JP2014172931A - ゴム組成物、ゴム部材、それを用いたシール部材及び搬送部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、安価で且つ高いゴムの物性と剥離液や除去液等の洗浄液に対する高い耐性とを有するゴム部材を得るためのゴム組成物を提供する。
【解決手段】エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して、20質量部〜200質量部のカーボンブラックと、有機過酸化物とを含有し、無機金属化合物が1質量部以下であるゴム組成物。
【選択図】なし
【解決手段】エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して、20質量部〜200質量部のカーボンブラックと、有機過酸化物とを含有し、無機金属化合物が1質量部以下であるゴム組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ゴム組成物、ゴム部材、それを用いたシール部材及び搬送部材に関する。
一般的に、半導体やフラットパネルディスプレイ(FPD)における配線や絶縁膜等の微細パターンは、フォトリソグラフィー工程により加工される。
このフォトリソグラフィー工程では、シリコンウェーハ又はガラス基板上に酸化膜等の膜を形成する成膜工程、レジストと呼ばれる液体を塗布しレジストを固化するレジスト工程、レジストに光を照射して反応させる露光工程、現像液に浸し余分な部分のレジストを除去する現像工程、不要な部分を除去するエッチング工程、レジストを除去するレジスト除去工程等からなる工程を繰り返し、微細パターンを加工し、半導体やフラットパネルディスプレイ(FPD)の基となるシリコンウェーハ又はガラス基板の製造が行われる。
レジスト除去工程に用いられる方法として、レジストを除去するための剥離液と呼ばれる薬品を使用しレジストを除去する方法や、レジストを酸素プラズマ等により灰化(アッシング)し、それにより生じるレジストの酸化物を除去液(ポリマー除去液と呼ぶ場合もある)で除去するドライプロセスを用いた方法等が知られている。
この際、使用される剥離液や除去液等の洗浄液としては、ヒドロキシルアミンやモノエタノールアミン等のアミン及び極性溶媒を含有する混合液や、フッ化アンモニウムを含有する混合液が広く用いられている。
この中でも、ヒドロキシルアミンやモノエタノールアミンを含有する洗浄液はゴム部材への反応性が極めて高い。このため、一般的に、洗浄液に接触するシール部材や搬送部材等に用いられるゴム部材のベース材料として、洗浄液に対する耐性の高いフッ素系樹脂、フッ素系ゴム、フッ素エラストマー等のフッ素系材料が用いられている(特許文献1〜3を参照)。
一方、安価なゴム組成物として、エチレンプロピレン系共重合体をベース材料とするゴム組成物が知られている。例えば、ゴム部材を得る際、架橋助剤(硫黄架橋の場合)や耐熱性向上等を目的(過酸化架橋の場合)として、酸化亜鉛をエチレンプロピレン系共重合体100質量部に対して5質量部の割合で配合したゴム組成物(非特許文献1を参照)や、充填剤として炭酸カルシウム等の無機金属化合物を50〜200質量部の割合で配合したゴム組成物(特許文献4を参照)が知られている。
NOC技術ノートNo.489(大内新興化学工業株式会社),日本ゴム協会誌;74(9),383(2001)
しかしながら、フッ素系材料は、非常に高価な材料であり、さらに、ゴム部材のベース材料として用いた場合、洗浄液に対する耐性が高いものの、消耗品であるため、定期的な交換が必要となり、交換毎に高額な費用が生じるという問題がある。
また、エチレンプロピレン系共重合体をベース材料としたゴム組成物やニトリルゴム(NBR)等の安価なゴム組成物を用いた場合、このゴム組成物から得られるゴム部材が洗浄液と接触すると、過度の膨潤が生じるといった問題や、発泡が生じるといった問題が発生する。
そのようなことから、ゴム部材を得るためのゴム組成物として、安価で、且つ、架橋成形後には洗浄液に対する耐性が高く、過度の膨潤や発泡のような不具合が生じないゴム組成物が求められている。
したがって、本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、安価で且つ高いゴムの物性(強度、弾性等)と、剥離液や除去液等の洗浄液に対する高い耐性とを有するゴム部材を得るためのゴム組成物を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、エチレンプロピレン系共重合体100質量部に対して、20質量部〜200質量部のカーボンブラックと、有機過酸化物とを含有し、無機金属化合物が1質量部以下であるゴム組成物から得られるゴム部材が、高いゴムの物性を維持しつつ、剥離液や除去液等の洗浄液と接触した場合であっても、過度の膨潤や発泡等の不具合を防ぐことができ、耐性を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の特徴は以下の通りである。
