JP2020193293A - 封止用樹脂組成物、硬化物、及び電子部品装置 - Google Patents

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健 齋藤
Takeshi Saito
健 齋藤
和也 上村
Kazuya Kamimura
和也 上村
知典 峯岸
Tomonori Minegishi
知典 峯岸
東哲 姜
Dong-Cheol Kang
東哲 姜
光昭 襖田
Mitsuaki Fusumada
光昭 襖田
慧地 堀
Keichi Hori
慧地 堀
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Abstract

【課題】リフロー工程における不良の発生が抑制された高信頼性の封止用樹脂組成物、その硬化物、及びこれにより封止された素子を備える電子部品装置を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含み、硬化物として、85℃/85%RHの条件下に24時間置いた後に300℃、7秒間加熱したときの下記式により求められる放水率が30質量%以上である封止用樹脂組成物:放水率(質量%)={(吸水後の質量−加熱後の質量)/(吸水後の質量−吸水前の質量)}×100。【選択図】なし

Description

本開示は、封止用樹脂組成物、硬化物、及び電子部品装置に関する。
近年、半導体装置の分野では高出力化及び高集積化が進んでいる。これに伴い、樹脂封止型の半導体装置では従来のピン挿入型のパッケージから面実装型のパッケージが主流になっている。
面実装型の半導体装置は基板へ接合する際のリフロー工程において約240℃〜260℃の高温下にさらされる。このリフロー工程中に、封止材中に含まれる水が気化し、発生した蒸気圧が剥離応力として働き、封止用樹脂に剥離、クラック等の不良が生じることがあった。
このような状況下、リフロー工程における不良の発生を抑制し信頼性に優れる封止用樹脂組成物が検討されている。例えば、特許文献1では、ビスマレイミド樹脂を含有させることで、耐熱性と耐リフロー性を両立した封止用樹脂組成物が記載されている。
特開2018−24747号公報
しかしながら、リフロー工程は一般的に5分〜7分程度の短時間で行われるため、急激な昇温による水分の瞬間的な蒸発によって発生する剥離、クラック等を十分に抑制することは困難である。
上記事情に鑑み、リフロー工程における不良の発生が抑制された高信頼性の封止用樹脂組成物、その硬化物、及びこれにより封止された素子を備える電子部品装置の提供を課題とする。
上記課題を解決するための手段には以下の態様が含まれる。
<1> エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含み、
硬化物として、85℃/85%RHの条件下に24時間置いた後に300℃、7秒間加熱したときの下記式により求められる放水率が30質量%以上である封止用樹脂組成物。
放水率(質量%)={(吸水後の質量−加熱後の質量)/(吸水後の質量−吸水前の質量)}×100
吸水後の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置いた後の硬化物の質量
加熱後の質量:硬化物を300℃、7秒間加熱した後の硬化物の質量
吸水前の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置く前の硬化物の質量
<2> 硬化物として、85℃/85%RHの条件下に24時間置いたときの下記式により求められる吸水率が0.250質量%以下である、<1>に記載の封止用樹脂組成物。
吸水率(質量%)={(吸水後の質量−吸水前の質量)/吸水前の質量}×100
吸水後の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置いた後の硬化物の質量
吸水前の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置く前の硬化物の質量
<3> シリコーンをさらに含む<1>又は<2>に記載の封止用樹脂組成物。
<4> 前記シリコーンがフェニル基を有する、<3>に記載の封止用樹脂組成物。
<5> 前記シリコーンがアルコキシ基を含む、<3>又は<4>に記載の封止用樹脂組成物。
<6> 前記シリコーンのアルコキシ基含有率が前記シリコーンの全量に対して5質量%〜50質量%である、<5>に記載の封止用樹脂組成物。
<7> 前記無機充填材の含有率が65体積%〜90体積%である、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物。
<8> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物。
<9> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置。
本開示によれば、リフロー工程における不良の発生が抑制された高信頼性の封止用樹脂組成物、その硬化物、及びこれにより封止された素子を備える電子部品装置が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
〔封止用樹脂組成物〕
本開示の封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含み、
硬化物として、85℃/85%RHの条件下に24時間置いた後に300℃、7秒間加熱したときの下記式により求められる放水率(以下、単に「放水率」ともいう)が30質量%以上である。
放水率(質量%)={(吸水後の質量−加熱後の質量)/(吸水後の質量−吸水前の質量)}×100
吸水後の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置いた後の硬化物の質量
