JP2021042317A - 伝動ベルト用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性および耐摩耗性に優れた伝動ベルトを形成可能な伝動ベルト用組成物を提供する。【解決手段】エチレン(a1)に由来する構造単位と、α−オレフィン(a2)に由来する構造単位と、非共役ポリエン(a3)に由来する構造単位とを有するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、カーボンブラック(B)と、短繊維(C)と、過酸化物系架橋剤(D)と、2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋助剤(E)とを含有する伝動ベルト用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、伝動ベルト用組成物に関する。
伝動ベルトは、自動車用、自動二輪用および一般産業機械用に広く用いられている。伝動ベルトには、高ゴム弾性および耐摩耗性が必要とされている。前記性質を満たす伝動ベルトを製造するため、クロロプレンゴムが通常用いられており、また、耐熱性の改良、および軽量化の要求から、クロロプレンゴムにかえてエチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴムを用いることが検討されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
特開2001−310951号公報 特開2012−215212号公報
本発明者らの検討によれば、クロロプレンゴムを用いた場合、得られる伝動ベルトは耐熱性および耐摩耗性が充分ではないことが分かった。本発明の一態様に係る課題は、耐熱性および耐摩耗性に優れた伝動ベルトを形成可能な伝動ベルト用組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、下記構成の伝動ベルト用組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、例えば以下の[1]〜[7]に関する。
[1]エチレン(a1)に由来する構造単位と、α−オレフィン(a2)に由来する構造単位と、非共役ポリエン(a3)に由来する構造単位とを有するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、カーボンブラック(B)と、短繊維(C)と、過酸化物系架橋剤(D)と、2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋助剤(E)とを含有する伝動ベルト用組成物。
[2]前記非共役ポリエン(a3)が5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)から選ばれる少なくとも1種を含む、前記[1]に記載の伝動ベルト用組成物。
[3]前記α−オレフィン(a2)がプロピレンである、前記[1]または[2]に記載の伝動ベルト用組成物。
[4]前記短繊維(C)がアラミド短繊維である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の伝動ベルト用組成物。
[5]前記共重合体(A)100質量部に対して、前記カーボンブラック(B)の含有量が0.1〜200質量部であり、前記短繊維(C)の含有量が0.1〜100質量部である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の伝動ベルト用組成物。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の伝動ベルト用組成物から形成された架橋成形体。
[7]前記[6]に記載の架橋成形体を有する伝動ベルト。
本発明によれば、耐熱性および耐摩耗性に優れた伝動ベルトを形成可能な伝動ベルト用組成物を提供することができる。
本発明について詳細に説明する。
[伝動ベルト用組成物]
本発明の伝動ベルト用組成物の一実施形態(以下「本実施形態の組成物」ともいう)は、以下に説明するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、カーボンブラック(B)と、短繊維(C)と、過酸化物系架橋剤(D)と、2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋助剤(E)とを含有する。
<エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)>
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)(以下「共重合体(A)」ともいう)は、エチレン(a1)に由来する構造単位と、α−オレフィン(a2)に由来する構造単位と、非共役ポリエン(a3)とに由来する構造単位とを有する。
α−オレフィン(a2)としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどの炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられる。これらのうち、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましく、プロピレン、1−ブテンがさらに好ましい。このようなα−オレフィンは、原料コストが比較的安価であり、得られる共重合体(A)が優れた機械的性質を示し、さらにゴム弾性を持った成形体を得ることができるため好ましい。
