以下、本発明の移植機の一実施の形態の苗移植機について説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態1では、本発明の移植機の一実施の形態の苗移植機について、図面を用いて説明する。
図1に、本実施の形態の苗移植機1の概略の左側面図を示し、図2に概略の平面図を示す。
野菜などの苗を移植する苗移植機1は、図1、図2に示すように、走行車輪としての左右一対の前輪2および後輪3を備えた走行車体15と、走行車体15の前部に配置されたエンジン12およびミッションケース(主伝動ケースとも呼ぶ)4と、走行車体15の後部に配置された、苗22(図7参照)を圃場の畝Uに植え付けるべく植付具11を上下揺動させる苗植付装置300と、その苗22を収容したトレイ20(図7参照)を供給するトレイ供給装置100と、そのトレイ供給装置100のトレイ20の育苗ポット21(図7参照)の内部に取出部材260を突入させて苗22を取りだして植付具11へ供給する取出装置200と、苗22の植付深さを一定に保つためのセンサ板710を含む植付深さ調整機構700(図12参照)と、鎮圧輪13、操縦ハンドル8、及び操縦ハンドル8の中央部に配置された操作部600等を備えて構成されている。
また、本実施の形態の苗移植機1には、圃場の畝Uに予め敷かれたマルチフィルム19に接触して、孔開け具510により苗植え付け用の植付孔を開ける孔開け装置500(図3(a)参照)が、植付具11の前方に配置されている。孔開け装置500による孔開け具510の動きは、植付具11の動きと同期しており、孔開け具510により開けられた植付孔に、植付具11が突入して苗22を植え付ける構成である。
尚、植付具11の下端部は、苗植付装置300の作動によって、静止軌跡(走行車体15の走行を停止した状態の軌跡)として、図1に示す植付軌跡T1を描く構成である。
また、本実施の形態の苗22は、本発明の移植物の一例にあたる。
また、トレイ供給装置100には、図2に示す通り、トレイ搬送路111上にトレイ20が載置されていないことを検知するためのトレイ検知装置1100が設けられている。
本実施の形態の苗移植機1のトレイ供給装置100の送り動作には、(1)トレイ20の横方向一列分の育苗ポット21の苗22が、取出部材260により順次取り出されるべく、苗置台110が、間欠的に左右横方向に送られる横送り動作と、(2)横方向一列分の全ての育苗ポット21の苗22の取り出しが完了した後、苗置台110上のトレイ20が、トレイ送りロッド121により育苗ポット21の横方向一列分について下方向に送られる縦送り動作がある。
トレイ送りロッド121による縦送りは、トレイ20の裏面側の隣接する育苗ポット21間の溝部にトレイ送りロッド121の先端部が係合した状態となり、この状態でトレイ送りロッド121が側面視で略四角形の軌跡A(図8参照)を描いて回動することにより、トレイ20がトレイ搬送路111に沿って斜め下方に間欠的に縦送りされることで実行される。
尚、トレイ供給装置100、及びトレイ検知装置1100の詳細な構成については、図7〜図8を用いて後述する。
また、図1、図2に示す通り、エンジン12から出力される回転動力は、ミッションケース4により分岐され、左右一対の走行伝動ケース9を介して左右一対の後輪3に伝動されるとともに、ミッションケース4の後側に設けられた植付伝動装置18にも伝動される構成である。
即ち、本実施の形態の苗移植機1では、上述した通り、圃場の畝Uに予め敷かれたマルチフィルム19に対して孔開け装置500により苗植え付け用の孔を開け、育苗ポット21から苗22を取り出してその孔に植付けるべく、ミッションケース4からの駆動力が植付伝動装置18に伝動される。即ち、植付伝動装置18から駆動力が、チェーンベルト202を介して取出装置200に伝動されるとともに(図1参照)、孔開け駆動軸29を介して孔開け装置500に伝動される(図2参照)。また、その植付伝動装置18に取り付けられた苗植付装置駆動機構400と、苗植付装置300を介して植付具11を駆動させる構成である。
また、本実施の形態の苗移植機1の植付動作は、苗植付装置駆動機構400により間欠的に行える構成である。
尚、孔開け装置500については、図3(a)〜図4を用いて更に後述する。
また、苗植付装置300、及び苗植付装置駆動機構400の詳細な構成については、図9〜図10を用いて、後述する。
また、ミッションケース4の後端の左右方向に配置された左右フレーム16の後部には、右寄りの位置に延びる主フレーム17を設けている。該主フレーム17の後端部には左右端側から後方に延びた操縦ハンドル8を設け、この操縦ハンドル8が主フレーム17および左右フレーム16を介してミッションケース4に支持された構成となっている。
これにより、作業者は、走行車体15の後方を歩きながら操縦ハンドル8で走行車体15の操向操作を行うことが出来る。
即ち、本実施の形態の苗移植機1は、左右一対の前輪2、2及び左右一対の後輪3、3によって畝Uを跨いだ状態で走行車体15を進行させながら、トレイ20に収容されている苗22を、孔開け装置500によりマルチフィルム19に開けられた孔に対して、自動的に植え付けることが出来る構成である。
また、走行部には、走行車体15に対し左右一対の後輪3、3を上下動させて、走行車体15の姿勢及び車高を制御する機体制御機構180が設けられている。
機体制御機構180には、左右一対の後輪3の走行伝動ケース9と走行車体15との間において、後輪3の上げ下げによって走行車体15を昇降する油圧昇降シリンダ10と、走行車体15を左右傾斜させる水平用油圧シリンダ14とが設けられており、この油圧昇降シリンダ10を伸縮作動させると、左右一対の後輪3が同方向に同量だけ走行車体15に対し上下動し、走行車体15が昇降する。
また、油圧昇降シリンダ10は、ミッションケース4の上部に取り付けられた油圧切替バルブ部40(図1参照)に固着して設けられ、ミッションケース4に取り付けられた油圧ポンプからの油圧を切り替える油圧切替バルブ部40に備えられた昇降操作バルブ(図示省略)を操作することにより作動する構成である。
尚、昇降操作バルブには、後述する昇降操作レバー81(図11参照)がケーブル82を介して連結されるとともに、後述するカウンタアーム760(図12参照)がロッド765を介して連結されている。
また、ミッションケース4の右側には振り子式の左右傾斜センサ41が設けられており、この左右傾斜センサ41の検出により油圧切替バルブ部40に備えられた水平操作バルブ(図示省略)を介して水平用油圧シリンダ14を作動させ、左側の後輪3のみを上下動させて、畝Uの谷部の凹凸に関係なく走行車体15を左右水平に維持すべく構成されている。
次に、孔開け装置500について、主として図3(a)、図3(b)を用いて更に説明する。
図3(a)は、孔開け装置500の左側面図であり、図3(b)は、第1カム521の外周面における下側ローラ526−1の当接位置P1〜P5と、それらに対応する、第2カム522の外周面における上側ローラ526−2の当接位置Q1〜Q5を示す概略側面図である。
孔開け装置500は、図3(a)に示す通り、畝Uに敷かれたマルチフィルム19に接触して熱で溶かして植付孔を開ける孔開け具510と、孔開け具510を静止軌跡(走行車体15が走行を停止した状態の軌跡)において、上下及び前後方向に移動させる上下動機構520とを備えている。
即ち、孔開け具510の下端中央部510aは、上下動機構520の作動によって、静止軌跡として、図3(a)に示す孔開け静止軌跡500Tを描き、当該孔開け静止軌跡500Tに対応する動軌跡(走行車体15が走行している状態の軌跡)として、図3(a)に示す孔開け動軌跡500T1を描く構成である。
また、孔開け具510は、下側に配置されてマルチフィルム19に接触する電熱ヒータ部511と、下端部において当該電熱ヒータ部511を保持すると共に上端部において上下動機構520に連結された孔開け具連結部材512とにより構成されている。電熱ヒータ部511には、マルチカットヒータ(図示省略)と、マルチカットヒータの温度を検知するマルチカットヒータ温度センサ513(図13参照)が配置されており、その検知結果は、後述する制御部800(図13参照)に送られる。
尚、ここで、マルチカットヒータに関連して、操作パネル601(図11参照)や制御部800(図13参照)の構成等について、図11、図13を用いて説明する。
即ち、マルチカットヒータを入切するためのマルチカット入/切スイッチ602が操作部600の操作パネル601上に配置されている(図11、図13参照)。更に、マルチカットヒータ温度センサ513により検知されるマルチカットヒータの温度が設定温度に達しない場合など、マルチカットヒータの異常が制御部800により検知された場合は、制御部800は、植付動作を停止させると共に、操作パネル601に配置された、マルチカットヒータの異常を知らせる警告ランプ603(図11、図13参照)を点滅させる構成である。
また、操作パネル601には、後述する、少なくとも植付株間を表示する表示部630と、少なくとも植付株間を調節する調節ボタン640と、が配置されている。この調節ボタン640は、「上げ」プッシュスイッチ640aと、「下げ」プッシュスイッチ640bとを備えており、後述する、株間を広げたり、或いは狭めたりする株間設定の操作に用いる他に、切替スイッチ(図示省略)の操作により、マルチカットヒータの温度を設定する為の温度設定操作に用いることが出来ると共にその設定温度が表示部630に表示される構成である。また、上記プッシュスイッチ640a、640bからの作業者による入力が所定時間無い場合、制御部800により、温度設定操作が終わったと判定されて、マルチカットヒータ温度センサ513で検知される温度が、設定温度に代わって、表示部630に自動的に表示される構成である。
また、作業者が、切替スイッチに対して、表示部630にマルチカットヒータの温度表示を行わせるための操作をしていない場合でも、マルチカット入/切スイッチ602をONした後、マルチカットヒータが設定温度(又は、使用可能な温度)に達するまでの間は、後述する株間設定表示に代えて、マルチカットヒータ温度センサ513の検知温度表示を優先して表示させる構成である。
更にまた、制御部800は、マルチカットヒータ温度センサ513の検知温度が設定温度(又は、使用可能な温度)に達するまでは、植付動作を開始させない構成である。
これにより、マルチカットヒータが使用可能な温度に達していない段階で、植付作業を開始することが防止出来、マルチフィルム19の孔開け不良による植付作業のやり直しを防ぐことが出来る。
また、制御部800は、作業者が植付作業前にマルチカット入/切スイッチ602をONした後、マルチカットヒータ温度センサ513により検知されるマルチカットヒータの温度上昇カーブから、マルチカットヒータの性能の劣化の有無を判定し、性能が劣化していると判定した場合は、植付作業開始前に、表示部630に、劣化等によるマルチカットヒータの交換を促す等の警告メッセージを表示すると共に、警告ランプ603を点滅させる構成である。
以上の構成により、マルチカットヒータを加熱している間は、ヒータ温度の表示や、場合によっては警告メッセージが表示部630に表示されるため、作業者はマルチカットヒータの故障や劣化を容易に認識出来、部品の早期交換により植付作業中の故障による作業中断を未然に防げるので、作業効率が向上する。
尚、マルチカットヒータ温度センサ513の検知結果に基づく、制御部800の動作は、図13を用いて更に後述する。また、操作パネル601、及び制御部800の上記以外の構成等は、図11、図13を用いて更に後述する。
ここで、再び図3(a)、図3(b)に戻り、孔開け装置500についての説明を続ける。
即ち、上下動機構520は、植付伝動装置18から左方向に突き出した孔開け駆動軸29に固定された第1カム521と、当該第1カム521の左側において孔開け駆動軸29に固定された第2カム522と、植付伝動装置18の左外側面上であって孔開け駆動軸29の上方に固定された上側リンク軸523aに対して前端部523Fが回動可能に連結されて後端部523Bが上下揺動可能に取り付けられた上側リンク機構523と、植付伝動装置18の左外側面上であって孔開け駆動軸29の下方に固定された下側リンク軸524aに対して前端部524Fが回動可能に連結されて後述する連結軸524bが上下揺動可能に取り付けられた下側リンク機構524と、上側リンク機構523の後端部523Bと下側リンク機構524の後端部524Bとを、上連結軸523cと下連結軸524cを介して揺動可能に連結し、下端部側において孔開け具連結部材512を連結した連結アーム525とを備えている。
また、下側リンク機構524は、前側に配置された下側前リンク部材524−1と、後側に配置された下側後リンク部材524−2とが、連結軸524bにより回動可能に直列的に連結されると共に、下側前リンク部材524−1の途中に下側ローラ526−1が回動可能に取り付けられて構成されている。
また、下側前リンク部材524−1には、連結軸524bの下方においてストッパーピン524eが立設されており、当該ストッパーピン524eが、下側後リンク部材524−2において連結軸524bの下方に向けて突き出した角度規制ストッパー524−2aに当接することで、下側前リンク部材524−1と下側後リンク部材524−2との成す角度θ(図3(a)参照)の下限を規制している。また、下側前リンク部材524−1の途中に設けられた長孔524dには、下側リンク引っ張りバネ527の下端部が掛けられており、当該下側リンク引っ張りバネ527の上端部は、上側リンク機構523に設けられた固定ピン18bに掛けられている。この下側リンク引っ張りバネ527の縮もうとする力は、下側前リンク部材524−1と下側後リンク部材524−2との成す角度θを常に減少させようとする方向に作用すると共に、下側ローラ526−1が第1カム521の外周面に常に当接しながら動くべく作用する構成である。
