JP7428502B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体に関する。
伝動ベルトおよび搬送用ベルトなどのベルトは、自動車用、自動二輪用および一般産業機械用に広く用いられている。伝動ベルトを製造するため、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体を用いることが検討されている(例えば、特許文献1~2参照)。
特開2001-310951号公報 特開2012-215212号公報
本発明者らは、前記ベルトの機械的強度を向上させるため、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有する組成物から形成された層と、繊維基材層とを積層することを検討した。しかしながら、本発明者らの検討によれば、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有する組成物から形成された層は、繊維基材層との接着性が充分ではないことがあることがわかった。
本発明の一態様に係る課題は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有する組成物から形成された層と、繊維基材層とを有し、これらの層の接着性に優れる積層体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、下記構成の積層体により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、例えば以下の[1]~[10]に関する。
[1]エチレン[A1]に由来する構造単位と、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位と、非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位とを有し、下記(1)~(3)の要件を満たすエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、過酸化物系架橋剤(B)と、2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋助剤(C)とを含有する組成物から形成された層(X)と、繊維基材層(Y)とを有し、前記層(X)と前記繊維基材層(Y)とが接している、積層体。
(1)エチレン[A1]に由来する構造単位と、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位とのモル比〔[A1]/[A2]〕が、40/60~90/10であり、
(2)非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の含有割合が、[A1]、[A2]および[A3]に由来する構造単位の合計を100モル%として、0.1~6.0モル%であり、
(3)下記式(i)で表されるB値が、1.20以上である。
B値=([EX]+2[Y])/〔2×[E]×([X]+[Y])〕・・・(i)
[ここで[E]、[X]および[Y]は、それぞれ、エチレン[A1]、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]、および非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位のモル分率を示し、[EX]はエチレン[A1]-炭素数4~20のα-オレフィン[A2]ダイアッド連鎖分率を示す。]
[2]前記炭素数4~20のα-オレフィン[A2]が1-ブテンを含む、前記[1]に記載の積層体。
[3]前記非共役ポリエン[A3]が5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)および5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)から選ばれる少なくとも1種を含む、前記[1]または[2]に記載の積層体。
[4]前記共重合体(A)が、下記(4)の要件をさらに満たす前記[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
(4)100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)100℃が、5~150である。
[5]前記繊維基材層(Y)が、ポリアミドからなる繊維を含む繊維基材である前記[1]~[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]前記[1]~[5]のいずれかに記載の積層体を有するベルト。
[7]伝動ベルトまたは搬送用ベルトである前記[6]に記載のベルト。
[8]前記伝動ベルトが、Vベルト、平ベルト、丸ベルト、歯付きベルトまたはVリブドベルトである前記[7]に記載のベルト。
[9]前記搬送用ベルトが、軽搬送用ベルト、円筒形ベルト、ラフトップベルト、フランジ付き搬送用ベルト、U型ガイド付き搬送用ベルトまたはVガイド付き搬送用ベルトである前記[7]に記載のベルト。
[10]前記[1]~[5]のいずれかに記載の積層体を有するエスカレータ用手すり。
本発明によれば、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有する組成物から形成された層と、繊維基材層とを有し、これらの層の接着性に優れる積層体を提供することができる。
本発明について詳細に説明する。
本発明の積層体の一実施形態(以下「本実施形態の積層体」ともいう)は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、過酸化物系架橋剤(B)、および2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋助剤(C)を含有する組成物から形成された層(X)と、繊維基材層(Y)とを有する。ここで、層(X)と層(Y)とは少なくとも一部分において接している。
[繊維基材層(Y)]
繊維基材層(Y)を構成する繊維としては、例えば、ポリアミドからなる繊維(以下「ポリアミド繊維」ともいう)、ガラス繊維、PAN系カーボン繊維、ピッチ系カーボン繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、ホウ酸アルミ繊維、ポリエステル繊維が挙げられる。これらの中でも、耐摩耗性およびモジュラス向上の観点から、ポリアミド繊維が好ましい。
ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10等の脂肪族ポリアミド;ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(6T)、あるいはこれらの単位を含む共重合ポリアミド等の半芳香族ポリアミド;ポリベンズアミド、ポリp-フェニレンテレフタラミド、ポリm-フェニレンイソフタラミド等の全芳香族ポリアミドが挙げられる。
繊維は、フィラメントまたはステープル繊維の形で繊維基材として使用され、例えばコード糸、紡績糸などのそれ自体公知の形態で使用されてもよい。繊維基材層(Y)としては、織布、編物、不織布が好ましく、織布がより好ましい。これらの基材は単層で用いても、あるいは2層以上の多層で用いてもよい。
繊維基材層(Y)は、一実施態様において、ポリアミド繊維単独からなる層でも、ポリアミド繊維と他の補強用繊維、例えばガラス繊維、PAN系カーボン繊維、ピッチ系カーボン繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、ホウ酸アルミ繊維、ポリエステル繊維等との組合せからなる層でもよい。
