以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図9は、本実施の形態による硬貨処理装置およびこの硬貨処理装置による硬貨処理方法を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による硬貨処理装置の内部構成を示す側面図であり、図2は、図1に示す硬貨処理装置の内部構成を示す正面図である。また、図3は、図1等に示す硬貨処理装置における搬送部、入金繰出部、収納繰出部、一時保留部等の構成の詳細を示す側面図である。また、図4(a)(b)は、図1等に示す硬貨処理装置に設けられた硬貨分岐機構のゲート部の構成を示す側面図であり、図5(a)(b)は、図1等に示す硬貨処理装置に設けられた硬貨分岐機構のゲート部および駆動部の構成を示す斜視図である。また、図6は、図1等に示す硬貨処理装置の制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図7乃至図9は、それぞれ、図1等に示す硬貨処理装置による硬貨の入金処理、出金処理、回収処理の動作を示す図である。
図1および図2に示すように、本実施の形態による硬貨処理装置10は略直方体形状の機体12を有しており、この機体12内の上部には硬貨の入出金処理を行う入出金部13が配設されている。また、機体12内の下部には、入出金部13に硬貨を補充するとともに入出金部13から硬貨を受け入れる補充回収部14が配設されている。なお、図1における機体12の左側の面は当該機体12の前面となっており、機体12の右側の面は当該機体12の後面となっている。すなわち、図1における右方向が機体12の奥行き方向となっている。
機体12の前面上部には、入金する硬貨を受け入れるとともに内部から送り出される硬貨を払い出す入出金口21が設けられている。また、機体12の前面には、入金する硬貨と一緒に混入した異物等を返却する異物返却口22が設けられている。
入出金口21の下側には、硬貨を受収する受皿23が配設されており、この受皿23の反転によって当該受皿23に受収された硬貨を下方へ放出可能としている。
図2に示すように、入出金部13内には、前面(図2の紙面の手前側)から見て上部が左側方向に所定角度で傾斜するベース24が配設されている。また、このベース24の上方に臨む表面側に、図3に示すような硬貨の搬送を行う硬貨搬送部25がベース24と同様に傾斜状態で配設されている。図1に示すように、硬貨搬送部25は、機体12の前後方向(図1における左右方向)に略水平に延びるよう設けられる第1の搬送部分26、この第1の搬送部分26の上方で機体12の前後方向に略水平に延びるよう設けられる第2の搬送部分27、ならびにこれらの第1の搬送部分26と第2の搬送部分27との後部間を上下方向に接続する第3の搬送部分28を有している。ここで、第2の搬送部分27から第3の搬送部分28および第1の搬送部分26へ向けて硬貨を搬送する方向を収納搬送方向F1(すなわち、後述する各収納繰出部32に硬貨を収納させる搬送方向)と呼び、逆に、第1の搬送部分26から第3の搬送部分28および第2の搬送部分27へ向けて硬貨を搬送する方向を繰出搬送方向F2(すなわち、後述する各収納繰出部32から繰り出された硬貨の搬送方向)と呼ぶ。
図1に示すように、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26の前側に入金繰出部31が接続配置され、この第1の搬送部分26における入金繰出部31より後側および第2の搬送部分27に金種別の複数(具体的には、6つ)の収納繰出部32が接続配置されている。入金繰出部31および各収納繰出部32は、それぞれ、複数の突起31b、32bを有する回転円盤31a、32aと、カバー(図示せず)とで囲まれた空間(すなわち、ホッパ)に硬貨を収納し、また、回転円盤31a、32aが傾斜した姿勢で回転することにより突起31b、32bが硬貨を拾い上げて硬貨搬送部25に1枚ずつ繰り出すようになっている。ここで、6つの収納繰出部32のうち、第1の搬送部分26に接続するよう設けられた4つの収納繰出部32は、図1や図3における左側から順に1円硬貨、50円硬貨、500円硬貨および5円硬貨をそれぞれ収納するようになっている。また、6つの収納繰出部32のうち、第2の搬送部分27に接続するよう設けられた2つの収納繰出部32は、図1や図3における右側から順に10円硬貨および100円硬貨をそれぞれ収納するようになっている。すなわち、6つの収納繰出部32は、繰出搬送方向F2における上流側から順に1円硬貨、50円硬貨、500円硬貨、5円硬貨、10円硬貨および100円硬貨をそれぞれ収納するようになっている。
また、第2の搬送部分27における各収納繰出部32より前側に一時保留部38が接続配置され、第2の搬送部分27の前端が入出金口21に接続されている。一時保留部38は、入金繰出部31や各収納繰出部32と同様に、複数の突起38bを有する回転円盤38aと、カバー(図示せず)とで囲まれた空間(すなわち、ホッパ)に硬貨を収納し、また、回転円盤38aが傾斜した姿勢で回転することにより突起38bが硬貨を拾い上げて硬貨搬送部25に1枚ずつ繰り出すようになっている。また、図1や図3に示すように、硬貨搬送部25において繰出搬送方向F2に搬送される硬貨が一時保留部38に収納されるとともに、この一時保留部38から硬貨搬送部25に繰り出された硬貨は収納搬送方向F1に搬送されるようになっている。
入金繰出部31は、入出金口21および受皿23の下方に位置し、受皿23から放出される硬貨をシュート30を介して受収可能となっている。また、入金繰出部31は、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26において収納搬送方向F1に搬送される硬貨を受け入れ可能とするとともに第1の搬送部分26に対して硬貨を繰出搬送方向F2に繰り出し可能となっている。各収納繰出部32は、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26や第2の搬送部分27において収納搬送方向F1に搬送される硬貨を分岐して受け入れ可能とするとともに第1の搬送部分26や第2の搬送部分27に対して硬貨を繰出搬送方向F2に繰り出し可能となっている。また、一時保留部38は、硬貨搬送部25の第2の搬送部分27において繰出搬送方向F2に搬送される硬貨を分岐して受け入れ可能とするとともに第2の搬送部分27に対して硬貨を収納搬送方向F1に繰り出し可能となっている。
硬貨搬送部25における第2の搬送部分27には、一時保留部38と収納繰出部32との間において、搬送される硬貨の少なくとも金種、真偽、正損等を適宜選択して識別する識別部33が配設されている。
