JP2014174209A - 反射防止膜およびそれを有する光学素子並びに光学系 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板の上に基板側より順に第1層、第2層、第3層、第4層、第5層を積層した反射防止膜であって、基準波長λを550nmとし、ns>n1、1.6≦ns≦2.05、1.3≦n1≦1.8、かつ、0.018λ≦d1≦0.200λ、1.8≦n2≦2.2、かつ、0.018λ≦d2≦0.11λ、1.3≦n3≦1.8、かつ、0.04λ≦d3≦0.31λ、1.8≦n4≦2.2、かつ、0.018λ≦d4≦0.15λ、1.2≦n5≦1.3、かつ、0.18λ≦d5≦0.33λを満たす。
【選択図】図1
Description
図12に、本発明の実施形態に係る反射防止膜を付与した光学素子としてのレンズ、およびそれを有する光学系としての撮像光学系(結像光学系)を示す。この撮像光学系は、デジタルカメラ、ビデオカメラおよび交換レンズなどの光学機器に用いられる。図12において、103は撮像面であり、CCDセンサ又はCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)が配置される。102は絞り、G101からG111は光学素子としてのレンズである。これらのレンズのうち、入射面及び射出面の少なくとも一方に、後述する反射防止膜が付与されている。図12に示す撮像光学系の数値実施例を表1に示す。
図1は、本発明の実施形態に係る反射防止膜の略図を示す。反射防止膜7は5層膜からなり、基板6に対して、基板側より順に第1層(層1)、第2層(層2)、第3層(層3)、第4層(層4)、第5層(層5)の薄膜を積層したものである。本実施形態に係る反射防止膜は、基準波長λ=550nmとし、反射率が0度入射(垂直入射)で従来例の0.3%程度に比べ小さく、かつ反射防止帯域が従来例に比べ広い特性を備える。
本実施形態に係る反射防止膜では、基板6と接するために基板6の屈折率の影響を受け易い第1層(層1)の屈折率n1を、基板6の屈折率nsよりも低く設定することを一つの特徴とする。屈折率の数値範囲としては、基板の屈折率nsが1.60≦ns≦2.05と広範囲の前提で、第1層の屈折率n1は1.3≦n1≦1.7である。ここで、基板の屈折率nsは1.80≦ns≦2.05がより望ましい。
第1層目の層1の光学膜厚d1は、λ/16(≒0.0625λ)近傍が好ましく、λ/16近傍から離れた値(特に光学膜厚d1が0.200λを超える値)だと、反射防止性能が高い帯域が狭くなる。この性質は、高屈折率基板において、顕著に表れることが鋭意検討の結果、確認されている。さらに、光学膜厚が0.018λ未満だと、膜厚制御が難しく、設計値通り作製できないといった問題がある。これは、第1層目に限らず、全層に関して言えることである。よって、層1の膜厚d1は、0.018λ≦d1≦0.200λを満たすことが好ましい。
第5層以外の4層である層1乃至層4の材料は、無機系膜(シリカ(SiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)、フッ化マグネシウム(MgF2)等)から成る。そして、製法としては、成膜の簡便さから真空蒸着法もしくはスパッタ法により成膜されることが望ましい。
以下に、具体的な実施例を示す。ただし、これらは一例に過ぎず、本発明はこれらの条件に限定されるものではない。
本実施例では、屈折率1.60(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表2に示す膜構成で作製した。このとき、第1層目から第4層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第5層目は、屈折率が1.23になるように、中空SiO2含有の溶液とバインダー溶液を混合調整して作製した液をスピンコーターで塗工し、100〜250℃のクリーンオーブンで1時間焼成した。
(実施例2)
本実施例では、屈折率1.70(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表3に示す膜構成で作製した。このとき、第1層目から第4層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第5層目は、屈折率が1.23になるように、中空MgF2含有の溶液とバインダー溶液を混合調整して作製した液をスピンコーターで塗工し、100〜250℃のクリーンオーブンで1時間焼成した。
本実施例では、屈折率1.80(λ=550nm)ガラス基板上に、反射防止膜を表4に示す膜構成で作製した。第1層目から第4層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第5層目は、屈折率が1.2になるように調整した中空SiO2の混合調整液をスピンコーターで塗工後、1時間の焼成により成膜した。
本実施例では、屈折率1.90(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表5に示す膜構成で作製した。第1層目から第4層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第5層目は、屈折率が1.23になるように調整した中空SiO2の混合調整液をスピンコーターで塗工後、1時間の焼成により成膜した。
