JP2014156561A - 芳香族ポリアミド組成物の製造方法 - Google Patents

芳香族ポリアミド組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】芳香族ポリアミド中のシリカ粒子凝集による製膜時のフィルター詰まりを改善し、シリカ粒子が高度に分散され、粗大突起の少ないフィルムを提供する。
【解決手段】ジカルボン酸ジクロリドとジアミンとからシリカ粒子を含有する芳香族ポリアミドを製造するに際して、有機溶媒中で重合反応した後、該重合反応で副生する塩化水素を無機アルカリ性化合物で中和し、その中和反応により副生する水を減圧にして蒸発させることで、芳香族ポリアミドを含有するポリアミド溶液中の水分率を0.70重量%以下とすることを特徴とする芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、シリカ粒子の分散性に優れ、成形時のシリカ粒子の凝集の抑制効果に優れた芳香族ポリアミド組成物の製造方法、組成物及びシリカ粒子の凝集による粗大突起が少ないフィルムに関するものであり、得られるフィルムは磁気記録媒体に好適に用いることができる。
近年、情報記録の高密度化のために、Co、Ni、Cr、Feなどの金属やこれらの合金を真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティングなどの方法によりフィルム基板上に形成させた金属薄膜型磁気記録媒体の開発が盛んに行われている。金属薄膜タイプの磁性層は、従来の塗布型のものに較べ厚さが非常に薄いため、使用するベースフィルムの表面形態がそのまま磁性層の表面形態となる。そのためベースフィルムの表面が粗いと例えば出力の低下やドロップアウトが増加する。逆にこれら電磁変換特性を向上させるためにフィルム表面を全くの鏡面にすると、フィルム製造工程や磁気テープ加工工程において各機材との滑りが悪く、フィルムに皺が発生したり、走行抵抗が大きいためにフィルムが切断するなどの問題が発生する。これらの問題を解決する手段としてシリカ粒子を添加し、フィルム表面に突起を形成せしめることで、滑り性を付与することが行われている。しかしながら、添加したシリカ粒子の分散性が不良となることにより、ポリマー中に粗大な凝集体を形成し、それによりフィルム製造工程のフィルター詰まりが発生しフィルターの交換周期が早くなり大きなロスに繋がる。また、得られたフィルム表面に粗大突起が多く発生しドロップアウトが増加する問題があった。芳香族ポリアミド組成物からなるフィルムは、ビデオ、オーディオ用にはもちろん、コンピュータのデータテープなどの高密度のデジタル記録材、アウトドアユーズのビデオカメラ用テープなどに好適に用いられる。
芳香族ポリアミド組成物中の粗大なシリカ粒子凝集体の生成を抑制する方法としては、例えば、特許文献1には、解離定数(pKa)が5.0以下の化合物、具体的には、コロイダルシリカ粒子に塩酸を添加することで、粒子のまわりの界面の電荷を変化させて分散性を向上させる方法が提案されている。しかし、粒子の界面の電荷を変化させた粒子スラリーを予め調製しておき、それを芳香族ポリアミドの重合反応の前後に加える方法では、重合反応で副生する塩化水素を中和する際に、更に副生する多量の水分の影響で、シリカ粒子表面のシラノール基が水素結合により、シリカ粒子の凝集が発生すると考えられている。それにより粒子の分散性は十分なものではなく、そのため製膜時のフィルターの交換頻度が早くなり、粒子凝集によるフィルム粗大突起が増加するという問題があった。
さらに、特許文献2には、芳香族ポリアミドの製造において、重合で副生する塩化水素を無機アルカリで中和し、その中和反応を促進させるために反応槽を減圧にすることが記載されているが、この方法ではポリアミド溶液中の水分を0.70重量%以下に低減することは困難である。そのため、粒子の分散性は十分なものではなく、製膜時のフィルターの交換頻度が早くなり、粒子凝集によるフィルム粗大突起が増加するという問題があった。また使用している粒子は、数十ミクロンの大粒子径の炭酸カルシウム粒子などであり、そのような設計では現在の高度な微細粒子の粒子分散性や高密度記録媒体として使用される高度なフィルム平滑性などを満足するものではなかった。
特開2006−265375号公報 特開平5−140303号公報
本発明は、芳香族ポリアミド組成物の製造時に副生する水分によるシリカ粒子の凝集を高度に改善するものであり、シリカ粒子の分散性に優れ、製膜時のフィルター交換頻度も著しく減少させ、また、粗大突起の少ないフィルムを提供することを目的としている。