硬貨搬送部25は、ベース24の表面に形成されていて硬貨の面が接する搬送面250、およびこの搬送面250の両側で硬貨の周縁をガイドする両側のガイド部(図示せず)を有している。また、図3に示すように、硬貨搬送部25は、硬貨を一層一列状態で搬送するループ形状の搬送体としての歯付ベルトであるベルト43を有しており、このベルト43は歯付プーリである複数のプーリ44によって掛け回されている。ベルト43には、当該ベルト43の下面から下方に向かって突出し、硬貨搬送部25の搬送面250上の硬貨を1枚ずつ押動搬送する複数のピン43a(図4参照)がベルト43の長手方向に沿って所定の間隔毎に設けられている。ここで、ベルト43のピン43aが設けられる部分の歯は、他の部分よりも大きくなっている。また、プーリ44においても歯の谷部が大きい箇所を設け、ベルト43のピン43aと噛み合うようにしている。なお、各プーリ44の歯の数は、ベルト43のピンのピッチの整数倍に相当する歯の数となっており、プーリ44の回転位置を検知すればベルト43のピンの位置を検知することができるようになっている。また、複数のピン43aの間隔は、搬送方向前後のピン43a間に硬貨を1枚ずつ受け入れて搬送可能とする寸法とされている。ピン43aと硬貨搬送部25の搬送面250との間には、処理されるべき硬貨のうちの最小厚み硬貨の厚みよりも小さい寸法の間隙が空けられている。
本実施の形態では、図1や図3に示すように、硬貨搬送部25における硬貨搬送路は概ねループ形状となっている。また、硬貨搬送部25において、複数のプーリ44のうちある一つのプーリ44に接続された図示しないモータの駆動により、ベルト43は収納搬送方向F1および繰出搬送方向F2の双方向に正逆転し、硬貨を正逆双方向へ搬送可能としている。
また、図3に示すように、硬貨搬送部25にはベルト43の長手方向に沿って複数の光学式の通過センサ29aが設けられており、ベルト43により搬送される硬貨が各通過センサ29aを通過したときにこのことが通過センサ29aによって検知されるようになっている。通過センサ29aは概ね後述する振分部材47や後述する4つの硬貨分岐機構200a〜200dの各々にそれぞれ対応して配設されている。また、図3に示すように、硬貨搬送部25の第2の搬送部分27における入出金口21側の端部にも光学式の通過センサ29bが設けられており、ベルト43によって搬送される硬貨が硬貨搬送部25の第2の搬送部分27から入出金口21の受皿23に放出される際にこの硬貨が通過センサ29bを通過したときにはこのことが通過センサ29bにより検知されるようになっている。
また、図1および図3に示すように、硬貨搬送部25には、各収納繰出部32および一時保留部38の接続部分に、これらの各収納繰出部32および一時保留部38と硬貨搬送部25との間で硬貨を出し入れするかベルト43で搬送する硬貨を搬送方向下流側へ通過させるかに応じて選択的に硬貨を振り分ける振分部材47が配設されている。振分部材47には、収納繰出部32や一時保留部38の硬貨出入口に対して硬貨を案内する案内部、および収納繰出部32や一時保留部38の硬貨出入口を閉塞して硬貨を硬貨搬送部25における搬送方向下流側に案内する閉塞部が設けられている。ここで、案内部の端縁部には湾曲した曲面が形成されており、この湾曲した曲面に沿って硬貨が案内されるようになっている。このような振分部材47は、ソレノイド等の駆動で硬貨搬送部25の搬送面250に対して進退移動するようになっている。そして、硬貨を硬貨搬送部25から収納繰出部32や一時保留部38へ振り分けるとき、および硬貨を収納繰出部32や一時保留部38から硬貨搬送部25に繰り出すときには、振分部材47の案内部が硬貨搬送部25の搬送面250から硬貨の搬送領域側に(すなわち、上方に)突出するとともに閉塞部が収納繰出部32や一時保留部38の硬貨出入口を開放する。一方、硬貨を硬貨搬送部25から収納繰出部32や一時保留部38に振り分けないとき、および硬貨を収納繰出部32や一時保留部38から硬貨搬送部25に繰り出さないときには、振分部材47の案内部が硬貨搬送部25の搬送面250の外に退くとともに閉塞部が収納繰出部32や一時保留部38の硬貨出入口を閉塞する。
図1および図2に示すように、補充回収部14は、機体12内の前側下部位置に固定配置されたオーバーフロースタッカ90、および機体12内の後面から後側下部位置に着脱可能に配置される硬貨カセット92を有している。また、オーバーフロースタッカ90と硬貨カセット92との間には、これらのオーバーフロースタッカ90および硬貨カセット92から繰り出される硬貨を上方の入出金部13に搬送する補充搬送部93が設けられている。
オーバーフロースタッカ90の内部には、硬貨を非整列状態で収納する収納空間95、およびこの収納空間95の底部を構成して硬貨を後面の繰出口96から補充搬送部93に繰り出すベルト97が配設されている。
また、オーバーフロースタッカ90には、取り忘れ硬貨を収納するための取り忘れボックス127、および任意に設定される所定の硬貨の収納に利用可能な予備ボックス128がそれぞれ設けられている。これらの取り忘れボックス127および予備ボックス128は、オーバーフロースタッカ90から個別に着脱可能な分離型として構成されている。
硬貨カセット92は、硬貨を非整列状態で収納する収納空間98、およびこの収納空間98の底部を構成して硬貨を後面の繰出口99から補充搬送部93に繰り出すベルト100が配設されている。
また、硬貨カセット92には、硬貨の入金処理時や出金処理時に識別部33で正常硬貨と識別されなかったリジェクト硬貨を収納するリジェクトボックスとしての運用リジェクトボックス104、および硬貨の補充処理時に識別部33で正常硬貨と識別されなかったリジェクト硬貨を収納するリジェクトボックスとしての補充リジェクトボックス105がそれぞれ設けられている。これらの運用リジェクトボックス104および補充リジェクトボックス105は、硬貨カセット92から個別に着脱可能な分離型として構成されている。
図2に示すように、補充搬送部93は、オーバーフロースタッカ90および硬貨カセット92から繰り出される硬貨を受け入れる横搬送部分108、およびこの横搬送部分108から硬貨を上方に搬送する縦搬送部分109が設けられた搬送コンベア110を有している。縦搬送部分109は、入出金部13の側部であって、硬貨搬送部25や入金繰出部31、収納繰出部32、一時保留部38等に対向する側面に配置されている。また、搬送コンベア110は、硬貨を拾い上げるための突起110aを複数有しており、縦搬送部分109では図示しない壁面と搬送コンベア110との間に形成された空間内で突起110aにより硬貨が拾い上げられることにより当該硬貨は上方に搬送されるようになっている。また、縦搬送部分109は、図2に実線で示すように機体12内に配置されて硬貨を搬送する位置と、図2に点線で示すように機体12の外側に移動して入出金部13との間を解放可能とする位置との間で揺動可能となっている。また、搬送コンベア110の縦搬送部分109で上方に搬送された硬貨は一時保留部38に送られるようになっている。
また、硬貨搬送部25における第1の搬送部分26には、当該第1の搬送部分26に沿って搬送される硬貨をこの第1の搬送部分26から分岐させてオーバーフロースタッカ90や硬貨カセット92等に送るための複数(具体的には、4つ)の硬貨分岐機構200a〜200dが設けられている。ここで、各硬貨分岐機構200a〜200dは、第1の搬送部分26において収納搬送方向F1に搬送される硬貨および第1の搬送部分26において繰出搬送方向F2に搬送される硬貨をそれぞれ第1の搬送部分26から分岐させることができるようになっている。
