JP5310596B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Description
具体的には、急制動時に於ける挙動を安定させて、運転者に違和感を与えずに車両を減速乃至停止させられる構造の実現を意図したものである。
尚、本発明の対象となるトロイダル型無段変速機には、単体で自動変速装置を構成するものは勿論、遊星歯車機構等の歯車式差動機構と組み合わせて構成された、複合型の無段変速装置に、バリエータとして組み込まれたものも含む。
このうちの第一、第二のディスクは、互いに同心に、且つ相対回転可能に配置されている。これら第一、第二のディスクの互いに対向する側面は、それぞれがトロイド曲面である。
又、前記各パワーローラは、前記第一、第二のディスクの内側面同士の間に挟持されて、これら第一、第二のディスク同士の間で動力を伝達する。
又、前記各支持部材は、前記各パワーローラを回転自在に支持する。
又、前記アクチュエータは、油圧式のもので、前記各支持部材を、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、前記第一のディスクと前記第二のディスクとの間の変速比を変える。この様な油圧式のアクチュエータは、前記各支持部材毎に1個ずつ設けても良いが、例えば特許文献5、6に記載された構造等により、隣り合う支持部材同士をリンク機構、歯車伝達機構等により同期した変位を可能に連結する代わりに、前記アクチュエータの数を前記支持部材の数よりも少なくする事もできる。
又、前記押圧装置は、前記第一、第二のディスクの軸方向側面と前記各パワーローラの周面との転がり接触部(トラクション部)の面圧を確保すべく、前記第一のディスクと前記第二のディスクとを互いに近付く方向に押圧するものである。この様な押圧装置は、予圧ばねと、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる油圧式の押圧力発生部とから成る。
そして、この押圧力発生部に導入する油圧を調整する為の油圧調整手段は、この押圧力発生部の油圧室に導入する油圧を、少なくとも、その時点での前記第一のディスクと前記第二のディスクとの間で伝達する力の大きさに応じて設定される、前記押圧装置に発生させるべき押圧力に対応する目標値に調整する。
そして、前記油圧調整手段は、この判定手段が、このサービスブレーキの作動状況が急制動状態であると判定した場合に、前記油圧室内の油圧の調整を停止する機能を有する。尚、この油圧調整機能を停止した後は、この油圧室内の油圧をそのままの値に固定するか、或は、この油圧室内の油圧を徐々に低下させて、前記押圧力が発生する押圧力を、前記与圧ばねの弾力に基づく押圧力のみとする。
要するに、前記判定手段が、車両が急制動状態であると判定した場合、前記押圧力を発生させる為のローディング圧の制御を停止(そのままの値に固定するか、ゼロ、若しくは、極く低圧の最小ローディング圧にまで減圧)する。そして、この状態で、前記第一、第二のディスクの軸方向側面と前記各パワーローラの周面とを当接させる為の押圧力の大きさを、固定するか、或は、前記与圧ばねの弾力に基づくだけの値にする。
(1) ABSの作動状態をモニタし(ABSランプ点灯を検出したり、ABS制御器と通信制御をし)、ABSが作動した場合に、車両が急制動状態にあると判定する。
(2) ブレーキペダルの踏み込みに基づく圧力の大小により判定する。この場合の圧力判定に利用する為の信号としては、例えば、ブレーキペダルの一部(例えば踏面)に設置した圧力センサの測定信号や、サービスブレーキ用のマスタシリンダから吐出されるブレーキオイルの圧力を測定する油圧センサの測定信号が利用可能である。何れにしても、圧力Pが閾値Aを超えた(P>A)場合に、車両が急制動状態にあると判定する。
(3) ブレーキペダルの踏み込み圧の増加速度の大小により判定する。この場合の速度判定に利用する為の信号としても、前記(2) で用いた圧力センサの測定信号の変動速度や、油圧センサの測定信号の変動速度が利用可能である。何れにしても、変動速度Vが閾値Bを超えた(V>B)場合に、車両が急制動状態にあると判定する。
(4) ブレーキペダルを強く踏んだ時のみ閉じられる(ONされる)パニックブレーキスイッチを設け、このパニックブレーキスイッチがONの場合に、車両が急制動状態にあると判定する。
(5) ブレーキペダルの踏み込み圧に関して、断接状態が異なる圧で切り替わる複数の圧力スイッチを設け、これら各スイッチの断接状態が切り替わる時間差△Tにより判定する。具体的には、この時間差△Tが閾値Cよりも短い(△T<C)場合に、車両が急制動状態にあると判定する。
