WO2009125482A1

WO2009125482A1 - 硬貨処理装置

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Publication number: WO2009125482A1
Application number: PCT/JP2008/057072
Authority: WO
Inventors: 英生西田
Original assignee: グローリー株式会社
Priority date: 2008-04-10
Filing date: 2008-04-10
Publication date: 2009-10-15

Abstract

　大量の硬貨を取り扱うことができ、それでいて搬送構造を簡素化できて小型かつ安価に構成でき、硬貨詰まり等のトラブルの発生も低減できる硬貨処理装置11を提供する。　入金処理時、入金口21から投入された硬貨を入金繰出部35に受収し、入金繰出部35から硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、入出金搬送路29で搬送する硬貨を識別後に一時保留部36に収納する。硬貨の一時保留後、一時保留部36から硬貨を入出金搬送路29に１枚ずつ繰り出し、入出金搬送路29で搬送する硬貨を識別後に収納繰出部37に収納する。出金処理時には、収納繰出部37から硬貨を入出金搬送路29に１枚ずつ繰り出し、入出金搬送路29で硬貨を出金口22に搬送する。入金繰出部35、一時保留部36、収納繰出部37のそれぞれが、水平方向に対して所定角度に傾斜する位置で回転する回転円盤60、およびこの回転円盤60の表面側に硬貨を非整列状態で収納するホッパを備える。

Description

硬貨処理装置

　本発明は、硬貨の入出金を処理する硬貨処理装置に関する。

　従来、硬貨の入出金を処理する硬貨処理装置としては、例えばＡＴＭ（Auto Tellers Machine）やＣＤ（Cash Dispenser）に用いられる硬貨処理装置がある。

　この硬貨処理装置では、入金処理時において、入金口から投入された硬貨を入金繰出部に受け入れて１枚ずつ搬送路へ繰り出し、搬送路で硬貨を搬送しながら識別部で識別し、正常と識別された硬貨は金種別の一時保留部または一括一時保留部に一時保留し、入金承認による硬貨収納指令時に金種別の一時保留部の硬貨を金種別の収納繰出部に収納し、一括一時保留部の硬貨を回収部に収納している。また、出金処理時において、出金情報に応じて、金種別の収納繰出部から１枚ずつ繰り出される硬貨を入金繰出部に送り込み、入金繰出部から硬貨を１枚ずつ搬送路へ繰り出し、搬送路で硬貨を出金口に搬送して出金している（例えば、特許文献１参照。）。

　ところで、小売りの店舗等では、多数のレジスタから回収される売上金を入金計数したり、各レジスタに予め用意する釣銭準備金を準備する必要があり、これら入金機能と釣銭準備金の出金機能とを備えるとともに硬貨詰まり等のトラブルが少なく容易に運用できる硬貨処理装置が求められている。

　このような店舗等での要望に対し、従来のＡＴＭ等に用いられる硬貨処理装置では、硬貨の入出金取引量を少量ずつしか想定していない構造であるため、一度に取り扱うことができる硬貨量が少なく、大量の硬貨の入出金が必要な店舗等の硬貨処理装置には適さない。しかも、金種別の一時保留部および収納繰出部には、硬貨を筒内に重積収納し、筒内から硬貨を繰り出す構成や、硬貨を収納枠内に非整列状態で収納し、この収納枠の底部を構成するベルトで硬貨を繰り出す構成が多く用いられているが、筒内で硬貨が立った状態となったり、ベルトと例えば硬貨の繰出量を規制するゲートとの間で硬貨が噛み込んだりといった硬貨詰まりのトラブルが発生しやすい。

　また、大量の硬貨を取り扱い可能な硬貨処理装置としては、銀行等の金融機関で利用されている硬貨入出金機が存在するが、この硬貨入出金機では、大型かつ高価なもので、搬送路等が複雑で硬貨詰まりの解消などが難しくなり、店舗等での使用には適さない。
特開２００７－４６４０号公報（第１８－２０頁、図１）

　小売りの店舗等では、多数のレジスタから回収される売上金を入金計数したり、各レジスタに予め用意する釣銭準備金を準備できるように、大量の硬貨の入金機能と出金機能とを備えるとともに、硬貨詰まり等のトラブルが少なく容易に運用できる硬貨処理装置が要望されているが、従来のＡＴＭ等に用いられる硬貨処理装置や、銀行等の金融機関で利用されている硬貨入出金機では対応できなかった。

　本発明は、このような点に鑑みなされたもので、一度に大量の硬貨を取り扱うことができ、それでいて搬送構造を簡素化できて小型かつ安価に構成でき、硬貨詰まり等のトラブルの発生も低減できる硬貨処理装置を提供することを目的とする。

　請求項１記載の硬貨処理装置は、硬貨処理装置において、硬貨の入出金を処理する入出金部、およびこの入出金部に補充硬貨を補充する補充部を具備し、前記入出金部は、機体外から硬貨を受け入れる入金口と、硬貨を搬送する入出金搬送路と、水平方向に対して所定角度に傾斜する位置で回転する回転円盤およびこの回転円盤の表面側に硬貨を非整列状態で収納するホッパを備え、前記入金口から受け入れた硬貨を受収し、前記回転円盤の回転により硬貨を１枚ずつ前記入出金搬送路へ繰り出す入金繰出部と、この入金繰出部から繰り出されて前記入出金搬送路で搬送する硬貨を識別する識別部と、水平方向に対して所定角度に傾斜する位置で回転する回転円盤およびこの回転円盤の表面側に硬貨を非整列状態で収納するホッパを備え、前記識別部で正常硬貨と識別された硬貨を前記入出金搬送路から受け入れて収納し、硬貨収納指令時に前記回転円盤の回転により硬貨を１枚ずつ前記入出金搬送路へ繰り出す一時保留部と、前記識別部で正常硬貨と識別されなかった硬貨を前記機体外に返却するリジェクト口と、水平方向に対して所定角度に傾斜する位置で回転する回転円盤およびこの回転円盤の表面側に硬貨を非整列状態で収納するホッパを備え、前記硬貨収納指令時に前記一時保留部から繰り出されて前記入出金搬送路で搬送する硬貨を前記識別部での識別結果に応じて前記入出金搬送路から受け入れて収納するとともに、硬貨出金指令時に前記回転円盤の回転により硬貨を１枚ずつ前記入出金搬送路へ繰り出す複数の収納繰出部と、前記硬貨出金指令時に前記収納繰出部から繰り出されて前記入出金搬送路で搬送する硬貨を前記機体外に出金する出金口とを備え、前記補充部は、補充硬貨を収納し放出可能とする補充カセットと、この補充カセットから放出される補充硬貨を前記入金繰出部および前記一時保留部のいずれか一方に搬送する補充搬送路とを備えているものである。

　請求項２記載の硬貨処理装置は、請求項１記載の硬貨処理装置において、前記入出金搬送路には、前記機体の前側から、前記リジェクト口、前記一時保留部、前記識別部、前記入金繰出部および前記収納繰出部の順に配置されているものである。

　請求項３記載の硬貨処理装置は、請求項１記載の硬貨処理装置において、前記補充搬送路は、前記補充カセットから放出される補充硬貨を受け入れて横方向へ搬送する横搬送部、およびこの横搬送部から補充硬貨を上方に搬送する縦搬送部を備えているものである。

　請求項４記載の硬貨処理装置は、請求項１記載の硬貨処理装置において、前記補充カセットは、補充硬貨を非整列状態で収納するとともに放出可能とするものである。

　請求項５記載の硬貨処理装置は、請求項１記載の硬貨処理装置において、前記補充カセットは、補充硬貨を金種別に収納するとともに金種毎に放出可能とするものである。

　請求項６記載の硬貨処理装置は、請求項１記載の硬貨処理装置において、前記補充部は、前記入出金部の側部に並んで配置されているものである。

　請求項７記載の硬貨処理装置は、請求項１記載の硬貨処理装置において、前記一時保留部は、前記ホッパの下部を開いて硬貨を放出可能とし、前記入出金部は、前記一時保留部から放出される硬貨を受け入れ、前記機体外に取出可能とする入金返却箱を備えているものである。

　請求項８記載の硬貨処理装置は、請求項７記載の硬貨処理装置において、前記入金繰出部は、前記ホッパの下部を開いて残留する異物を放出可能とし、前記入金返却箱は、前記入金繰出部から放出される異物を受け入れるものである。

　請求項９記載の硬貨処理装置は、請求項１記載の硬貨処理装置において、前記入出金部の下方に配置された金庫を具備し、前記入出金部は、前記硬貨収納指令時に前記一時保留部から繰り出されて前記入出金搬送路で搬送する硬貨を前記識別部で識別した結果、前記収納繰出部が満杯となった金種の硬貨、および正常硬貨と識別されなかった硬貨を前記入出金搬送路から分岐するオーバーフロー通路と、前記機体外に取出可能とする収納返却箱と、前記オーバーフロー通路に分岐された硬貨を受け入れて収納し、正常硬貨のみが収納された場合には硬貨を前記金庫に収納させ、正常硬貨と識別されない硬貨が収納された場合には硬貨を前記収納返却箱に収納させる収納一時保留部とを備えているものである。

