JP2014152794A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機 Download PDF

Info

Publication number
JP2014152794A
JP2014152794A JP2013020455A JP2013020455A JP2014152794A JP 2014152794 A JP2014152794 A JP 2014152794A JP 2013020455 A JP2013020455 A JP 2013020455A JP 2013020455 A JP2013020455 A JP 2013020455A JP 2014152794 A JP2014152794 A JP 2014152794A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
side disk
torque
continuously variable
variable transmission
input
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013020455A
Other languages
English (en)
Inventor
Takumi Shinojima
巧 篠島
Hiromasa Nakamura
博政 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
NSK Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd, NSK Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2013020455A priority Critical patent/JP2014152794A/ja
Publication of JP2014152794A publication Critical patent/JP2014152794A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】入力側、出力側両ディスク同士の間を通過するトルクが急変動した場合にも、トラクション部で有害な滑りであるグロススリップが発生するのを防止できる構造を実現する。
【解決手段】アクセル開度及びエンジンの回転数から算出したエンジンの出力予定トルクが、押圧装置の発生する押圧力に基づいて算出した、その時点での伝達可能なトルク(入力側ディスクに入力可能なトルク)よりも大きい場合、エンジンの出力トルクをこの伝達可能なトルク以下に規制する。
【選択図】図4

Description

この発明は、例えば車両(自動車)用の自動変速装置、建設機械(建機)や農業機械(農機)用の自動変速装置、航空機(固定翼機、回転翼機、飛行船等)等で使用されるジェネレータ(発電機)用の自動変速装置、ポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の自動変速装置として利用する、トロイダル型無段変速機の改良に関する。
自動車用自動変速機として使用されるトロイダル型無段変速機が、特許文献1〜6等の多くの刊行物に記載され、且つ、一部で実施されていて周知である。この様なトロイダル型無段変速機は、互いに対向する軸方向側面をトロイド曲面とした入力側ディスクと出力側ディスクとの間に、複数個のパワーローラを挟持して成る。運転時には、この入力側ディスクの回転が、これら各パワーローラを介して前記出力側ディスクに伝達される。これら各パワーローラは、それぞれトラニオン等の支持部材に回転自在に支持されており、これら各支持部材は、それぞれ前記両ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在に支持されている。これら両ディスク同士の間の変速比を変える場合は、油圧式のアクチュエータにより前記各支持部材を前記枢軸の軸方向に変位させる。この様なアクチュエータへの圧油の給排は、制御弁により制御すると共に、前記各支持部材の動きをこの制御弁にフィードバックする様に構成している。
前記アクチュエータへの圧油の給排に基づき、前記各支持部材を前記枢軸の軸方向に変位させると、前記各パワーローラの周面と前記入力側、出力側各ディスクの側面との転がり接触部(トラクション部)に作用する、接線方向の力の向きが変化(転がり接触部にサイドスリップが発生)する。そして、この力の向きの変化に伴って前記各支持部材が前記枢軸を中心に揺動(傾斜)し、前記各パワーローラの周面と前記入力側、出力側各ディスクの側面との接触位置が変化する。これら各パワーローラの周面を、この入力側ディスクの側面の径方向外寄り部分と、前記出力側ディスクの側面の径方向内寄り部分とに転がり接触させれば、前記両ディスク同士の間の変速比が増速側になる。これに対して、前記各パワーローラの周面を、前記入力側ディスクの側面の径方向内寄り部分と、前記出力側ディスクの側面の径方向外寄り部分とに転がり接触させれば、前記両ディスク同士の間の変速比が減速側になる。
又、上述の様なトロイダル型無段変速機を実際の自動車用自動変速機に組み込む場合、遊星歯車機構等の歯車式の差動ユニットと組み合わせて無段変速装置を構成する事が、従来から提案されている。図7〜8は、特許文献3に記載された無段変速装置のブロック図(図7)及び油圧に関する制御回路(図8)を示している。先ず、図7のブロック図により、本発明の対象となるトロイダル型無段変速機を組み込んだ、無段変速装置に就いて説明する。この図7中、太矢印は動力の伝達経路を、実線は油圧回路を、破線は電気回路を、それぞれ示している。エンジン1の出力は、ダンパ2を介して、入力軸3に入力される。この入力軸3に伝達された動力は、トロイダル型無段変速機4を構成する押圧装置5から入力側ディスク6に伝達され、更に複数個のパワーローラ7を介して出力側ディスク8に伝達される。これら両ディスク6、8のうち、入力側ディスク6の回転速度は入力側回転センサ9により、出力側ディスク8の回転速度は出力側回転センサ10により、それぞれ測定して、制御器11に入力し、前記両ディスク6、8間の(トロイダル型無段変速機4の)変速比を算出する。前記押圧装置5は、後述する図8に示す様に、油圧の送り込みに伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる油圧式のものとしている。