加熱後の質量:硬化物を300℃、7秒間加熱した後の硬化物の質量
吸水前の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置く前の硬化物の質量
具体的には、放水率は、封止用樹脂組成物を硬化後、W80mm、D10mm、H0.5mmに個片化し、乾燥させ、その後、85℃/85%RHの恒温恒湿槽に24時間入れた後、300℃のホットプレートで7秒間加熱し、加熱後の質量変化から上記式により算出してもよい。乾燥は、例えば125℃で2時間行う。
本発明者らの検討により、本開示の封止用樹脂組成物によればリフロー工程における不良の発生が抑制され信頼性に優れることがわかった。その理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。
本開示の封止用樹脂組成物は、硬化物として、85℃/85%RHの条件下に24時間置いた後に300℃、7秒間加熱したときの放水率が30質量%以上である。本開示の封止用樹脂組成物は、上記加速条件において、水分の蒸発により樹脂が剥離又はクラックを起こすよりも前に水分が十分に排出されやすいと考えられる。したがって、上記放水率を満たすことによって、リフロー時の樹脂の剥離又はクラックの発生が抑制され、信頼性を高めることができると考えられる。
上記放水率を満たす封止用樹脂組成物を用いるという手段は以下の利点を有する。すなわち、上記放水率を満たす設計である限り、例えばエポキシ樹脂の吸水性、無機充填材の含有量等の所定の制約を設けることなく封止用樹脂組成物の成分を選択することが可能になり、設計の選択肢が広がる。これにより、流動性、成形性、硬化物の靭性及び弾性率、熱膨張率、難燃性、低誘電特性等の所望の特性に応じて、樹脂組成物を設計することが可能となると考えられる。
放水率は30質量%以上であり、33質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。
放水率を30質量%以上とする方法は特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂の種類及び含有量を調整する方法が挙げられる。エポキシ樹脂は硬化するときに架橋点にて水酸基を発生し、この水酸基が水分の保持に寄与すると考えられる。そのためエポキシ樹脂を硬化させたときの架橋密度を下げることで放水率を調整してもよい。また、無機充填材の含有量、種類、粒径等を調整することによって放水率を調整してもよい。また、放水性の高いシリコーンを添加して放水率を調整してもよい。
本開示の封止用樹脂組成物では、硬化物として、85℃/85%RHの条件下に24時間置いたときの下記式により求められる吸水率(以下、単に「吸水率」ともいう)が0.250質量%以下であることが好ましい。
吸水率(質量%)={(吸水後の質量−吸水前の質量)/吸水前の質量}×100
吸水後の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置いた後の硬化物の質量
吸水前の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置く前の硬化物の質量
具体的には、吸水率は、封止用樹脂組成物を硬化後、W80mm、D10mm、H0.5mmに個片化し、乾燥させ、その後、85℃/85%RHの恒温恒湿槽に24時間入れ、吸水後の質量変化から上記式により算出してもよい。乾燥は、例えば125℃で2時間行う。
本開示の封止用樹脂組成物が上記吸水率を満たすと、リフロー工程における不良がより好適に抑制される傾向にある。この理由は明らかではないが、封止用樹脂組成物中の水分の保持量が低減され、かつ排出量が多いことで、リフロー処理時間内における剥離、クラック等の発生をより制御しやすくなるためと考えられる。
上記吸水率は0.250質量%以下であることが好ましく、0.240質量%以下であることがより好ましく、0.230質量%以下であることがさらに好ましく、0.220質量%であることが特に好ましい。
上記吸水率を0.250質量%以下とする方法は特に制限されない。例えば、エポキシ樹脂の種類及び含有量を調整する方法が挙げられる。エポキシ樹脂は硬化するときに架橋点にて水酸基を発生し、この水酸基が水分を保持しやすいと考えられる。そのためエポキシ樹脂を硬化させたときの架橋密度を下げることで吸水率を調整してもよい。また、無機充填材を増量して樹脂成分の含有量を低減することによって吸水率を調整してもよい。無機充填材の種類、粒径等によって吸水率を調整してもよい。また、吸水性の低いシリコーンを添加して吸水率を調整してもよい。
上記放水率及び吸水率を測定するときの硬化条件は、封止用樹脂組成物を165℃で60秒、5MPaの条件で成形後、165℃で2時間硬化する条件としてもよい。
封止用樹脂組成物は、固体であっても液体であってもよい。封止用樹脂組成物が固体である場合の形状としては、粉末状、タブレット状等が挙げられる。取り扱い性の観点からは、封止用樹脂組成物は固体であることが好ましく、粉末状であることがより好ましい。
以下、封止用樹脂組成物の各成分について説明するが、本開示の封止用樹脂組成物はこれらに限定されるものではない。
―エポキシ樹脂―
エポキシ樹脂の種類は特に制限されず、封止用樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。エポキシ樹脂として具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物との共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量(分子量/エポキシ基数)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性及び電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、100g/eq〜1000g/eqであることが好ましく、150g/eq〜500g/eqであることがより好ましい。
