以下、本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図10を参照して説明する。
図1において、硬貨処理装置11として、硬貨を入金および出金する硬貨入出金機を示す。この硬貨処理装置11は、機体12を有し、この機体12の上部前側(図1左側)には、硬貨を入金する入金口および硬貨を出金する出金口として機能する取引口13が形成されている。この取引口13には、図示しないシャッタが開閉可能に配置されている。
取引口13の下側には、硬貨を受け入れて貯留する受皿14が形成されている。この受皿14には、機体12外から取引口13に投入される入金硬貨などの硬貨を受け入れたり、機体12内から取引口13に払い出される出金硬貨や返却硬貨などの硬貨を受け入れる。この受皿14は、底面の一部が開閉可能で、その開放により硬貨を下方へ放出可能としている。
また、機体12内の上部側には、鉛直方向に対して上部が背面側に傾斜する(機体12の前面から見て鉛直方向に対して上部が左側に傾斜する)ベース16が配置され、このベース16の上方に向く表面側に、硬貨を1枚ずつ分離した状態で搬送する搬送部17が配設されている。この搬送部17は、硬貨が移動する搬送路18、およびこの搬送路18に沿って移動するように複数のプーリ19によって張設された搬送体としての搬送ベルト20を備えている。
搬送ベルト20は、搬送路18との間に硬貨を受け入れ可能とする間隔をあけた状態に複数のプーリ19によって張設され、搬送路18に対向する面にはベルト長手方向に沿って所定間隔毎に突起21が突設されている。そして、搬送路18と搬送ベルト20との間でかつベルト長手方向に隣り合う突起21間に硬貨を1枚ずつ受け入れて搬送するように構成されている。
搬送部17には、機体12の前後方向に設けられる第1の搬送部17a、この第1の搬送部17aの上方位置で前後方向に設けられる第2の搬送部17b、およびこれら第1の搬送部17aと第2の搬送部17bとの後端間を接続する第3の搬送部17cが設けられている。第2の搬送部17bの前端は、取引口13に接続され、第2の搬送部17bの前端に搬送した硬貨を受皿14に放出可能とする。以下、第2の搬送部17bから第3の搬送部17cおよび第1の搬送部17aへ向けて硬貨を搬送する方向を収納搬送方向F1と呼び、逆に、第1の搬送部17aから第3の搬送部17cおよび第2の搬送部17bへ向けて硬貨を搬送する方向を繰出搬送方向F2と呼ぶ。
搬送路18の第1の搬送部17aの前端に繰出部23が接続され、第1の搬送部17aの繰出部23より後側および第2の搬送部17bに複数の金種別収納投出部としての金種別スタッカ24が接続され、第2の搬送部17bの金種別スタッカ24より前側に一時保留部25が接続されている。これら繰出部23、金種別スタッカ24および一時保留部25は、基本的に同じ構成であり、硬貨を収納する収納部26である。
搬送路18には、繰出部23、金種別スタッカ24および一時保留部25の各接続位置に対応して、これら繰出部23、金種別スタッカ24および一時保留部25と搬送路18との間で出し入れする硬貨をガイドするか搬送路18内を搬送する硬貨を搬送方向下流側へ通過させるかに応じて選択的に切り換わるガイド機構27が配設されている。なお、第2の搬送部17bに配置される金種別スタッカ24に対応したガイド機構27と他のガイド機構27とは、硬貨の搬送方向の違いに応じて向きに違いがあるだけで、基本構成は同一である。
図2には、第1の搬送部17aに配置される金種別スタッカ24およびガイド機構27を示す。
まず、ガイド機構27は、搬送路18に対して進退移動可能とするガイド部材30を備え、このガイド部材30には、搬送路18の下側位置に接続された金種別スタッカ24の収納投出口24aに対して硬貨を案内するガイド部31、および収納投出口24aを閉鎖して硬貨を搬送方向下流側へ案内する閉鎖部32が設けられている。このガイド部材30は、ソレノイドなどの駆動で搬送路18上に出没し、硬貨を搬送路18から金種別スタッカ24へ振り分けるとき、および硬貨を金種別スタッカ24から搬送路18へ投出するときに、ガイド部31が搬送路18の通路面より突出するとともに閉鎖部32が収納投出口24aを開放する硬貨収納投出位置に移動し、また、硬貨を搬送路18から金種別スタッカ24へ振り分けない、および硬貨を金種別スタッカ24から搬送路18へ投出しないときには、ガイド部31が搬送路18の通路面に埋没するとともに閉鎖部32が収納投出口24aを閉鎖する硬貨通過位置に移動する。
続いて、金種別スタッカ24は、ベース16の正面側に平行となるように鉛直方向に対して上部が背面側に傾斜する傾斜姿勢で回転する攪拌手段34である回転体としての回転円盤35、この回転円盤35の正面側との間に硬貨を収納する収納領域36を形成するカバー37、回転円盤35の正面側上部域に対向配置されて回転円盤35から搬送路18へ投出する硬貨をガイドする搬送ガイド38、この搬送ガイド38によって回転円盤35の上部域から搬送路18へ投出する硬貨が通る案内通路39、およびこの案内通路39と搬送路18とにまたがって配置される受渡円盤40などを備えている。