[1] エチレンプロピレン系共重合体と、
エチレンプロピレン系共重合体100質量部に対して、
20質量部〜200質量部のカーボンブラックと、
有機過酸化物とを含有し、
任意成分として、エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して、
無機金属化合物が1質量部以下であるゴム組成物。
[2] 有機過酸化物の含有量が、エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部である上記[1]に記載のゴム組成物。
[3] 有機共架橋剤をさらに、エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して、0.5質量部〜20質量部含有する上記[1]又は[2]に記載のゴム組成物。
[4] 上記[1]〜[3]の何れか1項に記載のゴム組成物を架橋成形して得られるゴム部材。
[5] フォトリソグラフィー工程で使用される剥離液又は除去液と接触する箇所に用いる[4]に記載のゴム部材。
[6] 上記[4]又は[5]に記載のゴム部材を用いたシール部材。
[7] 上記[4]又は[5]に記載のゴム部材を用いた搬送部材。
エチレンプロピレン系共重合体100質量部に対して、
20質量部〜200質量部のカーボンブラックと、
有機過酸化物とを含有し、
任意成分として、エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して、
無機金属化合物が1質量部以下であるゴム組成物。
[2] 有機過酸化物の含有量が、エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部である上記[1]に記載のゴム組成物。
[3] 有機共架橋剤をさらに、エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して、0.5質量部〜20質量部含有する上記[1]又は[2]に記載のゴム組成物。
[4] 上記[1]〜[3]の何れか1項に記載のゴム組成物を架橋成形して得られるゴム部材。
[5] フォトリソグラフィー工程で使用される剥離液又は除去液と接触する箇所に用いる[4]に記載のゴム部材。
[6] 上記[4]又は[5]に記載のゴム部材を用いたシール部材。
[7] 上記[4]又は[5]に記載のゴム部材を用いた搬送部材。
本発明によれば、安価で、且つ高いゴムの物性と剥離液や除去液等の洗浄液に対する高い耐性とを有するゴム部材を得るためのゴム組成物を提供することができる。さらに、当該ゴム組成物を架橋成形して得られるゴム部材、並びに当該ゴム部材を用いたシール部材及び搬送部材を提供することができる。
本発明に係るゴム組成物は、エチレンプロピレン系共重合体と、エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して、20質量部〜200質量部のカーボンブラックと、有機過酸化物を含有し、任意成分として、エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して、無機金属化合物が1質量部以下である組成物である。
(エチレンプロピレン系共重合体)
エチレンプロピレン系共重合体は、本発明に係るゴム組成物のベース材料であり、フッ素系エラストマーよりも、一般的に安価な価格で市販されている。
エチレンプロピレン系共重合体は、本発明に係るゴム組成物のベース材料であり、フッ素系エラストマーよりも、一般的に安価な価格で市販されている。
エチレンプロピレン系共重合体は、主にエチレンモノマーとプロピレンモノマーを共重合させて得られる共重合体であれば、特に限定されず、例えば、エチレンプロピレン共重合体(EPM)、エチレンプロピレンジエン共重合体(EPDM)が挙げられる。これら一種単独又は二種以上を組み合わせて使用して良い。また、重合方法は、特に制限なく、バナジウム触媒、メタロセン触媒を用いる方法等、一般的に知られている重合方法であればよい。
また、エチレンプロピレン系共重合体として、油展されたエチレンプロピレン系共重合体も使用可能である。本発明で得られるゴム部材から、洗浄液によって、油展用油成分の抽出が懸念される場合には、非油展のエチレンプロピレン系共重合体を用いることが好ましい。
エチレンプロピレン系共重合体における、エチレン含量は、特に制限されないが、30質量%〜80質量%が好ましく、商用的に入手しやすいため、40質量%〜70質量%がより好ましい。また、ゴム部材を、常温(約20℃)を下回る温度で使用する場合は、60質量%以下が好ましい。これは、常温を下回る温度で使用する場合、ゴム部材のゴム弾性が、常温より低下する傾向にあるが、エチレン含量が60質量%以下のものを用いたゴム部材は、常温を下回る温度でも充分なゴム弾性が得られるためである。なお、ここで、エチレン含量はASTM D 3900で求めることができる。
