JP2014167082A - カチオン重合性オキシランエポキシ化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高耐熱性と高屈折率化および良好なカチオン硬化性を両立できる芳香環含有脂環式エポキシ化合物、その製造方法、芳香環含有脂環式エポキシ化合物を含む樹脂組成物および、その組成物を活性エネルギー線または熱で硬化してなる成形物の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表されることを特徴とする、芳香環含有脂環式エポキシ化合物。一般式(1)

(式中、Rは水素原子、または、炭素数1〜5までの脂肪族炭化水素基を、Xは炭素数1〜5の2価の炭化水素基を、Yはエポキシ基を有する脂環族骨格を表す。nは0または1を表す。)
【選択図】図1

Description

本発明は、カチオン重合性オキシラン化合物、および、カチオン重合性オキシラン化合物を含む樹脂組成物に関する。より詳しくは、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料などの用途に有用な化合物、および、該化合物によって構成される樹脂組成物に関する。
エポキシ化合物はその硬化物が光学特性、機械特性、電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性、耐水性、耐薬品性等に優れた性質を示すことから、例えば、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料、塗料、接着剤等、各種用途の構成材料として幅広く用いられている。
しかし、エポキシ化合物は用途が多岐に渡るため同一の化合物を複数の用途に展開することが困難であった。
例えば、光学部材、電気・電子部品材料用途等のように光学特性が要求される用途では、透明性や屈折率といった光学特性とともに、硬化物として機能するために成形性が良好であることが要求される。一方、オプトデバイスや表示デバイスなどの用途ではいわゆるプリント配線板で必要とされるレベルの高い耐熱性が要求される。
一般的にエポキシ化合物は、アミン類、チオール類、酸無水物、フェノール類等の硬化剤を用いて熱硬化させることで、様々な特性を発現させているが、熱硬化時に着色するものが多く、光学特性が要求される用途には適応できないという問題があった。そのため、紫外線等の活性エネルギー線を用いてカチオン種を発生させる光酸発生剤や、熱によってカチオン種を発生させる熱酸発生剤を用いてエポキシ基を重合させるカチオン硬化技術が盛んに検討されている。
カチオン硬化時において、エポキシ化合物はグリシジルエーテル等のグリシジル化合物よりも脂環式エポキシ化合物が硬化性良好であることからよく用いられる。例えば、特許文献1に挙げられる化合物があるが、透明性を考慮して化合物はすべて脂肪族で構成されている。その結果、屈折率や耐熱性が低いなどの問題がある。
高屈折率化を実現するためには、分極率の高い元素あるいは結合の導入が効果的であることが知られており、ベンゼン環・フッ素以外のハロゲン・硫黄・金属元素の導入がそれに当たる。具体的には、高耐熱、高屈折率化を狙ったものとして1つ以上の芳香環を含有するような特許文献2に挙げられる脂環式エポキシ化合物があるが、単純に芳香環を導入しただけでは耐熱性・屈折率ともに十分な性能を発揮できなかった。
一方、高反応性、高屈折率化を狙ったものとしてビスフェノール骨格やフルオレン骨格を含むような特許文献3に挙げられる脂環式エポキシ化合物がある。しかし、プリント配線板などの用途で必要とされる150℃以上の耐熱性が確保できない上、常温で固体であるため脂環式エポキシ化合物単独での活性エネルギー線による光カチオン硬化性が不十分であった。
特開平5−310885号公報 特開2007−163571号広報 特開2009−179568号公報
本発明は上記の現状に鑑みてなされたものであり、高耐熱性と高屈折率化および良好なカチオン硬化性を両立できる芳香環含有脂環式エポキシ化合物、その製造方法、芳香環含有脂環式エポキシ化合物を含む樹脂組成物および、その組成物を活性エネルギー線または熱で硬化してなる成形物を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする、芳香環含有脂環式エポキシ化合物に関する。
一般式(1)
(式中、Rは水素原子、または、炭素数1〜5までの脂肪族炭化水素基を、
Xは炭素数1〜5の2価の炭化水素基を、
Yはエポキシ基を有する脂環族骨格を表す。
nは0または1を表す。)
また本発明は、上記芳香環含有脂環式エポキシ化合物と、カチオン硬化剤とを含むことを特徴とするカチオン硬化性組成物に関する。
また本発明は、カチオン硬化剤が光酸発生剤であることを特徴とする、上記カチオン硬化性組成物に関する。
また本発明は、カチオン硬化剤が熱酸発生剤であることを特徴とする、上記カチオン硬化性組成物に関する。
本発明により、高耐熱性と高屈折率化およびカチオン硬化性を両立できる芳香環含有脂環式エポキシ化合物、および、芳香環含有脂環式エポキシ化合物を含む樹脂組成物を提供することができた。
図1は化合物1の1H NMRスペクトルである。
本発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物について以下に説明する。
本発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物は上記一般式(1)で表される構造を有する。
Rは水素原子、または、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基である。
炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチレン基、イソブチレン基等が挙げられる。
Xは、炭素数1〜5の2価の炭化水素基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等が挙げられる。
工業的に固体よりも液体の方が、ハンドリングが容易であることから、化合物の結晶性を低下させ液状物を得る目的で、炭化水素基Xは炭素数2〜5であることが好ましい。
また、nは0または1である。
エポキシ基を有する脂環族骨格Yとは、脂環族化合物の環構造を形成する隣接する炭素原子と酸素原子とでエポキシ基(オキシラン環)を形成した化合物から、水素原子を1つ除いた1価の脂環族基であり、例えば、エポキシシクロヘキサン、エポキシシクロペンタン、エポキシノルボルナン、などが挙げられる。
一般式(1)で表わされる化合物の好ましい具体例としては、例えば、以下のような化合物があげられる。
本発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物の製造方法について以下に説明する。
本発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物は、一般式(2)で表されるジフェニルスルホン含有アルコールと、脂環式エポキシ基含有カルボン酸の低級エステル化合物とを、エステル交換触媒を用いて生成する低級アルコールを留去しながらエステル交換反応させて製造することができる。
一般式(2)
(式中、Rは水素原子、または、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を、
Xは炭素数1〜5の2価の炭化水素基を表す。