回転円盤35は、背面側に突出する回転軸42を中心として回転可能とし、正面の周辺域には、直径方向の寸法を硬貨1枚の直径寸法より大きいとともに硬貨2枚分の直径寸法より小さい寸法として硬貨の硬貨面が接合可能とする硬貨接合面43が形成されている。この硬貨接合面43には、硬貨接合面43に硬貨面が接合する硬貨を1枚のみ拾い上げる拾上げ突部44が、径方向に複数個ずつで、円周方向に硬貨径より大きい所定の間隔毎に配置されている。さらに、回転円盤35の正面には、硬貨接合面43の内周側に、拾上げ突部44との間で硬貨接合面43に硬貨面が接合する硬貨を1枚のみ支持する硬貨支持部45が突設されている。そして、回転円盤35が投出回転方向(図2反時計回り方向)へ回転することにより、拾上げ突部44が硬貨支持部45との間に硬貨を1枚ずつ保持して回転円盤35の上部域に拾い上げ、回転円盤35の上部域に配置されている搬送ガイド38に受け渡すとともに受渡円盤40に受け渡して投出するように構成されている。
回転円盤35の硬貨接合面43には、各拾上げ突部44の位置に対応して、図示しない残留検知センサで収納領域36内の硬貨の残留を検知するための複数の残留検知センサ用孔部46が形成されている。さらに、回転円盤35の硬貨接合面43には、図示しない定位置検知センサで回転円盤35の回転方向の定位置を検知するための定位置検知センサ用孔部47が形成されている。
また、搬送ガイド38は、回転円盤35の硬貨接合面43との間に硬貨が入り込まない間隙をあけて対向した状態に配置され、その回転円盤35の硬貨接合面43に対向する面には拾上げ突部44が通過する溝部48が形成されている。
また、案内通路39は、通路面が回転円盤35の正面および搬送路18の通路面と面一に形成され、回転円盤35の上部域と搬送路18に開口する収納投出口24aとの間を接続している。この案内通路39には、ガイド部材30と一体に移動可能として案内通路39の通路面から出没する規制部50が配設されている。この規制部50は、ガイド部材30の閉鎖部32が開放状態のときには案内通路39の通路面に埋没して硬貨の通過を許容し、閉鎖部32が閉鎖位置に移動したときには案内通路39の通路面から突出して案内通路39内に進入する硬貨を収納領域36内に落下させるように構成されている。
また、受渡円盤40は、案内通路39と搬送路18とにまたがった位置に、受渡円盤40の正面が回転円盤35の正面および搬送路18の通路面と面一となるように回転可能に配置されている。受渡円盤40の外周縁部には、硬貨に当接して回転円盤35側から搬送路18へ投出する投出突部52が突設されている。受渡円盤40は、回転円盤35と連動して回転駆動され、回転円盤35が投出回転方向(図2反時計回り方向)に回転するときに、この受渡円盤40も投出回転方向に(図2時計回り方向)に回転し、回転円盤35の拾上げ突部44で1枚ずつ拾い上げられて案内通路39に送り込まれる硬貨に投出突部52が当接して搬送路18へ投出するように構成されている。
なお、図1に示すように、第1の搬送部17aの金種別スタッカ24と第2の搬送部17bの金種別スタッカ24とは、第1の搬送部17aと第2の搬送部17bとで硬貨の搬送方向の向きが逆になるのに対応して向きに違いがでるだけで、基本構成は同一に形成されている。
また、図1に示すように、第2の搬送部17bの金種別スタッカ24と一時保留部25との間に、搬送する硬貨の少なくとも金種、真偽、正損などを識別する識別部54が配設されている。
繰出部23は受皿14の下方に位置し、受皿14と繰出部23との間に受皿14から放出される硬貨を繰出部23に導くシュート56が設けられている。繰出部23では、入金硬貨と一緒に投入された異物を排出し、機体12の前面に設けられた返却口57へ返却可能とする。
また、機体12内の下部には、金種別スタッカ24に収納しきれないオーバーフロー硬貨を収納するオーバーフロースタッカ60が配置されているとともに、補充硬貨や回収硬貨を収納する硬貨カセット61が配置されている。オーバーフロースタッカ60と硬貨カセット61との間には、これらオーバーフロースタッカ60および硬貨カセット61から繰り出される硬貨を上方の一時保留部25に搬送する搬送機構62が配置されている。そして、オーバーフロースタッカ60および硬貨カセット61は、硬貨を収納する収納部26である。
オーバーフロースタッカ60には、硬貨を収納する収納領域60aの底部に硬貨を搬送機構62に繰り出す攪拌手段34である回転体としてのベルト63が配設されているとともに、収納領域60aの上部側に受皿14内の取り忘れ硬貨を収納する回収カセット64が着脱可能に配設されている。硬貨カセット61には、硬貨を収納する収納領域61aの底部に硬貨を搬送機構62に繰り出す攪拌手段34である回転体としてのベルト65が配設されているとともに、収納領域61aの上部側に補充リジェクト硬貨および運用リジェクト硬貨をそれぞれ区分けして収納する補充リジェクトボックス66aおよび運用リジェクトボックス66bが一体に配設されている。
