JP2008195899A - 芳香族ポリアミド組成物の製造方法、組成物及びそれからなるフィルム - Google Patents

芳香族ポリアミド組成物の製造方法、組成物及びそれからなるフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】芳香族ポリアミドと、異種ポリマー(突起形成性ポリマー)とからなる芳香族ポリアミド組成物を製造するに際し、二軸混練機を用いて、特定の芳香族ポリアミド溶液に突起形成性ポリマーを混練させることにより、突起形成性ポリマーを均一に分散し、表面性に優れたフィルムを得ることができる芳香族ポリアミド組成物の製造方法、その方法により得られる芳香族ポリアミド組成物及びそれからなるフィルムを提供する。
【解決手段】二軸混練機を用いて、pHが7〜11である芳香族ポリアミド溶液に対し、少なくとも1種以上の突起形成性ポリマーを、該溶液中の芳香族ポリアミドに対し0.1〜50重量%混練させることを特徴とする、芳香族ポリアミドの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面性に優れ、粗大な表面突起の発生を抑制したフィルムを得ることができる芳香族ポリアミド組成物の製造方法、組成物及びそれからなるフィルムに関するものである。
芳香族ポリアミドフィルムは、耐熱性、強度、寸法安定性に優れ、磁気記録媒体、熱転写記録媒体、コンデンサ用誘導体、印刷回路基板等のフィルムとして注目され、かつその使用が拡大している。
従来、芳香族ポリアミドフィルムは、表面性を改善するために粒子(例えば無機粒子)を添加することで、フィルム表面に微細な突起を形成させる方法が知られている。また、より微細な突起を形成させるため、突起形成性を持つ異種ポリマー(突起形成性ポリマー)をブレンドしてポリマーアロイを製造し、フィルムとした際に突起形成性ポリマーを析出させる方法も知られている。
芳香族ポリアミドと突起形成性ポリマーのポリマーアロイを製造する方法としては、例えば、芳香族ポリアミドの重合前あるいは重合後に突起形成性ポリマーを添加、撹拌翼により分散させる方法が提案されている。(特許文献1参照)
また、ポリマーアロイの製造方法としては、異なるポリマー2種以上を二軸混練機を用いて溶融混練させる方法が提案されている。(特許文献2参照)
しかしながら、撹拌翼による分散では、突起形成性ポリマーの分散が不十分となることで突起が不均一になり、フィルム上に粗大な表面突起が発生してしまうという問題があった。また、芳香族ポリアミド溶液と突起形成性ポリマーの二軸混練機による混練では、ある程度の突起形成性ポリマーの分散に対して改善の効果があるものの、得られるフィルムの表面性は必ずしも十分に満足できるものではなかった。
特開2002−146058号公報 特開2003−531945号公報
本発明は、かかる問題点を解決し、芳香族ポリアミドと、異種ポリマー(突起形成性ポリマー)とからなる芳香族ポリアミド組成物を製造するに際し、二軸混練機を用いて、特定の芳香族ポリアミド溶液に突起形成性ポリマーを混練させることにより、突起形成性ポリマーを均一に分散し、表面性に優れたフィルムを得ることができる芳香族ポリアミド組成物の製造方法、その方法により得られる芳香族ポリアミド組成物及びそれからなるフィルムを提供することを目的としている。
本発明の目的は、二軸混練機を用いて、pHが7.0〜11.0である芳香族ポリアミド溶液に対し、少なくとも1種以上の突起形成性ポリマーを、該溶液中の芳香族ポリアミドに対し0.1〜50重量%混練させることを特徴とする、芳香族ポリアミド組成物の製造方法、組成物及びそれからなるフィルムによって達成できる。
本発明のように、芳香族ポリアミドと、異種ポリマー(突起形成性ポリマー)とからなる芳香族ポリアミド組成物を製造するに際し、二軸混練機を用いて、pHが特定の範囲内にある芳香族ポリアミド溶液に突起形成性ポリマーを混練させることにより、突起形成性ポリマーを均一に分散し、表面性に優れたフィルムを得ることができる。さらに、該フィルムは、薄膜化および磁気記録媒体の小型化が可能であり、コンパクトで大容量のデータを記録することができ、民生用、プロ用、D−1、D−2、D−3などの放送局用デジタルビデオカセット用途、DDS−2,3,4、データ8mm、AIT、DLT、LTOなどのデータストレージ用途に好適に用いることができるが、特に、高容量で信頼性が最も重視されるデータストレージ用途に好適に用いることができる。
本発明の芳香族ポリアミドは、ジクロリドまたはジカルボン酸と、ジアミンから製造されるものである。
本発明において用いられるジクロリドとしては、例えばテレフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジクロリド、2,6’−ナフタレンジカルボン酸ジクロリド、2−クロロテレフフタル酸ジクロリド、2,5’−ジクロロテレフタル酸ジクロリド、2,6’−ジクロロテレフタル酸ジクロリド等が挙げられる。これらの中で、ポリマーの溶媒への溶解性及び吸湿性の改善の点から2−クロロテレフタル酸ジクロリドが好ましい。