エチレンプロピレン系共重合体のムーニー粘度は、特に制限されない。ムーニー粘度ML1+4(125℃)は、10〜100であると商用的に入手しやすいため好ましい。なお、本明細書において「ムーニー粘度ML1+4(125℃)」とは、ASTM D 1646に準拠して、125℃でラージローターを用い、予熱1分および回転開始後4分にムーニー粘度計で測定したムーニー粘度である。
エチレンプロピレン系共重合体のジエン成分としては、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン等が挙げられる。これらの中でも、5−エチリデン−2−ノルボルネンおよびジシクロペンタジエンが好ましい。
エチレンプロピレン系共重合体における、ジエン含量は特に制限されないが、商用的に入手しやすいため0質量%〜15質量%が好ましい。また、成形時間が短くなるため2質量%〜15質量%がより好ましい。なお、ここで、ジエン含量はASTM D 6047で求めることができる。
(カーボンブラック)
カーボンブラックは、特に制限されないが、例えば、サーマルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のゴムに配合可能なカーボンブラックであれば使用可能である。これらを一種単独又は二種以上を組み合わせて使用して良い。
カーボンブラックは、特に制限されないが、例えば、サーマルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のゴムに配合可能なカーボンブラックであれば使用可能である。これらを一種単独又は二種以上を組み合わせて使用して良い。
カーボンブラックの含有量は、エチレンプロピレン系共重合体100質量部に対して、20質量部〜200質量部であればよく、30質量部〜180質量部が好ましく、40質量部〜150質量部がより好ましく、50質量部〜100質量部がさらに好ましい。
カーボンブラックの含有量が、エチレンプロピレン系共重合体100質量部に対して、20質量部未満であると、洗浄液に接触する場合にゴムに外観異常(表面に発泡)が生じやすくなる。さらに、ゴム部材の硬さが小さくなり、ゴム部材の強度(引張強さ)も低下する。
一方、カーボンブラックの含有量が、エチレンプロピレン系共重合体100質量部に対して、200質量部を超えると、ゴム組成物の混練加工時に、発熱が大きくなりスコーチが生じる。また、硬さが大きくなり、ゴム弾性は乏しくなり、得られるゴム部材のゴムの物性が低下する。
(無機金属化合物)
本発明で用いられる無機金属化合物としては、金属酸化物、金属水酸化物、金属塩等が挙げられる。金属酸化物として、例えば、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等のゴムに配合可能な金属酸化物であれば使用可能である。特に、金属酸化物として、耐熱性向上等を目的で配合する酸化亜鉛や、気泡防止剤である酸化カルシウム等が一般的に使用されている。これらを、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用して良い。
本発明で用いられる無機金属化合物としては、金属酸化物、金属水酸化物、金属塩等が挙げられる。金属酸化物として、例えば、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等のゴムに配合可能な金属酸化物であれば使用可能である。特に、金属酸化物として、耐熱性向上等を目的で配合する酸化亜鉛や、気泡防止剤である酸化カルシウム等が一般的に使用されている。これらを、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用して良い。
金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなど、受酸剤や難燃剤として一般的に使用されているものを使用することができる。これらを、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用して良い。
また、金属塩としては、特に制限されないが、例えば、充填剤である炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ドロマイト等の炭酸塩類、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリナイト、カオリンクレー(カオリナイトおよび石英)、焼成クレー(メタカオリン)、タルク、白雲母、絹雲母、ウォラストナイト、蛇紋石、パイロフィライト等のケイ酸塩類、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩類などゴムに配合可能な金属塩または金属塩からなる鉱物材料を使用することができる。これらを、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用して良い。
