JP5310596B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば車両(自動車)用自動変速装置として利用する、トロイダル型無断変速機の改良に関する。
具体的には、急制動時に於ける挙動を安定させて、運転者に違和感を与えずに車両を減速乃至停止させられる構造の実現を意図したものである。
尚、本発明の対象となるトロイダル型無段変速機には、単体で自動変速装置を構成するものは勿論、遊星歯車機構等の歯車式差動機構と組み合わせて構成された、複合型の無段変速装置に、バリエータとして組み込まれたものも含む。
車両用の自動変速機を構成する為の変速ユニットとして利用可能なトロイダル型無段変速機が、例えば特許文献1〜3等、多くの刊行物に記載されており、又、一部で実施されていて周知である。図6は、特許文献1に記載され、又、一部で実施されている、トロイダル型無段変速機の従来構造の1例を示している。このトロイダル型無段変速機1は、回転軸2の両端部に1対の入力ディスク3a、3bを、互いに同期した回転を可能に支持している。又、前記回転軸2の周囲に1対の出力ディスク4、4を、互いに同期して回転する様に、且つ、この回転軸2に対する相対回転を可能に支持している。又、それぞれがトロイド曲面である、前記両入力ディスク3a、3bと前記両出力ディスク4、4との互いに対向する面同士の間に、それぞれ複数個ずつのパワーローラ5、5を、それぞれトラニオン6、6等の支持部材により、回転及び傾転可能に支持している。
運転時には、駆動軸7により、ローディングカム式の押圧装置8を介して前記両入力ディスク3a、3bを、互いに近付く方向に押圧しつつ回転駆動する。すると、これら両入力ディスク3a、3bの回転が、前記各パワーローラ5、5を介して前記両出力ディスク4、4に伝達され、これら両出力ディスク4、4が回転するので、この回転を出力歯車9により取り出す。前記押圧装置8には、皿板ばね等の与圧ばね10を付設して、この押圧装置8に駆動トルクが入力される以前から、前記各ディスク3a、3b、4と前記各パワーローラ5、5との転がり接触部であるトラクション部の当接圧を確保して、前記トロイダル型無段変速機1の起動直後から、これら各トラクション部で過大な滑りが発生する事が無い様にしている。前記両入力ディスク3a、3bと前記両出力ディスク4、4との間の変速比を変える場合には、前記各トラニオン6、6の傾転角度を変化させて、前記各ディスク3a、3b、4の径方向に関する、前記各トラクション部の位置を変化させる。
上述の図6には、基本的な構造を有するトロイダル型無段変速機1を示したが、トロイダル型無段変速機と遊星歯車機構等の歯車式差動機構とを組み合わせて、変速比の調節幅を広くしたり(ギヤード・ニュートラル式の無段変速装置)、トロイダル型無段変速機を通過するトルクを低減して、このトロイダル型無段変速機の耐久性向上を図る(パワー・スプリット式の無段変速装置)構造も、特許文献1〜3に記載される等により、従来から広く知られている。図7は、このうちの特許文献2に記載された、ギヤード・ニュートラル式の無段変速装置の従来構造の1例を示している。この無段変速装置は、トロイダル型無段変速機1aと、2組の遊星歯車機構11a、11bとを同心に配置し、更に低速用、高速用両クラッチ12、13を設けている。前記トロイダル型無段変速機1aは、軸方向両側面をそれぞれトロイド曲面とした一体型の出力ディスク4aと、図8にその構造を詳しく示す様な、油圧式の押圧装置8aとを備えている。この様な無段変速装置は、前記低速用クラッチ12を接続して前記高速用クラッチ13の接続を断った、所謂低速モードの状態では、前記トロイダル型無段変速機1aの変速比を調節する事により、駆動軸7を一定方向に一定速度で回転させた状態のまま、出力軸14の回転方向を逆転でき、しかもそれぞれの方向の回転速度を変更できる。
図9は、上述の様な無断変速装置のブロック図を、図10は、同じく制御用の油圧回路を、図11は、同じくトロイダル型無段変速機全体としての速度比と無段変速装置全体としての速度比との関係を、それぞれ示している。エンジン15の出力は、ダンパ16を介して、駆動軸7に入力される。この駆動軸7に伝達された動力は、直接又はトロイダル型無段変速機1aを介して、図7に示した1対の遊星歯車機構11a、11bである遊星歯車機構11に伝達される。そして、この遊星歯車機構11の構成部材の差動成分が、クラッチ装置17、即ち、図7、10の低速用、高速用両クラッチ12、13を介して、出力軸14に取り出される。又、前記トロイダル型無段変速機1aは、入力側、出力側各ディスク3A、4Aと、複数個のパワーローラ5と、複数個のトラニオン6、6(図6参照)と、アクチュエータ18(図10)と、押圧装置8aと、変速比制御ユニット19とを備える。
このアクチュエータ18は、油圧式のもので、前記各パワーローラ5を支持した前記各トラニオン6、6を、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、前記入力ディスク3Aと出力ディスク4Aとの間の変速比を変える。又、前記押圧装置8aは、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力(クランピング力)を発生し、前記入力ディスク3Aと前記出力ディスク4Aとを互いに近付く方向に押圧する。又、前記変速比制御ユニット19は、前記入力ディスク3Aと出力ディスク4Aとの間の変速比を所望値にする為に、前記アクチュエータ18の変位方向及び変位量を制御する。
