JP2014176463A - バルーンカテーテル - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、耐酸性および保存安定性に優れ、生体適合性を有するバルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】カテーテル本体と、バルーンを備える前記カテーテル本体とを有するバルーンカテーテルであって、前記バルーンは、シリコーンゴム組成物により形成され、前記シリコーンゴム組成物は、酸化防止剤(A)を含む。前記酸化防止剤(A)は、ヒンダードフェノール化合物が好ましい。前記酸化防止剤(A)は、フェノール性水酸基と、前記フェノール性水酸基に隣接する位置に分枝したアルキル基とを有する化合物が好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】カテーテル本体と、バルーンを備える前記カテーテル本体とを有するバルーンカテーテルであって、前記バルーンは、シリコーンゴム組成物により形成され、前記シリコーンゴム組成物は、酸化防止剤(A)を含む。前記酸化防止剤(A)は、ヒンダードフェノール化合物が好ましい。前記酸化防止剤(A)は、フェノール性水酸基と、前記フェノール性水酸基に隣接する位置に分枝したアルキル基とを有する化合物が好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明はバルーンカテーテルに関する。
バルーンカテーテルは、バルーンを備えるカテーテル本体を有し、前記バルーンは膨張可能なものにすることによって、血液の遮断や目的部位へのバルーンカテーテルの留置のために使用されている。このようなバルーンカテーテルは、バルーンを収縮させた状態で、経皮的あるいは内視鏡的に血管や消化管等に挿入され、必要に応じ空気や生理食塩水などを注入し、バルーンを膨張させることによって使用される。
バルーンカテーテルを体内に留置する場合、バルーンカテーテルのバルーンは生体適合性を有することが好ましい。生体適合性を有するバルーンを有するバルーンカテーテルとして、トリフルオロプロピルまたはフェニル変性ジメチルポリシロキサンエラストマーを用いたシリコーンゴムを有するバルーンカテーテルが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このようなシリコーンゴムは、体内の胃酸などに対する耐酸性や、シリコーンゴムを長期間放置した場合の保存安定性などが十分ではなかった。
本発明の目的は、耐酸性および保存安定性に優れ、生体適合性を有するバルーンカテーテルを提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(12)に記載の本発明により達成される。
(1)バルーンを備えるカテーテル本体を有するバルーンカテーテルであって、
前記バルーンは、酸化防止剤(A)を含むシリコーンゴム組成物により形成されたことを特徴とするバルーンカテーテル。
(2)前記酸化防止剤(A)は、ヒンダードフェノール化合物である(1)に記載のバルーンカテーテル。
(3)前記酸化防止剤(A)は、フェノール性水酸基と、前記フェノール性水酸基に隣接する位置に分枝したアルキル基とを有する化合物である(1)または(2)に記載のバルーンカテーテル。
(4)前記シリコーンゴム組成物は、さらに、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)またはオルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)を少なくとも含む(1)ないし(3)のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
(5)前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)の重量平均分子量は、100,000以上1,000,000以下である(4)に記載のバルーンカテーテル。
(6)前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)は、下記一般式(1)表される化合物である(4)または(5)に記載のバルーンカテーテル。
(式(1)中、mは1以上1000以下の整数、nは3000以上10000以下の整数であり、R1は炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、R2は炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、R3は炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。)
(7)前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)の重量平均分子量は、500以上10,000以下である(4)ないし(6)のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
(8)前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)は、下記一般式(2)表される化合物である(4)ないし(7)のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
(式(2)中、m0以上300以下の整数である。式(2)中、nは0以上300以下の整数である。)R4は炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。R5は炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。ただし、複数のR4およびR5のうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。R6は炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。)
(9)前記シリコーンゴム組成物は、さらに、フィラー(D)を含む(1)ないし(8)のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
(10)前記フィラー(D)は、金属窒化物または金属酸化物を含むものである(9)に記載のバルーンカテーテル。
(11)前記シリコーンゴム組成物は、さらに白金または白金化合物(E)を含有するものである(1)ないし(10)のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