繊維基材層(Y)を構成する繊維の繊維径は特に限定されないが、好ましくは0.5~400μm、より好ましくは0.5~100μmである。また、繊維基材層(Y)の厚さは、好ましくは10~5000μm、より好ましくは50~3000μmである。
[層(X)]
層(X)は、以下に説明するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、過酸化物系架橋剤(B)と、2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋助剤(C)とを含有する組成物(以下「本実施形態の組成物」ともいう)から形成された層であり、好ましくは前記組成物を架橋成形してなる層である。
本発明者らは、伝動ベルト、搬送用ベルト等のベルトの機械的強度等を上げるため、ベルトに用いるゴム材に繊維基材層を積層することを検討した。ここで、ゴム材とポリアミド繊維などの合成繊維との接着性が重要であるが、従来のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、ニトリルゴムやクロロプレンゴムなどの極性ゴムに比べて合成繊維との接着性が劣る傾向にある。これに対して、本実施形態の組成物から形成された層は、繊維基材層との接着性に優れている。したがって、本実施形態の積層体は、例えば、ベルトの構成部材として好適に用いることができる。
<エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)>
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)(以下「共重合体(A)」ともいう)は、エチレン[A1]に由来する構造単位と、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位と、非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位とを有し、下記(1)~(3)の要件を満たす。共重合体(A)は、一実施態様において、後述する要件(4)または(4’)を満たすことが好ましい。
なお、共重合体(A)は、エチレン[A1]に由来する構造単位と、少なくとも1種類の炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位と、少なくとも1種類の非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位とを有することができる。
(1)エチレン[A1]に由来する構造単位と、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位とのモル比〔[A1]/[A2]〕が、40/60~90/10である。
(2)非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の含有割合が、[A1]、[A2]および[A3]に由来する構造単位の合計を100モル%として、0.1~6.0モル%である。
(3)下記式(i)で表されるB値が、1.20以上である。
B値=([EX]+2[Y])/〔2×[E]×([X]+[Y])〕・・(i)
ここで[E]、[X]および[Y]は、それぞれ、エチレン[A1]、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]、および非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位のモル分率を示し、[EX]はエチレン[A1]-炭素数4~20のα-オレフィン[A2]ダイアッド連鎖分率を示す。
炭素数4~20のα-オレフィン[A2]としては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ノナデセン、1-エイコセン等の直鎖状α-オレフィン;4-メチル-1-ペンテン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセン等の側鎖含有α-オレフィンが挙げられる。これらの中でも、炭素数4~10のα-オレフィンが好ましく、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンがより好ましく、1-ブテンがさらに好ましい。
炭素数4~20のα-オレフィン[A2]は単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、ゴム成分として共重合体(A)を少なくとも用いる。共重合体(A)は、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位を有しているので、得られる組成物同士の粘着力がより高くなったと推察され、したがって当該組成物の成形性が高い。また、共重合体(A)は、後述する短繊維(E)との混練性にも優れている。
非共役ポリエン[A3]としては、例えば、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン等の環状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,5-ノルボルナジエン、1,3,7-オクタトリエン、1,4,9-デカトリエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン等のトリエンが挙げられる。これらの中でも、1,4-ヘキサジエン等の鎖状非共役ジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン等の環状非共役ジエンが好ましく、環状非共役ジエンがより好ましく、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネンがさらに好ましい。
非共役ポリエン[A3]は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合体(A)としては、例えば、エチレン・1-ブテン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-ペンテン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-ヘキセン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-へプテン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-オクテン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-ノネン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-デセン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-ブテン・1-オクテン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-ブテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ペンテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ヘキセン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-へプテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-オクテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ノネン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-デセン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