JP2017165926A - 伝動ベルト用ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の伝動ベルトよりも耐摩耗性が改良され、かつ、軟化剤を高充填配合しても耐熱老化性の悪化が少ない伝動ベルトを製造することができるゴム組成物を提供すること【解決手段】本発明の伝動ベルト用ゴム組成物は、エチレン(a1)と、炭素原子数3〜20のα−オレフィン(a2)と、特定の部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(a3)とに由来する構成単位を有し、長鎖分岐が少ないエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100重量部と、軟化剤(E)20重量部以上150重量部以下とを含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む伝動ベルト用ゴム組成物および該ゴム組成物からなる伝動ベルトに関する。
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)は主鎖に不飽和結合を持たないため、汎用のジエン系ゴムに比べ、耐熱性(耐熱老化性を含む)や耐候性等に優れており、自動車用部品や工業材部品等の多くの製品に使用されている。
しかしながら、EPDMは、耐動的疲労性、耐摩耗性、および金属や繊維等との接着性などの点で、前記のジエン系ゴムに劣ると言われてきた。
また、EPDMを伝動ベルト等の用途に使用した時、耐動的疲労性と耐摩耗性とのバランスを取るのが困難であった。すなわち、耐摩耗性を向上させる為にはモジュラスを大きくすればよいが、モジュラスを大きくする為に架橋剤の使用量を多くして架橋密度を高くする、あるいはカーボンブラックの配合量を増やすと、引張伸び(EB)が小さくなり、また、耐動的疲労性が低下してしまう。逆に、耐動的疲労性を改善しようとすると耐摩耗性が悪化する。
また、コストの面から、EPDM以外の軟化剤やフィラー類の配合量を増加する要求が常にあるが、軟化剤として広く用いられるプロセスオイルの配合量を増やすと耐熱老化性が低下する虞があると言われてきた。
特許文献1には、耐熱性(耐熱老化性含む)、耐動的疲労性および耐摩耗性のいずれも満足する伝動ベルトを供給できる組成物として、補強材や架橋助剤などを配合して耐摩耗性を高めるとともに、ゴムの架橋密度を高くする架橋方法として、ラジカル(過酸化物)架橋を採用して耐熱性を向上させたゴム組成物が開示されている。
また、特許文献2には、特定のカルボン酸および金属塩を含む、ラジカル架橋されたゴム混合物からなる伝動ベルトが開示されている。
特開2000−080224号公報 特表2009−534486号公報
本発明は、従来の伝動ベルトよりも耐摩耗性が改良され、かつ、軟化剤を高充填配合しても耐熱老化性の悪化が少ない伝動ベルトを製造することができるゴム組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に、特定の量で軟化剤を配合したゴム組成物を架橋することにより、耐摩耗性が改良され、かつ、耐熱老化性の悪化が少ない伝動ベルトが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、例えば、以下の[1]〜[6]に関する。
[1] エチレン(a1)と、炭素原子数3〜20のα−オレフィン(a2)と、下記一般式(I)および(II)からなる群より選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(a3)とに由来する構成単位を有し、かつ、下記(i)〜(v)の要件を満たすエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100重量部と、軟化剤(E)20重量部以上150重量部以下とを含有することを特徴とする伝動ベルト用ゴム組成物。
Figure 2017165926
(i)エチレン(a1)/α−オレフィン(a2)のモル比が40/60〜99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量%中、0.07重量%〜10重量%である。
(iii)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率((a3)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(a3)の分子量((a3)の分子量)とが、下記式(1)を満たす。
4.5≦Mw×(a3)の重量分率/100/(a3)の分子量≦40 …(1)
(iv)レオメーターを用いた線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率((a3)の重量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(a3)の重量分率×6 …(2)
(v)3D−GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1−0.07×Ln(Mw) …(3)
[2] 前記共重合体(A)100重量部に対して、有機過酸化物(B)1〜10重量部、α,β−不飽和有機酸の金属塩(C)5〜30重量部およびカーボンブラック(D)10〜100重量部を含有することを特徴とする項[1]に記載の伝動ベルト用ゴム組成物。
[3] 前記α−オレフィン(a2)がプロピレンであることを特徴とする項[1]または[2]に記載の伝動ベルト用ゴム組成物。
[4] 前記非共役ポリエン(a3)が5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)を含むことを特徴とする項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の伝動ベルト用ゴム組成物。
[5] 項[1]〜[4]のいずれか1項に記載の伝動ベルト用ゴム組成物を架橋する工程を含むことを特徴とする伝動ベルトの製造方法。
[6] 項[1]〜[4]のいずれか1項に記載の伝動ベルト用ゴム組成物の架橋体からなる伝動ベルト。
本発明によれば、特許文献1等の従来のEPDMを用いた場合と比較して、架橋密度が同等であるにもかかわらず、耐摩耗性が大幅に改善された伝動ベルトが得られる。これは、架橋点が均一に入っていることにより、架橋網目鎖構造が均一になり、耐摩耗性が向上したものと推測される。また、本発明によれば、軟化剤を高充填配合したにもかかわらず、耐熱老化性の悪化が少ない伝動ベルトが得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[伝動ベルト用ゴム組成物]
本発明に係る伝動ベルト用ゴム組成物は、後述する特定のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)(以下、単に「共重合体(A)」ともいう。)100重量部と、軟化剤(E)20重量部以上150重量部以下とを含有することを特徴とする。また、本発明の伝動ベルト用ゴム組成物は、有機過酸化物(B)、α,β−不飽和有機酸の金属塩(C)およびカーボンブラック(D)を含有することが好ましく、さらに、その他の成分を含有してもよい。
<エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)>
本発明で用いられる共重合体(A)は、エチレン(a1)と、炭素原子数3〜20のα−オレフィン(a2)と、下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(a3)とに由来する構成単位を有する。
Figure 2017165926
上記共重合体(A)は、上記(a1)、(a2)、(a3)に由来する構造単位に加えて、さらに上記般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン(a4)に由来する構成単位を有していてもよい。
上記α−オレフィン(a2)としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのうち、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの炭素原子数3〜8のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。このようなα−オレフィンは、原料コストが比較的安価であり、得られる共重合体(A)が優れた機械的性質を示し、さらにゴム弾性を持った成形体を得ることができるため好ましい。
上記α−オレフィン(a2)は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。すなわち、上記共重合体(A)は、少なくとも1種の炭素原子数3〜20のα−オレフィン(a2)に由来する構成単位を含んでおり、2種以上の炭素原子数3〜20のα−オレフィン(a2)に由来する構成単位を含んでいてもよい。
上記非共役ポリエン(a3)としては、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)、ノルボルナジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。これらのうちでは、入手容易性が高く、重合後の架橋反応時に過酸化物との反応性が良好で、重合体組成物の耐熱性が向上しやすいことから、非共役ポリエン(a3)がVNBを含むことが好ましく、非共役ポリエン(a3)がVNBであることがより好ましい。非共役ポリエン(a3)は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
上記非共役ポリエン(a4)としては、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−メチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−エチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2−ジメチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3−トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネンなどが挙げられる。これらのうちでは、入手容易性が高く、重合後の架橋反応時に硫黄や加硫促進剤との反応性が高く、架橋速度を制御しやすく、良好な機械物性が得られやすいことからENBが好ましい。非共役ポリエン(a4)は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
上記共重合体(A)が、上記非共役ポリエン(a4)に由来する構成単位を含む場合、その割合は本発明の目的を損なわない範囲において特に限定されるものではないが、通常、0〜20重量%、好ましくは0〜8重量%、より好ましくは0.01〜8重量%程度の重量分率で含む(ただし、(a1)、(a2)、(a3)、(a4)の重量分率の合計を100重量%とする)。
上記共重合体(A)は、上述の通り、エチレン(a1)と、炭素原子数3〜20のα−オレフィン(a2)と、上記非共役ポリエン(a3)と、必要に応じて上記非共役ポリエン(a4)とに由来する構成単位を有する共重合体であって、下記(i)〜(v)の要件(以下、それぞれ要件(i)〜(v)とも記す。)を満たす。
(i)エチレン(a1)/α−オレフィン(a2)のモル比が40/60〜99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量%中、0.07重量%〜10重量%である。
(iii)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率((a3)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(a3)の分子量((a3)の分子量)とが、下記式(1)を満たす。
4.5≦Mw×(a3)の重量分率/100/(a3)の分子量≦40 …(1)
(iv)レオメーターを用いた線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率((a3)の重量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(a3)の重量分率×6 …(2)
(v)3D−GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1−0.07×Ln(Mw) …(3)
≪要件(i)≫
要件(i)は、上記共重合体(A)中のエチレン(a1)/α−オレフィン(a2)のモル比が40/60〜99.9/0.1を満たすことを特定するものであり、このモル比は、好ましくは50/50〜90/10、より好ましくは55/45〜85/15、さらに好ましくは55/45〜78/22である。
要件(i)を満たす共重合体(A)を用いることにより、ゴム弾性、機械的強度および柔軟性に優れた伝動ベルトを得ることができる。なお、共重合体(A)中のエチレン量(エチレン(a1)に由来する構成単位の含量)およびα−オレフィン量(α−オレフィン(a2)に由来する構成単位の含量)は、13C−NMRにより求めることができる。