α−オレフィン(a2)は1種または2種以上用いることができる。すなわち、共重合体(A)は、少なくとも1種のα−オレフィン(a2)に由来する構造単位を含んでおり、2種以上のα−オレフィン(a2)に由来する構造単位を含んでいてもよい。
共重合体(A)において、エチレン(a1)に由来する構造単位と、α−オレフィン(a2)に由来する構造単位とのモル比[(a1)/(a2)]は、好ましくは50/50〜85/15、より好ましくは53/47〜83/17、さらに好ましくは55/45〜80/20の範囲にある。このような共重合体(A)を用いることにより、耐熱性、耐寒性および耐摩耗性に優れた伝動ベルトを得ることができる。なお、共重合体(A)中のエチレン(a1)に由来する構造単位の含量およびα−オレフィン(a2)に由来する構造単位の含量は、13C−NMRにより求めることができる。
非共役ポリエン(a3)としては、例えば、環状の非共役ポリエン、鎖状の非共役ポリエンが挙げられる。環状の非共役ポリエンとしては、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデンが挙げられる。鎖状の非共役ポリエンとしては、例えば、1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエンが挙げられる。これらのうちでは、入手容易性が高く、重合後の架橋反応時に過酸化物との反応性が良好で、組成物の耐熱性が向上しやすいことから、非共役ポリエン(a3)がENBおよびVNBから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、非共役ポリエン(a3)がENBおよびVNBから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
非共役ポリエン(a3)は1種または2種以上用いることができる。
非共役ポリエン(a3)に由来する構造単位の質量分率は、共重合体(A)100質量%中(すなわち全構造単位の質量分率の合計100質量%中)、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。このような共重合体(A)は、充分な硬度を有し、機械特性に優れたものとなり、また、過酸化物を用いて架橋した場合、早い架橋速度を示すものとなる。なお、共重合体(A)中の非共役ポリエン(a3)に由来する構造単位の含量は、13C−NMRにより求めることができる。
13C−NMRの測定条件は、例えば、ECX400P型核磁気共鳴装置(日本電子製)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=4/1、積算回数:8000回である。
また、共重合体(A)のヨウ素価は、好ましくは1〜40g/100g、より好ましくは2〜35g/100g、さらに好ましくは3〜30g/100gである。ヨウ素価は、滴定法により求めることができる。例えば、以下の方法である。共重合体(A)0.5gを四塩化炭素60mlに溶解し、少量のウィス試薬および20%ヨウ化カリウム溶液を加え、0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で適定する。終点付近では澱粉指示薬を加え、よく攪拌しながら薄紫色が消えるところまで適定し、試料100gに対する消費されるハロゲンの量としてヨウ素のg数を算出する。
共重合体(A)の具体例としては、例えば、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体、エチレン・1−ブテン・非共役ポリエン共重合体が挙げられる。
共重合体(A)は、135℃、デカヒドロナフタレン中で測定した極限粘度[η]が、好ましくは0.8〜5.0dl/g、より好ましくは1.0〜4.5dl/g、さらに好ましくは1.5〜4.0dl/gの範囲にある。
共重合体(A)は、ASTM D 1646に準じて測定して得られる、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)(100℃)が、好ましくは1〜200、より好ましくは10〜100の範囲にある。
共重合体(A)は、例えば、バナジウム系触媒、メタロセン系触媒などの重合触媒を用いる従来公知の方法により製造することができる。
本実施形態の組成物は、1種の共重合体(A)を含有してもよく、2種以上の共重合体(A)を含有してもよい。また、本実施形態の組成物中の共重合体(A)の含有割合は、通常は20質量%以上、好ましくは25〜90質量%である。
<カーボンブラック(B)>
本実施形態の組成物は、カーボンブラック(B)を含有する。カーボンブラック(B)は、例えば、得られる架橋成形体の機械的強度、モジュラス、耐摩耗性の向上に寄与する成分である。
カーボンブラック(B)としては、例えば、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MTが挙げられる。カーボンブラックの表面はシランカップリング剤で処理されていてもよい。市販されているカーボンブラックとしては、例えば、「旭#55G」、「旭#50HG」、「旭#60G」、「旭#60UG」、「旭#70」(商品名、旭カーボン社製)、「シーストV」、「シーストSO」(商品名、東海カーボン社製)が挙げられる。
本実施形態の組成物は、1種のカーボンブラック(B)を含有してもよく、2種以上のカーボンブラック(B)を含有してもよい。