また、ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、モノクロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、テトラクロロテレフタル酸、メチルテレフタル酸、イソフタル酸、2・6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
また、ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4’−ジアミノクロロベンゼン、2,6’−ナフチレンジアミン、4,4’−ビフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、2,5’−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、2,6’−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−オキシジアニリン等が挙げられる。これらの中で、ポリマーの溶媒への溶解性、吸湿性及び剛性の改善の点から、2−クロロ−p−フェニレンジアミンまたは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。これらのジアミンは単独または2種類以上用いることもできる。
本発明における芳香族ポリアミドの製造方法としては、例えば低温溶液重合法、界面重合法、脱水触媒を用い直接重合させる方法等が挙げられる。これらの中で、高重合度のポリマーを得やすい点から低温溶液重合法が好ましい。この場合、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒中の溶液重合で合成される。また、溶解助剤として、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどの存在下に重合してもよい。
上記重合反応に用いる重合槽としては、竪型重合槽の場合、ダブルヘリカルリボン型、パドル型、プロペラ型等の撹拌翼を用いることができる。また、ニーダの場合は、フィッシュテール型またはゼット型等のブレードを取り付けたものを用いることができる。
本発明において、ジクロリドまたはジカルボン酸と、ジアミンの反応により副生する塩化水素を、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機系中和剤で中和反応を行い、あるいはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機系中和剤で中和する。また、重合工程と中和工程は、同一槽で可能である。
本発明の芳香族ポリアミド溶液は、上記の低温溶液重合法により得られた芳香族ポリアミド溶液をそのまま用いることができる。また、重合により得られたポリマーを一旦再沈などで単離し再度上記有機溶媒に再溶解して調製された芳香族ポリアミド溶液等を用いてもよい。芳香族ポリアミド溶液としては、さらに溶解助剤として、無機塩たとえば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどを添加する場合もある。
本発明の芳香族ポリアミド溶液のpHは、フィルムの表面性の点から、7.0〜11.0である必要がある。好ましくは8.0〜10.0、より好ましくは8.5〜9.5である。芳香族ポリアミド溶液のpHがかかる範囲外であると、製膜時の熱処理の際、突起形成性ポリマーの分解反応等による突起個数の減少が発生し、フィルムの表面性が不良となる。本発明の芳香族ポリアミド溶液のpHはpH調整剤を添加することにより行われ、pH調整剤としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンが好ましく、これらのpH調整剤を1種又は2種以上組み合わせて添加することができる。
本発明の芳香族ポリアミド溶液が30℃の際の粘度は、突起形成性ポリマーの分散性の点から、1000〜50000ポイズが好ましく、より好ましくは2000〜10000ポイズ、さらに好ましくは3000〜6000ポイズである。粘度が1000ポイズ未満の場合、二軸混練機による混練時の剪断作用が小さいため、突起形成性ポリマーの分散が不均一となり、粗大突起が発生する場合があり、50000ポイズを超えた場合、二軸混練機の負荷が高くなる場合がある。芳香族ポリアミド溶液の粘度を調整する方法としては、規定の粘度となるようポリマー溶液の濃度を調整する方法が挙げられる。
得られたポリマー溶液には、フィルムの物性を損なわない程度に、酸化防止剤その他の添加剤などがブレンドされていてもよい。このポリマー原液中の溶媒はポリマー溶液に対して、70重量%以上97重量%以下であることが好ましい。
上記方法で製造した芳香族ポリアミドの固有粘度ηinh(ポリマー0.5gを硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5dl/g以上であることがフィルムに加工した場合に十分な強度を有し好ましい。
本発明の芳香族ポリアミド組成物の製造方法においては、二軸混練機を用いて、上記芳香族ポリアミド溶液と、少なくとも1種の突起形成性ポリマーの混練が行われる。
