(実施の形態)
図1及び図2に、本発明の実施の形態の苗植付装置を装備した乗用型田植機の左側面図及び平面図を示す。
尚、本明細書においては、前後、左右の方向基準は、運転座席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。
この乗用型田植機1は、エンジン11を搭載し、駆動回転する各左右一対の前輪12及び後輪13を備えた四輪駆動の走行車体10の後方に、昇降リンク装置14を介して6条植の苗植付部15が連結されている。
また、走行車体10には、運転座席16、前輪12を操向する操縦ハンドル17、予備の苗を載せておく予備苗載台18が設けられている。また、操縦ハンドル17の下方には各種スイッチや表示用メータ類を配置した操作パネル2が設けられており、操作パネル2の背面側には制御回路3が配置されている。
また、走行車体10の前部には、ミッションケース4が配置され、そのミッションケース4の左右側方には前輪ファイナルケース5が設けられ、外向きに突出する左右一対の前輪車軸を介して左右一対の前輪12が取り付けられている。
エンジン11からミッションケース4に伝達された回転動力は、ミッションケース4内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース5に伝達されて前輪12を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース6に伝達されて後輪13を駆動する。
また、外部取出動力は、走行車体10の後部に設けられた植付クラッチケース7に伝達され、更に植付伝動軸8、及び植付伝動ケース21を介して苗植付部15へ伝動されるとともに、施肥伝動機構によって施肥装置9へ伝動される。
苗植付部15は、植付伝動ケース21の上側に前部が上位となる構成で傾斜した苗載せ台22を設けるとともに、植付伝動ケース21の植付伝動部の後端部に2条ごとで1組の苗植付装置23を3組設けている。
また、苗載せ台22は、上側左右移動用案内部材95と、それを下側から回動自在に支持する支持ローラー92が係り合って、左右方向に移動可能に構成されている。支持ローラー92は苗載せ台支持フレーム93の上部に取り付けられている。尚、苗載せ台22の構成については、図5等を用いて更に後述する。
センターフロート24及びサイドフロート26を接地させた状態で走行車体10を進行させると、苗載せ台22が左右に往復移動して台上のマット苗28(図1、図4参照)を苗載せ台22の下端側に設けた苗受け枠20の苗取り口25に一株ずつ順次供給し、それを苗植付装置23が分離して取り出し圃場に植付ける構成である。
次に、図3を用いて、ミッションケース4から植付伝動ケース21への駆動力の伝動構成、及び、本実施の形態の乗用型田植機1の制御系統について説明する。
図3は、ミッションケース4から植付伝動ケース21への駆動力の伝動構成を説明する接続図と、本実施の形態の乗用型田植機1の制御系統を説明する概略図を合わせて示している。
図3に示す通り、ミッションケース4からの駆動力が植付クラッチケース7に入力される。植付クラッチケース7の出力軸193には、変速調節ケース180が連結されており、植付クラッチケース7からの出力は、変速調節ケース180及び植付伝動軸8を介して植付伝動ケース21へ伝動される。
植付クラッチケース7には、苗植付装置23により圃場に植えられる苗の間隔(以下、これを株間と呼ぶ)を、「密植」、「通常」、及び「疎植」の3つのモードの内の何れかに切り替える株間変速シフタ115が、入力軸192と平行位置に設けられており、株間変速シフタ115の一端側は、連結機構(図示省略)を介して、作業者が操作可能に構成された株間レバー123と繋がっている。
尚、ここで、本実施の形態では、条間を30cmとして、3.3m2当たりの株数が、80〜90株を「密植」とし、50〜70株を「通常」とし、37〜47株を「疎植」とする。
作業者が株間レバー123を操作して、「密植」、「通常」、及び「疎植」の3つのモードの内の何れか一つのモードに切り替えることで、連結機構を介して株間変速シフタ115が入力軸192と平行に移動し、植付クラッチケース7内に設けられたギヤの組み合わせが変更されて、切り替えられたモードに対応した回転数が得られるべく駆動力が植付伝動軸8に伝達される。
また、株間レバー123には、株間検知ポテンショメータ210が設けられており、株間レバー123の操作位置を検出することにより、作業者が設定した株間のモードが、「密植」、「通常植え」、及び「疎植」の何れのモードであるかを検知する構成である。
また、植付クラッチケース7には、その植付側出力軸7aの回転数を検知する回転数検知センサー220が設けられている。
株間検知ポテンショメータ210からの検知信号、及び、回転数検知センサー220からの検知信号は、それぞれ、操作パネル2の背面側に配置された制御回路3に送られる。
また、植付クラッチケース7には、入力軸192からの駆動力を等速で伝達するか不等速で伝達するかの切替を行う不等速切替クラッチ120が、出力軸193の入力端側にスプライン接続されており、不等速切替クラッチ120は、連結機構(図示省略)を介して、作業者が操作可能に構成された不等速切替操作具120aと繋がっている。
また、植付クラッチケース7には、ミッションケース4側から伝達される駆動力について、苗植付部15側への伝達を入り切りする植付クラッチ121が出力軸193の出力端側に設けられている。また、植付クラッチピン121aは、植付クラッチ121の入り切りを行う円柱状の部材であり、出力軸193と直交する方向に前後移動可能に構成されている。
本実施の形態の乗用型田植機1は、植付クラッチケース7と植付伝動軸8との間に設けた変速調節ケース180によって、植付クラッチケース7から出力される回転駆動力の回転速度変化状態を微調整している。
尚、本実施の形態の株間変速シフタ115及び植付クラッチケース7の構成が、本発明の株間切替装置の一例にあたる。又、株間検知ポテンショメータ210が、本発明の株間検知部の一例にあたる。又、回転数検知センサー220が、本発明の、回転数検知部の一例にあたる。
植付伝動ケース21は、植付伝動軸8から入力された回転駆動力によって、苗植付装置23を作動させるとともに、駆動切替部230の作用により、リードカム軸82を作動させるか否かを切り替えることが可能な構成である。
即ち、本実施の形態の乗用型田植機1では、植付伝動ケース21に設けられた駆動切替部230は、ケース内伝動軸235にスプライン接続され、植付伝動軸8からの駆動力をリードカム軸82側に伝達させるか否かの入り切りを行うリードカム伝達クラッチ232と、このリードカム伝達クラッチ232をケース内伝動軸235に平行にスライドさせて、クラッチの入り切りを行わせるリードカム伝達クラッチ用ソレノイド231とを備え、制御回路3からの制御指令に基づいて、リードカム伝達クラッチ用ソレノイド231が駆動する構成である。
制御回路3からの制御指令により、リードカム伝達クラッチ用ソレノイド231がOFF状態のときは、リードカム伝達クラッチ232は、植付伝動軸8からの駆動力を、リードカム軸82へ伝達可能な状態(伝達可能状態)にあり、リードカム伝達クラッチ用ソレノイド231がON状態のときは、リードカム伝達クラッチ232は、植付伝動軸8からの駆動力を、リードカム軸82へ伝達不可能な状態(伝達不能状態)にある。
