以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図9に、硬貨入出金機としての貨幣処理機の斜視図を示す。この貨幣処理機は、硬貨入出金機と紙幣入出金機とが一体化されたもので、機体10の上部側に硬貨を入出金処理する硬貨入出金装置である硬貨処理装置11が配置され、下部側に紙幣を入出金処理する図示しない紙幣処理装置が配置されている。そして、この貨幣処理機は、金融機関の窓口などにおいて、左右の2人のテラー間に設置されるとともに、各テラーによって操作される2台の端末に接続されて、両テラーによって共用される。
機体10は、縦型で、機体10の左右方向である幅方向の寸法が小さく、前後方向に長く構成されている。機体10の上面前側の幅方向の略中央域に硬貨入金口12が配設され、この硬貨入金口12の前側に紙幣入金口13が配設され、この紙幣入金口13の下側に紙幣出金口14が配設され、この紙幣出金口14の両側には出金口部としての左側の硬貨出金口15および右側の硬貨出金口16がそれぞれ配設されている。各硬貨出金口15,16には、機体10内から出金する硬貨を収納する出金部としての出金ボックス17,18が着脱可能に配置されている。
機体10の上面でかつ硬貨入金口12および紙幣入金口13の両側には、複数の操作キーや表示器などを含む左側の操作部19および右側の操作部20が配設されている。
機体10の前面下部域には前面扉21が開閉可能に配設され、この前面扉21には機体10に対して閉鎖状態で施錠、解錠する扉キー22が配設されている。前面扉21で開閉される機体10の内部には、硬貨処理装置11から回収する硬貨を収納する図示しない回収カセットが着脱可能に配設されている。
次に、図3に硬貨処理装置の平面図、図4に硬貨処理装置の斜視図を示す。この硬貨処理装置11は、機体10に対して前方へ引出可能とする前後方向に長い四角形枠状のフレーム31を有している。このフレーム31上には、フレーム31の左側、後側、右側、前側の四辺に沿って略四角形に、環状の硬貨通路32が形成されているとともに、図3および図4における時計回り方向に対応した搬送方向へ向けて硬貨通路32内の硬貨を搬送する環状構造の搬送手段33が配設されている。
これら硬貨通路32および搬送手段33の内側域には、硬貨入金口12から受け入れた硬貨を硬貨通路32に1枚ずつ繰り出す入金部としての入金繰出部34、金種別の硬貨を収納して硬貨通路32に1枚ずつ繰り出す収納放出部としての金種別収納放出部35、入金時の識別後の硬貨を一括して一時保留するとともに硬貨通路32に1枚ずつ繰り出す一時保留部としての一括一時保留部36を含む各機能ユニットが、前面側から奥側に向かって順に配設されている。入金繰出部34、金種別収納放出部35、一括一時保留部36は、基本的な構成が同じであり、いずれも、硬貨を非整列状態で収納して1枚ずつ繰り出す硬貨収納繰出部あるいは硬貨収納繰出装置として構成されている。
そして、硬貨通路32および搬送手段33によって、次の硬貨を搬送する搬送域が形成されている。フレーム31の一側である左側の辺に沿って前側から奥側に向かう領域に、入金繰出部34、各金種別収納放出部35および一括一時保留部36から1枚ずつ繰り出される硬貨を受け入れて搬送する受入搬送域39が形成されている。フレーム31の後側の辺に沿って左側から右側に向かう領域に、硬貨を搬送しながら識別する識別搬送域40が形成されている。フレーム31の他側である右側の辺に沿って奥側から前側に向かう領域に、硬貨を搬送しながら分類する分類搬送域41が形成されている。フレーム31の前側の辺に沿って右側から左側に向かう領域に、硬貨を左側の硬貨出金口15に払い出すために搬送する出金搬送域42が形成されている。なお、出金硬貨受入搬送域が受入搬送域39で構成され、入金硬貨分類搬送域が分類搬送域41で構成されている。
搬送手段33は、1本の環状の搬送体としての搬送ベルト43、およびこの搬送ベルト43を硬貨通路32に沿って回転可能に支持する複数の支持体としてのプーリ44を有している。各プーリ44は、硬貨通路32の各辺の端部であって四角形状の硬貨通路32の各角部の内側位置に、鉛直方向の軸で水平方向に回転可能に軸支されており、搬送ベルト43を硬貨通路32に沿って四角形状に掛け回している。左前側のプーリ44の近傍には、搬送ベルト43の外側をガイドするプーリ45が配置されている。
搬送ベルト43には内周に複数の歯を有するタイミングベルトが用いられ、プーリ44にも外周に複数の歯を有するタイミングプーリが用いられている。いずれか1つのプーリ44が図示しない駆動部としてのモータによって回転駆動され、搬送ベルト43が搬送方向に回転する。また、搬送ベルト43の内周には溝が設けられ、プーリ44の外周には搬送ベルト43の溝に係合する突出部が設けられており、複数のプーリ44で搬送ベルト43の高さ方向の位置が規制され、搬送ベルト43と硬貨通路32の上面との間隔が処理する硬貨のうちの最大厚み硬貨の厚みよりも広い寸法に保たれている。
搬送ベルト43には、図1および図2、図7および図8に示すように、搬送ベルト43の下面から下方へ向かって突出して硬貨通路32内の硬貨を1枚ずつ押動搬送する複数の突起部46がベルト長手方向に沿って所定の間隔毎に設けられている。複数の突起部46の間隔は、搬送方向前後の突起部46間に硬貨を1枚ずつ受け入れて搬送可能とする寸法とされている。突起部46と硬貨通路32の上面との間には、処理する最小厚み硬貨の厚みよりも小さい寸法の間隙があけられている。なお、図中に示す符号Cは硬貨を示している。