また、下側リンク引っ張りバネ527の縮もうとする力は、孔開け具510の慣性を十分に抑制するべく設定されているので、稼働スピード(アイドリング中であるか、フルスロットル中であるか)に関わらず電熱ヒータ部511の下端中央部510aは、常に同じ孔開け静止軌跡500Tを描いて動く。
尚、上記成す角度θは、連結軸524bと下側リンク軸524aとの中心を通る第1直線L1と、連結軸524bと下連結軸524cとの中心を通る第2直線L2との成す角度である。
また、上側リンク機構523の途中に設けられた長孔523dには、上側リンク引っ張りバネ528の上端部が掛けられており、当該上側リンク引っ張りバネ528の下端部は、下側後リンク部材524−2の所定位置に固定されている。この上側リンク引っ張りバネ528の縮もうとする力により、上側ローラ526−2が第2カム522の外周面に常に当接しながら動くべく構成されている。
尚、上述した下側リンク引っ張りバネ527、及び上側リンク引っ張りバネ528は、何れも上側リンク機構523と下側リンク機構524との間に設けられており、上側リンク機構523と下側リンク機構524との間隔が狭くなる側に付勢する構成となっている。
また、孔開け具連結部材512は、連結アーム525の下端部側に平行に形成された長孔525a、525bに対して貫通配置された締結ボルト525cにより、上下にスライド調節可能に固定されている。また、孔開け具連結部材512側には、図3(a)に示す通り、締結ボルト525cを挿入する下孔525dが4つ設けられているので、締結ボルト525cを挿入する下孔525dを選択することにより、孔開け具連結部材512の連結アーム525に対する取り付け位置を前後方向にも変更出来る構成である。
これにより、植付深さや走行車体15の走行速度の変化(1速、2速)に対応して、孔開け具510の位置を調節することが出来る。
尚、本実施の形態のマルチフィルム19は、本発明の帯状のシートの一例にあたる。また、本実施の形態の下側前リンク部材524−1と下側後リンク部材524−2は、本発明の複数のリンク部材の一例にあたる。また、本実施の形態の連結アーム525は、本発明の孔開け具保持アームの一例にあたる。また、本実施の形態の第1カム521は、本発明の下側リンク用カムの一例にあたり、本実施の形態の第2カム522は、本発明の上側リンク用カムの一例にあたる。
以上の構成のもとで、次に、孔開け装置500の動作について、図3(a)、図3(b)を用いて説明する。
孔開け駆動軸29が、図3(a)、図3(b)に示す通り、反時計回りに回動すると、これに追従して第1カム521と第2カム522が反時計回りに回動する。
以下、第1カム521の外周面における下側ローラ526−1の当接位置P1〜P5と、第2カム522の外周面における上側ローラ526−2の当接位置Q1〜Q5とを対応付けながら、電熱ヒータ部511の下端中央部510aが、孔開け静止軌跡500T上の位置X1〜X5をどの様に移動するかを説明する。
1)下側ローラ526−1の当接位置がP1にある時、上側ローラ526−2の当接位置はQ1にある。その時の電熱ヒータ部511の下端中央部510aの孔開け静止軌跡500T上の位置は、位置X1(P1、Q1)である。
ここでは、軌跡上の位置Xnを、下側ローラ526−1の当接位置がPnと、上側ローラ526−2の当接位置はQnを用いて、Xn(Pn、Qn)と表す。但し、n=1〜5の整数である。
2)孔開け駆動軸29が回動することにより、下側ローラ526−1の当接位置がP1からP2に移動すると同時に上側ローラ526−2の当接位置がQ1からQ2に移動する。
これにより、上側リンク機構523の後端部523Bは下降し、下側ローラ526−1が第1カム521により後方斜め下方に押し出されるので、下側リンク機構524はその成す角度θを増加させる方向、即ち、下側リンク機構524の後端部524Bが後方に移動する。
その結果、電熱ヒータ部511の下端中央部510aは、孔開け静止軌跡500T上を後方に移動しながら下降して、マルチフィルム19を介して畝Uの表面に突入して位置X2(P2、Q2)に到達する。
電熱ヒータ部511は十分に加熱されており、これに接触したマルチフィルム19は、電熱ヒータ部511の底面の円形状に溶けて植付用孔が開く。
尚、この時の電熱ヒータ部511の下端中央部510aは、孔開け動軌跡500T1(図3(a)では、二点鎖線で表した)上を位置X1から位置XT1に移動する。走行車体15が前進走行しているので、孔開け動軌跡500T1の位置X1から位置XT1への移動は、孔開け静止軌跡500Tに比べてほぼ垂直に近い軌跡となる。即ち、走行中は、孔開け具510は、ほぼ垂直に下降して、マルチフィルム19に植付用孔を開けることが出来る。
また、電熱ヒータ部511が位置X1(P1、Q1)にある時は、側面視で、電熱ヒータ部511の底面は、畝Uに対して傾斜しているが、位置X2(P2、Q2)に到達した時には、電熱ヒータ部511の底面は、畝Uに対して平行になる様に構成されている。
3)更に孔開け駆動軸29が回動することにより、下側ローラ526−1の当接位置がP2からP3に移動すると同時に上側ローラ526−2の当接位置がQ2からQ3に移動する。
この時、当接位置Q2からQ3における第2カム522の外周面上のカム中心からの距離の変化はほとんど無いので、上側リンク機構523の後端部523Bは下降も上昇もしない。一方、当接位置P2からP3における第1カム521の外周面上のカム中心からの距離は増加する方向に変化しているので、下側ローラ526−1が更に後方斜め下方に押し出され、下側前リンク部材524−1が下側リンク軸524aを中心として下方に回動すると共に、下側リンク機構524の後端部524Bが後方に移動する。即ちこの時、下側リンク機構524はその成す角度θを更に増加させる方向に移動する。
その結果、電熱ヒータ部511の下端中央部510aは、孔開け静止軌跡500T上を位置X2(P2、Q2)から後方に移動して位置X3(P3、Q3)に到達する。
尚、この時の電熱ヒータ部511の下端中央部510aは、孔開け動軌跡500T1上の位置XT1から移動しない。
これにより、走行車体15が前進走行している時でも、孔開け具510を適正に後方に移動させることが出来るので、相対的に見て前後方向への位置ずれが生じないので、マルチフィルム19を前進方向に引きずることが防止出来、マルチフィルム19に植付用孔を適正に形成することが出来る。
4)更にまた、孔開け駆動軸29が回動することにより、下側ローラ526−1の当接位置がP3からP4に移動すると同時に上側ローラ526−2の当接位置がQ3からQ4に移動する。
この時、当接位置Q3からQ4における第2カム522の外周面上のカム中心からの距離は増加し始めるので、上側リンク機構523の後端部523Bは上昇を開始する。一方、当接位置P3からP4における第1カム521の外周面上のカム中心からの距離は緩やかに増加を続けているので、下側ローラ526−1は更に後方斜め下方に押し出され、下側前リンク部材524−1が下方に回動すると共に下側リンク機構524の後端部524Bが更に後方に移動する。
その結果、電熱ヒータ部511の下端中央部510aは、孔開け静止軌跡500T上を位置X3(P3、Q3)から後方に移動しながら上昇して、マルチフィルム19から離れた位置X4(P4、Q4)に到達する。
尚、この時の電熱ヒータ部511の下端中央部510aは、上側リンク機構523が上昇を開始したので、孔開け動軌跡500T1上の位置XT1から位置XT2へ上昇移動する。
これにより、走行車体15が前進走行している時でも、孔開け具510を適正に後方に移動させることが出来るので、相対的に見て前後方向への位置ずれがほぼ生じないので、マルチフィルム19を前進方向に引きずることが防止出来、マルチフィルム19に植付用孔を適正に形成することが出来る。
5)更にまた、孔開け駆動軸29が回動することにより、下側ローラ526−1の当接位置がP4からP5に移動すると同時に上側ローラ526−2の当接位置がQ4からQ5に移動する。
この時、当接位置Q4からQ5における第2カム522の外周面上のカム中心からの距離は更に増加を続けるので、上側リンク機構523の後端部523Bは上昇を続ける。一方、当接位置P4からP5における第1カム521の外周面上のカム中心からの距離は急激に減少し始めるので、下側ローラ526−1は下側リンク引っ張りバネ527の縮もうとする力の作用により前方斜め上方に引き上げられ、下側前リンク部材254−1が下側リンク軸524aを中心として上方に回動を開始すると共に、下側リンク機構524の後端部524Bが素早く前方に移動する。
その結果、電熱ヒータ部511の下端中央部510aは、孔開け静止軌跡500T上を位置X4(P4、Q4)から素早く前方に移動しながら上昇することで、後方において電熱ヒータ部511の動きに同期して下降してくる植付具11から離れた位置X5(P5、Q5)に到達する。
尚、この時の電熱ヒータ部511の下端中央部510aは、下側リンク機構524の後端部524Bが素早く前方へ移動を開始したので、孔開け動軌跡500T1上の位置XT2から前方斜め上方へ移動する。
これにより、電熱ヒータ部511は、畝Uから抜け出た後は、素早く前方へ移動するので、後方において電熱ヒータ部511の動きに同期して下降してくる植付具11との干渉を確実に防止出来る。
6)更にまた、孔開け駆動軸29が回動することにより、下側ローラ526−1の当接位置がP5からP1に移動すると共に上側ローラ526−2の当接位置がQ5からQ1に移動して、電熱ヒータ部511の下端中央部510aは、位置X1(P1、Q1)に戻る。
ここで、本実施の形態の下側前リンク部材524−1が下側リンク軸524aを中心として上方に回動を開始する位置X4(P4、Q4)が、上側リンク機構523の後端部523Bが上昇を開始する位置X3(P3、Q3)より時間的に後に位置していることは、本発明の下側リンク機構が上昇を開始するタイミングが、上側リンク機構が上昇を開始するタイミングより遅く構成されていることの一例にあたる。
また、本実施の形態の下側前リンク部材524−1と下側後リンク部材524−2との成す角度θ(図3(a)参照)は、本発明の下側リンク機構を構成する複数のリンク部材の成す角度の一例にあたる。
また、本実施の形態の上側リンク機構523の後端部523Bが上昇を開始するタイミングである位置X3(P3、Q3)より時間的に前の位置X2(P2、Q2)から位置X4(P4、Q4)に至る時間的な期間において、本実施の形態の下側前リンク部材524−1と下側後リンク部材524−2との成す角度θを増加させる方向に変化させることが、本発明の上側リンク機構が上昇を開始する前から所定期間において、下側リンク機構を構成する複数のリンク部材の成す角度を変化させる構成の一例にあたる。
次に、図4を用いて、孔開け装置500の電熱ヒータ部511の保温機構について説明する。
図4(a)は、電熱ヒータ部511の保温機構を説明するための概略模式図である。図4(b)は、図4(a)の変形例を示す模式図である。
尚、図3(a)、図3(b)で説明した構成と同じ構成には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
図4に示す通り、孔開け具連結部材512の上端側に、下端部にローラ514を回動可能に設けたステイロッド515が上下スライド可能にロッド保持具516により保持されている。ステイロッド515の上端部515aは、略T字状を成しており、ロッド保持具516から抜け落ちない構成となっている。電熱ヒータ部511は、断熱材511aを介して孔開け具連結部材512に取り付けられている。断熱材511aと電熱ヒータ部511の側面全体を覆う円筒形状の防風カバー517は、その前側の外側面517aが、ステイロッド515の表面に固定されている。
上記構成により、電熱ヒータ部511が畝Uから離れた位置にある時は、防風カバー517により、電熱ヒータ部511の側面全体が覆われているので、マルチカットヒータ(図示省略)が風により冷却されるのを防止する。
また、電熱ヒータ部511が下降し畝Uに近づくにつれて、ローラ514がマルチフィルム19の表面に接触し、その表面を転がりながら、電熱ヒータ部511が更に下降することにより、ステイロッド515がロッド保持具516に保持されたまま、上方へスライドする。これにより、ステイロッド515に固定された防風カバー517も同時に上昇し、電熱ヒータ部511の下端部のみがマルチフィルム19及び畝Uの表面に突入する。
尚、ステイロッド515の下端部にはローラ514が取り付けられているので、マルチフィルム19を傷付けることは無い。
これにより、電熱ヒータ部511が適正温度に達するまでの時間が短縮されると共に、保温性能が向上するので、マルチフィルム19に対して、効率良く、確実に孔を形成することが出来る。
尚、ステイロッド515の下端部には、マルチフィルム19の傷付き防止のためにローラ514を設ける構成としたが、これに限らず例えば、図4(b)に示す通り、ステイロッド515の下端部515bのマルチフィルム19に接する部位が、側面視でR曲げ形状を成す構成(例えば、ヘミング曲げ)であっても良く、要するに、マルチフィルム19に傷が付かない構成であればどの様な構成でも良い。
また、防風カバー517は、円筒形状に限らず、例えば、電熱ヒータ部511の外形が、平面視で円形以外の形状である場合には、その形状に合わせた形状であっても良く、要するに、電熱ヒータ部511の冷却を抑制する防風機能が発揮出来ればどの様な形状であっても良い。