尚、リードカム伝達クラッチ用ソレノイド231がOFF状態のときは、後述するステッピングモータ用クラッチ242は、制御回路3からの制御指令によりギアケース241内の駆動系(図示省略)とリードカム軸82との連結を切り離した状態にある。
本実施の形態のリードカム伝達クラッチ232とリードカム伝達クラッチ用ソレノイド231とを含む構成が、本発明の駆動切替部の一例にあたる。また、本実施の形態の制御回路3が、本発明の制御部の一例にあたる。
リードカム伝達クラッチ用ソレノイド231がOFF状態のとき、及びON状態のときの植付伝動ケース21内の駆動力の伝達は、次のごとく行われる。
先ず、リードカム伝達クラッチ用ソレノイド231がOFF状態のとき、リードカム伝達クラッチ232はリードカム軸82への駆動力の伝達が可能な状態にあるので、植付伝動ケース21に入力された駆動力は、植付伝動ケース21内のギヤ伝動機構を介して左右横方向に架設されたリードカム軸82に伝達される。
リードカム軸82は、外周面に螺旋状溝部126が形成されており、この螺旋状溝部126に、リードメタル124のリード爪127が係り合っている。リードメタル124が取り付けられているリードカム82aは、リードカム軸82上において横方向に摺動自在に軸支されており、その左右両端部が苗載せ台22に連結されている。リードカム軸82が回転すると、リード爪127がリードカム軸82の螺旋状溝部126に沿って移動し、これに伴って、リードメタル124及びリードカム82aが横方向に移動し、苗載せ台22が左右に往復運動する。
また、苗載せ台22が、マット苗28を収納する区画の左右の各端部まで移動したことを検知する左右一対の端部移動スイッチ250L、250Rが苗載せ台支持フレーム93に固定されており、それぞれ検知結果を制御回路3に送る構成である。
尚、苗載せ台22の往復運動に関しては、図6等を用いて更に後述する。
次にリードカム伝達クラッチ用ソレノイド231がON状態のとき、リードカム伝達クラッチ232はリードカム軸82への駆動力の伝達が不可能な状態にあるので、植付伝動ケース21に入力された駆動力は、植付伝動ケース21内のギヤ伝動機構を介して左右横方向に架設されたリードカム軸82に伝達されることは無い。
尚、植付伝動ケース21に入力された駆動力は、リードカム伝達クラッチ用ソレノイド231がON状態かOFF状態かに関わらず、苗植付装置23へは常に伝達される。
また、リードカム伝達クラッチ用ソレノイド231がON状態のときは、植付伝動ケース21からは駆動力が伝達されないので、それに代わる別の駆動力が、ステッピングモータ240から供給される構成である。
即ち、リードカム軸82の外側端部の近傍には、ステッピングモータ240が配置されており、ギアケース241を介して駆動力がリードカム軸82へと伝達される構成である。
また、ギアケース241には、ステッピングモータ用クラッチ242が設けられており、制御回路3からの指令により、ギアケース241内の駆動系(図示省略)とリードカム軸82との連結を行うか否かを切り替える構成である。
本実施の形態の端部移動スイッチ250が、本発明の端部移動検知部の一例にあたり、本実施の形態のステッピングモータ240とギアケース241とステッピングモータ用クラッチ242とを含む構成が、本発明の往復移動駆動部の一例にあたる。また、本実施の形態のリードカム軸82、リードカム82a、リードメタル124、リード爪127等を含む構成が、本発明の往復移動機構の一例にあたる。
また、本実施の形態の乗用型田植機1の操作パネル2には、ステッピングモータ240の回転数を変更して苗載せ台22の移動速度を変更する移動速度変更スイッチ280が設けられており、作業者の操作に応じて、変更内容を制御回路3に送る構成である。
マット苗28を作る際の播種密度や、成長段階による苗の太い、細いの違いによっては、ステッピングモータ240の回転数を変更しないと設定量通りの苗が取れなくなることがあるが、移動速度変更スイッチ280をそのときに操作すると、前記苗植付部15が左または右方向に移動する速度をマット苗28に合わせることができるので、苗取り量が乱れたり苗が取れなかったりすることが防止され、欠株の発生等が生じる問題がある。
また、後述する苗取り爪36(図4参照)の幅や、苗植付具27を変更するとき等にも、移動速度変更スイッチ280を切り替えることで、苗を取る量を調整することが可能となる。
また、操作パネル2には、ステッピングモータ240を間歇的に駆動させて、苗の間隔を擬似的に「疎植」することの指示を受け付けて、制御回路3にその旨の出力信号を送る、擬似疎植指示スイッチ260を備える。
また、操作パネル2には、マット苗に生じることがある縒れに起因した欠株状態等の苗の植付不良の発生を防止するべく、ステッピングモータ240の回転数制御を制御回路3に指示する、縒れ対策指示スイッチ270を設ける。
本実施の形態の移動速度変更スイッチ280が、本発明の移動速度変更部の一例にあたり、また、本実施の形態の擬似疎植指示スイッチ260が、本発明の疎植指示部の一例にあたる。
次に、図4を用いて、本実施の形態の乗用型田植機1における苗植付装置23の構成について説明する。
図4に、苗植付装置23の走行車体10の左側から視た一部断面側面図を示す。
植付伝動ケース21の後端部に植付駆動軸30が回転自在に支承されており、この植付駆動軸30の左右突出部にロータリーケース31の中央部が一体回転する構成で固定して取り付けられている。
更にロータリーケース31の両端部に第1の軸受32及び第2の軸受33によって植付回動軸34を回転自在に支承し、これらの2つの植付回動軸34のそれぞれに、苗植付具27a(27b)の植付具ケース35が固定して取り付けられている。
植付具ケース35には、苗植付体としての苗取り爪36と、先端部に苗押出爪37が固定された押出ロッド29が設けられている。
また、ロータリーケース31の内部には、一端側が植付伝動ケース21と一体で非回転の偏芯サンギヤが配置されており、その両側には偏芯サンギヤに噛合する2つの偏芯カウンタギヤと、各偏芯カウンタギヤに噛合する2つの偏芯プラネタリギヤとで構成されたギヤ機構(図示省略)が収納されている。
また、偏芯サンギヤの中心部には、植付伝動軸30が回転可能なクリアランスを確保して貫通しており、偏芯プラネタリギヤは、植付回動軸34と一体で回転する構成である。また、苗押出爪37を適切なタイミングで押し出すトリガーとなる押出カム71は、ロータリーケース31に固定された構成である。
以上の構成により、植付伝動ケース21からの駆動力を得て植付駆動軸30が回転することで、ロータリーケース31が植付駆動軸30を中心に左回転(図4に示す矢印A参照)するとき、植付具ケース35は植付回動軸34を中心に右回転する。
これにより、ロータリーケース31が植付駆動軸30を中心に左回りに一回転する間に、苗取り爪36の先端36aは、図4に示す静軌跡19に沿って左周りに回転して、その先端36aが苗受け枠20の苗取り口25を通過することにより、苗載せ台22に供給されたマット苗28の最下端の列から一株ずつ順次分離して取り出して、圃場に植え付けるものである。
次に、図5〜図7を用いて、本実施の形態の苗植付部15における苗送り機構について説明する。
図5に、本実施の形態の苗載せ台22の苗送り伝動構成を分かりやすく説明することを目的とした断面側面図を示し、図6に、本実施の形態の苗載せ台22の苗送り伝動構成を分かりやすく説明することを目的とした正面図を示す。