ここで、図1や図3における最も左側に設けられた硬貨分岐機構200aは、入金繰出部31と繰出搬送方向F2における最前部の収納繰出部32との間に配置されており、この硬貨分岐機構200aは、第1の搬送部分26に沿って搬送される硬貨を当該第1の搬送部分26から分岐させて第1シュート140に落下させ、この第1シュート140によりオーバーフロースタッカ90の収納空間95に送るようになっている。
また、図1や図3における左側から2番目に設けられた硬貨分岐機構200bは、繰出搬送方向F2における最前部の収納繰出部32と最前部から2番目の収納繰出部32との間に配置されており、この硬貨分岐機構200bは、第1の搬送部分26に沿って搬送される硬貨を当該第1の搬送部分26から分岐させて第2シュート142に落下させるようになっている。また、図2に示すように、第2シュート142には切換機構142aが設けられており、この切換機構142aにより、第1の搬送部分26から分岐させられて第2シュート142に落下した硬貨は取り忘れボックス127および予備ボックス128のいずれか一方に導かれて収納されるようになっている。
また、図1や図3における右側から2番目に設けられた硬貨分岐機構200cは、繰出搬送方向F2における前から2番目の収納繰出部32と3番目の収納繰出部32との間に配置されており、この硬貨分岐機構200cは、第1の搬送部分26に沿って搬送される硬貨を当該第1の搬送部分26から分岐させて第3シュート144に落下させるようになっている。また、第3シュート144には図示しない切換機構が設けられており、この切換機構により、第1の搬送部分26から分岐させられて第3シュート144に落下した硬貨は運用リジェクトボックス104および補充リジェクトボックス105のいずれか一方に導かれて収納されるようになっている。
また、図1や図3における最も右側に設けられた硬貨分岐機構200dは、繰出搬送方向F2における前から3番目の収納繰出部32と4番目の収納繰出部32との間に配置されており、この硬貨分岐機構200dは、第1の搬送部分26に沿って搬送される硬貨を当該第1の搬送部分26から分岐させて第4シュート146に落下させ、この第4シュート146により硬貨カセット92の収納空間98に送るようになっている。
硬貨搬送部25における第1の搬送部分26に設けられた各硬貨分岐機構200a〜200dの構成の詳細について図4および図5を用いて説明する。なお、図4は、硬貨分岐機構200a〜200dのゲート部201の構成を示す側面図であって、(a)は、分岐口251が閉じられているときの状態を示す図であり、(b)は、分岐口251が開かれているときの状態を示す図である。また、図5は、200a〜200dのゲート部201および駆動部230の構成を示す斜視図であって、(a)は、分岐口251が閉じられているときの状態を示す図であり、(b)は、分岐口251が開かれているときの状態を示す図である。また、図4において参照符号Cは硬貨を示している。
図4および図5に示すように、本実施の形態による硬貨分岐機構200a〜200dは、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26における硬貨搬送路に設けられたゲート部201と、このゲート部201を駆動する駆動部230とを有している。ここで、ゲート部201は、硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨が分岐口251に入らないよう当該分岐口251を塞ぐ通過位置(図4(a)および図5(a)参照)、および硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨が分岐口251に入るよう当該分岐口251を開放する分岐位置(図4(b)および図5(b)参照)との間で移動自在となっている。また、駆動部230は、ゲート部201が通過位置と分岐位置との間で移動するよう当該ゲート部201を駆動するようになっている。また、ゲート部201が分岐位置に位置しているときに、当該ゲート部201は硬貨搬送路における硬貨の搬送面250から硬貨の搬送領域側(具体的には、ベルト43と搬送面250との間に形成される領域側)に突出するようになっている。
より詳細には、ゲート部201は、軸204を中心として回転自在となっている第1ゲート部分202と、軸214を中心として回転自在となっている第2ゲート部分212とを有している。ここで、第1ゲート部分202は、硬貨搬送路に沿って繰出搬送方向F2(第1の方向)に搬送される硬貨を案内して分岐口251に入れるようになっている。一方、第2ゲート部分212は、硬貨搬送路に沿って収納搬送方向F1(第1の方向とは逆方向である第2の方向)に搬送される硬貨を案内して分岐口251に入れるようになっている。また、駆動部230は例えばソレノイド等からなり、当該駆動部230は軸204を中心として第1ゲート部分202を回転させることにより当該第1ゲート部分202を通過位置と分岐位置との間で移動させるようになっている。より詳細には、図5に示すように、駆動部230の先端部232には、当該先端部232に設けられた軸236を中心として回転自在となるよう回動部234が取り付けられており、この回動部234の端部には第1ゲート部分202の軸204が取り付けられている。このことにより、回動部234が軸236を中心として回転すると第1ゲート部分202が軸204を中心として回転するようになる。また、第1ゲート部分202の軸204にはその外周面の一部が歯車形状となっているギヤ206が取り付けられているとともに、第2ゲート部分212の軸214にもその外周面の一部が歯車形状となっているギヤ216が取り付けられている。そして、第1ゲート部分202の軸204に取り付けられたギヤ206の歯車部分と、第2ゲート部分212の軸214に取り付けられたギヤ216の歯車部分とが互いに噛み合うようになっている。このことにより、第1ゲート部分202が軸204を中心として回転すると第2ゲート部分212も軸214を中心として一体的に回転するようになり、第1ゲート部分202および第2ゲート部分212が連動して通過位置と分岐位置との間で移動するようになる。
このように、本実施の形態では、第1ゲート部分202の軸204に取り付けられたギヤ206および第2ゲート部分212の軸214に取り付けられたギヤ216により、第1ゲート部分202および第2ゲート部分212を連動させる連動部分が構成されており、駆動部230により第1ゲート部分202が駆動されると連動部分により第2ゲート部分212も駆動されるようになっている。なお、図5に示す例では、ギヤ206およびギヤ216からなる連動部分を用いて第1ゲート部分202および第2ゲート部分212を連動させているが、他の方法で第1ゲート部分202および第2ゲート部分212を連動させてもよい。また、第1ゲート部分202および第2ゲート部分212を連動は必須ではなく、これらの第1ゲート部分202および第2ゲート部分212が別個に駆動されるようになっていてもよい。