ここでいう突起形成性ポリマーとは、芳香族ポリアミドを溶解させる溶剤に可溶であり、芳香族ポリアミドを含むポリマーアロイから得られたフィルムにおいて、微細な表面突起を形成する能力を有するポリマーである。
このような突起形成性ポリマーとしては、形成される表面突起の均一性、耐熱性の点から、ポリスルホン系重合体、ポリエーテルイミド系重合体、ポリフェニレンオキシド系重合体、ポリケトン系重合体、ポリカーボネート系重合体およびポリイミド系重合体から選ばれた少なくとも1種の重合体を含有することが好ましく、特に好ましいのはポリスルホン系重合体である。
突起形成性ポリマーを混練する量は、芳香族ポリアミドの機械特性、耐熱性の点から、該溶液中の芳香族ポリアミドに対し0.1〜50重量%であり、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜15重量%である。混練する量が0.1重量%未満の場合、フィルムの突起個数が不十分となるためフィルムの表面性が不良となり、50重量%を超えた場合、フィルムの機械特性が劣化するだけでなく、突起形成性ポリマーが凝集して粗大突起が発生する。
本発明における突起形成性ポリマーのガラス転移温度は、フィルムの耐熱性、機械特性および突起形成性を良好にするため、140〜300℃が好ましく、より好ましくは180〜270℃、さらに好ましくは200〜250℃である。ガラス転移温度がかかる範囲外であると、耐熱性、機械特性および突起形成性に劣る場合がある。
本発明における突起形成性ポリマーの数平均分子量は、突起形成性、フィルム表面性の点から、10000〜100000が好ましく、より好ましくは20000〜60000、さらに好ましくは30000〜50000である。数平均分子量がかかる範囲外であると、突起形成性ポリマーによる突起形成が不十分となり、フィルム表面性が不良となる場合がある。
本発明で使用する二軸混練機は特に限定されないが、2本のシャフトに左右一対で位相が常に90度ずれているパドルおよびスクリューが組み込まれており、2本のシャフトが同一速度で同一方向に回転するものが好ましい。また、シャフトに組み込まれるパドルは、(1)混ぜ、(2)混ぜおよび送り、(3)戻しの機能を備えるエレメントから選ばれた2種以上を組み合わせたものであることが望ましい。また、本発明の二軸混練機は、混練時の撹拌温度をコントロールするための冷却ジャケットを有するものであってもよい。また、突起形成性ポリマーの分散性を向上させるために、二軸混練機のL/D(トラフ長さ/パドル径)は、4.0以上であることが好ましい。二軸混練機以外の一軸混練機等を使用した場合、突起形成性ポリマーの分散が不均一となり、粗大突起の発生およびフィルム表面性が不良となり本発明の効果を充たすことができない。
本発明の二軸混練機への、芳香族ポリアミド溶液の供給は、事前に溶液中の泡を抜いた後、ギヤーポンプなどの定量性のあるポンプを用いて行われ、更に突起形成性ポリマーについても、含有量が芳香族ポリアミドに対して規定量となるよう、定量性のある供給装置により供給されることが好ましい。
本発明の二軸混練機による混練温度は、突起形成性ポリマーの分散性の点から、120℃以下であることが好ましく、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは70℃以下である。混練温度が120℃を超えた場合、混練時の芳香族ポリアミド溶液の粘度が低下して突起形成性ポリマーの分散が不均一となり、粗大突起が発生する場合がある。
このようにして製造された芳香族ポリアミド組成物と溶媒からなるポリマー溶液は製膜原液として、いわゆる溶液製膜法によりフィルムに加工される。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがあり、いずれの方法で製膜してもよいが、ここでは乾湿式法を例にとって説明する。
乾湿式法で製膜する場合は、製膜原液を口金からドラム、エンドレスベルトなどの支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を蒸散させ薄膜が自己保持性を持つまで乾燥する。乾燥条件は、好ましくは、室温以上220℃以下、60分以内であり、より好ましくは室温以上200℃以下である。
乾燥されたフィルムは支持体から剥離されて、凝固浴(通常は水系)内で脱塩、脱溶媒、縦延伸などが行なわれ、さらにテンター内で延伸、乾燥、熱処理が行なわれてフィルムとなる。延伸倍率は面倍率(延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルム面積で除した値で定義する。1未満はリラックスを意味する)で0.8以上8.0以下が好ましく、1.1以上5.0以下がより好ましい。
また、本発明の芳香族ポリアミド組成物からなるフィルムは、積層フィルムであってもよい。たとえば2層の場合には、重合した芳香族ポリアミド溶液を二分し、それぞれ異なる粒子を添加した後に積層すればよい。3層以上の場合でも同様であり、積層方法としては、周知の技術たとえば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成してからその上に他の層を形成する方法などがある。
