01-31 | 2012-01-31 | 大型モールドコイル含浸用樹脂組成物、およびこれを用いた大型モールドコイル |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016060898A (ja) * | 2014-09-22 | 2016-04-25 | 京セラケミカル株式会社 | 2液性注型用エポキシ樹脂組成物、及びコイル部品 |
JP2019099788A (ja) * | 2017-12-01 | 2019-06-24 | エルエス産電株式会社Lsis Co., Ltd. | エポキシ樹脂組成物及びこれを含む変圧器 |
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2012
- 2012-01-31 JP JP2012018714A patent/JP2013155346A/ja active Pending
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US11186675B2 (en) | 2017-12-01 | 2021-11-30 | Lsis Co., Ltd. | Epoxy resin composition and transformer comprising the same |
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