(12)前記カテーテル本体は、前記シリコーンゴム組成物により形成される(1)ないし(11)のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
(1)バルーンを備えるカテーテル本体を有するバルーンカテーテルであって、
前記バルーンは、酸化防止剤(A)を含むシリコーンゴム組成物により形成されたことを特徴とするバルーンカテーテル。
(2)前記酸化防止剤(A)は、ヒンダードフェノール化合物である(1)に記載のバルーンカテーテル。
(3)前記酸化防止剤(A)は、フェノール性水酸基と、前記フェノール性水酸基に隣接する位置に分枝したアルキル基とを有する化合物である(1)または(2)に記載のバルーンカテーテル。
(4)前記シリコーンゴム組成物は、さらに、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)またはオルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)を少なくとも含む(1)ないし(3)のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
(5)前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)の重量平均分子量は、100,000以上1,000,000以下である(4)に記載のバルーンカテーテル。
(6)前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)は、下記一般式(1)表される化合物である(4)または(5)に記載のバルーンカテーテル。
(7)前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)の重量平均分子量は、500以上10,000以下である(4)ないし(6)のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
(8)前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)は、下記一般式(2)表される化合物である(4)ないし(7)のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
(9)前記シリコーンゴム組成物は、さらに、フィラー(D)を含む(1)ないし(8)のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
(10)前記フィラー(D)は、金属窒化物または金属酸化物を含むものである(9)に記載のバルーンカテーテル。
(11)前記シリコーンゴム組成物は、さらに白金または白金化合物(E)を含有するものである(1)ないし(10)のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
(12)前記カテーテル本体は、前記シリコーンゴム組成物により形成される(1)ないし(11)のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
本発明によれば、耐酸性および保存安定性に優れ、生体適合性を有するバルーンカテーテルを得ることができる。
以下、本発明のバルーンカテーテルについて、好適な実施の形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のバルーンカテーテルは、 バルーンを備えるカテーテル本体を有するバルーンカテーテルであって、前記バルーンは、酸化防止剤(A)を含むシリコーンゴム組成物により形成されたものである。
本発明のバルーンカテーテルは、 バルーンを備えるカテーテル本体を有するバルーンカテーテルであって、前記バルーンは、酸化防止剤(A)を含むシリコーンゴム組成物により形成されたものである。
<バルーンカテーテル>
本発明の実施形態に係るバルーンカテーテル1について、図1を用いて説明する。バルーンカテーテル1は、バルーン3を備えるカテーテル本体2を有するものである。
本発明の実施形態に係るバルーンカテーテル1について、図1を用いて説明する。バルーンカテーテル1は、バルーン3を備えるカテーテル本体2を有するものである。
カテーテル本体2は、可撓性を有するチューブである。長尺状の樹脂製チューブである。カテーテル本体2は、内部を基端側から先端側まで貫通するメインルーメン4と、基端側から先端側まで連通するバルーン膨張用ルーメン5を有する。
カテーテル本体2の材料は、可撓性を有するものであれば特に限定されず金属や樹脂が挙げられる。カテーテル本体2の材料は、バルーンカテーテル1の体内への挿入性を向上させる観点から、樹脂が好ましい。カテーテル本体2の材料が樹脂である場合、カテーテル本体2の材料は、例えば、イソプレンゴム、シリコーンゴムのようなエラストマーあるいは軟質塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン系エラストマーのような熱可塑性樹脂などが挙げられる。バルーンカテーテル1の生体適合性を向上させる観点から、カテーテル本体2の材料は、シリコーンゴムを用いることが好ましい。バルーンカテーテル1の生体適合性を向上させ、さらに組立性を向上させる観点から、カテーテル本体2の材料は、後述するシリコーンゴムを用いることがさらに好ましい。
バルーン3は、後述するシリコーンゴムにより形成されるものである。バルーン3の厚さは、バルーン3を膨張させない場合、50μm以上2000μm以下が好ましく、100μm以上1500μm以下がさらに好ましい。バルーン3の厚さが前記範囲の場合、バルーンカテーテル1は、強度と体内への挿入性のバランスに優れたものとすることができる。バルーン3の厚さが前記範囲を下回る場合、バルーン3の膨張を制御することが難しくなるおそれがある。バルーン3の厚さの厚さが前記範囲を超える場合、バルーン3を膨張させる際に高い圧力をかける必要があり、バルーン3を膨張させるまでに時間がかかる場合がある
<シリコーンゴム組成物>
シリコーンゴム組成物について説明する。
シリコーンゴム組成物について説明する。
本発明のシリコーンゴム組成物は、主たる樹脂として、シリコーンゴムを含むものである。前記シリコーンゴムは、特に限定されず、シロキサン結合を有する化合物であれば種々の側鎖を有する化合物を用いることができる。前記シリコーンゴムは、シロキサン結合を有する化合物の側鎖の違いにより、過酸化物反応型シリコーンゴム、縮合反応型シリコーンゴム、付加反応型シリコーンゴムなどが挙げられる。前記バルーンカテーテル1の体内への挿入性と強度を向上させ、架橋時に低分子副生成物の生成を低減させることによって生体適合性を向上させる観点から、前記シリコーンゴムは、付加型シリコーンゴムが好ましい。