こうして得られたフィルムは、磁気記録媒体に好適に用いることが出来る。得られた磁気記録媒体は、表面性に優れ、小型化、薄膜化が可能であり、コンパクトで大容量のデータを記録することができ、民生用、プロ用、D−1、D−2、D−3などの放送局用デジタルビデオカセット用途、DDS−2,3,4、データ8mm、AIT、DLT、LTOなどのデータストレージ用途に好適に用いることができ、特に、高容量で信頼性が最も重視されるデータストレージ用途に好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の特性の測定は以下の通りである。
(1)芳香族ポリアミド溶液のpH
ビーカーに芳香族ポリアミド溶液6.7gを採取した後、pH6.5〜7.5の純水40gを加えて溶液中の固形分を除く成分を抽出して、抽出液のpHを堀場製作所製M−12にて測定した。
(2)芳香族ポリアミド溶液の溶液粘度
株式会社トキメック製B型粘度計にて、温度30℃の条件下において、No.1のローターを用いて10rpmの回転数にて測定した。
(3)フィルムの高さ5〜30nmの突起個数
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて以下の条件で、場所を変えて測定を10回行い平均値を採る。
装置:NanoScopeIII AFM(Digital Instruments社製)
カンチレバー:シリコン単結晶
走査モード:タッピングモード
走査範囲:5μm×5μm
走査速度:0.5Hz
測定環境:温度25℃、相対湿度55%
上記条件で測定を行い、平坦面から所要の高さにおける突起個数を求め、それを個/mmに換算する。
(4)フィルムの粗大表面突起
作成したフィルムの表面10cmを、実体顕微鏡により偏光下で異物を観察し、マーキングする。マーキングした異物の高さを、レーザー顕微鏡により高さプロファイルを測定し、平坦面より0.12μm以上高い物の個数をカウントし、100cm当たりの数に換算する。
(5)ヘッド摩耗性の評価
非磁性支持体(フィルム)に対して、連続斜め蒸着法で、厚さ90nmのCo−O磁性層を形成した。次に磁性層上にスパッタ法により、厚さ5nmのダイヤモンドライクコーティング膜を形成し、更に、その上に、有機物防錆剤0.1重量%溶液をグラビアロールを用いて塗布し、100℃のドライヤーで乾燥させた。その後に、潤滑剤としてパーフルオロ・ポリエーテル誘導体よりなる有機物を主体とした0.5重量%溶液を同様にグラビアロールにて塗布乾燥させた。
次に、非磁性支持体の反対面にカーボンを主体とし、結合材として酢酸ビニル系樹脂を使用した厚み0.3μmのバックコート槽を形成した。
以上のようにして得られた磁気記録媒体原反を幅8mm、長さ250mに裁断して、カセットに組み込み磁気テープとした。
このテープを、市販のAIT−1ドライブの再生ヘッドを、FeNiからなるヘッドギャップ0.2μm、素子深さ3μmのMRヘッドに変更したドライブにかけ、1時間×1,000回のシャトル走行テストを行わせた後、MR素子の摩耗量を測定した。摩耗量により、以下の判定を行った。ここで、摩耗量2.0nm未満が実用限界である。
◎:0.5nm未満
○:0.5nm以上、1.0nm未満
△:1.0nm以上、2.0nm未満
×:2.0nm以上
実施例1
翼径1.14m、翼幅0.16mのアンカー型攪拌翼を有する、槽内径1.2mの冷却ジャケット付き重合槽を使用して、NMPに芳香族ジアミン成分として85モル%に相当する2−クロロ−p−フェニレンジアミンと、15モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに芳香族ジアミンに対して98.4モル%に相当する2−クロロテレフタル酸ジクロリドを添加し、線速度4.0m/秒で攪拌しながら重合を開始した。溶液粘度が上昇するのに従い槽内温度を35℃以下に保持できるよう段階的に攪拌速度を下げ、最終的に線速度2.0m/秒にし、2時間攪拌し重合を完了した。副生した塩化水素を炭酸リチウムで中和し、ポリマー濃度10.8重量%、溶液粘度4000ポイズのポリマー溶液を得た。このポリマー溶液に、pH9.0となるようジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンを添加してpH調整を行った。
次に内容量0.6L、L/D13.2の二軸混練機を用いて、パドル回転数180rpm、ポリマー供給量30kg/hr、混練温度70℃で、突起形成性ポリマーとして、ガラス転移温度225℃、数平均分子量45000のポリエーテルスルホンを、芳香族ポリアミドに対して10重量%となるように上記ポリマー溶液と混練した。
