JP2014155336A - 交流電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】交流電動機の回転数が所定回転数以下のとき、電流集中を判定可能な交流電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】3相のうち1相のセンサ相(W相)に流れる電流を検出する電動機制御装置において、制御部151の変換係数算出部45は、3相電圧指令のうちセンサ相の電圧指令vw*と電流検出値iw_snsとの比から変換係数Kcを算出する。他相電流推定部46は、他の2相であるU相、V相の電圧指令vu*、vv*に基づき、変換係数Kcを用いて電流推定値iu_est、iv_estを算出する。電流集中判定部47は、交流電動機2の回転数Nが所定の回転数以下であるとき、センサ相の電流検出値iw_sns、及び、他の2相の電流推定値iu_est、iv_estのうちいずれかの相電流値が所定の電流判定閾値を超えた期間が所定の判定期間継続したとき、電流集中が発生していると判定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、3相のうち1相の相電流を電流センサにより検出して交流電動機の通電を制御する交流電動機の制御装置に関する。
近年、低燃費、低排気エミッションの社会的要請から車両の動力源として交流電動機を搭載した電気自動車やハイブリッド自動車が注目されている。例えば、ハイブリッド自動車においては、二次電池等からなる直流電源と交流電動機とを、インバータ等で構成された電力変換装置を介して接続し、直流電源の直流電圧をインバータで交流電圧に変換して交流電動機を駆動するようにしたものがある。
このようなハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される交流電動機の制御装置において、相電流を検出する電流センサを1相のみに設け、1相の電流検出値に基づき推定した電流推定値をフィードバックすることで交流電動機の通電を制御する「1相制御」の技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。電流センサを1相のみに設けることで、電流センサの数を減らし、インバータの3相出力端子近傍の小型化や交流電動機の制御系統のコスト低減を図っている。
一方、交流電動機を駆動するインバータを過負荷状態から保護するための「電流集中判定」の技術が知られている。例えば特許文献2に開示された技術によると、インバータの出力電流を検出することによって過負荷電流が流れているか否かを判定し、過負荷電流が流れていると判定すると、その継続時間をカウントする。そして、その過負荷電流の継続時間が所定時間を超えると、インバータが過負荷状態であると判定する。
特開2004−159391号公報 特開平5−260761号公報
交流電動機の回転数が、停止に近い所定の回転数以下であるとき、相電流の時間変化が小さくなり、相電流がほぼ一定の「直流化」された状態となる。すると、停止位置の電気角及び電流指令位相に応じて、相毎に電流値が固定されることとなる。その結果、特定の相の電流が所定の閾値を超えた状態が所定の期間継続した場合、「電流集中が発生している」という。電流集中した相では、インバータのスイッチング素子等が過負荷状態となるおそれがある。
2相又は3相に電流センサを設け各相の電流を直接検出する構成では、相毎に電流集中の有無を容易に判定することができる。それに対し、電流センサを1相のみに設ける構成では他の2相の電流値を直接検出することができないので、電流集中判定するためには、センサ相以外の他の2相の電流を適正に推定するか、電流を等価的に他の諸量に置き換えることが重要となる。
特に、交流電動機の停止位置の電気角及び電流指令位相に応じて、センサ相の電流検出値が「ゼロ」となる場合が問題となる。例えば、特許文献1の技術において、センサ相の電流基準角(θ’)のsin値が非ゼロであり、センサ相の電流検出値がゼロとなる位置で交流電動機が停止した場合、他の2相の電流推定値は共にゼロと推定される。また、センサ相の電流基準角(θ’)のsin値がゼロであり、且つセンサ相の電流検出値がゼロの場合は、計算不能となる。したがって、仮に他の2相のいずれかが電流集中している場合であっても、電流集中を判定することができない。また、そもそも従来技術では、1相のセンサ相の電流検出値に基づいて電流集中判定することを考慮していない。
本発明はこのような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、3相のうち1相のセンサ相に流れる電流を検出する交流電動機の制御装置において、交流電動機の回転数が所定回転数以下のとき、電流集中を判定可能な交流電動機の制御装置を提供することにある。
本発明は、3相の交流電動機を駆動するインバータと、交流電動機の3相のうち1相のセンサ相に流れる電流を検出する電流センサと、インバータを構成する複数のスイッチング素子のオン/オフを切り替えて交流電動機の通電を制御する制御手段とを備える交流電動機の制御装置に係る発明である。
制御手段は、交流電動機の回転数を算出する回転数算出手段と、電流指令及び電気角に基づき、交流電動機に印加する3相電圧に対する3相電圧指令を演算する3相電圧指令演算手段と、回転数算出手段によって得られた回転数が所定の回転数以下であるとき、3相電圧指令に基づいて電流集中の有無を判定する電流集中判定手段とを有している。
ここで、「電流集中」とは、インバータのいずれか1相以上に所定の閾値以上の電流が所定の期間継続して流れる状態をいう。