図示の例の場合、前記変速比制御ユニット19は、制御器(ECU)20と、この制御器20からの制御信号に基づいて切り換えられる、ステッピングモータ21と、ライン圧制御用電磁開閉弁22と、変速比補正用電磁弁23と、シフト用電磁弁24と、これら各部材21〜24により作動状態を切り換えられる制御弁装置25とにより構成している。尚、この制御弁装置25は、変速比制御弁26と、差圧シリンダ27と、補正用制御弁28a、28bと、高速クラッチ用、低速クラッチ用各切換弁29、30(図10)とを合わせたものである。このうちの変速比制御弁26は、前記アクチュエータ18への油圧の給排を制御するものである。又、前記差圧シリンダ27は、前記トロイダル型無段変速機1aを通過する力(通過トルク)に応じて、このトロイダル型無段変速機1aの変速比を補正すべく、前記変速比制御弁26の切換状態を調節する為のものである。又、前記補正用制御弁28a、28bは、前記差圧シリンダ27への圧油の給排を制御するものである。更に、前記高速クラッチ用、低速クラッチ用各切換弁25、26は、前記低速用、高速用各クラッチ12、13への圧油の導入状態を切り換えるものである。
又、前記ダンパ16部分から取り出した動力により駆動される給油ポンプ31(図10の31a、31b)から吐出した圧油は、前記制御弁装置25並びに前記押圧装置8aに送り込まれる。即ち、油溜32(図10)から吸引されて前記給油ポンプ31a、31bにより吐出された圧油は、押圧力調整弁33及び低圧側調整弁34(図10)により所定圧に調整される。このうちの押圧力調整弁33は、前記アクチュエータ18にピストンを挟んで設けた1対の油圧室35a、35b同士の間に存在する油圧の差(差圧)に応じた油圧、並びに、前記制御器20からの指令により制御される前記ライン圧制御用電磁開閉弁22の開閉に基づく油圧の導入に基づき、開弁圧を調節される。そして、この様な開弁圧の調節に基づき、前記押圧装置8aが発生する押圧力を、その時点での運転状態に応じた最適な値に規制する。
又、前記押圧力調整弁33により調整された圧油は、手動油圧切換弁36、並びに、減圧弁37、前記高速クラッチ用切換弁29又は低速クラッチ用切換弁30を介して、前記低速用クラッチ12又は高速用クラッチ13の油圧室内に送り込まれる。又、これら低速用、高速用各クラッチ12、13のうちの低速用クラッチ12は、減速比を大きくする{変速比無限大(ギヤード・ニュートラル状態)を含む}低速モードを実現する際に接続されると共に、減速比を小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる。これに対して、前記高速用クラッチ13は、前記低速モードを実現する際に接続を断たれると共に前記高速モードを実現する際に接続される。又、これら低速用、高速用各クラッチ12、13への圧油の給排状態は、前記シフト用電磁弁24の切り換えに応じて切り換えられる。
図11は、トロイダル型無段変速機1aの速度比(1/変速比、増速比)と無段変速装置全体としての速度比との関係の1例を示している。例えば、前記低速用クラッチ12が接続され、前記高速用クラッチ13の接続が断たれた低速モードでは、実線αで示す様に、トロイダル型無段変速機1aの変速比を、ギヤード・ニュートラル状態を実現できる値(GN値、GNポイント)から減速側に変化させる程、無段変速装置全体としての変速比を停止状態(変速比0の状態)から前進方向(+:正転方向)に、増速する方向に変化させられる。又、同じくGN値から増速側に変化させる程、同じく停止状態から後退方向(−:逆転方向)に、増速する方向に変化させられる。一方、前記高速用クラッチ13が接続され、前記低速用クラッチ12の接続が断たれた高速モードでは、実線βで示す様に、前記トロイダル型無段変速機1aの変速比を増速側に変化させる程、前記無段変速装置全体としての変速比を(前進方向に)増速側に変化させられる。
上述した様な無段変速装置を組み込んだ車両では、アクセルペダルの操作(アクセル開度)や車両の走行速度(車速)から得られる、その時点での車両の走行状態(運転状態)に基づいて、制御器20により、前記無段変速装置の最適な変速比(目標変速比)を求める。そして、この目標変速比を実現すべく、前記制御器20の制御信号に基づいてステッピングモータ21を駆動し、変速比制御弁26を切り換える事により、トロイダル型無段変速機1aの変速比を、前記目標変速比に対応する目標変速比に調節する。又、これと共に、必要に応じて(無段変速装置の目標変速比に応じて)シフト用電磁弁24を切り換える事により、前記低速用、高速用各クラッチ12、13の断接状態を切り換え、必要な走行モード(低速モード或いは高速モード)を選択する。これらにより、前記無段変速装置の変速比を、その時点での車両の走行状態に応じた最適な値(目標変速比)に調節する。
