JP2009168986A - 反射防止膜及びこれを有する光学部品、交換レンズ及び撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板上に、第1層〜第5層を基板側からこの順に積層してなる反射防止膜であって、波長領域400〜700 nmの光において、基板の屈折率が1.42〜1.55であり、各層は所定の光学膜厚を有し、第1層はアルミナを主成分であり、第2層〜第4層は所定の屈折率を有し、第5層がシリカを主成分とする多孔質層である反射防止膜。
【選択図】図1
Description
前記基板の屈折率が1.42〜1.55であり、
前記第1層がアルミナを主成分とし、光学膜厚が115.0〜160.0 nmであり、
前記第2層の屈折率が2.05〜2.20、光学膜厚が62.5〜87.5 nmであり、
前記第3層の屈折率が1.33〜1.47、光学膜厚が36.0〜45.0 nmであり、
前記第4層の屈折率が2.04〜2.18、光学膜厚が52.0〜65.0 nmであり、
前記第5層がシリカを主成分とする多孔質層であり、光学膜厚が125.0〜147.5 nmであることを特徴とする反射防止膜。
(2) 上記(1) に記載の反射防止膜において、前記第2層及び第4層がTa2O5、TiO2、Nb2O5、ZrO2、HfO2、CeO2、SnO2、In2O3、ZnO、Y2O3及びPr6O11からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなり、前記第3層がMgF2、SiO2及びAl2O3からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなることを特徴とする反射防止膜。
(3) 上記(1) 又は(2) に記載の反射防止膜において、前記第1層の屈折率が1.59〜1.70であることを特徴とする反射防止膜。
(4) 上記(1)〜(3) のいずれかに記載の反射防止膜において、前記第5層の屈折率が1.22〜1.31であることを特徴とする反射防止膜。
(5) 上記(1)〜(4) のいずれかに記載の反射防止膜において、前記第5層がシリカエアロゲル層であることを特徴とする反射防止膜。
(6) 上記(1)〜(5) のいずれかに記載の反射防止膜において、0°入射光の波長領域450 nm〜600 nmにおける反射率が0.3%以下であることを特徴とする反射防止膜。
(7) 上記(1)〜(6) のいずれかに記載の反射防止膜において、前記第5層の上にさらに撥水性又は撥水撥油性を有する厚さ0.4 nm〜100 nmのフッ素樹脂系膜を有することを特徴とする反射防止膜。
(8) 上記(1)〜(7) のいずれかに記載の反射防止膜において、前記第1層〜第4層は物理成膜法により形成され、前記第5層は湿式法により形成されることを特徴とする反射防止膜。
(9) 上記(1)〜(8) のいずれかに記載の反射防止膜において、前記物理成膜法は真空蒸着法であり、前記湿式法はゾル―ゲル法であることを特徴とする反射防止膜。
(10) 上記(1)〜(9) のいずれかに記載の反射防止膜を有することを特徴とする光学部品。
(11) 上記(10) に記載の光学部品を有することを特徴とする交換レンズ。
(12) 上記(11) に記載の光学部品を有することを特徴とする撮像装置。
(1) 反射防止膜の構成
基板3上に形成された本発明の反射防止膜1を図1に示す。反射防止膜1は、所定の材料又は所定の屈折率及び光学膜厚[屈折率(n)×物理膜厚(d)]を有する第1層から第5層までの薄層を基板3の表面に積層したものである。
光学膜厚が115.0〜160.0 nmでありアルミナを主成分の第1層11と、
光学膜厚が62.5〜87.5 nmであり屈折率が2.05〜2.20の第2層12と、
光学膜厚が36.0〜45.0 nmであり屈折率が1.33〜1.47の第3層13と、
光学膜厚が52.0〜65.0 nmであり屈折率が2.04〜2.18の第4層14と、
光学膜厚が125.0〜147.5 nmでありシリカを主成分とする多孔質層である第5層15とを有する。
本発明の反射防止膜の第1層11はアルミナを主成分とする。第1層11はアルミナ(酸化アルミニウム)のみからなるのが好ましい。アルミナの純度としては、99%以上が好ましい。
本発明の反射防止膜の第2層12から第4層14を構成する材料のうち、第2層12及び第4層14は、Ta2O5、TiO2、Nb2O5、ZrO2、HfO2、CeO2、In2O3、ZnO、Y2O3及びPr6O11からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなることが好ましい。第3層13はMgF2、SiO2及びAl2O3からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなることが好ましい。