第1の搬送部17aには、オーバーフロー硬貨をオーバーフロースタッカ60に分岐する分岐部67、取り忘れ硬貨を回収カセット64に分岐する分岐部68、リジェクト硬貨をリジェクトボックス66a,66bへ向けて分岐する分岐部69、および回収硬貨を硬貨カセット61に分岐する分岐部70が設けられている。なお、分岐部69で分岐されたリジェクト硬貨は、補充リジェクト硬貨か運用リジェクト硬貨かに応じてリジェクトボックス66a,66bまでの通路が切り換えられて対応するリジェクトボックス66a,66bに収納される。
また、図3に、搬送部17の出口(第2の搬送部17bの前端部)73を示す。硬貨詰まりの発生などによる保守時に、機体12を開放して搬送部17を露出させ、搬送ベルト20を手動で回転させて搬送部17内に残る硬貨(図3および図4に符号Cで示す)を搬送部17の出口73から取り出す際に、出口73から放出される硬貨を受け入れるための硬貨受74が用いられる。硬貨受74は、設置スペースの関係で硬貨受74の大きさや設置場所に制約があり、出口73にあまり近付けることができない。そのため、手動で搬送ベルト20を速く回転させた場合には放出速度の速い硬貨が出口73から遠くへ放出されて硬貨受74に受け入れられるが、搬送ベルト20の回転が遅い場合には放出速度の遅い硬貨が出口73から真下に落下して硬貨受74で受け入れられないおそれがある。
そこで、出口73に、硬貨を強制的に押し出すための押出レバー75が設置されている。この押出レバー75は、基端が軸76を中心として揺動可能に支持され、先端が搬送路18内に侵入する方向にスプリングなどで付勢されている。
そして、手動で回転する搬送ベルト20によって出口73に到達した硬貨は、押出レバー75に接触し、この押出レバー75を付勢に抗して押し上げながら出口73から押し出される。このとき、押出レバー75の下を硬貨が通過する際に、押出レバー75の付勢力によって硬貨が出口73から強制的にはじき出され、放出速度が速くなる。そのため、搬送ベルト20の回転が遅い場合でも、硬貨が出口73から真下に落下することなく遠くに放出され、硬貨受74に受け入れられる。なお、搬送ベルト20の回転が速い場合には、押出レバー75の働きによって多少遠くに放出されることはあるが、放出距離は大きくは変化せず、硬貨受74に受け入れることができる。
さらに、図4に、搬送部17の出口73から放出される硬貨の動きを示す。出口73は搬送路18に合わせて斜めになっているため、出口73から放出される硬貨も斜め姿勢のまま放出される。
仮に、出口73から放出される硬貨が垂直姿勢であったとした場合、硬貨受74の底部に落下した硬貨が真上に跳ね上がって硬貨受74の外に飛び出したり、真上に跳ね上がった硬貨が後続の硬貨と周面同士で衝突して硬貨受74に受け入れられないおそれがある。
出口73から放出される硬貨を斜め姿勢とすることにより、硬貨受74の底部に落下した硬貨は斜めに跳ねて硬貨受74から飛び出すことがなく、仮に硬貨が真上に跳ね上がったとしてもその硬貨と後続の硬貨とが周面同士で衝突することがなく、硬貨受74に受け入れることができる。
また、図5ないし図7に、硬貨カセット61に関する構造を示す。図5に示すように、硬貨カセット61のカセット本体80に、上方に開口する収納領域61aが形成され、この収納領域61aの底部にベルト65が配設されている。カセット本体80の前側上部には、上方に開口する補充リジェクトボックス66aと運用リジェクトボックス66bとが幅方向に並んで並設されている。
各リジェクトボックス66a,66bの上面には、蓋ユニット81がそれぞれカセット本体80に対して開閉軸82を支点として開閉可能に取り付けられている。各蓋ユニット81は、閉鎖状態でカセット本体80にロックするロック機構(図示せず)を備え、ロック解除レバー83を操作することによってロックを解除して開放可能とされている。
各蓋ユニット81には、搬送部17から分岐されてくるリジェクト硬貨を各リジェクトボックス66a,66bに受け入れる挿通口84が前後方向に長く形成されており、その挿通口84にはリジェクトボックス66a,66b内の硬貨が挿通口84から出るのを規制する混入防止レバー85が挿通口84を開閉可能に配置されている。
図6および図7に示すように、混入防止レバー85は、各蓋ユニット81の内部に挿通口84の長手方向に沿って2つずつ配置され、各蓋ユニット81に揺動軸86を支点として揺動可能に取り付けられている。各蓋ユニット81の内部には第1のリンク87が前後方向に沿ってスライド可能に取り付けられている。第1のリンク87の溝88に混入防止レバー85に設けられた連結ピン89が嵌合されており、第1のリンク87が前方へスライドすることによって混入防止レバー85が挿通口84を閉鎖する閉鎖位置に回動し(図6(a)および図7(a)参照)、第1のリンク87が後方へ移動することによって混入防止レバー85が挿通口84を開放する開放位置に回動する(図6(b)および図7(b)参照)。第1のリンク87の後端には第2のリンク90が連結軸91によって回動可能に連結され、第2のリンク90がスプリング92によって前方へ向けて付勢されている。第2のリンク90には蓋ユニット81の上面から突出する受部93が設けられ、一方の第2のリンク90のみには蓋ユニット81の上面から突出する規制ピン94が突設されている。