トロイダル型無段変速機、及び、トロイダル型無段変速機と遊星歯車機構とを組み合わせた無段変速装置の基本的な構成及び作用は上述の通りであるが、より具体的には、運転時の挙動を安定させる等を目的として従来から、各種構造が考えられている。例えば特許文献4には、急加速時にも各トラクション部の面圧を確保して、これら各トラクション部で過大な滑り(スピン滑りを含め、動力伝達の為に必要な滑りを超える有害な滑り)が発生するのを防止する為、アクセルペダルの踏み込み状況に応じて、油圧式の押圧装置が発生する押圧力を調節する構造が記載されている。図12、13は、前記特許文献4に記載された、アクセルペダルの踏み込み状況に応じて前記押圧力を発生させる為のローディング圧(押圧装置8aの油圧室内に導入する油圧)を調整する為の制御方法の2例を示している。これら各制御方法に関しては、前記特許文献4に詳しく記載されている為、詳しい説明は省略する。但し、本発明は、この特許文献4に記載された各制御方法をそのまま実施した場合に生じる可能性がある問題、即ち、急制動時に前記押圧装置8aが発生する押圧力が(特に大きな値ではないにしても)過大になる事に伴って発生する問題を解決する為のものである。そこで、前記押圧装置8aの油圧室内に導入する油圧の制御に関して、前記特許文献4に記載された制御方法も含めて、簡単に説明する。
トロイダル型無段変速機の技術分野で広く知られている様に、トロイダル型無段変速機(複合型無段変速装置中のバリエータを含む)による動力伝達に必要な押圧力(クランピング力)は、トロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)と、このトロイダル型無段変速機の変速比(傾転角)、トラクションオイルの温度(油温)等から算出する。そして、前述の図9に示した制御器20が、算出した押圧力を確保できるだけの油圧を、前記押圧装置8aの油圧室内に導入する。尚、前記制御器20は、前記通過トルクを、前述した様に、前記アクチュエータ18を構成する1対の油圧室35a、35b同士の間の圧力差により検出する。又、前記変速比(前記傾転角)を、図9に示した、入力側回転センサ38が測定した入力ディスク3Aの回転速度と、同じく出力側回転センサ39が測定した出力ディスク4Aの回転速度との比として算出する。尚、前記圧力差に関しても、図9、10に示した油圧センサ40、40a、40bにより検出する。更に、トラクションオイルの温度は、油温センサ41により測定する。前記制御器20は、これら各センサ38、39、40、40a、40b、41から送り込まれる測定信号に基づいて、前述の図10に示した押圧力調整弁33の開弁圧(下流側に吐出して前記油圧室内に導入する油圧)を制御する。
前記押圧力の制御は、基本的に上述の様にして行うが、実際に駆動源であるエンジンのクランクシャフト部分でトルクが発生若しくは急増した場合には、一時的にしろ、前記押圧力が不足する可能性がある。即ち、前記クランクシャフトのトルクがトロイダル型無段変速機に入力された事で、前記両油圧室35a、35b同士の間に生じる圧力差を検出してから、前記押圧装置8aが発生する押圧力を適正値にすべく、前記押圧力調整弁33の開弁圧を調整する為の制御を開始した場合、前記トルクの立ち上がりから前記押圧力の立ち上がりまでに、無視できないほどの時間的遅れ(タイムラグ)が生じる可能性がある。例えば、急発進、急加速等の為に、アクセルペダルを急激に踏み込んだ瞬間等には、実際に前記押圧力が適正値に達するまでの応答遅れにより、その間、前記各トラクション部の面圧が不足した状態となる。そして、著しい場合には、これら各トラクション部で、過大な滑りである、グロススリップが発生する可能性がある。グロススリップが発生すると、各ディスクの側面と各パワーローラの周面とが、トラクションオイルの油膜を介する事なく金属接触し、これら各面の耐久性を著しく損なう原因となる。
この様な原因でのグロススリップの発生を防止する為に、前記特許文献4に記載された発明は、前記図12、13に示した様な制御により、前記応答遅れを無くす様にしている。このうちの図12に示した制御では、エンジンが実際に発生しているトルクである実出力トルクを判定し、その実出力トルクから求めた、トロイダル型無段変速機を通過するトルクと、その時点でのトロイダル型無段変速機の変速比とから、この時に必要な押圧力を算出し、前記押圧力調整弁33の開弁圧を制御する。又、図13に示した制御では、前記差圧に基づいて求めた押圧力の目標値(第一の目標値)と、アクセル開度とエンジンの回転速度とにより求めた実出力トルクに対応する押圧力の目標値(第二の目標値)とのうちの、大きな目標値に応じた押圧力を発生すべく、前記押圧力調整弁33の開弁圧を制御する。
前記特許文献4に記載された発明の場合、上述の様な制御を、車両の加速時だけでなく、減速時にも行う事を考慮している。例えば、走行中にアクセルペダルの踏み込みを停止した状態(アクセルペダルを開放、全閉状態)にして車両を減速する場合には、エンジンブレーキによる制動力が前記トロイダル型無段変速機1aに、入力ディスク4Aの側から入力される。即ち、エンジンの回転速度を低減する為の制動トルクが、車輪側から前記トロイダル型無段変速機1aに入力される。この様な場合にも、基本的には前記図12、13に示した様な制御で、例えば前記差圧から算出される必要とされる押圧力と、前記実出力トルクに対応する押圧力とを比較して、大きい方の押圧力を発生させるべく、前記押圧力調整弁33の開弁圧を制御する。尚、この場合の実出力トルクは、アクセル開度が0%の場合の(アイドリング時)のトルクを採用する。
