JP2006249272A - 芳香族ポリアミドの製造方法、組成物及びそれからなるフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】特定の凝集シリカ粒子を添加することによる、粗大な凝集体の形成を抑制した芳香族ポリアミド組成物の製造方法、その方法により得られる粒子分散性及び耐削れ性に優れた芳香族ポリアミド組成物及びそれからなるフィルムを提供する。
【解決手段】ジクロリドまたはジカルボン酸と、ジアミンから芳香族ポリアミドを製造するに際して、BET比表面積が50m/g以上で、かつ有機金属塩化物で表面処理した凝集シリカ粒子を、スラリーの状態で高圧噴射型の分散装置を用いて分散処理し、凝集シリカ粒子として0.01〜10重量%添加することを特徴とする芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、粗大な凝集体の形成を抑制した、粒子分散性が良好で、耐削れ性に優れた特定の凝集シリカ粒子を含有する芳香族ポリアミド組成物の製造方法、組成物及びそれからなるフィルムに関するものであり、得られるフィルムは磁気記録媒体に好適に用いることができる。
芳香族ポリアミドフィルムは、耐熱性、強度、寸法安定性に優れ、磁気記録媒体、熱転写記録媒体、コンデンサ用誘導体、印刷回路基板等のフィルムとして注目され、かつその使用が拡大している。
従来、磁気記録媒体用フィルムは、摩擦によるフィルムの走行性の改善が行われており、フィルムの走行性を改善するために無機粒子を添加する方法が知られている。しかしながら、添加した無機粒子の分散性が不良となることにより、ポリマー中に粗大な凝集体を形成し、得られたフィルムの耐削れ性が低下するという問題があった。
フィルム中の粗大な凝集体を抑制する方法としては、例えば、粒子スラリーを圧力式ホモジナイザーで分散処理することにより、粒子径分布の粗粒域を低減する方法が提案されている。(特許文献1参照)
また、添加する無機粒子によりフィルム中の粗大な凝集体を抑制する方法としては、例えば、特定の単分散粒子に表面処理を施し使用する方法が開示されている。(特許文献2参照)
しかしながら、単に粒子スラリーを圧力式ホモジナイザーによって分散処理する方法や、単分散粒子に表面処理を施して使用する方法では、ある程度、凝集体の形成に対しての改善の効果があるものの、粒子の分散性および耐削れ性は必ずしも十分に満足できるものではなかった。
特開平10−279796号公報 特開平10−72531号公報
本発明は、かかる問題点を解決し、特定の凝集シリカ粒子を添加することによる、粗大な凝集体の形成を抑制した芳香族ポリアミド組成物の製造方法、その方法により得られる粒子分散性及び耐削れ性に優れた芳香族ポリアミド組成物及びそれからなるフィルムを提供することを目的としている。
本発明の目的は、ジクロリドまたはジカルボン酸と、ジアミンから芳香族ポリアミドを製造するに際して、BET比表面積が50m/g以上で、かつ有機金属塩化物で表面処理した凝集シリカ粒子を、スラリーの状態で高圧噴射型の分散装置を用いて分散処理し、凝集シリカ粒子として0.01〜10重量%添加することを特徴とする芳香族ポリアミド組成物の製造方法によって達成できる。
本発明のように、有機金属塩化物による表面処理を施し、圧力噴射型の分散装置で分散を行った凝集シリカ粒子を添加することにより、粗大な凝集体の形成を抑制した芳香族ポリアミド組成物の製造が可能となり、かつ粒子が均一に分散され、表面性、耐削れ性に優れたフィルムが得られる。さらに、該フィルムは、小型化、薄型化が可能であり、コンパクトに大容量のデータを記録することができ、ビデオ、オーディオ用にはもちろん、コンピュータのデータテープなどのデジタル記録材としても好適であり、アウトドアユーズのビデオカメラ用テープなどにも好適である。さらに、TAB実装基板などのフィルム基板や感熱転写記録用転写材あるいはフィルムコンデンサなどの用途にも好適に用いることができる。
本発明の芳香族ポリアミドは、ジクロリドまたはジカルボン酸と、ジアミンから製造されるものである。
本発明において用いられるジクロリドとしては、例えばテレフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジクロリド、2,6’−ナフタレンジカルボン酸ジクロリド、2−クロロテレフフタル酸ジクロリド、2,5’−ジクロロテレフタル酸ジクロリド、2,6’−ジクロロテレフタル酸ジクロリド等が挙げられる。これらの中で、ポリマーの溶媒への溶解性及び吸湿性の改善の点から2−クロロテレフタル酸ジクロリドが好ましい。