前記シリコーンゴム組成物は、酸化防止剤(A)を含むものである。
酸化防止剤(A)は、ラジカルを捕捉することによって、前記シリコーンゴム組成物に保存安定性を付与させることができる。前記酸化防止剤(A)は、ラジカルを捕捉することができる化合物であれば特に限定されず、還元性を有する化合物が挙げられる。
前記酸化防止剤(A)は、前記シリコーンゴム組成物の保存安定性をさらに向上させる観点から、ヒンダードフェノール化合物であることが好ましい。前記ヒンダードフェノール化合物は、フェノール性水酸基のオルト位に有機基を有する化合物が挙げられる。
前記酸化防止剤(A)は、前記シリコーンゴム組成物の耐酸性および保存安定性を向上させる観点から、フェノール性水酸基と、前記フェノール性水酸基に隣接する位置に分枝したアルキル基とを有する化合物が好ましい。前記酸化防止剤(A)がフェノール性水酸基と、前記フェノール性水酸基に隣接する位置に分枝したアルキル基とを有する化合物である場合、前記酸化防止剤(A)は、例えば、エチレレビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]などが挙げられる。
これらの前記酸化防止剤(A)の中でも、バルーンカテーテル1の耐酸性、保存安定性および酵素に対する耐性を向上させて、バルーンカテーテル1の留置時間を長くさせる観点から、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−Tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を好ましく用いることができる。
これらの前記酸化防止剤(A)の中でも、バルーンカテーテル1の耐酸性、保存安定性および酵素に対する耐性を向上させて、バルーンカテーテル1の留置時間を長くさせる観点から、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−Tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を好ましく用いることができる。
前記酸化防止剤(A)の添加量は、バルーンカテーテル1の耐酸性および保存安定性を向上させる観点から、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)100重量部に対して、0.1重量部以上5重量部以下が好ましく、0.3重量部以上2重量部以下がさらに好ましい。これにより、バルーンカテーテル1に胃酸や酵素への更なる耐性を付与することができる。
前記シリコーンゴム組成物は、バルーンカテーテル1の体内への挿入性と強度を向上させる観点から、さらに、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)またはオルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)を少なくとも含むことが好ましい。
前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)の重量平均分子量は、50,000以上5,000,000以下が好ましく、100,000以上1,000,000以下が好ましい。前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)の重量平均分子量が前記範囲の場合、前記シリコーンゴム組成物の強度をさらに向上させることができ、バルーンカテーテル1を体内に挿入する際に破損をすることを抑制することができる。前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)の重量平均分子量が前記下限値未満の場合、前記シリコーンゴム組成物が柔軟になるため、バルーンカテーテル1を成形する際の自立性が損なわれ、バルーンカテーテル1の成形時の作業性が難しくなるおそれがある。前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)の重量平均分子量が前記上限値を超える場合、前記シリコーンゴム組成物が硬くなるため、バルーンカテーテル1を膨張させる際の圧力が高くなり、バルーンカテーテル1を十分に膨張させるまで時間が長くなるおそれがある。
前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCとも記載する。)によって測定することができる。前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)の重量平均分子量は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)を溶解することができる溶媒に溶解させ、ゲル浸透クロマトグラフィー装置で測定することで得ることができる。
前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)は、バルーンカテーテル1の生体適合性を向上させる観点から、下記一般式(1)表される化合物を含むものであることが好ましい。
(式(1)中、mは1以上1000以下の整数、nは3000以上10000以下の整数であり、R1は炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、R2は炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、R3は炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。)
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)の重量平均分子量は、300以上50,000以下が好ましく、500以上10,000以下がさらに好ましい。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)の重量平均分子量が前記範囲の場合、前記シリコーンゴム組成物の強度をさらに向上させることができ、バルーンカテーテル1を体内に挿入する際に破損をすることを抑制することができる。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)の重量平均分子量が前記下限値未満の場合、前記シリコーンゴム組成物が硬くなるため、バルーンカテーテル1を膨張させる際の圧力が高くなり、バルーンカテーテル1を十分に膨張させるまで時間が長くなるおそれがある。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)の重量平均分子量が前記上限値を超える場合、前記シリコーンゴム組成物が柔軟になるため、バルーンカテーテル1を成形する際の自立性が損なわれ、バルーンカテーテル1の成形時の作業性が難しくなるおそれがある。