交流電動機の回転数がゼロ、又はゼロに近い所定の回転数以下であって相電流が直流化しているとき、従来の1相制御技術では、センサ相以外の他の2相の電流推定値を適正に推定することができず、交流電動機の駆動制御が不安定となるおそれがある。しかも、交流電動機の停止位置の電気角及び電流指令位相に応じてセンサ相の電流検出値がゼロとなるときには、仮に他の2相のいずれかが電流集中している場合であっても、電流集中を判定することができない。
それに対し本発明では、交流電動機の回転数が所定の回転数以下であるとき、3相電圧指令演算手段によって演算された3相電圧指令に基づき、電流集中判定手段により、各相について適正に電流集中の有無を判定することができる。
電流集中判定のための具体的な構成として、次の2とおりの構成を示す。
第1の構成によると、制御手段は、変換係数算出手段と、他相電流推定手段とをさらに有する。変換係数算出手段は、3相電圧指令のうちセンサ相の電圧指令とセンサ相の電流検出値との比から変換係数を算出する。他相電流推定手段は、3相電圧指令のうちセンサ相以外の他の2相の電圧指令に基づき、変換係数を用いて当該他の2相の電流推定値を算出する。電流集中判定手段は、センサ相の電流検出値、及び他の2相の電流推定値のうちいずれかの相電流値が所定の電流判定閾値を超えた期間が所定の判定期間継続したとき、電流集中が発生していると判定する。
第2の構成によると、制御手段の電流集中判定手段は、3相電圧指令のうちいずれかの相の電圧指令が所定の電圧判定閾値を超えた期間が所定の判定期間継続したとき、電流集中が発生していると判定する。
このようにして電流集中が発生していると判定されたとき、例えばトルク指令や電流指令の上限を制限する等の適当な集中解除処置を取ることで、インバータのスイッチング素子等が過負荷状態となることを防止することができる。
本発明の第1、第2実施形態による交流電動機の制御装置が適用される電動機駆動システムの構成を示す図である。 本発明の第1、第2実施形態による交流電動機の制御装置の全体構成図である。 交流電動機の低回転時における1相制御の問題点を説明する相電流波形の模式図である。 交流電動機の停止時における相電流の直流化を説明する模式図である。 本発明の第1実施形態による交流電動機の制御装置の制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態による電流集中判定処理のタイムチャートである。 本発明の第1実施形態による電流集中判定処理のフローチャートである。 本発明の第2実施形態による交流電動機の制御装置の制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態による電流集中判定処理のタイムチャートである。 本発明の第2実施形態による電流集中判定処理のフローチャートである。
以下、本発明による交流電動機の制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
最初に、複数の実施形態に共通の構成について、図1、図2を参照して説明する。この実施形態による「交流電動機の制御装置」としての電動機制御装置10は、ハイブリッド自動車を駆動する電動機駆動システムに適用される。
[交流電動機の制御装置の構成]
図1に示すように、電動機駆動システム1は、交流電動機2、直流電源8、及び電動機制御装置10等を備える。
交流電動機2は、例えば電動車両の駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機である。本実施形態の交流電動機2は、永久磁石式同期型の三相交流電動機である。
電動車両には、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車等、電気エネルギによって駆動輪6を駆動する車両が含まれるものとする。本実施形態の電動車両は、エンジン3を備えたハイブリッド車両であり、交流電動機2は、駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機としての機能、及び、エンジン3や駆動輪6から伝わる車両の運動エネルギにより駆動されて発電可能な発電機としての機能を有する、所謂モータジェネレータ(図中、「MG」と記す。)である。
交流電動機2は、例えば変速機等のギア4を介して車軸5に接続される。これにより、交流電動機2の駆動力は、ギア4を介して車軸5を回転させることにより、駆動輪6を駆動する。
直流電源8は、例えばニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等、充放電可能な蓄電装置である。直流電源8は、電動機制御装置10のインバータ12(図2参照)と接続され、インバータ12を介して交流電動機2と電力の授受可能に構成されている
車両制御回路9は、マイクロコンピュータ等により構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、I/O、及び、これらを接続するバスライン等を備えている。車両制御回路9は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理により、電動車両全体を制御する。
車両制御回路9は、いずれも図示しないアクセルセンサからのアクセル信号、ブレーキスイッチからのブレーキ信号、及び、シフトスイッチからのシフト信号等の各種センサやスイッチ等から信号を取得可能に構成されている。車両制御回路9は、取得されたこれらの信号等に基づいて車両の運転状態を検出し、運転状態に応じたトルク指令値trq*を電動機制御装置10に出力する。また、車両制御回路9は、エンジン3の運転を制御する図示しないエンジン制御回路に対し、指令信号を出力する。
