JP2013142136A - 半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、
(B)フェノール系硬化剤、
(C)無機質充填剤、
(D)無機質充填剤に担持されたモリブデン酸亜鉛、
(E)ホスファゼン化合物
を含み、(A),(B)成分の合計100質量部に対し、(C)成分は800〜1,500質量部、(D)成分は50〜100質量部、(E)成分は10〜30質量部であり、(D),(E)成分の合計が60〜130質量部であり、かつ予め(A),(B)成分と(D),(E)成分とを均一に混合しプレ混合物を調製した後、該プレ混合物に残余の成分を配合したものである、臭素化物及びアンチモン化合物を含まない半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物。
【効果】本発明は、封止作業性に優れ、薄型ウエハーモールドの際、ウエハーに掛かる応力を低減させ、ウエハー割れなど起こさずに成形でき、また、難燃性、耐湿性に優れ、信頼性の高い半導体装置を提供できる。
【選択図】なし
(B)フェノール系硬化剤、
(C)無機質充填剤、
(D)無機質充填剤に担持されたモリブデン酸亜鉛、
(E)ホスファゼン化合物
を含み、(A),(B)成分の合計100質量部に対し、(C)成分は800〜1,500質量部、(D)成分は50〜100質量部、(E)成分は10〜30質量部であり、(D),(E)成分の合計が60〜130質量部であり、かつ予め(A),(B)成分と(D),(E)成分とを均一に混合しプレ混合物を調製した後、該プレ混合物に残余の成分を配合したものである、臭素化物及びアンチモン化合物を含まない半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物。
【効果】本発明は、封止作業性に優れ、薄型ウエハーモールドの際、ウエハーに掛かる応力を低減させ、ウエハー割れなど起こさずに成形でき、また、難燃性、耐湿性に優れ、信頼性の高い半導体装置を提供できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、半導体封止用の液状エポキシ樹脂組成物に関する。特に、本発明は、ディスペンサーでのポッティングや圧縮成形により半導体を封止することができ、揮発分が殆ど発生せず、かつ臭素化物やアンチモン化合物を含有することなく難燃性に優れると共に、耐湿性に優れた硬化物を得ることができる半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物、及び該樹脂組成物の硬化物で封止した半導体装置に関する。
現在、半導体装置は、樹脂封止型のダイオード、トランジスター、IC、LSI、超LSIが主流であり、エポキシ樹脂が他の熱硬化性樹脂に比べて成形性、接着性、電気特性、機械特性、耐湿性等に優れているため、エポキシ樹脂組成物で半導体装置を封止することが一般的である。また、半導体装置は、家電製品、コンピュータ等、生活環境の様々な所で使用されているため、万が一の火災に備えて、難燃性が要求されている。
そこで、難燃性を高めるために、半導体封止用エポキシ樹脂組成物中に、臭素化エポキシ樹脂と三酸化アンチモンとを難燃剤として配合する方法が従来採用されている。この臭素化エポキシ樹脂と三酸化アンチモンとの組み合わせは、気相におけるラジカルトラップ及び空気遮断効果が大きく、その結果、高い難燃効果を達成することができる。
しかし、臭素化エポキシ樹脂は、燃焼時に有毒ガスを発生するという問題があり、また、三酸化アンチモンは粉体毒性を有する。従って、人体や環境に対する影響を考慮すると、これらの難燃剤を樹脂組成物中に全く含めないことが好ましい。
そこで、上記難燃剤の代替として、Al(OH)3、Mg(OH)2等の水酸化物及び赤リン、リン酸エステル等のリン系難燃剤の検討がなされている。しかし、Al(OH)3、Mg(OH)2等の水酸化物は難燃効果が低いため、十分な難燃性を得るには、エポキシ樹脂組成物中に水酸化物を多量に添加しなければならず、その結果、組成物の粘度が上昇し、成形時にボイドやワイヤー流れ等の成形不良が発生するという問題がある。また、赤リン、リン酸エステル等のリン系難燃剤をエポキシ樹脂組成物に添加した場合、半導体装置が高温高湿条件にさらされると、リン系難燃剤が加水分解されてリン酸が生成し、このリン酸がアルミニウム配線を腐食させ、信頼性を低下させるという大きな問題がある。
上記問題を解決するために、赤リンの表面をSiXOY組成からなる被覆層で被覆した化合物を難燃剤として使用したエポキシ樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1:特開平7−157542号公報)。しかし、この組成物は耐湿性が不十分であり、従って、信頼性は改善されていない。
また、難燃剤としてホスファゼン化合物を使用したエポキシ樹脂組成物も提案されている(例えば、特許文献2〜4:特開平10−259292号公報、特開2004−18602号公報、特開2003−138101号公報)。上記組成物は、十分な難燃性を得るためにはかなりの量のホスファゼン化合物を含む必要があり、その場合には、硬化性の低下や耐湿性の低下を引き起こす。
そこで、難燃剤として、ホスファゼン化合物と共に無機質充填剤に担持されたモリブデン酸亜鉛を使用したエポキシ樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献5:特開2003−138102号公報)。上記組成物は、十分な難燃性を有すると共に硬化性や耐湿性に優れるが、主として固体状であり、従って、半導体の封止に際しては成形工程を要する。