本実施形態の組成物におけるカーボンブラック(B)の含有量は、共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜200質量部であり、より好ましくは10〜200質量部、さらに好ましくは20〜100質量部である。このような態様であると、得られる架橋成形体の機械的強度と、本実施形態の組成物の加工性との観点から好ましい。
<短繊維(C)>
本実施形態の組成物は、短繊維(C)を含有する。短繊維(C)を用いることにより、上記組成物から形成される架橋成形体のモジュラス、機械的強度を改善することができる。共重合体(A)は短繊維(C)との混練性にも優れているので、本実施形態の組成物は、短繊維(C)を含有したとしても、成形加工性に優れる傾向にある。
短繊維(C)としては、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、フッ素系ポリマー等の合成樹脂からなる繊維;綿、木材セルロース繊維等の天然繊維が挙げられる。これらの中でも、合成樹脂からなる短繊維が好ましく、ポリアミドからなる短繊維がより好ましい。短繊維(C)は、通常、共重合体(A)から形成された短繊維ではない。
ポリアミドとしては、例えば、ポリカプラミド、ポリ−ω−アミノヘプタン酸、ポリ−ω−アミノノナン酸、ポリウンデカンアミド、ポリエチレンジアミンアジパミド、ポリテトラメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカミド、ポリオクタメチレンアジパミド、ポリデカメチレンアジパミド等の脂肪族ポリアミド;ポリパラフェニレンテレフタラミド(商品名「ケブラー」、東レ・デュポン社製)、ポリメタフェニレンイソフタラミド、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタラミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンデカナミド等の芳香族ポリアミド(アラミド)が挙げられる。
短繊維(C)としては、得られる架橋成形体の引張応力および引裂強さをより向上させるという観点から、芳香族ポリアミドからなる短繊維、すなわちアラミド短繊維が好ましく、ポリパラフェニレンテレフタラミド短繊維、ポリメタフェニレンイソフタラミド短繊維、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタラミド短繊維がより好ましい。
短繊維(C)の平均繊維長は、通常は0.1〜50mm、好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは0.5〜6mmである。短繊維(C)の繊維径は、通常は0.1〜100μm、好ましくは0.1〜25μm、より好ましくは1〜20μmである。
短繊維(C)の平均繊維長は、例えば、光学顕微鏡により短繊維の写真撮影を行い、得られた写真において無作為に選んだ100個の短繊維の長さを測定し、これを算術平均することにより求めることができる。
短繊維(C)は、チョップドファイバー(カットファイバー)状短繊維でも、フィブリルを有するパルプ状短繊維でもよい。
本実施形態の組成物は、1種の短繊維(C)を含有してもよく、2種以上の短繊維(C)を含有してもよい。
本実施形態の組成物における短繊維(C)の含有量は、共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは3〜20質量部である。このような態様であると、得られる架橋成形体のモジュラス、機械的強度の観点から好ましい。
<過酸化物系架橋剤(D)>
本実施形態の組成物は、過酸化物系架橋剤(D)を含有する。過酸化物系架橋剤(D)を用いることにより、共重合体(A)を良好に架橋させることができ、また得られる架橋成形体の耐熱老化性を高めることができると考えられる。
過酸化物系架橋剤(D)としては、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイドが挙げられる。
本実施形態の組成物は、1種の過酸化物系架橋剤(D)を含有してもよく、2種以上の過酸化物系架橋剤(D)を含有してもよい。
本実施形態の組成物において、過酸化物系架橋剤(D)の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他のポリマー(ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.2〜15質量部、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。このような態様であると、架橋が良好に進み、得られる架橋成形体の耐熱性および耐摩耗性の観点から好ましい。
<2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋助剤(E)>
本実施形態の組成物は、2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋助剤(E)を含有する。架橋助剤(E)中のエチレン性二重結合数は、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4である。架橋助剤(E)を用いることにより、共重合体(A)と短繊維(C)との間で良好にネットワークを形成することができると考えられる。