第5層はシリカを主成分とする多孔質層15である。以下に、多孔質層15を構成する材料の生成について詳述する。
(4-i) 有機修飾シリカ分散液の調製
(4-i-1) 湿潤ゲルの形成
シリカ骨格形成化合物及び触媒を溶媒に溶解させ、加水分解重合反応をさせた後、エージングすることにより湿潤ゲルを形成する。湿潤ゲルの好ましい具体的な形成手順を以下に示す。
(a-1) 飽和アルコキシシラン及びシルセスキオキサン
アルコキシシラン及び/又はシルセスキオキサンの加水分解重合により、シリカゾル及びシリカゲルが生成する。飽和アルコキシシランはモノマーでも、オリゴマーでも良い。飽和アルコキシシランモノマーはアルコキシル基を3つ以上有するのが好ましい。アルコキシル基を3つ以上有する飽和アルコキシシランをシリカ骨格形成原料とすることにより、優れた均一性を有する反射防止膜が得られる。飽和アルコキシシランモノマーの具体例としてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが挙げられる。飽和アルコキシシランオリゴマーとしては、上述のモノマーの縮重合物が好ましい。飽和アルコキシシランオリゴマーはモノマーの加水分解重合により得られる。
シリカ骨格形成原料として、紫外線重合性の不飽和基を有する不飽和アルコキシシラン又はシルセスキオキサンのモノマー又はオリゴマーを使用しても良い。シリカ骨格形成原料として不飽和基を有するものを使用することによって、バインダーの配合量が少ない場合にも、優れた靭性を有するシリカエアロゲル膜を得ることができる。不飽和アルコキシシランモノマーは、少なくとも一つの二重結合又は三重結合を有する有機基(以下「不飽和基」という)と、アルコキシル基とを有する。不飽和基の炭素数は2〜10であり、2〜4であるのが好ましい。
RaSi(ORb)3 ・・・(1)
(ただし、Raは不飽和結合を有する炭素数2〜10の有機基を示し、RbOは炭素数1〜4のアルコキシル基を示す。)により表される。
SimOm-1Ra 2m+2-xORb x ・・・(2)
(ただし、Raは不飽和結合を有しかつ炭素数2〜10の有機基を示し、RbOは炭素数1〜4のアルコキシル基を示し、mは2〜5の整数を示し、xは4〜7の整数を示す。)により表されるものが好ましい。不飽和基Ra及びアルコキシル基RbOの好ましい例は、上述のアルコキシシランモノマーのものと同じである。
溶媒は水とアルコールからなるのが好ましい。アルコールとしてはメタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコールが好ましく、エタノールが特に好ましい。加水分解重縮合反応の活性の程度は、アルコキシシラン又はシルセスキオキサンのモノマー及び/又はオリゴマー(シリカ骨格形成化合物)に対する水のモル比に依存する。したがって水/アルコールのモル比は加水分解重縮合反応の進行に直接影響を及ぼすものではないが、実質的には0.1〜2とするのが好ましい。水/アルコールのモル比が2超であると、加水分解反応が速く進行し過ぎる。水/アルコールのモル比が0.1未満であると、シリカ骨格形成化合物の加水分解が十分に起こりにくい。
シリカ骨格形成化合物の水溶液に加水分解反応用の触媒を添加する。触媒は酸性であっても塩基性であっても良い。例えば酸性の触媒を含有する水溶液中でシリカ骨格形成化合物モノマーを縮合させることによってオリゴマーを得、これを塩基性触媒を含有する溶液中で重合させると、効率良く加水分解反応を進行させることができる。酸性触媒の例として塩酸、硝酸及び酢酸が挙げられる。塩基性触媒の例としてアンモニア、アミン、NaOH及びKOHが挙げられる。好ましいアミンの例としてアルコールアミン、アルキルアミン(例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、n-ブチルアミン、n-プロピルアミン。)が挙げられる。
溶媒/アルコキシシランのモル比が3〜100となるように、シリカ骨格形成化合物を溶媒に溶解するのが好ましい。モル比を3未満とするとアルコキシシランの重合度が高くなり過ぎ、モル比を100超とするとアルコキシシランの重合度が低くなり過ぎる。触媒/アルコキシシランのモル比は1×10-7〜1×10-1にするのが好ましく、1×10-2〜1×10-1にするのがより好ましい。モル比が1×10-7未満であると、アルコキシシランの加水分解反応が十分に起こらない。モル比を1×10-1超としても、触媒効果は増大しない。また水/アルコキシシランのモル比は0.5〜20にするのが好ましく、5〜10にするのが更に好ましい。
加水分解により縮合したシリカ骨格形成化合物を含有する溶液を、約20〜60時間25〜90℃で静置するかゆっくり撹拌することにより、エージングする。エージングによりゲル化が進行し、酸化ケイ素を含有する湿潤ゲルが生成する。