ゴム組成物における無機金属化合物の配合量は、エチレンプロピレン系共重合体100質量部に対して、1質量部以下であればよく、0.5質量部以下が好ましく、0.4質量部がより好ましく、0.2質量部以下がさらに好ましく、含有しないこと(0質量部)が最も好ましい。すなわち、本発明に係るゴム組成物において無機金属化合物はできるだけ含有しないほうがよい。
無機金属化合物の含有量が、エチレンプロピレン系共重合体100質量部に対して1質量部を超えると、ゴム組成物から得られるゴム部材が、洗浄液に接した際に、過度に膨潤し且つ発泡するという問題が生じる。特に、シール部材に関し、発泡により、シール性能が低下し、密封部材として機能しなくなるという不具合を生じる。
(有機過酸化物)
有機過酸化物は、ゴム製造に用いることが可能な、公知の有機過酸化物系の架橋剤であればよい。有機過酸化物として、例えば、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド等から選ばれる一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
有機過酸化物は、ゴム製造に用いることが可能な、公知の有機過酸化物系の架橋剤であればよい。有機過酸化物として、例えば、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド等から選ばれる一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ゴム組成物を過酸化物架橋により架橋成形することによって、ゴム部材は、高いゴムの物性を維持し且つ洗浄液に対する耐性が得られる。
過酸化物架橋を行うこと、無機金属化合物の配合量を1質量%以下に抑えること、及びカーボンブラックによりゴム部材を補強することとの相乗効果により、ゴム部材の洗浄液に対する耐性をより向上させることができるものと推定される。また、過酸化物架橋により得られるゴム部材は、過酸化物架橋とカーボンブラックの作用により、圧縮永久ひずみが小さく、耐熱性に優れている。
ゴム組成物における有機過酸化物の含有量は、エチレンプロピレン系共重合体100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部が好ましく、0.7質量部〜5質量部がより好ましく、1質量部〜4質量部がさらに好ましい。上記の範囲内であることにより、洗浄液に対するより高い耐性を備え且つ耐熱性に優れたゴム部材を得ることができる。また、ゴム組成物の混練加工時等にスコーチが生じにくい。
有機過酸化物の含有量が、エチレンプロピレン系共重合体100質量部に対して、0.5質量部以上であると、圧縮永久ひずみが良好であり、例えば、シール部材として最適である。また、有機過酸化物の含有量が、エチレンプロピレン系共重合体100質量部に対して、10質量部以下であると、ゴム組成物の混練加工時等にスコーチが生じにくいため好ましい。
(有機共架橋剤)
有機共架橋剤は、ゴム製造に用いることが可能な、金属酸化物、金属水酸化物および金属塩ではない公知の共架橋剤であればよい。ここで共架橋剤とは、架橋剤と共に用いられる配合剤であり、架橋速度の調整およびゴムの物性を向上させる作用を有する化合物である。
有機共架橋剤は、ゴム製造に用いることが可能な、金属酸化物、金属水酸化物および金属塩ではない公知の共架橋剤であればよい。ここで共架橋剤とは、架橋剤と共に用いられる配合剤であり、架橋速度の調整およびゴムの物性を向上させる作用を有する化合物である。
有機共架橋剤としては、例えば、マレイミド系の共架橋剤、メタクリレート系の共架橋剤、アリル系の共架橋剤、キノンジオキシム系の共架橋剤等が挙げられる。
マレイミド系の共架橋剤としては、例えば、N,N−m−フェニレンジマレイミド、マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド基含有化合物が挙げられる。
アリル系の共架橋剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート、ジアリルフマレート、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート等のアリル基(またはメタリル基)含有化合物が挙げられる。
メタクリレート系の共架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のメタクリル基含有化合物が挙げられる。
キノンジオキシム系の共架橋剤としては、p−ベンゾキノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム等のキノンジオキシム類が挙げられる。これらの有機共架橋剤の中でも特に、N,N−m−フェニレンジマレイミド、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートが好ましい。
本発明に係るゴム組成物は、一種単独又は二種以上の有機共架橋剤を含有していてもよい。