≪要件(ii)≫
要件(ii)は、上記共重合体(A)中において、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率が、共重合体(A)100重量%中(すなわち全構成単位の重量分率の合計100重量%中)、0.07重量%〜10重量%の範囲であることを特定するものである。この非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率は、好ましくは0.1重量%〜8.0重量%、より好ましくは0.5重量%〜5.0重量%である。
要件(ii)を満たす共重合体(A)は、充分な硬度を有し、機械特性に優れたものとなり、また、過酸化物を用いて架橋した場合、早い架橋速度を示すものとなる。なお、共重合体(A)中の非共役ポリエン(a3)量(非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の含量)は、13C−NMRにより求めることができる。
≪要件(iii)≫
要件(iii)は、上記共重合体(A)において、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、共重合体(A)中における非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率((a3)の重量分率:重量%)と、非共役ポリエン(a3)の分子量((a3)の分子量)とが、上記式(1)を満たすことを特定するものである。要件(iii)の上記式(1)は、下記式(1’)であることが好ましい。
4.5≦Mw×(a3)の重量分率/100/(a3)の分子量≦35 …(1’)
上記共重合体(A)が、要件(iii)を満たすことにより、非共役ポリエン(a3)に由来する構造単位の含有量が適切であり、十分な架橋性能を示し、架橋速度に優れるとともに、優れた機械特性を示す伝動ベルトを製造することができる。なお、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数値として求めることができる。
上記共重合体(A)において、「Mw×(a3)の重量分率/100/(a3)の分子量」が上記式(1)又は(1’)を満たす場合、架橋程度が適切となり、機械的物性と耐熱老化性とがバランスよく優れた伝動ベルトを製造することができる。「Mw×(a3)の重量分率/100/(a3)の分子量」の値が低すぎると、架橋性が不足して架橋速度が遅くなることなることがあり、また該値が高すぎると、過度に架橋が生じて機械的物性が悪化することがある。
≪要件(iv)≫
要件(iv)は、上記共重合体(A)の、レオメーターを用いた線形粘弾性測定(190℃)により得られる、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、上記非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率((a3)の重量分率:重量%)とが、上記式(2)を満たすことを特定するものである。要件(iv)の上記式(2)は、下記式(2’)であることが好ましい。
P/([η]2.9)≦(a3)の重量分率×5.7 …(2’)
ここで、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))は、粘度の周波数依存性を表すものであって、式(2)の左辺にあたるP/([η]2.9)は、短鎖分岐や分子量などの影響はあるものの、長鎖分岐が多い場合に高い値を示す傾向がある。一般に、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体では、非共役ポリエンに由来する構成単位を多く含むほど、長鎖分岐を多く含む傾向があるが、本発明の共重合体(A)は、従来公知のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体よりも長鎖分岐が少ないことにより、上記式(2)を満たすことができると考えられる。
本発明において、P値は、粘弾性測定装置Ares(Rheometric Scientific社製)を用い、190℃、歪み1.0%、周波数を変えた条件で測定を行って求めた、0.1rad/sでの複素粘度と、100rad/sでの複素粘度とから、比(η*比)を求めたものである。なお、極限粘度[η]は、135℃のデカリン中で測定された値を意味する。
≪要件(v)≫
要件(v)は、上記共重合体(A)の、3D−GPCを用いて得られた1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが、上記式(3)を満たすことを特定するものである。要件(v)の上記式(3)は、下記式(3’)であることが好ましい。
LCB1000C≦1−0.071×Ln(Mw) …(3’)
上記式(3)又は(3’)により、上記共重合体(A)の単位炭素数当たりの長鎖分岐含量の上限値が特定される。
共重合体(A)が要件(v)を満たすことにより、含まれる長鎖分岐の割合が少なく、過酸化物を用いて架橋を行う場合の硬化特性に優れるとともに、耐熱老化性に優れた伝動ベルトを得ることができる。
ここで、Mwと1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)は、3D−GPCを用いた構造解析法により求めることができる。本明細書においては、具体的には、次のようにして求めた。
3D-高温GPC装置PL-GPC220型(Polymer Laboratories社製)を用い、絶対分子量分布を求め、同時に粘度計で極限粘度を求めた。主な測定条件は以下の通り。
検出器:示差屈折率計/GPC装置内蔵
2角度光散乱光度計PD2040型(Precison Detectors社製)
ブリッジ型粘度計PL−BV400型(Polymer Laboratories社製)
カラム:TSKgel GMHHR-H(S)HT×2本+TSKgel GMHHR-M(S)×1本
(いずれも1本当たり内径7.8mmφ×長さ300mm)
温度:140℃
移動相:1,2,4-トリクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
注入量:0.5mL
試料濃度:ca 1.5mg/mL
試料濾過:孔径1.0μm焼結フィルターにて濾過
上記において、絶対分子量の決定に必要なdn/dc値は標準ポリスチレン(分子量190000)のdn/dc値0.053と単位注入質量あたりの示差屈折率計の応答強度より、試料ごとに決定した。
粘度計より得られた極限粘度と光散乱光度計より得られた絶対分子量の関係より溶出成分毎の長鎖分岐パラメーターg'iを下記式(v−1)から算出した。
Figure 2017165926
ここで、[η]=KMv;v=0.725の関係式を適用した。
また、g'として各平均値を下記式(v−2)、(v−3)、(v−4)から算出した。なお、短鎖分岐のみを有すると仮定したTrendlineは試料ごとに決定した。
Figure 2017165926
更にg'wを用いて、分子鎖あたりの分岐点数BrNo、炭素1000個あたりの長鎖分岐数LCB1000C、単位分子量あたりの分岐度λを算出した。BrNo算出はZimm-Stockmayerの下記式(v−5)、また、LCB1000Cとλの算出は下記式(v−6)、(v−7)を用いた。gは慣性半径Rgから求められる長鎖分岐パラメーターであり、極限粘度から求められるg'との間に次の単純な相関付けが行われている。式中のεは分子の形に応じて種々の値が提案されている。ここではε=1(すなわちg'=g)と仮定して計算を行った。
Figure 2017165926
λ=BrNo/M …(V−6)
LCB1000C=λ×14000 …(V−7)
式(V−7)中、「14000」はメチレン(CH2)単位で1000個分の分子量を表す。
上記共重合体(A)の極限粘度[η]は、好ましくは0.1〜5dL/g、より好ましくは0.5〜5.0dL/g、さらに好ましくは0.9〜4.0dL/gである。
また、上記共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜600,000、より好ましくは30,000〜500,000、さらに好ましくは50,000〜400,000である。
上記共重合体(A)は、上記の極限粘度[η]および重量平均分子量(Mw)を兼ね備えて満たすことが好ましい。
上記共重合体(A)では、上述したように、非共役ポリエン(a3)がVNBを含むことが好ましく、VNBであることがより好ましい。すなわち、上述した式(1)、式(2)および後述する式(4)等において、「(a3)の重量分率」が「VNBの重量分率」(重量%)であることが好ましい。
上記共重合体(A)は、上述したように、上記(a1)、(a2)および(a3)に由来する構造単位に加えて、さらに、上記非共役ポリエン(a4)に由来する構成単位を、0重量%〜20重量%の重量分率(ただし、(a1)、(a2)、(a3)、(a4)の重量分率の合計を100重量%とする)で含むことも好ましい。この場合には、下記(vi)の要件を満たすことが好ましい。
≪要件(vi)≫
上記共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率((a3)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(a4)に由来する構成単位の重量分率((a4)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(a3)の分子量((a3)の分子量)と、非共役ポリエン(a4)の分子量((a4)の分子量)とが、下記式(4)を満たす。
4.5≦Mw×{((a3)の重量分率/100/(a3)の分子量)+((a4)の重量分率/100/(a4)の分子量)}≦45 …(4)
式(4)では、共重合体1分子中の非共役ジエン((a3)と(a4)の合計)の含量を特定している。
上記(a4)に由来する構造単位を含む共重合体(A)が式(4)を満たすことにより、機械物性および耐熱老化性に優れた伝動ベルトを得ることができる。
要件(vi)を満たさず、式(4)中の「Mw×{((a3)の重量分率/100/(a3)の分子量)+((a4)の重量分率/100/(a4)の分子量)}」の値が低すぎると、すなわち非共役ジエンの含量が少なすぎると、十分な架橋がなされず適切な機械物性が得られないことがあり、該値が高すぎると、すなわち非共役ジエンの含量が多すぎると、架橋が過剰となり機械物性が悪化することがあり、さらに耐熱老化性が悪化することもある。
≪要件(vii)≫
上記共重合体(A)は、特に限定されるものではないが、レオメーターを用いた線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.01rad/sでの複素粘度η* (ω=0.01)(Pa・sec)と、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η* (ω=10)(Pa・sec)と、非共役ポリエン(a3)に由来する見かけのヨウ素価とが、下記式(5)を満たすことが好ましい。
Log{η* (ω=0.01)}/Log{η* (ω=10)}≦0.0753×{非共役ポリエン(a3)に由来する見かけのヨウ素価}+1.42 …(5)
ここで、複素粘度η* (ω=0.01)および複素粘度η* (ω=10)は、要件(iv)における複素粘度η* (ω=0.1)および複素粘度η* (ω=100)と測定周波数以外は同様にして求められる。また、非共役ポリエン(a3)に由来する見かけのヨウ素価は、次式により求められる。
(a3)に由来する見かけのヨウ素価=(a3)の重量分率×253.81/(A3)の分子量
上記式(5)において、左辺は長鎖分岐量の指標となる剪断速度依存性を表し、右辺は重合時に長鎖分岐として消費されていない非共役ポリエン(a3)の含有量の指標を表す。上記共重合体(A)が上記式(5)を満たすと、長鎖分岐の程度が高すぎないため好ましい。一方、上記式(5)を満たさない場合、共重合した非共役ポリエン(a3)のうち、長鎖分岐の形成に消費された割合が多いこと分かる。
さらに、上記共重合体(A)は、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位を十分な量で含有することが好ましく、共重合体中における非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率((a3)の重量分率(重量%))と、共重合体の重量平均分子量(Mw)とが、下記式(6)を満たすことがより好ましい。
6−0.45×Ln(Mw)≦(a3)の重量分率≦10 …(6)
また、上記共重合体(A)は、重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の数(nC)が、好ましくは6個以上、より好ましくは6個以上40個以下、さらに好ましくは7個以上39個以下、特に好ましくは10個以上38個以下である。
このような共重合体(A)は、VNBなどの非共役ポリエン(a3)から導かれる構成単位を十分な量で含有し、かつ、長鎖分岐含有量が少なく、過酸化物を用いて架橋を行う場合の硬化特性に優れ、成形性がよく、機械的特性などの物性バランスに優れるとともに、特に耐熱老化性に優れる。
