JP2014166876A - 袋体 - Google Patents
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【解決手段】一方の開口に封緘する手段を有し、外側シートおよび透水性内側シートを有する少なくとも二重のシートよりなる壁面および底面を有する袋体であって、該壁面および底面のうち少なくとも一面が、該外側シートおよび透水性内側シートの中間に熱融着性繊維および吸着性粒子が含有された吸収層を有する面である袋体。
【選択図】図1
Description
仮置きの際、廃棄物に、放射性物質、重金属類などの環境汚染物質が含まれたり付着したりしている場合には、降雨などにより廃棄物に水が染み込み、その水は環境汚染物質を取り込んだ後、汚染水となって廃棄物から染み出し、周囲の土壌を汚染するおそれがある。 そこで、廃棄物を仮置きする場合には、このような土壌汚染を防止するために、その下に、加硫ゴムを主成分とする組成物や熱可塑性エラストマー組成物から形成された防水シートを敷くことが一般に行われている(例えば特許文献1参照。)。
廃棄物を封入封緘した容器は、仮置き場所の土壌との間に防水シートを敷いた上に置かれて保管され、さらに、雨水等がかからないように耐候性・防水性のあるシートで覆うことが好ましいとされ、また、放射性の環境汚染物質である場合は、遮蔽のために覆土を行うことが好ましいと考えられている。
[1]一方の開口に封緘する手段を有し、外側シートおよび透水性内側シートを有する少なくとも二重のシートよりなる壁面および底面を有する袋体であって、該壁面および底面のうち少なくとも一面が、該二重のシートの中間に熱融着性繊維および吸着性粒子が含有された吸収層を有する面である袋体。
[2]前記外側シートと透水性内側シートの内、少なくとも一方が繊維シートである[1]記載の袋体。
[3]前記外側シートが透気性である[1]または[2]に記載の袋体。
[4]前記外側シートが合成繊維クロスとクラフト紙とを積層したペーパークロスであって、袋体の外面がクラフト紙である、[1]乃至[3]のいずれかに記載の袋体。
[5]前記吸着性粒子がゼオライトである、[1]乃至[4]のいずれかに記載の袋体。
<袋体>
図1aは、本発明の一実施形態例である袋体の構成を示す斜視図であり、袋を構成する筒状体壁面の断面構造を示すため、部分的に断面を示した参考斜視図である。 この袋体10は、筒状体の一端が封鎖された平袋の形態を示す一例であり、他の一端は米麦紙袋と同様の封緘手段を有し紐15で結束して封緘することができる例である。そして、図1bは袋体10の筒状体壁面の断面の拡大図であり、該筒状体を構成する外側シート11と透水性内側シート13の二重のシートの中間に熱融着繊維と吸着性微粒子14よりなる吸収層12よりなる壁面を有している。
図2aは、本発明の他の実施形態例である袋体の構成を示す斜視図であり、袋を構成する周壁面と底面の断面構造を示すため、部分的に断面を示した参考斜視図である。この袋体20は、上方が開口し底面を有する形態を示す一例であり、袋を吊り下げるための吊り下げ部16を有し、上方の開口部は封緘することができる廃棄物の投入口17となっている例である。 そして、底面および周壁面は、外側シート11と透水性内側シート13の二重のシートの中間に熱融着繊維と吸着性微粒子14よりなる吸収層12よりなる面で構成されている。 図2bは袋体20の底面の断面の拡大図であり、該筒状体を構成する外側シート11と透水性内側シート13の二重のシートの中間に熱融着繊維と吸着性微粒子14よりなる吸収層12よりなる壁面を有している。
環境汚染物質としては、例えば、放射性セシウム、放射性ストロンチウムなどの放射性物質、重金属類などが挙げられる。
また、筒状あるいは箱状に内側透水性シート、外側シートおよび吸収層を接合し、袋体を形成する方法としては、ホットメルト、ヒートシール、粘着剤などにより接着する方法や、縫製など公知の袋体を製造する方法を適宜使用する事が出来る。 また、縫製した箇所には、そこから汚染水や処理水の流出を防止するために、防水性のシートを目貼りする等、公知の方法で防水処理を行うことが好ましい。