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCとも記載する。)によって測定することができる。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)の重量平均分子量は、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)を溶解することができる溶媒に溶解させ、ゲル浸透クロマトグラフィー装置で測定することで得ることができる。
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)は、バルーンカテーテル1の強度を向上させる観点から、下記一般式(3)表される化合物を含むものであることが好ましい。
(式(2)中、mは0以上300以下の整数である。式(2)中、nは0以上300以下の整数である。)R4は炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。R5は炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。ただし、複数のR4およびR5のうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。R6は炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。)
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)の添加量は、前記シリコーンゴム組成物の強度を向上させる観点から、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)100重量部に対して、0.05重量部以上60重量部以下が好ましく、0.1重量部以上50重量部以下がさらに好ましい。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)の添加量が前記範囲の場合、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)と前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)との架橋密度を比較的低くすることができるため、強度と柔軟性とのバランスに優れたバルーンカテーテル1を得ることができる。
前記シリコーンゴム組成物は、バルーンカテーテル1の強度を向上させる観点から、さらに、フィラー(D)を含むことが好ましい。前記フィラー(D)は、特に限定されず、例えば、有機物のフィラー、無機物のフィラー、有機物と無機物との混合物のフィラーなどが挙げられる。
前記有機物のフィラーは、例えば、アクリル樹脂フィラー、ポリウレタンフィラーなどが挙げられる。前記無機物のフィラーは、例えば、グラファイトフィラー、フラーレン類のフィラー、金属フィラー、金属窒化物のフィラー、金属酸化物のフィラーなどが挙げられる。前記有機物と無機物の混合物のフィラーは、有機物と無機物とを混合や反応させて得られたフィラーなどが挙げられる。
前記有機物のフィラーは、例えば、アクリル樹脂フィラー、ポリウレタンフィラーなどが挙げられる。前記無機物のフィラーは、例えば、グラファイトフィラー、フラーレン類のフィラー、金属フィラー、金属窒化物のフィラー、金属酸化物のフィラーなどが挙げられる。前記有機物と無機物の混合物のフィラーは、有機物と無機物とを混合や反応させて得られたフィラーなどが挙げられる。
前記フィラー(D)は、バルーンカテーテル1の強度および生体適合性を向上させる観点から、金属窒化物または金属酸化物を含むものあることが好ましい。
前記フィラー(D)が金属窒化物である場合、前記フィラー(D)は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化チタンなどが挙げられる。これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記フィラー(D)が金属酸化物である場合、前記フィラー(D)は、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化ホウ素、酸化チタンなどが挙げられる。これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記フィラー(D)は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)と、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)との密着性を高め、前記シリコーンゴム組成物およびバルーンカテーテル1の強度を向上させる観点から、酸化ケイ素および酸化アルミが好ましく、酸化ケイ素がさらに好ましい。
前記フィラー(D)が金属窒化物である場合、前記フィラー(D)は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化チタンなどが挙げられる。これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記フィラー(D)が金属酸化物である場合、前記フィラー(D)は、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化ホウ素、酸化チタンなどが挙げられる。これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記フィラー(D)は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)と、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)との密着性を高め、前記シリコーンゴム組成物およびバルーンカテーテル1の強度を向上させる観点から、酸化ケイ素および酸化アルミが好ましく、酸化ケイ素がさらに好ましい。
前記フィラー(D)の比表面積は、50m2/g以上400m2/g以下が好ましく、100m2/g以上400m2/g以下がさらに好ましい。前記フィラー(D)の比表面積が前記範囲である場合、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)と、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)との密着性が向上し、前記シリコーンゴム組成物およびバルーンカテーテル1の強度を顕著に向上させることができる。