従来の難燃性付与樹脂の成形を伴う半導体の封止は、タブレット状又は粉体状の材料が主流であり、ウエハーモールドの場合、特に近年では薄型ウエハーの圧縮成形が行われており、従来封止材は、ウエハーに掛かる応力が大きく、ウエハーが破損する問題が生じており、室温(25℃)で液状又はペースト状の低粘度な樹脂が求められている。そのためには、半導体封止用の樹脂組成物として、液状の難燃性エポキシ樹脂組成物を使用するのが有利である。更に、ホスファゼン化合物と共に無機質充填剤に担持されたモリブデン酸亜鉛は、固形であり、固形の樹脂中では、凝集や分散不良を発生させ、信頼性を著しく低下させるおそれがある。しかし、十分な難燃性を有すると共に耐湿性に優れ、かつ液状であるエポキシ樹脂組成物はまだ実用化に至っていない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ディスペンサーでのポッティングや圧縮成形により半導体封止を行うことができ、かつ難燃性、耐湿性に優れた硬化物を形成することができる半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、臭素化物やアンチモン化合物を含有することなくUL−94、V−0の規格を満たす難燃性を有すると共に、耐湿性に優れた硬化物を得ることができる室温(25℃)で液状のエポキシ樹脂組成物を得るべく鋭意検討を行った結果、エポキシ樹脂として室温(25℃)で液状のものを使用し、これに室温(25℃)で液状の特定のフェノール系硬化物を併用し、なおかつ、難燃剤として、無機質充填剤に担持されたモリブデン酸亜鉛及び特定のホスファゼン化合物を特定の量で使用することにより、上記組成物が得られることを見出した。特に、従来の液状エポキシ樹脂組成物の多くは、硬化剤に酸無水物硬化剤を使用しており(例えば、特許文献6:特開2008−266512号公報)、例えば圧縮成形を用いたウエハーレベル成形において、酸無水硬化剤が成形時に揮発し、装置及び作業環境に悪影響を起こす問題が発生している。そこで、硬化剤として検討した結果、下記一般式(1)で示される室温(25℃)で液状の特定のフェノール系硬化物を選択的に併用することにより、揮発分が殆どなくかつ信頼性の高い液状の組成物が提供できることを見出した。
更に、無機質充填剤の配合量を(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して800〜1,500質量部にすることにより、ウエハーレベルの成形においても反りが発生せず、信頼性の高い半導体装置を提供できることを見出した。なおこの場合、予め(A)及び(B)成分と(D)及び(E)成分とを均一に混合してプレ混合物を調製した後、このプレ混合物に他の成分を均一に配合して組成物を製造することが、難燃性、耐湿性を発現する上で必須であることを見出した。
すなわち、本発明は、下記の半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物及び該組成物の硬化物で封止した半導体装置を提供する。
〔1〕 (A)室温(25℃)で液状のエポキシ樹脂、
(B)下記一般式(1)で示される室温(25℃)で液状のフェノール系硬化剤
(A)成分の液状エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基1モル
に対してフェノール性水酸基が0.7〜1.3倍モルとなる量、
[式中、R1は二重結合を有する炭素数2〜10の脂肪族一価炭化水素基、R2は下記式
(式中、R3は水素原子又は炭素数1〜10の一価炭化水素基である。)
で示される二価炭化水素基のいずれか一つである。]
(C)無機質充填剤、
(D)無機質充填剤に担持されたモリブデン酸亜鉛、
(E)下記平均組成式(2)で示されるホスファゼン化合物
(式中、Xは単結合、又はCH2、C(CH3)2、SO2、S、O、及びO(CO)Oから選ばれる基であり、YはOH、SH又はNH2であり、R4は炭素数1〜4のアルキル基及びアルコキシ基、NH2、NR5R6並びにSR5から選ばれる基であり、R5、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。a、b、c及びmは0≦a≦0.25m、0≦b<2m、0≦c≦2m、2a+b+c=2m及び3≦m≦1,000を満たす数である。)
を含み、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して、(C)成分の配合量は800〜1,500質量部であり、(D)成分の配合量は50〜100質量部であり、(E)成分の配合量は10〜30質量部であり、(D)成分と(E)成分の配合量の合計が60〜130質量部であり、かつ、予め(A)及び(B)成分と(D)及び(E)成分とを均一に混合しプレ混合物を調製した後、該プレ混合物に残余の成分を配合したものである、臭素化物及びアンチモン化合物を含まないことを特徴とする半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物。
〔2〕 (A)成分が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及び下記構造式(i)又は(ii)で示されるエポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする〔1〕記載の半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物。
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の一価炭化水素基であり、nは1〜4の整数である。)
〔3〕 〔1〕又は〔2〕記載の難燃性液状エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置。
〔4〕 〔1〕又は〔2〕記載の半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物を製造する方法であって、予め(A)及び(B)成分と(D)及び(E)成分とを均一に混合してプレ混合物を調製した後、該プレ混合物に残余の成分を配合することを特徴とする半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物の製造方法。
〔1〕 (A)室温(25℃)で液状のエポキシ樹脂、
(B)下記一般式(1)で示される室温(25℃)で液状のフェノール系硬化剤
(A)成分の液状エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基1モル
に対してフェノール性水酸基が0.7〜1.3倍モルとなる量、
で示される二価炭化水素基のいずれか一つである。]
(C)無機質充填剤、
(D)無機質充填剤に担持されたモリブデン酸亜鉛、
(E)下記平均組成式(2)で示されるホスファゼン化合物
を含み、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して、(C)成分の配合量は800〜1,500質量部であり、(D)成分の配合量は50〜100質量部であり、(E)成分の配合量は10〜30質量部であり、(D)成分と(E)成分の配合量の合計が60〜130質量部であり、かつ、予め(A)及び(B)成分と(D)及び(E)成分とを均一に混合しプレ混合物を調製した後、該プレ混合物に残余の成分を配合したものである、臭素化物及びアンチモン化合物を含まないことを特徴とする半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物。