次に、植付具11について、図5(a)〜図5(c)を用いて説明する。
図5(a)は、植付具11の中央部を機体前後方向に平行で且つ地面に対して垂直な平面で切断してそれを左側から見た概略断面図であり、図5(b)は、植付具11の中央部を機体左右方向に平行で且つ地面に垂直な平面で切断してそれを背面側から見た概略断面図であり、図5(c)は、植付具11の内側の後面に沿って配置される後ガード1210Bを左後方から見た斜視図である。
図5(a)、図5(b)に示す通り、植付具11は、苗を一時的に保持し圃場に植え付ける、左右一対の左側ホッパー部1011L及び右側ホッパー部1011Rと、左側ホッパー部1011L及び右側ホッパー部1011Rの上端部を保持すると共に、左側ホッパー部1011L及び右側ホッパー部1011Rの先端側を開閉するべく互いに離合可能に連結された左ホッパーホルダー1012L及び右ホッパーホルダー1012Rと、左ホッパーホルダー1012L及び右ホッパーホルダー1012Rを支点軸1013aを中心に回動可能に保持するホルダー保持枠1013と、左ホッパーホルダー1012L及び右ホッパーホルダー1012Rの前側下端部に一端と他端が固定されて、左側ホッパー部1011L及び右側ホッパー部1011Rが閉じる方向の圧縮力を常時付勢するホッパー引っ張りスプリング1014と、左ホッパーホルダー1012L及び右ホッパーホルダー1012Rの前側上端部に固定され、開閉用連結ケーブル350の他端部352が連結された左右一対の開閉アーム1015L及び1015Rと、を備えている。
ここで、左ホッパーホルダー1012Lの連結部1012Laと、右ホッパーホルダー1012Rの連結部1012Raは、ギヤ形状であり、そのギア形状は前後で半歯ずれており、対向して左右に組み付けることで、ギアを噛み合わせる構成である。具体的には、右ホッパーホルダー1012Rに固定されている、開閉用連結ケーブル350の他端部352が連結された右側の開閉アーム1015Rが、開閉用連結ケーブル350により引っ張られると、右ホッパーホルダー1012Rの連結部1012Raは支点軸1013aを中心にして右側ホッパー部1011Rが開く方向に回動する。それと同時に、右ホッパーホルダー1012Rの連結部1012Raとのギアの噛み合わせにより、左ホッパーホルダー1012Lの連結部1012Laが連動して回動することで、左側ホッパー部1011Lが開く方向に同時に回動する。
また、左右一対のホッパー部1011L、1011Rは、閉じた状態で下端部が嘴状に尖っており、上端部が開放された略円筒形状を成している。
そして、左側ホッパー部1011Lと右側ホッパー部1011Rとが互いに突き合わされる前側と後側の端面部において、正面視で略V字状の前V字切り欠き部1200Fと、背面視で略V字状の後V字切り欠き部1200Bが設けられている。
前V字切り欠き部1200Fと後V字切り欠き部1200Bを設けたことにより、植付具11が閉じた時、左側ホッパー部1011Lと右側ホッパー部1011Rの合わせ面の接触部が小さくなるので、合わせ面が当たることで発生する騒音が低減出来る。
また、本実施の形態の植付具11では、前V字切り欠き部1200Fを内側から覆う前ガード1210Fと、後V字切り欠き部1200Bを内側から覆う後ガード1210Bとを備えている。
前ガード1210Fは、ホルダー保持枠1013の前側立ち上がり部1013Fに上端部1210Faが固定され、そこから側面視で(図5(a)参照)、植付具11の内側中心に向けて斜め下方に伸びた平板部が前V字切り欠き部1200Fを、背面視で(図5(b)参照)概ね覆うべく構成されている。
また、後ガード1210Bは、ホルダー保持枠1013の左側枠部1013Lの後端側及び右側枠部1013Rの後端側に、左側上端部1210BL及び右側上端部1210BRが固定され、そこから側面視で(図5(a)参照)、植付具11の内側中心に向けて斜め下方に伸びた平板部が後V字切り欠き部1200Bを、前ガード1210Fと同様に概ね覆うべく構成されている。
また、後ガード1210Bの平板部の上端縁部1210BUは(図5(c)参照)、ホルダー保持枠1013に固定された状態において、左右一対のホッパー部の後側上端縁部1011BU(図5(a)参照)と同じ高さになる様に構成されている。即ち、後ガード1210Bの上端縁部1210BUは、背面視で、後ガード1210Bの左右上端部1210BL、1210BRの高さよりも低く構成されている。
尚、前ガード1210F及び後ガード1210Bは、弾性を有する樹脂製若しくはゴム製の板状部材である。
前ガード1210F及び後ガード1210Bを設けたことにより、取出装置200が苗22を植付具11に供給する際に、前V字切り欠き部1200Fや後V字切り欠き部1200Bから苗22を植付具11の外へ落としたり、前V字切り欠き部1200Fや後V字切り欠き部1200Bに苗22が引っ掛かることを防止出来、苗の移植精度が向上する。
また、後ガード1210Bの上端縁部1210BUが、左右一対のホッパー部の後側上端縁部1011BU(図5(a)参照)と同じ高さ若しくはそれ以下の高さにする為に、上端縁部1210BUの高さを、背面視で、後ガード1210Bの左右上端部1210BL、1210BRの高さよりも低く構成されていることにより、取出装置200が苗22を植付具11に供給する際に、苗22の一部が後ガード1210Bの上端縁部1210BUと接触することが防止出来、苗22に傷を付けずに且つ正確にホッパー内に供給出来る。
次に、主として図6を参照しながら、上述した取出部材260、植付具11、トレイ供給装置100、及びトレイ送りロッド121の動作タイミングについて説明する。
図6は、取出部材260の動作、植付具11の動作、及びトレイ供給装置100の苗置台110の横送り動作の動作タイミングを示すと共に、取出部材260の動作、植付具11の動作、及びトレイ供給装置100のトレイ送りロッド121の縦送り動作の動作タイミングを示す図である。
尚、縦送り動作は、苗置台110が左右方向の最端部に移動して、最後の育苗ポット21の苗22が抜き取られたときに、実行される動作である。
図6の横軸は、各種駆動アームの水平方向からの回動角度を基準としている。例えば、取出部材260の場合は駆動アーム220(図7参照)の回動角度を、植付具11の場合は上下動アーム320(図9参照)の回動角度を、トレイ供給装置100による縦送りの場合は縦送り駆動アーム150(図8参照)の回動角度をそれぞれ基準としている。
図6に示す通り、取出爪の動作タイミング2210によれば、本実施の形態の苗移植機1は、タイミングP2において、取出部材260が育苗ポット21の内部から苗22を掴んだまま抜け出して、タイミングP3の手前でその苗22の植付具11への放出を開始し、タイミングP3において、苗22の放出を終了して、その後、タイミングP4において、隣接する育苗ポット21の内部に突入して苗22を掴んだ後、育苗ポット21の内部から抜け出すべく構成されている(図6のタイミングP2参照)。
また、図6に示す通り、植付具の動作タイミング2220によれば、本実施の形態の苗移植機1は、上死点から少し下がったタイミングP3において、植付具11は下降動作を停止し、その後、タイミングP4において下死点に達するべく構成されている。
ここで、植付具11が下降動作を停止するタイミングP3では、取出部材260の動作、トレイ供給装置100の横送り動作(即ち、苗置台110の動作)及び縦送り動作(即ち、トレイ送りロッド121の動作)を含む植付動作に関する動作が同時に停止され、これにより、植付動作を間欠的に行えて、植付株間の調整を可能とする構成である。尚、これら動作の停止期間は、所望の植付株間に応じて、0秒から所定の期間まで操作部600(図11参照)により設定可能に構成されている。
植付動作を間欠的に実現する構成は、苗植付装置駆動機構400における植付クラッチ420や間欠用カム441やソレノイド470等により実現するが、これについては、図10等を用いて更に後述する。
また、図6に示す通り、トレイ供給装置100の苗置台110における横送り動作の動作タイミング2230によれば、本実施の形態の苗移植機1は、取出部材260が育苗ポット21の内部に突入している間、即ち、タイミングP4以降P2までの間は、育苗ポット21一つ分の横送り動作は停止しており、植付具11の植付動作が停止しているタイミングP3では、育苗ポット21一つ分の横送り動作の途中において横送り動作も同時に停止する構成である。
また、図6に示す通り、トレイ供給装置100のトレイ送りロッド121における縦送り動作の動作タイミング2240によれば、本実施の形態の苗移植機1は、上述した、トレイ送りロッド121が側面視で略四角形の軌跡A(図8参照)を描いて回動する動作において、トレイ20の裏面側の隣接する育苗ポット21間の隙間21a(図8参照)からトレイ送りロッド121の先端部が抜け出して(図8の矢印121a1参照)、上方に移動して(図8の矢印121a2参照)、再び次の育苗ポット21間の隙間21b(図8参照)に進入する(図8の矢印121a3参照)までの戻り動作は、取出部材260が育苗ポット21の内部に突入した後に開始されて、取出部材260が育苗ポット21の内部から抜け出す(図6のタイミングP2参照)直前に完了して、タイミングP2において縦送り動作を開始し、タイミングP3において縦送り動作を完了する構成である。
尚、図6では、理解の促進の為に、上述したトレイ供給装置100のトレイ送りロッド121における縦送り動作の動作タイミング2240と同じ内容を、動作タイミング2250により、トレイ送りロッド121が、育苗ポット21間の溝部に入っているか、抜け出しているかという観点から示している。
以上の構成により、トレイ送りロッド121の戻り動作中において(図6のタイミングP1からP2参照)、取出部材260が育苗ポット21の内部に突入しているので、トレイ20は取出部材260により押さえつけられており、トレイ20がトレイ搬送路111上を下方にずれることを防止出来る。
また、以上の構成により、間欠植付により植付具11の植付動作が停止するときは、トレイ送りロッド121によるトレイ20の縦送り動作が完了しているので(図6のタイミングP3参照)、間欠植付における停止状態でトレイ送りロッド121がトレイ20を確実に保持出来、トレイ20がトレイ搬送路111上を下方にずれることを防止出来る。
即ち、間欠植付の停止状態では、上述した通り、植付動作に関連する部材は同時に停止するので、機体の走行による振動等でトレイ20のずれが生じ易いが、本実施の形態では、トレイ送りロッド121によるトレイ20の縦送り動作が完了しており、トレイ送りロッド121は、隣接する育苗ポット21間の隙間21a(図8参照)に入ったままの状態で停止していることにより、トレイ送りロッド121がトレイ20を確実に保持出来るのである。
また、以上の構成により、取出部材260が育苗ポット21の内部に突入している間は、トレイ搬送路移動装置170によるトレイ供給装置100の苗置台110の横送り動作をさせず、且つ、間欠植付動作により植付具11の植付動作が停止するときは(図6のタイミングP3参照)、トレイ搬送路移動装置170によるトレイ供給装置100の苗置台110の、育苗ポット21一つ分の横送り動作の途中であるので、トレイ20の育苗ポット21一つ分の横送りを、苗取出動作の支障にならないタイミングで、且つ、余裕をもってゆっくりと作動させることが出来、横送りの精度が向上する。
また、本実施の形態では、トレイ送りロッド121が戻り動作をしている間は、トレイ搬送路移動装置170によるトレイ供給装置100の苗置台110の横送り動作をさせない構成とした。これは、次の横一列の育苗ポット21を下方に移動させるべくトレイ送りロッド121が戻り動作をしている間に、もし、横送り動作(この場合、苗置台110は一番端まで移動しているので、横送り方向は逆方向となる)をさせることになると、トレイ送りロッド121が戻り動作をしている間のトレイ20の保持が安定しないときに、横送り動作することになり、トレイ搬送路移動装置170によるトレイ供給装置100の横送り動作で、トレイ20がずれるおそれがあるからである。これにより、本実施の形態では、トレイ搬送路移動装置170によるトレイ供給装置100の横送り動作で、トレイ20がずれることを防止出来る。
また、本実施の形態の苗移植機1によれば、トレイ20がずれにくく安定した縦送りを実現出来ると共に、従来とは異なる縦送り機構を含むトレイ供給装置100を提供出来るので、トレイ供給装置の設計の自由度が拡大する。
次に、主として図7(a)、図7(b)、図8を用いて、上述したトレイ供給装置100について更に説明する。
図7(a)は、トレイ供給装置100の斜視図であり、図7(b)は、図7(a)のX部の拡大斜視図である。図8は、トレイ供給装置100のトレイ縦送り装置120の構成を示す概略側面図である。
トレイ20は、複数の育苗ポット21を縦横に連設したもので、プラスチックで形成されていて、可撓性を保持する構成になっている。各育苗ポット21は表面側で連結し、裏面は独立した形態となっている。
トレイ供給装置100は、トレイ20の底部を支持する前下がりに傾斜したトレイ搬送路111を有する苗置台110と、トレイ20をトレイ搬送路111に沿って縦方向に間欠的に送るトレイ縦送り装置120と、トレイ搬送路111を有する苗置台110を左右方向に移動させるトレイ搬送路移動装置170(図2参照)とを備える。
また、上述した通り、トレイ供給装置100には、トレイ搬送路111上にトレイ20が載置されていないことを検知するためのトレイ検知装置1100が設けられている。