また、図5に示すように、本実施の形態では、硬貨分岐機構200a〜200dにおけるゲート部201の位置を検知するための位置センサ240が設けられている。より詳細には、位置センサ240はフォトインタラプタであり、フォトセンサの光が回動部234により遮られると(図5(b)参照)、ゲート部201が分岐位置にあることが検知される。
また、本実施の形態では、分岐口251を介して硬貨搬送路から分岐させられた硬貨は第1シュート140〜第4シュート146のうち何れかのシュートによりオーバーフロースタッカ90や硬貨カセット92等に案内されるようになっている。ここで、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26における硬貨搬送路に沿って繰出搬送方向F2に搬送されゲート部201の第1ゲート部分202により分岐させられた硬貨、および硬貨搬送部25の第1の搬送部分26における硬貨搬送路に沿って収納搬送方向F1に搬送されゲート部201の第2ゲート部分212により分岐させられた硬貨は同じシュートにより案内されるようになっている。
また、本実施の形態による硬貨処理装置10には、当該硬貨処理装置10の各構成要素の制御を行う制御部150(図1乃至図5では図示せず)が設けられている。図6に示すように、制御部150には硬貨搬送部25、識別部33、通過センサ29a、29b、各硬貨分岐機構200a〜200d、入金繰出部31、収納繰出部32、一時保留部38、オーバーフロースタッカ90、硬貨カセット92、補充搬送部93等がそれぞれ接続されている。制御部150は、識別部33や通過センサ29a、29b、および他の構成要素からの信号を検知して処理を行う。また、制御部150は、硬貨搬送部25、各硬貨分岐機構200a〜200d、入金繰出部31、収納繰出部32、一時保留部38、オーバーフロースタッカ90、硬貨カセット92、補充搬送部93等の各構成要素に指令信号を送ることによりこれらの構成要素の制御を行うようになっている。なお、各構成要素はそれぞれが制御部を有していてもよく、例えば、硬貨分岐機構200a〜200d毎に当該硬貨分岐機構200a〜200dの制御を行う制御部が設けられて制御部150と接続されるようになっていてもよい。また、識別部33が搬送される硬貨から検出した信号を制御部150が処理することにより硬貨を識別してもよく、あるいは、識別部33が制御部や硬貨の情報を記憶した記憶部を有しており、この識別部33が硬貨を識別して金種や真偽等の識別結果を制御部150に送信してもよい。
また、図6に示すように、制御部150には記憶部152および通信インターフェース部154がそれぞれ接続されている。記憶部152には硬貨処理装置10における硬貨の処理状況に係る情報や各収納繰出部32の在高等の情報が記憶されるようになっている。また、制御部150は通信インターフェース部154を介して上位端末に対して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。具体的には、例えば制御部150は上位端末から通信インターフェース部154を介して硬貨の入金処理や出金処理の指令を受けると、硬貨処理装置10の各構成部材を制御して硬貨の入金処理や出金処理を行わせるようになっている。また、制御部150は、硬貨処理装置10における硬貨の処理状況や、各収納繰出部32に収納されている硬貨の在高等の情報を、通信インターフェース部154を介して上位端末に送信することができるようになっている。
次に、このような構成からなる本実施の形態の硬貨処理装置10の動作について説明する。なお、以下に示すような硬貨処理装置10の動作は、制御部150が当該硬貨処理装置10の各構成要素を制御することにより行われるようになっている。
まず、本実施の形態の硬貨処理装置10による硬貨の入金処理について図7を用いて説明する。
図7(a)には、硬貨の入金処理における入金硬貨の計数一時保留動作が示されている。図7(a)に示すように、機体12の入出金口21から受皿23に投入された硬貨は、この受皿23の反転によって下方に放出され、入金繰出部31に受け入れられる。受皿23は、反転後に硬貨を受収する姿勢に復帰する。
入金繰出部31に受け入れられた硬貨は当該入金繰出部31から1枚ずつ硬貨搬送部25の第1の搬送部分26に繰り出され、この硬貨搬送部25の第1の搬送部分26に繰り出された硬貨は1枚ずつベルト43により繰出搬送方向F2に搬送される。この際に、硬貨搬送部25により搬送される硬貨は識別部33により識別される。
識別部33での識別の結果、正常硬貨と識別された硬貨は、一時保留部38の振分部材47で硬貨搬送部25の第2の搬送部分27から一時保留部38に振り分けられ、当該一時保留部38内に収納される。また、識別部33での識別の結果、正常硬貨と識別されなかった硬貨は、一時保留部38の位置を通過して硬貨搬送部25の第2の搬送部分27から受皿23に放出され、このことにより操作者に返却される。
図7(b)には、硬貨の入金処理における異物返却動作が示されている。
入金繰出部31内の硬貨や異物等の残留物を検知する図示しない残留検知センサの検知に基づき、入金繰出部31から繰り出されずに残留する異物が存在すると判断された場合に、あるいは入金繰出部31から全ての硬貨の繰り出しが完了した後に、入金繰出部31のホッパに設けられた排出ゲート(図示せず)を開き、入金繰出部31から繰り出されずに当該入金繰出部31内に残留するクリップおよび紙片や変形硬貨等の異物を下方の異物シュート83に放出し、異物返却口22に返却する。
図7(c)には、硬貨の入金処理において一時保留部38に一時保留された硬貨の収納動作が示されている。
機体12の入出金口21から受皿23に投入された全ての硬貨の計数一時保留動作が終了した後、上位端末から制御部150に硬貨収納指令が与えられると、一時保留部38内の硬貨は1枚ずつ硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出され、この硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出された硬貨は1枚ずつベルト43により収納搬送方向F1に搬送される。この際に、硬貨搬送部25により搬送される硬貨は識別部33により識別される。
識別部33での識別の結果、正常硬貨と識別された硬貨は、該当金種の硬貨を収納する収納繰出部32の振分部材47で硬貨搬送部25から収納繰出部32に振り分けられ、当該収納繰出部32に収納される。
収納繰出部32の硬貨収納枚数が所定の満杯枚数に達した場合には、それ以降の該当金種の硬貨はオーバーフロー硬貨とみなされ、当該オーバーフロー硬貨は硬貨分岐機構200aにより硬貨搬送部25の第1の搬送部分26から分岐させられ、オーバーフロースタッカ90に送り込まれて当該オーバーフロースタッカ90に収納される。
また、識別部33での識別の結果、正常硬貨と識別されなかった硬貨は、硬貨分岐機構200aにより硬貨搬送部25の第1の搬送部分26から分岐させられ、オーバーフロースタッカ90に送り込まれて当該オーバーフロースタッカ90に収納されるか、または硬貨分岐機構200cにより硬貨搬送部25の第1の搬送部分26から分岐させられ、硬貨カセット92の運用リジェクトボックス104に送り込まれて当該運用リジェクトボックス104に収納される。