〔2〕 (A)成分が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及び下記構造式(i)又は(ii)で示されるエポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする〔1〕記載の半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物。
〔3〕 〔1〕又は〔2〕記載の難燃性液状エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置。
〔4〕 〔1〕又は〔2〕記載の半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物を製造する方法であって、予め(A)及び(B)成分と(D)及び(E)成分とを均一に混合してプレ混合物を調製した後、該プレ混合物に残余の成分を配合することを特徴とする半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物の製造方法。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、室温(25℃)で自己流動性のある液状又はペースト状であるため、半導体の封止をディスペンサーによるポッティングによって行うことができ、従って、封止に際して成形金型を必要とする従来の組成物よりも封止作業性に優れ、更に、薄型ウエハーモールドの際、ウエハーに掛かる応力を低減させ、ウエハー割れなど起こさずに成形できる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、難燃性に優れると共に耐湿性に優れ、従って、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、本発明の組成物は臭素化物及びアンチモン化合物を含まないので、更に揮発成分も殆ど発生せず環境の観点からも好ましい。
本発明組成物に用いられる(A)液状エポキシ樹脂としては、室温(25℃)で液状であればいずれのエポキシ樹脂も使用することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;シクロペンタジエン型エポキシ樹脂等及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。但し、(A)成分は、臭素化エポキシ樹脂を含まない。
上記液状エポキシ樹脂のうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂が特に好ましく、それらの粘度(25℃)は、好ましくは0.1〜500Pa・s、より好ましくは10〜200Pa・sである。なお、この粘度は回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型等)を用いて測定し得る。
また、下記式で表されるような、分子中にフェニレン環等の芳香族環を1個有し複数(2個又は3個)のエポキシ基を含有する多官能性のエポキシ樹脂も好ましく使用される。
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の一価炭化水素基であり、nは1〜4の整数である。)
上記式中、Rは炭素数1〜20、好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜3の一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基などが挙げられる。また、nは1〜4の整数であり、特に1又は2である。
本発明において、(A)成分としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、上記式(i)、(ii)のエポキシ樹脂が好ましい。
なお、上記式の芳香族環を1個有する多官能性のエポキシ樹脂を使用する場合には、その含有量が、(A)成分全体の25〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは75〜100質量%であることが推奨される。25質量%未満であると組成物の粘度が上昇したり、硬化物の耐熱性が低下したりするおそれがある。
なお、上記式の芳香族環を1個有する多官能性のエポキシ樹脂を使用する場合には、その含有量が、(A)成分全体の25〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは75〜100質量%であることが推奨される。25質量%未満であると組成物の粘度が上昇したり、硬化物の耐熱性が低下したりするおそれがある。
(A)液状エポキシ樹脂は、加水分解性塩素が1,000ppm以下、特に500ppm以下であり、ナトリウム及びカリウムがそれぞれ10ppm以下であるのが好ましい。加水分解性塩素が1,000ppmを超えたり、ナトリウム又はカリウムが10ppmを超える場合には、半導体装置を高温高湿下に長時間放置すると、耐湿性が劣化する場合がある。
本発明に使用する(B)硬化剤は、室温(25℃)で液状であるか、(A)成分に溶解して液状になるものであって、組成物の低粘度性、成形時の硬化剤の揮発抑制等の観点から、下記一般式(1)で表されるフェノール系硬化剤が選択的に使用される。
で示される二価炭化水素基のいずれか一つである。]
なお、本組成物においては、(B)成分の一般式(1)で表されるフェノール系硬化剤以外の1分子中にフェノール性水酸基を少なくとも2個有するフェノール樹脂等のフェノール系硬化剤を本発明の効果を損なわない範囲で併用してもよく、その他のフェノール系硬化剤としては、例えば、1分子中にフェノール性水酸基を少なくとも2個有するフェノール樹脂として、具体的にはフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、パラキシリレン変性ノボラック樹脂、メタキシリレン変性ノボラック樹脂、オルソキシリレン変性ノボラック樹脂等のキシリレン変性ノボラック樹脂、ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF型樹脂等のビスフェノール型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型樹脂、ビフェニルアラルキル型樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、トリフェノールプロパン型樹脂等のトリフェノールアルカン型樹脂及びその重合体等のフェノール樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等のいずれのフェノール樹脂も使用可能である。