有機共架橋剤を使用する場合、その含有量は、エチレンプロピレン共重合体100質量部に対して、0.5質量部〜20質量部が好ましく、1質量部〜10質量部がより好ましい。有機共架橋剤の含有量が、エチレンプロピレン共重合体100質量部に対して、0.5質量部以上であると、ゴム部材とした場合に圧縮永久ひずみ及び伸びが好適であり、20質量部以下であると、伸びが好適である。
また、共架橋剤として無機金属化合物を、単独あるいは有機共架橋剤と併用して用いてもよいが、無機金属化合物の共架橋剤の配合量は、上述のように、エチレンプロピレン共重合体100質量部に対して1質量部以下とする必要がある。
(その他の添加剤)
本発明の目的を阻害しない範囲内の該分野において公知の添加剤(例えば、老化防止剤、酸化防止剤、可塑剤、加工助剤、着色剤、顔料、充填剤等)を本発明のゴム組成物に適宜配合することができる。
本発明の目的を阻害しない範囲内の該分野において公知の添加剤(例えば、老化防止剤、酸化防止剤、可塑剤、加工助剤、着色剤、顔料、充填剤等)を本発明のゴム組成物に適宜配合することができる。
なお、添加剤として無機金属化合物を用いてもよいが、上述のように、エチレンプロピレン共重合体100質量部に対して、無機金属化合物を1質量部以下とする必要がある。
(ゴム部材)
本発明に係るゴム部材は、上記のゴム組成物を架橋成形して得られるものであればよく、ゴム部材の形状及び大きさは、特に限定されず、使用の目的に応じて適宜選択できる。さらに、本発明に係るゴム部材は、フォトリソグラフィー工程で使用される剥離液、除去液等の洗浄液と接触する箇所に用いるゴム部材であってもよい。
本発明に係るゴム部材は、上記のゴム組成物を架橋成形して得られるものであればよく、ゴム部材の形状及び大きさは、特に限定されず、使用の目的に応じて適宜選択できる。さらに、本発明に係るゴム部材は、フォトリソグラフィー工程で使用される剥離液、除去液等の洗浄液と接触する箇所に用いるゴム部材であってもよい。
本発明に係るゴム部材を用いた成形品としては、例えば、シール部材(例えば、O−リング、パッキン、軸シール、伸縮継手等の密封用シール等)、搬送部材(例えば、シリコンウェーハ搬送部材又はガラス基板搬送部材等)等が挙げられる。搬送部材としては、具体的には、搬送ローラ用ゴム部材、搬送パッド用ゴム部材等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明に係るゴム部材は、剥離液や除去液等の洗浄液に対する耐性に優れる。より詳細には、本発明のゴム部材は、80℃の洗浄液に168時間浸漬しても、外観に発泡等の欠陥が観察されない(異常が見られない)。また、浸漬前後での体積変化率は、−10%〜+10%の範囲内が好ましく、−5%〜+5%の範囲内がより好ましく、0%〜+5%の範囲内がさらに好ましい。なお、ここで正の数値はゴム部材が膨潤(膨張)したことを示し、負の数値は収縮したことを示す。
また、本発明に係るゴム部材のゴムの物性に関し、硬さ(タイプAデュロメータ)は、50〜95の範囲内が好ましく、60〜80の範囲内がより好ましい。本発明に係るゴム部材の引張強さは、5MPa以上が好ましく、8MPa以上がより好ましい。本発明に係るゴム部材の破断伸びは、50%以上が好ましく、100%以上がより好ましい。
また、本発明に係るゴム部材は、極めて優れた圧縮永久ひずみを示す。例えば、本発明に係るゴム部材の圧縮永久ひずみ(JIS K 6262に準拠して測定、100℃×70時間、25%圧縮)は、好ましくは40%以下であり、例えば、ある実施形態では、5%〜15%の範囲内である。
(洗浄液)
本発明に係るゴム部材が優れた耐性を示すことができる洗浄液としては、ヒドロキシルアミンを含有する洗浄液、その他のアミン系洗浄液、フッ化アンモニウムを含有する洗浄液等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明に係るゴム部材が優れた耐性を示すことができる洗浄液としては、ヒドロキシルアミンを含有する洗浄液、その他のアミン系洗浄液、フッ化アンモニウムを含有する洗浄液等が挙げられるが、これらに限定されない。
ヒドロキシアミンを含有する洗浄液としては、例えば、ACT 930、ACT 933、ACT 933UP、ACT 935J、 ACT 936、 ACT 940、ACT N-396(以上、エア−プロダクツジャパン社製)、EKC 265、EKC 270、EKC 2255、EKC 2256(以上、デュポン社製)等が挙げられる。
その他のアミン系洗浄液としては、例えば、モノエタノールアミンを含有する洗浄液が挙げられる、具体的には、ACT AS-65、ACT 970(以上、エアープロダクツジャパン社製)、EKC 8500(デュポン社製)、剥離液106(東京応化工業社製)等が挙げられる。
フッ化アンモニウムを含有する洗浄液としては、例えば、ACT NE-14、ACT NE-87、ACT NE-89、ACT NE-111、ACT NE-168、ACT XT-1100(以上、エアープロダクツジャパン社製)、EKC 640(デュポン社製)等が挙げられる。