本実施例では、屈折率2.00(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表6に示す膜構成で作製した。第1層目から第4層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第5層は、屈折率が1.20になるように調整した中空SiO2の混合調整液をスピンコーターで塗工後、1時間の焼成により成膜した。
本実施例では、屈折率2.00(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表7に示す膜構成で作製した。第1層目から第4層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第5層目は、屈折率が1.23になるように調整した中空MgF2の混合調整液をスピンコーターで塗工後、1時間の焼成により成膜した。
本実施例では、屈折率1.70(λ=550nm)の基板上に、反射防止膜を表8に示す膜構成で作製した。第1層目から第4層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第5層目は、屈折率が1.23になるように調整した中空SiO2の混合調整液をスピンコーターで塗工後、1時間の焼成により成膜した。
本実施例では、屈折率1.80(λ=550nm)の基板上に、反射防止膜を表9に示す膜構成で作製した。第1層目から第4層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第5層目は、屈折率が1.20になるように調整した中空SiO2の混合調整液をスピンコーターで塗工後、1時間の焼成により成膜した。
本実施例では、屈折率1.88(λ=550nm)の基板上に、反射防止膜を表10に示す膜構成で作製した。第1層目から第4層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第5層目は、屈折率が1.20になるように調整した中空SiO2の混合調整液をスピンコーターで塗工後、1時間の焼成により成膜した。
本実施例では、屈折率2.00(λ=550nm)の基板上に、反射防止膜を表11に示す膜構成で作製した。第1層目から第4層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第5層目は、屈折率が1.20になるように調整した中空SiO2の混合調整液をスピンコーターで塗工後、1時間の焼成により成膜した。
本発明は上述した具体的実施例に限定されるものでなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、反射防止膜を付与した光学素子としてレンズを示したが、プリズムや透光フィルタなどであっても良い。
Claims (11)
- 基板の上に基板側より順に第1層、第2層、第3層、第4層、第5層を積層した反射防止膜であって、
基準波長λを550nmとし、
前記基板の屈折率をns、
前記第1層の屈折率をn1、光学膜厚をd1(nm)、
前記第2層の屈折率をn2、光学膜厚をd2(nm)、
前記第3層の屈折率をn3、光学膜厚をd3(nm)、
前記第4層の屈折率をn4、光学膜厚をd4(nm)、
前記第5層の屈折率をn5、光学膜厚をd5(nm)とするとき、
ns>n1、
1.6≦ns≦2.05、
1.3≦n1≦1.8、かつ、0.018λ≦d1≦0.200λ、
1.8≦n2≦2.2、かつ、0.018λ≦d2≦0.11λ、
1.3≦n3≦1.8、かつ、0.04λ≦d3≦0.31λ、
1.8≦n4≦2.2、かつ、0.018λ≦d4≦0.15λ、
1.2≦n5≦1.3、かつ、0.18λ≦d5≦0.33λ
を満たすことを特徴とする反射防止膜。 - 1.80≦ns≦2.05を満たすことを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜。
- n1<n2
n2>n3
n3<n4
n4>n5
を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止膜。 - n1=n3<n2=n4、かつ、n5<n1であることを特徴とする請求項3に記載の反射防止膜。
- 前記第5層は、中空微粒子を含む層であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記中空微粒子は、シリカもしくはフッ化マグネシウムからなることを特徴とする請求項5に記載の反射防止膜。
- 前記第1層および前記第3層が、シリカ、アルミナ、フッ化マグネシウムのいずれかから成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記第2層および前記第4層が、チタン、タンタル、ジルコニア、クロム、ニオブ、セリウム、ハフニウム、イットリウムの内のいずれかの酸化物の単体もしくは前記酸化物の混合物から成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第4層は、真空蒸着法もしくはスパッタ法により成膜され、前記第5層は、ゾルゲル法で作製されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の前記反射防止膜を付与した光学素子。
- 請求項10に記載の前記光学素子を有する光学系。
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