ところで、アクセルペダルを踏み込んだ状態で車両を走行させている間は、アクセル開度に応じてエンジントルクが常に変動する為、前記図12、13に示した様な制御が必要になる。これに対して、アクセルペダルの踏み込みを停止している(開度が0%である)状態で、前記実出力トルクに基づいて算出される、必要とされる押圧力は、アクセルの開度が0%である以上、ほぼ一定となる。但し、車両をエンジンブレーキによる制動力を利用して減速している限り、前記差圧は車両の減速度に応じて差圧が変化する為、この差圧に基づいて求められる、前記必要とされる押圧力も変化する。この状況は、ブレーキペダルを軽く踏んで、サービスブレーキとエンジンブレーキとを併用して減速する場合も同様である。
これに対して、急制動時、ブレーキペダルを強く踏み込んで、殆どサービスブレーキのみで減速乃至は停止する様な場合には、前記エンジンブレーキによる制動力は僅少になり、前記トロイダル型無段変速機1aを通過するトルクも僅少になる。この様な状態で、前記図12、13に示した様に、前記実出力トルクから求めた押圧力や、前記差圧から求めた押圧力を前記押圧装置8aに発生させると、次の様な問題を生じる。
先ず、急制動中であるから、車速とエンジンの回転速度とを釣り合わせるべく、前記トロイダル型無駄変速機1aの変速比を減速側に、迅速に変化させる制御(シフトダウン制御)が必要になるが、シフトダウン変速が少しでも遅れると、前記車速と前記エンジンの回転速度との釣り合いが崩れて、エンジンのクランクシャフトを回転させる為のトルクが、不必要に増減する(ノッキングが発生する)可能性がある。この影響で、前記トロイダル型無段変速機1aの通過トルクも増減する為、それに応じて、前記差圧に基づいて求められる、必要とされる押圧力の値も増減する。この様な状態になると、円滑且つ迅速なシフトダウンが更に困難になる等の悪循環が発生する。
又、急制動中は、車輪が停止前に回転しなくなる、所謂タイヤロックが発生する可能性があり、その場合には、前記通過トルクが急変動する。更に、アンチロックブレーキシステム(ABS)が作動した場合にも、車輪側が原因となる、前記通過トルクの変動が発生し易い。この様な原因でのトルク変動に応じて前記押圧力を調節した場合にも、円滑で且つ安定したシフトダウン制御が困難になる。
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、急制動時に於ける挙動を安定させて、運転者に違和感を与えずに車両を減速乃至停止させられる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様に、第一、第二のディスクと、複数のパワーローラと、これら各パワーローラと同数の支持部材と、アクチュエータと、押圧装置とを備え、車両用の変速機として使用される。
このうちの第一、第二のディスクは、互いに同心に、且つ相対回転可能に配置されている。これら第一、第二のディスクの互いに対向する側面は、それぞれがトロイド曲面である。
又、前記各パワーローラは、前記第一、第二のディスクの内側面同士の間に挟持されて、これら第一、第二のディスク同士の間で動力を伝達する。
又、前記各支持部材は、前記各パワーローラを回転自在に支持する。
又、前記アクチュエータは、油圧式のもので、前記各支持部材を、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、前記第一のディスクと前記第二のディスクとの間の変速比を変える。この様な油圧式のアクチュエータは、前記各支持部材毎に1個ずつ設けても良いが、例えば特許文献5、6に記載された構造等により、隣り合う支持部材同士をリンク機構、歯車伝達機構等により同期した変位を可能に連結する代わりに、前記アクチュエータの数を前記支持部材の数よりも少なくする事もできる。
又、前記押圧装置は、前記第一、第二のディスクの軸方向側面と前記各パワーローラの周面との転がり接触部(トラクション部)の面圧を確保すべく、前記第一のディスクと前記第二のディスクとを互いに近付く方向に押圧するものである。この様な押圧装置は、予圧ばねと、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる油圧式の押圧力発生部とから成る。
そして、この押圧力発生部に導入する油圧を調整する為の油圧調整手段は、この押圧力発生部の油圧室に導入する油圧を、少なくとも、その時点での前記第一のディスクと前記第二のディスクとの間で伝達する力の大きさに応じて設定される、前記押圧装置に発生させるべき押圧力に対応する目標値に調整する。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、走行している車両を減速乃至停止させる為のサービスブレーキの作動状況を判定する為の判定手段を備える。