図6は、苗載せ台22の裏側から視た図であり、苗送り伝動構成を分かりやすく説明することを目的として、リードカム軸82等を中心とする駆動側と苗載せ台22との連結部分を離して記載している。
図6に示す通り、本実施の形態の苗植付部15は6条植の構成で、フレームを兼ねる植付伝動ケース21、マット苗28(図2参照)を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取り口25に供給するとともに、横一列分の苗を全て苗取り口25に供給すると苗送りベルト91によりマット苗28を下方に移送する苗載せ台22、苗取り口25に供給された苗を苗植付具27a(27b)で圃場に植付ける苗植付装置23(図2参照)等を備えている。
苗載せ台22は、苗載面の裏側でその裏面側下部に左右方向に設けた苗受け枠20に沿って左右動自在に支持されている。苗受け枠20には、6条分の苗取り口25が設けられている。
図6に示す通り、植付伝動ケース21の左右両側から突出して植付伝動ケース21内の動力、又は、ステッピングモータ240(図3参照)の動力で、リードカム82aを横方向に左右往復移動させるリードカム軸82が設けられ、リードカム82aと苗載せ台22とが連結されており、正逆回転可能なリードカム軸82が駆動回転することにより苗載せ台22が左右往復動する構成としている。リードカム軸82は、その一端部(左端部)が植付伝動ケース21で支持されている。
図5に示す通り、苗載せ台22の裏面側の上下には、左右方向に長い上側左右移動用案内部材95及び下側左右移動用案内部材94がそれぞれ固着して設けられている。上側左右移動用案内部材95は、側面視で下側が切り欠かれた断面形状に形成されており、下側から支持される回転自在の支持ローラー92が係り合っている。この支持ローラー92は、上側左右移動用案内部材95に沿う適宜位置(4か所)に複数個(4個)設けられ、植付伝動ケース21の上側に固着された苗載せ台支持フレーム93の上部に取り付けられている。
下側左右移動用案内部材94は、苗受け枠20に上側から載る。従って、苗載せ台22は、支持ローラー92と苗受け枠20とにより左右方向に移動可能に支持されている。
苗載せ台支持フレーム93には苗載せ台22が、マット苗28を収納する区画の左右の端部に到達したことを検出する左右各々の端部移動スイッチ250L、250Rを設け、これら端部移動スイッチ250L、250Rは苗載せ台22の左右方向端部の裏面側に突出して上下に延びる左右の仕切り壁部251L、251Rが当たって検出する構成となっている。
また、図5、図6に示す通り、苗送りベルト91は、駆動ローラー84と従動ローラー85に巻き掛けられている。駆動ローラー84は左右方向の苗送り駆動軸86と一体回転する構成で設けられている。苗送り駆動軸86は、各2条毎に設けられ、各々のラチェット機構87により、苗送りベルト91が苗送りする方向にだけ回転を伝達する構成となっている。従って、苗送りベルト91が、苗載せ台22の左右移動端で苗載せ台22上の苗を苗受け枠20側へ移送する苗移送装置となる。
苗送りベルト91の駆動機構は下記の構成となっている。
すなわち、図6、図7に示す通り、植付伝動ケース21の左右両側からそれぞれ突出した構成で回転駆動する駆動側アーム88が設けられている。尚、植付伝動ケース21の右側の駆動側アーム88は、リードカム軸82を介して回転駆動する。又、苗送り駆動軸86の2条毎の位置に従動側アーム90が取り付けられている。
上記構成により、苗載せ台22が左右移動行程の端部に到達すると、駆動側アーム88が従動側アーム90にその下側から当たって(図7(a)の矢印B参照)、その回転が苗送り駆動軸86に伝達される(図7(a)の矢印C参照)。
尚、苗載せ台22が左右移動両端部でそれぞれ苗送り動力を伝達できる構成で、1個の駆動側アーム88に対応して左右の位置に2個の従動側アーム90が設けられている。駆動側アーム88が従動側アーム90から離れると、従動側アーム90に係止したトルクスプリング(図示省略)の張力によって従動側アーム90は駆動前の位置に戻る。
次に、図7(a)〜図7(c)を用いて、駆動側アーム88と従動側アーム90による伝達機構の動作を説明する。
図7(a)〜図7(c)に、駆動側アーム88と従動側アーム90による伝達機構の動作を説明する図を示す。駆動側アーム88が従動側アーム90を押し上げる際の側面図を、時間順に図7(a)〜図7(c)に示している。
駆動側アーム88は、側面視で二股形状のアームであり、先に従動側アーム90に接触する側のアーム、すなわちリードカム軸82の回転方向(図7(a)の矢印B参照)の前方側のアームの先端部に駆動上側ローラー88aが設けられており、回転方向の後方側のアームの先端部に駆動下側ローラー88bが設けられている。駆動側アーム88の駆動上側ローラー88a及び駆動下側ローラー88bの部分が従動側アーム90に接触して従動側アーム90を押し上げて回動させる。
従動側アーム90も、側面視で二股形状のアームであり、図7(a)〜図7(c)に示す通り、先に駆動側アーム88に接触する側の従動上側アーム部90aは、側面視で同じ幅広の形状としているのと異なり、駆動側アーム88に後から接触する側の従動下側アーム部90bは、側面視で先端部ほど細くなる形状としている。
図7(a)に示す通り、駆動側アーム88の回動に伴い、まず駆動側アーム88の駆動上側ローラー88aが従動側アーム90の従動上側アーム部90aに接触して押し上げ、苗送り駆動軸86を中心に従動側アーム90を回動させる。
そして、駆動側アーム88が更に回動すると、図7(b)に示す通り、駆動上側ローラー88aと従動上側アーム部90aとの噛み合わせが外れる前に、駆動下側ローラー88bが従動下側アーム部90bに接触し、その後、駆動下側ローラー88bが従動下側アーム部90bを押し上げながら駆動上側ローラー88aと従動上側アーム部90aとの噛み合わせが外れ、苗送り駆動軸86を中心に従動側アーム90を更に回動させる。駆動上側ローラー88aと従動上側アーム部90aとの噛み合わせが外れる前に、駆動下側ローラー88bが従動下側アーム部90bに接触するので、従動側アーム90が止まることなく連続して回動する。
そして、駆動側アーム88が更に回動すると、図7(c)に示す通り、駆動下側ローラー88bと従動下側アーム部90bとの噛み合わせが外れて、従動側アーム90に係止したトルクスプリング(図示省略)の張力によって従動側アーム90は駆動前の位置に戻り、苗送りの際の従動側アーム90の回動が終了する。
即ち、苗載せ台22が左右移動行程の端部に到達すると、駆動側アーム88が従動側アーム90にその下側から当たって、苗送り駆動軸86が回動し、苗送りベルト91が所定量だけ作動することにより、マット苗28が下方にスライド移動する。
尚、本実施の苗送り駆動量の伝達機構は、2つの駆動上側ローラー88a及び駆動下側ローラー88bと、2つの従動上側アーム部90a及び従動下側アーム部90bの噛み合わせにより従動側アーム90の作動角を大きくできる。
次に、上記の構成の下で、主に図8〜図9を用いて本実施の形態の乗用型田植機1における苗植付動作について説明する。
図8は、株間レバー123の設定位置と各部の動作状況等との関係を説明する図である。
先ず、株間レバー123が「通常植え」(50〜70株)の位置に設定されたときは(図8の例1参照)、次の通りである。