湿潤ゲルの分散媒は、エージングを促進したり遅らせたりする表面張力及び/又は固相−液相の接触角や、有機修飾工程における表面修飾の範囲に影響する他、後述する塗工工程における分散媒の蒸発率にも関係する。ゲルに取り込まれている分散媒は、別の分散媒を注ぎ、振とうした後でデカンテーションする操作を繰り返すことによって別の分散媒に置換することができる。分散媒の置換は有機修飾反応の前でも後でも良いが、工程数を少なくする観点から、有機修飾反応の前に行うのが好ましい。
湿潤ゲルに有機修飾剤溶液を加えることにより、湿潤ゲルを構成する酸化ケイ素の末端にある水酸基等の親水性基を疎水性の有機基に置換する。
(a) 有機修飾剤
(a-1) 飽和有機修飾剤
好ましい飽和有機修飾剤は下記式(3)〜(8)
Rc pSiClq ・・・(3)
Rc 3SiNHSiRc 3 ・・・(4)
Rc pSi(OH)q ・・・(5)
Rc 3SiOSiRc 3 ・・・(6)
Rc pSi(ORb)q ・・・(7)
Rc pSi(OCOCH3)q ・・・(8)
(ただしpは1〜3の整数を示し、qはq = 4−p の条件を満たす1〜3の整数を示し、RbOは炭素数1〜4のアルコキシル基を示し、Rcは水素、炭素数1〜18の置換又は無置換のアルキル基、又は炭素数5〜18の置換又は無置換のアリール基を示す。)のいずれかにより表される化合物、又はそれらの混合物である。
不飽和有機修飾剤を使用すると、バインダーの配合量が少ない場合にも、優れた靭性を有するシリカエアロゲル膜を得ることができる。不飽和有機修飾剤の好ましい例は、下記式(9)〜(14)
Rd pSiClq ・・・(9)
Rd 3SiNHSiRd 3 ・・・(10)
Rd pSi(OH)q ・・・(11)
Rd 3SiOSiRd 3 ・・・(12)
Rd pSi(ORd)q ・・・(13)
Rd pSi(OCOCH3)q ・・・(14)
(ただしpは1〜3の整数であり、qはq = 4−p の条件を満たす1〜3の整数を示し、Rdは紫外線重合性不飽和結合を有し、炭素数が2〜10の有機基を示す。)により表される。不飽和基Rdはメチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。不飽和基Rdの例としてビニル基、アリル基、メタクリロキシ基、アミノプロピル基、グリシドキシ基、アルケニル基及びプロパルギル基が挙げられる。不飽和有機修飾剤は一種でも二種以上でも良い。また不飽和有機修飾剤に飽和有機修飾剤を併用しても良い。
有機修飾剤は、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘプタン等の炭化水素類、アセトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物のような溶媒に溶解するのが好ましい。有機修飾剤の種類や濃度にもよるが、有機修飾反応は10〜40℃で進行させるのが好ましい。10℃未満であると、有機修飾剤が酸化ケイ素と反応しにくい。40℃超であると、有機修飾剤が酸化ケイ素以外の物質と反応し易過ぎる。反応中、溶液の温度及び濃度に分布が生じないように、溶液を撹拌するのが好ましい。例えば有機修飾剤溶液がトリエチルクロロシランのヘキサン溶液の場合、10〜40℃で20〜40時間(例えば30時間)程度保持すると、シラノール基が十分にシリル化される。
超音波処理により、ゲル状及び/又はゾル状有機修飾シリカを塗工に好適な状態にすることができる。ゲル状の有機修飾シリカの場合、超音波処理により、電気的な力若しくはファンデルワールス力によって凝集していたゲルが解離するか、ケイ素と酸素との共有結合が壊れて、分散状態になると考えられる。ゾル状の場合も、超音波処理によってコロイド粒子の凝集を少なくすることができる。超音波処理には、超音波振動子を利用した分散装置を使用することができる。照射する超音波の周波数は10〜30 kHzとするのが好ましい。出力は300〜900 Wとするのが好ましい。
有機修飾シリカのバインダーとして作用する紫外線硬化性樹脂は、有機修飾シリカの分散液と相溶性を有するのが好ましい。紫外線硬化性樹脂を溶解しえるとともに、有機修飾シリカ分散液と相溶性を有する溶媒であれば、特に限定されない。従って、有機修飾シリカ分散液の置換分散媒として上に記載したものの中から適宜選択すれば良い。
塗工液は、有機修飾シリカと、一種又は二種以上の紫外線硬化性樹脂と、光重合開始剤とを含有する。塗工液は、(a) 有機修飾シリカを含有する分散液と、紫外線硬化性樹脂及び重合開始剤を含有する溶液とを混合するか、(b)有機修飾シリカ及び重合開始剤を含有する分散液と、紫外線硬化性樹脂を含有する溶液とを混合するか、(c) 有機修飾シリカ及び光重合開始剤を含有する分散液と、紫外線硬化性樹脂及び光重合開始剤を含有する溶液とを混合するか、(d) 有機修飾シリカを含有する分散液と紫外線硬化性樹脂を含有する溶液とを混合した後に光重合開始剤を添加することにより、調製することができる。混合前の分散液の有機修飾シリカの含有量は、上述のように、分散媒に対して0.1〜20質量%とするのが好ましい。フルオロオレフィン系共重合体をバインダーとする場合、共重合体の濃度は0.5〜2.0質量%とするのが好ましい。