また、ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、モノクロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、テトラクロロテレフタル酸、メチルテレフタル酸、イソフタル酸、2・6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
また、ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4’−ジアミノクロロベンゼン、2,6’−ナフチレンジアミン、4,4’−ビフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、2,5’−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、2,6’−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−オキシジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。これらの中で、ポリマーの溶媒への溶解性、吸湿性および剛性の改善の点から、2−クロロ−p−フェニレンジアミンまたは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。これらのジアミンは単独または2種類以上用いることもできる。
本発明における芳香族ポリアミドの製造方法としては、例えば低温溶液重合法、界面重合法、脱水触媒を用い直接重合させる方法等が挙げられる。これらの中で、高重合度のポリマーを得やすい点から低温溶液重合法が好ましい。この場合、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒中の溶液重合で合成される。また、溶解助剤として、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどの存在下に重合してもよい。
上記重合反応に用いる重合槽としては、竪型重合槽の場合、ダブルヘリカルリボン型、パドル型、プロペラ型等の撹拌翼を用いることができる。また、ニーダの場合は、フィッシュテール型またはゼット型等のブレードを取り付けたものを用いることができる。
本発明において、ジクロリドまたはジカルボン酸と、ジアミンの反応により副生する塩化水素を、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機系中和剤、あるいはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機系中和剤で中和してもよい。また、重合工程と中和工程は、同一槽で可能である。
得られたポリマー溶液は、そのまま製膜原液として使用してもよいが、ポリマーを一旦再沈などで単離し再度上記有機溶媒や硫酸などの無機溶媒に再溶解して製膜原液を調製してもよい。製膜原液としては、さらに溶解助剤として、無機塩たとえば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどを添加する場合もある。また、フィルムの物性を損なわない程度に、酸化防止剤その他の添加剤などがブレンドされていてもよい。この製膜原液中の溶媒はポリマー溶液に対して、70重量%以上97重量%以下であることが好ましい。
上記方法で製造した芳香族ポリアミドの固有粘度ηinh(ポリマー0.5gを硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5dl/g以上であることがフィルムに加工した場合に十分な強度を有し好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドの製造方法においては、任意の段階で、スラリーの状態で凝集シリカ粒子が添加される。ここでいう凝集シリカ粒子とは、一次粒子の形状によらず、一次粒子の凝集体であるシリカ粒子である。一次粒子の凝集体の形成状態は、特に限定されないが、ポリマーとの親和性、フィルムの耐削れ性の点から、一次粒子径の2倍より小さい間隔で形成された凝集体が好ましく、さらには一次粒子径より小さい間隔で形成された凝集体が好ましい。その際の凝集体は、2個以上の一次粒子で形成されていればよく、好ましくは5個以上、より好ましくは10個以上の一次粒子で形成されたものがよい。
本発明の凝集シリカ粒子の平均一次粒子径は、フィルムの耐削れ性、走行性を共に良好とするため、50nm以下が好ましく、より好ましくは1nm以上30nm以下である。平均一次粒子径がかかる範囲外であると、耐削れ性、走行性に劣る場合がある。