　請求項１０記載の硬貨処理装置は、請求項９記載の硬貨処理装置において、前記金庫部および前記収納返却箱は、前記収納一時保留部の下方に配置され、前記収納一時保留部は、硬貨を収納する収納位置、収納した硬貨を前記金庫部に放出する金庫部放出位置、および前記収納返却箱に放出する収納返却箱放出位置にスライド可能とするものである。

　請求項１１記載の硬貨処理装置は、請求項１記載の硬貨処理装置において、前記出金口は、複数設けられ、これら出金口のいずれかに切り換えて前記入出金搬送路で搬送してくる硬貨を出金させる出金切換部を備えているものである。

　請求項１２記載の硬貨処理装置は、請求項１記載の硬貨処理装置において、前記補充部は、前記入出金部の下方に配置されているものである。

　請求項１３記載の硬貨処理装置は、請求項１２記載の硬貨処理装置において、前記入出金部は、前記硬貨収納指令時に前記一時保留部から繰り出されて前記入出金搬送路で搬送する硬貨を前記識別部で識別した結果、前記収納繰出部が満杯となった金種の硬貨を前記入出金搬送路から分岐して前記補充部の前記補充カセットに収納させるオーバーフロー通路を備えているものである。

　請求項１４記載の硬貨処理装置は、請求項１２記載の硬貨処理装置において、前記補充部の前記補充カセットに、前記識別部で正常硬貨と識別されなかった硬貨が前記入出金搬送路から送り込まれて収納するリジェクトボックスが設けられているものである。

　請求項１５記載の硬貨処理装置は、請求項１４記載の硬貨処理装置において、前記一時保留部は、前記ホッパの下部を開いて硬貨を前記出金口および前記リジェクトボックスの少なくともいずれか一方へ放出可能とするものである。

　請求項１記載の硬貨処理装置によれば、入金繰出部、一時保留部、および複数の収納繰出部のそれぞれに、水平方向に対して所定角度に傾斜する位置で回転する回転円盤およびこの回転円盤の表面側に硬貨を非整列状態で収納するホッパを備え、入出金搬送路から硬貨を受け入れたり回転円盤の回転によって硬貨を１枚ずつ入出金搬送路へ繰り出す構成を用いたため、一度に大量の硬貨を取り扱うことができ、それでいて搬送構造が簡素化できて小型かつ安価に構成でき、硬貨詰まり等のトラブルの発生も低減でき、また、補充部からの補充硬貨を入金繰出部や一時保留部に補充でき、大量の出金にも対応できる。

　請求項２記載の硬貨処理装置によれば、請求項１記載の硬貨処理装置の効果に加えて、入出金搬送路には、機体の前側から、リジェクト口、一時保留部、識別部、入金繰出部および収納繰出部の順に配置しているため、入金繰出部から繰り出した硬貨を識別部で識別し、正常硬貨を一時保留部に送り込めるとともに、正常硬貨と識別されなかった硬貨を一時保留部の前側のリジェクト口に短い距離で送り込むことができ、硬貨詰まり等のトラブルの発生を防止できる。

　請求項３記載の硬貨処理装置によれば、請求項１記載の硬貨処理装置の効果に加えて、補充搬送路では、補充カセットから放出される補充硬貨を横搬送部に受け入れて縦搬送部で上方に搬送するため、補充硬貨を入金繰出部や一時保留部に落下させて送り込むことが可能となり、搬送構造を簡素化できる。

　請求項４記載の硬貨処理装置によれば、請求項１記載の硬貨処理装置の効果に加えて、補充カセットでは補充硬貨を非整列状態で収納するとともに放出可能とするため、複数の金種の硬貨を一度に補充する初期補充に対応できる。

　請求項５記載の硬貨処理装置によれば、請求項１記載の硬貨処理装置の効果に加えて、補充カセットでは補充硬貨を金種別に収納するとともに金種毎に放出可能とするため、不足する金種の硬貨のみを補充する追加補充に対応できる。

　請求項６記載の硬貨処理装置によれば、請求項１記載の硬貨処理装置の効果に加えて、入出金部の入金繰出部、一時保留部、および複数の収納繰出部が、水平方向に対して所定角度に傾斜する位置で回転する回転円盤およびこの回転円盤の表面側に硬貨を非整列状態で収納するホッパを備えた構成で、比較的幅が狭いため、入出金部の側部に並べて補充部を配置してもその幅を許容範囲内に収めることができ、高さや奥行きの寸法を小さくできる。

　請求項７記載の硬貨処理装置によれば、請求項１記載の硬貨処理装置の効果に加えて、一時保留部に一時保留した硬貨の返却時に、一時保留部のホッパの下部を開いて硬貨を入金返却箱に一括放出するため、硬貨の再搬送が必要なく、硬貨の返却を迅速にできるとともに、硬貨詰まり等の発生を防止できる。

　請求項８記載の硬貨処理装置によれば、請求項７記載の硬貨処理装置の効果に加えて、入金繰出部のホッパの下部を開いて繰り出されずに残留する異物を入金返却箱に放出し、その入金返却箱を機体外に取り出して入金返却箱内の異物を返却できる。

　請求項９記載の硬貨処理装置によれば、請求項１記載の硬貨処理装置の効果に加えて、一時保留部から入出金搬送路へ繰り出した硬貨を識別後に収納繰出部に収納させる際、収納繰出部が満杯となった金種の硬貨、および正常硬貨と識別されなかった硬貨を入出金搬送路からオーバーフロー通路に分岐して収納一時保留部に収納し、収納一時保留部に正常硬貨と識別されなかった硬貨が収納されている場合には、収納一時保留部に収納された硬貨を収納返却箱に移し、この収納返却箱を機体外に取り出して収納返却箱内の正常硬貨と識別されなかった硬貨を確認でき、また、収納一時保留部に正常硬貨のみが収納されている場合には、収納一時保留部に収納された硬貨を入出金部の下方に配置された金庫に収納できる。

　請求項１０記載の硬貨処理装置によれば、請求項９記載の硬貨処理装置の効果に加えて、収納一時保留部の下方に金庫部および収納返却箱を配置し、この収納一時保留部のスライドによって収納一時保留部内の硬貨を金庫部や収納返却箱に落下させて送り込むことができ、搬送構造を簡素化できる。

　請求項１１記載の硬貨処理装置によれば、請求項１記載の硬貨処理装置の効果に加えて、複数の出金口を備え、これら出金口のいずれかに切り換えて硬貨を出金させることができるため、出金口からの硬貨の取出操作のために処理が中断させる機会や時間を少なくでき、処理時間を短縮できる。

　請求項１２記載の硬貨処理装置によれば、請求項１記載の硬貨処理装置の効果に加えて、補充部を入出金部の下方に配置するため、機体の幅および奥行きを小さくできる。

　請求項１３記載の硬貨処理装置によれば、請求項１２記載の硬貨処理装置の効果に加えて、一時保留部から入出金搬送路へ繰り出した硬貨を識別後に収納繰出部に収納させる際、収納繰出部が満杯となった金種の硬貨は、入出金搬送路からオーバーフロー通路に分岐して補充部の補充カセットに収納するため、補充硬貨として利用できる。

　請求項１４記載の硬貨処理装置によれば、請求項１２記載の硬貨処理装置の効果に加えて、補充部の補充カセットにリジェクトボックスを設けたため、識別部で正常硬貨と識別されなかった硬貨を収納し、回収できる。

　請求項１５記載の硬貨処理装置によれば、請求項１４記載の硬貨処理装置の効果に加えて、一時保留部のホッパの下部を開いて硬貨を出金口およびリジェクトボックスの少なくともいずれか一方へ一括放出できるため、硬貨の再搬送が必要なく、硬貨の返却を迅速にできるとともに、硬貨詰まり等の発生を防止できる。