又、前記入力軸3に伝達された動力は、直接又は前記トロイダル型無段変速機4を介して、差動ユニットである遊星歯車装置12に伝達される。そして、この遊星歯車装置12の構成部材の差動成分が、クラッチ装置13を介して出力軸14に取り出される。尚、このクラッチ装置13は、後述する図8に示す低速用クラッチ15及び高速用クラッチ16を表すものである。又、図示の例では、出力軸回転センサ17により前記出力軸14の回転速度を検出して、前記入力側回転センサ9及び出力側回転センサ10の故障の有無を判定する為のフェールセーフを可能としている。
一方、前記ダンパ2部分から取り出した動力によりオイルポンプ18(図8の18a、18b)を駆動し、このオイルポンプ18から吐出した圧油を、前記押圧装置5と、前記パワーローラ7を支持した支持部材であるトラニオンを枢軸(図示省略)の軸方向に変位させるアクチュエータ19(図8参照)の変位量を制御する為の制御弁装置20とに、送り込み自在としている。尚、この制御弁装置20とは、後述する図8に示す制御弁21と、差圧シリンダ22と、補正用制御弁23a、23bと、高速用切換弁24及び低速用切換弁25とを合わせたものである。このうちの制御弁21は、前記アクチュエータ19への圧油の給排を制御するものである。又、このアクチュエータ19に設けた1対の油圧室26a、26b(図8参照)内の油圧を油圧センサ27(実際には図8に示す様に1対の油圧センサ27a、27b)により検出して、その検出信号を、前記制御器11に入力している。
前記制御器11は、前記油圧センサ27からの信号(前記両油圧室26a、26b内の油圧の差)に基づいて、前記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク、トロイダル型無段変速機の技術分野で周知の、所謂2Ft)を算出する。そして、この様に算出される通過トルクに応じて前記トロイダル型無段変速機4の変速比を補正すべく、前記制御弁21の構成部材であるスリーブ28(図8参照)を、前記差圧シリンダ22により変位させる。この様な差圧シリンダ22への圧油の給排は、前記補正用制御弁23a、23bにより制御される。又、前記制御弁装置20は、駆動部材であるステッピングモータ29と、後述する押圧力調整弁41を切り換える為のライン圧制御用電磁開閉弁30と、前記補正用制御弁23a、23bを切り換える為の電磁弁31と、前記高速用切換弁24及び低速用切換弁25を切り換える為のシフト用電磁弁32とにより、その作動状態を切り換えられる。そして、これらステッピングモータ29と、ライン圧制御用電磁開閉弁30と、電磁弁31と、シフト用電磁弁32とは、何れも前記制御器11からの制御信号に基づいて切り換えられる。
又、前記制御器11には、前記各回転センサ9、10、17及び前記油圧センサ27からの信号の他、油温センサ33の検出信号と、ポジションスイッチ34の位置信号と、アクセルセンサ35の検出信号と、ブレーキスイッチ36の信号とを入力している。このうちの油温センサ33は、無段変速装置を納めたケーシング内の潤滑油(トラクションオイル)の温度を検出するものである。又、前記ポジションスイッチ34は、後述する図8に記載した手動油圧切換弁37を切り換える為の、運転席に設けられたシフトレバー(操作レバー)の操作位置(選択位置)を表す信号を発するものである。又、前記アクセルセンサ35は、アクセルペダルの開度を検出する為のものである。更に、前記ブレーキスイッチ36は、ブレーキペダルが踏まれた事、或いはパーキングブレーキが操作された事を検出して、その事を表す信号を発するものである。
又、前記制御器11は、前記各スイッチ34、36及び各センサ9、10、17、27、33、35からの信号に基づいて、前記ステッピングモータ29と、ライン圧制御用電磁開閉弁30と、電磁弁31と、シフト用電磁弁32とに前記制御信号を送る他、前記エンジン1を制御する為のエンジンコントローラ38に制御信号を送る。そして、前記入力軸3と前記出力軸14との間の速度比を変えたり、或いは停止時若しくは極低速走行時に前記トロイダル型無段変速機4を通過して前記出力軸14に加えられるトルク(通過トルク)を制御する。
図8は、上述の様な無段変速装置を制御する油圧回路を示している。この油圧回路では、油溜39から吸引されてオイルポンプ18a、18bにより吐出された圧油を、低圧側調整弁40並びに押圧力調整弁41により所定圧に調整自在としている。このうちの押圧装置5側に送る油圧を調整するこの押圧力調整弁41は、リリーフ弁としての機能を備えたもので、第一〜第三のパイロット部42〜44を備える。このうちの第一、第二のパイロット部42、43は、前記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクの大きさに応じて、前記押圧力調整弁41の開弁圧を調節する為のものである。これに対して、第三のパイロット部44は、前記トロイダル型無段変速機4の変速比、このトロイダル型無段変速機4の内部に存在する潤滑油(トラクションオイル)の温度、駆動源であるエンジン1の回転速度等、前記伝達トルク以外の運転条件に応じて前記押圧力調整弁41の開弁圧を調節する為のものである。図示の例の場合、前記第一〜第三のパイロット部42〜44に導入する油圧を適切に調節する事で、前記押圧装置5が発生する押圧力を、前記トロイダル型無段変速機4の運転状況に応じ、適正に規制する様に構成している。