放水率又は吸水率を調整する方法として、エポキシ樹脂を硬化させたときの架橋密度を調整してもよい。エポキシ樹脂のエポキシ当量が100g/eq以上、より好ましくは150g/eq以上であると、硬化物の架橋密度が下がることによって放水率が上がり吸水率が下がる傾向にある。吸水率及び放水率、並びに硬化物の強度等のバランスの観点から、エポキシ当量が異なる2種以上のエポキシ当量を組み合わせて使用してもよい。例えば、エポキシ当量が100g/eq〜200g/eqのエポキシ樹脂と、エポキシ当量が200g/eqを超え1000g/eq以下のエポキシ樹脂と、を組み合わせて配合割合を調整することによって、放水率又は吸水率を調整しつつ各種特性バランスを調整してもよい。この場合、前者と後者の含有量の比は、質量基準で25:75〜90:10としてもよく、50:50〜80:20としてもよく、55:45〜75:25としてもよい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、JIS K 7236:2009に準じた方法で測定される値とする。
エポキシ樹脂が固体である場合、エポキシ樹脂の軟化点又は融点は特に制限されない。封止用樹脂組成物の調製の際の取扱い性の観点からは、50℃〜130℃であることが好ましい。
なお、エポキシ樹脂の融点は、示差走査熱量測定(DSC)で測定される値とし、エポキシ樹脂の軟化点は、JIS K 7234:1986に準じた方法(環球法)で測定される値とする。
封止用樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有率は特に制限されず、強度、流動性、耐熱性、成形性、吸水性等の観点から0.5質量%〜30質量%であることが好ましく、2質量%〜20質量%であることがより好ましく、3質量%〜15質量%であることがさらに好ましく、5質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
―硬化剤―
硬化剤の種類は特に制限されず、封止用樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。硬化剤としては、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。耐熱性の観点からは、硬化剤は、フェノール性水酸基を分子中に有するもの(フェノール硬化剤ともいう)であることが好ましい。
フェノール硬化剤として具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等と、から合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン又はメタキシリレンの少なくとも一方で変性したフェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジシクロペンタジエンと、から共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。これらのフェノール硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化剤の官能基当量(フェノール硬化剤の場合は水酸基当量)は、特に制限されない。
成形性、耐リフロー性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、70g/eq〜1000g/eqであることが好ましく、80g/eq〜500g/eqであることがより好ましい。
硬化剤の官能基当量(フェノール硬化剤の場合は水酸基当量)は、例えば、JIS K 0070:1992に準じた方法により測定される値であってもよい。
硬化剤が固体である場合、硬化剤の軟化点又は融点は、特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは、40℃〜180℃であることが好ましく、封止用樹脂組成物の製造時における取扱い性の観点からは、50℃〜130℃であることがより好ましい。
硬化剤の融点は、示差走査熱量測定(DSC)で測定される値とし、硬化剤の軟化点は、JIS K 7234:1986に準じた方法(環球法)で測定される値とする。
エポキシ樹脂と硬化剤との当量比、すなわちエポキシ樹脂中の官能基数に対する硬化剤中の官能基数の比(硬化剤中の官能基数/エポキシ樹脂中の官能基数)は、特に制限されない。それぞれの未反応分を少なく抑える観点からは、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比は0.5〜2.0の範囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.3の範囲に設定されることがより好ましい。成形性と耐リフロー性の観点からは、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比は0.8〜1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
―無機充填材―
無機充填材の種類は、特に制限されない。具体的には、シリカ(球状シリカ、結晶シリカ等)、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の無機材料が挙げられる。難燃効果を有する無機充填材を用いてもよい。難燃効果を有する無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。