本発明の第１の実施の形態を示すものであって、硬貨処理装置の内部構造を示す側面図である。同上硬貨処理装置の内部構造を示す正面図である。同上硬貨処理装置の補充部を示す側面図である。同上硬貨処理装置の入出金搬送路の水平搬送部分を示す側面図である。同上硬貨処理装置の入出金搬送路の水平搬送部分以外の部分を示す側面図である。同上硬貨処理装置の入金繰出部を示す側面図である。同上入金繰出部の拾上部材の形状を示す説明図である。同上入金繰出部の断面図である。同上硬貨処理装置の入金処理を示し、(a)は硬貨の計数一時保留動作を示す説明図、(b)は一時保留した硬貨の収納動作を示す説明図、(c)は一時保留した硬貨の返却動作を示す説明図である。同上硬貨処理装置の出金処理を示し、(a)は硬貨の計数出金動作を示す説明図、(b)は正常硬貨と識別されなかった硬貨の戻し動作を示す説明図である。同上硬貨処理装置の初期補充処理を示し、(a)は一括補充カセットから一時保留部への補充硬貨の搬送動作を示す説明図、(b)は収納繰出部への補充硬貨の補充動作を示す説明図、(c)は正常硬貨と識別されなかった補充硬貨の返却動作を示す説明図である。同上硬貨処理装置の追加補充処理を示し、(a)は金種別補充カセットから入金繰出部への補充硬貨の搬送動作を示す説明図、(b)は入金繰出部から繰り出す補充硬貨の計数一時保留動作を示す説明図、(c)は収納繰出部への補充硬貨の補充動作を示す説明図である。同上硬貨処理装置の精査処理を示し、(a)は収納繰出部から一時保留部への硬貨の計数一時保留動作を示す説明図、(b)は一時保留部から収納繰出部への硬貨の戻し動作を示す説明図である。同上硬貨処理装置の回収処理を示す説明図である。本発明の第２の実施の形態を示す硬貨処理装置の内部構造を示す側面図である。同上硬貨処理装置の入金処理を示し、(a)は硬貨の計数一時保留動作を示す説明図、(b)は一時保留した硬貨の収納動作を示す説明図、(c)は一時保留した硬貨の返却動作を示す説明図である。同上硬貨処理装置の出金処理を示し、(a)は硬貨の計数出金動作を示す説明図、(b)は正常硬貨と識別されなかった硬貨の戻し動作を示す説明図である。同上硬貨処理装置の一括補充カセットから補充動作を示す説明図である。同上硬貨処理装置の精査処理を示し、(a)は収納繰出部から一時保留部への硬貨の計数一時保留動作を示す説明図、(b)は一時保留部から収納繰出部への硬貨の戻し動作を示す説明図、(c)は正常硬貨と識別されなかった硬貨のリジェクトボックスへの搬送動作を示す説明図である。同上硬貨処理装置の回収処理を示す説明図である。

符号の説明

　11　　硬貨処理装置
　12　　機体
　13　　入出金部
　14　　補充部
　15　　金庫
　21　　入金口
　22　　出金口
　23　　リジェクト口
　25　　入金返却箱
　29　　入出金搬送路
　35　　入金繰出部
　36　　一時保留部
　37　　収納繰出部
　38　　識別部
　39　　出金切換部
　40　　オーバーフロー通路
　42　　収納一時保留部
　43　　収納返却箱
　60　　回転円盤
　61　　ホッパ
　83　　補充カセット
　84　　補充搬送路
　91　　横搬送部
　92　　縦搬送部
　102 　オーバーフロー通路
　103 　リジェクトボックス

　以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。

　図１ないし図１４に第１の実施の形態を示す。

　図１ないし図３に示すように、硬貨処理装置11は、機体12を備え、この機体12内の上部一側に硬貨の入出金を処理する入出金部13が配設され、機体12内の上部他側であって入出金部13の側部に補充硬貨を入出金部13に補充する補充部14が配設され、機体12内の下部に金庫15が配設されている。入出金部13および補充部14は、メンテナンス時や硬貨詰まり等のエラー発生時に鍵による解錠操作によって機体12から前方に引き出し可能とする。金庫15は、鍵による解錠操作によって機体12から取出可能とする。硬貨処理装置11を店舗等に置いた場合、入出金部13、補充部14および金庫15内の全ての硬貨を店舗側が管理、所有する運用や、入出金部13および補充部14の硬貨は店舗側が管理、所有し、金庫15の硬貨は現金輸送する警備輸送会社の運用としてもよい。

　入出金部13の上面には、入金する硬貨を受け入れる入金口21が設けられている。入出金部13の前面には、２つの出金口22、およびこれら出金口22の間にリジェクト口23が設けられている。各出金口22には、出金箱24が引き出し可能に配置されている。一方の出金箱24の下方には、入金返却箱25が引き出し可能に配置されている。

　入出金部13内には、前面から見て上部が左側方向に所定角度で傾斜するベース28が配設され、このベース28の上方に臨む表面側に硬貨を搬送する入出金搬送路29が配設されている。この入出金搬送路29は、機体12の前後方向に略水平に設けられる第１の搬送路部30、この第１の搬送路部30の上方で機体12の前後方向に略水平に設けられる第２の搬送路部31、およびこれら第１の搬送路部30と第２の搬送路部31との後部間を上下方向に接続する第３の搬送路部32を備えている。ここで、第１の搬送路部30から第３の搬送路部32および第２の搬送路部31へ向けて硬貨を搬送する方向を第１の搬送方向であって入金搬送方向F1と呼び、逆に、第２の搬送路部31から第３の搬送路部32および第１の搬送路部30へ向けて硬貨を搬送する方向を第２の搬送方向であって出金搬送方向F2と呼ぶ。

　入出金搬送路29の第１の搬送路部30には、中央付近に入金繰出部35が接続配置され、この入金繰出部35より前側に一時保留部36が接続配置され、入金繰出部35より後側に複数の収納繰出部37が接続配置されている。入出金搬送路29の第２の搬送路部31には、複数の収納繰出部37が接続配置されている。入金繰出部35および複数の収納繰出部37は、入出金搬送路29内を入金搬送方向F1に搬送する硬貨を分岐して受け入れ可能とするとともに入出金搬送路29に対して出金搬送方向F2に繰り出し可能とする。一時保留部36は、入出金搬送路29内を出金搬送方向F2に搬送する硬貨を分岐して受け入れ可能とするとともに入出金搬送路29に対して入金搬送方向F1に繰り出し可能とする。

　入金繰出部35は、入金口21の下方に位置し、入金口21から受け入れた硬貨を図示しないシュートを通じて受収可能とする。

　入出金搬送路29の第１の搬送路部30には、入金繰出部35と一時保留部36との間に、搬送する硬貨の少なくとも金種、真偽、正損などを適宜選択して識別する識別部38が配設されている。

　入出金搬送路29の第１の搬送路部30の前端部には、この第１の搬送路部30の前端へ向けて搬送されてくる硬貨を２つの出金口22およびリジェクト口23のいずれか１つに切り換えて送り込む出金切換部39が配設されている。

　したがって、入出金搬送路29には、機体12の前側から、２つの出金口22およびリジェクト口23、一時保留部36、識別部38、入金繰出部35、複数の収納繰出部37の順に配置されている。

　入出金搬送路29の第１の搬送路部30には、入金繰出部35と収納繰出部との間に入金搬送方向F1に搬送する硬貨を分岐可能とするオーバーフロー通路40が接続され、一時保留部36と出金切換部39との間に出金搬送方向F2に搬送する硬貨を分岐可能とする回収通路41が接続されている。

　これらオーバーフロー通路40および回収通路41は、分岐された硬貨を下方へ導くシュートで構成され、各下端は収納一時保留部42の上方に配置されている。この収納一時保留部42は、オーバーフロー通路40および回収通路41から硬貨を受け入れて収納する位置を収納位置とし、図示しないスライド駆動部にて、収納位置より前方の金庫放出位置と後方の収納返却箱放出位置との間で前後方向にスライドする。この収納一時保留部42は、上下に開口する枠状で、収納位置の下側に図示しない底板が配置されていて硬貨を収納可能とし、前方の金庫放出位置または後方の収納返却箱放出位置にスライドすることで下面が開口されて硬貨を下方へ放出可能とする。

　収納一時保留部42の金庫放出位置の下方には、収納一時保留部42から放出される硬貨を金庫15へ導く図示しないシュートが配設されている。

　収納一時保留部42の収納返却箱放出位置の下方には、収納一時保留部42から放出される硬貨を受け入れる収納返却箱43が配設されている。この収納返却箱43は、入出金部13を機体12から引き出した状態で入出金部13に対して着脱可能とする。

　また、入出金搬送路29は、ベース28の表面に形成されていて硬貨の面が接する通路面46、およびこの通路面46の両側で硬貨の周縁をガイドする両側のガイド部47を備えていている。さらに、入出金搬送路29内の硬貨を搬送する無端状の搬送体としてのベルト48が複数のプーリ49によって掛け回されている。

　図４および図５に示すように、通路面46に対向するベルト48の面からは複数のピン50がベルト長手方向に所定のピッチで突設され、隣り合う２つのピン50の間に硬貨（図面には符号Ｃで示す）を受け入れ、ベルト48の回転によりピン50で硬貨を押動させながら搬送する。

　図４に示すように、ベルト48は、入出金搬送路29の水平搬送領域である第１および第３の搬送路部30，31では、通路幅方向の中央より少し下側を通るように張設されている。これは、通路幅方向の中央をベルト48が通ると、ピン50が小径硬貨を跳び越して搬送不良が生じるおそれがあるが、通路幅方向の中央より少し下側をベルト48が通ることにより、ピン50が小径硬貨を跳び越すのを防止できる。さらに、識別部38は、ベルト48との干渉を避けるように設置されているため、通路幅方向の中央をベルト48が通ると、小径硬貨の上側を識別部38の上側部分で検知するのが困難であるが、通路幅方向の中央より少し下側をベルト48が通ることにより、小径硬貨の上側を識別部38の上側部分で検知でき、識別精度を向上できる。

　ただし、図５に示すように、ベルト48は、入出金搬送路29の縦搬送域である第２の搬送路部31では、硬貨の姿勢が不安定となるのを防止するために通路幅方向の中央を通るようにしている。