前記フィラー(D)の比表面積は、前記フィラー(D)の表面に吸着占有面積が判明しているガス分子を吸着させ、吸着したガス分子の量を測定する方法(BET法)によって得ることができる。
前記フィラー(D)の平均粒子径は、1nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上20nm以下がさらに好ましい。前記フィラー(D)の平均粒子径が前記範囲の場合、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)と、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)との密着性が向上し、前記シリコーンゴム組成物およびバルーンカテーテル1の強度を顕著に向上させることができる。
前記フィラー(D)の平均粒子径は、SEM電子顕微鏡観察によって得ることができる。
前記フィラー(D)が酸化ケイ素である場合、前記フィラー(D)の種類は、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカなどが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記フィラー(D)は、前記フィラー(D)の表面を疎水化処理させたものを使用することができる。前記表面を疎水化処理する方法は、例えば、前記フィラー(D)をシランカップリング剤によって処理する方法などが挙げられる。前記シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ジビニルテトラメチルジシラザンなどが挙げられる。前記フィラー(D)の表面を疎水化処理させた場合、前記シリコーンゴム組成物において、前記フィラー(D)の凝集力を低下させ、前記フィラー(D)の分散性を向上させることで、バルーンカテーテル1の強度を向上させることができる。
前記フィラー(D)の添加量は、バルーンカテーテル1の強度および生体適合性を向上させる観点から、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)100重量部に対して、10重量部以上100重量部以下が好ましく、15重量部以上35重量部以下がさらに好ましい。
前記フィラー(D)の形状は、特に限定されないが、バルーンカテーテル1の強度を向上させる観点から、粒子状、平板状、多角形状、塊状などが挙げられる。これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記シリコーンゴム組成物は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)と、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)との架橋を促進させる観点から、さらに白金または白金化合物(E)を含有することが好ましい。
前記シリコーンゴム組成物が前記白金または白金化合物(E)を含有する場合、前記白金または白金化合物(E)は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)と、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)との架橋を促進させるものであれば種々の化合物が挙げられる。前記白金または白金化合物(E)は、例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラックなどに担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンとの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩などが挙げられる。これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記シリコーンゴム組成物が前記白金または白金化合物(E)を含有する場合、前記シリコーンゴム組成物は、架橋速度調整剤を添加することができる。前記架橋速度調整剤は、例えば、1−エチニル−1−シクロヘキサノールなどが挙げられる。
前記白金または白金化合物(E)の添加量は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)と、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)との架橋を制御し、バルーンカテーテル1の強度の均一性を優れたものとする観点から、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)100重量部に対して、0.5ppm以上2000ppm以下が好ましく、1ppm以上500ppm以下がさらに好ましい。
前記シリコーンゴム組成物は、さらに、湿潤剤(ウェッター)、水、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、耐紫外線防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤などを含有させることができる。
前記シリコーンゴム組成物は、可塑化戻りを低減し成形加工性を向上させる観点および前記フィラー(D)と前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)との密着性を高めてバルーンカテーテル1の強度を向上させる観点から、シラノールのような湿潤剤(ウェッター)を含有させることができる。
次に、前記シリコーンゴム組成物の製造方法について説明する。
前記シリコーンゴム組成物は、前記酸化防止剤(A)と、上述した各成分を、任意の混練装置により、任意の順番で混合することによって、前記シリコーンゴム組成物を得ることができる。
前記シリコーンゴム組成物の製造方法の一例としては、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)とフィラー(D)とを混合させる。次に、前記酸化防止剤(A)を添加し、さらに混合させる。次に、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)、前記白金または白金化合物(E)を任意の順番で混合することによって、前記シリコーンゴム組成物を得ることができる。
前記シリコーンゴム組成物は、前記酸化防止剤(A)と、上述した各成分を、任意の混練装置により、任意の順番で混合することによって、前記シリコーンゴム組成物を得ることができる。