上記無機充填材の中でも、線膨張係数低減の観点からはシリカが好ましく、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。
無機充填材の形状は特に制限されず、粉末、粉末を球形化したビーズ、繊維等が挙げられる。
無機充填材は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。「無機充填材を2種以上組み合わせる」とは、例えば、同じ成分で平均粒子径が異なる無機充填材を2種類以上用いる場合、平均粒子径が同じで成分の異なる無機充填材を2種類以上用いる場合、並びに平均粒子径及び種類の異なる無機充填材を2種類以上用いる場合が挙げられる。
無機充填材が粒子状である場合、その平均粒子径は、特に制限されない。例えば、体積平均粒子径が0.2μm〜50μmであることが好ましく、0.3μm〜40μmであることがより好ましく、0.4μm〜30μmであることがさらに好ましい。体積平均粒子径が0.2μm以上であると、封止用樹脂組成物の粘度の上昇が抑制される傾向にある。体積平均粒子径が50μm以下であると、狭い隙間への充填性が向上する傾向にある。無機充填材の体積平均粒子径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置により得られる体積基準の粒度分布において小径側からの体積の累積が50%となるときの粒子径(D50)として測定することができる。
流動性、硬化物の強度等の観点からは、平均粒子径が異なる2種類以上の無機充填材を併用することが好ましい。例えば、体積平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの無機充填材と、体積平均粒子径が1.0μmを超え50μm以下の無機充填材を併用することが好ましく、体積平均粒子径が0.3μm〜1.0μmの無機充填材と、体積平均粒子径が1.0μmを超え40μm以下の無機充填材を併用することがより好ましく、体積平均粒子径が0.4μm〜1.0μmの無機充填材と、体積平均粒子径が1.0μmを超え30μm以下の無機充填材を併用することがさらに好ましい。
封止用樹脂組成物中の無機充填材の含有率は特に制限されない。封止用樹脂組成物の硬化物の吸水性を低減させる観点からは、無機充填材の含有率は65体積%〜90体積%であることが好ましく、70体積%〜85体積%であることがより好ましく、75体積%〜85体積%であることがさらに好ましい。
封止用樹脂組成物中の無機充填材の含有率は特に制限されない。封止用樹脂組成物の硬化物の放水性を低減させる観点からは、無機充填材の含有率は65体積%〜90体積%であることが好ましく、70体積%〜85体積%であることがより好ましく、75体積%〜85体積%であることがさらに好ましい。
―シリコーン―
一態様において、封止用樹脂組成物はシリコーンを含有していてもよい。封止用樹脂組成物がシリコーンを含有することにより、螺旋構造を持つとされるシリコーン内を水分が移動しやすくなるため、放水性がより向上すると推測される。シリコーンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
高放水性及び/又は低吸水性の封止用樹脂組成物を調製する観点から、シリコーンはフェニル基を有することが好ましい。例えば、シリコーンのポリシロキサンの側鎖の一部にフェニル基を有することが好ましい。具体的な機序は明らかではないが、フェニル基は水酸基と比べて水との相互作用が弱いことから、シリコーンがフェニル基を有すると、高放水性及び/又は低吸水性の封止用樹脂組成物を好適に得られる傾向にあり、これによりリフロー工程における不良の発生を好適に抑制できると考えられる。シリコーン中のフェニル基の含有率は、例えば1モル%〜99モル%であってもよい。フェニル基の含有率とは、ポリシロキサンのケイ素原子に結合した全置換基数に対する、ケイ素原子に結合するフェニル基数の割合とする。
高放水性及び/又は低吸水性の封止用樹脂組成物を調製する観点から、シリコーンは、アルコキシ基を有することも好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基を有することがより好ましく、メトキシ基を有することがさらに好ましい。例えば、シリコーンのポリシロキサンの側鎖の一部にこれらの基を有することが好ましい。具体的な機序は明らかではないが、アルコキシ基は水酸基と比べて水との相互作用が弱いことから、シリコーンがアルコキシ基を有すると高放水性及び/又は低吸水性の封止用樹脂組成物を好適に得られる傾向にあり、これによりリフロー工程における不良の発生を好適に抑制できると考えられる。また、シリコーンがアルコキシ基を有すると、アルキル基を有する場合等と比べて樹脂成分との相溶性が向上し、好適な分散性を維持しつつ高放水性及び/又は低吸水性を得られると推測される。
シリコーンのアルコキシ基含有率は特に制限されない。低吸水性、高放水性の観点からは、シリコーンのアルコキシ基含有率はシリコーンの全量に対して5質量%〜50質量%であることが好ましく、10質量%〜40質量%であることがより好ましく、15質量%〜30質量%であることがさらに好ましい。
シリコーンはフェニル基及びアルコキシ基をいずれも有することが好ましい。これにより、高放水性及び低吸水性を両立して、リフロー工程における不良の発生をより好適に抑制できる傾向にある。
シリコーンの水酸基含有率は特に制限されず、高放水性及び/又は低吸水性の観点からは、シリコーン分子中の水酸基含有率は50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であることが特に好ましく、10質量%以下であることが極めて好ましい。
封止用樹脂組成物中のシリコーンの含有量は特に制限されない。封止用樹脂組成物の硬化物の吸水性を低減させる観点からは、シリコーンの含有量は全エポキシ樹脂100質量部に対して0.1質量部〜25質量部であることが好ましく、1質量部〜20質量部であることがより好ましく、5質量部〜20質量部であることがさらに好ましい。