(6) 車両の減速度を判定する。即ち、ABS等を制御する為に車体に設けた加速度センサの信号に基づき、この車体の減速度Gが閾値Dよりも大きい(G>D)場合に、車両が急制動状態にあると判定する。
尚、特許文献7に記載された発明の様に、油圧ピストンを使って差圧(トロイダル型無段変速機を通過するトルク)に応じたローディング圧を発生させ、変速比や油温に応じて減圧補正制御が可能な機構、及び電子制御装置が搭載されている場合等は、本発明の制御が行われている間は、減圧補正制御を停止しても良い。
先ず、図3に示したステップ1で、前記ポジションスイッチ47からの信号により、セレクトレバー(シフトレバー)による、前記手動油圧切換弁36aの選択位置を判定する。このステップ1で、この選択位置が非走行レンジ(N又はP)であった場合には、前記油圧調整の為の制御は行わない(Duty=0%出力)。又、以下に述べる制御の途中で、前記セレクトレバーが操作されて、前記選択位置がN又はPとなった場合も、前記油圧調整の為の制御は(本発明の制御も、特許文献4に記載されている様な通常の制御の何れも)中止する。
2 回転軸
3a、3b、3A 入力ディスク
4、4a、4A 出力ディスク
5 パワーローラ
6 トラニオン
7 駆動軸
8、8a 押圧装置
9 出力歯車
10 予圧ばね
11、11a、11b 遊星歯車機構
12 低速用クラッチ
13 高速用クラッチ
14 出力軸
15 エンジン
16 ダンパ
17 クラッチ装置
18 アクチュエータ
19、19a 変速比制御ユニット
20 制御器
21 ステッピングモータ
22 ライン圧制御用電磁開閉弁
23 変速比補正用電磁弁
24 シフト用電磁弁
25 制御弁装置
26 変速比制御弁
27 差圧シリンダ
28a、28b 補正用制御弁
29 高速クラッチ用切換弁
30 低速クラッチ用切換弁
31、31a、31b 給油ポンプ
32 油溜
33 押圧力調整弁
34 低圧側調整弁
35a、35b 油圧室
36、36a 手動油圧切換弁
37 減圧弁
38 入力側回転センサ
39 出力側回転センサ
40、40a、40b 油圧センサ
41 油温センサ
42 アクセルセンサ
43 サービスブレーキ作動センサ
44 加速度センサ
45 出力軸回転センサ
46 油圧室
47 ポジションスイッチ
Claims (2)
- 互いに同心に、且つ相対回転可能に配置された第一、第二のディスクと、それぞれがトロイド曲面であって互いに対向するこれら第一、第二のディスクの内側面同士の間に挟持されて、これら第一、第二のディスク同士の間で動力を伝達する複数のパワーローラと、これら各パワーローラを回転自在に支持した、これら各パワーローラと同数の支持部材と、これら各支持部材を、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、前記第一のディスクと前記第二のディスクとの間の変速比を変える油圧式のアクチュエータと、前記第一のディスクと前記第二のディスクとを互いに近付く方向に押圧する押圧装置とを備え、この押圧装置は、予圧ばねと、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる油圧式の押圧力発生部とから成るものであり、この押圧力発生部に導入する油圧を調整する為の油圧調整手段は、この押圧力発生部の油圧室に導入する油圧を、少なくとも、その時点での前記第一のディスクと前記第二のディスクとの間で伝達する力の大きさに応じて設定される、前記押圧装置に発生させるべき押圧力に対応する目標値に調整するものであって、車両用の変速機として使用されるトロイダル型無段変速機に於いて、走行している車両を減速乃至停止させる為のサービスブレーキの作動状況を判定する為の判定手段を備え、前記油圧調整手段は、この判定手段が、このサービスブレーキの作動状況が急制動状態であると判定した場合に、前記油圧室内の油圧の調整を停止して、この油圧をそのままの値に固定するか、ゼロ若しくは最小ローディング圧にまで減圧する機能を有する事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
- 油圧調整手段は、油圧室内の油圧の調整を停止する状態を、サービスブレーキが作動している間中継続し、このサービスブレーキの作動が停止される事と、アクセルペダルが踏み込まれる事との少なくとも一方の操作が行われる事を条件に、油圧室内の油圧の調整を再開する、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
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