ここでは、本実施の形態の苗移植機1の特徴の一つであるトレイ検知装置1100の構成、及び動作について、図2、図7を用いて説明する。
即ち、トレイ検知装置1100は、図2、図7に示す通り、トレイ搬送路111の略中央部に回動可能に配置されたトレイ検知部材1110と、苗置台110の左右両側の外側面にそれぞれ配置されてトレイ検知部材1110の回動と連動して回動する左右一対の連動アーム1120L、1120Rと、トレイ検知部材1110と左右一対の連動アーム1120L、1120Rとを連結する連結シャフト1130と、トレイ搬送路移動装置170の左右両側部172L、172Rの内側面において、左右一対の連動アーム1120L、1120Rに対応する位置にそれぞれ配置された左右一対のリミッタスイッチ1140L、1140Rを有している。左右一対のリミッタスイッチ1140L、114Rの信号ライン(図示省略)は、制御部800(図13参照)に繋がっている。
そして、トレイ搬送路111の上にトレイ20が供給されていないときや、トレイ20の後端部がトレイ検知部材1110の位置を通過しているときは、トレイ検知部材1110は、バネ部材(図示省略)の復元力によりトレイ搬送路111の略中央部から表側に向けて突き出しているが、トレイ搬送路111の上にトレイ20が供給されているときは、トレイ20の裏面が当該バネ部材の復元力に対抗する力でトレイ検知部材1110を押さえつけるので、左側面視で、トレイ検知部材1110は反時計回りに回動する。
これにより、トレイ20の有無に合わせて、トレイ検知部材1110が時計回り又は反時計回りに回動し、それに連動して、左右一対の連動アーム1120L、1120Rが回動する。
トレイ搬送路111上の中央部にトレイ20が存在しない状態では、トレイ検知部材1110は、左側面視で、時計回りに回動してトレイ搬送路111の略中央部の開口部から表側に向けて突き出すと共に、左右一対の連動アーム1120L、1120Rはこれと連動して時計回りに回動して所定位置で停止している。そして、苗置台110が、横送りされてトレイ搬送路移動装置170の左右両側部172L、172Rの何れかの内側面に到達すると、左右一対の連動アーム1120L又は1120Rが、左右一対のリミッタスイッチ1140L又は1140Rの可動部1141L又は1141Rに当たり、それにより、トレイ搬送路111の上の略中央部にトレイ20が存在しない旨を示す信号が、制御部800に対して送られる。当該信号を受けた制御部800は、操作部600(図11参照)に配置された警報ブザー(図示省略)を鳴らす。
警報ブザーは、左右一対のリミッタスイッチ1140L又は1140Rの可動部1141L又は1141Rが押された後、一定時間(数秒間)鳴り、その後、自動的に警報ブザーの警報音は停止する構成である。
また、当該一定時間を、苗置台110が端から端まで移動する時間以上に設定し、且つ、左右一対のリミッタスイッチ1140L又は1140Rの可動部1141L又は1141Rが押される度に、その一定時間のカウントがリセットされて、新たに押されたリミッタスイッチ1140L又は1140Rからの信号を受けて、一定時間のカウントを新たに開始する構成とすることで、トレイ20が供給されるまで、警報音が停止することなく連続して鳴る構成とすることが出来る。
上述した通り、左右一対のリミッタスイッチ1140L、1140Rが、左右に移動しない固定部分であるトレイ搬送路移動装置170の左右両側部172L、172Rに取り付けられているので、左右一対のリミッタスイッチ1140L、1140Rから伸びる信号配線(図示省略)を確実に固定することが出来、断線などが防止出来る。
また、警報ブザーは警報音を一定時間発すると自動的に音が止まるので、停止スイッチも設ける必要がない。
上記実施の形態では、警報ブザーが一定時間鳴る構成について説明したが、これに限らず例えば、トレイ検知装置1100がトレイ20の不存在を検知すると、ソレノイド470と連動して、トレイ20の横一列に配列された育苗ポット21の個数に合わせて例えば10回、警報ブザーが鳴る構成としても良い。
また、上記実施の形態では、警報ブザーが一定時間鳴る構成について説明したが、これに限らず例えば、トレイ検知装置1100が2回連続してトレイ20の不存在を検知すると、連続して数秒間警報ブザーが鳴る構成としても良いし、或いは、トレイ20の不存在を検知する度に、ソレノイド470と連動して、警報ブザーの鳴る長さが長くなる構成としても良い。
上記構成によれば、苗の残量が警報ブザーの音で分かるため、余裕をもってトレイ20を入れ替えられる。
また、上記構成によれば、ソレノイド470の作動に連動した間欠植付動作の度に警報が作動することにより苗減少度合いや苗残量度合いが判断できるという効果を奏する。
ここで、再び、トレイ供給装置100のトレイ縦送り装置120の説明に戻る。
トレイ縦送り装置120は、トレイ20の裏面側から、当該裏面側に突き出した育苗ポット21同士の間に入り、下方に移動することでトレイ20を育苗ポット21の横一列分だけ送り、その後、育苗ポット21同士の間から抜け出して、育苗ポット21の横一列分だけ上方に移動する構成のトレイ送りロッド121を有している。トレイ送りロッド121は、中央部121aがトレイ搬送路111の下部に設けられた退避溝111aに出入り可能に構成され、両端部121bは直角に折り曲げられて、トレイ搬送路111の両サイドより外側に位置しており、トレイ20がトレイ搬送路111上を移動する際に、邪魔にならない構成である。
更に、トレイ供給装置100は、退避溝111aの下流側であってトレイ搬送路111の両サイドの端面部において、トレイ送りロッド121の動きを規制するための左右一対のロッドガイドプレート112を備えている。このロッドガイドプレート112の上端縁部には、トレイ送りロッド121の中央部121aの両端で下流側に突き出した突起部121abが進入可能な切り欠き部112aが形成されている(図7(b)参照)。
即ち、この切り欠き部112aは、トレイ送りロッド121の中央部121aが、下方に移動した後、育苗ポット21同士の間から抜け出すまでの間において、一時的にトレイ送りロッド121の中央部121aの両端の突起部121abを保持して、育苗ポット21に入れられている苗22の重みでトレイ20が下方へずれ動くことを規制する構成である。尚、トレイ送りロッド121の中央部121aの軌跡については、図8を用いて後述する。
また、トレイ搬送路移動装置170は、トレイ搬送路111の裏面側に設けられ、苗移植機1の本体側から駆動力を得て、トレイ搬送路111を有する苗置台110を左右方向に移動させるリードカム軸171と、リードカム軸171より上方に設けられ、トレイ搬送路111を有する苗置台110の左右方向への移動を案内する案内レール155と、案内レール155を左右両側で保持する左右両側部172L、172Rを有している。
また、トレイ搬送路111は、リードカム軸171と、トレイ搬送路111の内側上部に設けられた左右移動を案内する案内レール155により支持されている。これにより、案内レール155はリードカム軸171と離れた位置でトレイ搬送路111を支えるため、左右方向への移動時にがたつきが少ない。
トレイ搬送路111と押え枠25との間に挟み込むようにしてトレイ20を苗載台110の上方から差し込むと、トレイ20の裏面側の溝部にトレイ送りロッド121の先端部が係合した状態となり、この状態でトレイ送りロッド121が側面視で略四角形の軌跡Aを描いて回動することにより、トレイ20がトレイ搬送路111に沿って斜め下方に間欠的に縦送りされる構成である。
尚、トレイ送りロッド121を用いて、トレイ20の縦送りを間欠的に行う機構については、更に後述する。
また、本実施の形態では、トレイ20がトレイ搬送路111に沿って斜め下方に順次縦送りされて苗22が取出部材260により全て取り出された後、トレイ縦送り装置120の下方を通り、最終的に操作部600の上方を通過して操作ハンドル8の方向に排出される構成であり(図1の排出経路20t参照)、この点について説明する。
即ち、図1、図2に示す通り、トレイ20が排出される排出経路20tの先には主クラッチレバー900が配置されており、主クラッチレバー900を前方側に操作すると主クラッチが「入」状態となり、後方側に操作すると(図1の矢印900B参照)主クラッチが「切」状態となる。
操作ハンドル8の方向に排出されてきたトレイ20は、通常は、作業者により取り除かれるが、作業者が排出されてきたトレイ20の取り除き作業を怠った場合でも、本実施の形態では、排出されてきたトレイ20の先端部により主クラッチレバー900が後方側に押されることにより(図1の矢印900B参照)「切」状態となり、安全のために、植付作業が自動的に停止する構成である。
ところで、取出装置200は、苗置台110の下端部に対向する位置に配置されており、取出部材260の先端が所定の軌跡K(図8参照)を描く様に作動して、横方向に移動する育苗ポット21から、順次、苗22を取り出して植付装置7に供給する構成である。
次に、再び、図7、図8を参照しながら、トレイ供給装置100のトレイ送りロッド121を間欠的に駆動させる機構を中心に更に説明する。
図8に示す通り、トレイ縦送り装置120は、(1)上述したトレイ送りロッド121と、(2)トレイ送りロッド121の両端部121bの上側先端部121b1が固定され、片方が内側に湾曲した湾曲縁部131aを有する突起状カム131が下部に形成された送りロッドアーム130と、(3)根元部141が、苗置台110の側板110aに回動自在に支持され、先端部142で送りロッドアーム130を回動自在に支持する、下端縁部に第1凹部143a、第2凸部143b、第3凹部143cが側面視で滑らかに連続して形成された送りアーム140と、(4)苗移植機1の動力原から得た駆動力により矢印E方向に回動する縦送り回動軸151を取出装置200側から見て、縦送り回動軸151の中央位置と右端位置の2箇所にそれぞれ固定され、先端部に牽制ローラ152を回動自在に有する縦送り駆動アーム150と、を備える。
また、送りアーム140の先端部142と、苗置台110の側板110aの下部110a1との間には、送りアーム140に常に下向きに引っ張る力が印加される様に、送りアーム引っ張りバネ160が取り付けられている。また、送りアーム140の根元部141には、送りロッドアーム130の上端部に取り付けられたピン132に一方端が取り付けられた送りロッドアーム引っ張りバネ161の他方端を保持するバネ取付ロッド163が固定されている。
次に、図7、図8を参照しながら、トレイ送りロッド121の間欠的な動作について説明する。
リードカム軸171の回動により、苗置台110が右方向すなわち矢印F方向(図7参照)に向けて移動しているとする。その時、縦送り回動軸151は矢印E方向に回動している(図8参照)。
その間において、取出装置200は、右端の育苗ポット21から順次、苗22を取り出して植付装置7に苗22を供給しており、その後、苗置台110が最右端に移動した時点で、最左端の育苗ポット21の苗22が取出装置200により取り出される。これにより、育苗ポット21の横一列分の全ての苗22が取り出されたことになる。
この時、縦送り回動軸151と共に矢印E方向に回動している、縦送り回動軸151の右端に固定されている縦送り駆動アーム150の先端部に回動自在に取り付けられている牽制ローラ152が、送りアーム140の第1凹部143aとの接触を開始した後、少し遅れて送りロッドアーム130の湾曲縁部131aとの接触を開始する構成であるので、トレイ送りロッド121は、送りアーム140の時計回りの回動に伴い一旦上昇移動した後、先端部142の軸中心で反時計回りに回動を開始する。
即ち、トレイ送りロッド121が、矢印121a0(図7(b),図8参照)の方向に一旦上昇移動することにより、それまで切り欠き部112aに保持されていたトレイ送りロッド121の突起部121abが、切り欠き部112aから抜け出すと共に、それまで育苗ポット21の裏側の隙間21aで待機していたトレイ送りロッド121の中央部121aも、その隙間21aの範囲内で矢印121a0の方向に上昇移動する。その後、送りロッドアーム130が、先端部142の軸中心で反時計回りに回動を開始することにより、トレイ送りロッド121の中央部121aは、矢印121a1(図8参照)の方向に移動する。尚、切り欠き部112aの切り欠き深さは、トレイ送りロッド121の中央部121aが隙間21aの範囲内で移動できる程度に設定されている。
その後、更に、牽制ローラ152が回動を続けると、牽制ローラ152が送りロッドアーム130の湾曲縁部131aとの接触を続けているため、トレイ送りロッド121の中央部121aは退避溝111aに位置した状態を維持している。この時、同時に牽制ローラ152が送りアーム140の第1凹部143aから第2凸部143bに向けて移動するので、送りアーム140は更に時計回りに回動し、トレイ送りロッド121の中央部121aは、結果的に、退避溝111aに位置した状態を維持しつつ、矢印121a2(図8参照)の方向に移動する。
その後、更に、牽制ローラ152が回動を続けると、牽制ローラ152が送りロッドアーム130の湾曲縁部131aと非接触状態となると同時に、送りロッドアーム引っ張りバネ161の復元力により送りロッドアーム130が先端部142の軸中心で時計回りに瞬時に回動することで、トレイ送りロッド121の中央部121aは、隙間21aから育苗ポット21の一列分だけ上側に位置する隙間21bに向けて、矢印121a3に示す様に移動する。