封止用樹脂組成物の硬化物の放水性を向上させる観点からはシリコーンの含有量は全エポキシ樹脂100質量部に対して0.1質量部〜25質量部であることが好ましく、1質量部〜20質量部であることがより好ましく、5質量部〜20質量部であることがさらに好ましい。
封止用樹脂組成物は低吸水性、高放水性の観点から、本開示のシリコーン以外の各種シリコーンを配合してもよい。シリコーンの種類は特に制限されず、シリコーンゴム、アクリルエラストマー、フェノキシ樹脂等を適用してよい。
―カップリング剤―
封止用樹脂組成物は、樹脂成分と無機充填材との接着性を高めるために、カップリング剤を含有してもよい。カップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシラン化合物、チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウム/ジルコニウム化合物などのカップリング剤が挙げられる。カップリング剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カップリング剤の分子量としては、例えば、1000以下が挙げられ、100以上800以下が好ましく、100以上500以下がより好ましい。
カップリング剤は、これらの中でも取り扱い性の観点から、シラン化合物が好ましい。
シラン化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物;ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等の不飽和結合を有するシラン化合物;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のイオウ原子含有シラン化合物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン等のアミノ基含有シラン化合物;イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン化合物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルシランジオール、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルシラノール、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、2−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)フェニルイミン、3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)−N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−トリエトキシシリルプロピル−β−アラニンメチルエステル、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジヒドロ−3,5−フランジオン、ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン等のシラン系化合物;1H−イミダゾール、2−アルキルイミダゾール、2,4−ジアルキルイミダゾール、4−ビニルイミダゾール等のイミダゾール化合物とγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランの反応物であるイミダゾール系シラン化合物;などが挙げられる。これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
封止用樹脂組成物が含むカップリング剤の含有率は、封止材成形後の表面外観の観点から、全エポキシ樹脂100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。また、封止用樹脂組成物の混練性及び流動性の観点から、カップリング剤の含有率は、全エポキシ樹脂100質量部に対して0.3質量部以上であることが好ましい。
―硬化促進剤―
封止用樹脂組成物は、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、硬化性樹脂成分の種類、封止用樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤としては、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)等のジアザビシクロアルケン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物;前記環状アミジン化合物の誘導体;前記環状アミジン化合物又はその誘導体のフェノールノボラック塩;これらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2−エチル−4−メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N−メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物;ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;前記三級アミン化合物の誘導体;酢酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、リン酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ−n−ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