この為に、図示の例の場合は、前記第一、第二のパイロット部42、43のうちの何れかのパイロット部に導入する油圧が高くなる程、前記押圧力調整弁41の開弁圧が高くなり、前記押圧装置5を構成する油圧室45内に導入する油圧を高くする様に構成している。又、これと共に、パワーローラ7を支持する支持部材(トラニオン)を枢軸の軸方向に変位させる為のアクチュエータ19にピストン46を挟んで設けた1対の油圧室26a、26b同士の間の差圧を、差圧取り出し弁47を介して、何れかのパイロット部42、43に導入する様にしている。この差圧取り出し弁47は、前記アクチュエータ19の油圧室26a、26b内の油圧の差、即ち、トロイダル型無段変速機4を通過する力が大きくなる程、前記押圧力調整弁41の何れかのパイロット部42、43に導入される油圧が高くなる様に切り換えられる。従って、前記押圧装置5の油圧室45内に導入される油圧、延いてはこの押圧装置5が発生する押圧力は、前記トロイダル型無段変速機4を通過する力が大きくなる程大きくなる。
又、図示の例の場合、前記制御器11からの指令により制御されるライン圧制御用電磁開閉弁30の切り換えに基づき、前記第三のパイロット部44に圧油を導入自在としている。即ち、前記制御器11は、前記トロイダル型無段変速機4の変速比、内部に存在する潤滑油の温度、駆動源であるエンジン1の回転速度等を勘案して、前記押圧装置5に発生させるべき押圧力の最適値に応じた油圧の必要値を算出する。そして、この必要値と前記目標値との差である補正値に対応する油圧を、前記ライン圧制御用電磁開閉弁30の切り換えに基づき、前記第三のパイロット部44に導入する。この様にしてこの第三のパイロット部44に導入された油圧は、前記押圧力調整弁41のスプール48を、図8の左方に押し、前記押圧装置5に導入される油圧を低下させる(減圧する)。
この結果、前記押圧装置5に導入される油圧が、前記差圧取り出し弁47が設定した目標値から、前記第三のパイロット部44に導入された油圧に基づく補正値を減じた値に比例する必要値に補正(減圧)される。尚、前記第三のパイロット部44に導入する油圧は、前記変速比が所定値(最も大きな油圧を必要とする値で、例えば1.32)からのずれが大きくなる程、前記油温が低い程、それぞれ高くする。以上に述べた様に、特許文献3に記載された構造を含めて、各トラクション部の面圧を確保する為の押圧装置として油圧式のものを使用するトロイダル型無断変速機4の場合には、この押圧装置が発生すべき押圧力を、このトロイダル型無段変速機4の通過トルクや変速比、油温等から求め、この押圧力に見合う油圧を前記押圧装置5の油圧室45内に導入する様にしている。
この油圧室45内に導入する油圧が、常に前記通過トルクに見合う値以上であり、前記各トラクション部の面圧が必要値以上であれば、これら各トラクション部で有害な(不可避的に生じる、スピン滑りを含む、動力伝達の為に必要な微小な滑り以外の)滑りが発生する事はない。この有害な滑りの発生を防止する為には、前記油圧室45内に導入する油圧に関する安全率を高く(「実際に導入する油圧」−「必要油圧」を大きく)する事が考えられる。但し、前記安全率を高くし過ぎて、前記各トラクション部の面圧が過大になると、これら各トラクション部で発生する、スピンロスを初めとする伝達ロスが大きくなり、前記トロイダル型無段変速機の伝達効率が低下する。この為、前記安全率を余り大きくする事は好ましくない。
但し、前記安全率を低く抑える(「1」を超える値であるが「1」に近い値にする)と、前記トロイダル型無段変速機4の通過トルクが急変動した場合に、前記油圧室45内に導入する油圧の調整が間に合わず、前記押圧装置5が発生する押圧力が不足する可能性がある。遊星歯車装置12と組み合わせて無段変速装置を構成するトロイダル型無段変速機4の場合、クラッチ装置13の切り換え時(低速モードと高速モードとの変換時)に、このトロイダル型無段変速機4の通過トルクが急変する為、前記クラッチ装置13の切り換えの前後に、前記油圧室45内に導入する油圧を一時的に高める事が、従来から提案されている。
又、マニュアル式に変速比を段階的に変化させる機能を備えた無段変速装置で、この変速比を変化させる前後に必要となる押圧力を確保する事も、特許文献6に記載される等により、従来から提案されている。更に、ベルト式の無段変速機を主眼としたものであるが、特許文献7、8にも、変速比変更時に押圧力を高める発明が記載されている。但し、クラッチ装置13の切り換え時や変速比の変更時以外の場合でも、アクセルペダルやブレーキペダルの操作を急激に行った場合に、前記押圧装置5の押圧力が一時的に不足する可能性がある事が、本発明者の研究により分かった。この理由に就いて、以下に説明する。前記制御器11が前記押圧装置5の油圧室45内に導入する油圧を調整しようとした場合でも、次の(1)〜(3)の様な理由により、実際にこの油圧室45内の油圧が上昇し、前記押圧装置5が発生する押圧力が上昇するまでに時間を要する(応答遅れを生じる)可能性がある。
(1) 前記トロイダル型無段変速機4の通過トルクの算出遅れ
この通過トルクは、前述した様に、前記アクチュエータ19に設けた1対の油圧室26a、26b同士の間に存在する差圧に基づいて求める。但し、前記エンジン1の出力トルクが変動(増減)してから、この変動が前記トロイダル型無段変速機4に伝達されて前記両油圧室26a、26b同士の間に差圧が発生し、この差圧を前記両油圧センサ27a、27bの検出信号に基づいて前記制御器11が前記トロイダル型無段変速機4の通過トルクを算出するまでには遅れが生じる。
(2) 前記トロイダル型無段変速機4の変速比の算出遅れ
このトロイダル型無段変速機4の変速比は、前記入力側回転センサ9が検出する前記入力側ディスク6の回転速度と、前記出力側回転センサ10が検出する前記出力側ディスク8の回転速度との比として算出する。但し、これら両回転センサ9、10が検出するこれら両ディスク6、8の回転速度を、必要な精度で検出する為には、これら両ディスク6、8を所定角度以上回転させる必要がある。この為、これら両ディスク6、8の回転速度を検出し、更に前記トロイダル型無断変速機4の変速比を算出するまでに遅れが生じる。
(3) 前記押圧装置5が目標とする押圧力を発生させるまでの油圧応答遅れ