図2に示すように、電動機制御装置10は、インバータ12、電流センサ13、及び「制御手段」としての制御部15を備える。
インバータ12には、図示しない昇圧コンバータによる直流電源の昇圧電圧がインバータ入力電圧VHとして入力される。インバータ12は、ブリッジ接続される図示しない6つのスイッチング素子を有する。スイッチング素子には、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、バイポーラトランジスタ等を用いることができる。制御部15のPWM信号生成部25から出力されるPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてスイッチング素子のオン/オフが制御される。これにより、インバータ12は、交流電動機2に印加される3相交流電圧vu、vv、vwを制御する。交流電動機2は、インバータ12により生成された3相交流電圧vu、vv、vwが印加されることにより駆動が制御される。
電流センサ13は、交流電動機2のいずれか1相に設けられる。電流センサ13が設けられる相を「センサ相」という。電流センサ13は、センサ相の相電流を検出し、電流検出値を制御部15に出力する。「センサ相の電流検出値」を、適宜「センサ値」という。
本実施形態では、電流センサ13がW相に設けられている構成を前提として説明する。すなわち、「W相」は「センサ相」と同義である。なお、他の実施形態では、U相又はV相をセンサ相としてもよい。
回転角センサ14は、交流電動機2の図示しないロータ近傍に設けられ、電気角θeを検出し、制御部15に出力する。また、回転角センサ14により検出された電気角θeに基づき、交流電動機2のロータの回転数Nが算出される。以下、「交流電動機2のロータの回転数N」を、単に「交流電動機2の回転数N」という。
本実施形態の回転角センサ14は、レゾルバであるが、その他の実施形態では、ロータリエンコーダ等、他種のセンサを用いてもよい。
制御部15は、マイクロコンピュータ等により構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部15は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理により、交流電動機2の動作を制御する。
電動機制御装置10は、回転角センサ14が検出した電気角θeに基づく交流電動機2の回転数N、及び、車両制御回路9からのトルク指令値trq*に応じて、交流電動機2を「電動機としての力行動作」により電力を消費し、又は「発電機としての回生動作」により電力を生成する。具体的には、回転数N及びトルク指令値trq*の正負によって、以下の4つのパターンで動作を切り替える。
<1.正転力行> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が正のとき、電力消費。
<2.正転回生> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が負のとき、発電。
<3.逆転力行> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が負のとき、電力消費。
<4.逆転回生> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が正のとき、発電。
回転数N>0(正転)で、トルク指令値trq*>0である場合、または、回転数N<0(逆転)でトルク指令値trq*<0である場合、インバータ12は、スイッチング素子のスイッチング動作により、直流電源8側から供給される直流電力を交流電力に変換してトルクを出力する(力行動作する)ように、交流電動機2を駆動する。
一方、回転数N>0(正転)で、トルク指令値trq*<0である場合、または、回転数N<0(逆転)でトルク指令値trq*>0である場合、インバータ12は、スイッチング素子のスイッチング動作により、交流電動機2が発電した交流電力を直流電力に変換し、直流電源8側へ供給することにより、回生動作する。
本発明の実施形態では、電流センサ13を1相のみに設けることで、2相又は3相に電流センサを設ける構成に比べ、電流センサの数を減らし、インバータ12の3相出力端子近傍の小型化や交流電動機2の制御系統のコスト低減を図ることができる。
その反面、交流電動機2の通電を制御するにあたり、1相のセンサ値に基づく「1相制御」を行う必要がある。1相制御にはいくつかの方法があるが、いずれの制御方法でも、2相のセンサ値に基づく2相制御に比べて実機情報が乏しくなる傾向がある。
低回転時における1相制御の問題点について、図3、図4を参照して説明する。
図3は、W相電流波形について、回転数Nの違いによる、電流センサ13のサンプリング間隔Tsと、電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwとの関係を模式的に示した図である。(a)は高回転時、(b)は中回転時、(c)は低回転時の相電流波形を示す。ここでの「高回転、中回転、低回転」は、相対的な意味でのみ用い、具体的な回転数を意味しない。また、サンプリング間隔Tsは、回転数Nによらず一定とする。
高回転時は、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwが比較的大きな値となっており、実機情報がよく反映されるため、比較的精度の高い1相制御が可能である。