また、硬貨通路32の受入搬送域39には、図2(a)(b)(c)に示すように、入金繰出部34、各金種別収納放出部35および一括一時保留部36から1枚ずつ繰り出される硬貨が上昇傾斜する傾斜姿勢であることに対応して、それら入金繰出部34、各金種別収納放出部35および一括一時保留部36が連設される内側の側部が低く、反対の外側の側部が高くなるように通路幅方向に傾斜した傾斜通路面49が形成されている。この傾斜通路面49の内側および外側の側部に沿って硬貨の周縁をガイドする内側ガイド50および外側ガイド51が形成され、これら内側ガイド50と外側ガイド51との間で形成される通路幅が処理する最大径硬貨の1枚の直径分の寸法より広く、最小径硬貨の2枚の直径分の寸法より狭く形成されている。傾斜通路面49の中央域には、搬送ベルト43の突起部46に対して接触しないように逃げる溝状の逃げ部52が形成されている。
受入搬送域39の最下流部であって、一括一時保留部36からの硬貨の繰出位置より下流位置には、傾斜通路面49によって傾斜姿勢にある硬貨を水平姿勢に変換する変換通路面53が形成されている。この変換通路面53は、図2(d)(e)(f)に示すように、搬送方向下流側へ向かって、傾斜通路面49の低い側である内側が高くなるように、かつ傾斜通路面49の高い側である外側が低くなるように変位し、最終的に水平通路面54となる。したがって、受入搬送域39の傾斜通路面49より下流側に位置する識別搬送域40、分類搬送域41および出金搬送域42の通路面は硬貨を水平姿勢で搬送する水平通路面54に形成されている。
また、図3および図4に示すように、硬貨通路32の識別搬送域40には、受入搬送域39から連続して、水平通路面54である通路面55、内側ガイド56および外側ガイド57が形成されている。硬貨通路32および搬送手段33の内側であって内側ガイド56側には、硬貨の材質、径などを検知して金種を識別する識別部58が配設されている。この識別部58に対向する硬貨通路32および搬送手段33の外側であって外側ガイド57側には、識別搬送域40内を搬送する硬貨を内側ガイド56側つまり識別部58側に幅寄せする幅寄せ部材59が配設されている。この幅寄せ部材59は、例えば樹脂製で、基端が鉛直方向の軸によって外側ガイド57側に回動可能に軸支され、先端が通路内方に突出するとともに突出方向にばねによって付勢されている。
また、硬貨通路32の分類搬送域41には、識別搬送域40から連続して、水平通路面54である通路面60、内側ガイド61および外側ガイド62が形成されている。この分類搬送域41には、一括一時保留部36、各金種別収納放出部35、入金繰出部34、右側の硬貨出金口16に対して硬貨を選択的に分岐する分岐部63が形成されている。各分岐部63は、通路面60に開口されて硬貨が落下可能とする分岐口64を有し、この分岐口64に硬貨を選択的に分岐する分岐ゲート65が配設されている。この分岐ゲート65は、搬送ベルト43と接触しないように搬送ベルト43の両側に分割して配置されているとともに、搬送方向下流側で水平方向の軸66を支点として軸支され、分岐駆動部としてのソレノイド67により分岐ゲート65が水平となって分岐口64を閉塞する閉塞位置と分岐ゲート65の搬送方向上流側の先端が上方に移動して分岐口64を開放する開放位置との間で開閉する。そして、分岐ゲート65の閉塞位置では、搬送ベルト43で搬送してくる硬貨が分岐口64および分岐ゲート65上を通過し、また、分岐ゲート65の開放位置では、搬送ベルト43で搬送してくる硬貨を分岐ゲート65で強制的に分岐口64に落とし込む。
右側の硬貨出金口16に対応した分岐部63の下方には図示しない切換手段が配設され、この切換手段によって分岐部63で分岐した硬貨を硬貨出金口16または機体10内の下部側に配置される回収カセットに導くことができる。
また、硬貨通路32の出金搬送域42には、分類搬送域41から連続して、水平通路面54である通路面68、内側ガイド69、外側ガイド70が形成されている。出金搬送域42の末端には、左側の硬貨出金口15に硬貨を分岐する分岐部71が配設されている。この分岐部71は、通路面68に開口されて硬貨が落下可能とする分岐口72を有し、この分岐口72に硬貨を落とし込む分岐ゲート73が固定位置に配設されている。
また、硬貨通路32上には、搬送ベルト43で搬送する各硬貨の位置を検知する複数のセンサが配設されている。
次に、図1ないし図3、図5に示すように、入金繰出部34は、上方の硬貨入金口12から投入される硬貨および硬貨通路32から送り込まれる硬貨を非整列状態で受収する収納枠77、この収納枠77の底面に硬貨処理装置11の左右方向である装置幅方向に沿って配設された無端状のベルトとしての平ベルト78、およびこの平ベルト78の搬送方向下流側上方域に配設され搬送方向への平ベルト78の回転に対して逆方向に回転して平ベルト78上の非整列状態の硬貨を1層1列状態に整列させて繰り出させる逆転ローラ79、この逆転ローラ79を通過した硬貨を硬貨通路32の受入搬送域39に繰り出す繰出通路部80、この繰出通路部80から1枚ずつ繰り出す硬貨を搬送ベルト43の突起部46に受け渡す受渡部81を有している。
そして、平ベルト78は、水平方向の軸82a,83aで軸支された搬送方向上流側のローラ82と搬送方向下流側のローラ83とによって搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かうに従って上昇傾斜する直線状の傾斜搬送面84を形成するように懸架されている。この平ベルト78の幅は、硬貨1枚の直径分の寸法より広く、硬貨2枚の直径分の寸法より狭く形成されている。
平ベルト78の搬送方向下流側のローラ83は、硬貨通路32の受入搬送域39における傾斜通路面49の内側の側部に臨む近傍位置に配置されている。そして、これら平ベルト78の傾斜搬送面84と硬貨通路32の傾斜通路面49とは同じ角度で傾斜する関係を有しており、平ベルト78の傾斜搬送面84から傾斜姿勢で繰り出す硬貨を、その傾斜姿勢のまま硬貨通路32の傾斜通路面49に受け入れて搬送可能としている。