前記制御器11等が前記押圧装置5に発生させるべき押圧力を算出し、この押圧力を得るべき油圧を算出して、前記押圧力調整弁41の開弁圧を調整しようとしても、図8に示した油圧回路中に存在する抵抗により、この開弁圧が所望値になるまでに応答遅れが生じる。更に、前記押圧力調整弁41の開弁圧が所望値に調整されてから、実際に前記押圧装置5の油圧室45内に所定の油圧が導入されるまでの間にも、応答遅れが発生する。
上述した(1)〜(3)の様な理由による応答遅れは、前記トロイダル型無段変速機4を搭載した自動車が定速走行している場合や、加減速する場合でもこの加減速の程度が緩徐であり、前記トロイダル型無段変速機4の通過トルクの変動が緩徐に行われる場合には、特に問題とはならない。即ち、前記油圧室45内に導入する油圧に関しては、前述した様な安全率を設定している為、前記通過トルクの変動が緩徐であり、その結果、「実際に導入する油圧」−「必要油圧」の値が前記安全率で補償できる範囲内(正の値)であれば、前記各トラクション部で過大な滑りが発生する事はない。
これに対して、運転者がアクセルペダルを勢い良く(急激に)踏み込んだ場合の如く、前記トロイダル型無段変速機4の通過トルクが急上昇する様な状況で前記応答遅れが生じると、このトロイダル型無段変速機4の通過トルクに対して、前記押圧装置5が発生する押圧力が不足する(「実際に導入する油圧」−「必要油圧」の値が負の値になる)状況が発生する。この様な状況では、前記各トラクション部で有害な滑りが発生し、前記トロイダル型無段変速機4の伝達効率が著しく低下したり、最悪の場合には、動力伝達を殆ど行わずにトラクション部が滑る、所謂グロススリップが発生して、前記トロイダル型無段変速機4の耐久性を低下させる原因となる。
尚、この様な有害な滑りを生じる原因となる、前記通過トルクの急激な変動は、前記アクセルペダルを勢い良く踏み込んだ場合に限らず、このアクセルペダルを大きく踏み込んだ状態から急激に開放した場合や、ブレーキペダルを急激に操作した場合にも生じる。先ず、前記アクセルペダルを踏み込んで定速走行を行っている状態から急激に開放した場合には、前記トロイダル型無段変速機4を搭載した自動車に大きなエンジンブレーキが作用する状態となる。この状態では、前記出力側ディスク8から前記入力側ディスク6に向けて、大きなトルクが通過する状態となり、前記押圧装置5による押圧力が不足する可能性を生じる。前記ブレーキペダルを急激に操作した場合も、エンジンブレーキの作用状況が急変動して、同様の状況が発生する可能性がある。
一方、特許文献5には、アクセル開度とエンジンの回転速度とからこのエンジンの出力トルクを推定して、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間に、押圧装置に導入する油圧を、この出力トルクを伝達する為に必要な押圧力を得られる値に制御する発明が記載されている。前記押圧装置に導入する油圧の値は、前記アクセル開度と前記エンジンの回転速度とから求められる、前記エンジンの出力トルクを伝達可能な値(に安全率を乗じた値)を上限としている。従って、上述の様な特許文献5に記載された発明は、前述の(1)(2)の原因に基づく応答遅れには対応できても、前述の(3)の原因に基づく応答遅れには対応できない。即ち、必要値を上限として油圧導入を図る為、前記(3)の様な応答遅れにより、瞬間的とは言え、押圧力不足に基づく有害な滑りを発生する可能性がある。
又、特許文献2には、エンジンの出力トルクが小さい状態での走行中は、前記「実際に導入する油圧」−「必要油圧」で表される余裕代を大きくしておく発明が記載されている。この様な特許文献2に記載された発明によれば、前記エンジンの出力トルクが小さい状態、即ち、アクセルペダルの急激な踏み込みに伴ってこの出力トルクが大きく急上昇する余地がある状態では前記余裕代が大きい状態となっている。この為、アクセルを急激に踏み込んでエンジンの出力トルクが急上昇しても、前記押圧装置の押圧力が不足する状態になり難く、前記各トラクション部で、有害な滑りが発生し難くできる。但し、前記特許文献2に記載された発明の場合には、前記エンジンの出力トルクが小さい状態での走行中は、常に過押付け状態の傾向になるので、伝達効率の確保の面からは不利である。
又、特許文献9には、動力の急変動時は、押圧装置に導入すべき油圧の目標値を、アクセル開度とエンジン回転速度とに基づいて設定し、この目標値に油圧を調節する発明が記載されている。即ち、動力の急変動時の油圧の調節を、実通過トルク(差圧)に変化が現れてから行うフィードバック制御ではなく、この変化が現れる前に行なうフィードフォワード制御により行う。この様な特許文献9に記載された発明の場合、動力の急変動時に、トラクション部(転がり接触部)の押し付け力が不足する事を防止できるが、押圧装置の発生する押圧力の制御が面倒になる。
特開2004−169719号公報 特開2005−221018号公報 特開2006−250255号公報 特開2007−46661号公報 特開2009−121530号公報 特開2010−190362号公報 特公平5−31025号公報 特開2005−69345号公報 特開2012−225512号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、例えば自動車のアクセルペダルやブレーキペダルの如く、運転者が操作する部材のうちでトロイダル型無段変速機の通過トルクの大きさに影響する被操作部材が急激に操作された場合にも、このトロイダル型無段変速機のトラクション部で有害な滑りが発生するのを防止できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のトロイダル型無段変速機は、入力側ディスクと、出力側ディスクと、複数個のパワーローラと、複数個の支持部材と、油圧式のアクチュエータと、変速比制御ユニットと、押圧装置とを備える。
このうちの入力側ディスクは、入力軸により回転駆動される。
又、前記出力側ディスクは、前記入力側ディスクと同心に、且つ、この入力側ディスクに対する相対回転を自在として支持されている。
又、前記各パワーローラは、前記入力側、出力側両ディスク同士の間に挟持されて、これら両ディスク同士の間で動力を伝達する。