その他のフェノール系硬化剤を併用する場合、全硬化剤中、(B)成分の一般式(1)で表されるフェノール系硬化剤の含有量が25〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは75〜100質量%である。25質量%未満では組成物の粘度が上昇して作業性が低下したり、150℃以上の弾性率が上昇したり、硬化後の内部応力が大きくなったりして反りが発生するおそれがある。
また、上記一般式(1)で表されるフェノール系硬化剤の25℃における粘度は300Pa・s以下、特に100Pa・s以下であることが望ましい。粘度が300Pa・sを超えると組成物の粘度が高くなり作業性が悪くなることがある。
このフェノール系硬化剤の例としては、アリル基含有フェノール樹脂が挙げられ、具体的には明和化成株式会社製MEH8000H、MEH8005が挙げられる。
また、本発明の特性を損なわない程度で、上記一般式(1)のR1が水素原子又は炭素数10以下、好ましくは1〜5の二重結合を有しない脂肪族一価炭化水素基(特にアルキル基)であり、常温で固体のフェノール系硬化剤を併用することもできる。この硬化剤の例としては明和化成株式会社製DLシリーズが挙げられる。この硬化剤は常温で固体であるので、予め前記一般式(1)のフェノール系硬化剤と常温で液体となる割合で混合して用いることが望ましい。混合方法としては特に限定されないが、120℃で溶融混合することが望ましい。
なお、本発明の硬化剤の添加量は、エポキシ樹脂を硬化させる有効量であり、(A)成分の液状エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基1モルに対して硬化剤((B)成分単独又は(B)成分とそれ以外のフェノール系硬化剤全体)中のフェノール性水酸基が0.7〜1.3倍モルとなる量であり、特に0.8〜1.2倍モルであることが望ましい。配合モル比が前記下限値未満では未反応のエポキシ基が残存し、ガラス転移温度が低下、あるいは密着性が低下するおそれがある。一方、前記上限値を超えると硬化物が硬く脆くなり、リフロー時又は温度サイクル時にクラックが発生するおそれがある。
また、本発明において、エポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応を促進させるために、硬化促進剤を用いることが好ましい。この硬化促進剤は、硬化反応を促進させるものであれば特に制限はなく、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルホレート等のリン系化合物、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等の第3級アミン化合物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等を使用することができる。
硬化促進剤の量は、エポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応を促進させるために有効な量であり、好ましくは、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部である。
本発明組成物に配合される(C)無機質充填剤としては、後述する(D)成分及び(E)成分以外の無機質充填剤であり、エポキシ樹脂組成物に通常配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、酸化チタン、ガラス繊維等が挙げられる。
無機質充填剤の平均粒径及び形状は特に限定されないが、好ましくは平均粒径5〜30μmの球状であり、このような平均粒径及び形状を有する溶融シリカが特に好ましい。平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積重量平均径(d50)又はメジアン径等として求めることができる。
(C)成分の量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して800〜1,500質量部であり、好ましくは800〜1,200質量部である。上記下限未満では、十分な難燃性が得られない場合があり、上記上限を超えると、流動性が著しく悪くなり、封止作業性に悪影響を及ぼす場合がある。
なお、無機質充填剤は、エポキシ樹脂と無機質充填剤との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等のカップリング剤で予め表面処理したものが好ましい。このようなカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、γ−メルカプトシラン等のメルカプトシランなどが挙げられる。カップリング剤の配合量及び表面処理方法については、特に制限されるものではない。
本発明組成物における(D)成分は、無機質充填剤に担持されたモリブデン酸亜鉛であり、難燃剤として配合される。
本発明組成物に十分な難燃効果を付与するためには、モリブデン酸亜鉛をエポキシ樹脂組成物中に均一に分散させることが好ましく、分散性を向上させるためには、モリブデン酸亜鉛がシリカ、タルク等の無機質充填剤に予め担持されたものを使用するのが最適である。
モリブデン酸亜鉛を担持させる無機質充填剤としては、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、タルク、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、酸化チタン、酸化亜鉛、ガラス繊維等が挙げられる。この場合、無機質充填剤の平均粒径としては、0.1〜40μmであることが好ましく、特に0.5〜15μmであることが好ましい。また、比表面積は、0.5〜50m2/gであることが好ましく、特に0.7〜10m2/gであることが好ましい。
なお、本発明において、平均粒径は、レーザー光回折法による累積重量平均値(又はメディアン径)等として求めることができ、比表面積は、BET吸着法により求めることができる。
無機質充填剤に担持されたモリブデン酸亜鉛におけるモリブデン酸亜鉛の含有量は、モリブデン酸亜鉛担持後の無機質充填剤全体の10〜50質量%、特に10〜30質量%であることが好ましい。モリブデン酸亜鉛の含有量が少なすぎると十分な難燃効果が得られない場合があり、また多すぎると流動性や硬化性が低下する場合がある。