即ち、制御回路3は、株間検知ポテンショメータ210からの検知結果が、「通常植え」の位置である旨を示していると判断し、リードカム伝達クラッチ用ソレノイド231をON状態にする制御指令を出力して、リードカム伝達クラッチ232を、植付伝動軸8からの駆動力がリードカム軸82へ伝達されない状態(伝達不能状態)に作動させるとともに、ステッピングモータ用クラッチ242についても制御指令を出力して、ギアケース241内の駆動系(図示省略)とリードカム軸82とを連結させる。
更にこのとき制御回路3は、上記の株間検知ポテンショメータ210からの検知結果が「通常」であることを受けて、苗載せ台22の左右方向への移動速度を「通常速度」にすべく、ステッピングモータ240の回転数を「通常速度」用に設定する。
一方、マット苗を点検した作業者は、縒れが生じる可能性が有ると判断して、縒れ対策指示スイッチ270をONしたものとする(図8の、例1における、縒れ対策指示スイッチの欄を参照)。
縒れ対策指示スイッチ270がONされたことを検知した制御回路3は、マット苗に生じることがある縒れに起因した欠株状態等の苗の植付不良の発生を防止するべく、ステッピングモータ240の回転速度を制御する。
即ち、制御回路3は、端部移動スイッチ250L、250Rにより、苗載せ台22がマット苗28を収納する区画の左右の端部まで移動したことが検知されることにより、苗載せ台22を逆方向に移動させる際に、ステッピングモータ240を制御して、苗載せ台22の移動速度を通常速度より速くし、所定時間経過後、再び通常速度にもどすという制御を繰り返す。この制御については、更に、図9を用いて後述する。
尚、「疑似疎植」モード(図8の例2参照)のときは、制御回路3は、擬似疎植指示スイッチ260からの指示を受け付けることが可能であるが、図8の例1では、作業者が擬似疎植指示スイッチ260をOFFに設定したときの例を示している。
また、例1では、ロータリーケース31は、株間レバー123が「通常植え」(50〜70株)の位置に設定されているので、それに対応した駆動力を植付伝動ケース21から得て、「通常植え」モードの回転数で回転する。
これにより、欠株状態等の苗の植付不良の発生を防止出来る。
次に、作業者が、株間レバー123が「通常植え」(70株)の位置に設定し、且つ、擬似疎植指示スイッチ260をONしたときの例(図8の例2参照)を説明する。このとき、制御回路3は、以下に説明する「擬似疎植」モードの制御を行う。
このとき、ロータリーケース31は、上記の例1と同様に、株間レバー123が「通常植え」の70株の位置に設定されているので、それに対応した駆動力を植付伝動ケース21から得て、70株用の回転数で回転する。
また、このとき制御回路3は、上記の株間検知ポテンショメータ210からの検知結果が「通常植え」の70株に設定されていることを受けて、苗載せ台22の左右方向への移動速度を70株用(通常速度)にすべく、ステッピングモータ240の回転数を70株用に設定する。
これに対して、例2と例1の違いは、制御回路3が、株間検知ポテンショメータ210からの検知信号を得て、株間レバー123が70株(「通常植え」)の位置にあると判断し、且つ、擬似疎植指示スイッチ260からのON信号を検知すると、ステッピングモータ240を間歇的に駆動させる点である。
即ち、本例2では、例1と異なり、制御回路3が、苗植付具27a、27bの動きと連動するべく、ステッピングモータ240に対して、通常回転と回転停止(又は、微速回転)を交互に繰り返えす制御を行う。これにより、一つのロータリーケース31において二つ設けられている苗植付具27a、27bの内の一つの苗植付具27aが苗を取った後、ステッピングモータ240は回転を停止するので、苗置き台22は横移動しないため、他の一つの苗植付具27bが、マット苗28に対して苗を取りに来たときには、直前に苗植付具27aによって苗が取られて苗の無い部分を通過する。その後、ステッピングモータ240は通常回転を開始し、苗置き台22は横移動をするので、次に、苗植付具27aが苗を取りに来たときには、苗の有る部分を通過して苗を取ることが出来る。
つまり、苗植付具27a、27bに設けられている苗取り爪36が、実際にマット苗28から苗を取る作業を1回毎に空振りさせることが出来て、結果的に35株の「擬似疎植」モードを実現することが出来る。
また、例2では、例1と同様に、縒れ対策指示スイッチ270がONされているものとし、上述した縒れ対策としてのステッピングモータ240の回転数制御を行う。
これにより、苗載せ台22が往復移動する際、一つのロータリーケース31に取り付けられている二つの苗植付具27a、27bの内の一方の苗植付具27aが苗を取った後、他方の苗植付具27bが苗を取らなくすることが出来るので、疎植時の植付精度が向上する。
次に、株間レバー123が「疎植」(37〜47株)の位置に設定されたときは(図8の例3参照)、次の通りである。
即ち、
また、このとき制御回路3は、上記の株間検知ポテンショメータ210からの検知結果が「疎植」位置であることを受けて、苗載せ台22の左右方向への移動速度を「疎植速度」にすべく、ステッピングモータ240の回転数を「疎植速度」用に設定する。
更に、例3では、ロータリーケース31は、株間レバー123が「疎植」の位置に設定されているので、それに対応した駆動力を植付伝動ケース21から得て、「疎植」モード用の回転数で回転する。
一方、例3では、マット苗を点検した作業者は、縒れが生じる可能性が有ると判断して、縒れ対策指示スイッチ270をONしている(図8の、例3における、縒れ対策指示スイッチの欄を参照)ので、上記の例と同様の動作を行う。
これにより、「疎植」モードのときでも、必要に応じて、欠株状態等の苗の植付不良の発生を防止出来る。
但し、例3のときは、上述した通り、ステッピングモータ240は、「疎植」モード用の回転数で回転している。その為、制御回路3は、端部移動スイッチ250L、250Rにより、苗載せ台22がマット苗28を収納する区画の左右の端部まで移動したことが検知されることにより、苗載せ台22を逆方向に移動させる際に、ステッピングモータ240を制御して、苗載せ台22の移動速度を「疎植」モード用の速度より速くし、所定時間経過後、再び「疎植」モード用の速度に戻すという制御を繰り返す。
次に、株間レバー123が「密植」(80〜90株)の位置に設定されたときは(図8の例4参照)、次の通りである。
例4では、上記の例1〜例3とは異なり、ステッピングモータ240を用いた苗載せ台22の往復移動は行われない。「密植」の場合は、走行速度を上げた際にモーターやギアに相当な負荷をかけることがあるからである。
即ち、制御回路3は、株間検知ポテンショメータ210からの検知結果が、「密植」位置である旨を示していると判断し、リードカム伝達クラッチ用ソレノイド231をOFF状態にする制御指令を出力して、リードカム伝達クラッチ232を、植付伝動軸8からの駆動力が植付伝動ケース21を介してリードカム軸82へ伝達される状態(伝達可能状態)に作動させるとともに、ステッピングモータ用クラッチ242についても制御指令を出力して、ギアケース241内の駆動系(図示省略)とリードカム軸82との連結を解除させる。
これにより、駆動力が、植付伝動ケース21内のギヤ機構を介してリードカム軸82に伝達されて、苗載せ台22の左右方向への往復移動を実現することが出来るので、高いトルクの必要な密植作業時に、苗載せ台22の往復移動が停滞することが防止され、苗の植付精度が向上する。
尚、このとき、マット苗を点検した作業者は、縒れが生じる可能性が無いと判断して、縒れ対策指示スイッチ270をOFFしたものとする(図8の、例4における、縒れ対策指示スイッチの欄を参照)。