又、前記各支持部材は、前記各パワーローラを回転自在に支持している。
又、前記アクチュエータは、前記各支持部材を、それぞれの端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間の変速比を変える。
又、前記変速比制御ユニットは、この変速比を所望値にする為に、前記アクチュエータの変位方向及び変位量を制御する。
又、前記押圧装置は、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとを互いに近付く方向に押圧するもので、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる油圧式のものである。
そして、前記押圧装置に導入する油圧を調整する為の油圧調整手段は、この押圧装置に導入する油圧を、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間で伝達する力の大きさ及び前記変速比に応じて調節する。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、前記入力側ディスクに入力するトルクの大きさを、その時点での前記押圧装置が発生する押圧力に於いて、前記両ディスクの側面と前記各パワーローラの周面との転がり接触部に過大な滑りを発生させる事なく、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間で伝達可能な範囲内に規制する機能を有する。
上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、例えば自動車のアクセルペダルやブレーキペダルの如く、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間で伝達するトルクの大きさに影響する被操作部材の操作量、及び、前記入力軸を回転駆動する駆動源の回転速度から求められる、その時点でのこの駆動源の出力予定トルクが、前記伝達可能な範囲の上限値よりも大きい場合に、前記入力軸を回転駆動する駆動源の出力トルクを、この伝達可能な範囲の上限値以下に規制する。
この様な請求項2に記載した発明を実施する場合、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記被操作部材を、運転者により操作され、前記変速比を、その操作に基づいて予め設定した値に調節できる手動変速機能を実現する変速比切換スイッチとする。そして、この変速比切換スイッチが操作された場合であって、前記駆動源の出力予定トルクが、その時点での前記伝達可能な範囲の上限値よりも大きい場合に、この駆動源の出力トルクを、この伝達可能な範囲の上限値以下に規制する。
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機によれば、例えば自動車のアクセルペダルやブレーキペダル、或いは変速比切換スイッチ(パドルシフトレバー)の如き被操作部材が急激に操作され、その結果、トロイダル型無段変速機の通過トルクが急変動する傾向となった場合でも、このトロイダル型無段変速機のトラクション部で有害な滑りが発生するのを防止できる。
本発明に係るトロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の1例を示すブロック図。 同じく油圧制御回路の1例を示す図。 本発明の実施の形態の1例を示すフローチャート。 同じくエンジントルク制御の手順を取り出して示すフローチャート。 アクセル開度と、エンジンの回転数と、エンジンの出力トルクと、押圧装置の発生する押圧力との関係を示す線図。 トロイダル型無段変速機の押圧装置の油圧室内に導入すべき油圧と、このトロイダル型無段変速機の変速比との関係の1例を示す線図。 従来から知られている無段変速装置の1例を示すブロック図。 同じく油圧制御回路の1例を示す図。
図1〜5により、本発明の実施の形態の1例に就いて説明する。尚、図1は本発明に係るトロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の1例を、図2は同じく油圧制御回路を、それぞれ示しているが、この無段変速装置の構成に関しては、基本的には、前述の図7〜8に示した従来構造の場合と同様である。図1では、変速比を手動により変更する為のパドルシフトの信号を得る為のパドルシフトセンサ49と、パーキングブレーキが操作されているか否かの信号を得る為のパーキングブレーキセンサ50と、運転者によるブレーキペダルの操作状況を得る為のブレーキセンサ51と、車体に加わる加速度を求める為の加速度センサ52と、クラッチ装置13の切り換えに基づく、高速、低速モードの切り換え状態を判定する為のモード検出手段53との信号を制御器11に入力し、この制御器11と演算器54とを繋いでいるが、これらの点に関しては、本発明の本質とは関係しない。尚、前記ブレーキセンサ51はアクセルセンサ35と同様に、回転角ストロークセンサでも良いし、ブレーキ配管経路に取り付けられた圧力センサ等でも良い。
又、図2に示した油圧回路は、差圧シリンダ22や差圧取り出し弁47(図8参照)を省略する等、前述の従来構造に比べて簡略化しているが、これらの点に関しても、本発明の本質とは関係しない。即ち、本発明は、前述の図7〜8に示した構造でも実施できる。
次に、本発明の特徴である、エンジントルク制御に就いて、図3〜4を参照しつつ説明する。尚、図3に示した制御の為の判定は、イグニッションスイッチをONしてからOFFするまでの間、繰り返し行う。
先ず、ステップ1で、セレクトレバーが走行レンジ(D、Lレンジ又はRレンジ)であるか否かを判定する。このステップ1で、セレクトレバーが非走行レンジ(P、N)であると判定された場合には、ステップ2に進み、必要最低限の押圧力(PLOAD_NP)を目標値(TRGT_PLOAD)として、押圧力制御を実施した後、終了する(開始に戻る)。即ち、セレクトレバーが非走行レンジである場合、クラッチ装置13(低速用クラッチ15及び高速用クラッチ16)は切断され、入力側ディスク6と出力側ディスク8との間で動力伝達が行われない無負荷状態となる。この様な無負荷状態から前記クラッチ装置13(前記低速用クラッチ装置15)を接続した瞬間に於いても、前記トロイダル型無段変速機4の転がり接触部(トラクション部)で過大な滑りを生じる事なく、動力伝達を開始できる様に、これら各トラクション部の面圧を最低限確保する為、押圧装置5の油圧室45内に導入する油圧を制御する。