架橋助剤(E)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系架橋助剤;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋助剤;ジビニルベンゼン等のビニル系架橋助剤が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル系架橋助剤が好ましく、エチレングリコールジメタクリレートがより好ましい。
本実施形態の組成物は、1種の架橋助剤(E)を含有してもよく、2種以上の架橋助剤(E)を含有してもよい。
本実施形態の組成物において、架橋助剤(E)の含有量は、過酸化物系架橋剤(D)1モルに対して、好ましくは0.01〜22モル、より好ましくは0.1〜11モル、さらに好ましくは0.1〜8モルである。このような態様であると、架橋が良好に進み、得られる架橋成形体の耐熱性および耐摩耗性の観点から好ましい。
<その他の成分>
本実施形態の組成物は、過酸化物系架橋剤(D)以外の架橋剤、架橋助剤(E)以外の架橋助剤、軟化剤、無機充填剤、補強剤、老化防止剤、加工助剤、活性剤、吸湿剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤および増粘剤から選ばれる少なくとも1種をさらに含有することができる。本実施形態の組成物は、共重合体(A)以外の他のポリマー、例えばエラストマーおよび/またはゴムをさらに含有することができる。以下に説明する各成分は、それぞれ1種または2種以上用いることができる。
《過酸化物系架橋剤(D)以外の架橋剤、架橋助剤(E)以外の架橋助剤》
過酸化物系架橋剤(D)とともに、前記架橋剤(D)以外の架橋剤を併用してもよい。前記架橋剤(D)以外の架橋剤としては、ゴムを架橋する際に一般的に使用される架橋剤が挙げられ、例えば、硫黄系化合物、フェノール樹脂、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物が挙げられる。
硫黄系化合物としては、例えば、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレンが挙げられる。
本実施形態の組成物において、架橋剤として硫黄系化合物も用いる場合、硫黄系化合物の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他のポリマー(ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.3〜10質量部、より好ましくは0.5〜7.0質量部、さらに好ましくは0.7〜5.0質量部である。
架橋剤として硫黄系化合物も用いる場合、加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N'−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−モルホリノジチオ)ペンゾチアゾール)、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤;アセトアルデヒド・アニリン縮合物、ブチルアルデヒド・アニリン縮合物等のアルデヒドアミン系加硫促進剤;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系加硫促進剤;ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア等のチオウレア系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系加硫促進剤;エチレンチオ尿素(例えば、サンセラー22C(商品名;三新化学工業社製))、N,N'−ジエチルチオ尿素、N,N'−ジブチルチオ尿素等のチオウレア系加硫促進剤;ジブチルキサトゲン酸亜鉛等のザンテート系加硫促進剤;その他、亜鉛華が挙げられる。
本実施形態の組成物が加硫促進剤を含有する場合、加硫促進剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他のポリマー(ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.2〜15質量部、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。
加硫助剤は、架橋剤として硫黄系化合物も用いる場合に好ましく用いることができ、例えば、酸化亜鉛(例えば、ZnO#1・酸化亜鉛2種、ハクスイテック社製)、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「META−Z102」(商品名;井上石灰工業社製)等の酸化亜鉛)が挙げられる。
本実施形態の組成物が加硫助剤を含有する場合、加硫助剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他のポリマー(ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部である。
また、架橋助剤(E)とともに、架橋助剤(E)以外の架橋助剤を併用してもよい。上記架橋助剤としては、例えば、イオウ;p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系架橋助剤;酸化亜鉛(例えば、ZnO#1・酸化亜鉛2種(JIS規格(K−1410))、ハクスイテック社製)、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「META−Z102」(商品名;井上石灰工業社製)などの酸化亜鉛)等の金属酸化物が挙げられる。