前記シリコーンゴム組成物の製造方法の一例としては、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)とフィラー(D)とを混合させる。次に、前記酸化防止剤(A)を添加し、さらに混合させる。次に、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)、前記白金または白金化合物(E)を任意の順番で混合することによって、前記シリコーンゴム組成物を得ることができる。
バルーンカテーテル1は、得られた前記シリコーンゴム組成物を、成形および硬化させることによって得ることができる。
得られたシリコーンゴム組成物の成形する方法は、公知の方法を用いることができるが、例えば、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形が好ましく用いることができる。特にトランスファー成形が好ましく、例えば、140以上180℃以下の温度で5分以上15分以下の間加熱(1次硬化)した後、170℃以上220℃以下の温度で2時間以上4時間以下の間ポストベーク(2次硬化)するといった成形条件が挙げられる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
<ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)の合成>
冷却管および攪拌翼を備える300mLセパラブルフラスコをArガス置換した後に、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)と、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン0.086g(0.25mmol)と、カリウムシリコネート0.1gとを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。
次に、155℃まで昇温し、155℃で3時間攪拌した。
次に、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を添加し、155℃で4時間攪拌した。
次に、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで3回洗浄することで、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)を得た。
<ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)の合成>
冷却管および攪拌翼を備える300mLセパラブルフラスコをArガス置換した後に、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)と、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン0.086g(0.25mmol)と、カリウムシリコネート0.1gとを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。
次に、155℃まで昇温し、155℃で3時間攪拌した。
次に、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を添加し、155℃で4時間攪拌した。
次に、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで3回洗浄することで、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)を得た。
前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)の重量平均分子量は、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)をクロロホルムに溶解させ、溶液をメンブランフィルターにて濾過したものを測定試料として、ポリスチレン換算のゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した。前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)の重量平均分子量は、574,000であった。
前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)のビニル基含有量は、1H−NMRで測定した。前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)のビニル基含有量は、0.13モル%であった。
<オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)>
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)は、ヒドリド基を有するメチルポリシロキサンを用いた。
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)は、ヒドリド基を有するメチルポリシロキサンを用いた。
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)の重量平均分子量は、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)をクロロホルムに溶解させ、溶液をメンブランフィルターにて濾過したものを測定試料として、ポリスチレン換算のゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)の重量平均分子量は、7,700であった。
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)のヒドリド基の含有量は、1H−NMRによって測定した。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)のヒドリド基の含有量は、22.24モル%であった。
<シリコーンゴム組成物>
前記シリコーンゴム組成物は、得られた前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)100重量部に、フィラー(D)としてシリカ(酸化ケイ素)30重量部を添加して混合し、次に酸化防止剤(A)としてペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]を1重量部加えて、ニーダーで混練することで予備組成物を得た。