この原液を濾過精度1μmのフィルターを通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が0.005個/mmのベルト上に流延し、180℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次にNMP濃度勾配のつけた水槽(3槽)内へフィルムを導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行ない、テンターで水分の乾燥と熱処理を行なって、厚さ6μmのフィルムを得た。この間にフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ1.2倍、1.3倍延伸を行ない、280℃で1.5分間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷し、芳香族ポリアミドフィルムを得た。突起形成性ポリマーの混合条件及びフィルム特性を表1に示す。フィルムの高さ5〜30nmの突起個数は690万個/mm、フィルムの粗大な表面突起は10個/100cmであり、ヘッド摩耗性も良好であった。
実施例2
実施例1と同様の方法で得た芳香族ポリアミド溶液に、pH8.0となるようジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンを添加してpH調整を行った。
次に、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド組成物を製造し、フィルムを得た。突起形成性ポリマーの混合条件及びフィルム特性を表1に示す。フィルムの高さ5〜30nmの突起個数、フィルムの粗大表面突起及びヘッド摩耗性は良好であった。
実施例3
実施例1と同様の方法で得た芳香族ポリアミド溶液に、pH10.0となるようジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンを添加してpH調整を行った。
次に、二軸混練機を用いて、突起形成性ポリマーとして、ガラス転移温度280℃、数平均分子量51000のポリエーテルスルホンを混練した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド組成物を製造し、フィルムを得た。突起形成性ポリマーの混合条件及びフィルム特性を表1に示す。フィルムの高さ5〜30nmの突起個数、フィルムの粗大表面突起及びヘッド摩耗性は良好であった。
実施例4
溶液粘度が50000ポイズとなるよう、ポリマー溶液中のNMP量によりポリマー濃度を14.2%に調整した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド溶液を得た後、pH調整を行った。
次に、混練温度を120℃で、突起形成性ポリマーとして、ガラス転移温度285℃、数平均分子量90000のポリエーテルスルホンを混練した以外は実施例1と同様の方法で、二軸混練機を用いて芳香族ポリアミド組成物を製造し、フィルムを得た。突起形成性ポリマーの混合条件及びフィルム特性を表1に示す。フィルムの高さ5〜30nmの突起個数、フィルムの粗大表面突起及びヘッド摩耗性は良好であった。
実施例5
溶液粘度が1000ポイズとなるよう、ポリマー溶液中のNMP量によりポリマー濃度を8.9%に調整した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド溶液を得た後、pH調整を行った。
次に、混練温度を65℃とした以外は実施例1と同様の方法で、二軸混練機を用いて芳香族ポリアミド組成物を製造し、フィルムを得た。突起形成性ポリマーの混合条件及びフィルム特性を表1に示す。フィルムの高さ5〜30nmの突起個数、フィルムの粗大表面突起及びヘッド摩耗性は良好であった。
実施例6
溶液粘度が10000ポイズとなるよう、ポリマー溶液中のNMP量によりポリマー濃度を12.0%に調整した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド溶液を得た後、pH7.0となるようジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンを添加してpH調整を行った。
次に、二軸混練機を用いて、混練温度90℃で、突起形成性ポリマーとして、ガラス転移温度145℃、数平均分子量10000のポリカーボネートを、芳香族ポリアミド溶液に対して50重量%となるように上記ポリマー溶液と混練した後、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。突起形成性ポリマーの混合条件及びフィルム特性を表1に示す。フィルムの高さ5〜30nmの突起個数、フィルムの粗大表面突起及びヘッド摩耗性は良好であった。
実施例7
溶液粘度が2000ポイズとなるよう、ポリマー溶液中のNMP量によりポリマー濃度を9.8%に調整した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド溶液を得た後、pH11.0となるようジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンを添加してpH調整を行った。