無機質充填剤に担持されたモリブデン酸亜鉛の市販例としては、例えばSHERWIN−WILLIAMS社製のKEMGARD1260、1261、911B、911C等が挙げられる。
(D)成分の量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して50〜100質量部であり、好ましくは70〜90質量部である。上記下限未満では十分な難燃効果が得られない場合があり、上記上限を超えると、流動性や硬化性の低下を引き起こす場合がある。なお、モリブデン酸亜鉛自体の量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して10〜50質量部が好ましく、特に20〜40質量部が好ましい。10質量部未満では十分な難燃効果が得られない場合があり、50質量部を超えると、流動性や硬化性の低下を引き起こす場合がある。
本発明における(E)成分は、下記平均組成式(2)で示されるホスファゼン化合物であり、難燃剤として配合される。
(式中、Xは単結合、又はCH2、C(CH3)2、SO2、S、O、及びO(CO)Oから選ばれる基であり、YはOH、SH又はNH2であり、R4は炭素数1〜4のアルキル基及びアルコキシ基、NH2、NR5R6並びにSR5から選ばれる基であり、R5、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。a、b、c及びmは0≦a≦0.25m、0≦b<2m、0≦c≦2m、2a+b+c=2m、3≦m≦1,000を満たす数である。)
式(2)において、mは3〜1,000であるが、より好ましい範囲は3〜10である。合成上、特に好ましくはmは3である。
a、b及びcは、0≦a≦0.25m、0≦b<2m、0≦c≦2m、2a+b+c=2mを満たす数である。0.25m<aでは、ホスファゼン化合物の分子間架橋が多いため、軟化点が高くなり、エポキシ樹脂中に相溶しにくく、期待される難燃効果が得られない。aは、0.15m≦a≦0.25mであることが好ましい。b及びcはそれぞれ、0≦b<2m及び0≦c≦2mを満たす数であるが、難燃性と硬化性及び耐湿性とを高いレベルで両立させるためには、0.67m≦b≦1.33m、及び0.67m≦c≦1.33mであることが望ましい。
X、Y及びR4は上記の通りであり、R4は電子供与性の基である。電子供与基の置換が無い場合には、Yの求核性が低下するため、エポキシ基との反応性が低くなる。そこで、式(2)のホスファゼン化合物の添加量を増やすと、硬化性の低下や耐湿性の低下を生じる。また、硬化性が悪いと熱分解しやすくなり、難燃性も低下する。また、R4におけるアルキル基及びアルコキシ基の炭素数が5以上であると難燃性が低下する。R4の好ましい例は、メチル基、メトキシ基、アミノ基及びジメチルアミノ基である。
(E)成分の量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して10〜30質量部であり、好ましくは10〜20質量部である。上記下限未満では十分な難燃効果が得られない場合があり、上記上限を超えると、Tgの低下や流動性の低下を引き起こす場合がある。
更に、本発明の組成物は、(D)成分と(E)成分の配合量の合計が(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して60〜130質量部、好ましくは70〜100質量部である。上記下限未満の場合では十分な難燃効果が得られない場合があり、上記上限を超えると、流動性や硬化性の低下を引き起こす場合がある。
本発明の半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物は、難燃剤として上記(D)及び(E)成分を含むので、赤リン、リン酸エステル等のリン系難燃剤が添加されたエポキシ樹脂組成物と比較して熱水抽出特性に優れ、耐湿性に特に優れる硬化物を得ることができる。
本発明の半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物は、本発明の目的及び効果を発現できる範囲内において、他の難燃剤、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛等の無機化合物、シリコーン化合物を添加することもできる。但し、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物及び臭素化合物は配合されない。
また、本発明の組成物は、必要に応じて、硬化物の応力を低減する目的で、シリコーン変性エポキシ樹脂、シリコーンゴム、シリコーンオイル、液状のポリブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン等の可撓性樹脂を、本発明の目的を阻害しない量で配合することができる。また、接着性向上用炭素官能性シラン、カーボンブラック等の顔料、染料、酸化防止剤も必要に応じて、本発明の目的を阻害しない量で配合することができる。
シリコーン変性エポキシ樹脂としては、アルケニル基含有エポキシ樹脂又はアルケニル基含有フェノール樹脂のアルケニル基と、下記平均組成式(3)
HdR7 eSiO(4-d-e)/2 (3)
(式中、R7は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、dは0.01〜0.1であり、eは1.8〜2.2であり、かつ1.81≦d+e≦2.3である。)
を有する、1分子中の珪素原子の数が20〜400であり、SiH結合の数が1〜5個、好ましくは2〜4個、特には2個であるオルガノポリシロキサンのSiH結合との付加反応により得られる共重合体からなるシリコーン変性エポキシ樹脂が好ましい。
HdR7 eSiO(4-d-e)/2 (3)
(式中、R7は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、dは0.01〜0.1であり、eは1.8〜2.2であり、かつ1.81≦d+e≦2.3である。)
を有する、1分子中の珪素原子の数が20〜400であり、SiH結合の数が1〜5個、好ましくは2〜4個、特には2個であるオルガノポリシロキサンのSiH結合との付加反応により得られる共重合体からなるシリコーン変性エポキシ樹脂が好ましい。
上記式中のR7としては、炭素数1〜10、特に1〜8の一価炭化水素基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、キシリル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などや、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部を塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子で置換したクロロメチル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換一価炭化水素基を挙げることができる。