本発明の袋体の内側面に使用されるシートは、透水性シートが使用される。袋体に封入された廃棄物は、該透水性シートを介して吸収層に隣接し、廃棄物中に水分として存在する環境汚染物質を取り込んだ汚染水は、該透水性内側シートを通過して吸収層に吸収される。また、袋体の内容物である廃棄物が吸収層と直接接触することを防ぎ、吸収層中の吸着性粒子が脱落して袋の内部に拡散することを防止する。
透水性内側シートとしては、汚染水が浸み通ることが可能であって、強度も良好な薄手のシートが好適に用いられる。このようなシートとしては、例えばスパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布などの不織布や、織布など、長繊維から形成されたものや、クラフト紙などの紙類や開孔を設けたフィルムなどの1種以上を使用することが出来る。
外側シートは、防水性を有し、吸収層中の吸着性粒子により環境汚染物質が除去された処理水が、仮置き場の土壌に移行しないようにする。外側シートは、防水性を有していればよく、例えば、加硫ゴムを主成分とするようなゴムシート、熱可塑性エラストマーを主成分とするプラスチックシート、織布や不織布などの繊維シートにゴムを含浸した複合シート、これらのうちの2種以上の積層物などを用いて、単層または多層で形成されるが、突刺強度に優れる点から、樹脂繊維などの繊維を含んで形成された繊維シートであることが好ましい。このような層としては、例えば、樹脂繊維が網状に分布してなるフィルムを積層して熱融着した樹脂多層フィルムを用いた層も用いることができる。
このような樹脂多層フィルムは、突刺強度に優れるため、該樹脂多層フィルムからなる外側シートを備えた袋体に、不規則な形状の破片などを含むがれきなどを封入した場合でも、袋体の壁面または底面に穴が開いたり、破れたりしにくい。そのため、袋体の穴や破れた箇所から、処理水が仮置き場の土壌へと移行することを抑制できる。さらに、上述の樹脂多層フィルムに対して、他の樹脂をコーティングしたり、ラミネートしたりして組み合わせた複合樹脂フィルムも外側シート形成に好適である。
このようなフィルムは、例えば、相対的に融点の高い高融点層(例えば高密度ポリエチレン層。)と、その両面に積層された相対的に融点の低い低融点層(例えば低密度ポリエチレン層。)とからなる3層構造の原反フィルムから製造できる。
具体的には、まず、多層インフレーション法あるいは多層Tダイ法などの押出成形により、上述の3層構造の原反フィルムを製造し、ついで、この原反フィルムに対して、千鳥状に多数の平行なスリットを縦方向(フィルム流れ方向)に沿って形成する。スリットは、スプリッター、熱刃などで形成できる。その後、スリットの形成された原反フィルムを縦方向に延伸し、さらにこれと直交する方向に拡幅することにより、幹繊維がほぼ縦方向に配列された割繊維フィルムが得られる。延伸倍率(配向倍率)は、1.1〜15倍が好ましく、3〜10倍であることがより好ましい。
上述のような割繊維フィルムを2枚積層したフィルムとしては、例えば、JX日鉱日石ANCI株式会社から販売されている「ワリフ(登録商標)」が挙げられる。
このような外側シート用の資材としては、タイベックと呼ばれる0.5〜10μmのポリエチレンの極細長繊維をランダムに積層し、熱と圧力で結合させた高密度の不織布シートは強度、耐久性もあり、透湿性、防水性に優れるため本発明袋体の外側シートとして使用することができる。
本発明袋体の外側シートとしては、上記例示した各種シートに限定されるものでは無い。また外側シート厚みは、適宜設定できるが、例えば50〜1000μmが好ましい。
吸収層としては、吸着性粒子を含み、水を透す透水性を備えた層であればよいが、シート状の有機多孔質材料をマトリックスとし、該有機多孔質材料中に吸着性粒子が分散状態で保持されている層が好ましい。