そして、前記油圧調整手段は、この判定手段が、このサービスブレーキの作動状況が急制動状態であると判定した場合に、前記油圧室内の油圧の調整を停止する機能を有する。尚、この油圧調整機能を停止した後は、この油圧室内の油圧をそのままの値に固定するか、或は、この油圧室内の油圧を徐々に低下させて、前記押圧力が発生する押圧力を、前記与圧ばねの弾力に基づく押圧力のみとする。
要するに、前記判定手段が、車両が急制動状態であると判定した場合、前記押圧力を発生させる為のローディング圧の制御を停止(そのままの値に固定するか、ゼロ、若しくは、極く低圧の最小ローディング圧にまで減圧)する。そして、この状態で、前記第一、第二のディスクの軸方向側面と前記各パワーローラの周面とを当接させる為の押圧力の大きさを、固定するか、或は、前記与圧ばねの弾力に基づくだけの値にする。
前記判定手段が、車両が急制動状態にあるか否かを判定する為の具体的手法は自由であるが、例えば、下記の(1) 〜(6) のうちの1乃至複数の手法を、単一で、若しくは、組み合わせて採用できる。
(1) ABSの作動状態をモニタし(ABSランプ点灯を検出したり、ABS制御器と通信制御をし)、ABSが作動した場合に、車両が急制動状態にあると判定する。
(2) ブレーキペダルの踏み込みに基づく圧力の大小により判定する。この場合の圧力判定に利用する為の信号としては、例えば、ブレーキペダルの一部(例えば踏面)に設置した圧力センサの測定信号や、サービスブレーキ用のマスタシリンダから吐出されるブレーキオイルの圧力を測定する油圧センサの測定信号が利用可能である。何れにしても、圧力Pが閾値Aを超えた(P>A)場合に、車両が急制動状態にあると判定する。
(3) ブレーキペダルの踏み込み圧の増加速度の大小により判定する。この場合の速度判定に利用する為の信号としても、前記(2) で用いた圧力センサの測定信号の変動速度や、油圧センサの測定信号の変動速度が利用可能である。何れにしても、変動速度Vが閾値Bを超えた(V>B)場合に、車両が急制動状態にあると判定する。
(4) ブレーキペダルを強く踏んだ時のみ閉じられる(ONされる)パニックブレーキスイッチを設け、このパニックブレーキスイッチがONの場合に、車両が急制動状態にあると判定する。
(5) ブレーキペダルの踏み込み圧に関して、断接状態が異なる圧で切り替わる複数の圧力スイッチを設け、これら各スイッチの断接状態が切り替わる時間差△Tにより判定する。具体的には、この時間差△Tが閾値Cよりも短い(△T<C)場合に、車両が急制動状態にあると判定する。
(6) 車両の減速度を判定する。即ち、ABS等を制御する為に車体に設けた加速度センサの信号に基づき、この車体の減速度Gが閾値Dよりも大きい(G>D)場合に、車両が急制動状態にあると判定する。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記油圧調整手段による油圧室内の油圧の調整を停止する状態を、サービスブレーキが作動している間中継続する。そして、このサービスブレーキの作動が停止される事と、アクセルペダルが踏み込まれる事との少なくとも一方の操作が行われる事を条件に、油圧室内の油圧の調整を再開する。
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機によれば、運転者がブレーキペダルを強く踏み込む事で、サービスブレーキに大きな制動力を発揮させ、車両が急減速(急制動)している状態で、この車両の挙動を安定させて、運転者に違和感を与えずに車両を減速乃至停止させられる。即ち、本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、押圧装置の押圧力発生部の油圧の調整を停止する(油圧をその時点の油圧のままとするか、或は、ゼロ乃至は極く低圧の残留油圧に止める)事で、急減速(急制動)中の不安定な車両状態でのエンジントルク変動や、外乱(車輪側からの路面振動や車輪のロックによるトルク変動)等による、ハンチングの如き、不必要な押圧力の変化を防止できる。そして、車両を安定した状態で減速して、この押圧力を不必要に、且つ、不安定に制御する事による、車両ハンチング(減速挙動の不安定化)を防止できる。尚、本発明の制御である、前記押圧力発生部への油圧調整の停止は、急減速中に行われる制御であり、この状態では、実際にはエンジンが発生しているトルク(アイドリング状態でのトルク)が小さく、又、エンジンブレーキによる制動力も極く僅少である。この為、トロイダル型無段変速機には、何れの方向にも大きなトルクが通過する事はなく、各トラクション部の面圧確保は、前記与圧ばねの弾力に基づく押圧力だけで十分であり、前記油圧室内の油圧を抜き取っても(ゼロ乃至は僅少にしても)差し支えない。この油圧室内の油圧を急制動開始時点の油圧に固定して押圧力を固定した場合でも、前記与圧ばねの弾力に基づく押圧力だけにした場合でも、何れも前記外乱等により押圧力が不安定化しない事は勿論である。