その後、更に、牽制ローラ152が回動を続けると、牽制ローラ152は、送りアーム140の第3凹部143cと接触しながら移動するので、送りアーム引っ張りバネ160の復元力により送りアーム140が下方に引っ張られて、トレイ送りロッド121の中央部121aは、結果的に、隙間21bに位置した状態を維持しつつ、矢印121a4(図8参照)の方向に移動するとともに、トレイ送りロッド121の中央部121aの突起部121abが切り欠き部112aに保持される。
そして、矢印121a4(図8参照)の方向に移動したトレイ送りロッド121の中央部121aは、育苗ポット21の裏側の育苗ポット同士の隙間に位置した状態を維持しており、苗置台110が、矢印G方向、即ち左方向に移動を開始すると、取出装置200は、左端の育苗ポット21から順次、苗22を取り出して植付装置7に苗22を供給し、その後、苗置台110が最左端に移動した時点で、最右端の育苗ポット21の苗22が取出装置200により取り出される。これにより、育苗ポット21の横一列分の全ての苗22が取り出されたことになる。
また、この間は、トレイ送りロッド121の中央部121aの突起部121abが切り欠き部112aに保持されているので、育苗ポット21に入れられている苗22の重みでトレイ20が下方へずれ動くことを防止出来る。
尚、育苗ポット21の横一列分の全ての苗22が取り出されると、上記と異なり、縦送り回動軸151の中央位置に固定されている縦送り駆動アーム150の先端部に回動自在に取り付けられている牽制ローラ152が、送りロッドアーム130の湾曲縁部131aと、送りアーム140の第1凹部143aとの接触を開始する。
上記の動作を繰り返すことにより、トレイ20は、右方向又は左方向に移動されるとともに、育苗ポット21の一列分だけ間欠的に縦送りされる。
これにより、コンパクトな構造のトレイ縦送り装置120が得られる。また、案内レール155と、リードカム軸171の簡単な構造でトレイ搬送路111を左右移動可能に支持出来る。
また、トレイ送りロッド121の中央部121aは、トレイ搬送路111の平面部111bに配置されているので、トレイ20が内側に撓むことがないので、育苗ポット21の裏側において、一定幅の隙間21a、21bを確保出来るため、トレイ送りロッド121が隙間21a、21bに確実に入ることが出来る。
また、トレイ搬送路111の平面部111bの下流側に曲面部111cが設けられているので、トレイ20はその曲面にそって撓む。そのため、トレイ送り時に、トレイ送りロッド121が、矢印121a2の方向に移動している時でも、その撓みが抵抗となって、トレイ20が下流側にずれることが防止される。
次に、図9、図10を用いて、上述した苗植付装置300、及び苗植付装置駆動機構400について更に説明する。
図9は、苗植付装置300と苗植付装置駆動機構400の左側面図である。また、図10は、苗植付装置駆動機構400の概略左側面図である。
苗植付装置300は、図9に示す通り、苗22を圃場に植付ける植付具11と、植付具11を上下方向に揺動させるための互いに平行に配置された上アーム311と下アーム312を有する揺動リンク機構310と、下アーム312に第1連結軸321を介して回動自在に取り付けられ、揺動リンク機構310を上下動させる上下動アーム320を備えている。第1連結軸321は上下動アーム320に固定されている。
尚、上下動アーム320を回動させるための上下動アーム駆動軸440は、苗植付装置駆動機構400から突き出して設けられており、その先端部に上下動アーム320が固定されている。
更に苗植付装置300は、図9に示す通り、下アーム312に第2連結軸341を介して回動可能に取り付けられるとともに植付具11を開閉させる開閉アーム340と、第1連結軸321に固定されるとともに、第2連結軸341を中心として開閉アーム340の先端部に第3連結軸343を介して回動自在に取り付けられた開閉ローラ342の外周縁部に当接しながら回動することにより、開閉アーム340を前後方向に揺動させる開閉カム322と、一端部351が開閉アーム340の先端部の第3連結軸343に連結され、他端部352が植付具11の開閉機構11a側に連結された開閉用連結ケーブル350と、を備えている。
ここで、上述した揺動リンク機構310について更に説明する。
即ち、揺動リンク機構310は、図9に示す通り、苗植付装置駆動機構400を収納したケーシング401の前側上端部401aに、上端が上前軸313aに回動自在に支持され、下端が下前軸314aを介して回動自在に連結支持板315に連結された前揺動アーム316aと、苗植付装置駆動機構400を収納したケーシング401の後側上端部401bに、上端が上後軸313bに回動自在に支持され、下端が下後軸314bを介して回動自在に連結支持板315に連結された後揺動アーム316bとを備え、連結支持板315に設けられた上軸316に、上述した上アーム311の前端部が回動自在に連結され、且つ、連結支持板315の下後軸314bに、上述した下アーム312の前端部が回動自在に連結されているとともに、上アーム311及び下アーム312のそれぞれの後端部が、植付具11の支持板317に設けた回動上軸317aと回動下軸317bに回動自在に連結されている。
上記構成により、苗植付装置駆動機構400において上下動アーム駆動軸440に回転駆動力が伝動されると、上下動アーム駆動軸440に固定されている上下動アーム320が矢印A1の方向に回動することにより、下アーム312及び上アーム311が上下に揺動を繰り返すとともに前後への揺動も行われて、植付具11による苗22の植付動作が、畝Uに対して所定の間隔で自動的に行われる。
また、この植付動作の際、第1連結軸321が固定されている上下動アーム320が、矢印A1の方向に回動すると、第1連結軸321に固定されている開閉カム322が開閉ローラ342の外周縁部に当接しながら回動するので、開閉アーム340が第2連結軸341を中心にして前方向(反時計方向)に揺動(回動)する。その動作にともなって、開閉用連結ケーブル350の一端部351が前方向に引っ張られるので、開閉機構11aが植付具11を開くべく動作する。
また、開閉アーム340が第2連結軸341を中心にして後方向(時計方向)に揺動(回動)すると、開閉機構11aに設けられた植付具11を常に閉じる方向に付勢する付勢ばね(図示省略)の作用により、開閉用連結ケーブル350の一端部351が後方向に引っ張られるので、開閉機構11aが植付具11を閉じるべく動作する。
上記構成により、上下動アーム320の駆動が1軸のため構造がシンプルであるとともに、上下動アーム320、開閉アーム340、及び開閉カム322をコンパクトに構成でき、植付作動を円滑に行える。
次に、平面視で苗植付装置300より右側に配置(図2参照)された苗植付装置駆動機構400における上下動アーム駆動軸440への伝動の入り切りを行うクラッチ機構について、主として図10を用いて更に説明する。
苗植付装置駆動機構400は、図10に示す通り、植付伝動装置18から出力される植付作業の駆動力を植付クラッチ420に伝動するための第1ギア410と、第1ギア410からの駆動力を受けて上下動アーム駆動軸440への伝動を「入り」状態にするか「切り」状態にするかを切り替える植付クラッチ420と、植付クラッチ420が「入り」状態のときに駆動力が伝動される、植付クラッチ420の伝動軸421に対して固定されている伝動ギア421aから駆動力を受ける第2ギア430と、第2ギア430と同軸に固定された小径ギア430aと噛み合って上下動アーム駆動軸440に駆動力を伝動するための、上下動アーム駆動軸440に固定された第3ギア450とを、それぞれ回動可能に配置している。ここで、植付クラッチ420の伝動軸421は、植付クラッチ420が「切り」状態のときは、回動せずに停止しており、第2ギア430への駆動力の伝動は行わない。
尚、本実施の形態の植付クラッチ420として、従来の定位置停止クラッチを使用しても良い。
また、苗植付装置駆動機構400は、図10に示す通り、植付クラッチ420の伝動下流側に設けられ上下動アーム駆動軸440に固定されるとともに、植付クラッチ420を「入り」状態から「切り」状態に強制的に切り替えるために円形状の外周縁部の一部に形成された凹部441aを有する間欠用カム441と、一端部460aが植付クラッチ420から離れるか又は当接するかによって、当該植付クラッチ420におけるクラッチの入り状態と切り状態の切り替えを行わせる、回動支点461にて回動自在に支持された側面視で略「へ」の字形状の第1アーム460とを備えている。
また、苗植付装置駆動機構400は、図10に示す通り、引っ張りばね480の引っ張り力に対抗して第1アーム460の他端部460bを可動プレート472を介して矢印B1の方向に吸引することで、回動支点461を中心として第1アーム460の一端部460aを矢印C1方向に回動させて、植付クラッチ420を「切り」状態から「入り」状態へ切り替える動作を行わせるソレノイド470を備え、ソレノイド470の吸引力が植付クラッチ420の「入り」状態への切り替え動作に有効に作用すべく、ソレノイド470の取り付け位置の調節可能な取り付け調整用長孔471aが設けられているとともに、ケーシング401の下方位置に固定されたソレノイド固定板471と、第1アーム460の回動支点461に一端部462aが固定され、第1アーム460の動作と連動して他端部462bが間欠用カム441の外周縁部に当接する第2アーム462と、を備えている。
また、上述した引っ張りばね480は、第1アーム460を植付クラッチ420が「切り」状態となる方向に、且つ、第2アーム462の他端部462bを間欠用カム441の外周縁部に押し付ける方向に付勢するためのばねである。
以上の構成によれば、植付クラッチ420の伝動下流側に設けられた間欠用カム441を使用して、植付クラッチ420を「入り」状態から「切り」状態に出来、簡単な構成の間欠植付機構が実現出来る。
また、第1アーム460と第2アーム462とが、回動支点461を中心として一体回動する構成とし、且つ、その回動支点461を植付クラッチ420の伝動軸421よりも間欠用カム441側に配置したことにより、第1アーム460と第2アーム462とが合理的で且つコンパクトに構成出来る。
また、重量物であるソレノイド470をケーシング401の下方に配置したことにより、苗移植機1の低重心化が図れる。
次に、図10を参照しながら、苗植付装置駆動機構400における上下動アーム駆動軸440への伝動の入り切りを行う植付クラッチ420と間欠用カム441の動作を中心に、項目Aから項目Cの3つの場面に分けて、それぞれ説明する。
A.ソレノイド470に通電(パルス信号による短時間の通電)されると、ソレノイド470の先端の可動プレート472が、引っ張りばね480の引っ張り力に対抗して矢印B1の方向に吸引されて、第1アーム460の一端部460aと第2アーム462の他端部462bが、回動支点461を中心として反時計方向(図10の矢印C1参照)に回動する。
これにより、第1アーム460の一端部460aが植付クラッチ420から離れることで、下記のi)とii)の動作が行われる。
i)当該植付クラッチ420が「入り」状態となり、伝動軸421が回動することで、第2ギア430側へ駆動力が伝達されて、第3ギア450を介して上下動アーム駆動軸440が回動を開始するとともに、ii)第2アーム462の他端部462bが間欠用カム441の外周縁部に形成された凹部441aから離れ(この直前まで、第2アーム462の他端部462bは間欠用カム441の凹部441aに位置しつつ、植付クラッチ420が「切り」状態にあり、上下動アーム駆動軸440は回動を停止している)、凸状の外周縁部441bに沿いながら、間欠用カム441と上下動アーム320が回動を続ける。
即ち、既にソレノイド470への通電は停止されており矢印B1への吸引力は発生していないが、第2アーム462の他端部462bが、間欠用カム441の凸状の外周縁部441bに沿った状態が維持されている間は、第1アーム460の一端部460aが植付クラッチ420から離れているので、当該植付クラッチ420は「入り」状態を維持することが出来て、上下動アーム320の回動により植付具11(図9参照)は上下動(植付動作)を続けて、間欠用カム441が1回転するまでの間に、植付具11は1回だけ植付動作を実行する。
B.その後、間欠用カム441が1回転して、第2アーム462の他端部462bが間欠用カム441の凹部441aに到達すると、引っ張りばね480の引っ張り力により、第1アーム460が時計方向に回動するとともに、第1アーム460の一端部460aが植付クラッチ420に当接することで、下記のi)とii)の動作が行われる。
i)植付クラッチ420は「切り」状態となり、伝動軸421の回動が停止することで、第2ギア430側へ駆動力が伝達されなくなるので、上下動アーム駆動軸440は回動を停止するとともに、ii)第2アーム462の他端部462bが間欠用カム441の外周縁部に形成された凹部441aに留まったまま(この直前まで、第2アーム462の他端部462bは間欠用カム441の凸状の外周縁部441bに沿いつつ、植付クラッチ420が「入り」状態にあり、上下動アーム駆動軸440は回動を続けている)、間欠用カム441と上下動アーム320は回動を停止し続けるので、植付具11(図9参照)は上下動(植付動作)を停止し続ける。
C.更にその後、任意のタイミングでソレノイド470が通電されると、植付クラッチ420が「入り」状態となり、上記項目Aで説明した動作を開始する。
上記構成によれば、ソレノイド470に通電する、上記任意のタイミングを制御することにより、植付具11の上下動(植付動作)が停止している時間を調節できるものである。これにより、簡単な構成で間欠植付が可能となる。