ブテン・1-オクテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ブテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ペンテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ヘキセン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-へプテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-オクテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ノネン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-デセン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ブテン・1-オクテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体が挙げられる。
《要件(1)》
共重合体(A)は、(1)エチレン[A1]に由来する構造単位と、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位とのモル比〔[A1]/[A2]〕が、40/60~90/10である。モル比が前記範囲にある共重合体(A)は、低温でのゴム弾性と常温での引張強度とのバランスに優れる。
[A1]/[A2]の下限は、好ましくは45/55、より好ましくは50/50、特に好ましくは55/45である。また、[A1]/[A2]の上限は、好ましくは80/20、より好ましくは75/25、さらに好ましくは70/30である。
《要件(2)》
共重合体(A)は、(2)非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位の含有割合が、前記[A1]に由来する構造単位、前記[A2]に由来する構造単位および前記[A3]に由来する構造単位の合計を100モル%として、0.1~6.0モル%である。この含有割合が前記範囲にある共重合体(A)は、充分な架橋性および柔軟性を有する。
前記[A3]に由来する構造単位の含有割合の下限は、好ましくは0.5モル%である。前記[A3]に由来する構造単位の含有割合の上限は、好ましくは4.0モル%、より好ましくは3.5モル%、さらに好ましくは3.0モル%である。
《要件(3)》
共重合体(A)は、(3)前記式(i)で表されるB値が、1.20以上、好ましくは1.20~1.80、より好ましくは1.22~1.40である。
B値が1.20未満のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、低温での圧縮永久ひずみが大きくなり、低温でのゴム弾性と常温での引張強度とのバランスに優れないおそれがある。B値が1.20以上である共重合体(A)は、共重合体を構成するモノマー単位の交互性が高く結晶性が低いため、得られる組成物の加工性が向上する。
なお、B値は、共重合体中における共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示す指標であり、前記式(i)中の[E]、[X]、[Y]、[EX]は、13C-NMRスペクトルを測定し、J. C.Randall [Macromolecules, 15, 353 (1982)]、J. Ray [Macromolecules, 10, 773 (1977)]らの報告に基づいて求めることができる。一方、前記(1)~(2)における、エチレン[A1]に由来する構造単位、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]に由来する構造単位および非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位のモル量は、1H-NMRスペクトルメーターによる強度測定によって求めることができる。
《要件(4)》
共重合体(A)は、(4)100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)100℃が、好ましくは5~150、より好ましくは5~100、さらに好ましくは5~50である。ムーニー粘度が前記範囲にある共重合体(A)は、加工性および流動性が良好であり、また良好な後処理品質(リボンハンドリング性)を示すと共に優れたゴム物性を有する。
《要件(4’)》
共重合体(A)は、(4’)125℃におけるムーニー粘度ML(1+4)125℃が、好ましくは3~100、より好ましくは3~70、さらに好ましくは3~30である。ムーニー粘度が前記範囲にある共重合体(A)は、加工性および流動性が良好であり、また良好な後処理品質(リボンハンドリング性)を示すと共に優れたゴム物性を有する。
本実施形態の組成物は、1種の共重合体(A)を含有してもよく、2種以上の共重合体(A)を含有してもよい。
本実施形態の組成物中の共重合体(A)の含有割合は、通常は20質量%以上、好ましくは30~90質量%である。
《共重合体(A)の製造方法》
共重合体(A)は、メタロセン触媒を用いた従来公知の製造方法で得ることができる。メタロセン触媒および当該触媒を用いた製造方法としては、例えば、国際公開第2015/122415号、特に当該公報の段落[0249]~[0320]に記載の例を採用することができる。
具体的には、
下記式(a)で表される遷移金属化合物(a)と、
有機金属化合物(b-1)、有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)、および遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(b-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物(b)と
を含むオレフィン重合用触媒の存在下において、エチレン[A1]と炭素数4~20のα-オレフィン[A2]と非共役ポリエン[A3]とを共重合することにより、共重合体(A)を得ることができる。
Figure 0007428502000001
上記式(a)について説明する。
Mは、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である。
Rは、それぞれ独立に、アリール基の水素原子の一つ以上をハメット則の置換基定数σが-0.2以下の電子供与性基で置換してなる置換アリール基である。前記置換アリール基が電子供与性基を複数個有する場合、それぞれの電子供与性基は同一でも異なっていてもよい。
Qは、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一のまたは異なる組合せで選ばれ、好ましくはハロゲン原子である。
jは、1~4の整数であり、好ましくは2である。
Rにおけるアリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、テトラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、インデニル基、アズレニル基、ピロリル基、ピリジル基、フラニル基、チオフェニル基が挙げられ、フェニル基が好ましい。