次に、得られた予備組成物に、得られた前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)1重量部と、白金または白金化合物(E)としてジビニルテトラメチルシロキサンプラチナ錯体0.05重量部とを加えた後、ロールで混練することによって、前記シリコーンゴム組成物を得た。
前記シリコーンゴム組成物は、得られた前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)100重量部に、フィラー(D)としてシリカ(酸化ケイ素)30重量部を添加して混合し、次に酸化防止剤(A)としてペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]を1重量部加えて、ニーダーで混練することで予備組成物を得た。
次に、得られた予備組成物に、得られた前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)1重量部と、白金または白金化合物(E)としてジビニルテトラメチルシロキサンプラチナ錯体0.05重量部とを加えた後、ロールで混練することによって、前記シリコーンゴム組成物を得た。
<フィラー(D)の比表面積>
前記フィラー(D)の比表面積は、前記フィラー(D)の表面に吸着占有面積が判明しているガス分子を吸着させ、吸着したガス分子の量を測定する方法(BET法)によって測定した。前記フィラー(D)の比表面積は、200m2/gであった。
前記フィラー(D)の比表面積は、前記フィラー(D)の表面に吸着占有面積が判明しているガス分子を吸着させ、吸着したガス分子の量を測定する方法(BET法)によって測定した。前記フィラー(D)の比表面積は、200m2/gであった。
<フィラー(D)の平均粒子径>
前記フィラー(D)の平均粒子径は、SEM電子顕微鏡観察によって測定した。前記フィラー(D)の平均粒子径は、12nmであった。
前記フィラー(D)の平均粒子径は、SEM電子顕微鏡観察によって測定した。前記フィラー(D)の平均粒子径は、12nmであった。
<バルーンカテーテル>
得られた前記シリコーンゴム組成物を、圧縮成形機を用いて、10MPaの圧力下で170℃×5分で処理し内径6.0mm×厚み約0.6mm×長さ30mmの1次硬化物を作製した。次に、得られた1次硬化物を成形型に入れて200℃で4時間処理することによってバルーンを得た。
シリコーンゴム(製品名Tufel II 94706、Momentive Performance Materials LLC社製、硬度70)を用いて、押出成形機にてメインルーメンおよびバルーン膨張用ルーメンを有する外径が6mmのカテーテル本体を成形し、240℃で一次加硫後にライン速度は3.5m/minで処理し、次に2次加硫として200℃のオーブンで4時間処理し、カテーテル本体を得た。得られたカテーテル本体と、前記で得られたバルーンとを組み立て、バルーンカテーテルを得た。
得られた前記シリコーンゴム組成物を、圧縮成形機を用いて、10MPaの圧力下で170℃×5分で処理し内径6.0mm×厚み約0.6mm×長さ30mmの1次硬化物を作製した。次に、得られた1次硬化物を成形型に入れて200℃で4時間処理することによってバルーンを得た。
シリコーンゴム(製品名Tufel II 94706、Momentive Performance Materials LLC社製、硬度70)を用いて、押出成形機にてメインルーメンおよびバルーン膨張用ルーメンを有する外径が6mmのカテーテル本体を成形し、240℃で一次加硫後にライン速度は3.5m/minで処理し、次に2次加硫として200℃のオーブンで4時間処理し、カテーテル本体を得た。得られたカテーテル本体と、前記で得られたバルーンとを組み立て、バルーンカテーテルを得た。
<バルーンカテーテルの耐酸性の評価>
得られたバルーンカテーテルを医療用滅菌袋に入れ、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌し、次いで残留しているエチレンオキサイドガス(EOG)を除去(蒸散処理)した。得られたバルーンカテーテルのバルーン部分を、37℃、pH1.0の水溶液に60日浸漬した。評価は、以下の基準によって実施した。
耐酸性(評価A:60日浸漬)
○ : 60日間バルーンの破裂は認められなかった。
△ : バルーンの表面異常が認められた。
× : バルーンの破裂が認められた。
耐酸性(評価B:90日浸漬)
上記60日浸漬評価が○のものは、さらに30日間の浸漬試験を延長(計90日浸漬)し、同様の評価を実施した。評価は、以下の基準によって実施した。
○ : 90日間バルーンの破裂は認められなかった。
△ : バルーンに表面異常が認められた。
× : バルーンの破裂が認められた。
得られたバルーンカテーテルを医療用滅菌袋に入れ、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌し、次いで残留しているエチレンオキサイドガス(EOG)を除去(蒸散処理)した。得られたバルーンカテーテルのバルーン部分を、37℃、pH1.0の水溶液に60日浸漬した。評価は、以下の基準によって実施した。
耐酸性(評価A:60日浸漬)
○ : 60日間バルーンの破裂は認められなかった。
△ : バルーンの表面異常が認められた。
× : バルーンの破裂が認められた。
耐酸性(評価B:90日浸漬)
上記60日浸漬評価が○のものは、さらに30日間の浸漬試験を延長(計90日浸漬)し、同様の評価を実施した。評価は、以下の基準によって実施した。
○ : 90日間バルーンの破裂は認められなかった。
△ : バルーンに表面異常が認められた。
× : バルーンの破裂が認められた。
<バルーンカテーテルの保存安定性の評価>
得られたバルーンカテーテルを、医療用滅菌袋に入れ、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌し、次いで残留しているエチレンオキサイドガス(EOG)を除去した後に、60℃雰囲気下で7週間熱処理した。得られたバルーンカテーテルに、推奨注入量:10mlの純水を注入して、純水の漏れの有無を観察した。さらに、10mlの純水を注入し、60分放置したあと、注入した純水を抜いたところ、速やかに元の形状に戻った。評価は、以下の基準によって実施した。
○ : 純水漏れが無く、元の形状に戻った。
× : 純水漏れが有り、元の形状に戻らなかった。