中回転時は、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwが高回転時よりも減少するため、実機情報がやや不足し、1相制御での精度が低下する。
低回転時は、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwがさらに減少し、電流変化量Δiwがゼロに近くなる。そのため、実機情報が乏しくなり、1相制御では、交流電動機2の駆動制御が不安定になる。
さらに、交流電動機2が停止した状態を想定する。以下、「停止」とは、回転数Nが厳密に0[rpm]の場合のみでなく、回転数Nが所定の回転数以下の低回転状態を含む。停止状態では、電気角θeは略一定となり、電気角速度ωは略0[rad/s]となる。
このような停止状態で、電流指令位相φも一定と仮定すれば、図4(a)に示すように各相の電流は一定となり、直流化される。図4(a)において、U相電流iu、V相電流ivは、実電流を示し、実際には検出されない。W相については電流検出値iw_snsを示す。なお、3相の相電流にはキルヒホッフの法則により、式(1)が成立している。
iu+iv+iw=0 ・・・(1)
交流電動機2の回転数Nが所定の回転数以上のとき、各相の電流は正弦波状に時間変化し、相間で平均化される。すなわち、インバータ12の回路素子や交流電動機2の巻線に異常がない限り、特定の相に電流が集中して流れることはない。
ところが、交流電動機2が停止又は停止に近い状態にあると、相電流が直流化されることにより、停止位置の電気角θe及び電流指令位相φに応じて、相毎に電流値が固定されることとなる。図4(a)に示す例では、W相電流iw_snsの絶対値がU相電流iu、V相電流ivの絶対値に比べて大きくなっている。この例で、仮にW相電流iw_snsが所定の閾値を超えた状態が所定の期間継続した場合、「電流集中が発生している」という。電流集中した相では、インバータ12のスイッチング素子等が過負荷状態となるおそれがある。
ここで、2相又は3相に電流センサを設け各相の電流を直接検出する構成では、相毎に電流集中の有無を容易に判定することができる。それに対し、電流センサ13を1相のみに設ける構成では、電流集中判定のために、センサ相以外の他の2相の電流を適正に推定するか、電流を等価的に他の諸量に置き換えることが重要となる。
特に、図4(b)に示すように、交流電動機2の停止位置の電気角θe及び電流指令位相φに応じて、センサ相の電流検出値iw_snsが「ゼロ」となる場合が問題となる。ここで、電流が「ゼロ」とは、厳密な0[A]に限らず、検出誤差や機器の分解能を考慮し、実質的に0[A]と同等の範囲の値を含む。
例えば、特許文献1(特開2004−159391号公報)による1相制御技術では、センサ相をU相とすると、U相の電流検出値(Iu)を「dq軸電流指令から得られる電流指令位相角と電気角から生成したU相電流基準角(θ’)」で除して電流振幅(Ia)を算出し、この電流振幅を、U相電流基準角から±120[°]ずらした電気角におけるsin値に乗じて他の2相の電流推定値Iv、Iwを算出する(式2.1〜2.3)。
Ia=Iu/[√(1/3)×({−sin(θ’)}] ・・・(2.1)
Iv=√(1/3)×Ia×{−sin(θ’+120[°])}・・・(2.2)
Iw=√(1/3)×Ia×{−sin(θ’+240[°])}・・・(2.3)
この方法において、センサ相の電流検出値(Iu)がゼロとなる位置で交流電動機2が停止した場合、電流振幅(Ia)はゼロとなり、他の2相の電流推定値は共にゼロと推定される。したがって、仮に他の2相のいずれかが電流集中している場合であっても、電流集中を判定することができない。
また、特開2008−86139号公報による1相制御技術では、dq軸電流指令を逆dq変換して得られる3相電流指令値のうちセンサ相以外の2相の電流指令値を推定値として扱い、電流フィードバック制御する。
この技術においてセンサ相の電流検出値がゼロとなると、1相のセンサ値であるゼロ値と、他の2相の電流推定値とからdq変換して得られるdq軸電流推定値は、dq軸電流指令に一致する。したがって、dq軸電流指令をそのままdq軸電流指令に対してフィードバックすることとなり、フィードバック制御がされていないのと同然の状態となる。つまり、他の2相の電流値について電流指令で判断し、実電流の情報が反映されないため、交流電動機2の駆動制御が不安定になるばかりか、誤判定につながるおそれがある。
[制御部の構成と作用効果]
そこで、本発明の実施形態による電動機制御装置10は、交流電動機2の回転数Nが所定の回転数以下であるとき、電流集中を判定可能とするための制御部15の構成を特徴としている。以下、制御部15の構成及び作用効果を第1、第2実施形態毎に説明する。第1、第2実施形態の制御部の符号を、それぞれ151(図5)、152(図8)とする。
(第1実施形態)
第1実施形態の制御部151の構成について、図5〜図7を参照して説明する。
図5に示すように、制御部151は、電流指令演算部21、dq軸電圧指令演算部41、角速度算出部42、逆dq変換部24、PWM信号生成部25、変換係数算出部45、他相電流推定部46、電流集中判定部47、及び、回転数算出部49を有する。
dq軸電圧指令演算部41及び逆dq変換部24は、特許請求の範囲に記載の「3相電圧指令演算手段」を構成する。また、変換係数算出部45、他相電流推定部46、及び、電流集中判定部47は、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「変換係数算出手段」、「他相電流推定手段」、及び、「電流集中判定手段」を構成する。