本実施形態の組成物が架橋助剤(E)以外の架橋助剤を含有する場合、架橋助剤(E)以外の架橋助剤の含有量は、過酸化物系架橋剤(D)1モルに対して、好ましくは0.5〜10モル、より好ましくは0.5〜7モル、さらに好ましくは1〜5モルである。
《軟化剤》
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその塩;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)が挙げられ、石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルがより好ましい。
本実施形態の組成物が軟化剤を含有する場合、軟化剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは2〜100質量部、より好ましくは5〜100質量部である。
《無機充填剤》
無機充填剤としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーが挙げられる。これらの中でも、重質炭酸カルシウムが好ましい。
本実施形態の組成物が無機充填剤を含有する場合、無機充填剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは2〜50質量部、より好ましくは5〜50質量部である。
《補強剤》
補強剤としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微分ケイ酸が挙げられ、ただし、前述したカーボンブラック(B)を除く。
本実施形態の組成物が補強剤を含有する場合、補強剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは5〜30質量部である。
《老化防止剤(安定剤)》
本実施形態の組成物は、老化防止剤(安定剤)を含有することにより、当該組成物から形成される架橋成形体の寿命を長くすることができる。老化防止剤としては、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤が挙げられる。
アミン系老化防止剤としては、例えば、フェニルブチルアミン、N,N−ジ−2−ナフチル−p―フェニレンジアミン等の芳香族第2アミン系老化防止剤が挙げられる。フェノール系老化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]が挙げられる。イオウ系老化防止剤としては、例えば、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2−メルカプトベンゾイルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートが挙げられる。
本実施形態の組成物が老化防止剤を含有する場合、老化防止剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.3〜10質量部、より好ましくは0.5〜7.0質量部である。
《加工助剤》
加工助剤としては、一般的に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く用いることができる。加工助剤としては、例えば、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、エステル類が挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸が好ましい。
本実施形態の組成物が加工助剤を含有する場合、加工助剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8.0質量部以下である。
《活性剤》
活性剤としては、例えば、ジ−n−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン等のアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルートメリレート、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の亜鉛化合物等の活性剤;過酸化亜鉛調整物;オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物が挙げられる。
本実施形態の組成物が活性剤を含有する場合、活性剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部である。
《吸湿剤》
吸湿剤としては、例えば、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンが挙げられる。
本実施形態の組成物が吸湿剤を含有する場合、吸湿剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.5〜15質量部、より好ましくは1.0〜12質量部である。
《他のポリマー》