また、例4では、株間レバー123が「密植」の位置であるので、制御回路3は、擬似疎植指示スイッチ260からの如何なる指示も受け付けないものとする。
次に、図9を用いて、縒れ対策指示スイッチ270がONされたときの苗載せ台22上のマット苗28の動きと、苗植付具27a、27bの動きを更に詳細に説明する。
図9は、縒れ対策指示スイッチ270がONされたときの苗載せ台22上のマット苗28の動きと、苗植付具27a、27bの動きを説明する模式図である。
図9では、次の動きをステップ毎に模式的に示している。
即ち、マット苗28において、一つのロータリーケース31に設けられた二つの苗植付具27a、27bが回転しながら交互に、最下段の苗の右端から左端に向かって順次、苗を取って行き(ステップS100〜ステップS102、矢印501参照)、最下段の苗の横一列(これを第1列目と呼ぶ)を全て取り終わる位置まで、即ち、苗載せ台22が左右移動行程の右端部に到達すると(ステップS103参照)、図7で説明した通り、苗送りベルト91が所定量だけ作動して、マット苗28が苗置き台22の表面を下方にスライド移動する(ステップS104、矢印502参照)。このとき、第1列目の上に横一列に配置されていた第2列目が、最下段の位置に来ている(ステップS104参照)。
ここで、マット苗28に生じる縒れについて説明する。
図9のステップS100で示した第1列目の苗には縒れは発生していないが、ステップS103〜ステップS104で示した第2列目の苗の両端には、縒れ300L、300Rが発生している。
この縒れ300L、300Rは、育苗培土の土質や根の張り具合によっては、苗植付具27a、27bにより苗が順次取られると、自重により左右方向を基準として中央に向かって発生し、マット苗28の左右両側下部、又は左右片側下部において徐々に苗が折れ曲がり、隙間が生じるという現象として表れる。図9では、マット苗28の左右両側株に縒れ300L、300Rが生じた状態を示している。
尚、図9では、苗植付具27a、27bにより取られる苗の一株分の領域400を各列において縦の実線で区切って表しており、その一株分の領域400において、苗が既に取られた後の空間の領域410を×印を入れて表している。また、マット苗28の横送り量は上記の一株分の領域400に対応した幅wを基準として表し、また、マット苗28の横送り方向は矢印501、503で表した。また、苗送りベルト91の作動によりマット苗28が下方に移動する方向を矢印502で表した。
ここで再び、図9の各ステップの説明に戻る。
まず最初に、本実施の形態の理解を容易にする目的で、比較例として従来の構成と同様、縒れに対して何も対策しないときの動作を説明する。
即ち、ステップS104で第2列目が最下段に移動したとき、逆回転を開始したリードカム軸の回転数は通常の回転数から変更されていないので、苗植付具27aが第2列目の左端の幅wの領域の苗を最初に取ることになるが、左端の幅wの領域において縒れ300Lが発生しているため、所定量よりも少ない量の苗しか取れない。ここで、縒れ300Lの下端部の幅は約wの半分程度であるとする。縒れの幅が更に大きいときは、欠株となる。
これに対して、本実施の形態の構成では、ステップS104で第2列目が最下段に移動したとき、苗載せ台支持フレーム93に設けられた端部移動スイッチ250Rも、右側の仕切り壁部251Rに当たって、苗載せ台22が左右移動端の右側に到達したことを検出し、制御回路3にその旨を示す検出結果を送る。
そこで、ステップS105では、例1で説明した通り、作業者が既に縒れ対策指示スイッチ270をONしているので、苗載せ台22が左右移動端の右側に到達した旨の検出結果を受けた制御回路3は、ステッピングモータ240に対して、例1において株間レバー123で設定されている「通常植え」位置に対応する、苗載せ台22の通常の移動速度(通常速度)よりも速い移動速度で回転させる。この制御により、苗植付具27aが第2列目において最初に苗を取り始めるときは、上記の比較例で説明したときに比べて、既に左端から約0.5wの幅だけ右方向にずれている。
つまり、縒れ300Lが発生している領域401L(下端幅が約0.5w)の右隣の、縒れが発生していない幅wの領域401に対して、一方の苗植付具27aが苗を取りに来る(ステップS105参照)。
このとき、領域401に進入した一方の苗植付具27aにより、領域401のみならず、その左隣の幅役0.5wの領域に残っている苗も合わせて取ってしまうので、苗の取り残しが発生することは無い。
次に、制御回路3は、ステッピングモータ240の回転速度を増加させた後、植付側出力軸7aの回転数を検知する回転数検知センサー220が、植付側出力軸7a、即ち、それに連結されている植付伝動軸8が1回転したことを検知した旨の信号を得ると、ステッピングモータ240の回転速度を元の通常速度より補償速度αだけ減じた速度に戻す旨の指令をステッピングモータ240に出力する。
ここで補償速度αについて説明する。即ち、本実施の形態では、ステッピングモータ240の回転速度を変更する制御を行うか否かに関わらず、1回当たりの苗の取り量を設定量より極端に低下させることなく、マット苗28の横幅当たりの苗の取り数を一定値に維持することを目的として補償速度αを設定している。つまり、上記の通り、縒れ対策として、ステッピングモータ240の回転速度を上昇させると、第2列目の最初の苗取りのときには、マット苗28は、通常速度のときに比べて、既に0.5wだけ左方向に移動しているので、領域402での苗取りに際して、単純に元の通常速度に戻し、領域の幅をwにして、その後も領域の幅をwとして苗取り動作を続けると、最後から1つ手前の領域までは、幅がwであるが、最後の右端の領域の幅は、wではなく0.5wとなり、苗の取り量が極端に低下する可能性がある。
そこで、これを避けるために、単純に元の速度に戻すのではなく、苗載せ台22の移動量、即ち領域402の幅が、wよりβだけ狭いw−βの均等幅に設定すべく、この幅に対応した移動速度として、通常速度から補償速度αを減じた補償後の速度に戻すものである。
例えば、マット苗28の横幅が30cmとして、その幅に対応した苗取り数が24回とすると、左側の領域402から右端の領域403(図9のステップS107参照)までの補償後の移動速度は、苗取り1回当たり、(30−30÷24×1.5)÷23≒1.22(cm/回)となり、通常の移動速度が30÷24=1.25(cm/回)であるのと比べても微差であり、残りの23回の苗取りにおいて、苗の取り量が設定量より極端に低下することが防止出来る。
これにより、他方の苗植付具27bが領域401の右隣の幅w−αの領域402に対して苗を取りに来る(ステップS106参照)。
そして、この苗取り動作を繰り返し行い、第2列目の右端の幅w−αの領域403の苗を苗植付具27bが取る(ステップS107参照)。
ここで、第2列目の右側に発生していた縒れ300Rは、マット苗28が左方向に移動して、苗植付具27bが第2列目の右端の領域403を取りに行く頃には無くなっている。そのため、本実施の形態では、右端の領域403に対しては縒れ対策としてのステッピングモータ240の速度変更の制御は行わない。
そして、第2列目の苗の横一列を全て取り終わる位置まで、即ち、苗載せ台22が左右移動行程の左端部に到達すると(ステップS107参照)、図7で説明した通り、苗送りベルト91が所定量だけ作動して、ステップS104で説明したのと同様に、マット苗28が苗置き台22の表面を下方にスライド移動する。このとき、ステップS104と同様に、第2列目の上に横一列に配置されていた第3列目が、最下段の位置に来ている。