本発明における凝集シリカ粒子の平均二次粒子径は、特に限定されないが、得られるフィルムの耐削れ性、走行性の点から、10nm以上1000nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以上500nm以下、さらに好ましくは100nm以上200nm以下である。
本発明の凝集シリカ粒子のBET比表面積は、ポリマーに対する親和性とフィルムの耐削れ性の点から、50m/g以上とする必要がある。好ましくは50〜500m/g、より好ましくは100〜200m/gである。BET比表面積が50m2/g未満であると、凝集シリカ粒子のポリマーに対する親和性が不十分となり、フィルムの耐削れ性が低下する。
本発明の凝集シリカ粒子は、粗大な粒子の形成抑制、フィルムの耐削れ性の点から、有機金属塩化物によって表面処理が施されたものである。ここで言う有機金属塩化物とは、金属−塩素結合を持つ有機金属化合物(金属−炭素結合を持つ化合物)であり、有機金属塩化物としては、有機ケイ素塩化物を使用することができる。具体的な化合物としては、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジプロピルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン等が挙げられる。これらの中でフィルムの耐削れ性の点からジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシランが好ましい。こうした処理剤による処理方法は特に限定されるものではないが、粒子を表面処理剤中または表面処理剤を溶解させた溶媒中において粉砕する方法、或いは表面処理剤を溶解させた溶液を粒子にスプレーコーティングする方法等が使用できる。有機金属塩化物によって表面処理が施された凝集シリカ粒子は、分散媒及びポリマー中での凝集が起こりにくく、粗大な凝集体の形成が抑制された芳香族ポリアミド組成物を得ることができ、さらに得られるフィルムは耐削れ性が良好となる。
本発明は、BET比表面積が50m/g以上で、かつ有機金属塩化物で表面処理された凝集シリカ粒子を、高圧噴射型の分散装置を用いて分散処理を行う必要がある。高圧噴射型の分散装置で分散処理を行うことで、均一かつ微小な粒子を得ることができる。ここで言う高圧噴射型の分散装置とは、スラリーに高圧をかけ、ノズルから高速で出口の固定板に噴射、あるいはスラリー同士を衝突させることにより、粒子の分散を行う装置であり、キャビテーション、剪断、衝突等を発生させて分散を行う。この際のスラリーにかける噴射圧は特に限定されないが、凝集粒子の形成抑制、フィルムの耐削れ性の点から40MPa以上が好ましく、より好ましくは50MPa以上、さらに好ましくは60MPa以上100MPa以下である。高圧噴射型の分散装置を用いて分散処理する方法は特に限定されないが、例えば、凝集シリカ粒子をN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機溶媒でスラリー化した後、高圧噴射型の分散装置、例えば圧力式ホモジナイザーなどを用いて分散処理することが好ましい。
本発明における凝集シリカ粒子の添加量は、走行性、耐削れ性の点から、0.01重量%以上10重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以上4重量%以下、より好ましくは1重量%以上3重量%以下である。0.01重量%未満であるとフィルムにした場合走行性が不良となり、10重量%を超えると粒子が粗大な凝集体を形成し、フィルムの耐削れ性が悪化する。
このようにして製造された芳香族ポリアミド組成物と溶媒からなるポリマー溶液は製膜原液として、いわゆる溶液製膜法によりフィルムに加工される。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがあり、いずれの方法で製膜してもよいが、ここでは乾湿式法を例にとって説明する。
乾湿式法で製膜する場合は、製膜原液を口金からドラム、エンドレスベルトなどの支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を蒸散させ薄膜が自己保持性を持つまで乾燥する。乾燥条件は、好ましくは、室温以上220℃以下、60分以内であり、より好ましくは室温以上200℃以下である。
乾燥されたフィルムは支持体から剥離されて、凝固浴(通常は水系)内で脱塩、脱溶媒、縦延伸などが行なわれ、さらにテンター内で延伸、乾燥、熱処理が行なわれてフィルムとなる。延伸倍率は面倍率(延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルム面積で除した値で定義する。1未満はリラックスを意味する)で0.8以上8.0以下が好ましく、1.1以上5.0以下がより好ましい。