カセット本体80の上面には、カセット蓋体(図示せず)がカセット本体80の後部側を支点として開閉可能とするとともに閉鎖状態で鍵によって施錠可能としている。カセット蓋体には、収納領域61aの上方に位置して搬送部17から分岐されてくる対応する硬貨を受け入れる受入口が設けられているとともに、各リジェクトボックス66a,66bの上方に位置して搬送部17から分岐されてくる各対応するリジェクト硬貨を受け入れる受入口95(図6参照)が設けられている。各リジェクトボックス66a,66bの上方の受入口95と各蓋ユニット81の挿通口84とが連通するように構成されており、リジェクト硬貨が受入口95および挿通口84を通じて各リジェクトボックス66a,66bに収納される。
カセット蓋体の裏面には、上シャッタ96が前後方向にスライド可能に取り付けられている。硬貨カセット61が機体12から取り外された取外し状態では、上シャッタ96が前方の閉鎖位置にばね付勢によって移動してカセット蓋体にロックされており、上シャッタ96でカセット蓋体の各受入口を閉鎖している。また、硬貨カセット61が機体12に装着する際に、機体12側に設けられた開放部材によって上シャッタ96のロックが解除されるとともに上シャッタ96が後方の開放位置に移動され、カセット蓋体の各受入口が開放される。そのため、硬貨カセット61が機体12に装着された装着状態では、カセット蓋体の各受入口から硬貨の受け入れが可能となる。
上シャッタ96には、各蓋ユニット81の第2のリンク90の受部93に当接可能とする開放ピン97が設けられている。上シャッタ96の閉鎖状態では各開放ピン97は各第2のリンク90の受部93から離反しており(図6(a)および図7(a)参照)、上シャッタ96の開放移動時に各開放ピン97が各第2のリンク90の受部93に当接し、スプリング92の付勢に抗して第2のリンク90とともに第1のリンク87を後方へスライドさせることにより、混入防止レバー85が挿通口84を開放する開放位置に回動する(図6(b)および図7(b)参照)。
上シャッタ96には、この上シャッタ96の閉鎖状態において、規制ピン94との当接によってリンク87,90の後方への移動を規制する開放規制部98が設けられている(図7(a)参照)。
カセット本体80の前面には、ベルト65によって硬貨を繰り出す繰出口100が形成され、この繰出口100に前シャッタ101が開閉可能に配設されている。前シャッタ101は、上下方向にスライド可能で、下降により繰出口100を閉鎖し、上昇により繰出口100を開放するように構成されている。前シャッタ101には中間リンク102を介してシャッタリンク103が連結されている。シャッタリンク103は、リンク軸104を中心に揺動可能とし、前シャッタ101の開閉(上下)に連動して揺動するように構成されている。一方の第1のリンク87の前端にシャッタ規制部105が設けられており、第1のリンク87が前方へスライドした状態ではシャッタ規制部105によりシャッタリンク103の揺動が規制されて前シャッタ101が閉鎖状態に保持され、第1のリンク87が後方へスライドした状態ではシャッタ規制部105がシャッタリンク103から外れてシャッタリンク103の揺動が許容されて前シャッタ101が開放可能となる。
そして、硬貨カセット61の取外し状態では、図6(a)および図7(a)に示すように、スプリング92の付勢で第1のリンク87が前方に移動し、混入防止レバー85が挿通口84を閉鎖するとともに、一方の第1のリンク87のシャッタ規制部105で前シャッタ101の開放を規制している。さらに、上シャッタ96がカセット蓋体の各受入口を閉鎖している。
硬貨カセット61を機体12に装着すると、機体12側の開放部材によって上シャッタ96が開放移動し、カセット蓋体の各受入口を開放するとともに、上シャッタ96の開放ピン97で第2のリンク90とともに第1のリンク87を後方へ移動させ、混入防止レバー85を開放回動させて挿通口84を開放する。さらに、第1のリンク87を後方への移動によって、前シャッタ101の開放が可能となる。前シャッタ101は、硬貨カセット61の収納領域61aに収納されている硬貨の繰出時に、機体12側の前シャッタ開放機構で開放される。