電流指令演算部21は、車両制御回路9から取得したトルク指令値trq*に基づき、交流電動機2の回転座標系(dq座標系)におけるd軸電流指令id*、及びq軸電流指令iq*を演算する。以下、「d軸電流及びq軸電流」を「dq軸電流」のように表す。
本実施形態では、予め記憶されているマップを参照してdq軸電流指令id*、iq*を演算するが、他の実施形態では、数式等から演算するようにしてもよい。
dq軸電圧指令演算部41は、電圧方程式を用いて、dq軸電圧指令vd*、vq*を演算する。まず、電動機の電圧方程式は、一般に式(3.1)、(3.2)で表される。
vd=Ra×id+Ld×(d/dt)id−ω×Lq×iq ・・・(3.1)
vq=Ra×iq+Lq×(d/dt)iq+ω×Ld×id+ω×ψ
・・・(3.2)
記号は、以下のとおりである。
Ra:電機子抵抗
Ld、Lq:d軸自己インダクタンス、q軸自己インダクタンス
ω:電気角速度
ψ:永久磁石の電機子鎖交磁束
ここで、交流電動機2の機器定数である電機子抵抗Ra、d軸自己インダクタンスLd、q軸自己インダクタンスLq、及び電機子鎖交磁束ψは、固定値としてもよいし、計算にて算出してもよい。また、実際の特性に近い値や実測値をマップ化しておき、トルク指令値trq*、又はd軸電流指令値id*及びq軸電流指令値iq*に基づいて演算してもよい。
また、過渡特性を表す時間微分(d/dt)項を無視し、dq軸電圧としてdq軸電圧指令vd*、vq*を用い、dq軸電流としてdq軸電流指令id*、iq*を用いると、式(3.1)、(3.2)は、式(4.1)、(4.2)のように書き換えられる。
vd*=Ra×id*−ω×Lq×iq* ・・・(4.1)
vq*=Ra×iq*+ω×Ld×id*+ω×ψ・・・(4.2)
dq軸電圧指令演算部41は、式(4.1)、(4.2)を用いてdq軸電圧指令vd*、vq*を演算する。この演算を、「フィードフォワード電圧指令演算」と呼ぶ。角速度算出部42は、電気角θeを電気角速度ωに変換して、dq軸電圧指令演算部41に出力する。
さらに、電流集中判定が必要とされるのは、停止時に近いω≒0[rad/s]のときである。式(4.1)、(4.2)において、ω=0とすると、式(4.3)、(4.4)のとおり電機子抵抗Ra項のみが残る。そのため、d軸電圧指令vd*はd軸電流指令id*のみによって決まり、q軸電圧指令vq*はq軸電流指令iq*のみによって決まる。
vd*=Ra×id*・・・(4.3)
vq*=Ra×iq*・・・(4.4)
このようにしてdq軸電圧指令演算部41で演算されたdq軸電圧指令vd*、vq*が逆dq変換部24に出力される。
逆dq変換部24では、回転角センサ14から取得される電気角θeに基づき、dq軸電圧指令vd*、vq*を、U相電圧指令vu*、V相電圧指令vv*、及びW相電圧指令vw*に変換する。
ω≒0[rad/s]のとき、式(4.3)、(4.4)により、dq軸電圧指令vd*、vq*は、それぞれdq軸電流指令id*、iq*の定数(Ra)倍であることから、逆dq変換後の3相電圧指令vu*、vv*、vw*と相電流iu、iv、iwとの間には、式(5.1)〜(5.3)の関係が成立する。
vu*=Ra×iu・・・(5.1)
vv*=Ra×iv・・・(5.2)
vw*=Ra×iw・・・(5.3)
PWM信号生成部25では、インバータ12のスイッチング素子のオン/オフの切替えに係るPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLを、3相電圧指令vu*、vv*、vw*、及び、インバータ12に印加されるインバータ入力電圧VHに基づいて算出する。
ここで、PWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLの算出に用いる3相電圧指令としてvu*、vv*、vw*は、理論式(5.1)〜(5.3)から得られた電圧指令をそのまま用いる場合、指令通りのトルクが得られる電圧指令に対して乖離した値となる可能性があり、交流電動機2の駆動が不安定になるおそれがある。そこで、理論式(5.1)〜(5.3)の算出値に適宜補正を加えた3相電圧指令を用いてもよい。その他、dq軸電圧指令の理論式(4.3)、(4.4)の算出値に適宜補正を加えたdq軸電圧指令vd*, vq*を用いて、3相電圧指令vu*、vv*、vw*を算出してもよく、その補正方法や補正対象は限定しない。
そして、PWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてインバータ12のスイッチング素子のオン/オフが制御されることより、3相交流電圧vu、vv、vwが生成され、この3相交流電圧vu、vv、vwが交流電動機2に印加されることにより、トルク指令値trq*に応じたトルクが出力されるように、交流電動機2の駆動が制御される。
変換係数算出部45は、センサ相であるW相の電圧指令vw*、及び電流検出値iw_snsを取得し、式(6)により、これらの比の値である変換係数Kcを算出する。
Kc=vw*/iw_sns ・・・(6)
式(5.3)に加え、交流電動機2や電動機制御装置等に関する物理的な要因等による電圧誤差や演算過程で必要となる係数等を総じてKとおく。このK値は、生じ得る誤差等を考慮して適宜変化する。上述のように、理論式(5.1)〜(5.3)で算出した3相電圧指令をさらに補正する場合においても、K値は、計算上のバッファとしてさらに適宜変化するものとする。