(製造方法)
本発明に係るゴム組成物は、上述の含有量の範囲内にて、上記のエチレンプロピレン系共重合体、カーボンブラック、及び有機過酸化物、並びに必要に応じて上記の無機金属化合物、有機共架橋剤及びその他の添加剤を、混錬機(例えば、インターミックス、ニーダー、バンバリーミキサー、オープンロール等)等を用いて混錬することにより製造することができる。
本発明に係るゴム組成物は、上述の含有量の範囲内にて、上記のエチレンプロピレン系共重合体、カーボンブラック、及び有機過酸化物、並びに必要に応じて上記の無機金属化合物、有機共架橋剤及びその他の添加剤を、混錬機(例えば、インターミックス、ニーダー、バンバリーミキサー、オープンロール等)等を用いて混錬することにより製造することができる。
また、本発明に係るゴム部材は、上記ゴム組成物を公知の方法を用いて架橋成形することにより製造することができる。例えば、上記ゴム組成物を加硫プレス、圧縮成型機、射出成型機等を用いて、通常条件として、架橋温度150℃〜200℃、架橋時間3分間〜60分間にて架橋し、使用の目的に応じて所望の形状及び大きさに成形することができる。
また、上記の架橋成型(即ち一次架橋)の後に、さらにオーブン加硫(二次架橋)を行ってもよい。この場合、オーブン加硫の温度は、通常、80℃〜180℃であればよく、オーブン加硫の時間は、0.5時間〜24時間であればよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(使用原料)
実施例で使用した原料を以下に記載する。なお実施例及び表では下記に従い略記で表示する。
実施例で使用した原料を以下に記載する。なお実施例及び表では下記に従い略記で表示する。
1,エチレンプロピレン系重合体
・EPM:JSR社製「EP11」(ML1+4(100℃):40、エチレン含量:52質量%)
・EPDM(1):三井化学社製「EPT3045H」(ML1+4(125℃):25、ジエン成分:ENB(5−エチリデン−2−ノルボルネン)、ジエン含量:4.5質量%、エチレン含量:56質量%)
・EPDM(2):JSR社製「EP21」(ML1+4(125℃):26、ジエン成分:ENB、ジエン含量:5.8質量%、エチレン含量:61質量%)
2,有機過酸化物
・有機過酸化物(1):日油社製「パークミルD」(ジクミルパーオキサイド)
・有機過酸化物(2):日油社製「パーヘキサ25B」(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン)
3,有機共架橋剤
・有機共架橋剤(1):日本化成社製「TAIC」(トリアリルイソシアヌレート)
・有機共架橋剤(2):精工化学社製「ハイクロスM」(トリメチロールプロパントリメタクリレート)
・有機共架橋剤(3):大内新興化学工業社製「バルノックPM」(N,N−m−フェニレンジマレイミド)
・有機共架橋剤(4):日本曹達社製「NISSO-PB B3000」(1,2−ポリブタジエン)
4,カーボンブラック
・カーボンブラック(1):三菱化学社製「ダイヤブラックI」(ファーネスブラック)
・カーボンブラック(2):三菱化学社製「ダイヤブラックH」(ファーネスブラック)
・カーボンブラック(3):東海カーボン社製「シーストG−S0」(ファーネスブラック)
・カーボンブラック(4):東海カーボン社製「シーストG−S」(ファーネスブラック)
・カーボンブラック(5):東海カーボン社製「シーストSP」(ファーネスブラック)
5,無機金属化合物
・金属酸化物:堺化学工業社製「酸化亜鉛2種」(酸化亜鉛)
・金属塩:近江化学工業社製「軽微性炭酸カルシウム」(炭酸カルシウム)
(実施例1〜14および比較例1〜3)
下記表1に示す割合の各成分を調製し、オープンロールを用いて混練して、実施例1〜8および比較例1〜3のゴム組成物を得た。次に、ゴム組成物をプレス成形装置にて170℃で20分間プレス架橋した後、さらに150℃で4時間2次架橋して、ゴム部材を得た。なお、表1中の各成分の含有量は、質量部により示した。
・EPM:JSR社製「EP11」(ML1+4(100℃):40、エチレン含量:52質量%)
・EPDM(1):三井化学社製「EPT3045H」(ML1+4(125℃):25、ジエン成分:ENB(5−エチリデン−2−ノルボルネン)、ジエン含量:4.5質量%、エチレン含量:56質量%)
・EPDM(2):JSR社製「EP21」(ML1+4(125℃):26、ジエン成分:ENB、ジエン含量:5.8質量%、エチレン含量:61質量%)
2,有機過酸化物
・有機過酸化物(1):日油社製「パークミルD」(ジクミルパーオキサイド)
・有機過酸化物(2):日油社製「パーヘキサ25B」(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン)
3,有機共架橋剤