硬貨カセット61に収納された硬貨の回収時に、硬貨カセット61を機体12から取り出し(硬貨カセット61の取外し状態は上述したとおりである)、カセット蓋体を鍵で解錠して開放すると、収納領域61aの上面が開放されるが、各リジェクトボックス66a,66bの上面は蓋ユニット81によって閉鎖されているとともに挿通口84も混入防止レバー85によって閉鎖されている。そのため、カセット本体80を傾けたりひっくり返すことにより、収納領域61aに収納されている回収硬貨を取り出すことができるとともに、各リジェクトボックス66a,66bに収納されているリジェクト硬貨は蓋ユニット81によって出ることがなく、回収硬貨にリジェクト硬貨が混入するのを防止できる。収納領域61aからの硬貨の取出後、例えば、補充リジェクトボックス66aの蓋ユニット81についてロック解除レバー83でロックを解除して開放し、補充リジェクト硬貨を取り出し、続いて、運用リジェクトボックス66bの蓋ユニット81についてロック解除レバー83でロックを解除して開放し、運用リジェクト硬貨を取り出すことができる。
なお、硬貨カセット61には、機体12内に設置された光センサで硬貨カセット61内の硬貨を検知するための複数のセンサ用孔が形成されている。仮に、硬貨カセット61の取外し状態において、センサ用孔を通じて第1のリンク87を後方へ移動させて前シャッタ101を開放しようとしても、第1のリンク87の規制ピン94が上シャッタ96の開放規制部98に当接して後方への移動が規制されるため、第1のリンク87のシャッタ規制部105で前シャッタ101を閉鎖位置に保持し、前シャッタ101が開放されることはない。
また、図8に示すように、硬貨処理装置11は、この硬貨処理装置11を制御する制御部111を備えている。この制御部111は、識別部54や各機構に配置されるセンサなどから信号を入力し、搬送部17、繰出部23、金種別スタッカ24、一時保留部25、オーバーフロースタッカ60、硬貨カセット61および搬送機構62の駆動モータやソレノイドなどの電気的駆動手段を制御する。
そして、制御部111は、搬送部17で収納部26(繰出部23、金種別スタッカ24、一時保留部25、オーバーフロースタッカ60および硬貨カセット61)に硬貨を搬送する一定期間、並行して収納部26の攪拌手段34(回転円盤35、ベルト63,65)を攪拌動作させる機能、攪拌手段34を攪拌動作させる攪拌動作の種類を複数有し、収納部26に収納された硬貨の収納量に応じて攪拌手段34による攪拌動作の種類を切り換える機能を有している。なお、一定期間の定義や具体的な攪拌動作については後述する。
次に、硬貨処理装置11の動作を説明する。
まず、硬貨処理装置11の全体の処理動作について説明する。
入金処理時には、取引口13のシャッタを開き、取引口13から投入される硬貨を受皿14に受け入れ、取引口13のシャッタを閉じた後、受皿14内の硬貨を下方の繰出部23に放出する。
繰出部23内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で繰出搬送方向F2へ向けて搬送し、識別部54で識別する。正規と識別された硬貨は、搬送部17から一時保留部25に振り分けて保留する。正規と識別されなかった硬貨は、搬送部17から受皿14へ送り込み、取引口13のシャッタの開放により受皿14から取出可能とする。
取引口13に投入された全ての硬貨の保留または返却までの処理が完了した後、入金が承認されれば、一時保留部25内の硬貨を金種別スタッカ24に収納し、また、キャンセルされれば、一時保留部25内の硬貨を返却する。
すなわち、入金が承認された場合には、一時保留部25内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で収納搬送方向F1へ向けて搬送し、識別部54で識別し、識別結果に基づいて該当する金種の金種別スタッカ24に振り分けて収納する。金種別スタッカ24が満杯となった金種の硬貨は、金種別スタッカ24に収納せず、搬送部17から分岐部67で分岐してオーバーフロースタッカ60に収納する。
キャンセルされた場合には、一時保留部25内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で収納搬送方向F1に搬送し、繰出部23に収納する。一時保留部25内の全ての硬貨を繰出部23に移動させた後、繰出部23内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で繰出搬送方向F2へ向けて搬送し、搬送部17から受皿14に送り込む。取引口13のシャッタの開放により、受皿14内から硬貨を取出可能とする。
また、出金処理時には、出金する金種の金種別スタッカ24内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で繰出搬送方向F2に搬送し、識別部54で識別する。正規と識別された硬貨は、搬送部17から受皿14に送り込み、また、正規と識別されなかった硬貨は、搬送部17から一時保留部25に振り分けて保留する。
正規と識別されなかった硬貨が一時保留部25に送り込まれた場合には、金種別スタッカ24からの硬貨の繰り出しを完了し、出金分の硬貨が受皿14に送り込まれた後、一時保留部25内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で収納搬送方向F1に搬送し、識別部54で識別し、再識別によって正規と識別された硬貨は該当する金種別スタッカ24に収納し、再識別でも正規と識別されなかった硬貨は搬送部17の分岐部69で分岐して運用リジェクトボックス66bに収納する。