次に、図11を参照しながら、操縦ハンドル8の左右一対のハンドルグリップ8L、8Rの近傍に配置された各種操作レバー、及び操作部600について説明する。図11は、操縦ハンドル8の左右一対のハンドルグリップ8L、8Rの近傍に配置された各種操作レバー、及び操作部600を説明する平面図である。
図11に示す通り、操縦ハンドル8の左側のハンドルグリップ8Lの近傍には、主クラッチレバー80が設けられ、右側のハンドルグリップ8Rの近傍には、油圧昇降シリンダ10を作動させる昇降操作レバー81が設けられている。
昇降操作レバー81は、「下げ」、「中立」、「上げ」の3段階に手動切り替え可能に構成されており、「下げ」位置に切り替えると、油圧昇降シリンダ10が走行車体15を下降させるべく作動し、後述するセンサ板710(図12参照)により下降が停止されると共に、後述する植付入り切りボタン620(図11参照)がON状態であれば、植付クラッチ420が「入り」状態となり、植付作業が開始される。
また、昇降操作レバー81を「中立」位置に切り替えると、植付作業を停止させ、「上げ」位置に切り替えると、油圧昇降シリンダ10が走行車体15を上昇させるべく作動する。
また、図11に示す通り、操作パネル601には、その左端から右端に向けて順に、(1)走行車体15の走行を停止させた状態で植付具11のみ作動させるための空植操作ボタン610と、(2)昇降操作レバー81が、走行車体15を下降させる下降操作位置に操作された際、その下降操作に連動して植付具11を作動させる状態と、その下降操作に連動させない状態との何れかに切り替える植付入り切りボタン620と、(3)少なくとも植付株間を表示する表示部630と、(4)少なくとも植付株間を調節する調節ボタン640と、が配置されている。
尚、植付入り切りボタン620の左側には、上述したマルチカット入/切スイッチ602と警告ランプ603が配置されている。
また、上述した通り、調節ボタン640は、植付株間を調節する操作の他に、切替スイッチ(図示省略)の操作により、マルチカットヒータの温度を設定する為の温度設定操作に用いることが出来る。
また、上述した通り、表示部630には、植付株間の表示に代えて、マルチカットヒータの設定温度或いはマルチカットヒータ温度センサ513による検知温度が表示される構成である。
上記構成により、植付入り切りボタン620が、操作パネル601の中央部付近に配置されているので、操作がし易い。
また、空植操作ボタン610が、他の操作ボタンが配置された上面601aとは異なる後面601bの左側に配置されているので、作業者による誤操作を低減することが出来る。
また、表示部630が、操作パネル601の中央付近に配置されているため、確認し易い。
調整ボタン640は、上側に株間を広げる方向に変化させる「上げ」プッシュスイッチ640aと、下側に株間を狭める方向に変化させる「下げ」プッシュスイッチ640bとを備えている。
上記構成により、「上げ」プッシュスイッチ640a、「下げ」プッシュスイッチ640bを操作することで、株間を示す数値がダイレクトに表示部630に表示されるので、作業者が株間を認識し易い。
次に、主として図12、図13を参照しながら、植付深さ調整機構700と、植付入り切りボタン620と、昇降操作レバー81等の操作に基づいて、植付の入り切りを行うソレノイド470等の動作を制御する制御部800を中心に説明する。
図12は、植付深さ調整機構700の概略構成を示す左側面図であり、図13は、制御部800への入出力を説明する概略構成図である。
図12に示す通り、植付深さ調整機構700は、(1)圃場面701に接することで苗の植付深さを一定に保持する、底面が緩やかに湾曲したセンサ板710と、(2)側面視で略L字形状の板状部材であって、L字の屈曲部が回動支持軸721により走行車体15に対して回動可能に支持され、後方に延びる一端部722がセンサ板710の前端部711と回動支持軸722aを介して回動自在に連結されると共に、上方に延びる他端部723が、作業者が手動で操作してセンサ板710の垂直(上下)方向の位置を設定する深さレバー730の動きを伝達する伝達ロッド740の先端部741と回動自在に連結された深さアーム720と、(3)深さアーム720を主フレーム17から揺動自在に吊り下げるスプリング750と、(4)側面視で略L字形状の板状部材であって、L字の屈曲部が回動支持軸761により走行車体15に対して回動可能に支持され、回動支持軸761の下部に長孔762が形成されていると共に、上端部763に連結された引っ張りスプリング766により、回動支持軸761を軸芯として矢印Y方向に回動すべく付勢され、油圧切替バルブ部40に備えられた昇降操作バルブ(図示省略)に対して、前端部764がロッド765で連結されたカウンタアーム760と、(5)カウンタアーム760の長孔762の前端側に入り切り検知レバー771が位置すべく、カウンタアーム760上に配置された植付スイッチ770と、(6)一端部781に設けられた連結ピン781aが長孔762内に挿入され、他端部782が連結軸783を介してセンサ板710の上端部712と回動自在に連結されたセンサロッド780と、を備えている。
また、センサロッド780が、センサ板710の上方向への揺動によるセンサ板710の上端部712の矢印Z方向の揺動に連動することで、その一端部781の前端縁部781bが、入り切り検知レバー771を押す方向に移動し、植付スイッチ770をONさせる構成である。
上記構成によれば、深さアーム720がスプリング750で吊り下げされているので、深さアーム720と深さレバー730の連結部分のガタツキを無くし、深さレバー730により設定された深さが安定する。尚、スプリング750は、深さアーム720を吊り下げる構成であるが、これに限らず例えば、深さアーム720を主フレーム側に押し付ける構成であっても良い。
また、上記構成によれば、カウンタアーム760は、センサ板710を押し下げる方向に引っ張りスプリング766で引っ張られているので、センサロッド780とカウンタアーム760によるガタツキを無くすことが出来る。
また、引っ張りスプリング766の弾性力を変えることで、センサ板710を押す力を変えることが出来る。
次に、図13を参照しながら、操作パネル601の下方に設けられた制御部800によるソレノイド470の制御方法について説明する。
図13に示す通り、制御部800には、少なくとも植付入り切りボタン620からの入り切り信号と、昇降操作レバー81の切り替え信号と、植付スイッチ770からの入り切り信号と、マルチカット入/切スイッチ602からの入り切り信号と、マルチカットヒータ温度センサ513からの検知信号等が入力され、これらの入力信号により、ソレノイド470にパルス信号が出力される構成である。
尚、制御部800には、マルチカットヒータ温度センサ513、マルチカット入/切スイッチ602、警告ランプ603が電気的に接続されていることは既に説明した通りである。
以上の構成のもとで、主として図11〜図13を参照しながら、制御部800の動作を中心に説明する。
ここでは、苗移植機1を圃場の所定位置に移動させた後、(1)植付作業を開始しようとする場面、その後、(2)圃場内を植付作業しながら走行する場面、そして、(3)畝の端まで来て旋回する場面に分けて説明する。
(1)植付作業を開始しようとする場面:
苗移植機1を圃場の所定位置に移動させたとき、植付入り切りボタン620は「入り」状態に、昇降操作レバー81は「上げ」位置に、それぞれ設定されており、走行車体15の車高は高い位置にあるものとする。
作業者が、昇降操作レバー81を「下げ」位置に操作して、走行車体15の車高を下げることにより、センサ板710が走行車体15と共に圃場面701に向けて下がる。また、作業者は、マルチカット入/切スイッチ602を「入り」状態にセットする。
センサ板710が圃場面701に接するとセンサ板710の前端部711が矢印Z方向に回動するので、センサロッド780の前端縁部781bが、入り切り検知レバー771を押す方向に移動し、植付スイッチ770をONさせることにより、植付スイッチ770からのON信号が制御部800に入力される。
制御部800は、植付入り切りボタン620から「入り」状態を示す信号と、昇降操作レバー81から「下げ」位置を示す信号と、植付スイッチ770からの「ON」信号と、マルチカット入/切スイッチ602からの「入り」状態を示す信号と、をAND条件の下で受け付けた上で、更に、マルチカットヒータ温度センサ513の検知温度が設定温度(又は、使用可能な温度)以上であると制御部800が判定したことにより、ソレノイド470を通電させる信号を出力する。
これにより、植付クラッチ420は「切り」状態から「入り」状態に切り替わり、植付作業が開始される。
(2)圃場内を植付作業しながら走行する場面:
ここでは、昇降操作レバー81は「下げ」位置にあり、センサ板710は圃場面701の凹凸に応じて上下動しているものとする。
また、制御部800は、ソレノイド470に対して、所定の作動周期で通電させるべく、パルス信号をその作動周期で出力する。従って、植付クラッチ420は、ソレノイド470が通電されることにより「入り」状態になると共に間欠用カム441が回動を開始して1回転し終わると(つまり、苗の植付動作を1回し終わると)「切り」状態に戻るという一連の動作を、当該作動周期で繰り返す。
これにより、植付作業が間欠的に行われて、所望の植付株間が実現される。
センサ板710の上下動に応じて、油圧昇降シリンダ10が次の通り動作する。
即ち、センサ板710が上方に動くと、センサ板710の前端部711が回動支持軸722aを中心に矢印Z方向に移動するとともに、センサロッド780の一端部781に設けられた連結ピン781aが長孔762の前縁部を押す方向に移動すると、カウンタアーム760が回動支持軸761を軸芯として図12中において時計方向に回動し、この動きがロッド765を介して、油圧切替バルブ部40に備えられた昇降操作バルブ(図示省略)に伝達されて、油圧昇降シリンダ10が伸びる方向に作動して、走行車体15の車高が高くなる。
一方、センサ板710が下方に動くと、センサ板710の前端部711が回動支持軸722aを中心に矢印Z方向と反対方向に移動するとともに、センサロッド780の一端部781に設けられた連結ピン781aが長孔762の前縁部から離れる方向に移動すると、引っ張りスプリング766の引っ張り力によりカウンタアーム760が回動支持軸761を軸芯として矢印Y方向に回動し、この動きがロッド765を介して、油圧切替バルブ部40に備えられた昇降操作バルブ(図示省略)に伝達されて、油圧昇降シリンダ10が短くなる方向に作動して、走行車体15の車高が低くなる。
上記動作により、圃場面701に凹凸があっても、苗の植付深さを一定に保持することが出来る。
尚、植付作業中において、マルチカットヒータ温度センサ513の検知温度が設定温度(又は、使用可能な温度)未満になったと制御部800が判定した場合、制御部800は、ソレノイド470への植付クラッチ420を「入り」状態にする信号の出力を規制する制御を行うことで、植付作業を停止させる。それと同時に、表示部630にマルチカットヒータの温度低下による緊急停止のメッセージを表示すると共に、警告ランプ603を点滅させる。
(3)畝の端まで来て旋回する場面:
この場面では、作業者は、植付作業を中断させるために、昇降操作レバー81を「下げ」位置から「中立」位置に移動させる。
これにより、制御部800は、昇降操作レバー81からの、「中立」位置を示す信号を受けて、ソレノイド470に対するパルス信号の出力を停止する。これにより、植付クラッチ420は「入り」状態から「切り」状態に切り替わった後は、「切り」状態を維持し続けるので、植付作業が中断される。
更に、作業者は、走行車体15を隣の畝に向けて旋回させるために、昇降操作レバー81を「中立」位置から「上げ」位置に移動させる。
この昇降操作レバー81の操作に応じたケーブル82の動きに連動して、油圧切替バルブ部40に備えられた昇降操作バルブ(図示省略)が作動し、油圧昇降シリンダ10が伸びる方向に移動することにより、走行車体15の車高が高くなる。
この時、センサ板710は下がり、植付スイッチ770がOFF状態になるが、制御部800からは何も信号は出力されない。
尚、植付クラッチ420は「切り」状態を維持しており、植付作業が中断したままの状態が継続されている。
そこで作業者は、走行車体15を旋回させる。
次に作業者は、昇降操作レバー81を「上げ」位置から「中立」位置を経て「下げ」位置に移動させると、昇降操作レバー81の操作に応じたケーブル82の動きに連動して、油圧切替バルブ部40に備えられた昇降操作バルブが作動し、油圧昇降シリンダ10が短くなる方向に移動することにより、走行車体15の車高が低くなり始める。尚、昇降操作レバー81の上記操作により、昇降操作レバー81が「下げ」位置にあることを示す信号が制御部800に対して出力される。
そして、走行車体15の車体が降下して、やがてセンサ板710が圃場面701に接すると、上記項目(1)で説明したのと同様に、植付スイッチ770がONし、その信号が制御部800に入力される。
植付入り切りボタン620は「入り」状態のままであるので、制御部800は、植付入り切りボタン620から「入り」状態を示す信号と、昇降操作レバー81から「下げ」位置を示す信号と、植付スイッチ770から「ON」信号と、マルチカット入/切スイッチ602からの「入り」状態を示す信号と、をAND条件の下で受け付けた上で、更に、マルチカットヒータ温度センサ513の検知温度が設定温度(又は、使用可能な温度)以上であると制御部800が判定したことにより、ソレノイド470を通電させる信号を出力する。即ち、制御部800は、上記と同様に、ソレノイド470に対して、所定の作動周期で通電させるべく、パルス信号をその作動周期で出力する。