第3列目の左右端には縒れ301L、301Rが発生している(ステップS107参照)。
従って、制御回路3は、苗植付具27aが第3列目の右端において、最初に苗を取りに行くときには、ステップS104で説明した縒れ対策と同様、ステッピングモータ240に対して、通常速度よりも速い移動速度で回転させる。この制御により、苗植付具27aが第3列目において最初に苗を取り始めるときは、既に右端から約0.5wの幅だけ左方向にずれている(ステップS108参照)。
つまり、縒れ301Rが発生している領域404R(下端幅が約0.5w)の左隣の、縒れが発生していない幅wの領域404に対して、一方の苗植付具27aが苗を取りに来る(ステップS108参照)。
このとき、領域404に進入した一方の苗植付具27aにより、領域404のみならず、その右隣の幅役0.5wの領域404Rに残っている苗も合わせて取ってしまうので、苗の取り残しが発生することは無い。
その後の動作は、ステップS106〜ステップS107と同じである。
次に、図10を用いて、苗載せ台22と、その苗載せ台22の下端側に設けられた苗受け枠20との接触面に自動給油する構成について説明する。
図10は、自動給油機構を示す概略図である。
図10に示す通り、植付クラッチ用入り切りモータ600には、正逆回動可能なモータアーム601が設けられており、そのモータアーム601の近傍には、植付クラッチピン121aを押し込む動作に連動して、自動給油ポンプ650の給油ヘッド651を押圧する、レバー回動軸643により正逆方向に回動可能に支持された回動レバー640が設けられている。
回動レバー640の一端部641は、押し上げバネ630に連結されているので、レバー回動軸643を中心に常に矢印612の方向に回動しようとする力が付勢されている。また、回動レバー640の他端側は、その先端部642が、自動給油ポンプ650の給油ヘッド651の上方位置にまで延びており、レバー回動軸643と先端部642の間に位置する中間部645は、植付クラッチケース7に先端側が挿入されている植付クラッチピン121aの後端側と摺動可能に連結されている。給油ヘッド651には、給油口652が設けられており、給油口652には、給油チューブ653の一端が取り付けられており、給油チューブ653の他端は、苗受け枠20の苗載せ台22を受ける側の面の給油可能に固定されている。
これにより、モータアーム601が、正回転(図10の矢印610参照)すると、回動レバー640の一端部641が矢印612の方向に回動し、中間部645が植付クラッチピン121aの後端側を押し込む方向(図10の矢印620参照)に移動させ、植付クラッチ121を「切り」(即ち、植付動作を開始する)状態にすると共に、先端部642が、自動給油ポンプ650の給油ヘッド651を矢印622の方向に押圧するので、給油口652から極少量の潤滑油が給油チューブ653を経由して苗受け枠20側に供給される。
また、モータアーム601が、逆回転(図10の矢印611参照)すると、回動レバー640の一端部641が矢印613の方向に回動し、中間部645が植付クラッチピン121aの後端側を引き出す方向(図10の矢印621参照)に移動させ、植付クラッチ121を「入り」(即ち、植付動作を停止する)状態にすると共に、先端部642が、自動給油ポンプ650の給油ヘッド651から離れる方向に移動するので、給油口652からの給油は停止される。
これにより、植付クラッチピン121aの動きに連動して、自動給油ポンプ650を作動させることが出来るので、植付作業中にのみ自動的に給油が行える。
尚、給油する場所は、苗受け枠20に限らず、例えば、昇降リンク支点であっても良い。
本願明細書で示すクラッチの入り状態とは、クラッチが切断され、エンジンからの動力が伝達されていない状態のことを、また、クラッチの切り状態とは、クラッチが接続され、エンジンからの動力が伝達されている状態のことをいうものとする。
次に、苗載せ台22と、その苗載せ台22の下端側に設けられた苗受け枠20との接触面に自動給油する別の構成について説明する。
即ち、図10では、植付クラッチピン121aの動きに連動して、自動給油ポンプ650が作動する構成について説明したが、ここでは、植付クラッチピン121aに代えて、各条毎に設けられた苗植付装置23への駆動力の伝達を一部の苗植付装置23に対して入り切りする部分条クラッチ(畦クラッチとも呼ぶ)(図示省略)の手動部分条クラッチ入り切りレバー700(図1参照)の動きに連動させた構成である。
これにより、手動部分条クラッチ入り切りレバー700を切り状態にすることで、自動給油ポンプ650を作動させて、手動部分条クラッチ入り切りレバー700を入り状態にすることで、自動給油ポンプ650を作動させないという制御が可能である。
次に、手動部分条クラッチ入り切りレバー700の動きに連動させた自動給油機構に代えて、電動式の部分条クラッチ切替機構1070の動きに連動させた自動給油機構の構成・動作について、図11、図12を用いて説明する。
尚、上記実施の形態では、6条植の苗植付部15が連結されている乗用型田植機1について説明したが、ここでは、8条植の苗植付部が連結されている乗用型田植機について説明する。
先ず、苗植付装置1052への駆動力の伝動の入切を2条ごとに制御する部分条クラッチの構成及び動作について説明する。
図11に、苗植付装置1052への駆動力の伝動の入切を2条ごとに制御する部分条クラッチの接続構成を示すブロック図を示す。
図11では、植付伝動ケース1050及び苗植付装置1052の部分について、上から視た図を示している。
植付伝動ケース1050の後部の4つに分岐したそれぞれの後端部に、2条分の苗を植え付ける苗植付装置1052が設けられている。ここでは、それらの4つの苗植付装置1052を、機体の左側から順に、第1苗植付装置1052a、第2苗植付装置1052b、第3苗植付装置1052c及び第4苗植付装置1052dと呼ぶこととする。
植付伝動ケース1050の後部の4つに分岐したそれぞれの後端部には、各後端部に設けられているロータリーケース1016及び苗植付具1054への駆動力の伝達を入切する部分条クラッチが設けられており、2条分の苗を植え付ける苗植付装置1052ごとの苗の植え付け動作を個別に制御出来る構成となっている。すなわち、第1部分条クラッチ1071a、第2部分条クラッチ1071b、第3部分条クラッチ1071c及び第4部分条クラッチ1071dによって、それぞれ、第1苗植付装置1052a、第2苗植付装置1052b、第3苗植付装置1052c及び第4苗植付装置1052dへの駆動力の伝動が入切される。
第1部分条クラッチ1071a、第2部分条クラッチ1071b、第3部分条クラッチ1071c及び第4部分条クラッチ1071dは、それぞれ、第1クラッチワイヤー1072a、第2クラッチワイヤー1072b、第3クラッチワイヤー1072c及び第4クラッチワイヤー1072dによって部分条クラッチ切替機構1070に接続されている。第1クラッチワイヤー1072a、第2クラッチワイヤー1072b、第3クラッチワイヤー1072c及び第4クラッチワイヤー1072dが、部分条クラッチ切替機構1070によって引っ張られることにより、対応する第1部分条クラッチ1071a、第2部分条クラッチ1071b、第3部分条クラッチ1071c及び第4部分条クラッチ1071dが「入」状態となり、対応する第1苗植付装置1052a、第2苗植付装置1052b、第3苗植付装置1052c及び第4苗植付装置1052dへの駆動力の伝動が切れる。