本発明の目的は、ジカルボン酸ジクロリドとジアミンとからシリカ粒子を含有する芳香族ポリアミドを製造するに際して、有機溶媒中で重合反応した後、該重合反応で副生する塩化水素を無機アルカリ性化合物で中和し、その中和反応により副生する水を減圧にして蒸発させることで、芳香族ポリアミドを含有するポリアミド溶液中の水分率を0.70重量%以下とすることを特徴とする芳香族ポリアミド組成物の製造方法によって、達成できる。
本発明は、芳香族ポリアミドの製造に際して、重合反応後の中和反応で副生する水分を中和反応後から芳香族ポリアミドポリマーを反応缶から排出するまでの間に減圧することで水分を低下させ、シリカ粒子の粗大な凝集体の形成を抑制し、かつ均一に分散せしめることで、製膜時のフィルター交換頻度を大幅に減少させ、さらに得られるフィルムは、粗大突起が少なくビデオ、オーディオ用にはもちろん、コンピュータのデータテープなどの高密度のデジタル記録材、アウトドアユーズのビデオカメラ用テープなどに好適に使用できる。
本発明の芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸ジクロリドとジアミンから重合反応により製造されるものである。
本発明において用いられるジカルボン酸ジクロリドとしては、例えばテレフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジクロリド、2,6’−ナフタレンジカルボン酸ジクロリド、2−クロロテレフフタル酸ジクロリド、2, 5’−ジクロロテレフタル酸ジクロリド、2,6’−ジクロロテレフタル酸ジクロリド等が挙げられる。これらの中で、ポリマーの溶媒への溶解性及び吸湿性の改善の点から2−クロロテレフタル酸ジクロリドが好ましい。
また、ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン2,4’−ジアミノクロロベンゼン、2,6’−ナフチレンジアミン、4,4’−ビフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、2,5’−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、2,6’−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−オキシジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。これらの中で、ポリマーの溶媒への溶解性、吸湿性及び剛性の改善の点から、2−クロロ−p−フェニレンジアミンまたは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。これらのジアミンは単独または2種類以上用いることもできる。
本発明における芳香族ポリアミドの製造方法としては、例えば低温溶液重合法、界面重合法、脱水触媒を用い直接重合させる方法等が挙げられる。これらの中で、高重合度のポリマーを得やすい点から低温溶液重合法が好ましい。この場合、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒中の溶液重合で合成され、有機溶媒と芳香族ポリアミドが共存するポリアミド溶液として溶液製膜で使用される。また、溶解助剤として、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどの存在下に重合してもよい。
上記重合反応に用いる重合槽としては、竪型重合槽の場合、ダブルヘリカルリボン型、パドル型、プロペラ型等の撹拌翼を用いることができる。また、ニーダの場合は、フィッシュテール型またはゼット型等のブレードを取り付けたものを用いることができる。
本発明において、ジカルボン酸ジクロリドまたはジカルボン酸と、ジアミンの反応により副生する塩化水素を、中和剤として、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機アルカリ性化合物で中和することが必要である。また、重合反応工程と中和反応工程は、同一槽であっても、異なる槽であっても可能である。また、無機アルカリ性化合物での中和反応後にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機系中和剤でpHを調整することが塩化水素による腐食を防止するためにより好ましい。