また、本発明の芳香族ポリアミド組成物からなるフィルムは、積層フィルムであってもよい。たとえば2層の場合には、重合した芳香族ポリアミド溶液を二分し、それぞれ異なる粒子を添加した後に積層すればよい。3層以上の場合でも同様であり、積層方法としては、周知の技術たとえば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成してからその上に他の層を形成する方法などがある。
次に、芳香族ポリアミド組成物からなるフィルムに磁性層を形成させて磁気記録媒体とする。磁性層を形成する方法は特に限定されないが、酸化鉄または酸化クロム等の針状微細磁性粉、またはバリウムフェライト等の板状微細磁性粉をポリ塩化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体等のバインダーに均一に分散し、磁性層厚みが1μm以下となるよう塗布することが好ましい。塗布後の乾燥温度は90℃〜150℃が好ましく、カレンダー工程は25℃〜150℃の範囲で行なうのが好ましい。また、磁気記録媒体は、磁性層を形成後、磁性層と反対側の面にさらに走行性を向上させるために、公知の方法によりバックコート層を設けてもよい。
さらに、この磁性層を塗布したフィルムをキュアした後スリットして、磁気記録媒体とすることができる。
こうして得られた磁気記録媒体は、耐削れ性に優れ、小型化、薄膜化が可能であり、コンパクトで大容量のデータを記録することができ、ビデオ、オーディオ用にはもちろん、湿度、温度による寸法変化が少ないので、特にコンピューターのデータテープなどのデジタル記録材として好適である。また、高温、高湿下での走行性および電磁変換特性に優れるので、屋外使用向きビデオカメラ用テープなどにも好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の特性の測定は以下の通りである。
(1)BET比表面積
比表面積測定装置(オートソープ1;湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積(m/g)を算出した。
(2)粒子の平均一次粒子径、平均二次粒子径
凝集シリカ粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で50000〜100000倍に拡大して観察し、一次粒子及び二次粒子の粒子径を測定、100個の粒子の平均値を平均一次粒子径及び平均二次粒子径(nm)とした。
(3)フィルム表面の粗大異物
作成したフィルム表面をアルミニウムで蒸着した後、顕微鏡を用いてカメラでフィルム表面の写真を倍率50倍で4枚撮影し、フィルム10mmの範囲を観察し、直径が0.5mm以上の突起を粗大異物としてカウントし、粗大異物の個数を測定した。
(4)フィルムの耐削れ性
作成したフィルムを用いてテープ長250mのカセットテープを作成、家庭用VTRで早送り、巻き戻しを繰り返し100回行い、テープ走行面と接触するVTR中のピン、カセット中のピンに付着している削れ粉の量とテープ走行面に付着している削れ粉の量を観察し次の通り判定した。
◎:付着なし
○:ごく僅かにしか付着が認められず
△:僅かに付着が認められる
×:削れ粉の発生が多い
実施例1
平均一次粒子径16nm、平均二次粒子径140nm、BET比表面積110m/gの凝集シリカ粒子20重量部、n−ブチルアルコール80重量部を分散したスラリーを得た後、スラリー100gに対しジメチルジクロロシラン2.8gを添加し、50℃で10分間撹拌した後、減圧下で溶媒と副生物を蒸発させ、表面処理シリカ粒子を得た。このシリカ粒子5重量部、N−メチルピロリドン(NMP)95重量部を高速撹拌分散機を使用して、3000rpmで30分予備分散しスラリ−化した。次に、高圧噴射型分散機としてAPV GAULIN社製M3−10TBS型圧力ホモジナイザーを使用し、スラリー噴射圧力を68MPaに設定し、予備分散したスラリーを分散処理(通液1回)した。
次に翼径1.14m、翼幅0.16mのアンカー型攪拌翼を有する、槽内径1.2mの冷却ジャケット付き重合槽を使用して、NMPに芳香族ジアミン成分として85モル%に相当する2−クロロ−p−フェニレンジアミンと、15モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに芳香族ジアミンに対して98.4モル%に相当する2−クロロテレフタル酸ジクロリドを添加し、線速度4.0m/秒で攪拌しながら重合を開始した。溶液粘度が上昇するのに従い槽内温度を35℃以下に保持できるよう段階的に攪拌速度を下げ、最終的に線速度2.0m/秒にし、2時間攪拌し重合を完了した。副生した塩化水素を炭酸リチウムで中和し、ポリマー濃度10.6重量%、溶液粘度3560ポイズのポリマー溶液を得た。これに上記スラリーをシリカ分がポリマーに対して2重量%になるよう添加し製膜原液とした。