平ベルト78の傾斜搬送面84の下側において、この平ベルト78が複数のローラ85および駆動用のローラ86に掛け回されている。複数のローラ85のうちの1つのローラ85aは搬送方向下流側のローラ83の位置よりさらに搬送方向下流側でかつ下側に配置され、ローラ83からローラ85aにわたって平ベルト78が下方へ傾斜されている。駆動用のローラ86は、入金繰出部34、各金種別収納放出部35および一括一時保留部36に共通の駆動手段としてのモータ87によって回転駆動される。したがって、モータ87の駆動によって、平ベルト78が搬送方向へ向けて回転駆動される。
また、収納枠77は、平ベルト78のベルト幅方向の両側に配置される側面部88、および搬送方向上流側の端面に配置される端面部89を有している。収納枠77の搬送方向上流側の上方域には、硬貨通路32の分類通路域41の分岐部63が配置され、その分岐部63で分岐された硬貨を受け入れる硬貨受入位置に受入口90が形成されている。
収納枠77の内側には、この収納枠77の一部を構成するとともに平ベルト78の傾斜搬送面84をガイドするガイド体91が配設されている。このガイド体91は、平ベルト78の傾斜搬送面84を一定高さに支持する平面状の支持面92、および平ベルト78の両側に沿って配置される両側のガイド部93を有している。これら両側のガイド部93には、平ベルト78側に対向するガイド面縁部94から平ベルト78側と反対の外側に向かうに従って高くなるガイド面95が形成されている。ガイド面95には、ガイド面縁部94から平ベルト78の傾斜搬送面84と平行に形成される平坦面95a、およびこの平坦面95aの外側から斜め上方に向かって傾斜状に形成される傾斜面95bが含まれる。
両側のガイド部93は、受入口90の下方位置よりも搬送方向下流側でかつ逆転ローラ79の位置よりも搬送方向上流側の領域A1において、ガイド面縁部94の高さ位置が平ベルト78の傾斜搬送面84の表面高さ以下でかつ裏面高さ以上つまりベルト厚み寸法以内の位置に配置されている。一方、受入口90の下方位置である搬送方向上流側の領域A2と、逆転ローラ79の位置を含む搬送方向下流側の領域A3とにおいて、ガイド面縁部94の高さ位置が平ベルト78の傾斜搬送面84の表面高さ以上に配置されている。
また、逆転ローラ79は、収納枠77内から繰り出される硬貨の出口域で、平ベルト78の傾斜搬送面84の上方域に平ベルト78に載った厚み方向1枚の硬貨のみが通過し得る間隔を形成して配設されている。この逆転ローラ79は、平ベルト78を駆動するモータ87であって、入金繰出部34、各金種別収納放出部35および一括一時保留部36に共通のモータ87により、搬送方向への平ベルト78の回転に対して逆方向に回転し、平ベルト78上の非整列状態の硬貨を1層1列状態に整列させて繰り出させる。
また、繰出通路部80は、逆転ローラ79の位置より搬送方向下流側において、平ベルト78の傾斜搬送面84上、および平ベルト78の一側に配設された通路板96上に形成されている。通路板96は、平ベルト78の傾斜搬送面84と同じ傾斜をもって面一に配設されている。繰出通路部80の両側には、硬貨の周縁をガイドするガイド部材97,98が配設されている。これらガイド部材97,98は、硬貨通路32での搬送方向に対応して、硬貨を一側に幅寄せするように斜めに配置されている。
この繰出通路部80には、硬貨を幅寄せする一方のガイド部材97側の搬送方向下流側の位置に、硬貨とともに平ベルト78で繰り出されてきた異物を下方へ排除する異物排除孔99が開口形成されている。この異物排除孔99は、一方のガイド部材97と、ローラ83からローラ85aにわたって掛け回されて下方へ傾斜する平ベルト78の傾斜部分と、硬貨通路32の傾斜通路面49の始端部との間に形成されている。この異物排除孔99の下方に、異物を収納する異物収納箱が配置される。
硬貨通路32には、繰出通路部80の硬貨繰出口80aが接続される位置に対応して内側ガイド50が設けられておらず、繰出通路部80の硬貨繰出口80aから繰り出される硬貨の傾斜通路面49への受け入れが可能となっている。
また、受渡部81は、繰出通路部80の他側のガイド部材97側であって、硬貨通路32の搬送方向下流側に対応した繰出通路部80の側部に、平ベルト78の傾斜搬送面84に対して垂直方向の軸101で水平方向に回転可能に軸支された円形状のカム102を有している。このカム102は、受渡駆動部としてのパルスモータ103によって硬貨の受け渡し方向(図中時計回り方向)に回転駆動される。
カム102の下面には、図7および図8に示すように、周縁部の円周上の対称位置に一対の突出部104が下方へ向けて突出形成され、これら突出部104間に溝部105が形成されている。突出部104と傾斜搬送面84との間隔は硬貨が進入し得ない寸法に形成され、溝部105と傾斜搬送面84との間隔および一対の突出部104間の溝部105の幅はそれぞれ硬貨1枚が進入し得る寸法に形成されている。
各突出部104の回転方向に対向する縁部は、溝部105内に進入した硬貨の周縁を押してその硬貨を搬送ベルト43の突起部46に受け渡す押出部106として構成され、また、各突出部104の回転方向に対して反対方向に対向する縁部、および各突出部104の外周面は、受け渡す硬貨に対して後続の硬貨を次の受け渡しタイミングまで分離して留めておく抑止部107として構成されている。したがって、受渡部81は、入金繰出部34からの硬貨の繰出を停止させる停止手段としても機能する。
そして、図7(a)または図8(a)に示すように、カム102は、硬貨が一方の溝部105に進入して一方の抑止部107に当接して停止する位置を定位置とし、搬送ベルト43の突起部46の位置に応じてその突起部46に硬貨を受け渡すことができるタイミングで180°回動し、後続の硬貨が他方の溝部105に進入して他方の抑止部107に当接して停止する位置、つまり次の定位置で停止し、次の受け渡し動作に待機するように制御される。カム102の定位置は、軸101に取り付けられた検知板108の円周上の2箇所に設けられた切欠部で定位置検知手段としての光学式のセンサ109が透光状態となることで検知できる。