出金分の硬貨を受皿14に送り込んだら、取引口13のシャッタの開放により、受皿14から硬貨を取出可能とする。
取引口13のシャッタを開放してから所定時間経過しても、受皿14上に硬貨を残留していることをセンサで検知している場合には、取り忘れ硬貨であると判断し、その取り忘れ硬貨を回収する。すなわち、取引口13のシャッタを閉じた後、受皿14内の取り忘れ硬貨を下方の繰出部23に放出する。繰出部23内の取り忘れ硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で繰出搬送方向F2へ向けて搬送し、識別部54で識別した後に一時保留部25に一時保留し、この取り忘れ硬貨の金種および枚数を確認する。その確認後、一時保留部25から搬送部17へ硬貨を繰り出し、搬送部17の分岐部68で分岐して回収カセット64に収納する。
なお、出金処理時に、硬貨の出金枚数に対して収納量が不足する金種別スタッカ24がある場合には、硬貨カセット61またはオーバーフロースタッカ60に収納されている硬貨を出金するようにしてもよい。
例えば、図9(a)に示すように、硬貨カセット61に収納されている硬貨を、搬送機構62に繰り出し、搬送機構62で一時保留部25に搬送し、一時保留部25から搬送部17に繰り出し、搬送部17で収納搬送方向F1へ向けて搬送し、識別部54で識別する。識別の結果、出金対象金種でかつ出金必要枚数に達していない硬貨は繰出部23に搬送し、非出金対象金種や出金対象金種でも出金必要枚数に達した後の硬貨でかつ金種別スタッカ24が満杯でないか予め決められた所定量まで収納されていない硬貨は搬送部17から対応する金種別スタッカ24に振り分けて収納する。金種別スタッカ24が満杯あるいは所定量収納された金種の硬貨は、搬送部17から分岐部70で分岐して硬貨カセット61に収納する。
繰出部23に出金に必要な硬貨が搬送されるとともに、搬送機構62、一時保留部25および搬送部17に残る硬貨が金種別スタッカ24または硬貨カセット61に収納された後、図9(b)に示すように、繰出部23内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で繰出搬送方向F2へ向けて搬送し、受皿14へ送り込み、取引口13のシャッタの開放により受皿14から取出可能とする。
このように、出金処理時に、硬貨の出金枚数に対して収納量が不足する金種別スタッカ24がある場合でも、硬貨カセット61またはオーバーフロースタッカ60に収納されている硬貨を出金することにより、硬貨処理装置11をエラー停止させることなく処理を継続できる。しかも、金種別スタッカ24への硬貨補充も同時にでき、効率よく処理できる。
また、補充処理時には、オーバーフロースタッカ60または硬貨カセット61に収納されている硬貨を、搬送機構62に繰り出し、搬送機構62で一時保留部25に搬送する。一時保留部25内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で収納搬送方向F1へ向けて搬送し、識別部54で識別し、識別結果に基づいて該当する金種の金種別スタッカ24に振り分けて収納する。金種別スタッカ24が満杯となった金種の硬貨は、金種別スタッカ24に収納せず、搬送部17から分岐部67で分岐してオーバーフロースタッカ60に収納する。
識別部54で正規と識別されなかった硬貨は搬送部17から繰出部23に振り分けて保留する。正規と識別されなかった硬貨が繰出部23に送り込まれた場合には、一時保留部25からの硬貨の繰り出しを完了し、金種別スタッカ24またはオーバーフロースタッカ60に送り込まれた後、繰出部23内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で繰出搬送方向F2に搬送し、識別部54で識別し、一時保留部25に振り分けて保留する。繰出部23内の全ての硬貨を一時保留部25に移動した後、一時保留部25内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で収納搬送方向F1に搬送し、識別部54で識別し、再識別によって正規と識別された硬貨は該当する金種別スタッカ24に収納し、再識別でも正規と識別されなかった硬貨は搬送部17の分岐部69で分岐し、オーバーフロースタッカ60内の硬貨を補充している場合には運用リジェクトボックス66bに収納し、硬貨カセット61内の硬貨を補充している場合には補充リジェクトボックス66aに収納する。