また、上記共重合体(A)は、重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(a4)に由来する構成単位の数(nD)が、好ましくは29個以下、より好ましくは10個以下、さらに好ましくは1個未満である。
このような共重合体(A)は、ENBなどの非共役ポリエン(a4)から導かれる構成単位の含有量が本発明の目的を損なわない範囲に抑制されており、後架橋を生じにくく、十分な耐熱老化性を有する。
ここで、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の数(na3)または非共役ポリエン(a4)に由来する構成単位の数(na4)は、非共役ポリエン(a3)または(a4)の分子量と、共重合体中における非共役ポリエン(a3)または(a4)に由来する構成単位の重量分率((a3)または(a4)の重量分率(重量%))と、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)とから、下記式により求めることができる。
(na3)=(Mw)×{(a3)の重量分率/100}/非共役ポリエン(a3)の分子量
(na4)=(Mw)×{(a4)の重量分率/100}/非共役ポリエン(a4)の分子量
上記共重合体(A)において、重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(a3)および(a4)に由来するそれぞれの構成単位の数(na3)および(na4)が、いずれも上記の範囲を満たす場合、共重合体(A)は、長鎖分岐含有量が少なく、かつ、過酸化物を用いて架橋を行う場合の硬化特性に優れ、成形性がよく、機械的特性などの物性バランスに優れるとともに、後架橋を生じにくく特に耐熱老化性に優れたものとなるため好ましい。
<共重合体(A)の調製>
上記共重合体(A)は、エチレン(a1)と、α−オレフィン(a2)と、非共役ポリエン(a3)と、必要に応じて非共役ポリエン(a4)とからなるモノマーを共重合してなる共重合体である。
上記共重合体(A)は、上記要件(i)〜(v)を満たす限りにおいて、どのような製法で調製されてもよいが、メタロセン化合物の存在下にモノマーを共重合して得られたものであることが好ましく、メタロセン化合物を含む触媒系の存在下にモノマーを共重合して得られたものであることがより好ましい。
≪メタロセン化合物≫
上記共重合体(A)は、好ましくは、下記一般式[A1]で表される化合物および下記一般式[A2]で表される化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン化合物の存在下に、モノマーを共重合して得られたものであることが望ましい。モノマーの共重合を、このようなメタロセン化合物を含む触媒系を用いて行うと、得られる共重合体中が含有する長鎖分岐が抑制され、上記要件を満たす共重合体(A)を容易に調製することができる。
Figure 2017165926
式[A1]および[A2]中、Mは周期表第4族の原子を示し、Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合、複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Cp1およびCp2は、互いに同一でも異なっていてもよく、Mと共にサンドイッチ構造を形成することができるシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基を示す。
式[A2]中、Yは炭素原子数1〜30の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−Ge−、−Sn−、−NRa−、−P(Ra)−、−P(O)(Ra)−、−BRa−または−AlRa−を示す(式中、Raは炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子または窒素原子に炭素原子数1〜20の炭化水素基が1個もしくは2個結合した窒素化合物残基である。)。
上記式[A1]および[A2]において、Mは周期表第4族の原子を示し、好ましくはチタニウム原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、より好ましくはジルコニウム原子またはハフニウム原子である。より長鎖分岐量の少ない共重合体(A)を得たい場合は、ジルコニウム原子がより好ましい。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、好ましくは、Qは、ハロゲン原子、炭素数が1〜10の炭化水素基、炭素数が10以下の中性、共役または非共役ジエン、アニオン配位子、および孤立電子対で配位可能な中性配位子から選ばれる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
炭素数1〜10の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1、1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、ネオペンチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、ベンジル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、ベンジル基である。
炭素数が10以下の中性、共役または非共役ジエンの具体例としては、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−2,4−ヘキサジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、t−ブトキシ、フェノキシ等のアルコキシ基、アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基、メシレート、トシレート等のスルホネート基等が挙げられる。
孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、またはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。
上記共重合体(A)は、さらに好ましくは、下記一般式[A3]で表される化合物の存在下に、モノマーを共重合して得られたものであることが望ましい。下記一般式[A3]で表される化合物は、上記一般式[A2]で表される化合物の好ましい態様である。
Figure 2017165926
式[A3]中、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、R1〜R4のうち隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
炭化水素基としては、炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール(aryl)基あるいは置換アリール(aryl)基などが挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル(allyl)基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、イソプロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンジル基、クミル基を挙げることができ、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基などの酸素含有基、ニトロ基、シアノ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基などの窒素含有基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基、スルホニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基を含むものも炭化水素基として挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などを挙げることができる。
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基などを挙げることができる。例えば、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などを挙げることができる。
6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよい。ただし、R6、R7、R10およびR11が全て水素原子であることはない。
13およびR14はそれぞれ独立にアリール基を示す。
1はジルコニウム原子またはハフニウム原子を示す。ジルコニウム原子およびハフニウム原子は、いずれも上記式[A3]のメタロセン化合物のM1として好適であるが、ジルコニウム原子を有する化合物が、長鎖分岐量の少ない共重合体(A)を生成させる観点からより好ましい。
1は炭素原子またはケイ素原子を示す。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数4〜20の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式[A3]において、Qとしては、上記式[A1]および[A2]におけるQと同様のものが挙げられる。
すなわち、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
炭化水素基としては、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1、1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、ネオペンチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、ベンジル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、ベンジル基である。
炭素原子数4〜20の中性の共役もしくは非共役ジエンとしては、炭素数4〜10の中性の共役もしくは非共役ジエンが好ましい。中性の共役もしくは非共役ジエンの具体例としては、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−2,4−ヘキサジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、t−ブトキシ、フェノキシ等のアルコキシ基、アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基、メシレート、トシレート等のスルホネート基などが挙げられる。
孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、またはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。
上記式[A3]における置換基R1からR4を有するシクロペンタジエニル基としては、R1からR4が水素原子である無置換シクロペンタジエニル基、3−t−ブチルシクロペンタジエニル基、3−メチルシクロペンタジエニル基、3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル基、3−フェニルシクロペンタジエニル基、3−アダマンチルシクロペンタジエニル基、3−アミルシクロペンタジエニル基、3−シクロヘキシルシクロペンタジエニル基などの3位1置換シクロペンタジエニル基、3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル基、3−t−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル基、3−フェニル−5−メチルシクロペンタジエニル基、3,5−ジ−t−ブチルシクロペンタジエニル基、3,5−ジメチルシクロペンタジエニル基、3−フェニル−5−メチルシクロペンタジエニル基、3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル基などの3,5位2置換シクロペンタジエニル基などを挙げることができるがこの限りではない。メタロセン化合物の合成のし易さ、製造コスト及び非共役ポリエンの共重合能の観点から、無置換(R1〜R4が水素原子)であるシクロペンタジエニル基が好ましい。
式[A3]における置換基R5からR12を有するフルオレニル基としては、
5からR12が水素原子である無置換フルオレニル基、
2−メチルフルオレニル基、2−t−ブチルフルオレニル基、2−フェニルフルオレニル基などの2位1置換フルオレニル基、
4−メチルフルオレニル基、4−t−ブチルフルオレニル基、4−フェニルフルオレニル基などの4位1置換フルオレニル基、
あるいは2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル基、3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル基などの2,7位もしくは3,6位2置換フルオレニル基、