次に、二軸混練機を用いて、突起形成性ポリマーとして、ガラス転移温度260℃、数平均分子量48000のポリエーテルスルホンを、芳香族ポリアミド溶液に対して5重量%となるように上記ポリマー溶液と混練した後、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。突起形成性ポリマーの混合条件及びフィルム特性を表1に示す。フィルムの高さ5〜30nmの突起個数、フィルムの粗大表面突起及びヘッド摩耗性は良好であった。
実施例8
溶液粘度が5000ポイズとなるよう、ポリマー溶液中のNMP量によりポリマー濃度を11.1%に調整した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド溶液を得た後、pH調整を行った。
次に、二軸混練機を用いて、突起形成性ポリマーとして、ガラス転移温度215℃、数平均分子量40000のポリエーテルスルホンを、芳香族ポリアミド溶液に対して0.1重量%となるように上記ポリマー溶液と混練した後、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。突起形成性ポリマーの混合条件及びフィルム特性を表1に示す。フィルムの高さ5〜30nmの突起個数、フィルムの粗大表面突起及びヘッド摩耗性は良好であった。
比較例1
実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド溶液を得た後、pH6.0となるようジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンを添加してpH調整を行った。
次に、二軸混練機を用いて、突起形成性ポリマーとして、ガラス転移温度225℃、数平均分子量45000のポリエーテルスルホンを、芳香族ポリアミド溶液に対して20重量%となるように上記ポリマー溶液と混練した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド組成物を製造し、フィルムを得た。突起形成性ポリマーの混合条件及びフィルム特性を表1に示す。フィルムの高さ5〜30nmの突起個数、フィルムの粗大表面突起及びヘッド摩耗性は不良であった。
比較例2
実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド溶液を得た後、pH12.0となるようジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンを添加してpH調整を行った。
次に、二軸混練機を用いて、突起形成性ポリマーとして、ガラス転移温度225℃、数平均分子量45000のポリエーテルスルホンを、芳香族ポリアミド溶液に対して20重量%となるように上記ポリマー溶液と混練した以外は、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミド組成物を製造し、フィルムを得た。突起形成性ポリマーの混合条件及びフィルム特性を表1に示す。フィルムの高さ5〜30nmの突起個数、フィルムの粗大表面突起及びヘッド摩耗性は不良であった。
比較例3
実施例1と同様の方法で得た芳香族ポリアミド溶液に、突起形成性ポリマーとして、ガラス転移温度225℃、数平均分子量45000のポリエーテルスルホンを、芳香族ポリアミドに対して2重量%となるように、重合槽内においてポリマー溶液とブレンドし、60℃で2時間混合した。
この原液から、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。突起形成性ポリマーの混合条件およびフィルム特性を表1に示す。フィルムの高さ5〜30nmの突起個数、フィルムの粗大表面突起及びヘッド摩耗性は不良であった。
Figure 2008195899

Claims (7)

  1. 二軸混練機を用いて、pHが7.0〜11.0である芳香族ポリアミド溶液に対し、少なくとも1種以上の突起形成性ポリマーを、該溶液中の芳香族ポリアミドに対し0.1〜50重量%混練させることを特徴とする、芳香族ポリアミドの製造方法。
  2. 芳香族ポリアミド溶液の30℃での粘度が1000〜50000ポイズであることを特徴とする、請求項1に記載の芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
  3. 二軸混練機による混練温度が120℃以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド組成物の製造方法
  4. 突起形成性ポリマーのガラス転移温度が140〜300℃であり、かつ数平均分子量が10000〜100000であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
  5. 突起形成性ポリマーがポリスルホン系重合体、ポリエーテルイミド系重合体、ポリフェニレンオキシド系重合体、ポリケトン系重合体、ポリカーボネート系重合体およびポリイミド系重合体から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られた芳香族ポリアミド組成物。
  7. 請求項6に記載の芳香族ポリアミド組成物からなるフィルム。
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