反射防止膜の第1層11から第4層14は、物理成膜法で形成するのが好ましい。物理成膜法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。なかでも特に製造コスト、加工精度の面において真空蒸着法が好ましい。
(6-i) 塗工
第5層15は湿式法により形成する。塗工液を基板等に塗工すると、分散媒が揮発し、有機修飾シリカ、紫外線硬化性樹脂及び光重合開始剤からなる膜が形成される。塗工方法の例としてスプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、フローコート法及びバーコート法が挙げられる。好ましい塗工方法は、スピンコート法である。スピンコート法に拠ると、均一な厚さからなる層を形成することができる。
塗工液中の溶媒は揮発性であるので、自然乾燥でも良いが、50〜100℃に加熱すると乾燥を促進することができる。有機修飾シリカの空隙率は、分散媒が揮発している間は、毛管圧によって生じるゲルの収縮のために小さくなるが、揮発し終わると、スプリングバック現象によって回復する。このため乾燥によって得られる有機修飾シリカエアロゲル膜の空隙率は、ゲルネットワークの元々の空隙率とほぼ同じであり、大きな値を示す。シリカゲルネットワークの収縮及びスプリングバック現象については、米国特許5,948,482号に詳細に記載されている。
塗工膜に紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂、又は紫外線硬化性樹脂及び有機修飾シリカの不飽和基を重合させる。紫外線照射装置を用いて塗工膜に50〜10000 mJ/cm2程度の紫外線を照射するのが好ましい。塗工膜の厚さにも依るが、10〜2000 nm程度の場合、照射時間は1〜30秒程度とするのが好ましい。
塗工膜は50〜150℃で焼成するのが好ましい。焼成によって層中の溶媒や表面の水酸基等を除去し、膜の強度を大きくすることができる。また焼成温度が50〜150℃程度であれば、分解はほとんど起こらないので、焼成後のシリカエアロゲル膜は紫外線硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂と有機修飾シリカの不飽和基の重合によって形成した硬化樹脂を有する。
基板3としては、波長領域400〜700 nmの光の屈折率が1.42〜1.55であり、1.45〜1.52であるのが好ましい。基板3の屈折率がこのような範囲の値であると、可視光の波長帯域において光学性能を良好に改善することができ、かつ、交換レンズのコンパクト化を図ることができる。
本発明では、図2に示すように基板3の側から第1層21、第2層22、第3層23、第4層24及び第5層25からなる反射防止膜2の上にさらに撥水性又は撥水撥油性(以下、特段の断りがない限り「撥水撥油性」とする)を有するフッ素樹脂系膜26を設けても良い。
CF3(CF2)a(CH2)2SiRbXc ・・・(15)
(ただしRはアルキル基であり、Xはアルコキシ基又はハロゲン原子であり、aは0〜7の整数であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜3の整数であって、b + c = 3である。)により表される化合物が挙げられる。式(15)により表される化合物の具体例として、CF3(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CH2)2SiCl3、CF3(CF2)5(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)5(CH2)2SiCl3、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)7(CH2)2SiCl3、CF3(CF2)7(CH2)3SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)7(CH2)2SiCH3Cl2等が挙げられる。有機ケイ素ポリマーの市販品の例としてはノベックEGC-1720(住友スリーエム製)、XC98-B2472(GE東芝シリコーン製)及び X71-130(信越化学工業製)が挙げられる。
実施例1の反射防止膜1を表1の層構成に従って形成した。各層の屈折率は波長550 nmの光に対する屈折率とする。各層の形成手順を以下に示す。
FK02からなる光学レンズの表面に、表1に示す第1層から第4層までの反射防止膜を図7に示す装置を用いて電子ビーム式の真空蒸着法により形成した。ここで、蒸着における条件は、初期真空度を1.2×10−5Torr、基板温度を230℃とした。