尚、本発明の制御(前記押圧力発生部の油圧調整の停止)が開始された場合には、ブレーキペダルの踏み込みが停止(ブレーキが開放)されるまでは、本発明の制御を継続する(前記押圧力発生部の油圧調整を停止し続ける)。逆に言えば、ブレーキが開放された後は、本発明の制御を停止し、前述の図12、13に示した様な、前記押圧力発生部の油圧調整を再開する。即ち、急制動状態を検出して本発明の制御を実行中であっても、一度ブレーキが開放された場合には、減速状態でなくなる上、次に何時アクセルペダルが踏み込まれてエンジントルクが上昇するか不明になる為、本発明の制御は、急制動状態を判定してから、ブレーキを開放されるまでとする。これに対して、ブレーキペダルが踏まれた状態のまま、車両が停止した場合には、停止後、ブレーキが開放されるまでの間は、前記押圧装置による、前記与圧ばねの弾力に基づく押圧力よりも大きな押圧力は不要である為、本発明の制御を継続しても問題はない(グロススリップ等の問題は発生しない)。
以上に述べた様に本発明によれば、急制動状態にあると判定してからブレーキを開放するまでの間、前記押圧力発生部の油圧調整を停止する事で、前述した様な、余計なエンジントルク変動や、車輪側からの外乱によるトルク変動による車両挙動の不安定化(ギクシャク感の発生)や、円滑なシフトダウン制御への悪影響を防止できる。
尚、特許文献7に記載された発明の様に、油圧ピストンを使って差圧(トロイダル型無段変速機を通過するトルク)に応じたローディング圧を発生させ、変速比や油温に応じて減圧補正制御が可能な機構、及び電子制御装置が搭載されている場合等は、本発明の制御が行われている間は、減圧補正制御を停止しても良い。
本発明の実施の形態の1例を説明する為の、無段変速装置のブロック図。 変速比制御の為の油圧回路の1例を示す図。 押圧装置の油圧室内に導入する油圧を制御する際の動作を説明する為のフローチャート。 急減速時に押圧装置の油圧室内に導入する油圧を制御する際の動作を説明する為のフローチャート。 本発明の効果を説明する為、本発明による場合(A)と従来構造による場合(B)とを示す線図。 本発明の対象となる、従来から知られているトロイダル型無断変速機の1例を示す断面図。 本発明の対象となるトロイダル型無断変速機を組み込んだ、従来から知られている無段変速装置の1例を示す断面図。 図7のイ部拡大図。 従来から知られている無段変速装置の1例を示すブロック図。 同じく変速比制御の為の油圧回路を示す図。 無段変速装置全体の速度比と、この無段変速装置に組み込まれたトロイダル型無段変速機の速度比との関係を示す線図。 従来から知られている、トロイダル型無段変速機の押圧力制御の第1例を示すフローチャート。 同第2例を示すフローチャート。
本発明の実施の形態の1例に就いて、図1〜5により説明する。本例のトロイダル型無段変速機1aは、前述の図7、9に示した従来構造と同様に、遊星歯車機構11と組み合わせて、ギヤード・ニュートラル型の無段変速装置を構成している。図1に示した無段変速装置の構成、並びに、図2に示した制御回路に関しては、基本的には、前記従来構造の場合と同様である。本例の場合には、変速比制御の為の制御器20に、ポジションスイッチ47及びアクセルセンサ42の信号等、前述した従来構造の場合と同様の信号に加えて、パドルシフトセンサ、サービスブレーキ作動センサ43及び加速度センサ44の信号を入力している。前記ポジションスイッチ47は、図2に示した手動油圧切換弁36aが選択したシフトレバーの位置(前進、後退、ニュートラル、パーキング)を検出するもので、従来から知られている無断変速装置の場合も備えている。又、前記アクセルセンサ42は、エンジンへの燃料供給の状況を知る為に、アクセルペダルの踏み込み状況に応じて変位する部分に設けられている。又、パドルシフトセンサは、前記手動油圧切換弁36aにより手動変速モード(図2の手動油圧切換弁36a中のMポジション)が選択された場合に、手動変速用の変速比切換装置であるパドルシフトレバーにより、何れの変速比(変速段)が選択されたかを検出する為のものである。又、前記サービスブレーキ作動センサ43は、ブレーキペダルが踏み込まれたか否かに加えて、このブレーキペダルの踏み込み状況(踏み込み深さ、踏み込み速度、踏み込み強さの少なくとも一つ)を検出する。更に、前記加速度センサ44は、車両(車体)の加速度を検出するものである。
本例の無段変速装置は、図1〜2に示す様な構成を採用し、入力側の駆動軸7と出力軸14との間の変速比を適切に調節する。即ち、運転者が前記手動油圧切換弁36aにより自動変速モード(図2の手動油圧切換弁36a中のDポジション)を選択した場合には、従来から広く知られている無段変速装置の場合と同様に、前記無断変速装置の変速比を、車速やアクセル開度等の車両状況に応じて最適な値に調節する。即ち、この場合には、前記制御器20が、図2に示した高速用、低速用、両クラッチ用切換弁29、30を制御して、低速用、高速用、両クラッチ12、13の断接状態を切り換える他、変速比制御ユニット19aへの圧油の給排状態を切り換えて、トロイダル型無段変速機1aの変速比を制御する。この状態では、前記制御器20が適切と判断する変速比を実現して、運転者による変速動作を不要にし、運転者の負担軽減、延いては運転者の疲労軽減を図れる。これに対して、前記手動変速モードを選択した状態では、前記変速比切換装置により、予め設定した複数段の変速段のうちから、運転者が任意で変速比(変速段)を選択可能になる。