本実施形態の組成物は、共重合体(A)以外の他のポリマーをさらに含有することができる。架橋が必要な他のポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴムが挙げられる。架橋が不要な他のポリマーとしては、例えば、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体(SBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレン(SEPS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、塩ビ系エラストマー(TPVC)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、アミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、その他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等のエラストマーが挙げられる。
本実施形態の組成物が他のポリマーを含有する場合、他のポリマーの含有量は、共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下である。
<組成物の調製>
本実施形態の組成物は、上述した各成分を、例えば、ミキサー、ニーダー、ロール等の混練機を用いて所望の温度で混練することにより調製することができる。
本実施形態の組成物は、例えば以下のように調製される。共重合体(A)と、カーボンブラック(B)と、短繊維(C)と、所定のその他の成分とを、混練機に投入して所定の加熱条件(例えば80〜200℃で3〜30分間)で混練して均一化する(A練り)。なお、A練りでは、A練りの加熱温度まで加熱すると共重合体(A)を架橋させる、架橋剤等は投入されない。A練りで混練された混合物の温度を、次いで、過酸化物系架橋剤(D)の架橋温度未満(例えば、130℃以下)まで下げた後、A練りで添加されなかった過酸化物系架橋剤(D)および架橋助剤(E)等を上記混合物に添加し、所定の加熱条件(例えばロール温度30〜80℃で1〜30分間)でさらに混練して均一化し(B練り)、本実施形態の組成物を得ることができる。
本実施形態の組成物は、架橋剤を配合する前の組成(A練り)において、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が、通常は10〜250、好ましくは10〜100、より好ましくは10〜70である。ムーニー粘度が上記範囲にある組成物は、良好な後処理品質を示すと共に優れたゴム物性を有する。
[架橋成形体、伝動ベルト]
本実施形態の組成物から、架橋成形体を得ることができる。本実施形態の組成物は、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、カレンダー成形、トランスファー成形、発泡成形等の熱成形方法によって成形できる。本実施形態において、上記組成物の架橋温度は、通常は140℃以上、好ましくは150〜220℃、より好ましくは160〜200℃である。また、この架橋反応は、空気中で行うことができる。
本実施形態では、上記架橋成形体は、伝動ベルトの構成部材として好適に用いることができる。例えば、本実施形態の組成物は、成形加工性に適した高い粘着力を有しており、ベルト加工性に優れている。また、本実施形態の組成物を用いることにより、高ゴム弾性、耐摩耗性、耐熱性、耐寒性および軽量性に優れた、伝動ベルトの構成部材を製造することができる。
本発明の伝動ベルトの一実施形態(以下「本実施形態の伝動ベルト」ともいう)は、本実施形態の組成物から形成された架橋成形体を有する。
本実施形態の伝動ベルトとしては、例えば、Vベルト、Vリブドベルト等の摩擦伝動ベルト;タイミングベルト等のかみ合い伝動ベルトが挙げられる。伝動ベルトは、例えば、自動車用伝動ベルト、自動二輪用伝動ベルト、一般産業機械用伝動ベルトである。Vベルトとしては、例えば、ラップドベルト、ローエッジベルトが挙げられる。
伝動ベルトの一実施形態は、例えば、心線が埋設された接着ゴム部を有しており、さらに、上記接着ゴム部の下面に形成された底ゴム部を有することができる。上記伝動ベルトは、必要に応じて、接着ゴム部上に形成された上部帆布、および/または底ゴム部下に形成された下部帆布を有することができる。本実施形態の組成物は、例えば、接着ゴム部および/または底ゴム部を形成するために好適に用いられる。具体的には、接着ゴム部および/または底ゴム部として、本実施形態の組成物から形成された架橋成形部が好適に用いられる。
伝動ベルトの抗張部材である心線は、接着ゴム部において、ベルトの長手方向に延在する。心線としては、例えば、ポリエステル系コードが挙げられる。接着ゴム部は、心線を取り囲み、かつ心線に接着されている。一実施形態では、例えば、本実施形態の組成物を心線周りに配置して架橋することにより、心線に接着された接着ゴム部を形成することができる。帆布としては、例えば、綿、綿とポリエステルとの混紡からなるもの、綿とポリアミドとの混紡からなるものが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。特に言及しない限り「部」は「質量部」を表す。
[実施例1]
MIXTRON BB MIXER(神戸製鋼所社製、BB−2型、容積1.7L、ローター2WH)を用いて、75部の三井EPT 4021および25部の三井EPT 4070に対して、架橋助剤としてZnO#1を5部、加工助剤としてステアリン酸を1部、老化防止剤としてイルガノックス1010を1部、老化防止剤としてサンダントMBを2部、カーボンブラックとしてAsahi#70を50部、軟化剤としてPW−380を15部、短繊維としてケブラー Dip Cut Fiber 3.5mmを5部の配合量で配合した後混練し、配合物1を得た。
配合物1調製時の混練条件は、ローター回転数が40rpm、フローティングウェイト圧力が3kg/cm2、混練時間が5分間で行い、混練排出温度は144℃であった。