図7(d)(e)には、硬貨の入金処理において一時保留部38に一時保留された硬貨の返却動作が示されている。
機体12の入出金口21から受皿23に投入された全ての硬貨の計数一時保留動作が終了した後、上位端末から制御部150に硬貨返却指令が与えられると、図7(d)に示すように、一時保留部38内の硬貨は1枚ずつ硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出され、この硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出された硬貨は1枚ずつベルト43により収納搬送方向F1に搬送され、入金繰出部31に収納される。
続いて、図7(e)に示すように、入金繰出部31から硬貨が1枚ずつ硬貨搬送部25の第1の搬送部分26に繰り出され、この硬貨搬送部25の第1の搬送部分26に繰り出された硬貨は1枚ずつベルト43により繰出搬送方向F2に搬送され、入出金口21の受皿23に放出されて操作者に返却される。
次に、本実施の形態の硬貨処理装置10による硬貨の出金処理について図8を用いて説明する。
図8(a)には、硬貨の出金処理における出金硬貨の計数出金動作が示されている。図8(a)に示すように、出金すべき硬貨の金種と枚数、または出金すべき硬貨の金額を含んだ硬貨出金指令が上位端末から制御部150に与えられると、該当する収納繰出部32内の硬貨が1枚ずつ硬貨搬送部25に繰り出され、この硬貨搬送部25に繰り出された硬貨は1枚ずつベルト43により繰出搬送方向F2に搬送され、硬貨搬送部25により搬送される硬貨は識別部33により識別される。
識別部33での識別の結果、正常硬貨と識別された硬貨は、硬貨搬送部25の第2の搬送部分27から入出金口21の受皿23に放出される。一方、識別部33での識別の結果、正常硬貨と識別されなかった硬貨は、一時保留部38の振分部材47で硬貨搬送部25の第2の搬送部分27から一時保留部38に振り分けられて当該一時保留部38に収納される。正常硬貨と識別されなかった硬貨については、当該硬貨の金種に対応する収納繰出部32から不足分の硬貨を追加投出する。
このようにして、出金分の硬貨を入出金口21の受皿23に出金する。
図8(b)には、硬貨の出金処理において正常硬貨と識別されなかった硬貨の戻し動作が示されている。
正常硬貨と識別されなかった硬貨を収納した一時保留部38から硬貨が1枚ずつ硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出され、この硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出された硬貨は1枚ずつベルト43により収納搬送方向F1に搬送される。また、硬貨搬送部25により搬送される硬貨は識別部33により再識別される。
識別部33での再識別の結果、正常硬貨と識別された硬貨は、該当金種の硬貨を収納する収納繰出部32の振分部材47により硬貨搬送部25から収納繰出部32に振り分けられ、当該収納繰出部32に収納される。
識別部33での再識別の結果、正常硬貨と識別されなかった硬貨は硬貨分岐機構200dにより硬貨搬送部25から分岐させられ、オーバーフロースタッカ90に送り込まれて当該オーバーフロースタッカ90に収納される。
図8(c)(d)には、硬貨の出金処理における取り忘れ硬貨の回収動作が示されている。
図8(c)に示すように、出金分の硬貨を入出金口21の受皿23に出金してから所定時間経過しても硬貨が取り出されないことが図示しないセンサにより検知されると、制御部150は操作者が硬貨を取り忘れているものと判断し、受皿23を反転させて硬貨を入金繰出部31に放出する。入金繰出部31に受け入れられた硬貨は1枚ずつ硬貨搬送部25の第1の搬送部分26に繰り出され、この硬貨搬送部25の第1の搬送部分26に繰り出された硬貨は1枚ずつベルト43により繰出搬送方向F2に搬送される。硬貨搬送部25により搬送される硬貨は識別部33により識別され、一時保留部38の振分部材47で硬貨搬送部25の第2の搬送部分27から一時保留部38に振り分けられて当該一時保留部38に収納される。
続いて、図8(d)に示すように、一時保留部38から硬貨が1枚ずつ硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出され、この硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出された硬貨は1枚ずつベルト43により収納搬送方向F1に搬送される。そして、硬貨搬送部25により搬送される硬貨は硬貨分岐機構200bにより硬貨搬送部25の第1の搬送部分26から分岐させられ、取り忘れボックス127に送られて当該取り忘れボックス127に収納される。
次に、本実施の形態の硬貨処理装置10による硬貨の回収処理について図9を用いて説明する。
上位端末から制御部150に硬貨の回収指令が出されると、ある1つの収納繰出部32内の硬貨が1枚ずつ硬貨搬送部25に繰り出され、この硬貨搬送部25に繰り出された硬貨は1枚ずつベルト43により繰出搬送方向F2に搬送される。硬貨搬送部25により搬送される硬貨が識別部33により識別された後、入金繰出部31または一時保留部38に収納される。ここで、識別部33により識別された後に入金繰出部31に収納された硬貨については当該入金繰出部31から1枚ずつ硬貨搬送部25の第1の搬送部分26に繰り出され、この硬貨搬送部25の第1の搬送部分26に繰り出された硬貨は1枚ずつベルト43により繰出搬送方向F2に搬送される。そして、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26において繰出搬送方向F2に搬送される硬貨は硬貨分岐機構200dにより第1の搬送部分26から分岐させられ、硬貨カセット92に送り込まれて当該硬貨カセット92に収納される。また、識別部33により識別された後に一時保留部38に収納された硬貨については当該一時保留部38から1枚ずつ硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出され、この硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出された硬貨は1枚ずつベルト43により収納搬送方向F1に搬送される。そして、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26において収納搬送方向F1に搬送される硬貨は硬貨分岐機構200dにより第1の搬送部分26から分岐させられ、硬貨カセット92に送り込まれて当該硬貨カセット92に収納される。そして、このような回収動作が全ての収納繰出部32について順次行われた後、操作者が硬貨カセット92を機体12から取り出すことにより当該硬貨カセット92ごと硬貨が回収されるようになる。