本例の場合には、上述の様な構成を有する無段変速装置に組み込まれたトロイダル型無段変速機1aの押圧装置8aを構成する油圧式の押圧力発生部の油圧室46内に導入する油圧を調整する。以下、この油圧調整の手順に就いて、図3、4参照しつつ説明する。
先ず、図3に示したステップ1で、前記ポジションスイッチ47からの信号により、セレクトレバー(シフトレバー)による、前記手動油圧切換弁36aの選択位置を判定する。このステップ1で、この選択位置が非走行レンジ(N又はP)であった場合には、前記油圧調整の為の制御は行わない(Duty=0%出力)。又、以下に述べる制御の途中で、前記セレクトレバーが操作されて、前記選択位置がN又はPとなった場合も、前記油圧調整の為の制御は(本発明の制御も、特許文献4に記載されている様な通常の制御の何れも)中止する。
これに対して、前記ステップ1で選択位置が走行レンジ(D、M、R)であった場合には、次のステップ2に進み、ブレーキペダルの踏み込み有無を判定する。このステップ2で、ブレーキペダルが踏み込まれていない(ブレーキペダルが開放されている)と判定された場合には、本発明の特徴である、前記油圧室46内の油圧調整を停止する制御は行わない。即ち、前述の特許文献4に記載された従来構造に記載されている様な、通常の油圧調整の為の制御を行う。又、以下に述べる制御の途中で、前記ブレーキペダルが開放された場合には、以下に述べる様な本発明の制御は中止し、前記通常の制御に復帰する。
前記ステップ2で、ブレーキペダルが踏み込まれていると判定された場合には、次のステップ3に進み、前記加速度センサ44の信号に基づいて、車両の減速度を判定する(閾値と比較する)。このステップ3で、この減速度が、急減速と判定される閾値値A(例えば0.8G)以上であると判定された場合には、「現在、急制動中である」と判定し、次のステップ4に進む。尚、前記加速度センサ44の出力値が、加速状態で正(+)である場合、減速は負(−)となる。従って、前記ステップ3での判定は「急減速判定値A[G]<−0.8G」となる。
前記ステップ4では、現在、「急減速制御中」であるか否かを(パニックブレーキフラグが立っているか否かにより)判定する。このステップ4で、「急減速制御中」と判定された場合(F_panic_brake=1)には、そのままステップ7に進み、図4に示した様な、「ローディング圧コントロール停止制御」を行う。これに対して、「急減速制御中でない」と判定された場合(F_panic_brake=0)」には、ステップ5でパニックブレーキフラグを立て(F_panic_brake=1)、ステップ6で目標ローディング圧制御Duty=0%としてから、本発明の特徴である、「ローディング圧コントロール停止制御」を行う為のステップ7に移る。
このステップ7では、図4に示す様に、先ず、現在のローディング圧制御ソレノイド(ライン圧制御用電磁開閉弁22)の出力Dutyを判定する。この判定の結果、「現在の出力Duty(REAL_PL)>目標ローディング圧制御Duty(TRGT_PL)」であった場合、「現在のDuty−1%」を出力して、前記油圧室46内を徐々に減圧する(REAL_PL=REAL_PL−1%とする)。これに対して、「現在の出力Duty(REAL_PL)≦目標ローディング圧制御Duty(TRGT_PL)」であった場合には、「現在のDuty(0%)」を維持する(REAL_PL=0%を出力する)。この結果、前記油圧室46内の圧力が、そのままの値(目標ローディング圧以下の値)に固定されるか、この目標ローディング圧にまで徐々に低下する。前記油圧室46内の圧力は、この目標ローディング圧にまで徐々に低下する事はあっても、それ以外の方向に変化(増加方向に変化)する事はない。
一方、前記ステップ3で、車両減速度急減速と判定される閾値値A(例えば0.8G)未満であった場合には、ステップ8に進み、ブレーキペダルの踏み込みの有無を判定する。このステップ8で、ブレーキペダルが踏まれていない(ブレーキが開放されている)と判定された場合には、本発明の特徴である、前記「ローディング圧コントロール停止制御」は行わない。次のステップ9でパニックブレーキフラグをオフしてからステップ10に移り、前述の特許文献4に記載された従来構造に記載されている様な、通常の油圧調整の為の制御を行う。
一方、前記ステップ8でブレーキペダルが踏み込まれていると判定された場合には、ステップ11に移り、現在、本発明の特徴である、「急減速制御中(ローディング圧コントロール停止制御中)」であるか否かを判定する。このステップ11で、「急減速制御中である」と判定された(F_panic_brake=1)場合には、前記ステップ7に移り、そのまま「ローディング圧コントロール停止制御」を行う。これに対して、前記ステップ11で、現在は「急減速制御中でない」と判定された(F_panic_brake=0)場合には、本発明の特徴であるローディング圧コントロール停止制御は行わず、そのまま終了して、前述の特許文献4に記載された従来構造に記載されている様な、通常の油圧調整の為の制御を行う。