部分条クラッチ切替機構1070を操作する切替ダイヤル1073が、操縦ハンドル17の横に配置されており、作業者は、運転座席16に座った状態で、切替ダイヤル1073を操作することが出来、部分条クラッチの切替制御を行うことが出来る。
図12(a)に、乗用型田植機の前側から視た、部分条クラッチ切替機構1070の正面図を示し、図12(b)に底面図を示す。
切替機構支持フレーム1075の手前側に、第1切替アーム1076、第2切替アーム1077及び第3切替アーム1078が、それぞれ、第1回動支点1079、第2回動支点1080及び第3回動支点1081を中心として回動自在に取り付けられている。
第1切替アーム1076は、上部に接触ピン摺動孔1084が形成されたリング状の部材である。又、第2切替アーム1077及び第3切替アーム1078は、弧状の形状である。
これらの切替アームは、手前側から、第1切替アーム1076、第2切替アーム1077、第3切替アーム1078の順に、前後方向に重なる構成で配置されている。
第1切替アーム1076の下端部には、第1クラッチワイヤー1072a及び第4クラッチワイヤー1072dのそれぞれの端部が連結している。
又、第2切替アーム1077の下端部には、第2クラッチワイヤー1072bが連結しており、第3切替アーム1078の下端部には、第3クラッチワイヤー1072cが連結している。
図12(a)、及び図12(b)、いずれのクラッチワイヤーも引っ張っていない状態、すなわち第1部分条クラッチ1071a、第2部分条クラッチ1071b、第3部分条クラッチ1071c及び第4部分条クラッチ1071dのいずれも「切」となっている状態を示している。
第1切替アーム1076が、図12(a)に示す状態から、第1回動支点1079を中心に右回り(時計回り)に回動すると、第1クラッチワイヤー1072aが引っ張られ、第1部分条クラッチ71aが「入」となる。
一方、第1切替アーム1076が、図12(a)に示す状態から、第1回動支点1079を中心に左回り(反時計回り)に回動すると、第4クラッチワイヤー1072dが引っ張られ、第4部分条クラッチ1071dが「入」となる。
第2切替アーム1077、及び第3切替アーム1078についても、上記と同様に右回り回動すると、第2部分条クラッチ1071b、及び第3部分条クラッチ1071cが「入」となる。
切替機構支持フレーム1075の奥側には、弧状の縁部に歯が形成されている扇形状の連続切替ギヤ1082が、切替ギヤ回動支点1087を中心として回動自在に取り付けられている。
連続切替ギヤ1082の弧状の縁部に形成されている歯は、切替モーター1074によって回転する切替機構駆動ギヤ1083の歯と噛み合っており、連続切替ギヤ1082は、切替機構駆動ギヤ1083の回転に伴って、切替ギヤ回動支点1087を中心に回動する。
連続切替ギヤ1082の弧状の縁部に近い位置に、アーム接触ピン1086が立設している。
そして、アーム接触ピン1086を貫通させるべく、切替機構支持フレーム1075の、アーム接触ピン1086に対応する位置に接触ピン移動孔1085が形成されている。接触ピン移動孔1085は、切替ギヤ回動支点1087を中心とする弧状の長孔であり、連続切替ギヤ1082が回動する際に、アーム接触ピン1086が、接触ピン移動孔1085内を移動する構成となっている。
切替ギヤ回動支点1087を貫通する構成で配置されているアーム接触ピン1086は、最も手前に配置されている第1切替アーム1076の接触ピン摺動孔1084も貫通する長さを有している。
したがって、連続切替ギヤ1082の回動に伴ってアーム接触ピン1086が移動する際、接触ピン摺動孔1084の内縁に接触して押しながら移動するので、第1切替アーム1076の姿勢を矢印1100に示す左右方向に変化させる。
具体的には、例えば、図12(a)に示す状態から、連続切替ギヤ1082が左回りに回動すると、アーム接触ピン1086によって接触ピン摺動孔1084の右側の内縁部分が押されていき、第1切替アーム1076の上部を右に移動させる。第1切替アーム1076は、第1回動支点1079を中心として回動するので、右回りに回動し、第1クラッチワイヤー1072aが引っ張られる。
この様な構成のもとで、自動給油ポンプ650は、第1切替アーム1076の下端が真下にあるときに、給油ヘッド651を矢印1101の方向に押し、第1切替アーム1076が、矢印1100の何れの方向に移動したときも、給油ヘッド651を押さない位置に配置されている。
これにより、電動式の部分条クラッチ切替機構1070の動きに連動して、自動給油を行うことが出来る。
尚、アーム接触ピン1086は、第2切替アーム77、及び第3切替アーム78についても、上記と同様に姿勢を変化させる。但し、第2切替アーム1077と第3切替アーム1078とは、アーム接触ピン1086が接触するときのアーム接触ピン1086の位置が異なるので、同時には回動しない。したがって、第2クラッチワイヤー1072bと第3クラッチワイヤー1072cとは、同時には引っ張られない。
次に、図13、図14を用いて苗置き台の折り畳み機構について説明する。
尚、上記実施の形態では、6条植の苗載せ台22が設けられている乗用型田植機1について説明したが、ここでは、8条植の苗載せ台が設けられている乗用型田植機について説明する。
図13は、8条植の乗用型田植機800の平面図であり、図14は、苗置き台の折り畳み機構を説明するための概略模式図である。
尚、図2と同じ構成には、同じ符号を付しその説明を省略する。
図13に示す通り、本実施の形態の乗用型田植機800は、苗載せ台822として、左側から順番に第1苗載せ台822a、第2苗載せ台822b、第3苗載せ台822c、第4苗載せ台822d、第5苗載せ台822e、第6苗載せ台822f、第7苗載せ台822g、第8苗載せ台822hが設けられており、それぞれに左右一対の苗送りベルト891が設けられている。更に、苗植付装置823が8条分配置されている。
また、図14に示す通り、苗載せ台822の背面側であって、第2苗載せ台822bと、第7苗載せ台822gの裏面上端側には、左右両端に位置している第1苗載せ台822aと第8苗載せ台822hを、それぞれ回動可能に支持する左苗載せ台支持フレーム850Lと、右苗載せ台支持フレーム850Rが、固定されており、その先端側が、それぞれ、第1苗載せ台822aと第8苗載せ台822hの裏面上端角部から、左右両端に位置している第1苗載せ台822aと第8苗載せ台822hの上方側に傾斜しながら延びている構成である。また、左苗載せ台支持フレーム850L、及び右苗載せ台支持フレーム850Rの先端部には、それぞれ回動支軸851L、851Rが設けられている。
また、左右両端に位置している第1苗載せ台822aと第8苗載せ台822hの裏面上端部には、先端部852La、852Raが上方側に延びた左苗載せ台アーム852L、右苗載せ台アーム852Rがそれぞれ固定されており、先端部852La、852Raは、それぞれ回動支軸851L、851Rを介して、図14の矢印860L、860Rに示す通り、左苗載せ台支持フレーム850L、及び右苗載せ台支持フレーム850Rにより回動可能に支持されている。