配合物1のムーニー粘度ML(1+4)100℃を、ムーニー粘度計(島津製作所社製SMV202型)を用いて、JIS K6300(1994)に準じて測定した。
次いで、配合物1が温度40℃となったことを確認した後、6インチロールを用いて、配合物1に、架橋剤としてDCP−40C(ジクミルパーオキサイド40質量%)を6.8部の配合量で、架橋助剤としてサンエステルEGを2部の配合量で添加して混練し、配合物2を得た。
配合物2調製時の混練条件は、ロール温度を前ロール/後ロール=50℃/50℃、ロール周速さを前ロール/後ロール=18rpm/15rpm、ロール間隙を3mmとして、混練時間8分間で分出しし、配合物2を得た。
配合物2に対して、プレス成形機を用いて170℃で15分間プレス処理を行って、厚さ2mmまたは1mmの架橋シートを作製した。得られた架橋シートについて、後述する硬度試験、引張試験、耐熱老化性試験およびDIN摩擦試験を行った。
[比較例1]
実施例1で用いたEPTにかえて市販のクロロプレンゴム(DCR−40)を用い、且つ、各配合剤の種類、量を表2に示す通りとする以外は、実施例1と同様にして、配合物および架橋シートを得た。
実施例および比較例で用いた材料を以下の表1に示す。
Figure 2021042317
[比重]
配合物1(A練り)を1g切り取り、試験片を作製した。試験片を25℃雰囲気下で自動比重計(東洋精機製作所製:M−1型)に取り付け、空気中および純水中の質量の差から比重測定を行った。
[硬度試験(Duro−A)]
厚さ2mmの上記架橋シートの平らな部分を重ねて厚さ12mmのシートとし、JIS K6253に従い、硬度(Duro−A)を測定した。
[引張試験:モジュラス、引張破断点応力、引張破断点伸び]
厚さ2mmの上記架橋シートを打抜いてJIS K6251(1993)に記載されている3号形ダンベル試験片を作製し、この試験片を用いてJIS K6251第3項に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、伸び率が25%であるときの引張応力(25%モジュラス(M25))、引張破断点応力(TB)および引張破断点伸び(EB)を測定した。
[耐熱性試験(耐熱老化性試験)]
厚さ2mmの上記架橋シートを、JIS K6257に従い、180℃で70時間保持する熱老化試験を行った。熱老化試験後のシートの硬度、TBおよびEBを、上記硬度試験および引張試験の項目と同様の方法で測定した。
熱老化試験前後の硬度の差より、AH(Duro−A)を求め、熱老化試験前後のTBおよびEBから、熱老化試験前の値に対する試験後の変化率をそれぞれ、Ac(TB)、Ac(EB)として求めた。
[DIN摩擦試験(DIN摩耗量)]
厚さ2mmの上記架橋シートをJIS−K6264−2:2005に準拠して、直径16.0±0.2mm、厚さ6mm以上の円盤状の試験片を作製した。この試験片について、DIN摩耗試験機を用いて、直径150.0±0.2mm、長さ500mmのドラムを40回/分で回転させ、荷重1kgfで、摩耗距離を40.0±0.2mとしたときの摩耗量(DIN摩耗量:単位mm3)を測定した。
[粘弾性測定]
厚さ1mmの上記架橋シートを抜き刃を用いて幅1cmの試験片を作成し、RSA粘弾性測定システム(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、常温、周波数10Hz、歪み2%の条件でtanδを測定した。
tanδの値が低いということは、エネルギーロスが少ないということであり、伝動ベルトにおける動力の伝動率アップにつながると考えられる。
Figure 2021042317

Claims (7)

  1. エチレン(a1)に由来する構造単位と、α−オレフィン(a2)に由来する構造単位と、非共役ポリエン(a3)に由来する構造単位とを有するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、
    カーボンブラック(B)と、
    短繊維(C)と、
    過酸化物系架橋剤(D)と、
    2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋助剤(E)と
    を含有する伝動ベルト用組成物。
  2. 前記非共役ポリエン(a3)が5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の伝動ベルト用組成物。
  3. 前記α−オレフィン(a2)がプロピレンである、請求項1または2に記載の伝動ベルト用組成物。
  4. 前記短繊維(C)がアラミド短繊維である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の伝動ベルト用組成物。
  5. 前記共重合体(A)100質量部に対して、
    前記カーボンブラック(B)の含有量が0.1〜200質量部であり、
    前記短繊維(C)の含有量が0.1〜100質量部である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の伝動ベルト用組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の伝動ベルト用組成物から形成された架橋成形体。
  7. 請求項6に記載の架橋成形体を有する伝動ベルト。
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