「Kc=K×Ra」であるため、この変換係数Kcを用いると、式(5.1)、(5.2)は、式(7.1)、(7.2)のように書き換えられる。
iu_est=vu* /Kc・・・(7.1)
iv_est=vv* /Kc・・・(7.2)
このように、変換係数Kcは、ω≒0[rad/s]のとき、U相、V相の電圧指令vu*、vv*から相電流iu_est、iv_estを推定するための変換係数である。
他相電流推定部46は、他の2相であるU相、V相の電圧指令vu*、vv*を取得し、式(7.1)、(7.2)により、変換係数Kcを用いて、U相、V相の電流推定値iu_est、iv_estを算出し、電流集中判定部47に出力する。
電流集中判定部47は、回転数算出部49によって電気角θeを変換して得られた回転数Nが所定の回転数以下であるとき、センサ相の電流検出値iw_sns、及び、他の2相の電流推定値iu_est、iv_estを取得し、これら3相の電流値について、電流集中判定を行う。この電流集中判定は、図6に示すように、3相の電流値を正負の電流判定閾値Ijth+、Ijth-と比較することによって行われる。
図6にて、W相の電流検出値iw_snsは、初期値0から次第に減少し、負の電流判定閾値Ijth-を超えている。このように、いずれかの相電流値が正の電流判定閾値Ijth+を上回り、或いは、負の電流判定閾値Ijth-を下回った時点を時刻t0とし、判定期間Tの計時を開始する。
時刻t0の後、W相の電流検出値iw_snsは、負の電流判定閾値Ijth-を超えた状態を継続している。この状態を継続したまま、時刻t0から所定の判定期間Tが経過した時刻tjにおいて、電流集中判定部47は、W相が電流集中していると判定する。
ここで、電流判定閾値Ijth+、Ijth-、及び判定期間Tは、インバータ12のスイッチング素子の仕様や安全率を考慮して、スイッチング素子の故障を回避できる程度に適宜設定してよい。また、電流値と電流判定閾値との比較について、電流値の絶対値を電流判定閾値の絶対値と比較するようにしてもよい。
また、本実施形態の電流集中判定処理において推定する電流推定値iu_est、iv_estは、電流集中の判定のみを目的とするものであって、制御用の推定値ではないため、高い精度は要求されない。したがって、推定値にばらつきがあることを前提として、電流判定閾値Ijth+、Ijth-を設定することが好ましい。
次に、制御部151による電流集中判定処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。以下のフローチャートの説明で、記号「S」はステップを意味する。
S01では、回転角センサ14から取得した電気角θeに基づき回転数Nを取得する。そして、取得した回転数Nが、集中判定処理を必要とする所定の回転数以下であることを確認する。
S02では、電流センサ13からセンサ相の電流検出値iw_snsを取得する。
S03では、dq軸電圧指令演算部41にて、dq軸電流指令id*、iq*、及び、電気角θeから変換した電気角速度ωに基づき、電圧方程式を用いてdq軸電圧指令vd*、vq*を演算する。
S04では、逆dq変換部24にて、dq軸電圧指令vd*、vq*を3相電圧指令vu*、vv*、vw*に変換する。
S15では、変換係数算出部45にて、センサ相であるW相の電圧指令vw*と電流検出値iw_snsとの比から変換係数Kcを算出する。
S16では、他相電流推定部46にて、変換係数Kcを用いて、他の2相の電圧指令vu*、vv*から電流推定値iu_est、iv_estを算出し、電流集中判定部47に出力する。
S17では、電流集中判定部47にて、センサ相の電流検出値iw_sns、及び、他の2相の電流推定値iu_est、iv_estのうち、いずれかの相電流値が電流判定閾値を超えたか否か判断する。
いずれかの相電流値が電流判定閾値を超えた場合(S17:YES)、S08では、その状態が所定の判定期間Tにわたって継続するか否か判断する。そして、いずれかの相電流値が電流判定閾値を超えた期間が所定の判定期間T継続した場合(S08:YES)、その相に電流集中が発生していると判断する(S09)。
一方、S17でNO、又はS08でNOの場合、いずれの相にも電流集中が発生していないと判定する(S10)。
以上で、制御部151による電流集中判定処理を終了する。
なお、電流集中が発生している場合、例えば以下のような処置により、電流集中状態を解除することが考えられる。
(a)トルクを付与し、交流電動機2をさらに回転させる。回転数Nが所定の回転数以上になれば、相電流は所定の周波数以上の周波数で時間変化するため、特定の相に所定期間以上電流が集中する状況を回避することができる。
(b)車両に適用される電動機制御装置において、例えば登坂でトルクと重力とが釣り合っている状態からトルクを減じることで、車両をずり下がらせ、交流電動機2を回転させてもよい。また、トルク指令値trq*を減じることでdq軸電流指令id*、iq*を下がる結果、相電流の絶対値が電流判定閾値以下となる場合もある。
(c)電機子抵抗Ra等の温度特性や過負荷状態により相電流が上昇した場合には、電動機制御装置10をより冷却する。
本実施形態の電動機制御装置の作用効果について説明する。
(1)交流電動機2の回転数Nが停止に近い所定の回転数以下であって相電流が直流化しており、しかも、交流電動機2の停止位置の電気角θe及び電流指令位相φに応じてセンサ相の電流検出値iw_snsがゼロとなるとき、従来の1相制御技術では、センサ相以外の他の2相の電流推定値を適正に推定することができない。そのため、仮に他の2相のいずれかが電流集中している場合であっても、電流集中を判定することができない。