本発明において、中和反応で副生する水分については、シリカ粒子表面のシラノール基が水素結合により発生するシリカ粒子の凝集を防止するため、ポリアミド溶液中の水分率を0.70重量%以下とすることが必要である。好ましくは、0.65重量%以下、より好ましくは0.60重量%以下である。ポリアミド溶液中の水分率が0.70重量%を超える場合は、シリカ粒子の分散性が悪化し、製膜時のフィルター詰まりの頻度が多くなり、得られるフィルムにも粗大突起が多発する。
本発明においては、中和反応により副生する水を、低水分化工程において反応槽を減圧にして蒸発させることが必要である。減圧時期は特に限定されないが、中和反応中もしくは中和反応が終了し、有機系中和剤を添加後からポリアミド溶液を反応缶から排出するまでの時期が好ましい。また、中和反応を促進させるための中和反応中の減圧と中和反応後有機系中和剤添加後の減圧を併用すると、効率的に水分を低下させることができ、かつ、生産性が向上するため、より好ましい。
中和反応後の反応槽の好ましい減圧条件は、すなわち圧力、ポリアミド溶液の30℃における溶液粘度、温度、減圧時間は次のとおりである。好ましい圧力は、0.1〜2.0KPa、より好ましくは0.7〜1.9KPaである。ポリアミド溶液の30℃における溶液粘度は、低いほど水が蒸発し易く、水分が減少する。好ましくは、4000〜5500ポイズ、より好ましくは4500〜4800ポイズである。ポリアミド溶液の温度は高いほど水が蒸発し易く、溶融粘度も低下し、水分が減少する。好ましくは50〜70℃、より好ましくは60〜66℃である。
減圧時間は長いほど水の蒸発が継続され、水分が減少する。好ましくは6〜20時間、より好ましくは14〜19時間である。減圧時間は中和反応中の減圧と中和反応後の減圧を合計した時間で、複数回減圧した合計時間である。また、中和反応後の減圧は水分をより下げるために、複数回行っても良い。
本発明におけるシリカ粒子を含有する分散体において、シリカ粒子の分散性及び粗大突起削減、凝集率低減の点から、シリカ粒子の平均粒子径は、好ましくは30〜100nm、より好ましくは50〜80nmである。
本発明において、芳香族ポリアミドを製造するに際して、シリカ粒子の含有量は、粒子の分散性及び粗大突起削減、凝集率低減の点から芳香族ポリアミドに対して0.01〜0.1重量%がよく、好ましくは0.02〜0.05重量%である。
本発明におけるシリカ粒子を含有する分散体の分散媒は、シリカ粒子の分散性、フィルムの粗大突起の点から、有機溶媒が好ましい。例えばN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)などを挙げることができる。中でもシリカ粒子の分散性の点からN−メチルピロリドン(NMP)が好ましい。
本発明における粒子は耐酸性に優れpHの変動に強く、粒子の分散性及び粗大突起削減、凝集率低減の点からシリカ粒子である必要がある。代表的なものとして凝集シリカとコロイダルシリカ等が挙げられるが、特に小粒径側の粒子系の均一性に優れておりフィルムの平滑性等の観点でコロイダルシリカが好ましい。炭酸カルシウム粒子や酸化チタン粒子は耐酸性に劣り、溶解などによる不均一粒子の形成や、凝集した粗大粒子がフィルターの寿命を短くする。
このようにして製造された芳香族ポリアミド組成物と溶媒からなるポリアミド溶液は製膜原液として、いわゆる溶液製膜法によりフィルムに加工される。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがあり、いずれの方法で製膜してもよいが、ここでは乾湿式法を例にとって説明する。
乾湿式法で製膜する場合は、製膜原液を口金からドラム、エンドレスベルトなどの支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を蒸散させ薄膜が自己保持性を持つまで乾燥する。乾燥条件は、好ましくは、室温以上220℃以下、60分以内であり、より好ましくは室温以上200℃以下である。
乾燥されたフィルムは支持体から剥離されて、凝固浴(通常は水系)内で脱塩、脱溶媒、縦延伸などが行なわれ、さらにテンター内で延伸、乾燥、熱処理が行なわれてフィルムとなる。延伸倍率は面倍率(延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルム面積で除した値で定義する。1未満はリラックスを意味する)で0.8以上8.0以下が好ましく、1.1以上5.0以下がより好ましい。
また、本発明の芳香族ポリアミド組成物からなるフィルムは、積層フィルムであってもよい。たとえば2層の場合には、重合した芳香族ポリアミド溶液を二分し、それぞれ異なる粒子を添加した後に積層すればよい。3層以上の場合でも同様であり、積層方法としては、周知の技術たとえば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成してからその上に他の層を形成する方法などがある。