また、回収処理時には、金種別スタッカ24に収納されている硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で繰出搬送方向F2に搬送し、搬送部17から一時保留部25に振り分けて保留する。一時保留部25内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で収納搬送方向F1へ向けて搬送し、識別部54で識別し、搬送部17の分岐部70で分岐して硬貨カセット61の収納領域61aに収納する。このような処理を硬貨が収納されている全ての金種別スタッカ24について順に行う。さらに、オーバーフロースタッカ60に収納されている硬貨を、搬送機構62に繰り出し、搬送機構62で一時保留部25に搬送する。一時保留部25内の硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で収納搬送方向F1へ向けて搬送し、識別部54で識別し、搬送部17の分岐部70で分岐して硬貨カセット61の収納領域61aに収納する。そして、硬貨が回収された硬貨カセット61を機体12から取り出して所定の場所に運搬し、上述したように硬貨カセット61から硬貨を取り出す。
次に、収納部26として例えば図2に示すある金種の金種別スタッカ24に硬貨を収納する場合の攪拌動作について説明する。
制御部111は、搬送部17で金種別スタッカ24に硬貨を搬送する一定期間、並行して金種別スタッカ24の攪拌手段34である回転円盤35を回転させて攪拌動作させる。
一例であるが、入金硬貨または補充硬貨の収納処理を開始してからこの収納処理を終了するまでを一定期間とし、回転円盤35を硬貨の繰出方向とは反対方向に逆回転(図2時計回り方向)させる。これにより、搬送部17による硬貨の搬送を停止させることなく、金種別スタッカ24内の硬貨を回転円盤35で攪拌し、金種別スタッカ24に収納する硬貨が1箇所に集中しないようにできる。
さらに、金種別スタッカ24に収納された硬貨が所定量に満たない場合には回転円盤35を逆回転させるだけでもよいが、所定量以上の場合には回転円盤35を一定の範囲内で逆回転と正回転(図2反時計回り方向)とを繰り返す。回転円盤35を正逆回転させる一定の範囲は、例えば定位置検知センサで検知する定位置検知センサ用孔部47の幅の範囲に相当した角度とする。硬貨の収納量が多いと、回転円盤35の逆転のみでは金種別スタッカ24内で硬貨が片寄るおそれがあるが、回転円盤35を正逆回転させることにより、金種別スタッカ24内での硬貨の片寄りを防止して平均的にならすことができる。
また、ここで説明した図2に示すある金種の金種別スタッカ24における攪拌動作は、他の金種別スタッカ24、繰出部23および一時保留部25においても同様である。
さらに、収納部26としてのオーバーフロースタッカ60または硬貨カセット61に硬貨を収納する場合の攪拌動作も同様である。オーバーフロースタッカ60または硬貨カセット61では、ベルト63,65を回転させて攪拌動作することになり、このベルト63,65を繰出方向とは反対方向に逆回転させたり、硬貨の収納量が多い場合にはベルト63,65を正逆回転させればよい。
なお、収納部26(金種別スタッカ24、オーバーフロースタッカ60または硬貨カセット61)に収納された硬貨の収納量の判定は、収納部26に設けられた検知センサによる検知に基づいて判定してもよいし、識別部54や搬送部17に設けられた検知センサなどによる検知に基づいて判定してもよい。
そして、上述した一定期間には、攪拌動作の開始タイミング、処理種類、金種、硬貨の収納量(処理開始時と処理中との2パターンがある)の各要素があって、これら要素の組み合わせの場合もあり、各例を次に示す。
(1)攪拌動作のタイミングの例。
・収納部26に硬貨を収納する処理中、常に攪拌手段34を攪拌動作させる。この場合、攪拌動作時に搬送部17を停止させないので、硬貨の収納や回収の処理にかかる時間を短縮することができる。
・収納部26に硬貨を収納する処理中の一定期間のみ、攪拌手段34を攪拌動作させる。この場合、一定期間のみ攪拌動作するので、消費電力を低減できる。
(2)攪拌動作のタイミングと処理種類との組み合わせの例。
・収納部26に硬貨を収納する特定の処理(補充、回収)中、常に攪拌手段34を攪拌動作させる。
・収納部26に硬貨を収納する特定の処理(補充、回収)中の一定期間のみ、攪拌手段34を攪拌動作させる。
これらの場合、収納部26に収納する硬貨の量が多くなる傾向の高い補充や回収などの特定の処理のみ、攪拌手段34を攪拌動作させるため、効率的に攪拌動作できる。
(3)攪拌動作のタイミング、処理種類、金種の組み合わせの例。
・収納部26に特定金種(取り扱う量が多い金種)の硬貨を収納する処理中、常に攪拌手段34を攪拌動作させる。
・収納部26に特定金種(取り扱う量が多い金種)の硬貨を収納する処理中の一定期間のみ、攪拌手段34を攪拌動作させる。
・収納部26に特定金種(取り扱う量が多い金種)の硬貨を収納する特定の処理中、常に攪拌手段34を攪拌動作させる。例えば取り扱う量が多い金種硬貨の全回収などの場合である。
・収納部26に特定金種(取り扱う量が多い金種)の硬貨を収納する特定の処理中の一定期間のみ、攪拌手段34を攪拌動作させる。
これらの場合、取り扱う量が多い金種など、特定金種の硬貨のみ攪拌動作するため、全ての金種について攪拌動作する必要がなく、消費電力を低減できる。
(4)攪拌動作のタイミング、処理種類、金種、硬貨の収納量の組み合わせの例。