2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル基、2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル基などの2,3,6,7位4置換フルオレニル基、
あるいは下記一般式[V−I]、[V−II]で表されるようなR6とR7が互いに結合し環を形成し、R10とR11が互いに結合し環を形成している2,3,6,7位4置換フルオレニル基などが挙げられるが、この限りではない。
Figure 2017165926
Figure 2017165926
式[V−I]、[V−II]中、R5、R8、R9、R12は前記一般式[A3]における定義と同様であり、
a、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、RgおよびRhは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、隣接した置換基と互いに結合して環を形成していてもよい。前記アルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、n−ペンチル基を例示できる。また、式[V−I]中、RxおよびRyはそれぞれ独立に炭素数1〜3の不飽和結合を有してもよい炭化水素基であり、RxがRaまたはRcが結合した炭素と共同して二重結合を形成していてもよく、RyがReまたはRgが結合した炭素と共同して二重結合を形成していてもよく、RxおよびRyがともに炭素数1または2の飽和あるいは不飽和の炭化水素基であることが好ましい。
上記一般式[V−I]または[V−II]で表される化合物として、具体的には、式[V−III]で表されるオクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基、式[V−IV]で表されるテトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル基、式[V−V]で表されるオクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル基、式[V−VI]で表されるヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル基、式[V−VII]で表されるb,h−ジベンゾフルオレニル基が挙げられる。
Figure 2017165926
Figure 2017165926
Figure 2017165926
Figure 2017165926
Figure 2017165926
これらのフルオレニル基を含む上記一般式[A3]で表されるメタロセン化合物はいずれも非共役ポリエンの共重合能に優れるが、Y1がケイ素原子である場合、2,7位2置換フルオレニル基、3,6位2置換フルオレニル基、2,3,6,7位4置換フルオレニル基、上記一般式[V−I]に表される2,3,6,7位4置換フルオレニル基を有する遷移金属化合物が特に優れる。Yが炭素原子である場合、R5からR12が水素原子である無置換フルオレニル基、3,6位2置換フルオレニル基、2,3,6,7位4置換フルオレニル基、上記一般式[V−I]に表される2,3,6,7位4置換フルオレニル基を有するメタロセン化合物が特に優れる。
なお、本発明では、上記一般式[A3]で表されるメタロセン化合物においては、Y1がケイ素原子で、R5からR12までが全て水素原子である場合は、R13とR14はメチル基、ブチル基、フェニル基、ケイ素置換フェニル基、シクロヘキシル基、ベンジル基以外の基から選ばれ;
1がケイ素原子で、R6とR11とが共にt−ブチル基であり、R5、R7、R8、R9、R10、R12がt−ブチル基でない場合は、R13とR14はベンジル基、ケイ素置換フェニル基以外の基から選ばれ;
1が炭素原子で、R5からR12が全て水素原子である場合は、R13、R14はメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、イソブチル基、フェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−n−ブチルフェニル基、ケイ素置換フェニル基、4−ビフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、キシリル基以外の基から選ばれ;
1が炭素原子で、R6およびR11がt―ブチル基、メチル基あるいはフェニル基から選ばれる共通の基であり、R5、R7、R8、R9、R10およびR12と異なる基または原子である場合は、R13、R14はメチル基、フェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−n−ブチルフェニル基、ケイ素置換フェニル基、ベンジル基以外の基から選ばれ;
1が炭素原子で、R6がジメチルアミノ基、メトキシ基またはメチル基であり、R5、R7、R8、R9、R10、R11およびR12が、R6と異なる基または原子である場合は、R13、R14はメチル基、フェニル基以外の基から選ばれ;
1が炭素原子で、フルオレニル基及びR5〜R12で構成される部位が、b,h−ジベンゾフルオレニルあるいはa,i−ジベンゾフルオレニルである場合は、R13、R14はメチル基、フェニル基以外の基から選ばれることが好ましい。
以下に、上記一般式[A3]で表されるメタロセン化合物の具体例を示すが、特にこれにより本発明の範囲が限定されるものでもない。
上記一般式[A3]で表されるメタロセン化合物の具体例としては、
Yがケイ素原子の場合では、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド
等が挙げられる。
Yが炭素原子の場合では、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド
等が挙げられる。
これらのメタロセン化合物の構造式の一例として、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(下記(A))、および、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(下記(B))の構造式を以下に示す。
Figure 2017165926
式[A3]で表されるメタロセン化合物としては、上記例示の化合物のほか、上記例示の化合物のジルコニウム原子をハフニウム原子に置き換えた化合物、あるいは上記化合物のシクロペンタジエニル基を3−メチルシクロペンタジエニル基、3−フェニルシクロペンタジエニル基、3−t−ブチルシクロペンタジエニル基、3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル基、3−t−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル基、3,5−ジメチルシクロペンタジエニル基に置き換えた化合物、あるいは上記化合物の塩素原子をメチル基、ベンジル基に置き換えた化合物、あるいはこれらの組み合わせ等が挙げられるがこれらに限定されるものでもない。
上記の化合物は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせてもよい。
上記式[A1]、[A2]または[A3]で表される遷移金属化合物を用いて共重合体(A)を製造する場合、中心金属がチタニウム原子あるいはジルコニウム原子である場合に比べ、ハフニウム原子の方が共重合体(A)の分子量は高いものとなる傾向が見られる。これは、(1)ジルコニウム原子やチタニウム原子と比べて、ハフニウム原子のルイス酸性度が小さく、反応性が低い、(2)ジルコニウム原子やチタニウム原子と比べて、ハフニウム原子−炭素原子間の結合エネルギーが大きいことが、分子量決定因子の一つである生成ポリマー鎖と結合している重合活性種の(β−水素脱離反応を含めた)連鎖移動反応を抑制していることに起因していると考えられる。
上記共重合体(A)の調製に好適に用いることのできる、上記式[A1]、[A2]または[A3]で表されるメタロセン化合物は、特に限定されることなく任意の方法で製造することができる。例えば、J.Organomet.Chem.,63,509(1996)、本出願人による出願に係る公報であるWO2005/100410公報、WO2006123759号公報、WO01/27124号公報、特開2004−168744号公報、特開2004−175759号公報、特開2000−212194号公報などに記載の方法等に準拠して製造することができる。
≪メタロセン化合物を含む触媒≫
上記共重合体(A)の製造に好適に用いることのできる重合触媒としては、前述の[A1]、[A2]または[A3]のいずれかのメタロセン化合物を含み、モノマーを共重合できるものが挙げられる。
好ましくは、
(a)前記一般式[A1]、[A2]または[A3]で表されるメタロセン化合物と、
(b)(b−1)有機金属化合物、(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(b−3)該メタロセン化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下「イオン化イオン性化合物」ともいう。)と、
さらに必要に応じて、
(c)粒子状担体と
から構成される触媒(以下「メタロセン触媒」ともいう。)が挙げられる。以下、成分(b)および(C)について具体的に説明する。
(b−1)有機金属化合物
上記有機金属化合物(b−1)としては、例えば、下記一般式[VII]〜[IX]で表わされる、周期律表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が挙げられる。
・Ra mAl(ORbnpq …[VII]
式[VII]中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。
このような有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウム、イソブチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
・M2AlRa 4 …[VIII]
式[VIII]中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基である。
このような周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物としては、例えば、LiAl(C254、LiAl(C7154などが挙げられる。
・Rab3 …[IX]
式[IX]中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである。
このような周期律表第2族または第12族金属と2つの炭化水素基を有する化合物としては、例えば、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛、ジメチルガドミウムおよびジエチルカドミウムなどが挙げられる。
上記の有機金属化合物(b−1)の中では、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物が好ましい。また、このような有機金属化合物(b−1)は、1種単独で用いてもよいし2種以上を組み合せて用いてもよい。
(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物
上記有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、例えば下記(1)〜(3)のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお、上記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また、回収された上記アルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、上記式[VII]で表わされる有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができ、中でも、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
また、上記有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)の一態様であるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算でベンゼン100重量%に対して通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。
上記有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)としては、下記一般式[X]で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
Figure 2017165926
式[X]中、R1は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、R2〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。