繰出通路部80内で、平ベルト78の側部位置には、カム102の溝部105に硬貨が進入していることを検知する光学式のセンサ110が配設されている。カム102には、各定位置で、センサ110による硬貨の検知を妨げないようにするために切欠部111が形成されている。
次に、図3および図4に示すように、各金種別収納放出部35および一括一時保留部36は、基本的な構成が入金繰出部34の構成と同じであり、すなわち、収納枠77、平ベルト78、逆転ローラ79、繰出通路部80、および受渡部81などを備えている。そして、各金種別収納放出部35および一括一時保留部36からは硬貨通路32の受入搬送域39に硬貨を1枚ずつ繰出可能とし、各金種別収納放出部35および一括一時保留部36には硬貨通路32の分類搬送域41の対応する各分岐部63で分岐される硬貨を受け入れて収納可能としている。そのため、同じ構成についての説明は省略し、異なる点のみを説明する。
金種別収納放出部35は、収納枠77、平ベルト78、逆転ローラ79などが3金種分ずつ一体にユニット化されている。そのため、この硬貨処理装置11では、2つのユニットが用いられている。そして、入金繰出部34、各金種別収納放出部35、および一括一時保留部36の駆動用のローラ86が図示しないカップリングで互いに連結されているとともに逆転ローラ79がカップリング121で互いに連結されている。したがって、入金繰出部34、各金種別収納放出部35、および一括一時保留部36の平ベルト78および逆転ローラ79が共通のモータ87の駆動により一体的に回転するように構成されている。
図5には入金繰出部34を示したが、大径金種用の金種別収納放出部35、および一括一時保留部36も同じ構造としている。また、図6には小径金種用の金種別収納放出部35を示し、大径金種用の金種別収納放出部35に比べて、平ベルト78の幅は同じであるが、収納枠77の横幅が狭く形成されており、ガイド部93の平坦部95aが短くなるか設けられていない。例えば、日本国硬貨の場合には、大径金種を5円、10円、100円および500円とし、小径金種を1円および50円としている。
また、図7および図8に示すように、各金種別収納放出部35および一括一時保留部36の繰出通路部80から硬貨通路32に硬貨を繰り出す繰出通路部80の硬貨繰出口80aには、この硬貨繰出口80aを硬貨の繰出動作に伴って開閉するガイド体としてのガイドレバー122が配設されている。このガイドレバー122は、硬貨通路32の搬送方向上流側の軸123を支点として硬貨繰出口80aを閉塞する位置と硬貨通路32内に突出する位置との間で回動可能とし、図示しないばねによって硬貨繰出口80aを閉塞する方向に付勢されている。そして、ガイドレバー122で硬貨繰出口80aを閉塞する状態で、硬貨通路32内を搬送方向上流側から搬送してくる硬貨を搬送方向下流側に案内し、また、硬貨繰出口80aから繰り出される硬貨でばね付勢に抗して硬貨通路32内に突出して硬貨繰出口80aから硬貨通路32への硬貨の繰り出しを可能とする。
また、硬貨入出金機は、硬貨処理装置11による硬貨処理動作を含む各動作を制御する制御部131を備えている。
次に、硬貨処理装置11の作用を説明する。
まず、硬貨入金処理について説明する。
左右のいずれかのテラーが端末などで硬貨入金処理を指令し、入金硬貨を硬貨入金口12から入金繰出部34に投入する。入金繰出部34内の硬貨の有無を検知する図示しないセンサで、入金繰出部34に入金硬貨が投入されたことを検知することにより、入金処理を開始する。
入金繰出部34では、平ベルト78が搬送方向に回転するとともに逆転ローラ79が逆方向に回転し、平ベルト78上の非整列状態の入金硬貨を逆転ローラ79で1層1列に整列させて繰出通路部80に搬送する。繰出通路部80では、受渡部81により入金硬貨を1枚ずつ硬貨通路32の受入搬送域39を回転している搬送ベルト43の突起部46に受け渡す。
このとき、繰出通路部80には、硬貨を幅寄せする一方のガイド部材97側の搬送方向下流側の位置に異物排除孔99が開口形成されているため、硬貨と一緒に投入された異物が繰出通路部80内に平ベルト78で繰り出されても、その異物を異物排除孔99から下方へ排除することができる。そのため、異物が硬貨通路32に入り込むのを防止でき、硬貨通路32での異物を原因とする異常発生を防止できる。
搬送ベルト43の突起部46で入金硬貨を押動して硬貨通路32の受入搬送域39から識別搬送域40に搬送し、識別搬送域40の識別部58で入金硬貨を識別する。このとき、搬送ベルト43の突起部46で入金硬貨を押動して搬送しているため、硬貨通路幅方向における入金硬貨の位置が一定ではないため、幅寄せ部材59によって入金硬貨を識別部58側に幅寄せすることにより、識別部58で正確に識別できる。しかも、この幅寄せ部材59を樹脂製としているため、識別部58に磁気センサを用いている場合に誤識別するのを防止できる。
識別部58での識別の結果、正常硬貨と識別された硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、一括一時保留部36に対応した分岐部63で分岐し、一括一時保留部36に収納する。
なお、各金種別収納放出部35および一括一時保留部36では、受渡部81で硬貨の繰り出しを停止した状態を維持するため、平ベルト78および逆転ローラ79が回転しても収納している硬貨を繰り出することはない。