それに対し本実施形態の制御部151は、交流電動機2の回転数Nが所定の回転数以下であるとき、dq軸電圧指令演算部41及び逆dq変換部24によって演算された3相電圧指令vu*、vv*、vw*に基づき、電流集中判定部47にて、各相について適正に電流集中の有無を判定することができる。
電流集中を判定したとき、適当な集中解除処置を取ることで、インバータ12のスイッチング素子等が過負荷状態となることを防止することができる。
(2)本実施形態の制御部151は、変換係数算出部45及び他相電流推定部46を有し、センサ相の電圧指令vw*と電流検出値iw_snsとの比の値である変換係数Kcを用いて、他の2相の電流推定値iu_est、iv_estを算出する。そして、電流集中判定部47は、他の2相について、電流推定値iu_est、iv_estに基づいて電流集中判定を行う。
上記の理論式(5.1)〜(5.3)に基づく電圧指令については、デッドタイム等による電圧誤差や電機子抵抗Raの温度特性等、交流電動機や交流電動機の制御装置等に関する物理的な要因等によって、指令通りのトルクを得るために印加すべき電圧に対する電圧指令とずれる場合がある。そこで、このように、変換係数Kcを用いて他相電流を推定する構成を採用することで、他の2相についての電流集中判定の精度を向上することができる。
(3)dq軸電圧指令演算部41は、電圧方程式を用いたフィードフォワード電圧指令演算によりdq軸電流指令id*、iq*からdq軸電圧指令vd*、vq*を演算する。これにより、実機情報が乏しく、1相制御ではフィードバック制御が困難な停止状態又は低回転域においても、3相電圧指令vu*、vv*、vw*を適切に演算することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の電動機制御装置について、図8〜図10を参照して説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対し、電流集中判定に係る構成が異なる。
以下のブロック図及びフローチャートの説明では、第1実施形態と実質的に同一の構成、同一のステップについては、同一の符号、ステップ番号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる点について詳細に説明する。
図8に示すように、第3実施形態の電動機制御装置の制御部152は、第1実施形態の変換係数算出部45、他相電流推定部46、電流集中判定部47に代えて、「電流集中判定手段」としての電流集中判定部48を有している。
電流集中判定部48は、回転数算出部49によって電気角θeを変換して得られた回転数Nが所定の回転数以下であるとき、逆dq変換部24が出力した3相電圧指令vu*、vv*、vw*を取得し、これら3相の電圧指令について電流集中判定を行う。この電流集中判定は、図9に示すように、正負の電圧判定閾値Vjth+、Vjth-と比較することによって行われる。
上記の式(5.1)〜(5.3)によると、3相電流iu、iv、iwは、3相電圧指令vu*、vv*、vd*によって決まる。したがって、3相電圧指令vu*、vv*、vw*から直接に電流集中を判定してもよい。
図9にて、W相の電圧指令vw*は、初期値0から次第に減少し、負の電圧判定閾値Vjth-を超えている。このように、いずれかの相の電圧指令が正の電圧判定閾値Vjth+を上回り、或いは、負の電圧判定閾値Vjth-を下回った時点を時刻t0とし、判定期間Tの計時を開始する。
時刻t0の後、W相の電圧指令vw*は、負の電圧判定閾値Vjth-を超えた状態を継続している。この状態を継続したまま、時刻t0から所定の判定期間Tが経過した時刻tjにおいて、電流集中判定部48は、W相が電流集中していると判定する。
ここで、電圧判定閾値Vjth+、Vjth-、及び判定期間Tは、インバータ12のスイッチング素子の仕様や安全率を考慮して、スイッチング素子の故障を回避できる程度に適宜設定してよい。また、電圧指令と電圧判定閾値との比較について、電圧指令の絶対値を電圧判定閾値の絶対値と比較するようにしてもよい。
図10に示す制御部152による電流集中判定処理のフローチャートは、第1実施形態のフローチャート(図7)に対し、S15、S16が無く、S17に代えてS27を有する点が異なっている。
S27では、電流集中判定部48にて、3相の電圧指令vu*、vv*、vw*のうちいずれかの相の電圧指令が電圧判定閾値を超えたか否か判断する。
いずれかの相の電圧指令が電圧判定閾値を超えた場合(S27:YES)、S08では、その状態が所定の判定期間Tにわたって継続するか否か判断する。そして、いずれかの相の電圧指令が電圧判定閾値を超えた期間が所定の判定期間T継続した場合(S08:YES)、その相に電流集中が発生していると判断する(S09)。
その他のステップは、第1実施形態と同様である。
第2実施形態は、3相電圧指令vu*、vv*、vw*から直接電流集中を判定するため、第1実施形態に対し、制御部152の構成を簡易にすることができる。
第2実施形態は、特に電気角速度ωが0[rad/s]であり、且つ、電圧指令と相電流との関係に係る理論式(5.1)〜(5.3)の適用において、デッドタイム等による電圧誤差や電機子抵抗Raの温度特性を無視してもよい場合、有効に適用することができる。
(その他の実施形態)
(ア)電流センサにより相電流を検出するセンサ相は、上記実施形態のW相に限らず、U相又はV相としてもよい。また、3相座標での電気角θeの基準をU相軸以外の相の軸としてもよい。