前記一般式[X]で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式[XI]で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
1−B(OH)2 …[XI]
式[XI]中、R1は前記一般式[X]におけるR1と同じ基を示す。
前記一般式[XI]で表されるアルキルボロン酸としては、例えば、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物としては、上記式[VII]で表わされる有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができ、中でも、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
上記のような有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
(b−3)イオン化イオン性化合物
上記イオン化イオン性化合物(b−3)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。このようなイオン化イオン性化合物(b−3)は、1種単独でまたは2種以上を組み合せて用いることできる。
上記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
上記イオン性化合物としては、たとえば下記一般式[XII]で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017165926
式[XII]中、R1+としては、H+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。R2〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
前記カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;
N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;
ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
1+としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
また、上記イオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
前記トリアルキル置換アンモニウム塩としては、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(N、N−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3、5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
前記N,N−ジアルキルアニリニウム塩としては、たとえばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
前記ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえば、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
さらに、上記イオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式[XIII]または[XIV]で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。ここで、式中、Etはエチル基を示す。
Figure 2017165926
Figure 2017165926
上記ボラン化合物としては、たとえば
デカボラン;
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
上記カルボラン化合物としては、たとえば、4−カルバノナボラン、1,3−ジカルバノナボラン、6,9−ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン、2,7−ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1-カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−7−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−2,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル―7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
上記ヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子からなっている。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ゲルマノタングストバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩、例えば周期表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が使用できるが、この限りではない。
上記イオン化イオン性化合物(b−3)の中では、上述のイオン性化合物が好ましく、その中でもトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートがより好ましい。
本発明において、触媒として、上記メタロセン化合物(a)と、トリイソブチルアルミニウムなどの有機金属化合物(b−1)、メチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)、およびトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのイオン化イオン性化合物(b−3)とを含むメタロセン触媒を用いると、上記共重合体(A)の製造に際して非常に高い重合活性を示すことができる。
(c)担体
本発明で、必要に応じて用いられる(c)担体は、無機化合物または有機化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
上記無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
前記多孔質酸化物としては、SiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO2および/またはAl23を主成分とするものが好ましい。このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような多孔質酸化物は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
前記無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
前記粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、前記イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HPO42、γ−Ti(NH4PO42・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜30000Åの範囲について測定される。
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+、[Fe3O(OCOCH36+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)を加水分解して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物を共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
上記有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
本発明に使用されるメタロセン触媒は、メタロセン化合物(a)と、(b−1)有機金属化合物、(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(b−3)イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(b)と、必要に応じて用いられる担体(c)と共に、必要に応じて後述するような特定の有機化合物成分(d)を含むこともできる。
(d)有機化合物成分
本発明において、有機化合物成分(d)は、必要に応じて重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
≪共重合体(A)の製造方法≫
上記共重合体(A)は、エチレン(a1)と、炭素原子数3〜20のα−オレフィン(a2)と、非共役ポリエン(a3)と、必要に応じて非共役ポリエン(a4)とからなるモノマーを共重合して製造することができる。
このようなモノマーを共重合させる際、前述した重合触媒を構成する各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、下記(1)〜(5)のような方法が例示される。
(1)メタロセン化合物(a)を単独で重合器に添加する方法。
(2)メタロセン化合物(a)および化合物(b)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)メタロセン化合物(a)を担体(c)に担持した触媒成分、化合物(b)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)化合物(b)を担体(c)に担持した触媒成分、メタロセン化合物(a)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)メタロセン化合物(a)と化合物(b)とを担体(c)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記(2)〜(5)の各方法においては、化合物(A)、化合物(B)、担体(C)の少なくとも2つは予め接触されていてもよい。
化合物(b)が担持されている上記(4)、(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない化合物(b)を、任意の順序で添加してもよい。この場合化合物(b)は、担体(c)に担持されている化合物(b)と同一でも異なっていてもよい。
また、上記の担体(c)にメタロセン化合物(a)が担持された固体触媒成分、担体(c)にメタロセン化合物(a)および化合物(b)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
上記共重合体(A)は、上記のようなメタロセン触媒の存在下に、モノマーを共重合することにより好適に得ることができる。
上記のようなメタロセン触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、メタロセン化合物(a)は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-8モルになるような量で用いられる。
化合物(b−1)は、化合物(b−1)と、メタロセン化合物(a)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−1)/M〕が、通常0.01〜50000、好ましくは0.05〜10000となるような量で用いられる。化合物(b−2)は、化合物(b−2)中のアルミニウム原子と、メタロセン化合物(a)中の全遷移金属(M)とのモル比〔(b−2)/M〕が、通常10〜50000、好ましくは20〜10000となるような量で用いられる。化合物(b−3)は、化合物(b−3)と、メタロセン化合物(a)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−3)/M〕が、通常1〜20、好ましくは1〜15となるような量で用いられる。
本発明において、共重合体(A)を製造する方法は、溶液(溶解)重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施可能であり、特に限定されないが、下記重合反応液を得る工程を有することが好ましい。
重合反応液を得る工程とは、脂肪族炭化水素を重合溶媒として用い、上記メタロセン触媒、好ましくは、前記一般式[A3]におけるY1に結合しているR13、R14がフェニル基、あるいは、アルキル基またはハロゲン基により置換されたフェニル基であり、R7、R10がアルキル置換基を有する遷移金属化合物を含むメタロセン触媒の存在下に、エチレン(a1)と、炭素原子数3〜20のα−オレフィン(a2)と、非共役ポリエン(a3)および必要に応じて非共役ポリエン(a4)とからなるモノマーを共重合し、共重合体(A)の重合反応液を得る工程である。