ハメット則の置換基定数σが-0.2以下の電子供与性基は、以下のように定義および例示される。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L. P. Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則で求められた置換基定数にはベンゼン環のパラ位に置換した際のσpおよびメタ位に置換した際のσmがあり、これらの値は多くの一般的な文献に見出すことができる。例えば、HanschおよびTaftによる文献[Chem. Rev., 91, 165 (1991)]には非常に広範な置換基について詳細な記載がなされている。ただし、これらの文献に記載されているσpおよびσmは、同じ置換基であっても文献によって値が僅かに異なる場合がある。本明細書ではこのような状況によって生じる混乱を回避するために、記載のある限りの置換基においてはHanschおよびTaftによる文献[Chem. Rev., 91, 165 (1991)]のTable 1(168-175頁)に記載された値をハメット則の置換基定数σpおよびσmと定義する。本明細書においてハメット則の置換基定数σが-0.2以下の電子供与性基とは、電子供与性基がフェニル基のパラ位(4位)に置換している場合はσpが-0.2以下の電子供与性基であり、フェニル基のメタ位(3位)に置換している場合はσmが-0.2以下の電子供与性基である。また、電子供与性基がフェニル基のオルト位(2位)に置換している場合、またはフェニル基以外のアリール基の任意の位置に置換している場合は、σpが-0.2以下の電子供与性基である。
ハメット則の置換基定数σpまたはσmが-0.2以下の電子供与性基としては、例えば、p-アミノ基(4-アミノ基)、p-ジメチルアミノ基(4-ジメチルアミノ基)、p-ジエチルアミノ基(4-ジエチルアミノ基)、m-ジエチルアミノ基(3-ジエチルアミノ基)等の窒素含有基;p-メトキシ基(4-メトキシ基)、p-エトキシ基(4-エトキシ基)等の酸素含有基;p-t-ブチル基(4-t-ブチル基)等の三級炭化水素基;p-トリメチルシロキシ基(4-トリメチルシロキシ基)等のケイ素含有基が挙げられる。
Rは、それぞれ独立に、前記電子供与性基としての窒素含有基および酸素含有基から選ばれる基を含む置換フェニル基であることが好ましい。
前記置換アリール基は、ハメット則の置換基定数σが-0.2以下の電子供与性基以外の、炭素数1~20の炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基から選ばれる他の置換基を有していてもよい。前記置換アリール基が他の置換基を複数個有する場合、それぞれの他の置換基は同一でも異なっていてもよい。
一つの置換アリール基に含まれるハメット則の置換基定数σが-0.2以下の電子供与性基および他の置換基の各々のハメット則の置換基定数σの総和は-0.15以下であることが好ましい。このような置換アリール基としては、例えば、m,p-ジメトキシフェニル基(3,4-ジメトキシフェニル基)、p-(ジメチルアミノ)-m-メトキシフェニル基(4-(ジメチルアミノ)-3-メトキシフェニル基)、p-(ジメチルアミノ)-m-メチルフェニル基(4-(ジメチルアミノ)-3-メチルフェニル基)、p-メトキシ-m-メチルフェニル基(4-メトキシ-3-メチルフェニル基)、p-メトキシ-m,m-ジメチルフェニル基(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル基)が挙げられる。
Qにおいて、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示され;炭素数1~20の炭化水素基としては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基が例示され;アニオン配位子としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、カルボキシレート基、スルホネート基が例示され;孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル化合物が例示される。
遷移金属化合物(a)としては、例えば、[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,3,6,7-テトラメチルフルオレニル)]ハフニウムジクロリドが挙げられる。
有機金属化合物(b-1)(ただし、有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)を除く)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn-オクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウム、イソブチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物が挙げられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)としては、例えば、従来公知のアルミノキサンが挙げられる。
遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(b-3)としては、例えば、特表平1-501950号公報、特表平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP-5321106号、国際公開第2015/122415号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が挙げられる。
オレフィン重合用触媒は、必要に応じて担体(c)を含むことができる。担体(c)は、無機化合物または有機化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
重合方法としては、溶液(溶解)重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施可能である。重合温度は、通常は-50~+200℃、好ましくは0~200℃である。重合圧力は、通常は常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
<過酸化物系架橋剤(B)>
本実施形態の組成物は、過酸化物系架橋剤(B)を含有する。過酸化物系架橋剤(B)を用いることにより、共重合体(A)を良好に架橋させることができ、また得られる層(X)の耐熱老化性を高めることができると考えられる。
過酸化物系架橋剤(B)としては、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、2,5-ジ-(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイドが挙げられる。
本実施形態の組成物は、1種の過酸化物系架橋剤(B)を含有してもよく、2種以上の過酸化物系架橋剤(B)を含有してもよい。
本実施形態の組成物において、過酸化物系架橋剤(B)の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他のポリマー(ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.2~15質量部、さらに好ましくは0.5~10質量部である。このような態様であると、架橋が良好に進み、得られる層(X)の耐熱性および耐摩耗性の観点から好ましい。
<2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋助剤(C)>
本実施形態の組成物は、2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋助剤(C)を含有する。前記各成分とともに架橋助剤(C)を用いることで、層(X)と繊維基材層(Y)との接着性を向上させることができ、さらに、得られる積層体の機械的強度、耐寒性および耐摩耗性を向上できる傾向にある。
架橋助剤(C)中のエチレン性二重結合数は、好ましくは2~6、より好ましくは2~4である。架橋助剤(C)を用いることにより、例えば共重合体(A)間で良好にネットワークを形成することができると考えられる。