これにより、植付クラッチ420は「切り」状態から「入り」状態に切り替わり、再び植付作業が開始される。
上記構成により、植付入り切りボタン620を「入り」状態にしておくことにより、昇降操作レバー81を操作するだけで、上記の(1)植付作業を開始してから、その後、(2)圃場内を植付作業しながら走行し、そして、(3)畝の端まで来て旋回した後、再び植付作業をするという一連の作業を連続して行える。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、本発明の移植機の一実施の形態の別の苗移植機について、図14〜図16を用いて説明する。
尚、本実施の形態では、上記実施の形態1の苗移植機1と基本的に同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略し、相違点を中心に説明する。
即ち、本実施の形態2の苗移植機は、第2植付具2011の上下動に同期して、第2植付具2011の内面に付着した泥等を落とすスクレーパ装置1500と、車輪スクレーパ1600を備えた点が、上記実施の形態1の構成と相違する。
図14は、スクレーパ装置1500を説明する概略側面図である。
また、図15は、スクレーパ装置1500を説明する概略平面図である。
また、図16は、スクレーパ装置1500の動作を説明する概略側面図である。
図14、図15に示す通り、スクレーパ装置1500は、軌跡T1(図1参照)に沿って上下動しながら下死点付近で先端側が左右方向に開閉する左右一対の左側ホッパー部1011L及び右側ホッパー部1011Rの後方に配置され、その左右一対のホッパー部の内壁面に付着した泥等を落とすべく当該内壁面をスクレープするゴム製のスクレーパ1510と、下端部1520aにスクレーパ1510を取り付ける為のスクレーパ取り付け部1521を有すると共に、側面視で、第2植付具2011の上方に位置する、走行車体15のフレーム15aに固定されたスクレーパ支点軸1522に、上端部1520bが前後方向に回動可能に連結されたスクレーパアーム1520と、左ホッパーホルダー1012L及び右ホッパーホルダー1012R(図5、図15参照)を支点軸1013aを中心に回動可能に保持するホルダー保持枠1013の左側面から外側に向けて立設されたカム取り付けピン1531の先端に固定された、側面視で、略半月状のスクレーパ用カム1530と、を備えている。
また、スクレーパアーム1520の上端部1520bに一端部が引っ掛けられて、他端部が走行車体15のフレーム15aに引っ掛けられたスクレーパアーム引っ張りスプリング1550が配置されており、スクレーパアーム1520には、当該スクレーパアーム引っ張りスプリング1550の収縮力により、スクレーパ支点軸1522を回動の中心として、左側面視で反時計回り、即ち、後方側に向けて回動しようとする力が常に働いている。
一方、スクレーパアーム1520は、標準位置(スクレープしていない時の位置)にあるときは、苗タンクフレーム101に当たることで、後方側に向けた回動しようとする動きを止める構成である。
また、スクレーパアーム1520の下端部1520aと上端部1520bの概ね中央部の左側面には、スクレーパ用ローラ1540を先端部に回動可能に保持するスクレーパ用ローラステイ1541が固定されており、当該スクレーパ用ローラ1540は、スクレーパ用カム1530に所定のタイミングで当接される位置に配置されている。
上記構成により、スクレーパ支点軸1522は、側面視で、走行車体15の上部のフレーム15aに固定されており、且つ、スクレーパ1510が後方に退避した通常の非作用状態でスクレーパ1510よりも前側に固定されている為、スクレーパ1510は、通常の非作用状態のとき、スクレーパ作用状態のときより上位になり、植え付けた苗に干渉しにくくなる構成である。
次に、主として図16を用いて、スクレーパ装置1500の動作について、第2植付具2011の左右一対のホッパー部1011L、1011Rの先端の上下動と関連づけながら説明する。
(1)第2植付具2011が苗22を圃場に植え付けた後、左右一対のホッパー部1011L、1011Rの先端が軌跡T1上のホッパー第1位置T1aに移動する場面について説明する。
この場面では、左右一対のホッパー部1011L、1011Rの先端が開いたままの状態で上昇過程にあり、ホルダー保持枠1013の左側面においてカム取り付けピン1531を介して固定されたスクレーパ用カム1530も同様に上昇する。
即ち、スクレーパ用カム1530が、ホッパー第1位置T1aに対応するカム第1位置1530aまで上昇したときに、スクレーパ用カム1530の先端部が、標準位置に位置しているスクレーパアーム1520のスクレーパ用ローラ1540の下端面の後側に当接することにより、スクレーパ用ローラ1540が前方側に移動させられると共に、スクレーパアーム1520が前方側(図16の矢印S参照)に移動を開始する。
(2)第2植付具2011が上昇を続け、左右一対のホッパー部1011L、1011Rの先端が軌跡T1上のホッパー第2位置T1bに移動する場面について説明する。
この場面では、左右一対のホッパー部1011L、1011Rの先端が開いたままの状態で上昇過程にあり、スクレーパ用カム1530も同様に上昇する。
即ち、スクレーパ用カム1530が、ホッパー第2位置T1bに対応するカム第2位置1530bまで上昇するにつれて、スクレーパ用カム1530の前側縁部の側面視で円弧状の面が、スクレーパ用ローラ1540の後端面に当接しながら、更にスクレーパ用ローラ1540を前方側に移動させる。
これと同時に、スクレーパアーム1520が更に前方側(図16の矢印S参照)に移動すると共に、スクレーパ1510が、左右一対のホッパー部1011L、1011Rの後側の隙間から内部に進入する。
(3)そして、第2植付具2011が更に上昇し、左右一対のホッパー部1011L、1011Rの先端が、軌跡T1上のホッパー第2位置T1bから軌跡T1上のホッパー第3位置T1cに到達するまでの過程におけるスクレーパ1510の動作について説明する。
この過程では、スクレーパ用カム1530が、ホッパー第2位置T1bに対応するカム第2位置1530bからホッパー第3位置T1cに対応するカム第3位置1530cに到達するまで上昇するにつれて、スクレーパ用カム1530の前側縁部の側面視で比較的カーブの緩やかな円弧状の面が、スクレーパ用ローラ1540の後端面に当接しながら上昇することにより、スクレーパ1510は、図16に示す通り、少しだけ前方に移動すると共に、左右一対のホッパー部1011L、1011Rの内部においてほぼ同じ高さを維持する。
しかし、第2植付具2011は上昇移動を続けているので、スクレーパ1510は、左右一対のホッパー部1011L、1011Rの内壁面に付着した泥等を効果的にこそぎ落とすことが出来る。
(4)そして、第2植付具2011が更に上昇し、左右一対のホッパー部1011L、1011Rの先端が、軌跡T1上のホッパー第3位置T1cを通過すると、スクレーパ用カム1530が、ホッパー第3位置T1cに対応するカム第3位置1530cにおいて、スクレーパ用ローラ1540の上方に移動する。これにより、スクレーパ用ローラ1540は、スクレーパ用カム1530による当接から開放されて、スクレーパアーム引っ張りスプリング1550の収縮力により、一気にスクレーパアーム1520が後方に移動すると共に、スクレーパ1510が左右一対のホッパー部1011L、1011Rの内部から抜け出して、苗タンクフレーム101に当たることで停止する。
その後、第2植付具2011は、上死点近傍で左右一対のホッパー部1011L、1011Rの先端側を閉じて、軌跡T1上を移動し、上記(1)〜(4)の動作を繰り返す。
これにより、狭いスペースにスクレーパ1510を含むスクレーパ装置1500を収めることが出来、機体のコンパクト化が図れると共に、スクレーパ1510の前後移動量を確保出来、左右一対のホッパー部1011L、1011Rの内面を的確にスクレープ出来る。
次に、図17(a)〜図17(d)を用いて、車輪スクレーパ1600について説明する。
図17(a)は、左側の前輪2に設けられた車輪スクレーパ1600を示す概略平面図であり、図17(b)は、図17(a)に示された車輪スクレーパ1600の概略左側面図である。
また、図17(c)は、図17(b)に示された車輪スクレーパ1600を、前輪2の左右幅方向の中央位置において、車軸2aに垂直な面で切断した時の概略断面図であり、車輪スクレーパ1600のみを拡大して描いてある。
また、図17(d)は、左側の前輪2についての、車輪スクレーパ1600の固定位置の変形例を示す概略拡大図である。
図17(a)、図17(b)に示す通り、車輪スクレーパ1600は、前輪2の車軸2aを回動可能に支持する車軸ステイ2bにボルト1601により固定されている。また、車軸ステイ2bは、側面視で車軸2aを通る水平線1610に対して後方斜め上向きに傾斜している。
車輪スクレーパ1600は、図17(a)に示す通り、平面視で略U字形状の板状部材であって、前輪2のタイヤの接地面2cに沿うと共に、その両端側が車軸2aに向けて曲がっている。
また、車輪スクレーパ1600は、図17(c)に示す通り、前輪2の後側であって、車輪スクレーパ1600の下端部1602が、側面視で、車軸2aを通る水平線1610よりも上に位置するべく配置されている。
また、車輪スクレーパ1600は、図17(b)に示す通り、側面視で、車軸ステイ2bの上端面に平行に配置されている。
即ち、図17(c)に示す通り、車輪スクレーパ1600のスクレーパ作用面1604を示す側面視における線分が、当該スクレーパ作用面1604の作用端部1604aと車軸2aの中心とを通る直線1605に対して、直角ではなく斜めになる様に、車輪スクレーパ1600のスクレーパ作用面1604が配置されている。
尚、この配置関係は、図17(c)に示す断面で規定される範囲に限らない。即ち、少なくともタイヤの接地面2c(図17(a)参照)の範囲内において、仮に、タイヤの接地面2cとそれに対向するスクレーパ作用面1604とをそれぞれ多角形の平面の集合として見た場合、スクレーパ作用面1604のタイヤに対向する多角形の平面が、当該平面に対向するタイヤの接地面2c上の多角形の平面に対して、平行ではなく斜めに配置されている。これにより、タイヤの接地面2cに付着した泥等に対し、作用端部(図17(c)の符号1604a参照)でのエッジが効果的に作用する。
これにより、苗移植機1が前進走行する際に、左右一対の前輪2の後側に配置された車輪スクレーパ1600の下端部1602の作用端部1604a(車輪スクレーパ1600の内、所定の間隔を隔ててタイヤの走行面2cに最も近接したエッジ部)によりタイヤの接地面に付着した泥等を確実にスクレープ出来る。
尚、上記実施の形態では、車輪スクレーパ1600は、左右一対の前輪2の後側に配置された場合について説明したが、これに限らず例えば、図17(d)に示す通り、左右一対の前輪2の前側に配置する構成であっても良い。この場合、車輪スクレーパ1600の上端部1603が、側面視で、車軸2aを通る水平線1610よりも下に位置するべく配置されている。
これにより、図17(c)に示す配置の場合と同様の効果を発揮する。
また、上記実施の形態では、車輪スクレーパ1600を前輪2に配置した構成について説明したが、これに限らず例えば、後輪3に配置した構成であっても良いし、或いは、前輪2と後輪3の両方に配置した構成であっても良い。
また、図17(c)では、車輪スクレーパ1600の下端部1602の作用端部1604aが、側面視で、車軸2aを通る水平線1610よりも上に位置し、また、図17(d)では、車輪スクレーパ1600の上端部1603の作用端部1604aが、側面視で、車軸2aを通る水平線1610よりも下に位置する構成について説明したが、これに限らず要するに、車軸2aに垂直で且つ車軸2aの中央部を通る縦断面の側面視において、車輪スクレーパ(図17(c)の符号1600参照)のスクレーパ作用面(図17(c)の符号1604参照)を表す線分が、該スクレーパ作用面の作用端部(図17(c)の符号1604a参照)と車軸2aとを通る直線(図17(c)の符号1605参照)に対して直角ではなく斜めになる様に(図17(c)では鈍角を形成する様に)、スクレーパ作用面が配置されておりさえすれば良い。従って、その場合の構成例を、便宜上、図17(c)を用いて説明すれば、車輪スクレーパ1600の下端部1602の作用端部1604aが、側面視で、車軸2aを通る水平線1610の上に位置していても良いし、或いは、車軸2aを通る水平線1610より下方に位置していても良い。
また、上記実施の形態では、孔開け装置500の下側リンク機構524が、下側前リンク部材524−1と下側後リンク部材524−2の2つのリンク部材から構成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、図18(a)に示す通り、第2孔開け装置1700において第2下側リンク機構が、1つのリンク部材から構成されていても良い。ここで、図18(a)は、第2孔開け装置1700の概略構成を示す側面図である。図3(a)、図3(b)と基本的に同じ機能を備えた構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
即ち、第2孔開け装置1700は、図18(a)に示す通り、孔開け具510と、孔開け具510を静止軌跡において、上下及び前後方向に移動させる第2上下動機構1720とを備えている。