　そして、ベルト48は、図示しないモータの駆動により、入金搬送方向F1および出金搬送方向F2の双方向に正逆転し、入出金搬送路29内の硬貨を正逆双方向へ搬送可能としている。

　また、図１に示すように、入出金搬送路29には、入金繰出部35、一時保留部36および各収納繰出部37（入金搬送方向F1の末端に位置する収納繰出部37を除く）の接続部分に、入金繰出部35、一時保留部36および各収納繰出部37と入出金搬送路29との間で硬貨を出し入れするかベルト48で搬送する硬貨を搬送方向下流側へ通過させるかに応じて選択的に振り分ける振分部材52が配設されている。さらに、入出金搬送路29には、各通路40，41の接続部分に、入出金搬送路29から各通路40，41に硬貨を取り込むかベルト48で搬送する硬貨を搬送方向下流側へ通過させるかに応じて選択的に振り分ける振分部材52が配設されている。なお、各振分部材52は、向き等に違いがあるだけで、硬貨を振り分ける基本構造および動作は同一となっている。

　図６には、入金繰出部35の振分部材52を示す。この振分部材52は、硬貨を案内する案内部53と、入金繰出部35の硬貨出入口を閉塞して硬貨の侵入を阻止する閉塞部54と、これら案内部53および閉塞部54を揺動可能に支持する支持部55を一体に備えている。

　案内部53は、入出金搬送路29に対して硬貨をスムーズに出し入れ可能とするように凹曲面状に設けられている。

　閉塞部54には、入金繰出部35の硬貨出入口を閉塞する状態のときに、下側のガイド部47と同一面となって硬貨の周縁をガイドするガイド面56が設けられている。

　支持部55は、入出金搬送路29の幅方向の軸を支点として回動可能とし、ソレノイドなどの電気的駆動手段で回動される。そして、硬貨を入出金搬送路29から入金繰出部35へ振り分けるとき、および硬貨を入金繰出部35から入出金搬送路29へ繰り出すときには、案内部53が入出金搬送路29の通路面46より突出するとともに閉塞部54が入金繰出部35の硬貨出入口を開放状態とした硬貨振分位置に振分部材52が位置する。一方、硬貨を入出金搬送路29から入金繰出部35へ振り分けない、および硬貨を入金繰出部35から入出金搬送路29へ繰り出さないときには、案内部53が入出金搬送路29の通路面46に埋没するとともに閉塞部54が入出金搬送路29の硬貨出入口を閉塞状態とした硬貨通過位置に振分部材52が位置する。入出金搬送路29の通路面46には、案内部53が出没するための開口部が形成されている。振分部材52の案内部53には入出金搬送路29より突出したときにベルト48との干渉を避ける溝部57が形成されている。

　なお、一時保留部36用、各収納繰出部37用および各通路40，41用の各振分部材52は、入金繰出部35用の振分部材52と同様に構成され、電気的駆動手段で駆動される。

　また、図６に示すように、入金繰出部35は、水平方向に対して所定角度で傾斜する位置で回転軸59を中心に回転可能な回転円盤60、この回転円盤60の表面側との間で硬貨を貯留するホッパ61、および入金繰出部35の硬貨出入口の近傍に配置される受渡し円盤62などを備えている。

　回転円盤60は、機体12側に回転可能に取り付けられた回転軸59により、機体12の前面から見て、水平方向に対して右方向に傾斜していて、回転円盤60の左側が高く、右側が低く、回転円盤60の表面が機体12の右斜め上方に対向するように配設されている。回転円盤60は、ベルト48や受渡し円盤62と連動して、硬貨を入出金搬送路29へ繰り出す繰出回転方向（図６の矢印方向）にモータで回転駆動する。回転円盤60は、硬貨詰まりの発生時にその硬貨詰まりの解消のために繰出回転方向と反対の反繰出回転方向に回転駆動可能としてもよい。

　回転円盤60の表面には、中央域に円形の高位部64が形成され、この高位部64の外周域に環状の低位部65が形成されている。回転円盤60の高位部64と低位部65との間には、処理する硬貨のうちの最小硬貨厚みより少し小さい寸法で、硬貨の周縁が厚み方向に１枚載る段差部66が形成されている。

　低位部65には、回転円盤60の表面から突出する複数の拾上部材67が、内周側の円周方向と外周側の円周方向との２列の円周方向に沿って所定ピッチで配置されている。そして、回転円盤60の繰出回転方向への回転時に、内周側の各拾上部材67が段差部66との間で硬貨を１枚ずつ保持して回転円盤60の上部域に拾い上げ、外周側の各拾上部材67が内周側の各拾上部材67で回転円盤60の上部域に拾い上げた硬貨を入金繰出部35の硬貨出入口へ向けて押し出すとともに受渡し円盤62に受け渡すように構成されている。

　段差部66は、各拾上部材67との間で硬貨を１枚ずつ保持可能とする各位置毎に設けられている。したがって、円周方向に複数の段差部66が設けられている。これら段差部66の間には、高位部64と低位部65との段差を傾斜面として、拾上部材67と段差部66とで保持されない硬貨を下方へ滑落させる滑落部68が形成されている。

　回転円盤60の上部域には、拾上部材67で回転円盤60の上部域に拾い上げた硬貨を入金繰出部35の硬貨出入口へ向けて繰り出す案内通路69が形成されている。この案内通路69は、回転円盤60の表面と面一であって入出金搬送路29に連続した通路面46と、上下のガイド部材70，71との間に形成されている。

　上側のガイド部材70は、回転円盤60の上部域から入金繰出部35の硬貨出入口の一方の縁部側にかけて、回転円盤60および通路面46の表面より突出して設けられている。

　下側のガイド部材71は、低位部65の表面に硬貨が入り込まない間隙をあけて対向した状態で、段差部66側から入金繰出部35の硬貨出入口の他方の縁部側にわたって設けられている。このガイド部材71の案内通路69内に臨む内縁は、振分部材52の案内部53に連続する曲面に形成されている。ガイド部材71の低位部65に対向する面には、回転移動する各拾上部材67が通過する溝部72が形成されている。そして、ガイド部材71により、拾上部材67で拾い上げた硬貨を段差部66から受け取って入金繰出部35の硬貨出入口へ案内するように構成されている。

　回転円盤60の低位部65の１箇所であって回転方向の前後に隣り合う拾上部材67の間にセンサ孔73が形成され、図８に示すようにセンサ孔73の位置に対応して検知光を投受光する停止位置検知センサ74が配設されている。そして、停止位置検知センサ74の検知光がセンサ孔73を通じて透光となる停止位置で回転円盤60を停止させるように制御する。この回転円盤60の停止位置では、センサ孔73の付近が案内通路69に臨み、センサ孔73よりも回転方向前側の拾上部材67はガイド部材71の下側に入り込み、センサ孔73よりも回転方向後側の拾上部材67が案内通路69に対向される。図７に示すように、センサ孔73よりも回転方向後側の拾上部材67の回転方向の端部は斜めにカットされた形状に形成されている。

　入出金搬送路29から入金繰出部35内に硬貨を受け入れる際に、回転円盤60の停止位置を制御しなかった場合、拾上部材67と受渡し円盤62との間で硬貨が挟み込まれて硬貨詰まりが発生するおそれがあるが、回転円盤60の停止位置を制御することにより、拾上部材67と受渡し円盤62との間で硬貨が挟み込まれようとしても、拾上部材67の傾斜によって硬貨をすくい上げて入金繰出部35内に落下させ、硬貨詰まりが発生するのを防止することができる。

　また、図６および図８に示すように、ホッパ61は、回転円盤60の表面側に対向して覆うとともに上方から硬貨を受け入れ可能に上方に向けて開口された形状に形成されている。

　ホッパ61の下部には、排出口76が形成され、この排出口76に排出ゲート77が上部側の軸78を支点として開閉可能に取り付けられている。排出ゲート77は、軸78を介してモータやソレノイド等のゲート駆動部により開閉駆動される。

　また、受渡し円盤62は、案内通路69と入出金搬送路29とにまたがった位置に、受渡し円盤62の表面が通路面46と面一となるように回転可能に配置されている。受渡し円盤62の外周縁部には、硬貨に当接して回転円盤60側から入出金搬送路29側へ繰り出す突起80が突設されている。

　受渡し円盤62は、入出金搬送路29のベルト48と連動して回転し、ベルト48が出金搬送方向F2に移動するときには、突起80が入金繰出部35の硬貨出入口から入出金搬送路29内へ移動する繰出回転方向であって、突起80で硬貨を回転円盤60側から入出金搬送路29へ繰り出す繰出回転方向に回転し、また、ベルト48が入金搬送方向F1に移動するときには、突起80が入出金搬送路29側から入金繰出部35の硬貨出入口内へ移動する反繰出回転方向に回転する。

　なお、入金繰出部35について説明したが、一時保留部36および各収納繰出部37についても、基本構成は同一に形成されている。ただし、ホッパ61の排出口76や排出ゲート77などは、一時保留部36に設けられるが、各収納繰出部37には設けられない。