架橋助剤(C)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系架橋助剤;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋助剤;ジビニルベンゼン等のビニル系架橋助剤が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル系架橋助剤が好ましく、エチレングリコールジメタクリレートがより好ましい。
本実施形態の組成物は、1種の架橋助剤(C)を含有してもよく、2種以上の架橋助剤(C)を含有してもよい。
本実施形態の組成物において、架橋助剤(C)の含有量は、過酸化物系架橋剤(B)1モルに対して、好ましくは0.01~22モル、より好ましくは0.1~11モル、さらに好ましくは0.1~8モルである。このような態様であると、架橋が良好に進み、得られる層(X)の耐熱性および耐摩耗性の観点から好ましい。
<カーボンブラック(D)>
本実施形態の組成物は、カーボンブラック(D)をさらに含有してもよい。カーボンブラック(D)は、例えば、得られる層(X)の機械的強度、モジュラス、耐摩耗性の向上に寄与する成分である。
カーボンブラック(D)としては、例えば、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MTが挙げられる。カーボンブラックの表面はシランカップリング剤で処理されていてもよい。市販されているカーボンブラックとしては、例えば、「旭#55G」、「旭#50HG」、「旭#60G」、「旭#60UG」、「旭#70」(商品名、旭カーボン社製)、「シーストV」、「シーストSO」(商品名、東海カーボン社製)が挙げられる。
本実施形態の組成物は、1種のカーボンブラック(D)を含有してもよく、2種以上のカーボンブラック(D)を含有してもよい。
本実施形態の組成物がカーボンブラック(D)を含有する場合、カーボンブラック(D)の含有量は、共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.1~200質量部であり、より好ましくは10~200質量部、さらに好ましくは20~100質量部である。このような態様であると、得られる層(X)の機械的強度と、本実施形態の組成物の加工性との観点から好ましい。
<短繊維(E)>
本実施形態の組成物は、短繊維(E)をさらに含有してもよい。短繊維(E)を用いることにより、上記組成物から形成される層(X)のモジュラス、機械的強度を改善することができる。共重合体(A)は短繊維(E)との混練性にも優れているので、本実施形態の組成物は、短繊維(E)を含有したとしても、成形加工性に優れる傾向にある。
短繊維(E)としては、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、フッ素系ポリマー等の合成樹脂からなる繊維;綿、木材セルロース繊維等の天然繊維が挙げられる。これらの中でも、合成樹脂からなる短繊維が好ましく、ポリアミドからなる短繊維がより好ましい。短繊維(E)は、通常、共重合体(A)から形成された短繊維ではない。
ポリアミドとしては、例えば、ポリカプラミド、ポリ-ω-アミノヘプタン酸、ポリ-ω-アミノノナン酸、ポリウンデカンアミド、ポリエチレンジアミンアジパミド、ポリテトラメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカミド、ポリオクタメチレンアジパミド、ポリデカメチレンアジパミド等の脂肪族ポリアミド;ポリパラフェニレンテレフタラミド(商品名「ケブラー」、東レ・デュポン社製)、ポリメタフェニレンイソフタラミド、コポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレンテレフタラミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンデカナミド等の芳香族ポリアミド(アラミド)が挙げられる。
短繊維(E)としては、得られる層(X)の引張応力および引裂強さをより向上させるという観点から、芳香族ポリアミドからなる短繊維、すなわちアラミド短繊維が好ましく、ポリパラフェニレンテレフタラミド短繊維、ポリメタフェニレンイソフタラミド短繊維、コポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレンテレフタラミド短繊維がより好ましい。
短繊維(E)の平均繊維長は、通常は0.1~50mm、好ましくは0.5~10mm、より好ましくは0.5~6mmである。短繊維(E)の繊維径は、通常は0.1~100μm、好ましくは0.1~25μm、より好ましくは1~20μmである。
短繊維(E)の平均繊維長は、例えば、光学顕微鏡により短繊維の写真撮影を行い、得られた写真において無作為に選んだ100個の短繊維の長さを測定し、これを算術平均することにより求めることができる。
短繊維(E)は、チョップドファイバー(カットファイバー)状短繊維でも、フィブリルを有するパルプ状短繊維でもよい。
本実施形態の組成物は、1種の短繊維(E)を含有してもよく、2種以上の短繊維(E)を含有してもよい。
本実施形態の組成物が短繊維(E)を含有する場合、短繊維(E)の含有量は、共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.1~100質量部、より好ましくは0.1~30質量部、さらに好ましくは3~20質量部である。このような態様であると、得られる層(X)のモジュラス、機械的強度の観点から好ましい。
<その他の成分>
本実施形態の組成物は、過酸化物系架橋剤(B)以外の架橋剤、架橋助剤(C)以外の架橋助剤、軟化剤、無機充填剤、補強剤、老化防止剤、加工助剤、活性剤、吸湿剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤および増粘剤から選ばれる少なくとも1種をさらに含有することができる。本実施形態の組成物は、共重合体(A)以外の他のポリマー、例えばエラストマーおよび/またはゴムをさらに含有することができる。以下に説明する各成分は、それぞれ1種または2種以上用いることができる。
《過酸化物系架橋剤(B)以外の架橋剤、架橋助剤(C)以外の架橋助剤》
過酸化物系架橋剤(B)とともに、前記架橋剤(B)以外の架橋剤を併用してもよい。前記架橋剤(B)以外の架橋剤としては、ゴムを架橋する際に一般的に使用される架橋剤が挙げられ、例えば、硫黄系化合物、フェノール樹脂、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物が挙げられる。
硫黄系化合物としては、例えば、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレンが挙げられる。
本実施形態の組成物において、架橋剤として硫黄系化合物も用いる場合、硫黄系化合物の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他のポリマー(ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.3~10質量部、より好ましくは0.5~7.0質量部、さらに好ましくは0.7~5.0質量部である。