要するに本例の場合には、本発明の特徴である急減速制御(ローディング圧コントロール停止制御)が開始された場合には、ブレーキペダルが開放されるまで、目標ローディング圧=0(Duty=0%)を継続する{ブレーキペダル踏み込み中、目標ローディング圧=0%(Duty=0%)を維持する}。そして、ブレーキペダルが開放された場合に、前記本発明の特徴である急減速制御(ローディング圧コントロール停止制御)を中止する(ブレーキペダルが開放された場合、本考案の制御を中止して、通常のローディング圧制御に戻る)。そして、以上の動作を、車両の走行中繰り返し行う事により、図5から明らかな通り、運転者のブレーキ操作により車両が急減速(急制動)状態となった場合でも、安定した車両減速を確保できる。尚、前記図5のうちの(A)は本発明の制御を行った場合に於ける、(B)は同じ条件で従来の制御を行った場合に於ける、それぞれ各部の挙動を示している。この様な図5の(A)(B)を比較すれば明らかな通り、本発明によれば、急制動時にも、外乱によるエンジン回転や車速の変動を抑えて、安定した車両減速を確保できる。
本発明は、前述の図1、7、9に示す様な、トロイダル型無段変速機1aと、遊星歯車機構11、11a、11bと、クラッチ装置17(低速用、高速用両クラッチ12、13)を組み合わせて成る、ギヤード・ニュートラル型の無段変速装置に限らず、パワー・スプリット型の無段変速装置や、図6に示す様な、トロイダル型無段変速機単体で使用される場合でも実施できる。
1、1a トロイダル型無段変速機
2 回転軸
3a、3b、3A 入力ディスク
4、4a、4A 出力ディスク
5 パワーローラ
6 トラニオン
7 駆動軸
8、8a 押圧装置
9 出力歯車
10 予圧ばね
11、11a、11b 遊星歯車機構
12 低速用クラッチ
13 高速用クラッチ
14 出力軸
15 エンジン
16 ダンパ
17 クラッチ装置
18 アクチュエータ
19、19a 変速比制御ユニット
20 制御器
21 ステッピングモータ
22 ライン圧制御用電磁開閉弁
23 変速比補正用電磁弁
24 シフト用電磁弁
25 制御弁装置
26 変速比制御弁
27 差圧シリンダ
28a、28b 補正用制御弁
29 高速クラッチ用切換弁
30 低速クラッチ用切換弁
31、31a、31b 給油ポンプ
32 油溜
33 押圧力調整弁
34 低圧側調整弁
35a、35b 油圧室
36、36a 手動油圧切換弁
37 減圧弁
38 入力側回転センサ
39 出力側回転センサ
40、40a、40b 油圧センサ
41 油温センサ
42 アクセルセンサ
43 サービスブレーキ作動センサ
44 加速度センサ
45 出力軸回転センサ
46 油圧室
47 ポジションスイッチ
特開2004−169719号公報 特開2007−2928号公報 特開2008−106897号公報 特開2009−121530号公報 特開平7−259947号公報 特開2000−9199号公報 特開2004−76940号公報

Claims (2)

  1. 互いに同心に、且つ相対回転可能に配置された第一、第二のディスクと、それぞれがトロイド曲面であって互いに対向するこれら第一、第二のディスクの内側面同士の間に挟持されて、これら第一、第二のディスク同士の間で動力を伝達する複数のパワーローラと、これら各パワーローラを回転自在に支持した、これら各パワーローラと同数の支持部材と、これら各支持部材を、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、前記第一のディスクと前記第二のディスクとの間の変速比を変える油圧式のアクチュエータと、前記第一のディスクと前記第二のディスクとを互いに近付く方向に押圧する押圧装置とを備え、この押圧装置は、予圧ばねと、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる油圧式の押圧力発生部とから成るものであり、この押圧力発生部に導入する油圧を調整する為の油圧調整手段は、この押圧力発生部の油圧室に導入する油圧を、少なくとも、その時点での前記第一のディスクと前記第二のディスクとの間で伝達する力の大きさに応じて設定される、前記押圧装置に発生させるべき押圧力に対応する目標値に調整するものであって、車両用の変速機として使用されるトロイダル型無段変速機に於いて、走行している車両を減速乃至停止させる為のサービスブレーキの作動状況を判定する為の判定手段を備え、前記油圧調整手段は、この判定手段が、このサービスブレーキの作動状況が急制動状態であると判定した場合に、前記油圧室内の油圧の調整を停止して、この油圧をそのままの値に固定するか、ゼロ若しくは最小ローディング圧にまで減圧する機能を有する事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 油圧調整手段は、油圧室内の油圧の調整を停止する状態を、サービスブレーキが作動している間中継続し、このサービスブレーキの作動が停止される事と、アクセルペダルが踏み込まれる事との少なくとも一方の操作が行われる事を条件に、油圧室内の油圧の調整を再開する、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
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