(イ)上記実施形態では、dq軸電流指令id*、iq*とdq軸電圧指令vd*、vq*との関係を電圧方程式によって決定している。その他の実施形態では、dq軸電流指令に対するdq軸電圧指令のマップを作成し、このマップを参照するようにしてもよい。
(ウ)上記第1実施形態では、センサ相の電流検出値iw_snsは、dq軸電流指令id*、iq*自体がゼロの場合を除き、交流電動機2の停止位置の電気角θe及び電流指令位相φにかかわらず、常に非ゼロの値で検出されることが好ましい。そのため、制御部は、センサ相の電流検出値iw_snsがゼロで検出されたとき、電気角θe又は電流指令位相φを操作することにより、センサ相の電流検出値iw_snsを非ゼロとするような構成を組み合わせてもよい。
(エ)回転角センサは、電気角θeを検出し制御部へ出力する形態に限らず、ロータ回転角(機械角)θmを検出して制御部へ出力し、制御部の内部にて電気角θeに換算してもよい。また、回転数Nは、機械角θmに基づいて算出してもよい。
(オ)上記実施形態では、制御に用いる電流を検出する「制御用電流センサ」を1相に設ける例について説明した。他の実施形態では、制御用電流センサの他に、制御用電流センサの異常を監視するための独立した「監視用電流センサ」をセンサ相、又はセンサ相以外の相に設けてもよい。例として、1相に制御用電流センサと監視用電流センサを設けた1相2チャンネルの構成や、1相に制御用電流センサを設け、それ以外の相のいずれか1相に監視用電流センサを設けた2相1チャンネルの構成等を採用してもよい。いずれの構成においても、どの相にいくつの電流センサを設けてもよい。
(カ)上記実施形態の交流電動機は、永久磁石式同期型の三相交流電動機であったが、他の実施形態では、誘導電動機やその他の同期電動機であってもよい。また、上記実施形態の交流電動機は、電動機としての機能及び発電機としての機能を併せ持つ所謂モータジェネレータであったが、他の実施形態では、発電機としての機能を持たなくてもよい。
交流電動機は、エンジンに対して電動機として動作し、エンジンの始動を行うように構成されていてもよい。また、エンジンを設けなくてもよい。さらに、交流電動機を複数設けてもよいし、複数の交流電動機における動力を分割する動力分割機構等をさらに設けてもよい。
(キ)本発明による交流電動機の制御装置は、上記実施形態のようにインバータと交流電動機を1組設けたシステムに限らず、インバータと交流電動機を2組以上設けたシステムに適用してもよい。また、1台のインバータに複数台の交流電動機を並列接続させた電車等のシステムに適用してもよい。
(ク)本発明による交流電動機の制御装置は、図1に示す構成のハイブリッド自動車の交流電動機に限定されず、どのような構成の電動車両の交流電動機に適用してもよい。また、電動車両以外の交流電動機に適用してもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
2・・・交流電動機、
10・・・電動機制御装置(交流電動機の制御装置)、
12・・・インバータ、
13・・・電流センサ、
151、152・・・制御部(制御手段)、
24・・・逆dq変換部(3相電圧指令演算手段)、
41・・・dq軸電圧指令演算部(3相電圧指令演算手段)、
45・・・変換係数算出部(変換係数算出手段)、
46・・・他相電流推定部(他相電流推定手段)、
47、48・・・電流集中判定部(電流集中判定手段)、
49・・・回転数算出部(回転数算出手段)。

Claims (3)

  1. 3相の交流電動機(2)を駆動するインバータ(12)と、
    前記交流電動機の3相のうち1相のセンサ相に流れる電流を検出する電流センサ(13)と、
    前記インバータを構成する複数のスイッチング素子のオン/オフを切り替えて前記交流電動機の通電を制御する制御手段(151、152)と、
    を備え、
    前記制御手段は、
    前記交流電動機の回転数を算出する回転数算出手段(49)と、
    電流指令及び電気角に基づき、前記交流電動機に印加する3相電圧に対する3相電圧指令を演算する3相電圧指令演算手段(41、24)と、
    前記回転数算出手段によって得られた回転数が所定の回転数以下であるとき、前記3相電圧指令に基づいて、前記インバータのいずれか1相以上に所定の閾値以上の電流が所定の期間継続して流れる電流集中の有無を判定する電流集中判定手段(47、48)と、
    を有していることを特徴とする交流電動機の制御装置(10)。
  2. 前記制御手段(151)は、
    前記3相電圧指令のうち前記センサ相の電圧指令と前記センサ相の電流検出値との比から変換係数を算出する変換係数算出手段(45)と、
    前記3相電圧指令のうち前記センサ相以外の他の2相の電圧指令に基づき、前記変換係数を用いて当該他の2相の電流推定値を算出する他相電流推定手段(46)と、
    をさらに有し、
    前記電流集中判定手段(47)は、
    前記センサ相の電流検出値、及び前記他の2相の電流推定値のうちいずれかの相電流値が所定の電流判定閾値を超えた期間が所定の判定期間継続したとき、電流集中が発生していると判定することを特徴とする請求項1に記載の交流電動機の制御装置。
  3. 前記制御手段(152)の前記電流集中判定手段(48)は、
    前記3相電圧指令のうちいずれかの相の電圧指令が所定の電圧判定閾値を超えた期間が所定の判定期間継続したとき、電流集中が発生していると判定することを特徴とする請求項1に記載の交流電動機の制御装置。
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