架橋剤として硫黄系化合物も用いる場合、加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤としては、例えば、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N'-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(4-モルホリノジチオ)ペンゾチアゾール)、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤;アセトアルデヒド・アニリン縮合物、ブチルアルデヒド・アニリン縮合物等のアルデヒドアミン系加硫促進剤;2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系加硫促進剤;ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア等のチオウレア系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系加硫促進剤;エチレンチオ尿素(例えば、サンセラー22C(商品名;三新化学工業社製))、N,N'-ジエチルチオ尿素、N,N'-ジブチルチオ尿素等のチオウレア系加硫促進剤;ジブチルキサトゲン酸亜鉛等のザンテート系加硫促進剤;その他、亜鉛華が挙げられる。
本実施形態の組成物が加硫促進剤を含有する場合、加硫促進剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他のポリマー(ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.2~15質量部、さらに好ましくは0.5~10質量部である。
加硫助剤は、架橋剤として硫黄系化合物も用いる場合に好ましく用いることができ、例えば、酸化亜鉛(例えば、ZnO#1・酸化亜鉛2種、ハクスイテック社製)、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「META-Z102」(商品名;井上石灰工業社製)等の酸化亜鉛)が挙げられる。
本実施形態の組成物が加硫助剤を含有する場合、加硫助剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他のポリマー(ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは1~20質量部である。
また、架橋助剤(C)とともに、架橋助剤(C)以外の架橋助剤を併用してもよい。上記架橋助剤としては、例えば、イオウ;p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム系架橋助剤;酸化亜鉛(例えば、ZnO#1・酸化亜鉛2種(JIS規格(K-1410))、ハクスイテック社製)、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「META-Z102」(商品名;井上石灰工業社製)などの酸化亜鉛)等の金属酸化物が挙げられる。
本実施形態の組成物が架橋助剤(C)以外の架橋助剤を含有する場合、架橋助剤(C)以外の架橋助剤の含有量は、過酸化物系架橋剤(B)1モルに対して、好ましくは0.5~10モル、より好ましくは0.5~7モル、さらに好ましくは1~5モルである。
《軟化剤》
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその塩;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)が挙げられ、石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルがより好ましい。
本実施形態の組成物が軟化剤を含有する場合、軟化剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは2~100質量部、より好ましくは5~100質量部である。
《無機充填剤》
無機充填剤としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーが挙げられる。これらの中でも、重質炭酸カルシウムが好ましい。
本実施形態の組成物が無機充填剤を含有する場合、無機充填剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは2~50質量部、より好ましくは5~50質量部である。
《補強剤》
補強剤としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微分ケイ酸が挙げられ、ただし、前述したカーボンブラック(D)を除く。
本実施形態の組成物が補強剤を含有する場合、補強剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~100質量部、より好ましくは5~30質量部である。
《老化防止剤(安定剤)》
本実施形態の組成物は、老化防止剤(安定剤)を含有することにより、当該組成物から形成される層(X)の寿命を長くすることができる。老化防止剤としては、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤が挙げられる。
アミン系老化防止剤としては、例えば、フェニルブチルアミン、N,N-ジ-2-ナフチル-p―フェニレンジアミン等の芳香族第2アミン系老化防止剤が挙げられる。フェノール系老化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]が挙げられる。イオウ系老化防止剤としては、例えば、ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2-メルカプトベンゾイルイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートが挙げられる。
本実施形態の組成物が老化防止剤を含有する場合、老化防止剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.3~10質量部、より好ましくは0.5~7.0質量部である。
《加工助剤》
加工助剤としては、一般的に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く用いることができる。加工助剤としては、例えば、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、エステル類が挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸が好ましい。
本実施形態の組成物が加工助剤を含有する場合、加工助剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8.0質量部以下である。
《活性剤》
活性剤としては、例えば、ジ-n-ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン等のアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルートメリレート、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の亜鉛化合物等の活性剤;過酸化亜鉛調整物;オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物が挙げられる。
本実施形態の組成物が活性剤を含有する場合、活性剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.2~10質量部、より好ましくは0.3~5質量部である。
《吸湿剤》
吸湿剤としては、例えば、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンが挙げられる。
本実施形態の組成物が吸湿剤を含有する場合、吸湿剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100質量部に対して、好ましくは0.5~15質量部、より好ましくは1.0~12質量部である。
《他のポリマー》