nは0または1を表す。)
ここで、ジフェニルスルホン含有アルコールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニルスルホン)、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(2−ヒドロキシブトキシ)フェニル]スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)スルホン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]スルホンなどが挙げられる。
脂環式エポキシ基含有カルボン酸の低級エステル化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸メチルエステル、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸エチルエステル、3,4−エポキシシクロペンタンカルボン酸メチルエステル、3,4−エポキシシクロペンタンカルボン酸エチルエステル、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸メチルエステル、3,4−エポキシノルボルナンカルボン酸メチルエステル、3,4−エポキシノルボルナンカルボン酸エチルエステルなどが挙げられる。
エステル交換反応のための触媒は様々なものがあるが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸バリウム、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸セシウム、チオシアン酸コバルト、チオシアン酸鉛、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸亜鉛、例えば酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛などが挙げられる。
前述の触媒は、1種類のみで用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
使用する触媒量としては、0.001モル%〜25モル%の量で使用できるが、0.1モル%〜5モル%を使用するのが好ましい。触媒は、反応物に全部を一度に、あるいは数回に分けて(同じ又は異なる量であってよい)添加することができる。
エステル交換反応は脱アルコール反応であり、生成するアルコールを取り除くことで平衡を生成系に移動させることができ、より短時間で反応を完結させることができる。アルコールを取り除く方法としては、例えば、水溶性が低く、水より密度が小さい溶媒を還流させ、ディーンスターク装置を用いる方法や、窒素などの不活性ガスをフローする方法、減圧するなどの方法が挙げられる。
エステル交換反応の反応温度は使用する触媒によって異なるが、50〜250℃が好ましく、より好ましくは120〜180℃である。
次に、本発明のカチオン硬化性組成物について説明する。
エポキシ化合物はカチオン種を発生させるカチオン硬化剤と配合し、光や熱などの外部刺激によってカチオン種を発生させることで、カチオン重合が起こり硬化する。
カチオン硬化剤としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウム テトラフルオロボラート、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、ジフェニル−p−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファートなどが挙げられる。
カチオン硬化剤は、光酸発生剤と熱酸発生剤に大別される。
光酸発生剤の具体的な製品名としては、例えば、UVACURE1590(ダイセル・サイテック社製)、CPI−110P(サンアプロ社製)、などのスルホニウム塩やIRGACURE250(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、WPI−113(和光純薬社製)、Rp−2074(ローディア・ジャパン社製)等のヨードニウム塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
熱酸発生剤の具体的な製品名としては、例えば、
ジアゾニウム塩タイプ:AMERICUREシリーズ(アメリカン・キャン社製)、ULTRASETシリーズ(アデカ社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)
ヨードニウム塩タイプ:UVEシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、UV9310C(GE東芝シリコーン社製)、WPIシリーズ(和光純薬社製)
スルホニウム塩タイプ:CYRACUREシリーズ(ユニオンカーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サートマー社製)、オプトマーSPシリーズ、オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)
などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
酸発生剤はカチオン硬化性組成物に含まれる樹脂成分(本発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物、および、必要に応じて含まれる他のエポキシ化合物またはオキセタン化合物などカチオン硬化性化合物から構成される樹脂成分)100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましい。0.01重量部未満であると硬化が不十分であり、20重量部より多い場合、酸発生剤由来の着色や他の諸物性の低下を招く。
本発明のカチオン硬化性組成物は、さらに、カチオン硬化性の化合物を必要に応じて添加してもよい。例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物などがあるが、硬化性や硬化収縮が少ないという観点から、エポキシ化合物、オキセタン化合物が好ましい。
本発明のカチオン硬化性組成物は、さらに、必要に応じて、増感剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、無機フィラー、接着付与剤、非反応性樹脂、などの添加剤を加えてもよい。
本発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物は、優れた硬化性を有し、耐熱性と高屈折率性を兼ね備えている。そのため、光学部材、例えば、液晶テレビ、プラズマテレビ、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯音楽プレイヤー、デジタルカメラ等のディスプレイに用いられる、反射防止膜、偏光板、光散乱膜、指紋付着防止膜、光学補償フィルム、拡散板などの各部材、太陽電池パネル、窓ガラス用表面保護フィルム、木材、紙、コンクリート、アスファルト、表面コーティング、インキ用バインダー、粘接着剤、プライマー、封止材として使用することができる。
以下に実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り「%」は「重量%」を、「部」は「重量部」を意味する。