本発明の芳香族ポリアミド組成物からなるフィルムの粗大突起は、180個/cm以下が好ましく、より好ましくは120個/cm以下である。
本発明のフィルムが適用される高密度記録媒体の磁性層は、特に限定されないが、強磁性金属薄膜層が好ましい。強磁性金属薄膜層の形成手段としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法が好ましく用いられるが、強磁性粉と有機バインダからなる磁性層を塗布法により形成してもよい。強磁性金属材料としては、Co、Ni、Cr、Feなどの金属やこれらを主成分とする合金などを用いることができる。
磁性層を形成後、ダイヤモンドライクコーテングの付与及び潤滑保護層の付与を行うことは磁気記録媒体の耐久性向上の点で好ましい。さらに磁性層と反対側の面により走行性を向上させるために、バックコート層を設けてもよい。
こうして得られた磁気記録媒体は、小型化、薄膜化が可能であり、コンパクトで大容量のデータを記録することができ、ビデオ、オーディオ用にはもちろん、湿度、温度による寸法変化が少ないので、特にコンピュータのデータテープなどのデジタル記録材として好適である。また高温、高湿下での走行性及び電磁変換特性に優れるので、屋外使用向きビデオカメラ用テープなどにも好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、物性の測定方法は次の方法に従って行った。
(1)粒子の平均粒子径
粒子をNMP中に均一に分散してスラリーとし、遠心沈降式粒子径測定装置(島津製作所製SA−CP2型)で測定した。得られた粒子径分布を対数確率紙にプロットし、積算通過百分率が50%となった点のメジアン径を、その粒子の平均粒子径とした。
(2)ポリアミド溶液の水分率
ポリアミド溶液を0.3g秤量し170℃で蒸発乾固させ、発生した蒸発ガスをカールフィッシャー水分計にて測定してポリアミド溶液中の水分率を求めた。
(3)ポリアミド溶液の1μmフィルターでのポリアミド溶液の通過量
60℃のポリアミド溶液を、1μmのフィルターに0.019g/cm・sで濾過性試験機を用いて濾過し、濾過圧力が10MPaに到達するまでのポリアミド溶液の通過量(g)とした。
(4)ポリアミド溶液の粘度
東機産業株式会社製ディジタル粘度計DVU−E2に、サンプルアダプターSTD−E(透明ガラス)をセットしST型ロータを使用して30℃で粘度を測定した。
(5)製膜時のフィルター寿命評価
ポリアミド溶液の通過量(g)と製膜時のフィルター使用日数の対応をとりフィルター寿命を求めた。フィルター使用日数が50日以上のものをより良好とし、◎印で表記し、40日以上50日未満を良好とし○印、40日未満のものを不良として×印で表2に表記した。
(6)フィルム中の粒子凝集粗大突起(個/100cm
作成したフィルムのフィルム表面100cmの範囲を実体顕微鏡にて偏光下で異物を観測し、マーキングする。マーキングした異物の高さを波長546nmで多重干渉計を用いて観測し、干渉縞の数をカウントする。異物の高さが0.27μm未満で一重環未満のものを粗大突起とした。
100cm範囲の粗大突起を電界放射型走査型反射型電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)を用いて下記の条件で粗大突起10個を無作為に撮影し、10個中の粒子が凝集していた個数(2個以上凝集している粒子のひとかたまりをひとつと数えたときの値)をカウントし、下記の式から凝集率を求めた。
装置 :株式会社日立製作所S−900H
加速電圧:5kV
試料調製:直接法、Agシャドーイング、傾斜角5°
倍率 :3万倍
得られた写真から、凝集率を下記の式から求めた。
凝集率(%)=(粒子が凝集していた個数/粗大突起10個)×100
粒子凝集粗大突起数(個/100cm)=粗大突起数×凝集率
粒子凝集粗大突起数が120(個/100cm)以下をより良好とし、◎印で表記し、120(個/100cm)を超え180(個/100cm)以下を良好とし○印、180(個/100cm)を超えるものを×印で表2に表記した。
実施例1
平均粒子径70nmのコロイダルシリカ粒子10重量部を、N−メチルピロリドン(NMP)90重量部に分散して分散体を得た。