・収納部26に収納された硬貨の収納量が所定量以上の場合、常に攪拌手段34を攪拌動作させる。
・収納部26に収納された硬貨の収納量が所定量以上の場合、処理の一定期間のみ攪拌手段34を攪拌動作させる。
・特定金種の収納部26に収納された硬貨の収納量が所定量以上の場合、常に攪拌手段34を攪拌動作させる。
・特定金種の収納部26に収納された硬貨の収納量が所定量以上の場合、処理の一定期間のみ攪拌手段34を攪拌動作させる。
・収納部26に硬貨を収納する特定の処理(例えば補充)で、特定金種の硬貨の収納量が所定量以上の場合、常に攪拌手段34を攪拌動作させる。
・収納部26に硬貨を収納する特定の処理(例えば補充)で、特定金種の硬貨の収納量が所定量以上の場合、処理の一定期間のみ攪拌手段34を攪拌動作させる。
これらの場合、収納部26における硬貨の収納量が所定量以上の場合に、適切なタイミングで攪拌動作できる。
このように、硬貨処理装置11によれば、搬送部17で収納部26に硬貨を搬送する一定期間、並行して収納部26の攪拌手段34を攪拌動作させることにより、収納部26に硬貨を収納する処理にかかる時間を短縮することができる。
しかも、収納部26に収納された硬貨の収納量に応じて攪拌手段34による攪拌動作の種類を切り換えることにより、硬貨の収納量に応じて効率のよい攪拌動作をすることができる。
さらに、収納部26に収納された硬貨が所定量に満たない場合に回転体としての回転円盤35やベルト63,65を一方向へ回転させて攪拌動作させ、所定量以上の場合に回転円盤35やベルト63,65を一定の範囲内で一方向への回転とこの一方向とは反対の他方向への回転とを繰り返す攪拌動作させることにより、硬貨の収納量に応じて効率よい攪拌動作をすることができる。
また、一定期間を、収納部26に硬貨を収納する処理を開始してからこの処理を終了するまでの期間とすれば、処理中は常に攪拌動作することになり、収納部26に硬貨を収納する処理にかかる時間を短縮することができる。
また、図10に硬貨処理装置11の運用例を示す。
図10(a)は、1円、5円、10円、50円、100円および500円の6金種の金種別スタッカ24を装着した仕様の硬貨処理装置11を示す。
図10(b)は、1円、10円および100円の3金種の金種別スタッカ24のみ装着し、5円、50円および500円の金種別スタッカ24は装着しない仕様の硬貨処理装置11であり、例えば廉価仕様や取扱金種が少ない場合の仕様を示す。
装着されている金種別スタッカ24はコネクタ接続によって制御部111に接続され、制御部111で装着の有無を判定できるように構成されている。
そして、硬貨処理装置11のイニシャル動作により、制御部11は、金種別スタッカ24の装着が検知されない金種を判定し、代替金種で出金するように自動的に切り換える。図10(b)の場合には、5円、50円および500円の出金は、それぞれ1円、10円および100円で代替する。なお、入金した5円、50円および500円はオーバーフロースタッカ60に一括収納するように切り換える。
このように、同じ硬貨処理装置11を用い、金種別スタッカ24の数の異なる仕様に対応できる。しかも、装着する金種別スタッカ24をコネクタ接続によって制御部111に接続するだけで、イニシャル動作により制御部111が装着されている金種別スタッカ24の金種を自動判定し、装着されている金種別スタッカ24での入出金処理に適切切り換えることができ、仕様に対して容易に対応できる。
次に、図11に第2の実施の形態を示す。なお、第1の実施の形態と同じ構成および作用効果については同じ符号を用いてその説明を省略する。
硬貨カセット61に硬貨を分岐する搬送部17の分岐部70が、繰出搬送方向F2から搬送してくる硬貨を分岐するように構成されている。なお、搬送部17の他の分岐部67,68,69は、収納搬送方向F1(図示していないが、繰出搬送方向F2と反対方向)に搬送してくる硬貨を分岐するように構成されている。
そして、回収処理時において、金種別スタッカ24に収納されている硬貨を、搬送部17に繰り出し、搬送部17で繰出搬送方向F2に搬送する。
搬送部17の分岐部70より繰出搬送方向F2の上流側に位置する金種別スタッカ24から繰り出された例えば1円、50円および500円の硬貨は、搬送部17の分岐部70で分岐されて硬貨カセット61に収納される。
搬送部17の分岐部70より繰出搬送方向F2の下流側に位置する金種別スタッカ24から繰り出された例えば5円、10円および100円の硬貨は、搬送部17から放出されて開放状態にある受皿14を通じて繰出部23に送り込まれ、繰出部23から搬送部17の分岐部70より繰出搬送方向F2の上流側に繰り出され、搬送部17の分岐部70で分岐されて硬貨カセット61に収納される。
このように回収処理を行うことにより、第1の実施の形態で説明したように金種別スタッカ24の硬貨を一時保留部25に一旦送り込んだ後にこの一時保留部25から硬貨を繰り出して硬貨カセット61に収納する場合に比べて、回収処理にかかる時間を短縮することができる。