一方、前記ステップ1で、セレクトレバーが走行レンジ(D、Lレンジ又はRレンジ)であると判定された場合は、ステップ3に進み、その時点での前記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクを伝達可能な押圧力(必要ローディング圧、CAL_PLOAD)を算出する。この必要ローディング圧は、例えばこの必要ローディング圧と、前記入力側ディスク6への入力トルク及び前記トロイダル型無段変速機4の変速比との相関関係として、予め実験や計算により求めておき、制御器11のメモリに、マップや計算式として記憶させておく。前記入力側ディスク6への入力トルクは、前記アクセルセンサ35から入力されるアクセル開度及びエンジンの回転数等から算出したり、アクチュエータ19を構成する1対の油圧室26a、26b同士の間の油圧の差(差圧)から求める事もできる。又、前記必要ローディング圧を計算式により求める場合、具体的には、次の様にして求める。即ち、前記押圧装置5の発生する押圧力(ローディング圧)Pは、次の(1)式の様にして求められる。
Figure 2014152794
尚、この(1)式中、Fは前記押圧装置5による軸力を、FCFは遠心油圧による軸力を、FCANは遠心油圧に対するキャンセル機構による軸力を、Sは前記両油圧室26a、26bを仕切るピストン46の有効面積を、それぞれ表わしている。このうちの押圧装置5による軸力Fは、次の(2)式の様に表わされる。
Figure 2014152794
この(2)式中、μはトラクション係数(油温の変化に伴い変動する値)を、φは前記各パワーローラ7の傾転角(前記トロイダル型無段変速機4の変速比に対応する角度)を、Tinは前記入力側ディスク6への入力トルクを、Rは前記各ディスク6、8の半径を、それぞれ表わしている。又、Kは、前記トロイダル型無段変速機4のキャビティ径をDとすると、次の(3)式の様に表わされる。
Figure 2014152794
そして、ステップ4で、前記ステップ3で求めた必要ローディング圧を目標値とし、押圧力制御を実施した後、ステップ5に進み、このステップ5で、車両が走行中であるか否か(車速が0.5km/h以上であるか否か)を判定する。車両が非走行中である(車速が0.5km/hよりも遅い)と判定された場合は、処理を終了する(開始に戻る)。前記ステップ5で、車両が走行中である(車速が0.5km/h以上である)と判定された場合、ステップ6(ステップ6−1〜6−5)に移り、駆動源であるエンジン1の出力トルク制御を実施する。
先ず、ステップ6−1で、その時点での前記押圧装置5が発生している押圧力(実ローディング圧、REAL_PLOAD)を検出する。この実ローディング圧は、前記押圧装置5の油圧室45への配管経路に設置した油圧センサ、或いはアクチュエータ19を構成する1対の油圧室26a、26bの油圧の和(PH圧+PL圧)等に基づいて求める事ができる。次いで、ステップ6−2に進み、前記ステップ6−1で検出した実ローディング圧に於いて、前記各トラクション部で過大な滑りを生じる事なく、前記入力側、出力側両ディスク6、8同士の間で伝達可能なトルク(この入力側ディスク6に入力可能なトルク)の上限値(ADM_TRQ)を算出する。
即ち、前記ステップ6−1では、上述した(1)〜(3)式の関係から、その時点での実ローディング圧に基づいて、同じく前記伝達可能なトルクの上限値を算出する。次に、ステップ6−3で、この伝達可能なトルクの上限値(を安全率で除した値)が、駆動源であるエンジン1の出力予定トルク(CTRL_TRQ)よりも小さいか否かを判定する。このエンジン1の出力予定トルクは、前記アクセルセンサ35から入力されるアクセル開度或いはブレーキセンサ51から入力されるブレーキペダルの操作状況等の被操作部材の操作量、及び、前記エンジン1の回転速度に基づいて決定される。前記伝達可能なトルクの上限値(を安全率で除した値)がこの出力予定トルク以上である(ADM_TRQ≧CTRL_TRQ)場合、ステップ6−4に進み、この出力予定トルクを目標値(TRGT_TRQ)として、前記エンジン1の出力トルクを制御する(この出力予定トルクで前記入力側ディスク6を回転駆動する)。一方、前記伝達可能なトルクの上限値がこの出力予定トルクよりも小さい(ADM_TRQ<CTRL_TRQ)場合、ステップ6−5に進み、前記伝達可能なトルクの上限値を目標値(TRGT_TRQ)として、前記エンジン1の出力トルクを制御する(この伝達可能なトルクの上限値で前記入力側ディスク6を回転駆動する)。
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機によれば、例えば自動車のアクセルペダルやブレーキペダルの如き被操作部材が急激に操作され、その結果、前記トロイダル型無断変速機4の通過トルクが急激に変化した場合でも、このトロイダル型無段変速機4の各トラクション部で有害な滑り(グロススリップ)が発生するのを防止できる。即ち、発進時に、アクセルペダルを急激に踏み込んだ場合、前記アクセルセンサ35から入力されるアクセル開度及び前記エンジン1の回転速度(回転数)に基づいて前記エンジンコントローラ38が算出する出力予定トルク(CTRL_TRQ)は、図5の上から3段目に実線aで示す様に変化する。この様な出力予定トルクの変化に合わせ、前記トロイダル型無段変速機4の各トラクション部でグロススリップが発生しない様にする為に必要な前記押圧装置5の押圧力(必要ローディング圧、CAL_PLOAD)は、図5の最下段に実線bで示す通りである。一方、実際に、この押圧装置5が発生する押圧力(実ローディング圧、REAL_PLOAD)は、油圧回路中に存在する抵抗等の影響により、同図の最下段に破線cで示す様になる。