上記式(4)中、R7は上で述べたとおりであり、R8は−CH2CH2CH2−、−OCH2−CH(OH)−CH2−O−CH2CH2CH2−又は−O−CH2CH2CH2−であり、R9は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。rは4〜199、好ましくは19〜109の整数、pは1〜10の整数、qは1〜10の整数である。
上記式(4)のシリコーン変性エポキシ樹脂を配合する場合には、(A)液状エポキシ樹脂100質量部に対して、オルガノポリシロキサン部分が1〜20質量部、特に2〜15質量部含まれるように配合することが好ましく、これにより、硬化物の応力が低下しかつ基板への密着性も向上することができる。ここで、オルガノポリシロキサン部分の量は下記式で示される。
オルガノポリシロキサン部分の量=(オルガノポリシロキサン部分の分子量/上記式(4)のシリコーン変性エポキシ樹脂の分子量)×上記式(4)のシリコーン変性エポキシ樹脂の添加量
オルガノポリシロキサン部分の量=(オルガノポリシロキサン部分の分子量/上記式(4)のシリコーン変性エポキシ樹脂の分子量)×上記式(4)のシリコーン変性エポキシ樹脂の添加量
本発明の液状エポキシ樹脂組成物は、例えば、上記(A)〜(E)成分及び所望により任意成分を別々に、必要により加熱処理を加えながら撹拌、溶解、混合、分散させる。
この場合、(A)、(B)成分の液状の樹脂成分と(D)、(E)の固形成分を予め、均一に混合、混錬してプレ混合物を調製し、その後に、残余の成分を添加して均一に混合、混錬して組成物を製造することが、難燃性、耐湿性を発現する上で必須である。(D)、(E)成分が(A)、(B)樹脂成分と不十分な分散状態であったり、(D)、(E)成分が凝集していると、難燃性や耐湿性が著しく低下するおそれがある。これらの操作に用いる装置は特に限定されないが、撹拌、加熱装置を備えたライカイ機、3本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサー等を用いることができる。また、これらの装置を適宜組み合わせてもよい。
この場合、(A)、(B)成分の液状の樹脂成分と(D)、(E)の固形成分を予め、均一に混合、混錬してプレ混合物を調製し、その後に、残余の成分を添加して均一に混合、混錬して組成物を製造することが、難燃性、耐湿性を発現する上で必須である。(D)、(E)成分が(A)、(B)樹脂成分と不十分な分散状態であったり、(D)、(E)成分が凝集していると、難燃性や耐湿性が著しく低下するおそれがある。これらの操作に用いる装置は特に限定されないが、撹拌、加熱装置を備えたライカイ機、3本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサー等を用いることができる。また、これらの装置を適宜組み合わせてもよい。
こうして得られる本発明の組成物は、25℃において50〜1,500Pa・s、特に50〜1,000Pa・sの粘度を有することが好ましい。
本発明の組成物は液状であり、各種の半導体装置の封止を、成形を伴うことなく容易に行うことができる。本発明の組成物を使用する封止の最も一般的な方法は、上記組成物をディスペンサーでポッティングすることにより半導体装置に施与し、次いで熱硬化させることにより行う方法である。熱硬化の条件は、公知のものであってよいが、好ましくは、最初に100〜120℃、0.5時間以上、次いで、150〜175℃、0.5時間以上、熱オーブンキュアを行う。100〜120℃での加熱が0.5時間未満では、硬化後にボイドが発生する場合がある。また、150〜175℃での加熱が0.5時間未満では、十分な硬化物特性が得られない場合がある。
以下に、本発明を合成例、実施例及び比較例によって更に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記式中のMeはメチル基、i−Prはイソプロピル基を示す。
ホスファゼン化合物の合成
[合成例1]
窒素雰囲気下、室温にて、ヘキサクロロトリホスファゼン25.5g(73mmol)、メチルヒドロキノン121.8g(733mmol)及びシクロヘキサン900mlの混合物中にγ−ピコリン68.3g(733mmol)を滴下した。4時間加熱還流後、デカンテーションにより得られた下層の黄色シロップ状物を80質量%酢酸160mlに溶解し、水500mlに移して結晶を得た。その結晶をメタノールに溶かし、水に移して結晶を得た。この操作を水が中性になるまで繰返し、下記の組成を有する淡茶色結晶を68.2g得た。
[合成例1]
窒素雰囲気下、室温にて、ヘキサクロロトリホスファゼン25.5g(73mmol)、メチルヒドロキノン121.8g(733mmol)及びシクロヘキサン900mlの混合物中にγ−ピコリン68.3g(733mmol)を滴下した。4時間加熱還流後、デカンテーションにより得られた下層の黄色シロップ状物を80質量%酢酸160mlに溶解し、水500mlに移して結晶を得た。その結晶をメタノールに溶かし、水に移して結晶を得た。この操作を水が中性になるまで繰返し、下記の組成を有する淡茶色結晶を68.2g得た。
[合成例2]
窒素雰囲気下、室温にて、ヘキサクロロトリホスファゼン12.0g(35.0mmol)、メチルヒドロキノン25.8g(155mmol)、フェノール14.6g(155mmol)及びシクロヘキサン150mlの混合物中にピリジン30.0g(380mmol)を滴下した。16時間加熱還流後、デカンテーションにより得られた下層の黄色シロップ状物を80質量%酢酸80mlに溶解し、水500mlに移して結晶を得た。その結晶をメタノールに溶かし、水に移して結晶を得た。この操作を水が中性になるまで繰返し、下記の平均組成を有する白色結晶を22.8g得た。
窒素雰囲気下、室温にて、ヘキサクロロトリホスファゼン12.0g(35.0mmol)、メチルヒドロキノン25.8g(155mmol)、フェノール14.6g(155mmol)及びシクロヘキサン150mlの混合物中にピリジン30.0g(380mmol)を滴下した。16時間加熱還流後、デカンテーションにより得られた下層の黄色シロップ状物を80質量%酢酸80mlに溶解し、水500mlに移して結晶を得た。その結晶をメタノールに溶かし、水に移して結晶を得た。この操作を水が中性になるまで繰返し、下記の平均組成を有する白色結晶を22.8g得た。