識別部58での識別の結果、識別不能などのリジェクト硬貨と識別された場合、リジェクト硬貨の再識別が設定されていれば、リジェクト硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、入金繰出部34に対応した分岐部63で分岐し、入金繰出部34に戻すことにより、この入金繰出部34から硬貨通路32に再度繰り出して識別部58で再識別する。この再識別によって正常硬貨と識別される硬貨がリジェクト硬貨として処理されるのを低減できる。
リジェクト硬貨のみが入金繰出部34や硬貨通路32上に残るような場合であって識別部58でリジェクト硬貨が連続して予め設定された所定回数以上検知した場合や、リジェクト硬貨の再識別が設定されていない場合には、リジェクト硬貨を返却する。すなわち、リジェクト硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、右側のテラーによる入金処理の場合には、右側の硬貨出金口16に対応した最下流の分岐部63で分岐し、右側の硬貨出金口16に払い出し、一方、左側のテラーによる入金処理の場合には、分類搬送域41から出金搬送域42に搬送し、左側の硬貨出金口15に対応した分岐部71で分岐し、左側の硬貨出金口15に払い出す。硬貨出金口15,16に払い出したリジェクト硬貨は出金ボックス17,18に収容し、この出金ボックス17,18を機体11から引き出すことで、リジェクト硬貨を取り出すことができる。
入金繰出部34から全ての入金硬貨を繰り出して入金繰出部34内に硬貨が無くなったことをセンサで検知し、かつ識別部58で硬貨を所定時間検知しなければ、入金承認前の入金計数が完了したものとし、搬送ベルト43、平ベルト78および逆転ローラ79を停止する。
そして、計数結果が承認され、収納が指令された場合には、一時保留硬貨を金種別に収納する。一括一時保留部36では、上述した入金繰出部34と同様の硬貨繰出動作によって一時保留している硬貨を1枚ずつ繰り出し、受渡部81により硬貨を硬貨通路32の受入搬送域39を回転している搬送ベルト43の突起部46に受け渡す。
搬送ベルト43の突起部46で硬貨を押動して硬貨通路32の受入搬送域39から識別搬送域40に搬送し、識別搬送域40の識別部58で硬貨を識別する。
識別部58での識別の結果、正常硬貨と識別された硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、該当する金種の金種別収納放出部35に対応した分岐部63で金種別に分岐し、金種別収納放出部35に金種別に収納する。
識別部58での識別の結果、識別不能などのリジェクト硬貨と識別された場合、リジェクト硬貨の再識別が設定されていれば、リジェクト硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、入金繰出部34に対応した分岐部63で分岐し、入金繰出部34に戻すことにより、この入金繰出部34から硬貨通路32に再度繰り出して識別部58で再識別する。この再識別によって正常硬貨と識別される硬貨がリジェクト硬貨として処理されるのを低減できる。
リジェクト硬貨のみが入金繰出部34や硬貨通路32上に残るような場合であって識別部58でリジェクト硬貨が連続して予め設定された所定回数以上検知した場合や、リジェクト硬貨の再識別が設定されていない場合には、リジェクト硬貨を返却する。すなわち、リジェクト硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、右側のテラーによる入金処理の場合には、右側の硬貨出金口16に対応した最下流の分岐部63で分岐し、右側の硬貨出金口16に払い出し、一方、左側のテラーによる入金処理の場合には、分類搬送域41から出金搬送域42に搬送し、左側の硬貨出金口15に対応した分岐部71で分岐し、左側の硬貨出金口15に払い出す。硬貨出金口15,16に払い出したリジェクト硬貨は出金ボックス17,18に収容し、この出金ボックス17,18を機体11から引き出すことで、リジェクト硬貨を取り出すことができる。
また、計数結果が承認されず、返却が指令された場合には、一時保留硬貨を返却する。一括一時保留部36では、上述した入金繰出部34と同様の硬貨繰出動作によって一時保留している硬貨を1枚ずつ繰り出し、受渡部81により返却硬貨を硬貨通路32の受入搬送域39を回転している搬送ベルト43の突起部46に受け渡す。
搬送ベルト43の突起部46で返却硬貨を押動して硬貨通路32の受入搬送域39から識別搬送域40に搬送し、識別搬送域40の識別部58で返却硬貨を識別する。
識別した返却硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、右側のテラーによる入金処理の場合には、右側の硬貨出金口16に対応した最下流の分岐部63で分岐し、右側の硬貨出金口16に返却し、一方、左側のテラーによる入金処理の場合には、分類搬送域41から出金搬送域42に搬送し、左側の硬貨出金口15に対応した分岐部71で分岐し、左側の硬貨出金口15に返却する。硬貨出金口15,16に返却された返却硬貨は出金ボックス17,18に収容し、この出金ボックス17,18を機体11から引き出すことで、返却硬貨を取り出すことができる。
次に、硬貨出金処理について説明する。
左右いずれかのテラーにより、端末で出金処理を指令するとともに出金金額や出金希望金種および枚数を入力することにより、硬貨出金処理を開始する。
出金金種に該当する金種別収納放出部35では、上述した入金繰出部34と同様の硬貨繰出動作によって出金用に収納している硬貨を1枚ずつ繰り出し、受渡部81により出金硬貨を硬貨通路32の受入搬送域39を回転している搬送ベルト43の突起部46に受け渡す。また、出金金種に該当しない金種別収納放出部35、および出金金種に該当しても出金枚数分の硬貨を繰り出し終えた金種別収納放出部35では、受渡部81で硬貨の繰り出しを停止した状態を維持するため、平ベルト78および逆転ローラ79が回転しても収納している硬貨を繰り出すことはない。