また、第2上下動機構1720は、図3(a)、図3(b)で説明した構成要素と基本的に同じ機能を備えた第1カム521と第2カム522と上側リンク機構523とを備えると共に、植付伝動装置18の左外側面上であって孔開け駆動軸29の下方に固定された下側リンク軸524aに対して第2前端部1724Fが回動可能に連結されて第2後端部1724Bが上下揺動可能に取り付けられた第2下側リンク機構1724と、上側リンク機構523の後端部523Bと第2下側リンク機構1724の第2後端部1724Bとを、上連結軸523cと第2下連結軸1724cを介して揺動可能に連結し、下端部側において孔開け具510を連結した第2連結アーム1725とを備えている。
第2下側リンク機構1724の第2後端部1724Bに固定された第2下連結軸1724cは、第2連結アーム1725の途中において前後方向に形成された長孔1725aに沿って移動可能に連結されている。また、第2下側リンク機構1724の途中に下側ローラ526−1が回動可能に取り付けられており、上側リンク機構523の途中に上側ローラ526−2が回動可能に取り付けられている。また、第2下側リンク機構1724の途中には、下側リンク引っ張りバネ527の下端部が掛けられており、当該下側リンク引っ張りバネ527の上端部は、上側リンク機構523に設けられた固定ピン18bに掛けられている。
即ち、下側リンク引っ張りバネ527は、上側リンク機構523と第2下側リンク機構1724との間に設けられており、上側リンク機構523と第2下側リンク機構1724との間隔が狭くなる側に付勢する構成となっている。
また、第2下側リンク機構1724には、複数の孔1724aが形成されており、その孔の何れかに対して、孔開け具510の前側上端部に一方側が掛けられたスプリング1724bの他方側が掛けられている。スプリング1724bの他方側を掛ける孔が変更可能に構成されているので、孔開け具510の首振り量を調節することが出来る。
この構成により、孔開け具510を静止軌跡において、下降させた後、後方へ移動させ、上昇させることが可能となる。これにより、マルチフィルム19に孔を適正に形成することが出来る。
また、上記実施の形態では、電熱ヒータ部511の外周側面全体を覆う防風カバー517が、ステイロッド515に固定されて、ステイロッド515と共に上下方向にスライドする構成について説明したが、これに限らず例えば、図18(b)に示す通り、平面視で、左側防風カバー517Lと右側防風カバー517Rに2分割されており、且つ、左側防風カバー517Lについては、左前側防風カバー517L−1と左後側防風カバー517L−2が左回動支点517Laを中心に矢印の方向に回動可能に連結されて構成されていると共に、右側防風カバー517Rについては、右前側防風カバー517R−1と右後側防風カバー517R−2が右回動支点517Raを中心に矢印の方向に回動可能に連結されて構成されている。また、左側防風カバー517Lと右側防風カバー517Rは、電熱ヒータ部511が上死点に移動した時に、電熱ヒータ部511の外周側面を覆うことが出来る位置に開閉可能に配置されており、走行車体15側に固定されている。電熱ヒータ部511が上死点から下降する時は(図3(a)の孔開け静止軌跡500T参照)、主として、左後防風カバー517L−2と右後防風カバー517R−2の内壁部に当接しながら押し広げて左側防風カバー517Lと右側防風カバー517Rの内部から脱出し、下死点を過ぎて上昇し上死点に近づくと、主として、左後防風カバー517L−2と右後防風カバー517R−2の下方からそれらの内壁部に当接しながら押し広げて上昇し、左側防風カバー517Lと右側防風カバー517Rの内部に進入する。これにより、電熱ヒータ部511が上死点に位置する間、冷却を抑制することが出来る。ここで、図18(b)は、防風カバーが左側防風カバー517Lと右側防風カバー517Rに2分割された構成を示す概略平面図である。
また、上記実施の形態では、前V字切り欠き部1200Fを内側から覆う前ガード1210Fと、後V字切り欠き部1200Bを内側から覆う後ガード1210Bとを備えた場合等について説明したが、これに限らず例えば、前V字切り欠き部1200Fを外側から覆う前ガードと、後V字切り欠き部1200Bを外側から覆う後ガードとを備えた構成であっても良いし、或いは、何れか一方のV字切り欠き部を外側から覆い、他方のV字切り欠き部を内側から覆う構成であっても良い。これにより、植付具の左右一対のホッパー部1011Lと1011Rにより形成されるホッパー内の容積を確保出来る。
また、上記実施の形態では、前V字切り欠き部1200Fと後V字切り欠き部1200Bの双方を前ガードと後ガードにより覆う構成について説明したが、これに限らず例えば、前V字切り欠き部1200F又は後V字切り欠き部1200Bの何れか一方を覆う構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、左右に二つに分かれたホッパー部の互いに突き合わされる端面部に略V字状の切り欠き部が設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、切り欠き部の形状は、略U字状や略長孔状や略長方形状や略菱形状等どの様な形状であっても良い。
また、上記実施の形態では、左右に二つに分かれたホッパー部の互いに突き合わされる前側の端面部において、右側ホッパー部と左側ホッパー部の両方に切り欠き部が形成されており、且つ、左右に二つに分かれたホッパー部の互いに突き合わされる後側の端面部において、右側ホッパー部と左側ホッパー部の両方に切り欠き部が形成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、左右に二つに分かれたホッパー部の互いに突き合わされる前側の端面部において、右側ホッパー部と左側ホッパー部の何れか一方に切り欠き部が形成されており、且つ、左右に二つに分かれたホッパー部の互いに突き合わされる後側の端面部において、右側ホッパー部と左側ホッパー部の何れか一方に切り欠き部が形成された構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、左側ホッパー部1011Lと右側ホッパー部1011Rとが互いに突き合わされる前側と後側の端面部において、略V字状の前V字切り欠き部1200Fと、略V字状の後V字切り欠き部1200Bが設けられている構成について説明したが、これに限らず例えば、前側と後側の何れか一方の端面部に略V字状の切り欠き部が設けられている構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、取出装置200がトレイ20の育苗ポット21から苗を取り出して、植付具に供給し圃場に植え付ける全自動タイプの苗移植機1について説明したが、これに限らず例えば、回転テーブル上に設けられた複数のポットの内部に、作業者が手で苗を入れて、その苗が、ポットの底に設けられた蓋の開閉により落下して植付具に供給されるタイプの苗移植機についても、本発明は適用可能である。
また、上記実施の形態では、トレイ送りロッド121の戻り動作は、取出部材260が育苗ポット21の内部に突入した後に開始されて、取出部材260が育苗ポット21の内部から抜け出す直前に完了する構成について説明したが、これに限らず例えば、取出部材260が育苗ポット21の内部に突入した後、抜け出すまでの間の何れかの期間で、トレイ送りロッド121の戻り動作が開始され、且つ完了しておりさえすれば良い。
また、上記実施の形態では、植付具11の植付動作を間欠的に行わせる構成について説明したが、これに限らず例えば、一定間隔の株間で苗を植え付ける構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、移植物として、野菜などの苗について説明したが、野菜に限らず、取出装置で取り出して植付具で圃場に植え付ける移植物であればどの様なものであっても良い。
また、上記実施の形態では、マルチカットヒータ温度センサ513の検知温度を、表示部630に表示する構成について説明したが、これに限らず例えば、マルチカットヒータが設定温度(又は、使用可能な温度)に到達するまでの所要時間を表示部630に表示する構成であっても良い。また、この構成の場合、マルチカット入/切スイッチ602をONした後、マルチカットヒータが設定温度(又は、使用可能な温度)に達するまでの間は、株間設定表示に代えて、上記所要時間を優先して表示させる構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、マルチカットヒータ温度センサ513の検知温度、或いは、マルチカットヒータが設定温度(又は、使用可能な温度)に到達するまでの所要時間の表示場所として、植付株間を表示する表示部630を兼用する構成について説明したが、これに限らず例えば、植付株間を表示する表示部630とは別に、マルチカットヒータ温度センサ513の検知温度、或いは、マルチカットヒータが設定温度(又は、使用可能な温度)に到達するまでの所要時間を表示する専用の表示装置(図示省略)を設けた構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、植付株間の表示の他に、マルチカットヒータ温度センサ513の検知温度、或いは、マルチカットヒータが設定温度(又は、使用可能な温度)に到達するまでの所要時間の何れか一方を表示する構成について説明したが、これに限らず例えば、マルチカットヒータ温度センサ513の検知温度、及び、マルチカットヒータが設定温度(又は、使用可能な温度)に到達するまでの所要時間の両方とも表示する構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、マルチカットヒータ温度センサ513により検知されるマルチカットヒータの温度が設定温度(又は、使用可能な温度)に達しない場合など、マルチカットヒータの異常が制御部800により検知された場合は、制御部800は、植付動作を停止させる構成について説明したが、これに限らず例えば、マルチカットヒータの電流値を検知するセンサを設け、その検知結果から電流値が規定値未満であると制御部800が判定した場合、その旨のメッセージを表示部630に表示すると共に、警告ランプ603を点滅させて、植付動作を停止させる構成としても良い。また、この構成の場合、マルチカットヒータの電流値を検知するセンサにより検知された電流値を表示部630に表示する構成であっても良い。電流値の異常を判定して植付動作を停止させることにより、マルチフィルム19の孔開け不良による植付作業のやり直しを防ぐことが出来る。また、マルチカットヒータの電流値を表示することにより、作業者自身が、マルチカットヒータの故障や劣化を初期の段階で気づくことが出来、早期の部品交換等が可能となり、作業効率の向上を図ることが出来る。
また、上記実施の形態では、スクレーパ1510が、スクレーパアーム1520のスクレーパ取り付け部1521に固定されている構成について説明したが、これに限らず例えば、図19(a)、図19(b)に示す通り、左右に分割されて、それぞれが回動可能にスクレーパ取り付け部に取り付けられている構成であっても良い。尚、図19(a)において、図14で説明した構成要素と基本的に同じ機能を発揮する構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。ここで、図19(a)は、左右に分割されて、それぞれが回動可能にスクレーパ取り付け部1521に取り付けられている左回動スクレーパ1510Lと右回動スクレーパ1510Rの斜視図であり、図19(b)は、左回動スクレーパ1510Lと右回動スクレーパ1510Rに形成された、左右一対の開きすぎ防止ストッパー1511L、1511Rを示す概略背面図である。
即ち、この場合、図19(a)に示す通り、略半円形の左回動スクレーパ1510Lと右回動スクレーパ1510Rが、スクレーパ取り付け部1521に対して回動可能に取り付けられており、それぞれが、その下面側においてスクレーパ引っ張りスプリング1510aにより連結されている。
また、左回動スクレーパ1510Lと右回動スクレーパ1510Rのそれぞれの先端部1510La、1510Raは、弾性を有したゴム部材で構成されている。
これにより、左回動スクレーパ1510Lと右回動スクレーパ1510Rが、上昇移動中の左右一対のホッパー部1011L、1011Rの後側の隙間から内部に進入すると、左回動スクレーパ1510Lと右回動スクレーパ1510Rのそれぞれの先端部1510La、1510Raが、上昇移動中の左右一対のホッパー部1011L、1011Rの内壁面に当接することで、上側に向けて捲れあがると共に、左回動スクレーパ1510Lと右回動スクレーパ1510Rが、矢印SL、矢印SR(図19(a)参照)の向きに回動しながら、左右一対のホッパー部1011L、1011Rの内壁面に付着した泥等を効果的にこそぎ落とすことが出来る。
尚、左回動スクレーパ1510Lと右回動スクレーパ1510Rが、矢印SL、矢印SRの向きに回動する場合、図19(b)に示す通り、開きすぎを防止する為の左右一対の開きすぎ防止ストッパー1511L、1511Rが、左回動スクレーパ1510Lと右回動スクレーパ1510Rのそれぞれの表面から対向するべく形成されている。図19(b)に示す通り、左回動スクレーパ1510Lと右回動スクレーパ1510Rが、背面視で略直線状になる程度に開いた時に、左右一対の開きすぎ防止ストッパー1511L、1511Rのそれぞれの先端部同士が当接して、これ以上開かないように構成されている。