なお、重合溶媒に対する共重合体(A)の濃度が上記範囲を超える場合、重合溶液の粘度が高すぎるため、溶液が均一に攪拌せず、重合反応が困難な場合がある。
重合溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などが挙げられる。具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられ、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。なお、これらのうち、得られる共重合体(A)との分離、精製の観点から、ヘキサンが好ましい。
また、重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜+200℃の範囲、より好ましくは、+80〜+200℃の範囲であり、用いるメタロセン触媒系の到達分子量、重合活性によるが、より高温(+80℃以上)であることが触媒活性、共重合性および生産性の観点から望ましい。
重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。本発明ではこのうち、モノマーを連続して反応器に供給して共重合を行う方法を採用することが好ましい。
反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは5分間〜3時間である。
得られる共重合体(A)の分子量は、重合系内に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによっても調節することができる。さらに、使用する化合物(b)の量により調節することもできる。具体的には、トリイソブチルアルミニウム、メチルアルミノキサン、ジエチル亜鉛等が挙げられる。水素を添加する場合、その量はオレフィン1kgあたり0.001〜100NL程度が適当である。
また、エチレン(a1)と上記α−オレフィン(a2)との仕込みのモル比((a1)/(a2))は、好ましくは40/60〜99.9/0.1、より好ましくは50/50〜90/10、さらに好ましくは55/45〜85/15、最も好ましくは55/45〜78/22である。
非共役ポリエン(a3)の仕込み量は、エチレン(a1)と、α−オレフィン(a2)と、非共役ポリエン(a3)との合計(全モノマー仕込み量)100重量%に対して、通常0.07〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜8.0重量%、より好ましくは0.5重量%〜5.0重量%である。
<有機過酸化物(B)>
本発明のゴム組成物が、架橋剤として有機過酸化物(B)を含有する場合、有機過酸化物(B)としては、ゴムの架橋の際に通常使用されている従来公知の有機過酸化物を使用することができる。
具体的には、
ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、t-ブチルヒドロペルオキシド等のアルキルペルオキシド類;
t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシイソブチレート、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシマレイン酸、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t-ブチルペルオキシフタレート等のペルオキシエステル類;
ジシクロヘキサノンペルオキシド等のケトンペルオキシド類
などが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中では、1分半減期温度が130〜200℃である有機過酸化物が好ましく、たとえばジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシドおよびt-ブチルヒドロペルオキシドなどが好ましい。
有機過酸化物(B)は、充分な架橋により目的とする物性を得るとともに、過剰の分解生成物による悪影響の防止およびコストの点から、本発明の組成物中において、上記共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは2〜8重量部の範囲で用いられる。
<α,β−不飽和有機酸の金属塩(C)>
本発明のゴム組成物が、α,β−不飽和有機酸の金属塩(C)を含有すると、ゴム組成物の耐動的疲労性と耐摩耗性とをバランスよく向上させることができる。
α,β−不飽和有機酸の金属塩(C)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、エタクリル酸、ビニル−アクリル酸、イタコン酸、メチルイタコン酸、アコニチン酸、メチルアコニチン酸、クロトン酸、アルファ−メチルクロトン酸、桂皮酸および2、4−ジヒドロキシ桂皮酸のような酸の金属塩である。これらの塩は亜鉛、カドミウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムまたはアルミニウム塩であることができるが、特には亜鉛塩であることが好ましい。好ましいα,β−不飽和有機酸の金属塩(C)としては、ジアクリル酸亜鉛およびジメタクリル酸亜鉛であり、特に好ましくはジメタクリル酸亜鉛である。α,β−不飽和有機酸の金属塩(C)は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
α,β−不飽和有機酸の金属塩(C)は、上記共重合体ゴム(A)100重量部に対して、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは5〜25重量部、特に好ましくは7〜20重量部の範囲で用いられる。
<カーボンブラック(D)>
本発明のゴム組成物が、特定量のカーボンブラック(D)を含有することにより、ゴム組成物の加工性を向上させ、しかも引張強度、引裂強度、耐摩耗性などの機械的性質が向上した伝動ベルト用ゴム組成物を得ることができる。
カーボンブラック(D)としては、例えば、旭#55G、旭#60G(以上、旭カーボン(株)製)、シースト(SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等)(以上、東海カーボン(株)製)などの公知のものを使用することができる。これらは、単独で使用することもできるし、併用することもできる。また、シランカップリング剤などで表面処理したものを使用することもできる。
カーボンブラック(D)は、上記共重合体ゴム(A)100重量部に対して、好ましくは10〜100重量部、より好ましくは10〜90重量部、特に好ましくは20〜90重量部の範囲で用いられる。カーボンブラック(D)の配合量が前記範囲内にあれば、動倍率(動的弾性率/静的弾性率)、加工性、機械的性質等に優れたゴム組成物を得ることができる。
<軟化剤(E)>
軟化剤(E)としては、従来ゴムに用いられる軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ(ファクチス);蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸及び脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質などが挙げられる。なかでも石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルがより好ましく、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル等がさらに好ましく、パラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。これらの軟化剤は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
軟化剤(E)は上記共重合体ゴム(A)100重量部に対して、好ましくは20〜150重量部、より好ましくは20〜80重量部、特に好ましくは20〜70重量部の範囲で用いられる。軟化剤(E)の配合量が前記範囲内にあれば、タックが少なく、加工性、耐熱老化性、機械的性質等に優れたゴム組成物を得ることができる。
<その他の成分>
本発明の伝動ベルト用ゴム組成物は、上述した成分(A)〜(E)以外にも、本発明の目的が損なわれない限り、それ自体公知のゴム配合剤、例えば、老化防止剤、架橋助剤、架橋促進剤、充填剤、加工助剤、活性剤、酸化防止剤、発泡剤、可塑剤、粘着付与剤等を適宜配合することができる。
≪老化防止剤≫
老化防止剤を用いる場合、イオウ系老化防止剤、フェノール系老化防止剤及びアミン系老化防止剤から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
イオウ系老化防止剤としては、通常ゴムに使用されるイオウ系老化防止剤が用いられる。具体的には、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルイミダゾールの亜鉛塩等のイミダゾール系老化防止剤;ジミリスチルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル−チオプロピオネート)等の脂肪族チオエーテル系老化防止剤などを挙げることができる。これらの中でも、特に2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル−チオプロピオネート)が好ましい。
フェノール系老化防止剤としては、通常ゴムに使用されるフェノール系老化防止剤が用いられる。具体的には、スチレン化フェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、1−ヒドロキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、モノ−t−ブチル−p−クレゾール、モノ−t−ブチル−m−クレゾール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、ブチル化ビスフェノールA、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ノニルフェノール)、2,2'−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−チオ−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオ−ビス(2−メチル−6−ブチルフェノール)、4,4'−チオ−ビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンゼン)スルフィド、2,2'−チオ[ジエチル−ビス3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)酪酸]グリコールエステル、ビス[2−(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−t−ブチルベンゼン)−4−メチル−6−t−ブチルフェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、N,N'−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナムアミド)、n−オクタデシル 3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、モノ(α−メチルベンゼン)フェノール、ジ(α−メチルベンジル)フェノール、トリ(α−メチルベンジル)フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸のジエチルエステル、カテコール、ハイドロキノンなどが挙げられる。特に好ましいフェノール系老化防止剤の例としては、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−チオ−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオ−ビス(2−メチル−6−ブチルフェノール)、4,4'−チオ−ビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどを挙げることができる。