実施例1
攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン11.8部、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸メチルエステル16.3部、炭酸ナトリウム1.8部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら150℃に加熱した。エステル交換反応で生成したメタノールは窒素ガスで追い出し、ディーンスターク管に蓄積するようにした。脱メタノール反応が停止した後、200℃まで加熱して残った原料を留去した。室温まで放冷後、酢酸エチル30部を加え1時間室温で攪拌した。この溶液を濾過して炭酸ナトリウムを除去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物13.4部を得た。これを「化合物1」とする。
化合物1について1H NMR(JEOL社製 JMN−ECX400P)を測定したところ、以下の結果が得られた。スペクトルを図1に示す。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.87(d,4H)、δ6.97(d,4H)、δ4.43(t,4H)、δ4.20(t,4H)、δ3.28−3.12(m,4H)、δ2.62−1.33(m,14H)
なお、この化学構造を下記に示す。
実施例2
攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン9.7部、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸メチルエステル18.2部、炭酸ナトリウム2.1部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら150℃に加熱した。エステル交換反応で生成したメタノールは窒素ガスで追い出し、ディーンスターク管に蓄積するようにした。脱メタノール反応が停止した後、200℃まで加熱して残った原料を留去した。室温まで放冷後、酢酸エチル30部を加え1時間室温で攪拌した。この溶液を濾過して炭酸ナトリウムを除去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物16.4部を得た。これを「化合物2」とする。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.92(d,4H)、δ6.96(d,4H)、δ3.28−3.12(m,4H)、δ2.62−1.33(m,14H)
なお、この化学構造を下記に示す。
実施例3
攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ビス[4−(2−ヒドロキシブトキシ)フェニル]スルホン12.9部、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸メチルエステル15.3部、炭酸ナトリウム1.7部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら150℃に加熱した。エステル交換反応で生成したメタノールは窒素ガスで追い出し、ディーンスターク管に蓄積するようにした。脱メタノール反応が停止した後、200℃まで加熱して残った原料を留去した。室温まで放冷後、酢酸エチル30部を加え1時間室温で攪拌した。この溶液を濾過して炭酸ナトリウムを除去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物12.3部を得た。これを「化合物3」とする。
化合物3について1H NMRを測定したところ、以下の結果が得られた。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.86(d,4H)、δ6.96(d,4H)、δ4.06−4.13(m,8H)、δ3.28−3.12(m,4H)、δ2.62−1.33(m,22H).
なお、この化学構造を下記に示す。
実施例4
攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン11.7部、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸メチルエステル17.0部、炭酸ナトリウム1.9部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら150℃に加熱した。エステル交換反応で生成したメタノールは窒素ガスで追い出し、ディーンスターク管に蓄積するようにした。脱メタノール反応が停止した後、200℃まで加熱して残った原料を留去した。室温まで放冷後、酢酸エチル30部を加え1時間室温で攪拌した。この溶液を濾過して炭酸ナトリウムを除去し、芳香環含有脂環式エポキシ化合物10.8部を得た。これを「化合物4」とする。
化合物4について1H NMRを測定したところ、以下の結果が得られた。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.82(s,4H)、δ3.28−3.12(m,4H)、δ2.62−2.22(m,2H)、δ2.15(s,12H)、δ2.02−1.33(m,12H).
なお、この化学構造を下記に示す。
実施例5〜12、比較例1〜6
酸素濃度が10%以下に置換された遮光された200ccのマヨネーズ瓶に、エポキシ化合物(A)、酸発生剤(B)、を表1に示す比率で配合し、エアモーターにて十分に攪拌を行い、十分に脱泡を行なって、カチオン重合性組成物を調製した。
表1
表1において、
2021P:3,4−オキシランシクロヘキシルメチル−3,4−オキシランシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業社製)、
JER828:ビスフェノールA型オキシラン樹脂(三菱化学社製)、
CPI‐110P:p-フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムPF6塩
を示す。
また、フルオレン含有エポキシは下記化合物5である。
化合物5
実施例13
実施例5に示すカチオン重合性組成物を、コロナ処理を施していないPETフィルムに、ワイヤーバーコーターを用いて膜厚20〜25μmとなるようにカチオン重合性組成物を塗工し、カチオン重合性組成物層を形成した。さらにカチオン重合性組成物層の上にコロナ処理を施していないPETフィルムを重ね、3層からなる積層体を得た後、UV照射装置(東芝社製 高圧水銀灯)で最大照度300mW/cm2の紫外線を照射して硬化させた。3層からなる積層体のPETフィルムを剥離し、硬化物のガラス転移温度Tgとゲル分率および屈折率を測定した。
硬化物の特性は次の方法で評価した。
≪耐熱性:ガラス転移温度Tg≫
セイコーインスツルメンツ社製DSC(示差走査熱量計、DSC6200R)により測定し、2段階評価した。
○:Tgが150℃以上
×:Tgが150℃未満
≪ゲル分率≧
硬化物の重量を測定した後(重量1)を金属メッシュと金属メッシュの間に挟むことで硬化物同士が重ならないようにし、メチルエチルケトン(MEK)中で3時間還流した。さらに80℃−30分乾燥し、硬化物の重量を測定した(重量2)。下記式よりゲル分率を求め、2段階評価した。