[合成例3]
窒素雰囲気下、0℃で水素化ナトリウム4.8g(119mmol)をTHF50mlに懸濁させ、そこにフェノール10.2g(108mmol)及び4,4’−スルホニルジフェノール0.45g(1.8mmol)のTHF50ml溶液を滴下した。30分撹拌後、ヘキサクロロトリホスファゼン12.5g(36.0mmol)のTHF50ml溶液を滴下し、5時間加熱還流を行った。そこに、別途0℃で水素化ナトリウム5.2g(130mmol)をTHF50mlに懸濁させ、そこにフェノール11.2g(119mmol)のTHF50ml溶液を滴下して得られた溶液を滴下し、更に19時間加熱還流した。溶媒を減圧留去後、クロロベンゼンを加えて溶解し、5質量%NaOH水溶液200ml×2、5質量%硫酸水溶液200ml×2、5質量%炭酸水素ナトリウム水溶液200ml×2、水200ml×2で抽出を行った。溶媒を減圧留去し、下記の平均組成を有する黄褐色結晶を20.4g得た。
窒素雰囲気下、0℃で水素化ナトリウム4.8g(119mmol)をTHF50mlに懸濁させ、そこにフェノール10.2g(108mmol)及び4,4’−スルホニルジフェノール0.45g(1.8mmol)のTHF50ml溶液を滴下した。30分撹拌後、ヘキサクロロトリホスファゼン12.5g(36.0mmol)のTHF50ml溶液を滴下し、5時間加熱還流を行った。そこに、別途0℃で水素化ナトリウム5.2g(130mmol)をTHF50mlに懸濁させ、そこにフェノール11.2g(119mmol)のTHF50ml溶液を滴下して得られた溶液を滴下し、更に19時間加熱還流した。溶媒を減圧留去後、クロロベンゼンを加えて溶解し、5質量%NaOH水溶液200ml×2、5質量%硫酸水溶液200ml×2、5質量%炭酸水素ナトリウム水溶液200ml×2、水200ml×2で抽出を行った。溶媒を減圧留去し、下記の平均組成を有する黄褐色結晶を20.4g得た。
[実施例1〜3、比較例1〜6]
表1及び2に示す成分を同表に示す割合で配合し、3本ロールで均一に混練することにより、液状エポキシ樹脂組成物を得た。なお、実施例及び参考例で使用した材料は以下の通りである。なお、(A)、(B)成分と(D)、(E)成分とを、予め均一に混合、混錬してプレ混合物を調製し、その後に、残余の成分を添加して均一に混合、混錬して組成物を製造した場合には、プレ混合『有』、各成分を同時に混合、混錬して組成物を製造した場合には、プレ混合『無』と表示した。
表1及び2に示す成分を同表に示す割合で配合し、3本ロールで均一に混練することにより、液状エポキシ樹脂組成物を得た。なお、実施例及び参考例で使用した材料は以下の通りである。なお、(A)、(B)成分と(D)、(E)成分とを、予め均一に混合、混錬してプレ混合物を調製し、その後に、残余の成分を添加して均一に混合、混錬して組成物を製造した場合には、プレ混合『有』、各成分を同時に混合、混錬して組成物を製造した場合には、プレ混合『無』と表示した。
(A)液状エポキシ樹脂
(1)エポキシ樹脂A1:下記式で示される3官能型エポキシ樹脂(エピコート630H:ジャパンエポキシレジン株式会社製)
(2)エポキシ樹脂A2:ナフタレン型エポキシ樹脂(HP4032D:DIC株式会社製)
(1)エポキシ樹脂A1:下記式で示される3官能型エポキシ樹脂(エピコート630H:ジャパンエポキシレジン株式会社製)
(C)無機質充填剤
球状溶融シリカ(株式会社龍森製、平均粒径12μm)
球状溶融シリカ(株式会社龍森製、平均粒径12μm)
(D)無機質充填剤に担持されたモリブデン酸亜鉛
KEMGARD911C(SHERWIN−WILLIAMS社製、モリブデン酸亜鉛含有量18質量%、コア材:タルク、平均粒径2.0μm、比表面積2.0m2/g)
KEMGARD911C(SHERWIN−WILLIAMS社製、モリブデン酸亜鉛含有量18質量%、コア材:タルク、平均粒径2.0μm、比表面積2.0m2/g)
比較成分
(1)臭素化エポキシ樹脂:BREN−S(日本化薬株式会社製)
(2)三酸化アンチモン
(1)臭素化エポキシ樹脂:BREN−S(日本化薬株式会社製)
(2)三酸化アンチモン
その他の成分
(1)硬化促進剤:HX3088(旭化成株式会社製)
(2)カーボンブラック:デンカブラック(電気化学工業株式会社製)
(3)シランカップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403:信越化学工業株式会社製)
(1)硬化促進剤:HX3088(旭化成株式会社製)
(2)カーボンブラック:デンカブラック(電気化学工業株式会社製)
(3)シランカップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403:信越化学工業株式会社製)
得られた各組成物について、以下に示す試験を行った。結果を表3及び4に示す。
(1)粘度
各組成物について、JIS Z−8803に準じ、25℃の測定温度で、E型粘度計を用いて、試料をセットして2分後の値を測定した。
(1)粘度
各組成物について、JIS Z−8803に準じ、25℃の測定温度で、E型粘度計を用いて、試料をセットして2分後の値を測定した。
(2)130℃における揮発分
熱オーブンを用いて、130℃+/−3℃に設定し、30分後の加熱減量を測定した。
熱オーブンを用いて、130℃+/−3℃に設定し、30分後の加熱減量を測定した。
(3)Tg(ガラス転移温度)
常温から10℃/分で昇温し、200〜260℃の温度で30秒以上5分以下保持して硬化物を得た。該硬化物を常温まで冷却し、5mm×5mm×15mmの試験片を切り出し、TMA(熱機械分析装置)により、毎分5℃で昇温してTgを測定した。
常温から10℃/分で昇温し、200〜260℃の温度で30秒以上5分以下保持して硬化物を得た。該硬化物を常温まで冷却し、5mm×5mm×15mmの試験片を切り出し、TMA(熱機械分析装置)により、毎分5℃で昇温してTgを測定した。
(4)接着力テスト
上面の直径2mm、下面の直径5mm、高さ3mmの円錐台形状のポリテトラフルオロエチレン製の型に各樹脂組成物を注入し、この上にPI膜コートしたシリコンチップを載せ、150℃で3時間硬化させた。硬化後、ポリテトラフルオロエチレン製の型を外して得られた試験片を一定の速度(1mm/秒)で押すことによって、剪断接着力を測定し、初期値とした。更に、試験片をプレッシャークッカーテスター(PCT条件:121℃/2.1atm)中で336時間保持した後、同様に接着力を測定した。いずれの場合も5個の試験片を用いて試験を行い、その平均値を接着力として表記した。