　また、入金繰出部35および一時保留部36の下方には、これらのホッパ61の排出ゲート77が開放されることによって、入金繰出部35に残留する異物や、一時保留部36から返却する硬貨を受け入れる入金返却箱25が配置されている。

　次に、図２および図３に示すように、補充部14は、補充硬貨を収納する複数の補充カセット83、これら補充カセット83から放出される補充硬貨を入金繰出部35および一時保留部36のいずれか一方に搬送する補充搬送路84を備えている。

　複数の補充カセットとしては、補充部14内の上段に配置される一括補充カセット86、この一括補充カセット86の下側であって補充部14内の下段に配置される複数の金種別補充カセット87とを備えている。一括補充カセット86は、底部にベルト88が配置され、このベルト88上に補充硬貨を非整列状態で収納し、ベルト88の回転によって一括補充カセット86の後面の放出口から補充硬貨を放出可能とする。金種別補充カセット87は、金種別に補充硬貨を重積収納し、金種別に補充硬貨を支える底部がソレノイド等の駆動によって開いて金種別に補充硬貨を放出可能とする。

　補充搬送路84は、補充部14の底面から後面にわたって配設された搬送コンベヤ90を備えている。この搬送コンベヤ90には、各補充カセット86，87から放出される補充硬貨を受け入れて横方向へ搬送する横搬送部91、およびこの横搬送部91から補充硬貨を上方に搬送する縦搬送部92が形成されている。

　補充搬送路84は、搬送コンベヤ90の縦搬送部92で上方に搬送された補充硬貨を受け入れて入出金部13へ向けて滑落させる補充シュート93を備えている。この補充シュート93の先端は補充硬貨を一時保留部36に送り込むように配設され、補充シュート93の中間位置には補充硬貨を入金繰出部35に送り込むように補充シュート93から振り分ける振分部94が配設されている。

　また、図示していないが、硬貨処理装置11を制御する制御部、入出金処理に関する操作をする操作部、および各種表示事項を表示する表示部等を備えている。

　次に、第１の実施の形態の作用を説明する。

　まず、図９において、入金処理を説明する。

　図９(a)には、入金処理において、硬貨の計数一時保留動作を示す。

　機体12の上面の入金口21から投入された硬貨は、図示しないシュートを通じて入金繰出部35に一括して受け入れて貯留する。

　入金繰出部35内に受け入れた硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した硬貨を１枚ずつベルト48で出金搬送方向F2に搬送し、この入出金搬送路29内を搬送する硬貨を識別部38で識別する。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別された硬貨は、一時保留部36の振分部材52で入出金搬送路29から一時保留部36に振り分け、一時保留部36内に収納する。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別されなかった硬貨は、一時保留部36の位置を通過して入出金搬送路29の前端へ搬送し、出金切換部39を介してリジェクト口23に放出して返却する。

　また、図９(b)には、入金処理において、一時保留した硬貨の収納動作を示す。

　投入された全ての硬貨の計数一時保留動作が終了した後、操作部の操作で硬貨収納指令が出されると、一時保留部36内の硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した硬貨を１枚ずつベルト48で入金搬送方向F1に搬送し、この入出金搬送路29内を搬送する硬貨を識別部38で識別する。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別された硬貨は、該当金種の硬貨を収納する収納繰出部37の振分部材52で入出金搬送路29から収納繰出部37に振り分け、収納繰出部37内に収納する。

　収納繰出部37の硬貨収納枚数が所定の満杯枚数に達した場合には、それ以降の該当金種の硬貨は、オーバーフロー硬貨とし、オーバーフロー通路40の振分部材52でオーバーフロー通路40に振り分け、オーバーフロー通路40を通じて収納一時保留部42へ送り込んで収納する。

　識別部38でエラーが発生した場合の硬貨は、オーバーフロー通路40の振分部材52でオーバーフロー通路40に振り分け、オーバーフロー通路40を通じて収納一時保留部42へ送り込んで収納する。

　そして、一時保留部36に一時保留した全ての硬貨の収納動作が終了すれば、入金処理を終了する。収納一時保留部42にオーバーフロー硬貨のみが収納されている場合には、収納一時保留部42が前方の金庫放出位置にスライドし、オーバーフロー硬貨を金庫15に放出して収納する。また、収納一時保留部42にエラー発生時の硬貨が収納されている場合には、金庫15へは収納せず、収納一時保留部42が後方の収納返却箱放出位置にスライドし、硬貨を収納返却箱43に放出して収納し、後で収納返却箱43を入出金部13から取り出して目視確認を可能とする。

　また、図９(c)には、入金処理において、一時保留した硬貨の返却動作を示す。

　投入された全ての硬貨の計数一時保留動作が終了した後、操作部の操作で硬貨返却指令が出されると、一時保留部36のホッパ61の排出ゲート77を開き、一時保留部36内に一時保留していた硬貨を一括して下方の入金返却箱25に放出する。同様に、入金繰出部35のホッパ61の排出ゲート77を開き、入金繰出部35から繰り出されずに入金繰出部35内に残留するクリップおよび紙片や変形硬貨等の異物を下方の入金返却箱25に放出する。

　返却硬貨および返却異物を受け入れた入金返却箱25を機体12の前方へ引き出し、返却硬貨および返却異物を取り出すことができる。

　次に、図１０において、出金処理について説明する。この出金処理は、例えばレジスタに予め釣銭として準備する釣銭準備金を出金させるのに用いられる。

　図１０(a)には、出金処理において、硬貨の計数出金動作を示す。

　操作部の操作で出金すべき金種と枚数、または出金すべき金額を含んだ硬貨出金指令を受けると、該当する収納繰出部37内の硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した硬貨を１枚ずつベルト48で出金搬送方向F2に搬送し、この入出金搬送路29内を搬送する硬貨を識別部38で識別する。複数の収納繰出部37から硬貨を投出する場合には、いずれか１つの収納繰出部37から硬貨を投出し、その収納繰出部37からの出金分の硬貨の投出完了後に、次の収納繰出部37から出金分の硬貨を投出するように順番に投出していく。なお、入出金搬送路29に繰り出された硬貨が他の収納繰出部37に対応する振分部材52と干渉しないように、各収納繰出部37内の硬貨を入出金搬送路29へ繰り出すタイミングの整合をとって、該当する複数の収納繰出部37を同時に動作させることもできる。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別された硬貨は、入出金搬送路29の前端へ搬送して出金切換部39を介していずれか一方の出金口22に放出して出金箱24に収納する。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別されなかった硬貨は、一時保留部36の振分部材52で入出金搬送路29から一時保留部36に振り分けて収納する。正常硬貨と識別されなかった硬貨については、収納繰出部37からの投出タイミングとベルト48の搬送によって識別部38に到達するタイミングとから金種がわかるため、該当する金種の収納繰出部37から硬貨１枚分を追加投出する。

　そして、出金分の硬貨を出金箱24に収納した後、出金箱24を機体12の前方へ引き出し、硬貨を取り出すことができる。

　なお、例えば、複数台分のレジスタの釣銭準備金を順次出金させる場合には、２つの出金箱24に対して硬貨を交互に出金させることにより、一方の出金箱24を機体12から引き出して硬貨を取り出している間に、他方の出金箱24に硬貨を出金させることができ、出金処理を効率よくできる。

　また、図１０(b)には、出金処理において、正常硬貨と識別されなかった硬貨の戻し動作を示す。

　正常硬貨と識別されなかった硬貨を収納した一時保留部36から、一時保留部36内の硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した硬貨を１枚ずつベルト48で入金搬送方向F1に搬送し、この入出金搬送路29内を搬送する硬貨を識別部38で識別する。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別されなかった硬貨は、オーバーフロー通路40の振分部材52でオーバーフロー通路40に振り分け、オーバーフロー通路40を通じて収納一時保留部42へ送り込んで収納し、その後、収納一時保留部42が後方の収納返却箱放出位置にスライドして収納返却箱43に収納し、後で収納返却箱43を入出金部13から取り出して目視確認を可能とする。

　次に、図１１において、初期補充処理について説明する。

　図１１(a)には、初期補充処理において、一括補充カセット86から一時保留部36への補充硬貨の搬送動作を示す。

　一括補充カセット86には、複数金種混合状態の補充硬貨が非整列状態で収納されている。操作部の操作で初期補充指令が出されると、一括補充カセット86のベルト88が回転し、一括補充カセット86内の補充硬貨を一括補充カセット86の後面の放出口から放出する。一括補充カセット86から放出された補充硬貨は、搬送コンベヤ90の横搬送部91に受け入れ、この搬送コンベヤ90の縦搬送部92で上方へ搬送し、縦搬送部92の上部から補充シュート93に放出し、補充シュート93を通じて一時保留部36へ送り込む。

　また、図１１(b)には、初期補充処理において、収納繰出部37への補充硬貨の補充動作を示す。

　一時保留部36内の補充硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した補充硬貨を１枚ずつベルト48で入金搬送方向F1に搬送し、この入出金搬送路29内を搬送する補充硬貨を識別部38で識別する。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別された補充硬貨は、該当金種の補充硬貨を収納する収納繰出部37の振分部材52で入出金搬送路29から収納繰出部37に振り分け、収納繰出部37内に収納する。