搬送ベルト43の突起部46で出金硬貨を押動して硬貨通路32の受入搬送域39から識別搬送域40に搬送し、識別搬送域40の識別部58で硬貨を識別する。
識別部58での識別の結果、正常硬貨と識別された出金硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、右側のテラーによる出金処理の場合には、右側の硬貨出金口16に対応した最下流の分岐部63で分岐し、右側の硬貨出金口16に払い出し、一方、左側のテラーによる出金処理の場合には、分類搬送域41から出金搬送域42に搬送し、左側の硬貨出金口15に対応した分岐部71で分岐し、左側の硬貨出金口15に払い出す。硬貨出金口15,16に払い出した出金硬貨は出金ボックス17,18に収容する。
識別部58での識別の結果、識別不能などの異常硬貨と識別された場合、その異常硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、元の金種別収納放出部35に対応した分岐部63で分岐し、元の金種別収納放出部35に戻す。そして、不足分の硬貨をその金種別収納放出部35から硬貨通路32に再度繰り出す。
出金分の出金硬貨を硬貨出金口15,16に払い出した後、出金ボックス17,18を機体11から引き出すことで、出金硬貨を取り出すことができる。
次に、硬貨補充処理について説明する。
硬貨補充処理では、補充硬貨を補充口部として利用する硬貨入金口12から入金繰出部34に投入する。入金繰出部34では、上述した硬貨繰出動作によって補充硬貨を1枚ずつ繰り出し、受渡部81により補充硬貨を硬貨通路32の受入搬送域39を回転している搬送ベルト43の突起部46に受け渡す。
搬送ベルト43の突起部46で硬貨を押動して硬貨通路32の受入搬送域39から識別搬送域40に搬送し、識別搬送域40の識別部58で硬貨を識別する。
識別部58での識別の結果、正常硬貨と識別された補充硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、該当する金種の金種別収納放出部35に対応した分岐部63で金種別に分岐し、金種別収納放出部35に金種別に収納する。
識別部58での識別の結果、識別不能などの異常硬貨と識別された場合、異常硬貨の再識別が設定されていれば、異常硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、入金繰出部34に対応した分岐部63で分岐し、入金繰出部34に戻すことにより、この入金繰出部34から硬貨通路32に再度繰り出して識別部58で再識別する。この再識別によって正常硬貨と識別される硬貨が異常硬貨として処理されるのを低減できる。
異常硬貨のみが入金繰出部34や硬貨通路32上に残るような場合であって識別部58で異常硬貨が連続して予め設定された所定回数以上検知した場合や、異常硬貨の再識別が設定されていない場合には、異常硬貨を返却する。すなわち、異常硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、右側のテラーによる補充処理の場合には、右側の硬貨出金口16に対応した最下流の分岐部63で分岐し、右側の硬貨出金口16に払い出し、一方、左側のテラーによる補充処理の場合には、分類搬送域41から出金搬送域42に搬送し、左側の硬貨出金口15に対応した分岐部71で分岐し、左側の硬貨出金口15に払い出す。硬貨出金口15,16に払い出した異常硬貨は出金ボックス17,18に収容し、この出金ボックス17,18を機体11から引き出すことで、異常硬貨を取り出すことができる。
次に、硬貨回収処理について説明する。
硬貨回収処理では、1金種ずつ金種別収納放出部35から硬貨を繰り出す。硬貨を繰り出す金種別収納放出部35では、上述した入金繰出部34と同様の硬貨繰出動作によって収納している硬貨を1枚ずつ繰り出し、受渡部81により出金硬貨を硬貨通路32の受入搬送域39を回転している搬送ベルト43の突起部46に受け渡す。
搬送ベルト43の突起部46で出金硬貨を押動して硬貨通路32の受入搬送域39から識別搬送域40に搬送し、識別搬送域40の識別部58で硬貨を識別する。
識別部58での識別の結果、正常硬貨と識別された出金硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、右側の硬貨出金口16に対応した最下流の分岐部63で分岐し、右側の硬貨出金口16に払い出し、切換手段を介して機体10内の下部側に配置された回収カセットに収納する。
識別部58での識別の結果、識別不能などで異常硬貨と識別された場合、異常硬貨の再識別が設定されていれば、その異常硬貨は、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、元の金種別収納放出部35に対応した分岐部63で分岐し、元の金種別収納放出部35に戻すことにより、その金種別収納放出部35から硬貨通路32に再度繰り出し、識別部58で再識別する。この再識別によって正常硬貨と識別される硬貨が異常硬貨として処理されるのを低減できる。
異常硬貨のみが金種別収納放出部35や硬貨通路32上に残るような場合であって識別部58で異常硬貨が連続して予め設定された所定回数以上検知した場合や、異常硬貨の再識別が設定されていない場合には、異常硬貨を硬貨出金口15,16に払い出すなどの所定の処理をする。
全ての金種別収納放出部35から硬貨を回収したら、機体10の前面扉21を開き、回収カセットを取り出す。
次に、硬貨精査処理について説明する。
硬貨精査処理では、各金種別収納放出部35に収納されている硬貨を確認するために精査するものである。