従って、何ら対策をしない場合には、前記押圧装置5の押圧力、延いては、前記トロイダル型無段変速機4の各トラクション部の面圧が不足して、これら各トラクション部でグロススリップが発生する。これに対し、前記実ローディング圧から、前述の(1)〜(3)式の関係に基づいて算出される、前記入力側、出力側両ディスク6、8同士の間で伝達可能なトルク(ADM_TRQ)は、前記図5の上から3段目に破線dで示す通りである。本例の場合、前記エンジン1から前記入力側ディスク6に入力するトルクを、上述の様な伝達可能なトルクを超えない値に規制する為、前記押圧装置5の押圧力、延いては前記各トラクション部の面圧が不足する事を防止でき、これら各トラクション部でのグロススリップの発生を防止できる。本例の場合、これら各トラクション部でのグロススリップを防止する為のエンジントルク制御を、前記制御器11の制御プログラムを修正するだけで実現できる。即ち、動力伝達経路中に新たにクラッチを設けたりする必要がない為、前記トロイダル型無段変速機4の重量や製造コストを増大する事なく、グロススリップの発生を防止できる。又、本例の場合、前記トロイダル型無段変速機4のグロススリップの発生の防止を、前記エンジン1から前記入力側ディスク6への入力トルクを制御する事により図る。この為、前記押圧装置5の押圧力制御が複雑になる事はない(必要ローディング圧を目標値とする制御のみを実行すれば良い)。
上述の様な本発明のトロイダル型無段変速機を自動車用の自動変速機として利用する場合、このトロイダル型無段変速機を通過するトルクの急変動は、アクセルペダルやブレーキペダルを急激に操作した場合以外にも発生する。即ち、前記トロイダル型無段変速機の変速比を、手動による変速比切換スイッチの操作に基づいて、予め設定した値に調節できる機能を備えさせた場合、この変速比切換スイッチの操作時に、前記トロイダル型無段変速機の通過トルクが急変動する。即ち、トロイダル型無段変速機に変速比切換スイッチを設けて、このトロイダル型無段変速機の変速比を、予め設定した値に調節可能とする手動変速モード(所謂マニュアルモード)を設けた場合、この手動変速モード選択時に於ける変速比の調節は、通常の自動変速モード(所謂オートモード)の場合に比べて、極短時間で行われる。具体的には、前述の図1〜2に示した様に、トロイダル型無段変速機4と遊星歯車変速機12とを組み合わせて、入力軸3を一方向に回転させた状態のまま出力軸14を、停止状態を挟んで両方向に回転させられる、所謂無限大の変速比を有する無段変速装置の場合、低速用クラッチ15の接続を断って高速用クラッチ16を接続した高速モード状態で、手動による変速比切換スイッチ(パドルシフト)の操作に基づいて変速比を調節可能とする。そして、前記高速モード状態では、図6に示す様に、トロイダル型無段変速機(バリエータ)4の変速比を高速側にする程、必要とする押圧力が低くなる。従って、前記変速切換スイッチを操作して、前記トロイダル型無段変速機4の変速比を減速側に変更すると、通過トルクが急増し、トラクション部の滑りを誘発し易くなる。特に、アクセルペダルを踏み込みながら前記変速比切換スイッチを操作して、前記トロイダル型無段変速機4の変速比を減速側に変更すると、前記通過トルクが急増する為、前記トラクション部の滑りを誘発し易い程度が著しくなる。本発明は、この様な状況でも、このトラクション部で有害な滑りが発生する事を抑えられる。
又、本発明の対象となるトロイダル型無段変速機は、ハーフトロイダル型に限らず、フルトロイダル型も含まれる。ハーフトロイダル型の場合には、各支持部材であるトラニオンの両端部にそれぞれ枢軸を、互いに同心に設けるが、フルトロイダル型の場合には、各支持部材の片端部にのみ枢軸を設ける場合もある。又、各支持部材を枢軸の軸方向に変位させる為のアクチュエータは、一般的にはこれら各支持部材毎に設けるが、各支持部材をリンク機構や歯車伝達機構等の、機械式の同期機構により組み合わせる代わりに、何れかの支持部材にのみアクチュエータを組み付ける事もできる。
1 エンジン
2 ダンパ
3 入力軸
4 トロイダル型無段変速機
5 押圧装置
6 入力側ディスク
7 パワーローラ
8 出力側ディスク
9 入力側回転センサ
10 出力側回転センサ
11 制御器
12 遊星歯車装置
13 クラッチ装置
14 出力軸
15 低速用クラッチ
16 高速用クラッチ
17 出力軸回転センサ
18、18a、18b オイルポンプ
19 アクチュエータ
20 制御弁装置
21 制御弁
22 差圧シリンダ
23a、23b 補正用制御弁
24 高速用切換弁
25 低速用切換弁
26a、26b 油圧室
27、27a、27b 油圧センサ
28 スリーブ
29 ステッピングモータ
30 ライン圧制御用電磁開閉弁
31 電磁弁
32 シフト用電磁弁
33 油温センサ
34 ポジションスイッチ
35 アクセルセンサ
36 ブレーキスイッチ
37 手動油圧切換弁
38 エンジンコントローラ
39 油溜
40 低圧側調整弁
41 押圧力調整弁
42 第一のパイロット部
43 第二のパイロット部
44 第三のパイロット部
45 油圧室
46 ピストン
47 差圧取り出し弁
48 スプール
49 パドルシフトセンサ
50 パーキングブレーキセンサ
51 ブレーキセンサ
52 加速度センサ
53 モード検出手段
54 演算器

Claims (3)

  1. 入力軸により回転駆動される入力側ディスクと、
    この入力側ディスクと同心に、且つ、この入力側ディスクに対する相対回転を自在として支持された出力側ディスクと、
    これら入力側、出力側両ディスク同士の間に挟持された複数個のパワーローラと、
    これら各パワーローラを回転自在に支持した複数個の支持部材と、
    これら各支持部材を変位させて、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間の変速比を変える油圧式のアクチュエータと、
    この変速比を所望値にする為にこのアクチュエータの変位方向及び変位量を制御する為の変速比制御ユニットと、