アミン系老化防止剤としては、通常ゴムに使用されるアミン系老化防止剤が用いられる。具体的には、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体等のアミン−ケトン系老化防止剤;フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4'−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、ジオクチル化ジフェニルアミン(例えば、4,4'−ジオクチルジフェニルアミン)、ジフェニルアミンとアセトンとの高温反応生成物、ジフェニルアミンとアセトンとの低温反応生成物、ジフェニルアミンとアニリンとアセトンとの低温反応生成物、ジフェニルアミンとジイソブチレンとの反応生成物等のジフェニルアミン系老化防止剤;N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、n−イソプロピル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N,N'−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N'−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N'−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、フェニルヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニルオクチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系老化防止剤などが挙げられる。この中でも、特に2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、4,4'−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンが好ましい。
本発明において、イオウ系老化防止剤、フェノール系老化防止剤及びアミン系老化防止剤は、単独で用いてもよいが、高温下で、長時間の耐熱老化性を維持する点で、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
本発明において、イオウ系老化防止剤は、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは0.2〜8重量部、特に好ましくは0.2〜6重量部の範囲で用いることができる。前記範囲でイオウ系老化防止剤を用いると、耐熱老化性の向上効果が大きく、しかも、本発明のゴム組成物の架橋を阻害することもないため好ましい。
フェノール系老化防止剤は、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.5〜4重量部、特に好ましくは0.5〜3重量部の範囲で用いることができる。前記範囲でフェノール系老化防止剤を用いると、耐熱老化性の向上効果が大きく、しかも、本発明のゴム組成物の架橋を阻害することもないため好ましい。
アミン系老化防止剤は、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜4重量部、特に好ましくは0.2〜3重量部の範囲で用いられる。前記範囲でアミン系老化防止剤を用いると、耐熱老化性の向上効果が大きく、しかも、本発明のゴム組成物の架橋を阻害することもないため好ましい。
≪架橋助剤≫
架橋助剤としては、具体的には、イオウ;p- キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような架橋助剤は、使用する有機過酸化物(B)1モルに対して0.5〜2モル、好ましくは約等モルの量で用いられる。
≪充填剤≫
充填剤としては、例えば、シリカ、微粉ケイ酸、活性化炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。これらの充填剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような充填剤は、共重合体ゴム(A)100重量部に対し、通常1〜500重量部、好ましくは1〜400重量部、さらに好ましくは1〜300重量部の範囲で用いられる。充填剤の配合量が前記範囲内であると、伝動ベルトの引張強度、引裂強度、耐摩耗性等の機械的性質を向上させることができる。
≪加工助剤≫
加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛またはエステル類等が挙げられる。これらの加工助剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。加工助剤は、共重合体ゴム(A)100重量部に対して、通常30重量部以下、好ましくは25重量部以下、さらに好ましくは20重量部以下の量で適宜配合することができる。加工助剤の配合量が前記範囲内であると、混練加工性、押出加工性、射出成形性等の加工性に優れる。
≪活性剤≫
活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;ジ−n−ブチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類;酸化亜鉛などが挙げられる。これらの活性剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。活性剤は、共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.2〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜8重量部の範囲で適宜配合することができる。
<伝動ベルト用ゴム組成物の調製>
本発明の伝動ベルト用ゴム組成物は、上述した各成分を、公知の方法により逐次または同時に配合することにより調製することができる。
本発明の伝動ベルト用ゴム組成物から架橋物を製造するには、公知のゴム組成物を架橋するときと同様に、未架橋のゴム組成物を一度調製し、次いで、このゴム組成物を意図する形状に成形した後に架橋を行えばよい。ゴム組成物の調製、成形、架橋は、それぞれ別個に行ってもよく、連続的に行ってもよい。
本発明の架橋可能なゴム組成物は、たとえば、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類により、上記(A)成分ならびに必要に応じて上記の(C)成分、(D)成分およびその他の成分を、80〜190℃、好ましくは80〜170℃の温度で、2〜20分間、好ましくは3〜10分間混練した後、必要に応じて上記の(B)成分、(C)成分およびその他の成分を追加混合し、オープンロールのようなロール類またはニーダーを用いて、ロール温度40〜80℃で3〜30分間混練した後、混練物を押出し/分出しすることにより調製することができる。また、インターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、加硫促進剤などを同時に混練してもよい。
[伝動ベルトおよびその製造方法]
本発明の伝動ベルトは、本発明の伝動ベルト用ゴム組成物の架橋体からなる。また、本発明の伝動ベルトの製造方法は、本発明の伝動ベルト用ゴム組成物を架橋する工程を含む。
上記架橋は、本発明の未架橋のゴム組成物を、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機などを用いる種々の成形法により、意図する形状に成形し、成形と同時にまたは成形物を架橋槽内に導入し、100〜270℃の温度で1〜40分間加熱するか、あるいは、光、γ線、電子線などの放射線を照射することにより行うことができる。また、常温で架橋することもできる。
このような架橋の段階は金型を用いてもよいし、また金型を用いないで架橋を実施してもよい。金型を用いない場合は成形、架橋の工程は通常連続的に実施される。架橋槽における加熱方法としては、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチーム、LCM(熱溶融塩槽)等の加熱槽を用いる方法などが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における各物性の評価方法は次の通りである。
<エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の組成>
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の、各構成単位の重量分率(重量%)は、13C−NMRによる測定値により求めた。測定値は、ECX400P型核磁気共鳴装置(日本電子製)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=4/1、積算回数:8000回にて、共重合体の13C−NMRのスペクトルを測定して得た。
<極限粘度>
極限粘度[η]は、(株)離合社製 全自動極限粘度計を用いて、温度:135℃、測定溶媒:デカリンにて測定した。
<重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数値である。測定装置および条件は、以下のとおりである。また、分子量は、市販の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成し、換算法に基づいて算出した。
装置:ゲル透過クロマトグラフ Alliance GP2000型(Waters社製)、
解析装置:Empower2(Waters社製)、
カラム:TSKgel GMH6−HT×2+TSKgel GMH6−HTL×2(7.5mmI.D.×30cm、東ソー社製)、
カラム温度:140℃、
移動相:o−ジクロロベンゼン(0.025%BHT含有)、
検出器:示差屈折計(RI)、流速:1.0mL/min、
注入量:400μL、
サンプリング時間間隔:1s、
カラム較正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)、
分子量換算:旧法EPR換算/粘度を考慮した較正法。
<複素粘度η*
レオメーターとして、粘弾性測定装置Ares(Rheometric Scientific社製)を用い、190℃、歪み1.0%の条件で、周波数ω=0.01rad/sでの複素粘度η* (ω=0.01)、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η* (ω=10)および周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(いずれも単位はPa・sec)を測定した。また、得られた結果よりη* (ω=0.1)とη* (ω=100)との複素粘度の比(η*比)であるP値(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))を算出した。
<1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000c)>
上述した方法で測定した。
<未加硫ゴム物性の評価>
(1)ムーニー粘度(ML(1+4)100℃)
100℃におけるムーニー粘度(ML(1+4)100℃)は、JIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計((株)島津製作所製SMV202型)を用いて、100℃の条件下で測定した。
(2)加硫誘導時間
実施例および比較例における未架橋のゴム配合物を用いて、加硫測定装置:MDR2000(ALPHA TECHNOLOGIES 社製)により、温度160℃および時間30分の測定条件下で、誘導時間(TS1)を以下のとおり測定した。
一定温度および一定のせん断速度の条件下で得られるトルク変化を測定した。最小トルク値からトルク1point(1dNm)上がるまでの時間を加硫誘導時間(TS1;分)とした。
(3)加硫速度
実施例および比較例における未架橋のゴム組成物を用いて、測定装置:MDR2000(ALPHA TECHNOLOGIES 社製)により、温度160℃および時間30分の測定条件下で、加硫速度(TC90)を以下のとおり測定した。
一定温度および一定のせん断速度の条件下で得られるトルク変化を測定した。トルクの最大値と最小値との差の90%のトルクに達成するまでの時間を加硫速度(TC90;分)とした。
<加硫ゴム物性>
(1)硬さ試験(デュロ−A硬度)
JIS K 6253に従い、シートの硬度(タイプAデュロメータ、HA)の測定は、平滑な表面をもっている2mmの加硫ゴムシート6枚を用いて、平らな部分を積み重ねて厚み約12mmとして行った。ただし、試験片に異物の混入したもの、気泡のあるもの、およびキズのあるものは用いなかった。また、試験片の測定面の寸法は、押針先端が試験片の端から12mm以上離れた位置で測定できる大きさとした。
(2)引張試験
実施例および比較例で得た加硫ゴムシートを打抜いてJIS K 6251(2001年)に記載されている3号形ダンベル試験片を調製した。この試験片を用いて同JIS K 6251に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、25%モジュラス(M25)、50%モジュラス(M50)、100%モジュラス(M100)、200%モジュラス(M200)、300%モジュラス(M300)、引張破断点応力(TB)および引張破断点伸び(EB)を測定した。
<プローブタック試験>
プローブタック試験は、レスカ社製タッキング試験機(TAC−II)を用いて行った。直径5mmφのステンレス製円柱状プローブを試験体に接触させ、剥離するときに生じるタック(gf)を評価した。プローブの試験体への接触速度を120mm/分、加圧力を200gf、加圧時間を20秒、剥離速度を120mm/分、温度を50℃または80℃とした。
<耐熱老化性試験>