本実施形態の組成物は、共重合体(A)以外の他のポリマーをさらに含有することができる。架橋が必要な他のポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴムが挙げられる。架橋が不要な他のポリマーとしては、例えば、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体(SBS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)-ポリスチレン(SEPS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、塩ビ系エラストマー(TPVC)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、アミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、その他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等のエラストマーが挙げられる。
本実施形態の組成物が他のポリマーを含有する場合、他のポリマーの含有量は、共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下である。
<組成物の調製>
本実施形態の組成物は、上述した各成分を、例えば、ミキサー、ニーダー、ロール等の混練機を用いて所望の温度で混練することにより調製することができる。
本実施形態の組成物は、例えば以下のように調製される。共重合体(A)と、所定のその他の成分とを、混練機に投入して所定の加熱条件(例えば80~200℃で3~30分)で混練して均一化する(A練り)。なお、A練りでは、A練りの加熱温度まで加熱すると共重合体(A)を架橋させる、架橋剤等は投入されない。A練りで混練された混合物の温度を、次いで、過酸化物系架橋剤(B)の架橋温度未満(例えば、130℃以下)まで下げた後、A練りで添加されなかった過酸化物系架橋剤(B)および架橋助剤(C)等を上記混合物に添加し、所定の加熱条件(例えばロール温度30~80℃で1~30分間)でさらに混練して均一化し(B練り)、本実施形態の組成物を得ることができる。
本実施形態の組成物は、架橋剤を配合する前の組成(A練り)において、125℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が、通常は10~250、好ましくは10~100、より好ましくは10~50である。ムーニー粘度が前記範囲にある組成物は、良好な後処理品質を示すと共に優れたゴム物性を有する。
<層(X)>
本実施形態の組成物から、層(X)を得ることができる。本実施形態の組成物は、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、カレンダー成形、トランスファー成形、発泡成形等の熱成形方法によって成形できる。本実施形態において、上記組成物の架橋温度は、通常は140℃以上、好ましくは150~220℃、より好ましくは160~200℃である。また、この架橋反応は、空気中で行うことができる。
例えば、本実施形態の組成物は、成形加工性に適した高い粘着力を有しており、加工性に優れている。また、本実施形態の組成物を用いることにより、高ゴム弾性、耐摩耗性、耐熱性および耐寒性に優れた積層体を製造することができる。
[積層体の具体例]
本実施形態の積層体は、例えば、繊維基材層(Y)に、前述した本実施形態の組成物からなる未架橋層を積層し、必要に応じて加圧し、前記組成物の架橋と接着とを行うことにより繊維基材層(Y)上に層(X)を形成し、製造することができる。前記組成物の架橋条件は上述したとおりである。
本実施形態の積層体は、層(X)と繊維基材層(Y)との接着性(剥離強度)に優れており、さらに、耐摩耗性、耐熱性、耐寒性、機械的強度およびゴム弾性に優れる。本実施形態の積層体は、例えば、ベルトとして有用である。ただし、本実施形態の積層体は、ベルト用途に何ら限定されるものではない。
前記ベルトの一実施形態は、本実施形態の積層体を有する。前記ベルトとしては、例えば、Vベルト、平ベルト、丸ベルト、歯付きベルト、Vリブドベルトなどの伝動ベルト;軽搬送用ベルト、円筒形ベルト、ラフトップベルト、フランジ付き搬送用ベルト、U型ガイド付き搬送用ベルト、Vガイド付き搬送用ベルトなどの搬送用ベルトが挙げられる。
本実施形態では、前記積層体は、伝動ベルトの構成部材として好適に用いることができる。伝動ベルトは、例えば、自動車用伝動ベルト、自動二輪用伝動ベルト、一般産業機械用伝動ベルトである。Vベルトとしては、例えば、ラップドベルト、ローエッジベルトが挙げられる。
また、本実施形態の積層体は、エスカレータ用手すりの構成部材としても好適に用いることができる。すなわち、前記エスカレータ用手すりは、本実施形態の積層体を有する。
以下、伝動ベルトの一実施形態について説明する。伝動ベルトの一実施形態は、例えば、心線が埋設された接着ゴム部を有しており、さらに、上記接着ゴム部の下面に形成された底ゴム部を有することができる。上記伝動ベルトは、必要に応じて、接着ゴム部上に形成された上部帆布、および/または底ゴム部下に形成された下部帆布を有することができる。伝動ベルトは、接着ゴム部および/または底ゴム部に相当する層(X)と、上部帆布および/または下部帆布に相当する繊維基材層(Y)とを有する積層体を含む。
伝動ベルトの抗張部材である心線は、接着ゴム部において、ベルトの長手方向に延在する。心線としては、例えば、ポリエステル系コードが挙げられる。接着ゴム部は、心線を取り囲み、かつ心線に接着されている。一実施形態では、例えば、本実施形態の組成物を心線周りに配置して架橋することにより、心線に接着された接着ゴム部を形成することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。特に言及しない限り「部」は「質量部」を表す。
[エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の物性]
<エチレンに由来する構造単位、α-オレフィンに由来する構造単位、および非共役ポリエンに由来する構造単位のモル量>
前記モル量は、1H-NMRスペクトルメーターによる強度測定によって求めた。測定条件の詳細は、国際公開第2015/122415号に記載されている。
<ムーニー粘度>
ムーニー粘度(ML(1+4)100℃、125℃)は、ムーニー粘度計(島津製作所社製SMV202型)を用いて、JIS K6300(1994)に準じて測定した。
<B値>
o-ジクロロベンゼン-d4/ベンゼン-d6(4/1[v/v])を測定溶媒とし、測定温度120℃にて、13C-NMRスペクトル(100MHz、日本電子製ECX400P)を測定し、下記式(i)に基づき算出した。
B値=([EX]+2[Y])/〔2×[E]×([X]+[Y])〕・・・(i)
ここで[E]、[X]および[Y]は、それぞれ、エチレン[A1]、炭素数4~20のα-オレフィン[A2]、および非共役ポリエン[A3]に由来する構造単位のモル分率を示し、[EX]はエチレン[A1]-炭素数4~20のα-オレフィン[A2]ダイアッド連鎖分率を示す。
[エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体]
国際公開第2015/122415号の[合成例C1]の記載に準じて、下記の物性を有するエチレン・1-ブテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)共重合体を得た。以下、これを「EBDM-1」と記載する。
EBDM-1の構成および物性は、以下のとおりである。
エチレンに由来する構造単位:67.7モル%
1-ブテンに由来する構造単位:30.0モル%
ENBに由来する構造単位:2.3モル%
ムーニー粘度ML(1+4)100℃:30
ムーニー粘度ML(1+4)125℃:22
B値:1.3