上面の直径2mm、下面の直径5mm、高さ3mmの円錐台形状のポリテトラフルオロエチレン製の型に各樹脂組成物を注入し、この上にPI膜コートしたシリコンチップを載せ、150℃で3時間硬化させた。硬化後、ポリテトラフルオロエチレン製の型を外して得られた試験片を一定の速度(1mm/秒)で押すことによって、剪断接着力を測定し、初期値とした。更に、試験片をプレッシャークッカーテスター(PCT条件:121℃/2.1atm)中で336時間保持した後、同様に接着力を測定した。いずれの場合も5個の試験片を用いて試験を行い、その平均値を接着力として表記した。
(5)強靭値K1c
ASTM#D5045に準じて、常温での強靭性値K1cを測定した。試験片は樹脂組成物を150℃で3時間硬化させたものを使用した。
ASTM#D5045に準じて、常温での強靭性値K1cを測定した。試験片は樹脂組成物を150℃で3時間硬化させたものを使用した。
(6)難燃性
UL−94規格に準じて測定を行った。試験片は、樹脂組成物を成形条件125℃、6.9N/mm2、成形時間600秒で1/16インチ厚の板に成形し、これを150℃で3時間硬化させたものを使用した。V−0規格に合格した場合を合格とした。
UL−94規格に準じて測定を行った。試験片は、樹脂組成物を成形条件125℃、6.9N/mm2、成形時間600秒で1/16インチ厚の板に成形し、これを150℃で3時間硬化させたものを使用した。V−0規格に合格した場合を合格とした。
(7)耐湿性
アルミニウム配線を形成した6×6mmの大きさのシリコンチップを14pin−DIPフレーム(42アロイ)に接着し、更にチップ表面のアルミニウム電極とリードフレームとを30μmφの金線でワイヤボンディングした後、この半導体素子に液状エポキシ樹脂組成物をポッティングし、150℃で3時間硬化した。次いで、信越化学工業株式会社製KMC600を成形条件175℃、6.9N/mm2、成形時間120秒で成形し、180℃で4時間ポストキュアーしてパッケージ化した。各組成物につき20個のパッケージを140℃/85%RHの雰囲気中、−5Vの直流バイアス電圧をかけて500時間放置した後、アルミニウム腐食が発生したパッケージ数を調べた。
アルミニウム配線を形成した6×6mmの大きさのシリコンチップを14pin−DIPフレーム(42アロイ)に接着し、更にチップ表面のアルミニウム電極とリードフレームとを30μmφの金線でワイヤボンディングした後、この半導体素子に液状エポキシ樹脂組成物をポッティングし、150℃で3時間硬化した。次いで、信越化学工業株式会社製KMC600を成形条件175℃、6.9N/mm2、成形時間120秒で成形し、180℃で4時間ポストキュアーしてパッケージ化した。各組成物につき20個のパッケージを140℃/85%RHの雰囲気中、−5Vの直流バイアス電圧をかけて500時間放置した後、アルミニウム腐食が発生したパッケージ数を調べた。
表3から明らかなように、実施例1〜3の組成物は、液状であると共に、硬化性、難燃性及び耐湿性に優れ、ポッティング可能な半導体封止用組成物として有用である。しかも、成形時も揮発成分が少なく、臭素化エポキシ樹脂等の臭素化物及び三酸化アンチモン等のアンチモン化合物を含有しないので、人体・環境に対する悪影響がない。
一方、表4に示されるように、硬化剤が酸無水物である比較例1、2は、揮発成分が多く、環境及び人体に悪影響があり、(D)、(E)成分のいずれか又は合計の配合量が本発明の下限未満である比較例3、4において、比較例3は難燃性に劣り、比較例4は耐湿性に劣る。比較例5の組成物は、担持されたモリブデン酸亜鉛を配合しておらず、耐湿性に劣る。比較例6の組成物は、予めプレ混合物を調製せずに、各成分を同時に混合、混錬して組成物を製造したもので、難燃性、耐湿性に劣る。
一方、表4に示されるように、硬化剤が酸無水物である比較例1、2は、揮発成分が多く、環境及び人体に悪影響があり、(D)、(E)成分のいずれか又は合計の配合量が本発明の下限未満である比較例3、4において、比較例3は難燃性に劣り、比較例4は耐湿性に劣る。比較例5の組成物は、担持されたモリブデン酸亜鉛を配合しておらず、耐湿性に劣る。比較例6の組成物は、予めプレ混合物を調製せずに、各成分を同時に混合、混錬して組成物を製造したもので、難燃性、耐湿性に劣る。
Claims (4)
- (A)室温(25℃)で液状のエポキシ樹脂、
(B)下記一般式(1)で示される室温(25℃)で液状のフェノール系硬化剤
(A)成分の液状エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基1モル
に対してフェノール性水酸基が0.7〜1.3倍モルとなる量、
で示される二価炭化水素基のいずれか一つである。]
(C)無機質充填剤、
(D)無機質充填剤に担持されたモリブデン酸亜鉛、
(E)下記平均組成式(2)で示されるホスファゼン化合物
を含み、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して、(C)成分の配合量は800〜1,500質量部であり、(D)成分の配合量は50〜100質量部であり、(E)成分の配合量は10〜30質量部であり、(D)成分と(E)成分の配合量の合計が60〜130質量部であり、かつ、予め(A)及び(B)成分と(D)及び(E)成分とを均一に混合しプレ混合物を調製した後、該プレ混合物に残余の成分を配合したものである、臭素化物及びアンチモン化合物を含まないことを特徴とする半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物。 - 請求項1又は2記載の難燃性液状エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置。
- 請求項1又は2記載の半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物を製造する方法であって、予め(A)及び(B)成分と(D)及び(E)成分とを均一に混合してプレ混合物を調製した後、該プレ混合物に残余の成分を配合することを特徴とする半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物の製造方法。
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2012
- 2012-01-12 JP JP2012003792A patent/JP2013142136A/ja active Pending
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