この原液を5μmカットのフィルターを通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が0.006個/mmのベルト上に流延し、180℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次にNMP濃度勾配のつけた水槽(3槽)内へフィルムを導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行ない、テンターで水分の乾燥と熱処理を行なって、厚さ6μmのフィルムを得た。この間にフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ1.2倍、1.3倍延伸を行ない、280℃で1.5分間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷した。得られた芳香族ポリアミドフィルムの粗大異物及び耐削れ性を上記方法により評価した。使用した粒子、粒子スラリーの分散処理及びフィルム特性を表1に示す。フィルムの粗大異物および耐削れ性ともに良好であった。
実施例2〜4
使用した粒子及び粒子スラリーの分散処理を表1に示した通りに変更した以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物を製造し、フィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドフィルムの粗大異物及び耐削れ性を実施例1と同様に評価した。使用した粒子、粒子スラリーの分散処理及びフィルム特性を表1に示す。実施例2〜4ともに本発明の範囲内であり、フィルムの粗大異物及び耐削れ性ともに良好であった。
比較例1
水系媒体中合成された平均一次粒径40nm、BET比表面積72m/gである、実質的に単分散のコロイダルシリカを、実施例1と同様に表面処理およびスラリー化を行い、さらにスラリーの分散処理を行った。
次に、実施例1と同様にして得たポリマー溶液に、上記スラリーをシリカ分がポリマーに対して2重量%になるよう添加したのち、実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた粒子スラリーの濾過性、芳香族ポリアミドフィルムの粗大異物及び耐削れ性を実施例1と同様に評価したところ、ともに不良であった。使用した粒子、粒子スラリーの分散処理及びフィルム特性を表1に示す。比較例1は、粒子の種類が本発明の範囲外であり、フィルムの耐削れ性は不良であった。
比較例2〜5
使用した粒子及び粒子スラリーの分散処理を表1に示した通りに変更した以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物を製造し、フィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドフィルムの粗大異物及び耐削れ性を実施例1と同様に評価したところ、ともに不良であった。使用した粒子、粒子スラリーの分散処理及びフィルム特性を表1に示す。比較例2は、粒子のBET比表面積が本発明の範囲外であり、フィルムの粗大異物及び耐削れ性共に不良であった。比較例3は、粒子の表面処理剤が本発明の範囲外であり、フィルムの粗大異物及び耐削れ性共に不良であった。比較例4は、表面処理を使用していない粒子を使用したものであり、フィルムの粗大異物及び耐削れ性共に著しく不良であった。比較例5は、高圧噴射型の分散装置での分散処理が未実施であり、フィルムの粗大異物及び耐削れ性共に不良であった。
Figure 2006249272

Claims (5)

  1. ジクロリドまたはジカルボン酸と、ジアミンから芳香族ポリアミドを製造するに際して、BET比表面積が50m/g以上で、かつ有機金属塩化物で表面処理した凝集シリカ粒子を、スラリーの状態で高圧噴射型の分散装置を用いて分散処理し、凝集シリカ粒子として0.01〜10重量%添加することを特徴とする芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
  2. 凝集シリカ粒子の平均一次粒子径が50nm以下であることを特徴とする、請求項1記載の芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の製造方法により得られた芳香族ポリアミド組成物。
  4. 請求項3記載の芳香族ポリアミド組成物からなるフィルム。
  5. 請求項4記載のフィルムよりなる磁気記録媒体。
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