物;トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の三級ホスフィン;前記三級ホスフィンと有機ボロン類との錯体等のホスフィン化合物;前記三級ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;前記三級ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と4−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、2−ブロモフェノール、4−クロロフェノール、3−クロロフェノール、2−クロロフェノール、4−ヨウ化フェノール、3−ヨウ化フェノール、2−ヨウ化フェノール、4−ブロモ−2−メチルフェノール、4−ブロモ−3−メチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノール、4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−クロロ−1−ナフトール、1−ブロモ−2−ナフトール、6−ブロモ−2−ナフトール、4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物;テトラフェニルホスホニウム等のテトラ置換ホスホニウム、テトラ−p−トリルボレート等のホウ素原子に結合したフェニル基がないテトラ置換ホスホニウム及びテトラ置換ボレート;テトラフェニルホスホニウムとフェノール化合物との塩などが挙げられる。
封止用樹脂組成物が硬化促進剤を含有する場合、硬化促進剤の含有量は硬化性樹脂成分100質量部に対して0.1質量部〜35質量部であることが好ましく、1質量部〜30質量部であることがより好ましい。
―添加剤―
封止用樹脂組成物は、上述の成分に加えて、ブロッキング防止剤、着色剤等の各種添加剤を含んでもよい。必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を含んでもよい。
―封止用樹脂組成物の調製―
本開示の封止用樹脂組成物は、各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製することができる。一般的な手法として、各種成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、ニーダー、押出機等によって溶融混練を行い、次いで冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。例えば、上述した各種成分を混合及び撹拌し、予め70℃〜140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練を行い、次いで冷却し、粉砕するなどの方法で本開示の封止用樹脂組成物を得ることができる。
〔電子部品装置〕
本開示による電子部品装置は、本開示の封止用樹脂組成物で封止された素子を備える。電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子などの素子を搭載し、本開示の封止用樹脂組成物で封止した電子部品装置などが挙げられる。
電子部品装置としては、例えば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディング、バンプ等で接続した後、本開示の封止用樹脂組成物を用いてトランスファ成形等により封止してなる、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(PlasticLeaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の樹脂封止型IC;テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本開示の封止用エポキシ樹脂組成物で封止したTCP(Tape Carrier Package);配線板、ガラス等の上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本開示の封止用樹脂組成物で封止したCOB(Chip On Board)モジュール;ハイブリッドIC;マルチチップモジュール;裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本開示の封止用樹脂組成物で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などが挙げられる。
また、プリント回路板にも本開示の封止用樹脂組成物は有効に使用できる。
以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明するが、上記実施形態の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
―封止用樹脂組成物の調製―
表1に示す成分を表1に示す量(質量部)にて混合し、封止用樹脂組成物を調製した。具体的には、材料を混合後、装置内部温度が70℃〜100℃に調整された2軸押出機により混練し、冷却後粉砕して封止用樹脂組成物を得た。
各成分の詳細は下記の通りである。
エポキシ樹脂1…多官能型エポキシ樹脂、商品名「NC−3000」、日本化薬株式会社
エポキシ樹脂2…多官能型エポキシ樹脂、商品名「YX−4000」、三菱ケミカル株式会社
硬化剤1…多官能型フェノール樹脂、商品名「MEHC−7851」、明和化成株式会社
硬化剤2…多官能型フェノール樹脂、商品名「MEW―1800」、明和化成株式会社
硬化剤3…商品名「GS−180」、群栄化学工業株式会社
硬化促進剤…商品名「2P4MHZ−PW」、四国化成株式会社