・有機共架橋剤(1):日本化成社製「TAIC」(トリアリルイソシアヌレート)
・有機共架橋剤(2):精工化学社製「ハイクロスM」(トリメチロールプロパントリメタクリレート)
・有機共架橋剤(3):大内新興化学工業社製「バルノックPM」(N,N−m−フェニレンジマレイミド)
・有機共架橋剤(4):日本曹達社製「NISSO-PB B3000」(1,2−ポリブタジエン)
4,カーボンブラック
・カーボンブラック(1):三菱化学社製「ダイヤブラックI」(ファーネスブラック)
・カーボンブラック(2):三菱化学社製「ダイヤブラックH」(ファーネスブラック)
・カーボンブラック(3):東海カーボン社製「シーストG−S0」(ファーネスブラック)
・カーボンブラック(4):東海カーボン社製「シーストG−S」(ファーネスブラック)
・カーボンブラック(5):東海カーボン社製「シーストSP」(ファーネスブラック)
5,無機金属化合物
・金属酸化物:堺化学工業社製「酸化亜鉛2種」(酸化亜鉛)
・金属塩:近江化学工業社製「軽微性炭酸カルシウム」(炭酸カルシウム)
(実施例1〜14および比較例1〜3)
下記表1に示す割合の各成分を調製し、オープンロールを用いて混練して、実施例1〜8および比較例1〜3のゴム組成物を得た。次に、ゴム組成物をプレス成形装置にて170℃で20分間プレス架橋した後、さらに150℃で4時間2次架橋して、ゴム部材を得た。なお、表1中の各成分の含有量は、質量部により示した。
(物性測定)
各実施例及び各比較例で得られた各ゴム部材を以下の測定方法に従って測定した。
(1)硬さ
各ゴム部材から直径25mmで厚さ6mmの円柱状試験片を作製し、JIS K 6253:1997におけるデュロメータ硬さ(タイプA)試験により測定した。
(2)引張強さ
各ゴム部材から、JIS K 6251:2010におけるダンベル状3号形の試験片を作製し、JIS K 6251:2010における引張強さ試験により、引張強さを測定した。
(3)破断伸び
各ゴム部材から、JIS K 6251:2010におけるダンベル状3号形の試験片を作製し、JIS K 6251:2010における切断時伸び試験により、破断伸びを測定した。
(4)圧縮永久ひずみ
各ゴム部材からJIS K 6262:2006における大型試験片を用いて、JIS K 6262:2006における圧縮永久ひずみ試験により、圧縮永久ひずみを測定した。圧縮条件を100℃×70時間とし、圧縮率を25%とした。
各実施例及び各比較例で得られた各ゴム部材を以下の測定方法に従って測定した。
(1)硬さ
各ゴム部材から直径25mmで厚さ6mmの円柱状試験片を作製し、JIS K 6253:1997におけるデュロメータ硬さ(タイプA)試験により測定した。
(2)引張強さ
各ゴム部材から、JIS K 6251:2010におけるダンベル状3号形の試験片を作製し、JIS K 6251:2010における引張強さ試験により、引張強さを測定した。
(3)破断伸び
各ゴム部材から、JIS K 6251:2010におけるダンベル状3号形の試験片を作製し、JIS K 6251:2010における切断時伸び試験により、破断伸びを測定した。
(4)圧縮永久ひずみ
各ゴム部材からJIS K 6262:2006における大型試験片を用いて、JIS K 6262:2006における圧縮永久ひずみ試験により、圧縮永久ひずみを測定した。圧縮条件を100℃×70時間とし、圧縮率を25%とした。
(浸漬試験)
各実施例及び各比較例にて得てられたゴム部材から、25mm×50mm×2mmのシート状試験片を作製した。この各試験片を80℃の洗浄液に168時間浸漬し、発泡等の欠陥の発生の有無を観察し、さらに、浸漬前後の体積変化率をJIS K 6258:2003に準拠して測定した。
各実施例及び各比較例にて得てられたゴム部材から、25mm×50mm×2mmのシート状試験片を作製した。この各試験片を80℃の洗浄液に168時間浸漬し、発泡等の欠陥の発生の有無を観察し、さらに、浸漬前後の体積変化率をJIS K 6258:2003に準拠して測定した。
表1の項目「外観」において、「異常なし」は発泡等の欠陥が観察されなかったことを示し、「発泡あり」は発泡が観察されたことを示す。また、表1の項目「体積変化率(%)」において、各数値は、浸漬前後のゴム部材の体積の変化割合を示し、正の数値はゴム部材が膨潤(膨張)したことを示す。
浸漬試験で用いた洗浄液は以下の3種類である。
・ヒドロキシルアミンを含有するアミン系洗浄液
「ACT 933UP(エアープロダクツジャパン社製)」(ヒドロキシルアミン、モノエタノールアミン等の混合物)
・その他のアミン系洗浄液
「剥離液106(東京応化工業社製)」(モノエタノールアミン、ジメチルスルホキシドの混合物)
・ふっ化アンモニウムを含有する洗浄液「ACT NE-89(エアープロダクツジャパン社製)」(ふっ化アンモニウム、N, N-ジメチルアセトアミド、酢酸等の混合物)
以上の物性試験および浸漬試験の結果を下記表1に示す。
・ヒドロキシルアミンを含有するアミン系洗浄液