このような吸収層は、有機多孔質材料をマトリックスとするため、廃棄物から染み出る汚染水を良好に吸収、保持できる。そして、吸収層に含まれる吸着性粒子は、このように吸収、保持された汚染水に作用して、汚染水中の環境汚染物質を効果的に吸着する。例えば、環境汚染物質が放射性セシウムである場合、放射性セシウムは水が存在すると水に溶解してセシウムイオンとなり、吸着性粒子に良好に吸着される。なお、吸収層は多層構造であってもよい。
吸着性粒子としては、吸着対象の汚染物質に応じて適宜選択できるが、例えば、ゼオライト、活性白土、大谷石、シリカ、アルミナ、モレキュラーシーブ、多孔性鉱物、非晶質水酸化鉄、プルシアンブルーなどが挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。吸着性粒子の形状は、粉状、顆粒状、ペレット状などのものを用いることが出来、吸着性粒子の粒度は吸収層に固着できれば特に限定するものではなく、0.5〜5000μmの範囲で適宜選ぶことが出来る。
また、吸収層の表面および/または裏面に透水性の層を設けて吸着性粒子の脱落を防止することも出来る。この透水性の層としては、例えばスパンレース不織布、スパンボンド不織布などの長繊維不織布や、エアレイド不織布のような短繊維不織布も使用することができる。 吸着性粒子の脱落を防止するために、吸収層の表面および/または裏面に設ける透水性の層としては10〜100g/m2の範囲で調節されることが好ましい。
親水性有機繊維としては、製紙用木材パルプ(針葉樹および/または広葉樹木材より調製される化学パルプや機械パルプなど。)、古紙パルプ、リンター、麻、綿、ケナフなどより調製される非木材植物繊維などの天然セルロース繊維や、レーヨンなどの合成繊維が挙げられる。これらのなかでは、工業的に利用しやすい点から、天然セルロース繊維が好ましい。天然セルロース繊維としては、乾燥されたパルプシートの状態で供給され、乾燥状態で機械的に粉砕、解繊されたものが好ましい。
また、疎水性有機繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリエステル繊維などが挙げられる。
原料繊維は、吸着性粒子の100質量部に対して、0.1〜50質量部程度を用いることが好ましい。原料繊維の繊維長は、不織布の製造方法などに応じて、適宜設定できる。
熱融着性繊維には、繊維全体が溶融して接着剤として作用するものと、繊維の一部のみが溶融して接着剤として作用するものとがあり、これらの1種以上を使用できる。熱融着性繊維の材質としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアミドおよびポリエステルよりなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
繊維全体が溶融して接着剤として作用する熱融着性繊維は、好ましくはこれらのうちの1種または2種以上の混合物を用いて繊維全体が形成される。繊維の一部のみが溶融して接着剤として作用する熱融着性繊維は、好ましくはこれらのうちの1種または2種以上の混合物を用いて、溶融する部分と溶融しない部分とがそれぞれ形成される。
熱融着性繊維の繊維長は、不織布の製造方法などにより、適宜設定できる。
繊維結合工程として熱風処理を採用することにより、エアレイド法により形成された低いかさ密度、繊維間の大きな空隙を維持しつつ、原料繊維を結合させることができる。このようなエアレイド不織布は、環境汚染物質を含む汚染水を充分に吸収、保持できる。
本明細書において繊維長は、任意に選択した50本以上の繊維をサンプルとし、これらについて電子顕微鏡観察により測定した長さの平均値である。
このような方法によれば、吸着性粒子をエアレイド不織布中に分散性よく固定でき、しかも、吸着性粒子の表面が熱融着性接着剤によって過度には被覆されないため、吸着性粒子の吸着性能が良好に維持される。
次に、吸収層を構成する有機多孔質材料として、エアレイド不織布を採用した場合を例に挙げて、図1の構成の袋体の製造方法を具体的に説明する。