    前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとを互いに近付く方向に押圧する押圧装置とを備え、
    前記押圧装置は、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる油圧式のものであり、この押圧装置に導入する油圧を調整する為の油圧調整手段は、この押圧装置に導入する油圧を、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間で伝達する力の大きさに応じて調節するものであるトロイダル型無段変速機に於いて、
    前記入力軸を介し前記入力側ディスクに入力するトルクの大きさを、その時点での前記押圧装置の発生する押圧力に於ける、前記両ディスクの側面と前記各パワーローラの周面との転がり接触部に過大な滑りを発生させる事なく、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間で伝達可能な範囲内に規制する機能を有するものである事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間で伝達するトルクの大きさに影響する被操作部材の操作量、及び、前記入力軸を回転駆動する駆動源の回転速度から求められる、この駆動源の出力予定トルクが、その時点での前記伝達可能な範囲の上限値よりも大きい場合に、この駆動源の出力トルクを、この伝達可能な範囲の上限値以下に規制する、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
  3. 前記被操作部材が、運転者により操作され、前記変速比を、その操作に基づいて予め設定した値に調節できる手動変速機能を実現する変速比切換スイッチであり、この変速比切換スイッチが操作された場合であって、前記駆動源の出力予定トルクが、その時点での前記伝達可能な範囲の上限値よりも大きい場合に、この駆動源の出力トルクを、この伝達可能な範囲の上限値以下に規制する、請求項2に記載したトロイダル型無段変速装置。
JP2013020455A 2013-02-05 2013-02-05 トロイダル型無段変速機 Pending JP2014152794A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013020455A JP2014152794A (ja) 2013-02-05 2013-02-05 トロイダル型無段変速機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013020455A JP2014152794A (ja) 2013-02-05 2013-02-05 トロイダル型無段変速機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014152794A true JP2014152794A (ja) 2014-08-25

Family

ID=51574869

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013020455A Pending JP2014152794A (ja) 2013-02-05 2013-02-05 トロイダル型無段変速機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014152794A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007046661A (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP4710360B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP4548024B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP5176496B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4941350B2 (ja) 無段変速装置
JP4924449B2 (ja) 無段変速装置
JP2014152794A (ja) トロイダル型無段変速機
JP6149694B2 (ja) 無段変速装置
JP5682359B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP5447609B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP4534726B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP5310596B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4735343B2 (ja) 車両用無段変速装置の変速制御装置
JP6384249B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2014139447A (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP5732847B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP2014152818A (ja) 無段変速装置
JP6627259B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4379065B2 (ja) 無段変速装置
JP4590984B2 (ja) 燃料供給装置
JP4941328B2 (ja) 無段変速装置
JP2016114197A (ja) 無段変速装置
JP4534596B2 (ja) 無段変速装置
JP5263037B2 (ja) 無段変速装置
JP6492627B2 (ja) 無段変速装置