　収納繰出部37の硬貨収納枚数が所定の満杯枚数に達した場合には、それ以降の該当金種の補充硬貨は、オーバーフロー硬貨とし、オーバーフロー通路40の振分部材52でオーバーフロー通路40に振り分け、オーバーフロー通路40を通じて収納一時保留部42へ送り込んで収納する。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別されなかった補充硬貨は、入金繰出部35の振分部材52で入出金搬送路29から入金繰出部35に振り分け、入金繰出部35内に収納する。

　そして、補充部14から一時保留部36に送り込まれた全ての補充硬貨の収納動作が収納すれば、初期補充処理を終了する。収納一時保留部42にオーバーフロー硬貨のみが収納されている場合、すなわち補充処理が正常終了した場合には、収納一時保留部42が前方の金庫放出位置にスライドし、オーバーフロー硬貨を金庫15に放出して収納する。また、収納一時保留部42にエラー発生時の硬貨が収納されている場合、すなわち補充処理がエラー終了した場合には、金庫15へは収納せず、収納一時保留部42が後方の収納返却箱放出位置にスライドし、補充硬貨を収納返却箱43に放出して収納し、後で収納返却箱43を入出金部13から取り出して目視確認を可能とする。

　また、図１１(c)には、初期補充処理において、正常硬貨と識別されなかった補充硬貨の返却動作を示す。

　入金繰出部35に正常硬貨と識別されなかった補充硬貨が収納されている場合には、入金繰出部35内の補充硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した補充硬貨を１枚ずつベルト48で出金搬送方向F2に搬送し、この入出金搬送路29の前端から出金切換部39を介してリジェクト口23に放出して返却する。

　次に、図１２において、硬貨処理装置11の運用中に硬貨の不足が発生した金種について補充硬貨を追加補充する追加補充処理について説明する。

　図１２(a)には、追加補充処理において、金種別補充カセット87から入金繰出部35への補充硬貨の搬送動作を示す。

　金種別補充カセット87には、金種別に補充硬貨が収納されている。制御部による自動制御または操作部の操作で追加補充指令が出されると、追加補充の該当金種のみを金種別補充カセット87から下方へ放出する。金種別補充カセット87から放出された補充硬貨は、搬送コンベヤ90の横搬送部91に受け入れ、この搬送コンベヤ90の縦搬送部92で上方へ搬送し、縦搬送部92の上部から補充シュート93に放出し、補充シュート93および振分部94を通じて入金繰出部35へ送り込む。

　また、図１２(b)には、追加補充処理において、入金繰出部35から繰り出す補充硬貨の計数一時保留動作を示す。

　入金繰出部35内に受け入れた補充硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した補充硬貨を１枚ずつベルト48で出金搬送方向F2に搬送し、この入出金搬送路29内を搬送する補充硬貨を識別部38で識別する。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別された補充硬貨は、一時保留部36の振分部材52で入出金搬送路29から一時保留部36に振り分け、一時保留部36内に収納する。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別されなかった補充硬貨は、一時保留部36の位置を通過して入出金搬送路29の前端へ搬送し、出金切換部39を介してリジェクト口23に放出して返却する。

　また、図１２(c)には、追加補充処理において、収納繰出部37への補充硬貨の補充動作を示す。

　追加補充する全ての補充硬貨の計数一時保留動作が終了した後、一時保留部36内の補充硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した補充硬貨を１枚ずつベルト48で入金搬送方向F1に搬送し、この入出金搬送路29内を搬送する補充硬貨を識別部38で識別する。

　識別部38でエラーが発生した場合の補充硬貨は、オーバーフロー通路40の振分部材52でオーバーフロー通路40に振り分け、オーバーフロー通路40を通じて収納一時保留部42へ送り込んで収納する。

　そして、一時保留部36に一時保留した全ての補充硬貨の収納動作が収納すれば、追加補充処理を終了する。収納一時保留部42にオーバーフロー硬貨のみが収納されている場合、すなわち補充処理が正常終了した場合には、収納一時保留部42が前方の金庫放出位置にスライドし、オーバーフロー硬貨を金庫15に放出して収納する。また、収納一時保留部42にエラー発生時の補充硬貨が収納されている場合、すなわち補充処理がエラー終了した場合には、収納一時保留部42が後方の収納返却箱放出位置にスライドし、硬貨を収納返却箱43に放出して収納し、後で収納返却箱43を入出金部13から取り出して目視確認を可能とする。

　次に、図１３において、各収納繰出部37に収納されている硬貨を精査する精査処理について説明する。

　図１３(a)には、精査処理において、収納繰出部37から一時保留部36への硬貨の計数一時保留動作を示す。

　自動精査指令を受けると、いずれか１つの収納繰出部37から、収納繰出部37内の硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した硬貨を１枚ずつベルト48で出金搬送方向F2に搬送し、この入出金搬送路29内を搬送する硬貨を識別部38で識別する。

　識別部38で識別した硬貨は、一時保留部36の振分部材52で入出金搬送路29から一時保留部36に振り分けて収納する。

　また、図１３(b)には、精査処理において、一時保留部36から収納繰出部37への硬貨の戻し動作を示す。

　精査する収納繰出部37内の全ての硬貨を識別して一時保留部36に移動させた後、一時保留部36内の硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した硬貨を１枚ずつベルト48で入金搬送方向F1に搬送し、この入出金搬送路29内を搬送する硬貨を識別部38で識別する。

　識別部38で識別した硬貨は、該当金種の硬貨を収納する収納繰出部37の振分部材52で入出金搬送路29から収納繰出部37に振り分け、収納繰出部37内に収納して戻す。

　このとき、収納繰出部37内の硬貨を一時保留部36に移動させるときと元に戻すときとで識別部38で硬貨を２度識別でき、自動精査を正確にできる。

　そして、このような収納繰出部37から一時保留部36への硬貨の識別および移動後、一時保留部36から元の収納繰出部37への硬貨の識別および移動を、全ての収納繰出部37について順番に実施し、機体12内の全ての収納繰出部37に収納された硬貨を精査する。

　次に、図１４において、回収処理について説明する。

　操作部の操作で回収指令が出されると、収納繰出部37内の硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した硬貨を１枚ずつベルト48で出金搬送方向F2に搬送し、この入出金搬送路29内を搬送する硬貨を識別部38で識別する。複数の収納繰出部37から硬貨を投出する場合には、いずれか１つの収納繰出部37から硬貨を投出し、その収納繰出部37からの全ての硬貨の投出完了後に、次の収納繰出部37から硬貨を投出するように順番に投出していく。なお、入出金搬送路29に繰り出された硬貨が他の収納繰出部37に対応する振分部材52と干渉しないように、各収納繰出部37内の硬貨を入出金搬送路29へ繰り出すタイミングの整合をとって、該当する複数の収納繰出部37を同時に動作させることもできる。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別された硬貨は、回収通路41の振分部材52で入出金搬送路29から回収通路41に振り分け、回収通路41を通じて収納一時保留部42へ送り込んで収納する。その後、正常硬貨と識別されている硬貨が収納された収納一時保留部42が前方の金庫放出位置にスライドし、硬貨を金庫15に放出して回収する。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別されなかった硬貨は、入出金搬送路29の前端へ搬送して出金切換部39を介してリジェクト口23に放出する。

　識別部38でエラーが発生した場合の硬貨は、回収通路41の振分部材52で入出金搬送路29から回収通路41に振り分け、回収通路41を通じて収納一時保留部42へ送り込んで収納した後、収納一時保留部42が後方の収納返却箱放出位置にスライドすることで収納返却箱43に放出して収納し、後で収納返却箱43を入出金部13から取り出して目視確認を可能とする。なお、識別部38で正常硬貨と識別された硬貨についても、エラー発生時の硬貨と同様に処理してもよい。

　そして、硬貨が収納された金庫15を機体12内から取り出して硬貨を回収する。

　このように構成された硬貨処理装置11では、入金繰出部35、一時保留部36、および複数の収納繰出部37のそれぞれに、水平方向に対して所定角度に傾斜する位置で回転する回転円盤60およびこの回転円盤60の表面側に硬貨を非整列状態で収納するホッパ61を備え、入出金搬送路29から硬貨を受け入れたり回転円盤60の回転によって硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29へ繰り出す構成を用いたため、一度に大量の硬貨を取り扱うことができ、それでいて搬送構造が簡素化できて小型かつ安価に構成でき、硬貨詰まり等のトラブルの発生も低減でき、また、補充部14からの補充硬貨を入金繰出部35や一時保留部36に補充でき、大量の出金にも対応できる。

　また、入出金搬送路29には、機体12の前側から、リジェクト口23、一時保留部36、識別部38、入金繰出部35および収納繰出部37の順に配置しているため、入金繰出部35から繰り出した硬貨を識別部38で識別し、正常硬貨を一時保留部36に送り込めるとともに、正常硬貨と識別されなかった硬貨を一時保留部36の前側のリジェクト口23に短い距離で送り込むことができ、硬貨詰まり等のトラブルの発生を防止できる。