より詳細に説明すると、硬貨の回収処理が行われる際に、繰出搬送方向F2において硬貨分岐機構200dよりも下流側に設けられた収納繰出部32(すなわち、5円硬貨、10円硬貨および100円硬貨をそれぞれ収納する収納繰出部32)内の硬貨が硬貨搬送部25に繰り出される場合には、図9(a)に示すように、硬貨搬送部25により搬送される硬貨が識別部33により識別された後、入出金口21に送られて受皿23により受けられることなくこの入出金口21から落下し、シュート30を介して入金繰出部31に送られて当該入金繰出部31に収納される。そして、収納繰出部32から硬貨搬送部25により入金繰出部31に硬貨を搬送する動作と並行して、入金繰出部31に送られた硬貨が当該入金繰出部31から1枚ずつ硬貨搬送部25の第1の搬送部分26に繰り出され、この硬貨搬送部25の第1の搬送部分26に繰り出された硬貨は1枚ずつベルト43により繰出搬送方向F2に搬送される。そして、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26において繰出搬送方向F2に搬送される硬貨は硬貨分岐機構200dにより第1の搬送部分26から分岐させられ、硬貨カセット92に送り込まれて当該硬貨カセット92に収納される。このように、硬貨の回収処理が行われる際に、繰出搬送方向F2において硬貨分岐機構200dよりも下流側に設けられた収納繰出部32内の硬貨(すなわち、5円硬貨、10円硬貨および100円硬貨)については、当該収納繰出部32から硬貨搬送部25に繰り出された後にこの硬貨搬送部25により搬送される際に、搬送方向が変えられることなく硬貨分岐機構200dにより硬貨搬送路から分岐させられるようになる。
また、硬貨の回収処理が行われる際に、繰出搬送方向F2において硬貨分岐機構200dよりも上流側に設けられた収納繰出部32(すなわち、1円硬貨、50円硬貨および500円硬貨をそれぞれ収納する収納繰出部32)内の硬貨が硬貨搬送部25に繰り出される場合には、図9(b)に示すように、硬貨搬送部25により搬送される硬貨が識別部33により識別された後、一時保留部38に対応する振分部材47により硬貨搬送部25の第2の搬送部分27から一時保留部38に振り分けられて当該一時保留部38に収納される。そして、ある収納繰出部32内の硬貨が全て一時保留部38に送られた後、図9(c)に示すように、当該一時保留部38から硬貨が1枚ずつ硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出され、この硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出された硬貨は1枚ずつベルト43により収納搬送方向F1に搬送される。そして、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26において収納搬送方向F1に搬送される硬貨は硬貨分岐機構200dにより第1の搬送部分26から分岐させられ、硬貨カセット92に送り込まれて当該硬貨カセット92に収納される。
本実施の形態では、上述したように、硬貨分岐機構200dは、第1の搬送部分26において収納搬送方向F1に搬送される硬貨および第1の搬送部分26において繰出搬送方向F2に搬送される硬貨をそれぞれ第1の搬送部分26から分岐させることができるようになっているため、入金繰出部31から硬貨搬送部25の第1の搬送部分26に繰り出されて繰出搬送方向F2に搬送される硬貨(図9(a)参照)、および一時保留部38から硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出されて収納搬送方向F1に搬送される硬貨(図9(c)参照)をそれぞれ硬貨分岐機構200dにより硬貨搬送部25の第1の搬送部分26から分岐させて硬貨カセット92に送ることができるようになる。
なお、従来技術では、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26から硬貨を分岐させて硬貨カセット92に送る硬貨分岐機構は、一方向に搬送される硬貨のみ(例えば、収納搬送方向F1に搬送される硬貨のみ)を硬貨搬送部25の第1の搬送部分26から分岐させることができるようになっていた。このため、全ての金種の硬貨について、収納繰出部32から硬貨を繰り出して識別部33により識別した後に一時保留部38に収納し、ある収納繰出部32内の硬貨が全て一時保留部38に送られた後に当該一時保留部38から硬貨を1枚ずつ硬貨搬送部25の第2の搬送部分27に繰り出して硬貨分岐機構200dにより硬貨カセット92に送る必要がある。このような場合には、全ての金種の硬貨について、ある収納繰出部32内の硬貨が全て一時保留部38に送られないと一時保留部38から硬貨カセット92に硬貨を送ることができないため、硬貨の回収処理に時間がかかるという問題があった。これに対し、本実施の形態では、繰出搬送方向F2において硬貨分岐機構200dよりも下流側に設けられた収納繰出部32内の硬貨については(すなわち、5円硬貨、10円硬貨および100円硬貨については)、収納繰出部32から硬貨搬送部25により入金繰出部31に硬貨を搬送する動作と並行して、入金繰出部31から硬貨カセット92に送ることができるため、収納繰出部32内の硬貨を全て一時保留部38に送った後に当該一時保留部38から硬貨カセット92に硬貨を送る場合と比較して硬貨の回収動作にかかる時間を短縮することができ、よって全体の回収処理(すなわち、全金種の硬貨の回収処理)にかかる時間も短縮することができるようになる。
以上のような構成からなる本実施の形態の硬貨処理装置10によれば、硬貨分岐機構200a〜200dは、硬貨搬送路に設けられ、当該硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨が分岐口251に入らないよう当該分岐口251を塞ぐ通過位置と、硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨が分岐口251に入るよう分岐口251を開放する分岐位置との間で移動自在となっているゲート部201と、ゲート部201が通過位置と分岐位置との間で移動するよう当該ゲート部201を駆動する駆動部230とを備えている。また、制御部150は、硬貨搬送路に沿って硬貨が繰出搬送方向F2に搬送されるときおよび硬貨搬送路に沿って硬貨が繰出搬送方向F2とは逆方向である収納搬送方向F1に搬送されるときの両方において駆動部230を制御することによりゲート部201を分岐位置に移動させて硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨を分岐口251に入れて当該硬貨搬送路から分岐させることができるようになっている。このような硬貨分岐機構200a〜200dによれば、コンパクトな構成で、硬貨搬送路に沿った正逆両方向に搬送される硬貨を分岐口251に入れて当該硬貨搬送路から確実に分岐させることができるようになる。