第5層のシリカエアロゲル層の形成を、ゾル−ゲル法により行った。
テトラエトキシシラン5.21 gと、エタノール4.38 gとを混同した後、塩酸(0.01 N)0.4 gを加えて90分間攪拌した後、エタノール44.3 gと、アンモニア水溶液(0.02 N)0.5 gとを添加して46時間攪拌した。得られた混合液を60℃に昇温して46時間エージングしたところ、シリカ湿潤ゲルが生成した。
シリカ湿潤ゲルにエタノールを加えて10時間振とうした後、デカンテーションすることにより、未反応物等を除去するとともに湿潤ゲルの分散媒をエタノールに置換した。次いで、エタノール分散湿潤ゲルにメチルイソブチルケトン(MIBK)を加えて10時間振とうし、デカンテーションすることにより、エタノール分散媒をMIBKに置換した。
超音波照射(20 kHz,500 W)を20分間行うことによりゾル状有機修飾シリカ(有機修飾シリカ分散液)を生成した。
工程(2-ii) で得た有機修飾シリカ分散液と低屈折率紫外線硬化性樹脂溶液[ダイキン工業(株)製、商品名「AR100」]とを9:1の体積比で混合し、有機修飾シリカ含有塗工液とした。
工程(2-iii)で得られた有機修飾シリカ含有塗工液を第4層の上にスピンコート法により塗布し、UV照射装置(フュージョンシステムズ社製)を用いて1500 mJ/cm2で紫外線照射することにより重合させた後、150℃で1時間焼成したところ、加水分解重縮合反応が起こり、表1に示す膜厚の有機修飾鎖を有するシリカエアロゲル層が形成された。
実施例1と同様にして、FK02からなる光学レンズに、表4の第1層から第5層からなる反射防止膜を形成した。更に第5層の上にフッ素樹脂系膜を以下の方法で形成した。
3・・・基板
Claims (12)
- 基板上に、第1層〜第5層を前記基板側からこの順に積層してなる反射防止膜であって、波長領域400〜700 nmの光において、
前記基板の屈折率が1.42〜1.55であり、
前記第1層がアルミナを主成分とし、光学膜厚が115.0〜160.0 nmであり、
前記第2層の屈折率が2.05〜2.20、光学膜厚が62.5〜87.5 nmであり、
前記第3層の屈折率が1.33〜1.47、光学膜厚が36.0〜45.0 nmであり、
前記第4層の屈折率が2.04〜2.18、光学膜厚が52.0〜65.0 nmであり、
前記第5層がシリカを主成分とする多孔質層であり、光学膜厚が125.0〜147.5 nmであることを特徴とする反射防止膜。 - 請求項1に記載の反射防止膜において、前記第2層及び第4層がTa2O5、TiO2、Nb2O5、ZrO2、HfO2、CeO2、SnO2、In2O3、ZnO、Y2O3及びPr6O11からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなり、前記第3層がMgF2、SiO2及びAl2O3からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1又は2に記載の反射防止膜において、前記第1層の屈折率が1.59〜1.70であることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止膜において、前記第5層の屈折率が1.22〜1.31であることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止膜において、前記第5層がシリカエアロゲル層であることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止膜において、0°入射光の波長領域450 nm〜600 nmにおける反射率が0.3%以下であることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止膜において、前記第5層の上にさらに撥水性又は撥水撥油性を有する厚さ0.4 nm〜100 nmのフッ素樹脂系膜を有することを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止膜において、前記第1層〜第4層は物理成膜法により形成され、前記第5層は湿式法により形成されることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止膜において、前記物理成膜法は真空蒸着法であり、前記湿式法はゾル―ゲル法であることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の反射防止膜を有することを特徴とする光学部品。
- 請求項10に記載の光学部品を有することを特徴とする交換レンズ。
- 請求項10に記載の光学部品を有することを特徴とする撮像装置。
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