　また、一時保留部36に一時保留した硬貨の返却時に、一時保留部36のホッパ61の下部を開いて硬貨を入金返却箱25に一括放出するため、硬貨の再搬送が必要なく、硬貨の返却を迅速にできるとともに、硬貨詰まり等の発生を防止できる。

　入金繰出部35のホッパ61の下部を開いて繰り出されずに残留する異物を入金返却箱25に放出し、その入金返却箱25を機体12外に取り出して入金返却箱25内の異物を返却できる。

　また、一時保留部36から入出金搬送路29へ繰り出した硬貨を識別後に収納繰出部37に収納させる際、収納繰出部37が満杯となった金種の硬貨、および正常硬貨と識別されなかった硬貨を入出金搬送路29からオーバーフロー通路40に分岐して収納一時保留部42に収納し、収納一時保留部42に正常硬貨と識別されなかった硬貨が収納されている場合には、収納一時保留部42に収納された硬貨を収納返却箱43に移し、この収納返却箱43を機体12外に取り出して収納返却箱43内の正常硬貨と識別されなかった硬貨を確認でき、また、収納一時保留部42に正常硬貨のみが収納されている場合には、収納一時保留部42に収納された硬貨を入出金部13の下方に配置された金庫15に収納できる。

　収納一時保留部42の下方に金庫15および収納返却箱43を配置し、この収納一時保留部42のスライドによって収納一時保留部42内の硬貨を金庫15や収納返却箱43に落下させて送り込むことができ、搬送構造を簡素化できる。

　また、複数の出金口22を備え、これら出金口22のいずれかに切り換えて硬貨を出金させることができるため、出金口22からの硬貨の取出操作のために処理が中断させる機会や時間を少なくでき、処理時間を短縮できる。

　また、入出金部13の入金繰出部35、一時保留部36、および複数の収納繰出部37が、水平方向に対して所定角度に傾斜する位置で回転する回転円盤60およびこの回転円盤60の表面側に硬貨を非整列状態で収納するホッパ61を備えた構成で、比較的幅が狭いため、入出金部13の側部に並べて補充部14を配置してもその幅を許容範囲内に収めることができ、高さや奥行きの寸法を小さくできる。

　補充部14の補充搬送路84では、補充カセット83から放出される補充硬貨を横搬送部91に受け入れて縦搬送部92で上方に搬送するため、補充硬貨を入金繰出部35や一時保留部36に落下させて送り込むことが可能となり、搬送構造を簡素化できる。

　補充カセット83として補充硬貨を非整列状態で収納するとともに放出可能とする一括補充カセット86を備えるため、複数の金種の硬貨を一度に補充する初期補充に対応できる。

　補充カセット83として補充硬貨を金種別に収納するとともに金種毎に放出可能とする金種別補充セカット87を備えるため、不足する金種の硬貨のみを補充する追加補充に対応できる。

　次に、図１５ないし図２０に第２の実施の形態を示す。

　なお、第１の実施の形態の硬貨処理装置11と同様の構成については同一符号を用いてその説明を省略し、主に相違する点について説明する。

　図１５に示すように、第２の実施の形態の硬貨処理装置11では、金庫15、入金返却箱25、収納一時保留部42および収納返却箱43が用いられず、入出金部13の下側に補充部14が配置されている。

　入出金部13の入出金搬送路29では、機体12の上部側に第１の搬送路部30が配置され、この第１の搬送路部30の下方に第２の搬送路部31が配置され、これら第１の搬送路部30の後部と第２の搬送路部31の後部とが第３の搬送路部32で接続されている。

　第１の搬送路部30には、中央付近に入金繰出部35が接続配置され、この入金繰出部35より前側に一時保留部36が接続配置され、入金繰出部35より後側に複数の収納繰出部37が接続配置され、入金繰出部35と一時保留部36との間に識別部38が配設されている。第２の搬送路部31には、複数の収納繰出部37が接続配置されている。

　第１の搬送路部30の前端は機体12の前面に設けられた出金口22およびリジェクト口23の上方に配置され、第１の搬送路部30の前端へ搬送する硬貨を図示しない出金切換部を介して出金口22とリジェクト口23と補充部14側とのいずれかへ切り換えて送り込むように構成されている。

　第１の搬送路部30の入金繰出部35と識別部38との間に分岐部101が設けられ、この分岐部101で分岐した硬貨を補充部14の補充カセット83に導くオーバーフロー通路102が設けられている。

　一時保留部36の下方に出金口22が配置され、一時保留部36のホッパ61の排出ゲート77を開いて放出する硬貨を出金口22に直接送り込むことが可能となっている。

　また、補充部14は、補充カセット83として一括補充カセット86を備えるとともに、この一括補充カセット86から放出される補充硬貨を一時保留部36へ搬送する補充搬送路84を備えている。

　一括補充カセット86には、第１の搬送路部30の前端から出金切換部を介して補充部14側に送り込まれる硬貨を収納するリジェクトボックス103が設けられている。

　次に、第２の実施の形態の作用を説明する。

　まず、図１６において、入金処理について説明する。

　図１６(a)には、入金処理において、硬貨の計数一時保留動作を示す。

　機体12の上面の入金口21から投入された硬貨を、入金繰出部35に一括して受け入れて貯留する。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別されなかった硬貨は、一時保留部36の位置を通過して入出金搬送路29の前端へ搬送し、出金切換部を介してリジェクト口23に放出して返却する。

　また、図１６(b)には、入金処理において、一時保留した硬貨の収納動作を示す。

　収納繰出部37の硬貨収納枚数が所定の満杯枚数に達した場合には、それ以降の該当金種の硬貨は、オーバーフロー硬貨とし、オーバーフロー通路102の分岐部101でオーバーフロー通路102に分岐し、オーバーフロー通路102を通じて一括補充カセット86へ送り込んで収納する。

　また、図１６(c)には、入金処理において、一時保留した硬貨の返却動作を示す。

　投入された全ての硬貨の計数一時保留動作が終了した後、操作部の操作で硬貨返却指令が出されると、一時保留部36のホッパ61の排出ゲート77を開き、一時保留部36内に一時保留していた硬貨を一括して下方の出金口22に放出して返却する。

　次に、図１７において、出金処理について説明する。この出金処理は、例えばレジスタに予め釣銭として準備する釣銭準備金を出金させるのに用いられる。

　図１７(a)には、出金処理において、硬貨の計数出金動作を示す
　操作部の操作で出金すべき金種と枚数、または出金すべき金額を含んだ硬貨出金指令を受けると、該当する収納繰出部37内の硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した硬貨を１枚ずつベルト48で出金搬送方向F2に搬送し、この入出金搬送路29内を搬送する硬貨を識別部38で識別する。複数の収納繰出部37から硬貨を投出する場合には、いずれか１つの収納繰出部37から硬貨を投出し、その収納繰出部37からの出金分の硬貨の投出完了後に、次の収納繰出部37から出金分の硬貨を投出するように順番に投出していく。なお、入出金搬送路29に繰り出された硬貨が他の収納繰出部37に対応する振分部材52と干渉しないように、各収納繰出部37内の硬貨を入出金搬送路29へ繰り出すタイミングの整合をとって、該当する複数の収納繰出部37を同時に動作させることもできる。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別された硬貨は、入出金搬送路29の前端へ搬送して出金切換部を介して出金口22に放出して出金する。

　また、図１７(b)には、出金処理において、正常硬貨と識別されなかった硬貨の戻し動作を示す。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別されなかった硬貨は、一旦、入金繰出部35に振り分けて収納した後、この入金繰出部35から入出金搬送路29に繰り出し、入出金搬送路29の前端へ搬送して出金切換部を介してリジェクトボックス103に送り込んで収納し、後でリジェクトボックス103を補充部14から取り出して目視確認を可能とする。

　次に、図１８において、補充処理について説明する。

　一括補充カセット86には、複数金種混合状態の補充硬貨が非整列状態で収納されている。操作部の操作や制御部の自動制御で補充指令が出されると、一括補充カセット86のベルト88が回転し、一括補充カセット86内の補充硬貨を一括補充カセット86の後面の放出口から放出する。一括補充カセット86から放出された補充硬貨は、搬送コンベヤ90の横搬送部91に受け入れ、この搬送コンベヤ90の縦搬送部92で上方へ搬送し、縦搬送部92の上部から一時保留部36へ送り込む。

　収納繰出部37の硬貨収納枚数が所定の満杯枚数に達した場合には、それ以降の該当金種の補充硬貨は、オーバーフロー硬貨とし、オーバーフロー通路102の分岐部101でオーバーフロー通路102に振り分け、オーバーフロー通路102を通じて一括補充カセット86へ送り込んで収納する。

　そして、補充部14から一時保留部36に送り込まれた全ての補充硬貨の収納動作が収納すれば、補充処理を終了する。

　入金繰出部35に正常硬貨と識別されなかった補充硬貨が収納されている場合には、入金繰出部35内の補充硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した補充硬貨を１枚ずつベルト48で出金搬送方向F2に搬送し、この入出金搬送路29の前端から出金切換部を介してリジェクト口23に放出して返却する。