1つの金種別収納放出部35から、上述した入金繰出部34と同様の硬貨繰出動作によって収納している硬貨を1枚ずつ繰り出し、受渡部81により硬貨を硬貨通路32の受入搬送域39を回転している搬送ベルト43の突起部46に受け渡す。搬送ベルト43の突起部46で硬貨を押動して硬貨通路32の受入搬送域39から識別搬送域40に搬送し、識別搬送域40の識別部58で硬貨を識別する。識別した硬貨を、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、一括一時保留部36に対応した分岐部63で分岐し、一括一時保留部36に収納する。
1つの金種別収納放出部35内の硬貨を全て繰り出し、識別後に一括一時保留部36に収納し終えたら、一括一時保留部36から、上述した入金繰出部34と同様の硬貨繰出動作によって収納している硬貨を1枚ずつ繰り出し、受渡部81により硬貨を硬貨通路32の受入搬送域39を回転している搬送ベルト43の突起部46に受け渡す。搬送ベルト43の突起部46で硬貨を押動して硬貨通路32の受入搬送域39から識別搬送域40に搬送し、識別搬送域40の識別部58で硬貨を識別する。識別した硬貨を、識別搬送域40から分類搬送域41に搬送し、元の金種別収納放出部35に対応した分岐部63で分岐し、元の金種別収納放出部35に収納する。
したがって、1回の精査動作で硬貨が識別部58を2回通過して2回識別でき、精査の精度を高めることができる。また、金種別収納放出部35および一括一時保留部36と硬貨通路32との間での硬貨を循環させるだけであるため、精査の搬送ルートを短くできる。
そして、このような精査動作を全ての金種別収納放出部35について行う。
このように、硬貨処理装置11では、環状形状の硬貨通路32に沿って支持されて回転する1本の環状の搬送ベルト43によって入金、出金、補充、回収、精査の硬貨を搬送するため、入金系や出金系を含む各処理系の搬送機構を共通化でき、搬送機構の簡素化、小形化ができる。
硬貨通路32に配設した1つの識別部58で入金、出金、補充、回収、精査の全ての硬貨を識別でき、特に出金硬貨を識別できるために出金運用における信頼性を高くできる。
金種別収納放出部35から繰り出した硬貨を識別部58で識別できるため、金種別収納放出部35の出口部での金種判定が必要なくなり、金種別収納放出部35の出口部の形状を共通化できる。さらに、一括一時保留部36の出口部も共通化できる。また、全ての分岐部63の構成も共通である。そのため、金種別収納放出部35と一括一時保留部36とを共通化でき、金種別収納放出部35や一括一時保留部36を任意の位置に配置できる。
搬送ベルト43を環状方向の一方向にのみ回転させて入金硬貨および出金硬貨を搬送するため、硬貨の流れを入金や出金を含む各処理で同一方向にでき、機構や制御を簡素化できる。
硬貨通路32に出金硬貨を受け入れる受入搬送域39と、入金硬貨を分類する分類搬送域41とを、硬貨通路32の異なる位置に配置しているため、入金系と出金系とを共通にしていても、入金硬貨および出金硬貨を確実に処理できる。
また、入金繰出部34、金種別収納放出部35および一括一時保留部36を硬貨通路32および搬送ベルト43の内側に配設しているため、上部に重なる機構を開放しなくても、入金繰出部34、金種別収納放出部35および一括一時保留部36のメンテナンスを容易にできる。
また、前面側から奥側に向かって順に入金繰出部34、金種別収納放出部35、一括一時保留部36および識別部58を配設しており、一括一時保留部36と識別部58とが近い位置関係にあるため、入金硬貨の識別から一時保留に至るまでの搬送距離、一時保留硬貨の識別および収納に至るまでの搬送距離を短くでき、処理時間を短縮し、搬送による硬貨詰まりの可能性を低減できる。
また、入金繰出部34、金種別収納放出部35および一括一時保留部36は、平ベルト78上に硬貨を非整列状態で受収するため、硬貨収納量を増大でき、また、硬貨放出時には、平ベルト78の搬送方向への回転と逆転ローラ79の逆方向への回転とにより平ベルト78上の非整列状態の硬貨を1層1列状態に整列させて放出させるとともに、受渡部81により搬送ベルト43の突起部46に対して硬貨を1枚ずつ確実に受け渡すことができる。
次に、入金繰出部34からの硬貨の繰出動作について説明する。なお、同構造を有する金種別収納放出部35および一括一時保留部36からの硬貨の繰出動作も同様である。
図5および図6に示すように、平ベルト78に対向する両側のガイド部93のガイド面縁部94の高さ位置を平ベルト78の傾斜搬送面84の表面高さ以下でかつ裏面高さ以上に配置しているため、平ベルト78の回転により、搬送方向上流側の硬貨が搬送方向下流側の硬貨を平ベルト78の傾斜搬送面84上から側方のガイド部93側に斜めに押し出して移動させ、平ベルト78の傾斜搬送面84上の硬貨を攪拌できる。
平ベルト78の傾斜搬送面84上の硬貨を攪拌して搬送方向下流側に送り込むことができるため、硬貨収納量を多くでき、攪拌のための特別な機構が必要なく、構造を簡素化できる。
平ベルト78の幅を、硬貨1枚の直径分の寸法より広く、硬貨2枚の直径分の寸法より狭くしているため、平ベルト78の傾斜搬送面84上に硬貨が千鳥状に並び、搬送方向上流側の硬貨が搬送方向下流側の硬貨を平ベルト78の傾斜搬送面84上から側方のガイド部93側に斜めに押し出しやすく、硬貨の攪拌効果を高めることができる。
図1に示すように、ガイド部93は、受入口90の下方位置よりも搬送方向下流側でかつ逆転ローラ79の位置よりも搬送方向上流側の領域A1において、ガイド面縁部94の高さ位置が平ベルト78の傾斜搬送面84の表面高さ以下でかつ裏面高さ以上つまりベルト厚み寸法以内の位置に配置することにより、硬貨を攪拌できる。