また、回動支軸851L、851Rは、左右両端に位置している第1苗載せ台822aと第8苗載せ台822hの左上端角部822a1、右上端角部822h1を基準として、上方に距離Eだけ離れており、且つ、苗載せ台822の中央側に距離Dだけ離れた位置に、それぞれ位置しており、且つ、D=Eとして構成されている。即ち、この構成によれば、図14に示した、左上端角部822a1、右上端角部822h1から延びた左45度線865L、右45度線865Rの線上に設定された構成である。
上記構成によれば、乗用型田植機800を収納するとき、作業者は、左右両端に位置している第1苗載せ台822aと第8苗載せ台822hを、回動支軸851L、851Rを中心として、それぞれ、矢印860L、860Rの方向に270度だけ回動させることにより、苗載せ台822の前方で且つ斜め上方の位置に収納することが出来る。このとき、収納された第1苗載せ台822aと第8苗載せ台822hの、苗送りベルト側第1端部870と、苗送りベルト側第8端部871は、図14に示す通り、互いに隙間無く対面する位置に納まり、重なることは無い。
これにより、収納時において、苗載せ台822の左右幅を小さくでき、収納スペースを小さく出来る。
尚、図14に示す構成では、収納された第1苗載せ台822aと第8苗載せ台822hの、苗送りベルト側第1端部870と、苗送りベルト側第8端部871が、互いに隙間無く対面する位置に納まり、重ならない構成としたが、これに限らず、例えば、苗送りベルト側第1端部870と、苗送りベルト側第8端部871が、互いに上下において重なる構成であっても良い。これにより、収納された第1苗載せ台822aと第8苗載せ台822hの位置が互いに更に中央寄りに納まるので、苗載せ台822の収納時における左右幅が更に小さくすることが出来る。
また、図14に示す構成では、D=Eとしたときについて説明したが、これに限らず例えば、D<Eとしても良い。
尚、上記実施の形態では、リードカム軸82をステッピングモータ240で回動させるか、植付電動ケース21のギヤ機構を介して回動させるかを切替出来る構成について説明したが、これに限らず例えば、リードカム軸82をステッピングモータ240でのみ回動させる構成であっても良い。この構成では、切替機構に関する構成は不要となり、より簡単な構成で苗載置台の左右往復駆動を可能とする苗移植機を提供することが出来る。
また、上記実施の形態では、縒れ対策を行う際に、苗載せ台22の移動速度を単純に元の移動速度に戻すのではなく、補償速度αを減じた補償後の速度に戻す構成について説明したが、これに限らず例えば、マット苗28の各列の最後の左右端の領域での苗の取り量が極端に低下する可能性がなければ、単純に元の移動速度に戻す構成でも良い。
尚、本発明の「通常速度に戻す」ことの例としては、上記において説明した補償後の速度に戻す構成の例と、補償を加味しないで元の速度に戻す構成の例の両方が含まれる。
また、本発明の「通常速度」の例としては、上記実施の形態の例1〜3で説明した通常植用速度と疎植用速度が含まれる。
また、上記実施の形態では、左側の端部移動スイッチ250L、及び右側の端部移動スイッチ250Rにより、苗載せ台22がマット苗28を収納する区画の左右の端部まで移動したことが検知されることにより、苗載せ台22を逆方向に移動させる際に、ステッピングモータ240を制御して、苗載せ台22の移動速度を制御前の速度より速くし、所定時間経過後、所定速度(元の速度、又は補償後の速度)まで低下させるという、マット苗28の2列目以降の各列の左右端の内の片側の端部に対して行う縒れ対策について説明した。
しかし、これに限らず例えば、マット苗28の2列目以降の各列で最後に苗を取る側の端部においても縒れが残っている状況があれば、マット苗28の2列目以降の各列の左右端の両方に対して縒れ対策を行う構成でも良い。即ち、このときの最後に苗を取る側の端部における縒れ対策は、上述した補償速度の考え方を応用して、苗載せ台22が逆方向に移動するとき、ステッピングモータ240の速度を元の速度より速くして、その後、再び速度を低下させる際に、元の速度から上述した補償速度αを減じるのではなく、補償速度αよりも大きな第2補償速度γ(α<γ)を減じる構成でも良い。
ここで、第2補償速度γは、例えば、マット苗28の横幅を30cmとして、その幅に対応した苗取り数が24回とすると、24回目の苗を取る領域とマット苗28の最端部との間に、その列の最初の1回の苗取り領域の幅w(30÷24(cm)=1.25(cm))の半分、即ち、0.5w(0.625(cm))の幅(縒れが発生している幅に相当する)だけ隙間を残すべく設定する構成である。これにより、マット苗28の24回目の苗を取る領域に縒れの部分が含まれることを防止することが出来る。
具体例としては、第2補償速度γを減じたときの、その列の2回目移行から24回目までの、苗取り1回当たりの移動速度は、{30−30÷24×(1.5+0.5)}÷23≒1.20(cm/回)となる。更に、制御回路3は、一方の苗植付具27bが24回目の苗を取ったことを、回転数検知センサー220の検知結果等から判定出来る構成であるので、制御回路3は、その判定をしたとき、同時に、ステッピングモータ240に対して、回転速度を上昇させる指令を出し、苗載せ台22の移動速度を上昇させて端部移動スイッチ250L、250Rによる検知を速やかに行わせて、他方の苗植付具27aが次の列の最初の苗を取りに来るまでに、苗送りベルト91の動作を完了させるとともに、ステッピングモータ240を逆転させて、上記ステップS108で説明したのと同様の縒れ対策を開始する構成である。
尚、この構成では、24回目の領域に隣接するマット苗28の最端部の0.5wの領域において、仮に縒れが発生していなかったときでも、24回目の苗が取られるときに、その最端部の0.5wの領域に存在する苗も一緒に取ってしまうので、苗の取り残しは発生しない。
また、上記実施の形態では、例2において、ステッピングモータ240の間歇的動作と縒れ対策を合わせて行う構成について説明したが、縒れ対策指示スイッチ270を設けない構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、縒れ対策として、苗載せ台22の移動方向を逆転させたときに、苗植付具27aがその列において最初に苗を取り始めるときは、ステッピングモータ240の回転速度を所定量上昇させることにより、縒れ対策を行わないときに比べて、左又は右の端部から約0.5wの幅だけずれた位置に苗載せ台22を移動させておく構成について説明したが、これに限らず例えば、縒れの発生状況などに応じて、ステッピングモータ240の回転速度の上昇量を変更することにより、ずれ量を0.5w以外の幅に変更しても良い。
また、上記実施の形態では、苗載せ台22を逆方向に移動させる際、マット苗28の端部(図9のステップS105の縒れ300L参照)には必ず縒れが存在しているものとして、苗載せ台22の移動速度を速くする構成について説明した。
この構成によれば、縒れ300Lが存在しないときでも、縒れ対策指示スイッチ270がONされているときは、苗載せ台22の移動速度を速くする制御が一律に行われるが、その制御が行われても、上述した通り苗載せ台22のずれ幅は、0.5w程度であるので、例えば、ステップS105において、領域401に対して、一方の植付具27aが苗を取りに行ったとき、隣接する領域401L(ここでは、縒れが発生していないものとする)の苗も全て引きずられて取られるので、苗の取り残しは発生しない。