シリコーン…フェニル系フレークシリコーン、メトキシ基含有率18質量%、商品名「FCA―107」、東レダウコーニング株式会社
カップリング剤…3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名「KBM−403」、信越化学工業株式会社
着色剤…カーボン
無機充填材1…平均粒径0.6μmの球状溶融シリカ
無機充填材2…平均粒径20μmの球状溶融シリカ
―硬化物の作製―
調製した封止用樹脂組成物を用いて、下記のようにして硬化物を作製した。成形には上型、中型、及び下型からなる金型を用いた。下型の上に中型を置き、その上に中型を配置した。中型は10mm×60mm×5mm又は3mm×3mm×15mmの大きさに切り抜いてある金型を用い、中型の切り抜いた空間の体積に見合う量の封止用樹脂組成物を配置して上型で挟み、自動油圧加熱プレスを用いて165℃で60秒、5MPaの条件で成形した。得られた成形物を165℃で2時間硬化し、硬化物を得た。
―放水率の評価―
80mm×10mm×0.5mmの大きさの硬化物3つを125℃の炉で2時間乾燥させた。その後85℃/85%RHの恒温恒湿槽に24時間入れ、取り出し後300℃のホットプレートで7秒間加熱した。硬化物の質量変化より下記式を用いて放水率を算出した。
放水率(質量%)={(吸水後の質量−加熱後の質量)/(吸水後の質量−吸水前の質量)}×100
吸水後の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置いた後の硬化物の質量
加熱後の質量:硬化物を300℃、7秒間加熱した後の硬化物の質量
吸水前の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置く前の硬化物の質量
―吸水率の評価―
80mm×10mm×0.5mmの大きさの硬化物3つを125℃の炉で2時間乾燥させた。その後85℃/85%RHの恒温恒湿槽に24時間入れた。硬化物の質量変化より下記式を用いて吸水率を算出した。
吸水率(質量%)={(吸水後の質量−吸水前の質量)/吸水前の質量}×100
吸水後の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置いた後の硬化物の質量
吸水前の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置く前の硬化物の質量
―信頼性の評価―
封止用樹脂組成物で封止されたTEG(Test Element Group)チップを搭載したBGA用パッケージを125℃の炉で2時間乾燥させた。その後85℃/85%RHの恒温恒湿槽に24時間入れ、取り出した後、300℃のホットプレートで加熱した。加熱されたパッケージが剥離等の不良を起こすまでの時間(popcorn time)を測定した。不良の観察は目視で行った。15個のパッケージについて評価を行い、平均値を求めた。その平均値を用いて下記式より比較例1の値に対するpopcorn time伸び率を算出した。
popcorn time 伸び率(%)=
{((実施例のpopcorn time)−(比較例のpopcorn time))/(比較例のpopcorn time)}×100
表1に示すように、エポキシ樹脂、硬化剤、及び無機充填材を含み、硬化物としたときの放水率が30質量%以上である実施例の封止用樹脂組成物を用いて形成したサンプルは、前記条件を満たさない比較例の封止用樹脂組成物を用いて形成したサンプルと比較して、popcorn timeが長く、信頼性に優れていた。

Claims (9)

  1. エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含み、
    硬化物として、85℃/85%RHの条件下に24時間置いた後に300℃、7秒間加熱したときの下記式により求められる放水率が30質量%以上である封止用樹脂組成物。
    放水率(質量%)={(吸水後の質量−加熱後の質量)/(吸水後の質量−吸水前の質量)}×100
    吸水後の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置いた後の硬化物の質量
    加熱後の質量:硬化物を300℃、7秒間加熱した後の硬化物の質量
    吸水前の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置く前の硬化物の質量
  2. 硬化物として、85℃/85%RHの条件下に24時間置いたときの下記式により求められる吸水率が0.250質量%以下である、請求項1に記載の封止用樹脂組成物。
    吸水率(質量%)={(吸水後の質量−吸水前の質量)/吸水前の質量}×100
    吸水後の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置いた後の硬化物の質量
    吸水前の質量:硬化物を85℃/85%RHの条件下に24時間置く前の硬化物の質量
  3. シリコーンをさらに含む請求項1又は請求項2に記載の封止用樹脂組成物。
  4. 前記シリコーンがフェニル基を有する、請求項3に記載の封止用樹脂組成物。
  5. 前記シリコーンがアルコキシ基を含む、請求項3又は請求項4に記載の封止用樹脂組成物。
  6. 前記シリコーンのアルコキシ基含有率が前記シリコーンの全量に対して5質量%〜50質量%である、請求項5に記載の封止用樹脂組成物。
  7. 前記無機充填材の含有率が65体積%〜90体積%である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物。
  9. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置。
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