　なお、例えば入金処理時のオーバーフロー硬貨が一括補充カセット86に収納されるため、硬貨処理装置11の運用によって、収納繰出部37内の硬貨不足が発生したときに、一括補充カセット86から硬貨を繰り出して収納繰出部37に補充することにより、入金硬貨を出金硬貨としてリサイクルすることができる。

　次に、図１９において、各収納繰出部37に収納されている硬貨を精査する精査処理について説明する。

　図１９(a)には、精査処理において、収納繰出部37から一時保留部36への硬貨の計数一時保留動作を示す。

　また、図１９(b)には、精査処理において、一時保留部36から収納繰出部37への硬貨の戻し動作を示す。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別された硬貨は、該当金種の硬貨を収納する収納繰出部37の振分部材52で入出金搬送路29から収納繰出部37に振り分け、収納繰出部37内に収納して戻す。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別されなかった硬貨は、入金繰出部35の振分部材52で入出金搬送路29から入金繰出部35に振り分け、入金繰出部35内に収納する。

　また、図１９(c)には、精査処理において、正常硬貨と識別されなかった硬貨のリジェクトボックス103への搬送動作を示す。

　入金繰出部35に正常硬貨と識別されなかった硬貨が収納されている場合には、入金繰出部35内の硬貨を１枚ずつ入出金搬送路29に繰り出し、この入出金搬送路29内に繰り出した補充硬貨を１枚ずつベルト48で出金搬送方向F2に搬送し、この入出金搬送路29の前端から出金切換部を介してリジェクトボックス103に送り込んで収納する。なお、この硬貨を搬送する際に、再識別して正常硬貨と識別された場合には、一旦、一時保留部36に振り分けた後、この一時保留部36から繰り出して元の収納繰出部37に戻すようにしてもよい。

　次に、図２０において、回収処理について説明する。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別された硬貨は、入出金搬送路29の前端から出金切換部を介して一括補充カセット86へ送り込んで収納する。

　識別部38での識別の結果、正常硬貨と識別されなかった硬貨は、入出金搬送路29の前端から出金切換部を介してリジェクトボックス103へ送り込んで収納する。

　そして、硬貨が収納された一括補充カセット86を機体12内から取り出して硬貨を回収する。

　このように構成された硬貨処理装置11では、補充部14を入出金部13の下方に配置するため、機体12の幅および奥行きを小さくできる。

　一時保留部36から入出金搬送路29へ繰り出した硬貨を識別後に収納繰出部37に収納させる際、収納繰出部37が満杯となった金種の硬貨は、入出金搬送路29からオーバーフロー通路102に分岐して補充部14の一括補充カセット86に収納するため、補充硬貨として利用できる。

　補充部14の一括補充カセット86にリジェクトボックス103を設けたため、識別部38で正常硬貨と識別されなかった硬貨を収納し、回収できる。

　一時保留部36のホッパ61の下部を開いて硬貨を出金口22へ一括放出できるため、硬貨の再搬送が必要なく、硬貨の返却を迅速にできるとともに、硬貨詰まり等の発生を防止できる。

　本発明は、小売りの店舗等で用いられる入金機能と釣銭準備金の出金機能を有する硬貨処理装置などに利用される。

Claims

　硬貨処理装置において、
　硬貨の入出金を処理する入出金部、およびこの入出金部に補充硬貨を補充する補充部を具備し、
　前記入出金部は、
　機体外から硬貨を受け入れる入金口と、
　硬貨を搬送する入出金搬送路と、
　水平方向に対して所定角度に傾斜する位置で回転する回転円盤およびこの回転円盤の表面側に硬貨を非整列状態で収納するホッパを備え、前記入金口から受け入れた硬貨を受収し、前記回転円盤の回転により硬貨を１枚ずつ前記入出金搬送路へ繰り出す入金繰出部と、
　この入金繰出部から繰り出されて前記入出金搬送路で搬送する硬貨を識別する識別部と、
　水平方向に対して所定角度に傾斜する位置で回転する回転円盤およびこの回転円盤の表面側に硬貨を非整列状態で収納するホッパを備え、前記識別部で正常硬貨と識別された硬貨を前記入出金搬送路から受け入れて収納し、硬貨収納指令時に前記回転円盤の回転により硬貨を１枚ずつ前記入出金搬送路へ繰り出す一時保留部と、
　前記識別部で正常硬貨と識別されなかった硬貨を前記機体外に返却するリジェクト口と、
　水平方向に対して所定角度に傾斜する位置で回転する回転円盤およびこの回転円盤の表面側に硬貨を非整列状態で収納するホッパを備え、前記硬貨収納指令時に前記一時保留部から繰り出されて前記入出金搬送路で搬送する硬貨を前記識別部での識別結果に応じて前記入出金搬送路から受け入れて収納するとともに、硬貨出金指令時に前記回転円盤の回転により硬貨を１枚ずつ前記入出金搬送路へ繰り出す複数の収納繰出部と、
　前記硬貨出金指令時に前記収納繰出部から繰り出されて前記入出金搬送路で搬送する硬貨を前記機体外に出金する出金口とを備え、
　前記補充部は、
　補充硬貨を収納し放出可能とする補充カセットと、
　この補充カセットから放出される補充硬貨を前記入金繰出部および前記一時保留部のいずれか一方に搬送する補充搬送路とを備えている
　ことを特徴とする硬貨処理装置。
　前記入出金搬送路には、前記機体の前側から、前記リジェクト口、前記一時保留部、前記識別部、前記入金繰出部および前記収納繰出部の順に配置されている
　ことを特徴とする請求項１記載の硬貨処理装置。
　前記補充搬送路は、前記補充カセットから放出される補充硬貨を受け入れて横方向へ搬送する横搬送部、およびこの横搬送部から補充硬貨を上方に搬送する縦搬送部を備えている
　ことを特徴とする請求項１記載の硬貨処理装置。
　前記補充カセットは、補充硬貨を非整列状態で収納するとともに放出可能とする
　ことを特徴とする請求項１記載の硬貨処理装置。
　前記補充カセットは、補充硬貨を金種別に収納するとともに金種毎に放出可能とする
　ことを特徴とする請求項１記載の硬貨処理装置。
　前記補充部は、前記入出金部の側部に並んで配置されている
　ことを特徴とする請求項１記載の硬貨処理装置。
　前記一時保留部は、前記ホッパの下部を開いて硬貨を放出可能とし、
　前記入出金部は、前記一時保留部から放出される硬貨を受け入れ、前記機体外に取出可能とする入金返却箱を備えている
　ことを特徴とする請求項１記載の硬貨処理装置。
　前記入金繰出部は、前記ホッパの下部を開いて残留する異物を放出可能とし、
　前記入金返却箱は、前記入金繰出部から放出される異物を受け入れる
　ことを特徴とする請求項７記載の硬貨処理装置。
　前記入出金部の下方に配置された金庫を具備し、
　前記入出金部は、
　前記硬貨収納指令時に前記一時保留部から繰り出されて前記入出金搬送路で搬送する硬貨を前記識別部で識別した結果、前記収納繰出部が満杯となった金種の硬貨、および正常硬貨と識別されなかった硬貨を前記入出金搬送路から分岐するオーバーフロー通路と、
　前記機体外に取出可能とする収納返却箱と、
　前記オーバーフロー通路に分岐された硬貨を受け入れて収納し、正常硬貨のみが収納された場合には硬貨を前記金庫に収納させ、正常硬貨と識別されない硬貨が収納された場合には硬貨を前記収納返却箱に収納させる収納一時保留部とを備えている
　ことを特徴とする請求項１記載の硬貨処理装置。
　前記金庫部および前記収納返却箱は、前記収納一時保留部の下方に配置され、
　前記収納一時保留部は、硬貨を収納する収納位置、収納した硬貨を前記金庫部に放出する金庫部放出位置、および前記収納返却箱に放出する収納返却箱放出位置にスライド可能とする
　ことを特徴とする請求項９記載の硬貨処理装置。
　前記出金口は、複数設けられ、
　これら出金口のいずれかに切り換えて前記入出金搬送路で搬送してくる硬貨を出金させる出金切換部を備えている
　ことを特徴とする請求項１記載の硬貨処理装置。
　前記補充部は、前記入出金部の下方に配置されている
　ことを特徴とする請求項１記載の硬貨処理装置。
　前記入出金部は、前記硬貨収納指令時に前記一時保留部から繰り出されて前記入出金搬送路で搬送する硬貨を前記識別部で識別した結果、前記収納繰出部が満杯となった金種の硬貨を前記入出金搬送路から分岐して前記補充部の前記補充カセットに収納させるオーバーフロー通路を備えている
　ことを特徴とする請求項１２記載の硬貨処理装置。
　前記補充部の前記補充カセットに、前記識別部で正常硬貨と識別されなかった硬貨が前記入出金搬送路から送り込まれて収納するリジェクトボックスが設けられている
　ことを特徴とする請求項１２記載の硬貨処理装置。
　前記一時保留部は、前記ホッパの下部を開いて硬貨を前記出金口および前記リジェクトボックスの少なくともいずれか一方へ放出可能とする
　ことを特徴とする請求項１４記載の硬貨処理装置。