次に、アンカー型攪拌翼を有する冷却ジャケット付き重合槽を使用して、N−メチルピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分として85モル%に相当する2−クロロ−p−フェニレンジアミンと、15モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに上記分散体をシリカ粒子として芳香族ポリアミドに対して0.024重量%になるように添加した。これに芳香族ジアミンに対して98.4モル%に相当する2−クロロテレフタル酸ジクロリドを添加し、線速度4.0m/秒で攪拌しながら重合を開始した。反応槽温度を35℃以下に保持できるよう段階的に攪拌速度を下げ、最終的に線速度2.0m/秒にし、2時間攪拌し重合を完了した。
副生した塩化水素を中和するために、炭酸リチウムを2時間かけて添加後、中和反応時間を短縮させるため反応槽を徐々に減圧にし、64℃、1.33KPaで3時間減圧を実施し、窒素で常圧に戻した。溶液粘度は5500ポイズ、芳香族ポリアミド溶液の水分率は、1.1重量%であった。
次に、有機系中和剤のジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルエタノールアミンを加え中和反応を終了させ、低水分化工程として反応槽を減圧にし、反応槽温度を64℃、圧力1.33KPaで14時間減圧を継続し、その後、窒素で常圧に戻し、芳香族ポリアミド濃度は11.3重量%、溶液粘度は4500ポイズ、水分は0.60重量%であった。
得られたポリアミド溶液を粘度が4000ポイズになるまで、溶媒NMPを追加添加、その後、フィルター濾過性試験機に通し、濾過圧の上昇が10MPaに到達するまでのポリアミド溶液の通過量を測定し製膜時のフィルター寿命評価を実施したところ、通過量は、3500g、フィルターの寿命は60日と極めて良好であった。
その後、1μmカットのフィルターを通した後、ベルト上に流延し、180℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次にNMP濃度勾配のつけた水槽(3槽)内へフィルムを導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行ない、テンターで水分の乾燥と熱処理を行なって、厚さ6μmのフィルムを得た。この間にフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ1.2倍、1.3倍延伸を行ない、280℃で1.5分間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷した。得られた芳香族ポリアミドフィルムの粒子凝集粗大突起個数も良好であった。結果を、表1、表2に示す。
実施例2〜3
コロイダルシリカ粒子の平均粒子径を変更した以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造した。実施例2〜3ともにフィルターの寿命及びフィルムの粒子凝集粗大突起は良好であった。結果を表1、2に示す。
実施例4〜5
芳香族ポリアミドに対するコロイダルシリカ粒子の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造した。実施例4〜5ともにフィルターの寿命及びフィルムの粒子凝集粗大突起は良好であった。結果を表1、2に示す。
実施例6〜7
低水分化工程におけるポリアミド溶液粘度を変更した以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造した。実施例6〜7ともにフィルターの寿命及びフィルムの粒子凝集粗大突起は良好であった。結果を表1、2に示す。
実施例8〜9
低水分化工程におけるポリアミド溶液の反応槽温度を変更した以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造した。実施例8〜9ともにフィルターの寿命及びフィルムの粒子凝集粗大突起は良好であった。結果を表1、2に示す。
実施例10〜11
低水分化工程における反応槽の圧力を変更した以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造した。実施例10〜11ともにフィルターの寿命及びフィルムの粒子凝集粗大突起は良好であった。結果を表1、2に示す。
実施例12〜13
低水分化工程における減圧時間を変更した以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造した。フィルターの寿命及びフィルムの粒子凝集粗大突起個数ともに良好であった。結果を表1、2に示す。
実施例14