[実施例1]
MIXTRON BB MIXER(神戸製鋼所社製、BB-2型、容積1.7L、ローター2WH)を用いて、100部のEBDM-1に対して、架橋助剤としてZnO#1・酸化亜鉛2種(JIS規格(K-1410))を5部、加工助剤としてステアリン酸を1部、カーボンブラックとして旭#60UGを50部、老化防止剤としてサンダントMB(2-メルカプトベンゾイミダゾール)を4部、老化防止剤としてイルガノックス1010(ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート])を2部、軟化剤としてダイアナプロセスオイルPS-430(パラフィン系プロセスオイル)を10部の配合量で配合した後混練し、配合物1を得た。配合物1調製時の混練条件は、ローター回転数が40rpm、フローティングウェイト圧力が3kg/cm2、混練時間が5分間で行い、混練排出温度は144℃であった。
次いで、配合物1が温度40℃となったことを確認した後、6インチロールを用いて、配合物1に、架橋剤としてDCP-40C(ジクミルパーオキサイド40質量%)を6.8部の配合量で、架橋助剤としてサンエステルEGを2部の配合量で添加して混練し、配合物2を得た。配合物2調製時の混練条件は、ロール温度を前ロール/後ロール=50℃/50℃、ロール周速さを前ロール/後ロール=18rpm/15rpm、ロール間隙を3mmとして、混練時間8分間で分出しし、配合物2を得た。
配合物2に対して、プレス成形機を用いて170℃で15分間プレス処理を行って、厚さ2mmの架橋シートを作製した。得られた架橋シートについて、後述する硬度試験、引張試験、耐熱老化性試験および脆化試験を行った。
また、配合物1が温度40℃となったことを確認した後、6インチロールを用いて、配合物1に、架橋剤としてDCP-40C(ジクミルパーオキサイド40質量%)を6.8部の配合量で、架橋助剤としてサンエステルEGを2部の配合量で添加して混練し、ロール温度を前ロール/後ロール=50℃/50℃、ロール周速さを前ロール/後ロール=18rpm/15rpm、ロール間隙を3mmとして、混練時間8分間でシート状に分出しし、厚さ3mm未架橋シートを得た。
厚さ3mmの未架橋シートを6,6-ナイロン繊維の織布(帝人商事(株)製)の上に置いて、150トンプレス成形機を用いて170℃で15分間加圧した。このようにして架橋ゴム-繊維基材積層体を得た。
[比較例1]
各配合剤の種類、量を表2に示す通りとする以外は、実施例1と同様にして、配合物、架橋シート、未架橋シートおよび架橋ゴム-繊維基材積層体を得た。
実施例および比較例で用いた材料を以下の表1に示す。
Figure 0007428502000002
[硬度試験(Durometer-A)]
厚さ2mmの上記架橋シートの平らな部分を重ねて厚さ12mmのシートとし、JIS K6253に従い、硬度(JIS-A)を測定した。
[引張試験:モジュラス、引張破断点応力、引張破断点伸び]
厚さ2mmの上記架橋シートを打抜いてJIS K6251(1993年)に記載されている3号形ダンベル試験片を作製し、この試験片を用いてJIS K6251第3項に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、伸び率が25%、50%、100%、200%、300%であるときの引張応力(25%モジュラス(M25)、50%モジュラス(M50)、100%モジュラス(M100)、200%モジュラス(M200)、300%モジュラス(M300))、引張破断点応力(TB)および引張破断点伸び(EB)を測定した。
[耐熱性試験(耐熱老化性試験)]
厚さ2mmの上記架橋シートを、JIS K6257に従い、180℃で70時間保持する熱老化試験を行った。熱老化試験後のシートの硬度、引張応力、TBおよびEBを、上記硬度試験および引張試験の項目と同様の方法で測定した。
熱老化試験前後の硬度の差より、AH(Duro-A)を求め、熱老化試験前後の引張応力、TBおよびEBから、熱老化試験前の値に対する試験後の保持率を求めた。
[脆化試験]
厚さ2mmの上記架橋シートを打抜いてJIS K6251(2001年)に記載されている3号形ダンベル試験片を作製した。この試験片を用いてJIS K6261(2006年)に規定される方法に従い、脆化温度を導出した。
[剥離試験]
得られた架橋ゴム-繊維基材積層体から、幅25mmの試験片を打ち抜き、50mm/分の引張速度でT剥離試験を行った。試験片を3つ用意し、T剥離試験を行った。
[プローブタック試験]
プローブタックは、配合物1に対して、JIS Z3284に準拠しRHESCA社製 TAC-IIを用いて測定した。条件は温度25℃または50℃、Immersion speed:120mm/min、Preload:600gf、Test speed:120mm/min、Press time:60sとした。
Figure 0007428502000003

Claims (7)

  1. エチレン[A1]に由来する構造単位と、1-ブテン[A2]に由来する構造単位と、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)[A3]に由来する構造単位とを有し、下記(1)~()の要件を満たすエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、
    過酸化物系架橋剤(B)と、
    2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋助剤(C)と
    を含有する組成物から形成された層(X)と、
    繊維基材層(Y)と
    を有し、
    前記層(X)と前記繊維基材層(Y)とが接し、
    幅25mmにおける積層体を50mm/分の引張速度でT剥離試験を行ったときの、前記層(X)と前記繊維基材層(Y)との剥離強度(平均)が131.9N/25mm以上である、積層体。
    (1)エチレン[A1]に由来する構造単位と、1-ブテン[A2]に由来する構造単位とのモル比〔[A1]/[A2]〕が、40/60~90/10であり、
    (2)5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)[A3]に由来する構造単位の含有割合が、[A1]、[A2]および[A3]に由来する構造単位の合計を100モル%として、0.1~6.0モル%であり、
    (3)下記式(i)で表されるB値が、1.20以上である。
    B値=([EX]+2[Y])/〔2×[E]×([X]+[Y])〕・・・(i)[ここで[E]、[X]および[Y]は、それぞれ、エチレン[A1]、1-ブテン[A2]、および5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)[A3]に由来する構造単位のモル分率を示し、[EX]はエチレン[A1]-1-ブテン[A2]ダイアッド連鎖分率を示す。]
    (4)100℃におけるムーニー粘度ML (1+4) 100℃が、5~150である。
  2. 前記繊維基材層(Y)が、ポリアミドからなる繊維を含む繊維基材である請求項1に記載の積層体。
  3. 請求項1または2のいずれか1項に記載の積層体を有するベルト。
  4. 伝動ベルトまたは搬送用ベルトである請求項に記載のベルト。
  5. 前記伝動ベルトが、Vベルト、平ベルト、丸ベルト、歯付きベルトまたはVリブドベルトである請求項に記載のベルト。
  6. 前記搬送用ベルトが、軽搬送用ベルト、円筒形ベルト、ラフトップベルト、フランジ付き搬送用ベルト、U型ガイド付き搬送用ベルトまたはVガイド付き搬送用ベルトである請求項に記載のベルト。
  7. 請求項1または2に記載の積層体を有するエスカレータ用手すり。
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