JIS K 6257に従って、耐熱老化性試験を行った。すなわち、加硫ゴムシートを175℃のオーブン中に168時間入れて加熱処理した後、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、加硫ゴムシートの破断時の伸び(EB)と強度(TB)を測定し、引張強さ残留率AR(TB)と、伸び残留率AR(EB)を算出した。また、加熱処理後のシートの硬度(HA)を、加硫ゴム物性における硬さ試験(デュロ−A硬度)と同様にして測定し、硬さの変化率(AH)を下記式に基づいて算出した。
H=H1−H0
上記式において、H0は加熱処理前のシートの硬度(HA)を示し、H1は加熱処理後のシートの硬度(HA)を示す。
<屈曲試験>
JIS K6260に従い、屈曲試験を行った。縦120mm、横25mm、厚み7mmの傷なし短冊型試験片を、チャック間距離75mmのデマッチャ屈曲疲労試験機にセットし、室温において5Hzのサイクルにてチャック間距離75mmから18mmの移動で屈曲変形を与え、切断するまでの回数を求めた(n=3)。
<DIN摩擦試験(DIN摩耗量)>
加硫成形体を用いて、JIS−K6264−2:2005に準拠して、直径16.0±0.2mm、厚さ6mm以上の円盤状の試験片を作製し、該試験片について、DIN摩耗試験機を用いて、直径150.0±0.2mm、長さ500mmのドラムを40回/分で回転させ、荷重1kgfで、摩耗距離を40.0±0.2mとしたときの摩耗量(DIN摩耗量:単位mg)を測定した。
<摩耗試験>
JIS K6264に従って、テーバー摩耗試験を行った。すなわち、ロータリーアブレージョンテスタ(東洋精機製作所製 型式TS)を用いて、摩耗輪H−18、荷重1000g、回転数60rpmの条件で、1000回後の摩耗量を求めた。
<架橋密度>
架橋密度νは下記の平衡膨潤を利用したFlory-Rehnerの式(a)から算出した。式(a)中のVRは架橋した2mmシートを37℃×72hの条件でトルエン抽出して求めた。
Figure 2017165926
[エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体]
<製造例1>エチレン・プロピレン・VNB共重合体(A−1)の製造
容積1LのSUS製連続重合器の供給口より、脱水精製したヘキサンを1.5L/h、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(5mmol/L)を0.1L/h(0.5mmol/h)、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのヘキサン溶液(0.01mmol/L)を0.03L/h(0.0003mmol/h)、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.025mmol/L)を0.06L/h(0.0015mmol/h)で連続的に供給した。同時に連続重合器の別の供給口より、エチレンを53g/h、プロピレンを74g/h、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)を5.9g/h、水素を0.3NL/hで連続供給し、重合器内を液相で満たし、重合温度87℃、全圧3.6MPaG、滞留時間30minの条件下で連続溶液重合を行った。
重合器で生成したエチレン/プロピレン/VNB共重合体を含む重合溶液は、重合器底部に設けられた排出口を介して連続的に排出させ、重合溶液温度を保持するようジャケット部が10kg/cm2スチームで加熱された連結パイプに導き、連結パイプに至る直前に触媒失活剤であるメタノールが注入される供給口が付設され、約0.15L/hの速度で注入し該重合溶液に合流させた。
スチームで加熱された連結パイプ内の重合溶液は3.6MPaGを維持するように、連結パイプ終端部に設けられた圧力制御バルブの開度の調整によって連続的にフラッシュ槽に送液された。なお、重合器内の圧力は常時3.6MPaGとなるように圧力調整バルブにて行った。その結果、得られたエチレン・プロピレン・VNB共重合体(A−1)は、エチレンから導かれる構成単位の重量分率が63重量%、VNBから導かれる構成単位の重量分率が1.2重量%、極限粘度[η]:2.7dl/gであった。物性を表1に示す。
<エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体(A−2)、(A−3)および(A’−1)〜(A’−3)>
後述する実施例および比較例で用いたエチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体(A−2)、(A−3)および(A’−1)〜(A’−3)の物性を下記表1に示す。
Figure 2017165926
[実施例1]
第一段階として、BB−4型バンバリーミキサー(神戸製鋼所製)を用いて、製造例1で得たエチレン・プロピレン・VNB共重合体(A−1)100重量部を1分間素練りし、次いでこれに、活性剤として酸化亜鉛1種(JIS K1410)5重量部、成分(D)としてカーボンブラック(旭#60G、旭カーボン(株)社製)65重量部、成分(E)としてパラフィン系プロセスオイル(ダイアナプロセスPW−380、出光興産(株)製)35重量部、フェノール系老化防止剤(イルガノックス1010、BASF社製)2重量部およびイオウ系老化防止剤(サンダントMB、三新化学工業(株)製)4重量部を加え、140℃で2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間混練を行ない、約150℃で排出し、第一段階の配合物を得た。
次に、第二段階として、第一段階で得られた配合物を、6インチロ−ル(日本ロール(株)社製、前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、これに、成分(B)としてジクミルパーオキシド(DCP-40C、化薬アクゾ社製)6.8重量部および架橋助剤としてトリアリルシアヌレート(TAIC、日本化成(株)製)2重量部を加え10分間混練して未架橋のゴム配合物を得た。このゴム配合物を用いて、未加硫ゴム物性を評価した。
この混練物をシート状に分出し、100トンプレス成形機を用いて170℃で20分間プレスし、厚み2mmの加硫ゴムシートを調製した。これを用いて、加硫ゴム物性の評価、耐熱老化性試験、摩耗試験および架橋密度の測定を行った。屈曲試験については160℃で25分間プレスして得た、縦120mm、横25mm、厚み7mmのサンプルを用いた。結果を表2に示す。
[実施例2〜4および比較例1〜3]
実施例1において、第一段階および第二段階で配合する各配合物の種類および量を表2に示す通りとしたことのほかは、実施例1と同様にして、未架橋のゴム配合物、未架橋ゴムシート、および加硫ゴムシートを作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例5]
第一段階として、BB−4型バンバリーミキサー(神戸製鋼所製)を用いて、エチレン・プロピレン・VNB共重合体(A−3)100重量部を1分間素練りし、次いでこれに、活性剤として酸化亜鉛1種(JIS K1410)5重量部、成分(D)としてカーボンブラック(旭#60G、旭カーボン(株)社製)65重量部、成分(E)としてパラフィン系プロセスオイル(ダイアナプロセスPW−380、出光興産(株)製)25重量部、およびアミン系老化防止剤(ノクラック224、大内新興化学(株))1重量部を加え、140℃で2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間混練を行ない、約150℃で排出し、第一段階の配合物を得た。
次に、第二段階として、第一段階で得られた配合物を、6インチロ−ル(日本ロール(株)社製、前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、これに、成分(B)としてジクミルパーオキシド(DCP-40C、化薬アクゾ社製)6.8重量部および架橋助剤としてトリアリルシアヌレート(TAIC、日本化成(株)製)2重量部を加え10分間混練して未架橋のゴム配合物を得た。このゴム配合物を用いて、未加硫ゴム物性を評価した。
この混練物をシート状に分出し、100トンプレス成形機を用いて170℃で20分間プレスし、厚み2mmの加硫ゴムシートを調製した。これを用いて、加硫ゴム物性の評価、耐熱老化性試験、摩耗試験および架橋密度の測定を行った。屈曲試験については160℃で25分間プレスして得た、縦120mm、横25mm、厚み7mmのサンプルを用いた。結果を表3に示す。
[実施例6および比較例5〜6]
実施例5において、第一段階および第二段階で配合する各配合物の種類および量を表3に示す通りとしたことのほかは、実施例5と同様にして、未架橋のゴム配合物、未架橋ゴムシート、および加硫ゴムシートを作成し、評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例7〜12]
実施例5において、第一段階および第二段階で配合する各配合物の種類および量を表4に示す通りとしたことのほかは、実施例5と同様にして、未架橋のゴム配合物、未架橋ゴムシート、および加硫ゴムシートを作成し、評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2017165926
Figure 2017165926
Figure 2017165926
表2〜4中の1)〜8)は以下のとおりである。
1)酸化亜鉛1種(JIS K1410)
2)カーボンブラック(旭#60G、旭カーボン(株)社製)
3)パラフィン系プロセスオイル(ダイアナプロセスPW−380、出光興産(株)製)
4)フェノール系老化防止剤(イルガノックス1010、BASF社製)
5)イオウ系老化防止剤(サンダントMB、三新化学工業(株)製)
6)ジクミルパーオキシド(DCP-40C、化薬アクゾ社製)
7)トリアリルシアヌレート(TAIC、日本化成(株)製)
8)アミン系老化防止剤(ノクラック224、大内新興化学(株)製)

Claims (6)

  1. エチレン(a1)と、炭素原子数3〜20のα−オレフィン(a2)と、下記一般式(I)および(II)からなる群より選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(a3)とに由来する構成単位を有し、かつ、下記(i)〜(v)の要件を満たすエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100重量部と、
    軟化剤(E)20重量部以上150重量部以下とを含有することを特徴とする伝動ベルト用ゴム組成物。
    Figure 2017165926
    (i)エチレン(a1)/α−オレフィン(a2)のモル比が40/60〜99.9/0.1である。
    (ii)非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量%中、0.07重量%〜10重量%である。
    (iii)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率((a3)の重量分率(重量%))と、非共役ポリエン(a3)の分子量((a3)の分子量)とが、下記式(1)を満たす。
    4.5≦Mw×(a3)の重量分率/100/(a3)の分子量≦40 …(1)
    (iv)レオメーターを用いた線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)(Pa・sec)と周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(Pa・sec)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))と、極限粘度[η]と、前記非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の重量分率((a3)の重量分率)とが、下記式(2)を満たす。
    P/([η]2.9)≦(a3)の重量分率×6 …(2)
    (v)3D−GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
    LCB1000C≦1−0.07×Ln(Mw) …(3)
  2. 前記共重合体(A)100重量部に対して、有機過酸化物(B)1〜10重量部、α,β−不飽和有機酸の金属塩(C)5〜30重量部およびカーボンブラック(D)10〜100重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の伝動ベルト用ゴム組成物。
  3. 前記α−オレフィン(a2)がプロピレンであることを特徴とする請求項1または2に記載の伝動ベルト用ゴム組成物。
  4. 前記非共役ポリエン(a3)が5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の伝動ベルト用ゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の伝動ベルト用ゴム組成物を架橋する工程を含むことを特徴とする伝動ベルトの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の伝動ベルト用ゴム組成物の架橋体からなる伝動ベルト。
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