エアレイド不織布による吸収層は、まず、通気性のあるキャリアシートを用意し、これをコンベアに装着されて走行するメッシュ状無端ベルト上に繰り出す。そして、エアレイド法のウェブフォーミング機を用いて、機械的に解繊された原料繊維と吸着性粒子と熱融着性接着剤との混合物をメッシュ状無端ベルト側に吸気流の作用により下降させ、キャリアシート上に落下堆積させる。これにより、キャリアシート上に、原料繊維と吸着性粒子と熱融着性接着剤の混合物からなるエアレイドウェブが形成される。ついで、このエアレイドウェブをエアスルー方式により熱風処理することによって、エアレイドウェブを構成している原料繊維、吸着性粒子、熱融着性接着剤の混合物を嵩高状態で接着して、キャリアシートの上に吸収層を形成する。
以上のような方法により、吸着性粒子を含む吸収層の両面に、適当な透水性の層が積層された吸収層を得ることができる。
なお、吸収層の端面(周端面)は、熱処理(ヒートシール加工)により封緘されていると、吸着性粒子の脱落をより防止でき、取扱性に優れる点で好ましい。
筒状体の形成や、筒状体の一端を封鎖するために各シート等を接合する手段として、縫製など接合箇所の防水性の低下のおそれがある手段を用いた場合には、必要に応じて、当該箇所に防水性のシートを貼り合せる等の対策が用いられる。
一方、周壁と底面を有し上方に投入口が設けられた形状の袋体は、袋体の大きさに対して容量を大きくすることができる利点があるが、この場合、底面が外側シートと透水性内側シートの中間に熱融着性繊維および吸着性粒子が含有された吸収層を有する構造であることが好ましい。また、内容物が収容された袋体の取扱性の点から、吊り下げ部を有することが好ましい。
袋体は、建造物が破壊されて生じたがれきなどの廃棄物を屋外に仮置きする際などに、廃棄物を収容して仮置き場の土壌上に積み上げて保管される、廃棄物仮置き用廃棄物保管袋として好適に使用される。
廃棄物を封入封緘した容器は、仮置き場所の土壌と容器との間に防水シートを敷いた上に置かれて保管され、さらに、雨水等がかからないように耐候性・防水性のあるシートで覆うことが好ましいとされ、また、放射性の環境汚染物質である場合は、遮蔽のために覆土を行うことが好ましいと考えられている。
これにより、廃棄物に多量の水が含まれていた場合や、雨などの水が廃棄物に染み込み、廃棄物に由来する環境汚染物質がこの水に取り込まれた後、汚染水として廃棄物から流出した際には、先ず、廃棄物保管用袋の吸収層に含まれる吸着性粒子が、汚染水中の環境汚染物質を吸着して汚染水から除去する。そして、環境汚染物質が除去された処理水は、外側シートの存在により、廃棄物保管用袋内に留まる。 また、仮に、処理水が廃棄物保管用袋外へ移行し、防水シートの周端部から仮置き場土壌へと移行したとしても、その処理水は、既に環境汚染物質が低減されたものであるため、仮置き場への汚染は抑制される。
11 外側シート
12 吸収層
13 透水性内側シート
14 吸着性粒子
15 封緘用紐
16 吊り下げ部
17 投入口
Claims (5)
- 一方の開口に封緘する手段を有し、外側シートおよび透水性内側シートを有する少なくとも二重のシートよりなる壁面および底面を有する袋体であって、該壁面および底面のうち少なくとも一面が、該外側シートおよび透水性内側シートの中間に熱融着性繊維および吸着性粒子が含有された吸収層を有する面である袋体。
- 前記外側シートおよび透水性内側シートの内、少なくとも一方が繊維シートである請求項1記載の袋体。
- 前記外側シートが透気性である請求項1または2に記載の袋体。
- 前記外側シートが合成繊維クロスとクラフト紙とを積層したペーパークロスであって、袋体の外面がクラフト紙である、請求項1乃至3のいずれかに記載の袋体。
- 前記吸着性粒子がゼオライトである、請求項1乃至4のいずれかに記載の袋体。
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