一方、受入口90の下方位置である搬送方向上流側の領域A2において、ガイド面縁部94の高さ位置を平ベルト78の傾斜搬送面84の表面高さ以上に配置することにより、両側のガイド部93のガイド面縁部94間で平ベルト78の傾斜搬送面84上の硬貨を規制し、硬貨を攪拌させず、硬貨を搬送方向下流側へ移動させることができる。すなわち、領域A2において、硬貨を攪拌させてしまうと、受入口90の近傍に配設されていて収納硬貨の満杯を検知する満杯検知センサが攪拌された硬貨の影響で誤検知したり、分岐部63の分岐ゲート65を攪拌された硬貨の影響で押し上げられて誤動作するようなおそれがあるが、硬貨を攪拌させないことでそのような攪拌された硬貨の影響を防止できる。
また、逆転ローラ79の位置を含む搬送方向下流側の領域A3において、ガイド面縁部94の高さ位置を平ベルト78の傾斜搬送面84の表面高さ以上に配置することにより、両側のガイド部93のガイド面縁部94間で平ベルト78の傾斜搬送面84上の硬貨を規制し、硬貨を1層1列状態で確実に搬送することができる。
また、図1に示すように、入金繰出部34の平ベルト78を搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かうに従って上昇傾斜する傾斜搬送面84を形成するように懸架し、硬貨通路32には平ベルト78の傾斜搬送面84と同じ角度をもって傾斜する傾斜通路面49を設けている。そして、この傾斜通路面49上に平ベルト78の傾斜搬送面84から繰り出された硬貨を受け入れて傾斜姿勢のまま搬送する。そのため、従来のように平ベルトの途中に屈曲部を設けて搬送方向下流側を水平にする必要がなく、入金繰出部34の構造を簡素化でき、屈曲部を原因とする硬貨詰まりの発生を解消できる。
平ベルト78の途中に屈曲部を設けないことにより、平ベルト78の搬送方向下流側の位置が、平ベルト78の途中に屈曲部を設けて水平にした場合に比べて高くなる。そのため、硬貨通路32の高さが高くなり、この硬貨通路32から入金繰出部34に硬貨を受け入れる高さ位置を高くでき、その高くなる分だけ入金繰出部34内の硬貨収納量を多くできる。
硬貨通路32では、傾斜通路面49に沿って傾斜姿勢で搬送する硬貨を変換通路面53によって水平姿勢に変換し、この水平姿勢の硬貨を水平通路面54で搬送するため、水平通路面54となる識別搬送域40、分類搬送域41での識別や分岐などの処理を確実にできる。
硬貨通路32の傾斜通路面49には、搬送ベルト43の突起部46に対して逃げる逃げ部52を形成しているため、突起部46が傾斜通路面49に接触せず、突起部46で硬貨を1枚ずつ確実に押動搬送できる。
また、受渡部81による硬貨の受け渡し動作を図7および図8を参照して説明する。図7は大径硬貨の受け渡し動作を、図8は小径硬貨の受け渡し動作を示す。なお、図には、硬貨繰出口80aにガイドレバー122を有する金種別収納放出部35または一括一時保留部36を示すが、受渡部81による硬貨の受け渡し動作は入金繰出部34も同様である。
図7(a)および図8(a)に示すように、受渡部81のカム102が定位置に位置する場合、平ベルト78に載って一方のガイド部材97に当接しながら移動する硬貨がカム102の一方の溝部105に進入して一方の突出部104の抑止部107に当接して停止する。
図7(b)および図8(b)に示すように、カム102で停止させている硬貨に続く後続の硬貨は、カム102で停止させている硬貨に当接して停止する。
図7(c)および図8(c)に示すように、カム102で停止させている硬貨をセンサ110で検知することにより、搬送ベルト43の突起部46の位置に応じてその突起部46に硬貨を受け渡すことができる所定のタイミングでカム102が受渡方向に回動する。
図7(d)(e)(f)および図8(d)(e)(f)に示すように、カム102が回動し始めると、他方の突出部104の押出部106で先の受け渡す硬貨を硬貨通路32内に押し出しながら、他方の突出部104が先の受け渡す硬貨と後続の硬貨との間に進入し、他方の突出部104の外周面である抑止部107で後続の硬貨の進行を停止させる。
図7(g)および図8(g)に示すように、他方の突出部104の押出部106で先の受け渡す硬貨を、搬送ベルト43の突起部46に受け渡し可能とする硬貨通路32内の位置まで押し出す。
図7(h)および図8(h)に示すように、硬貨通路32内に押し出した硬貨を搬送ベルト43の突起部46で押動搬送する。カム102は180°回動して次の定位置に復帰したら停止する。また、後続の硬貨が他方の溝部105に進入し、その硬貨をセンサ110で検知することにより、搬送ベルト43の次の突起部46の位置に応じてその突起部46に硬貨を受け渡すことができる所定のタイミングでカム102が受渡方向に回動する。
このように、カム102の押出部106で硬貨の周縁を押してその硬貨を搬送ベルト43の突起部46に受け渡し、カム102の抑止部107で後続の硬貨を次の受け渡し動作まで分離して留めておくため、搬送ベルト43の突起部46に硬貨を1枚ずつ確実に受け渡すことができる。
なお、硬貨通路32の出金搬送域42の末端を受入搬送域39の始端には連続させ、硬貨通路32を環状に形成してもよい。
また、搬送体としては、搬送ベルト43に限らず、例えばワイヤやチェーンなどでもよく、この場合、回転体としては、ローラに限らず、スプロケットなどを用いることができる。
また、金種別収納放出部35は、6つに限定されるものではない。
また、各金種別収納放出部35に収納する金種は任意に設定可能である。例えば、出金に使用しない金種や満杯になった金種の硬貨を複数金種混合で収納することも可能である。
また、搬送手段33に連設される機能ユニットとしては、硬貨を金種別に一時保留する金種別一時保留部、硬貨を一括収納するとともに収納された硬貨を放出する一括収納放出部、リジェクト硬貨を収納するリジェクトボックス、回収硬貨を収納する回収カセット、補充硬貨を収納する補充カセットなどでもよい。