中和反応中の減圧を実施しないこと以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造した。本発明の範囲内であり、フィルターの寿命及びフィルムの粒子凝集粗大突起個数ともに良好であった。結果を表1、2に示す。
実施例15
低水分化工程における減圧を2回、実施すること以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造した。減圧時間は中和反応を促進する減圧を3時間、低水分化工程における減圧を14時間と3時間、合計20時間実施。得られた芳香族ポリアミド溶液の水分は、0.55重量%と極めて良好であり、また、フィルターの寿命及びフィルムの粒子凝集粗大突起個数ともに良好であった。結果を表1、2に示す。
実施例16
粒子種類を凝集シリカ粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造した。フィルターの寿命及びフィルムの粒子凝集粗大突起個数ともに良好であった。結果を表1、2に示す。
比較例1
中和反応後、低水分化工程の反応槽減圧を実施しないこと以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造した。ポリアミド溶液の水分は1.1重量%であり、濾過性試験機での濾過圧の上昇が10MPaに到達するまでのポリアミド溶液の通過量は著しく少なく、製膜時のフィルター寿命も半減した。また、フィルムの粒子凝集粗大突起(個/100cm)は増加し不良であった。結果を表1、2に示す。
比較例2
粒子種類を炭酸カルシウム粒子に変更したこと以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物を製造し、芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造した。フィルターの寿命、フィルムの粒子凝集粗大突起(個/100cm)個数ともに不良であった。結果を表1、2に示す。
比較例3
低水分化工程における反応槽の圧力を100KPaとする以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物を製造し、芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造した。ポリアミド溶液の水分は、1.05重量%と高く、ポリアミド溶液の濾過性試験機での通過量は少なく、フィルムの粒子凝集粗大突起(個/100cm)個数も不良であった。結果を表1、2に示す。
Figure 2014156561
Figure 2014156561

Claims (7)

  1. ジカルボン酸ジクロリドとジアミンとからシリカ粒子を含有する芳香族ポリアミドを製造するに際して、有機溶媒中で重合反応した後、該重合反応で副生する塩化水素を無機アルカリ性化合物で中和し、その中和反応により副生する水を減圧にして蒸発させることで、芳香族ポリアミドを含有するポリアミド溶液中の水分率を0.70重量%以下とすることを特徴とする芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
  2. 減圧を、ポリアミド溶液の30℃における溶液粘度を4000〜5500ポイズ、ポリアミド溶液温度を50〜70℃、反応槽圧力を0.1〜2.0KPaの条件下、減圧時間を6〜20時間とすることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
  3. 減圧を、無機アルカリ性化合物の添加終了後からポリアミド溶液を排出するまでの間に行なうこと
    を特徴とする請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
  4. シリカ粒子がコロイダルシリカ粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
  5. 粒子の平均粒子径が30〜100nmであり、芳香族ポリアミドに対して0.01〜0.1重量%含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られた芳香族ポリアミド組成物。
  7. 請求項6に記載の芳香族ポリアミド組成物からなるフィルム。
JP2013029012A 2013-02-18 2013-02-18 芳香族ポリアミド組成物の製造方法 Active JP6127565B2 (ja)

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