「ACT 933UP(エアープロダクツジャパン社製)」(ヒドロキシルアミン、モノエタノールアミン等の混合物)
・その他のアミン系洗浄液
「剥離液106(東京応化工業社製)」(モノエタノールアミン、ジメチルスルホキシドの混合物)
・ふっ化アンモニウムを含有する洗浄液「ACT NE-89(エアープロダクツジャパン社製)」(ふっ化アンモニウム、N, N-ジメチルアセトアミド、酢酸等の混合物)
以上の物性試験および浸漬試験の結果を下記表1に示す。
表1に示すように、エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して無機金属化合物を1質量部以下含有するゴム組成物から得られる実施例1〜14のゴム部材では、いずれの洗浄液の浸漬試験においても発泡の発生が観察されず、浸漬前後の体積変化率も問題ない範囲であった。よって、ヒドロキシルアミンを含有する洗浄液、その他のアミン系洗浄液、およびフッ化アンモニウムを含有する洗浄液に対して十分耐性があることがわかる。
それに対し、5質量部の無機金属化合物を含有するゴム組成物から得られる比較例1のゴム部材では、「ACT 933UP」の浸漬試験にて発泡の発生が観察され、浸漬前後の体積変化率も+11.2%と高い値となった。また、60質量部の金属塩を含有するゴム組成物から得られる比較例2のゴム部材においても、「ACT 933UP」の浸漬試験にて発泡の発生が観察され、浸漬前後の体積変化率も+18.7%と高い値となった。
また、カーボンブラックの含有量が、エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して10質量部と比較的少ないゴム組成物から得られる比較例3のゴム部材は、無機金属化合物を含有していないものの、「ACT 933UP」の浸漬試験にて発泡の発生が観察された。
また、カーボンブラックの含有量をエチレンプロピレン系重合体100質量部に対して200質量部に増量したゴム組成物から得られる実施例4のゴム部材の硬さ(タイプAデュロメータ)は92であり、他のゴム部材と比べて硬さの数値が高く、硬さ(タイプAデュロメータ)の好ましい範囲である50〜95の最大値に近い値である。
したがって、上記の各実施例及び比較例から、「ACT 933UP」等の洗浄液に浸漬しても発泡を生じないゴム部材を得るためには、ゴム組成物の無機金属化合物の含有量をエチレンプロピレン系重合体100質量部に対して1質量部以下とすると共に、カーボンブラックの含有量を20質量部〜200質量部の範囲内とすればよいということがわかる。
なお、当該発明実施範囲は、実施例で挙げた洗浄液のみならず、それらを構成する各薬品に対しても有効である。
本発明によれば、安価で且つ高いゴムの物性と剥離液や除去液等の洗浄液に対する高い耐性とを有するゴム部材、そのゴム部材を用いたシール部材及び搬送部材を得ることができる。上記のシール部材や搬送部材は、フォトリソグラフィー工程における剥離液や除去液等の洗浄液に対する耐性が高く安価であるため、例えば、半導体やフラットパネルディスプレイの製造工程に用いる部材として好適である。
Claims (7)
- エチレンプロピレン系共重合体と、
エチレンプロピレン系共重合体100質量部に対して、
20質量部〜200質量部のカーボンブラックと、
有機過酸化物とを含有し、
任意成分として、エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して、
無機金属化合物が1質量部以下であるゴム組成物。 - 有機過酸化物の含有量が、エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部である請求項1に記載のゴム組成物。
- 有機共架橋剤をさらに、エチレンプロピレン系重合体100質量部に対して、0.5質量部〜20質量部含有する請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載のゴム組成物を架橋成形して得られるゴム部材。
- フォトリソグラフィー工程で使用される剥離液又は除去液と接触する箇所に用いる請求項4に記載のゴム部材。
- 請求項4又は5に記載のゴム部材を用いたシール部材。
- 請求項4又は5に記載のゴム部材を用いた搬送部材。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017115003A (ja) * | 2015-12-24 | 2017-06-29 | 株式会社フジクラ | 半導電性樹脂組成物及びこれを用いた電力ケーブル |
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2013
- 2013-03-06 JP JP2013044135A patent/JP2014172931A/ja active Pending
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