得られたバルーンカテーテルを、医療用滅菌袋に入れ、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌し、次いで残留しているエチレンオキサイドガス(EOG)を除去した後に、60℃雰囲気下で7週間熱処理した。得られたバルーンカテーテルに、推奨注入量:10mlの純水を注入して、純水の漏れの有無を観察した。さらに、10mlの純水を注入し、60分放置したあと、注入した純水を抜いたところ、速やかに元の形状に戻った。評価は、以下の基準によって実施した。
○ : 純水漏れが無く、元の形状に戻った。
× : 純水漏れが有り、元の形状に戻らなかった。
<バルーンカテーテルの生体適合性の評価>
得られたバルーンカテーテルを医療用滅菌袋に入れ、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌し、次いで蒸散処理した。滅菌処理したバルーンカテーテルのバルーン部分を検体にし、ISO10993−5の方法に従い、37℃で24時間抽出して抽出原液(100%)を調製し、細胞毒性試験(コロニー形成阻害試験)を実施した。評価は、以下の基準によって実施した。
○ : 陰性対象と同程度にコロニー形成阻害は発現していなかった。
× : 陰性対象に比べ、コロニー形成阻害は発現していた。
得られたバルーンカテーテルを医療用滅菌袋に入れ、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌し、次いで蒸散処理した。滅菌処理したバルーンカテーテルのバルーン部分を検体にし、ISO10993−5の方法に従い、37℃で24時間抽出して抽出原液(100%)を調製し、細胞毒性試験(コロニー形成阻害試験)を実施した。評価は、以下の基準によって実施した。
○ : 陰性対象と同程度にコロニー形成阻害は発現していなかった。
× : 陰性対象に比べ、コロニー形成阻害は発現していた。
(実施例2)
酸化防止剤(A)として、トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネートに変更した以外は、実施例1と同様にした。結果は表1に示した。
酸化防止剤(A)として、トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネートに変更した以外は、実施例1と同様にした。結果は表1に示した。
(実施例3)
酸化防止剤(A)として、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンに変更した以外は、実施例1と同様にした。結果は表1に示した。
酸化防止剤(A)として、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンに変更した以外は、実施例1と同様にした。結果は表1に示した。
(比較例1)
酸化防止剤(A)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にした。結果は表1に示した。
酸化防止剤(A)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にした。結果は表1に示した。
表1から明らかなように、各実施例で得られたバルーンカテーテルは、耐酸性および保存安定性に優れ、生体適合性を有するものであった。酸化防止剤がヒンダードフェノール化合物である場合、各実施例で得られたバルーンカテーテルは、特に耐酸性に優れることが確認された。
比較例1で得られたバルーンカテーテルは、耐酸性に劣るものであった。
比較例1で得られたバルーンカテーテルは、耐酸性に劣るものであった。
1 バルーンカテーテル
2 カテーテル本体
3 バルーン
4 メインルーメン
5 バルーン膨張用ルーメン
2 カテーテル本体
3 バルーン
4 メインルーメン
5 バルーン膨張用ルーメン
Claims (12)
- バルーンを備えるカテーテル本体を有するバルーンカテーテルであって、
前記バルーンは、酸化防止剤(A)を含むシリコーンゴム組成物により形成されたことを特徴とするバルーンカテーテル。 - 前記酸化防止剤(A)は、ヒンダードフェノール化合物である請求項1に記載のバルーンカテーテル。
- 前記酸化防止剤(A)は、フェノール性水酸基と、前記フェノール性水酸基に隣接する位置に分枝したアルキル基とを有する化合物である請求項1または2に記載のバルーンカテーテル。
- 前記シリコーンゴム組成物は、さらに、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)またはオルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)を少なくとも含む請求項1ないし3のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
- 前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)の重量平均分子量は、100,000以上1,000,000以下である請求項4に記載のバルーンカテーテル。
- 前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(B)は、下記一般式(1)表される化合物である請求項4または5に記載のバルーンカテーテル。
- 前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)の重量平均分子量は、500以上10,000以下である請求項4ないし6のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
- 前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)は、下記一般式(2)表される化合物である請求項4ないし7のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
- 前記シリコーンゴム組成物は、さらに、フィラー(D)を含む請求項1ないし8のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
- 前記フィラー(D)は、金属窒化物または金属酸化物を含むものである請求項9に記載のバルーンカテーテル。
- 前記シリコーンゴム組成物は、さらに白金または白金化合物(E)を含有するものである請求項1ないし10のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
- 前記カテーテル本体は、前記シリコーンゴム組成物により形成される請求項1ないし11のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
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