また、このような硬貨分岐機構200a〜200dを備えた硬貨処理装置10によれば、硬貨搬送路に沿って硬貨が繰出搬送方向F2に搬送されるときおよび硬貨搬送路に沿って硬貨が繰出搬送方向F2とは逆方向である収納搬送方向F1に搬送されるときの両方において硬貨搬送路から硬貨を確実に分岐させることができるため硬貨の処理時間を短縮することができる。具体的には、硬貨の回収処理を行う際に、6つの収納繰出部32のうち繰出搬送方向F2において硬貨分岐機構200dよりも下流側に設けられた収納繰出部32内の硬貨については(すなわち、5円硬貨、10円硬貨および100円硬貨については)、収納繰出部32から硬貨搬送部25により入金繰出部31に硬貨を搬送する動作と並行して、入金繰出部31から硬貨カセット92に送ることができるため、収納繰出部32内の硬貨を全て一時保留部38に送った後に当該一時保留部38から硬貨カセット92に硬貨を送る場合と比較して硬貨の回収動作にかかる時間を短縮することができ、よって全体の回収処理(すなわち、全金種の硬貨の回収処理)にかかる時間も短縮することができるようになる。
また、本実施の形態の硬貨分岐機構200a〜200dにおいては、上述したように、ゲート部201が分岐位置に位置しているときに当該ゲート部201は硬貨搬送路における硬貨の搬送面250から硬貨の搬送領域側に突出するようになっている(図4(b)参照)。
また、本実施の形態の硬貨分岐機構200a〜200dにおいては、上述したように、ゲート部201は、硬貨搬送路に沿って繰出搬送方向F2に搬送される硬貨を案内して当該硬貨を分岐させるための第1ゲート部分202と、硬貨搬送路に沿って収納搬送方向F1に搬送される硬貨を案内して当該硬貨を分岐させるための第2ゲート部分212と、第1ゲート部分202および第2ゲート部分212を連動させる連動部分(具体的には、ギヤ206およびギヤ216)とを有している。また、この場合、駆動部230はゲート部201における第1ゲート部分202および第2ゲート部分212のうち何れか一方のゲート部分(具体的には、第1ゲート部分202)を駆動するようになっており、駆動部230により一方のゲート部分が駆動されると連動部分により他方のゲート部分(具体的には、第2ゲート部分212)も駆動されるようになっている。
なお、本実施の形態による硬貨分岐機構やこのような硬貨分岐機構を備えた硬貨処理装置は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26に設けられた4つの硬貨分岐機構200a〜200dのうち、最も右側に設けられた硬貨分岐機構200d以外の硬貨分岐機構200a〜200cについては、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26における硬貨搬送路で一方向に搬送される硬貨のみを当該硬貨搬送路から分岐させるような構成のものが用いられてもよい。
また、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26における硬貨搬送路から硬貨を分岐させて硬貨カセット92に送るような硬貨分岐機構200dを、繰出搬送方向F2における前から3番目の収納繰出部32と4番目の収納繰出部32との間に配置する代わりに、入金繰出部31と繰出搬送方向F2における最前部の収納繰出部32との間に配置するようにしてもよい。言い換えると、図1や図3における最も左側に位置する硬貨分岐機構200aにより硬貨搬送路から分岐させられた硬貨を硬貨カセット92に送るようにしてもよい。この場合には、硬貨の回収処理を行う際に、全ての金種の硬貨について、収納繰出部32から硬貨搬送部25により入金繰出部31に硬貨を搬送する動作と並行して、入金繰出部31から硬貨カセット92に送ることができるため、一部の金種のみの硬貨を収納繰出部32から硬貨搬送部25により入金繰出部31に搬送する場合と比較して、全体の回収処理(すなわち、全金種の硬貨の回収処理)にかかる時間をより一層短縮することができるようになる。
また、硬貨処理装置10の上記の説明では、硬貨の回収処理を行う際に各収納繰出部32から繰り出された硬貨を全て識別部33により識別させた後に硬貨カセット92に送るような態様について述べたが、各収納繰出部32に収納されている硬貨は在高が確定しているものであるため、硬貨の回収処理を行う際に各収納繰出部32から繰り出された硬貨を識別部33により識別させずに硬貨カセット92に送るようにしてもよい。この場合には、図1や図3に示すように、硬貨搬送部25の第1の搬送部分26における硬貨搬送路から硬貨を分岐させて硬貨カセット92に送るような硬貨分岐機構200dが繰出搬送方向F2における前から3番目の収納繰出部32と4番目の収納繰出部32との間に配置されていても、繰出搬送方向F2において硬貨分岐機構200dよりも上流側に設けられた収納繰出部32(すなわち、1円硬貨、50円硬貨および500円硬貨をそれぞれ収納する収納繰出部32)から硬貨搬送部25の第1の搬送部分26に繰り出された硬貨を、識別部33に送る前に硬貨分岐機構200dにより第1の搬送部分26から分岐させて硬貨カセット92に送ることができるようになる。このように、硬貨の回収処理を行う際に各収納繰出部32から繰り出された硬貨を識別部33により識別させずに硬貨カセット92に送る場合には、繰出搬送方向F2において硬貨分岐機構200dよりも上流側に設けられた収納繰出部32に収納されている硬貨について、収納繰出部32から硬貨搬送部25に繰り出して当該硬貨搬送部25により一時保留部38に送った後にこの一時保留部38から硬貨カセット92に硬貨を送るという動作が不要となるため硬貨の回収動作にかかる時間を短縮することができ、よって全体の回収処理(すなわち、全金種の硬貨の回収処理)にかかる時間も短縮することができるようになる。
また、硬貨搬送路において繰出搬送方向F2に搬送される硬貨および繰出搬送方向F2とは逆方向である収納搬送方向F1に搬送される硬貨をそれぞれ硬貨搬送路から分岐させることができるような硬貨分岐機構は、図4および図5に示すような構成のものに限定されることはない。変形例に係る硬貨分岐機構として、図10や図11に示すような構成のものが用いられてもよい。
図10に示す硬貨分岐機構260では、ゲート部261として、第1ゲート部分262および第2ゲート部分264が軸266を中心として一体的に回転するものが用いられるようになっている。このようなゲート部261は図示しない3ポジションのソレノイドやステッピングモータ等の駆動源によって駆動されるようになっている。ここで、図10(a)は、硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨が分岐口251に入らないようゲート部261が分岐口251を塞ぐ通過位置にあるときの状態を示す図であり、図10(b)は、硬貨搬送路に沿って繰出搬送方向F2に搬送される硬貨が分岐口251に入ってシュート252に送られるよう第1ゲート部分262が分岐口251を開放する第1分岐位置にあるときの状態を示す図であり、図10(c)は、硬貨搬送路に沿って収納搬送方向F1に搬送される硬貨が分岐口251に入ってシュート252に送られるよう第2ゲート部分264が分岐口251を開放する第2分岐位置にあるときの状態を示す図である。
硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨を硬貨分岐機構260により当該硬貨搬送路から分岐させない場合には、ゲート部261は図10(a)に示すような通過位置に位置するようになる。この場合には、分岐口251がゲート部261により塞がれるため、硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨は分岐口251に入ることなくゲート部261の上面を通って引き続き硬貨搬送路に沿って搬送されるようになる。また、硬貨搬送路に沿って繰出搬送方向F2に搬送される硬貨を硬貨分岐機構260により当該硬貨搬送路から分岐させる場合には、図示しない駆動源によってゲート部261が駆動されることにより当該ゲート部261は図10(b)に示すような第1分岐位置に位置するようになる。この場合には、硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨は第1ゲート部分262により分岐口251からシュート252に送られ、この硬貨搬送路から分岐させられるようになる。また、硬貨搬送路に沿って収納搬送方向F1に搬送される硬貨を硬貨分岐機構260により当該硬貨搬送路から分岐させる場合には、図示しない駆動源によってゲート部261が駆動されることにより当該ゲート部261は図10(c)に示すような第2分岐位置に位置するようになる。この場合には、硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨は第2ゲート部分264により分岐口251からシュート252に送られ、この硬貨搬送路から分岐させられるようになる。
図10に示すような構成の硬貨分岐機構260でも、硬貨搬送路に沿って硬貨が繰出搬送方向F2に搬送されるときおよび硬貨搬送路に沿って硬貨が収納搬送方向F1に搬送されるときの両方において駆動源がゲート部261を第1分岐位置や第2分岐位置にそれぞれ移動させることにより硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨を分岐口251に入れてシュート252に送ることにより当該硬貨搬送路から分岐させることができるようになる。このような硬貨分岐機構260でも、図4および図5に示すような構成の硬貨分岐機構200a〜200dと同様に、コンパクトな構成で、硬貨搬送路に沿った正逆両方向に搬送される硬貨を分岐口251に入れてシュート252に送ることにより当該硬貨搬送路から確実に分岐させることができるようになる。
また、図11に示す硬貨分岐機構270では、ゲート部271として、硬貨搬送路に沿って繰出搬送方向F2に搬送される硬貨を案内して当該硬貨を分岐させるための第1案内面272と、硬貨搬送路に沿って収納搬送方向F1に搬送される硬貨を案内して当該硬貨を分岐させるための第2案内面274とを有しており、当該ゲート部271は図11における上下方向に移動可能となっている。また、図11に示す硬貨分岐機構270では、ゲート部271を上下方向に移動させる駆動源としてソレノイドやリニアモータ等が設けられている。ここで、図11(a)は、硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨が分岐口251に入らないようゲート部271が分岐口251を塞ぐ通過位置にあるときの状態を示す図であり、図11(b)は、硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨が分岐口251に入るようゲート部271が分岐口251を開放する分岐位置にあるときの状態を示す図である。
硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨を硬貨分岐機構270により当該硬貨搬送路から分岐させない場合には、ゲート部271は図11(a)に示すような通過位置に位置するようになる。この場合には、分岐口251がゲート部271により塞がれるため、硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨は分岐口251に入ることなくゲート部271の上面を通って引き続き硬貨搬送路に沿って搬送されるようになる。また、硬貨搬送路に沿って収納搬送方向F1や繰出搬送方向F2に搬送される硬貨を硬貨分岐機構270により当該硬貨搬送路から分岐させる場合には、図示しない駆動源によってゲート部271が駆動されることにより当該ゲート部271は図11(a)に示す状態から上方に移動して図11(b)に示すような分岐位置に位置するようになる。この場合には、硬貨搬送路に沿って収納搬送方向F1や繰出搬送方向F2に搬送される硬貨はゲート部271の第1案内面272や第2案内面274により案内されることによって当該ゲート部271により分岐口251を介してシュート252に送られ、この硬貨搬送路から分岐させられるようになる。
図11に示すような構成の硬貨分岐機構270でも、硬貨搬送路に沿って硬貨が繰出搬送方向F2に搬送されるときおよび硬貨搬送路に沿って硬貨が収納搬送方向F1に搬送されるときの両方において駆動源がゲート部271を分岐位置に移動させることにより硬貨搬送路に沿って搬送される硬貨を分岐口251に入れて当該硬貨搬送路から分岐させることができるようになっている。このような硬貨分岐機構270でも、図4および図5に示すような構成の硬貨分岐機構200a〜200dと同様に、コンパクトな構成で、硬貨搬送路に沿った正逆両方向に搬送される硬貨を分岐口251に入れて当該硬貨搬送路から確実に分岐させることができるようになる。
また、本発明では、硬貨搬送路に沿って繰出搬送方向F2に搬送され硬貨分岐機構200a〜200dのゲート部201により分岐させられた硬貨、および硬貨搬送路に沿って収納搬送方向F1に搬送され硬貨分岐機構200a〜200dのゲート部201により分岐させられた硬貨が同じシュートにより案内されるような構成のものに限定されることはない。図12に示すように、1つの硬貨分岐機構200a〜200dに対して複数のシュート253、254が設けられており、硬貨搬送路に沿って繰出搬送方向F2に搬送されゲート部201の第1ゲート部分202により分岐させられた硬貨、および硬貨搬送路に沿って収納搬送方向F1に搬送されゲート部201の第2ゲート部分212により分岐させられた硬貨が互いに異なるシュート253、254により案内されるようになっていてもよい。具体的には、硬貨搬送路に沿って繰出搬送方向F2に搬送されゲート部201の第1ゲート部分202により分岐させられた硬貨は分岐口251から左側のシュート253に落下してこの左側のシュート253により案内され、一方、硬貨搬送路に沿って収納搬送方向F1に搬送されゲート部201の第2ゲート部分212により分岐させられた硬貨は分岐口251から右側のシュート254に落下してこの右側のシュート254により案内されるようになる。この場合には、1つの硬貨分岐機構により硬貨搬送路から分岐させられた硬貨を、当該硬貨搬送路における硬貨の搬送方向に基づいて別々の箇所に送ることができるようになる。