ゲル分率(%)={1−(重量1−重量2)/重量1}}×100

○:ゲル分率が90%以上
×:ゲル分率が90%未満
≪屈折率≫
屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて25℃での屈折率及びアッベ数を求め、2段階評価した。
○:屈折率が1.52以上
×:屈折率が1.52未満
実施例14
実施例6に示すカチオン重合性組成物を、コロナ処理を施していないPETフィルムに、ワイヤーバーコーターを用いて膜厚20〜25μmとなるようにカチオン重合性組成物を塗工し、カチオン重合性組成物層を形成した。さらにカチオン重合性組成物層の上にコロナ処理を施していないPETフィルムを重ね、3層からなる積層体を得た後、130℃のオーブンで1h加熱して硬化させた。3層からなる積層体のPETフィルムを剥離して得た硬化物を実施例13と同様に評価を行なった。
実施例15、17、19、比較例7、9、11
カチオン重合性組成物を表2のように変更した他は実施例13と同様に試料を作製、評価を行った。
実施例16、18、20、比較例8、10、12
カチオン重合性組成物を表2のように変更した他は実施例14と同様に試料を作製、評価を行った。
実施例13〜20、比較例7〜12の評価結果を表2にまとめた。
表2

比較例7および8の屈折率が低い結果となった。脂肪族の骨格であるため屈折率が低いと考えられる。
比較例9は芳香環が含まれているにも関わらず耐熱性が悪いが、これはグリシジルエーテルの硬化性がよくないことが影響していると考えられる。光硬化性が低いことによって、硬化不良が起こりゲル分率および屈折率も低くなったと考えられる。
比較例10は耐熱性および屈折率が低い結果となった。ビスフェノールAの骨格では、ゲル分率が高く、十分に硬化した場合でも150℃以上の耐熱性と屈折率1.52以上の物性を得ることができない。
比較例11は常温で固体のため評価できなかった。
比較例12はゲル分率が低い結果となった。これは、フルオレン骨格によって反応性基の自由度が制限されて硬化不良が起こったためと考えられる。
以上の結果から、本願発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物を用いることで、高耐熱性と高屈折率化および良好なカチオン硬化性を両立させることができた。
本発明の芳香環含有脂環式エポキシ化合物は、高耐熱性と高屈折率化および良好なカチオン硬化性を有することから、様々な分野での利用が可能である。例えば、光学部材、電気・電子部品材料用途等のように光学特性や成形性が求められる分野や、オプトデバイスや表示デバイスなどの高い耐熱性が要求される分野において特に好適である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする、芳香環含有脂環式エポキシ化合物。
    一般式(1)

    (式中、Rは水素原子、または、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を、
    Xは炭素数1〜5の2価の炭化水素基を、
    Yはエポキシ基を有する脂環族骨格を表す。
    nは0または1を表す。)
  2. 請求項1記載の芳香環含有脂環式エポキシ化合物と、カチオン硬化剤とを含むことを特徴とするカチオン硬化性組成物。
  3. カチオン硬化剤が光酸発生剤であることを特徴とする、請求項2記載のカチオン硬化性組成物。
  4. カチオン硬化剤が熱酸発生剤であることを特徴とする、請求項2記載のカチオン硬化性組成物。
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WO2019163970A1 (ja) * 2018-02-26 2019-08-29 三菱ケミカル株式会社 エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを含む硬化性樹脂組成物及びその硬化物
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